ゆるめるモ!(You'll Melt More!)の徹底解説まとめ

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ゆるめるも!(You'll Melt More!)とは、フリーライターの田家大知がももいろクローバーの「ピンキージョーンズ」に触発されて、「辛い時は逃げてもいいんだよ」をテーマとして自ら街頭でスカウトして集めてきたメンバーで結成された女性アイドル・グループ。名前の由来は「(窮屈な世の中を)ゆるめる」というメッセージと「You'll melt more!(あなたをもっとトロけさせたい)」という2つの意味が込められている。

02. 大好き
作詞:ようなぴ
作曲:小林樹音
編曲:小林樹音

元TAMTAMで現THE DHOLEの小林樹音が作曲編曲を担当。

作詞はようなぴ本品が担当している。

ようなぴ:1、2曲目は小林樹音さんっていう、元TAMTAMっていうバンドやってた方に曲を作ってもらって。ニューオーダーをイメージして作ってくれて、踊れる曲になってます。
2曲目だけ自分で歌詞を作ってて、それも樹音さんの曲なんですけど、すごいアッパーな曲になってます。1曲目と3曲目はエモい感じの曲なんですよ、聴き入る感じの曲になってて。なので2曲目は違うふり幅でいかなきゃな、とすごい感じて。その中で、サビのメロディのところに、スッとストレートに入ってくるパンチがあってダイレクトな言葉を何か入れたい、って思って作った結果、こうなりました(笑)
タイトルも「大好き」っていうストレートな言葉で、それを何も知らない人が聴いたら安直って思われそうで怖いなって思ったんですけど…。私、安直な言葉にすごい恐怖を覚えてて、日ごろ発さないんですよ。でも、私がそれをやるって事に意味が出るかなと思って。自分の中での葛藤というか、自分を良い意味でも捨てるきっかけになれるんじゃないかって思って、ポジティブなものを作ろうって(lopi lopi:2015年12月5日)。

ようなぴ:これは、自分で作詞させてもらいました。
私は、どちらかというとネガティヴな考え方で生きていて、発言もそういうものが多いし、ネガティヴから生まれてくるものを制作物で表していることが多いです。
曲を先にいただいていて、その後に歌詞を乗せているんですけど、サビのメロディを聞いて、他の収録曲とのバランスを考えたときに、他の2曲がエモーショナルでメッセージ性も強いので、この曲は絶対にもっとキャッチーなものにすべきだなと思いました。
「大好き」という言葉をメインに持ってくるまでに、結構悩みました。この言葉は私はあまり発さないタイプの人間なので、自分の中で正直恥ずかしい産物でもあります。でも作品として消化することで、自分の中のくすぶっているものを捨てられるのではないかという希望のようなものもあります。
大好きなものへの気持ちはきっと、家族や恋人、友達、社会や何にしても通じるものだと思うのです。
自分が大好きなものを嫌いになってしまうのは悲しいことだから、淀んでしまったりしたときは純粋で素直な気持ちを思い出してすっきりできたらいいなって思います! サビの大好き! の部分は一緒に大きな声で叫んでみてほしいのです!
この曲ははじめは少し恥ずかしさがあったのですが、ライヴで歌うたびに自分でもどんどん好きな曲になってきました。みんなにとって、笑顔に帰れる曲になってほしいです(OTOTOY「ようなぴによるセルフ・ライナーノーツ」:2016年3月2日)。

アップテンポでキャッチーな楽曲。

「Return To My Innocence」に比べると、若干力強さを抑えたヴォーカルを聴かせており、少女性というよりも、ちょっと腕白でボーイッシュな印象を受ける。

ようなぴ「大好き (Live)」。

03. ete
作詞:小林愛
作曲:ハシダカズマ
編曲:ハシダカズマ

ゆるめるモ!の楽曲でおなじみの小林愛とハシダカズマのコンビによる楽曲。

ようなぴ:この曲は、夏の終わりのような、何か切ない曲です。タイトルはフランス語で夏を意味するらしい!
みんな社会の中や、何かの中でずっと生きていると、いつのまにか何かに淀んで、素直な気持ちを忘れてしまいがちだと思うのです。
生まれた時から間違っている人なんてきっといないはずで、絶対的に正しい人間もいないと思うのです。時代に合ったかっこよさとかじゃなくて、もっと自然と溶け合いたくて、もっと素直な心ですべてに愛を持てるようになりたいという気持ちとかを、愛さんにかたちにしてもらいました(OTOTOY「ようなぴによるセルフ・ライナーノーツ」:2016年3月2日)。

ようなぴ:歌詞は、ゆるめるモ!の歌詞をお願いしている小林愛さんにお願いしてて、でも全部まかせっきりではなくて、自分で、「こういう事伝えたいんです」っていうのを愛さんに伝えて歌詞に言葉として出してもらってます(lopi lopi:2015年12月5日)。

ゆったりとしたテンポの、きらびやかでドリーミィな楽曲。

少しノベルティ・ソングっぽい調子で曲は始まり、次第に盛り上がりを見せ、ようなぴのヴォーカルを包み込むようにエレクトリック・サウンドがグルグルと宙を舞う。

ようなぴ「ete (Live)」。 上へ 下へ 編集 削除 ここに記事コンテンツを追加

ようなぴ「ete」。

11月11日:YOU ARE THE WORLD

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YOU ARE THE WORLD
名義:ゆるめるモ!
参加メンバー:けちょん、もね、しふぉん、ようなぴ、あの、ちーぼう
発売日:2015年11月11日
レーベル:You'll Records
規格:アルバム

収録曲
01. モモモモモモ!世世世世世世!
02. 転がれ!!
03. Hamidasumo!
04. 1!2!かんふー!
05. 難
06. 不意打て!!
07. 眠たいCITY vs 読書日記
08. 波がない日
09. Refresh Your Jewellery Box
10. よいよい
11. KAWAIIハードコア銀河
12. id アイドル
13. 夢なんて
14. 私へ
15. もっとも美しいもの
16. NNN
17. Only You

2014年7月9日リリースの「Unforgettable Final Odyssey」以来、約1年4ヶ月ぶりにリリースされたセカンド・アルバム。

「Unforgettable Final Odyssey」が「SPACE SHOWER MUSIC」からのリリースだったため、ゆるめるモ!自身のレーベルである「You'll Records」からは初のアルバム・リリースとなる。またゆにこーんとゆいざらすが卒業したため、6人編成としての初のアルバムでもある(ただし最後のアルバムでもある)。

CDの帯に記載されているキャッチ・コピーは「世界を壊すも許すも君次第」であり、アルバム・タイトルの「YOU ARE THE WORLD」には「君なしの世界は世界じゃない」「 君のいる世界は素晴らしいし、君 = 世界だよ」という意味が込められている。

「Unforgettable Final Odyssey」後にリリースされた「SUImin CIty DEstroyer」「Hamidasumo!」「文学と破壊EP」に収められていた楽曲からの9曲に、アルバム用に書き下ろされた新曲8曲を加えた全17曲、73分を超える大ヴォリュームのアルバムになっている。、

ジャケットはイラストレーターのタカハシヒロユキ氏が手掛けている。
田家氏 : (ゆるめるモ! でやりたいことが、トータルの世界感として、すごくポップにわかりやすく伝わってくる作品ですね、という質問に対して)そのためにデザインとかも重要だったんです。ぐちゃぐちゃなジャンルでも、こういうジャケット・デザインだったらまとめられるだろうと思って、ちょっと80年代感のあるサイケデリックな感じでタカハシヒロユキさんにお願いしたんです。そしたら見事にこちらの意図を汲んでくれて、タカハシさんなりの攻め感、未来感を存分に出してくれて。最高のデザインになりました(OTOTOY:2015年11月4日)。

*タカハシヒロユキ:イラストレーター。ミツメの別名を持っており、タカハシヒロユキミツメと表記される。

タカハシヒロユキミツメ氏の独創的なスキルを学べる動画コース。

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2015年11月4日、OTOTOYに掲載されたインタビューより。

――『YOU ARE THE WORLD』、すごいアルバムですね。田家さんのやりたいことが詰まっているというか、ニューウェイヴやノーウェイヴ色もあるんだけど、そこに負けないポップさがついてきていて、聴きやすさもあって、素晴らしい作品だと思いました。

田家 : ありがとうございます(笑)。1stアルバム『Unforgettable Final Odyssey』でゆるめるモ! の姿勢みたいなものを提示することができたので、今回は1曲1曲の深みを詰めていきたいと思っていたんです。もともと「Only You」を今回のアルバムの核にしようと思っていて。ボアダムスとマイ・ブラッディ・ヴァレンタインを混ぜたような、ロック・フェスとかでもいろんな人を巻き込めるコズミック感と破壊力のある曲がほしくて作ったんです。

――アルバムの核になる曲を最後に持ってくるあたり、田家さんらしいですよね。

田家 : この曲を中間に置いちゃうと、そっちの世界に行き過ぎて戻ってきようがなくなるというか。ライヴでいう本編の最後に大団円を迎えたほうが、アルバムとしていいんじゃないかなと思ったんです。ライヴで例えると、「NNN」で本編が終わり、最後に「Only You」で照明が全部ついて、わーっていう終わるような感じを見せたかったんですね。

――そもそも「Only You」は、どういうアイデアと構想のもとで、できた曲なんでしょう。

田家 : 1999年の〈FUJI ROCK FESTIVAL〉におけるボアダムスのライヴがすさまじい宗教的体験で、いつかゆるめるモ! でもやりたいと思っていたんです。ただ、いきなりやってもお客さんには伝わらないから、「SWEET ESCAPE」みたいなクラウト・ロックをやって、「たびのしたく」みたいなメロウな大作をやって、ようやく今のタイミングなのかなって。「SWEET ESCAPE」でハシダさんやJOJO広重さんにギターでノイズの世界感をのっけってもらったときに、ハイトーンで伸びのあるサビにマイブラっぽい単音のギターリフをのせたら絶対にかっこいいぞと思ったんですよね。曲のイメージもできたんで、全体的な構成とかをハシダさんに細かいオーダーを出して、そこにハシダさんがかっこいいサビを考えてくれました。

――メロディ案は田家さんが歌って、それを骨組みに構築していったんですか?

田家 : 最初にイメージ伝えるときはそうですね。で、そのときに歌ったAメロを乗っけてトラックを作ってもらって、そのトラックを聴いて浮かんだBメロを僕が歌って付け加えてもらって。サビと大サビはハシダさんです。リズムもメロディもどっちも重要だったんですけど、踊れるリズムにマイブラっぽいポップで切ないメロディがくるっていうのが重要で。ゆるめるモ! だからこそ、歌があったほうが”らしさ”が出るかなと思ったんです。

――今回は、外部のミュージシャンの方からも多く楽曲提供を受けていますよね。「id アイドル」は後藤まりこさんの作曲ですが、Aメロ部分がまさに後藤さんらしいですよね。そのあとでポップな展開になっていくのがおもしろい部分ですけど、この曲は田家さんが結構、指示をされたんでしょうか。

田家 : そうですね。1曲まるまる書きなおしてもらったんです。最初に書いてもらった曲もポップでよかったんですけど、なにかが足りないですって伝えて、後藤さんから再度上がってきた曲が「id アイドル」のすごくラフなデモだったんですけど、「これはいける!!」と思って、完成させてくださいって言いました。ただ、後藤さんはアレンジャーではないので、ハシダさんにフレーミング・リップス感、ブロークン・ソーシャル・シーン感、USインディーっぽさを足すようにしてほしいって細かく言ったら、スマッシング・パンプキンズっぽさも足されてきて(笑)。90年代っぽい感じで、フレーミング・リップスっぽいでっかい風船がライヴ中に舞うような感じになりました。

――たしかに大サビの前はスマパンっぽいですよね(笑)。さらにその後に、大サビでキャッチーなメロディがくるのがぐっときますね。

田家 : Aメロ、Bメロだけだったら、オルタナ色が強くなってしまうので、そこにキラキラ感が欲しくて。なので、サビも結構直してもらいましたね。

出典: ototoy.jp

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――直してもらう時の言い方って、もっとキラキラ感をみたいな言い方なんですか?

田家 : 具体的に言う時もありますし、サビがあっさりしすぎてるので、もうちょっと長くしてくださいとか、真ん中に詰めるか、おしりに詰めるかどっちかにしてくださいってことは言いましたね。そしたら膨らませてくれて、サビが不穏なAメロ、Bメロと等しく張り合えるなと思って、僭越ながらオッケーを出させていただいたって感じです。

――そもそも、最初に曲を頼んだ時はリファレンスみたいなのはあったんですか?

田家 : 今回、後藤さんから書きたいってご連絡をいただいて、最初はキャッチーで大衆的な曲をお願いしますって言ったんですけど、僕の伝え方が言葉足らずで、もう少しアクの強さがほしくて。後藤まりこさんが書いてくれた曲で、これじゃあ癖がなさすぎるかなと。キャッチー、キャッチー言っちゃったんですけど、キャッチーから1回離れてしまって、腰にクル感じにしてくださいって言ったら、これをいただいたんです。

――見学もさせていただきましたが、ナカコーさんの曲はどれだけ自由度を持って作ったんでしょう?

田家 : ナカコーさんとお会いして、こちらの意図、希望を伝えました。スーパーカーの踊れてポップな曲、具体的に言うと「WHITE SURF style 5.」「YUMEGIWA LAST BOY」「FAIRWAY」とか、そういう曲を作ってくださいと伝えて上がってきたのが「もっとも美しいもの」だったんです。すごくかっこよくて、僕がこれでどうこう言うものじゃないくらい作品として仕上がってるなって思ったので、すべてお任せで、直しはないです。

――まさに『HIGHVISION』期のスーパーカーを想起する曲で、ナカコーさんヴァージョンもリリースして欲しいくらい素晴らしかったです。レコーディング時、田家さんを見ていたら、迷いがないディレクションをするんだなと思いました。

田家 : 吐息のところですよね(※一番はじめのレコーディングで、小説の1音目をメンバー全員の吐息を重ねようというアイデアが出た)。あれでいこうと思ったんですけど、1回辞めたんですよね。吐息がみんなそんな得意じゃなかったっていうのと、無理してる感が出ちゃって。 要はスキルが足りなくて、違うかなと思ったんです。それよりも、フルカワミキさん的なフラットで平熱な感じで歌ったほうがいいんじゃないかと思って録り直したんです。最初、カヒミカリィさんみたいにウィスパーっぽく歌ってって言っていたんですけど、全部やめて、そんなに抑揚つけなくていいから、メロディに音符を置きにいくような感じで歌ってと言って録ったんです。

――声がダブって聴こえるのは重ねているんですか?

田家 : あれは同じ人が2回歌って重ねてるんです。それでフワンフワン感を出して、スペーシーな感じにしました。微妙なズレがあるんで、ああいった感じに聴こえるんですよね。ナカコーさんの仮歌が音を重ねまくっていて、それが再現できないなと思ってやっている中で、ダブルでやってディレイをかけるのが1番いいのかなというところに行き着いたんです。

――レコーディングとミックスに関しては、ナカコーさんからなにか指示はあったんですか。

田家 : 歌に関しては何も指示はなかったですけど、エンジニアさんがミックスしたトラックに対して、かなり細かく指示がありましたね。もっとここを大きくしてくださいとか、これは左右に振らない方がいいと思うとか、そういうやりとりが3回くらいありましたね。

――それによってサウンドの印象は変わりました?

田家 : 変わりました。深い音がいろんなところで鳴っている、サイケの感じが出ているというか。

出典: ototoy.jp

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――「不意打て!!」は、POLYSICSのハヤシさんから、かなり細かい指示があったそうですね。

田家 : そもそも、ハヤシさんがゆるめるモ! で次に曲を作るなら、こういう感じがいいと言ってくれていて。「ぜひそのデモを聴かせてください」って聴いたら、めっちゃかっこよくて。これはすごいと思って、そのまま完成に向かって進んでくださいってできたのが「不意打て!!」です。

――レコーディングでは、ハヤシさんの指示を田家さんがメンバーに伝えていましたよね。

田家 : 1回本気でレコーディングしたものをハヤシさんに送って、ハヤシさんの要望と意図にそって細かく直しました。

――そういう外部の方の楽曲もありつつ、1曲目、2曲目の松坂康司さんの楽曲がすごく印象的だなと思って。ゆるめるモ! のノー・ウェイヴ感とかオルタナ感とは違う、手数の多い叙情的なピアノの旋律が気持ちいいというか。

田家 : ちょっとへんてこさはありながらも、いろんな人をガシっと掴むような大衆性もある曲になってますよね。1曲目「モモモモモモ! 世世世世世世!」は、松坂くんテイストをすごくいい感じにプラスしてくれて。最初、僕のメロディのイメージをそのまま伝えたら、松坂くんが「サビはシリアスな方がかっこいいと思う」って提案してくれて、それでできたのがサビメロで、僕もこっちの方がいいと思ったんです。当初はスクエアプッシャーとかジェフ・ミルズとか、90年代テクノとかドラムン・ベースみたいなものが幕開けにあって、ハード・ミニマルみたいな感じでひたすらに踊らせて、かっこいい歌回しのメロディが乗るイメージだったんですけど、そこに泣きの切なさを足してくれて。最初は「ゆるトロ2」みたいな感じで、ただただ盛り上げるだけの曲にしようと思っていたんですけど、「ゆるトロ(slo-モ!)」とは違うシリアスさもあったほうがいいんじゃないのという話になり、たしかに! と思ったんです。

――「ゆるトロ(slo-モ!)」みたいなSE感もあって、アルバムの導入として、すごく期待感が増すオープニングですよね。

田家 : 今作は狂った感のある「Only You」で締めることを決めていたので、こいつら頭おかしいんだぞ、ぶっち切ってるんだぞってことを頭から出したくて。そしたら、ドリルン・ベースだろって(笑)。松坂くんはドリルン・ベースっていうジャンルも知らなかったんですけど、スクエアプッシャーとかエイフェックス・ツインとか、その辺の音源をいろいろ送ったら見事に格好よくしてくれて。テクノばかり聴いている人にオーダーしたら、まんま90年代っぽいのが出てきて、逆につまらないと思うんですよ。聴いたことがない人が作ってるからこそ、ちょっとズレていて、新しい曲が出てきたんだと思います。

出典: ototoy.jp

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――「転がれ!!」に関してはどんなオーダーをしたんでしょう。

田家 : アイドル・ファンがみんなで盛り上がれるようなサビの曲を作りたいと思って、松坂くんにオーダーしました。それに対して「こんなのどうですか?」と提案してきた曲のメロディに可能性があると思ったんですけど、アレンジが普通だったんですよね。だったら思い切って80年代ポップスみたいにしようと思って、何年か前のパッション・ピットみたいな感じのキラキラした感じを目指して。a-haみたいなキラキラさとシンセの80年代感はそのままで、綺麗なロックに仕上げるために、参考音源をいろいろ送りました。イントロは80年代感のある感じにしてほしかったので、a-haとかヴァン・ヘイレンとかの曲を送って、松坂くんなりに提案してきてくれたのがこのイントロですね。

――曲によって田家さんのイメージ像がはっきりしてるんですね。

田家 : そうなんですよね。「よいよい」は、邦ロック好きのキッズたちが初見で暴れられるような曲がほしくて、おしゃれダンス・ロック感を混ぜた曲を作りたいって、ハシダさんに相談したんです。そもそもは、ヴァンパイア・ウィークエンドみたいなトロピカル・パンクな曲がほしくて、ちょっとナードっぽい人たちをおしゃれに踊らせてみましたよって曲をお願いしたんですけど、そこにサークル・モッシュするような分かりやすいサビがほしいとお願いしたらハマって。これまでの道筋でカウベル曲の下地もできていたんで、カウベルもアレンジに加えてくれて。最初のデモでは、最後の展開はなかったんですが、ここにみんなが踊れるようなCメロ的展開を足してほしいと頼んだら、最高のお祭りっぽいメロディを付けてくれて。そこに小林愛ちゃんが「よいよい」って歌詞を考えてくれて、さらにレコーディングで合いの手がほしいねってエンジニアさんと話しているなかで「さーよいよい!」みたいなのを入れたら、お囃子みたいな感じに仕上がったんです。

――ハシダさんは、こういうポップな曲も作れるんだってびっくりしました(笑)。「KAWAIIハードコア銀河」は、田家さんによる楽曲ですね。

田家 : 初期ビースティ・ボーイズのハードコアぽい感じとか、マイナー・スレットみたいな高速ハードコアみたいな曲がほしくて。でも、ポップさがないとゆるめるモ! じゃないので、ちゃんとサビはポップに仕上げて、三島さん(cinema staff)もすごいかっこいいベース弾いてくれてできた曲ですね。

――この「KAWAIIハードコア銀河」以降、アルバムの流れがガラっと変わっていくような感じがしますよね。

田家 : それまでにポップな方向に耳を広げておいて、ちょっとシリアスな方に転換していったほうがギャップがあっていいかなと思って。「id アイドル」のイントロは激しいんですけど、終わりはすごく切ない気持ちになるんですよね。そこに更に泣かせようと思って「夢なんて」を持ってきて、さらにこれが今作で1番泣ける曲だと思うんですけど「私へ」が来て、「もっとも美しいもの」で美しい景色を見せて、「NNN」で酔わせて甘い眠りに誘い、「Only You」でぶち上げてしまえみたいな感じです。

出典: ototoy.jp

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――後半にいくごとに、物語が動いてく感じがしますね。

田家 : 人の1日みたいな感じで、朝起きて、昼は活動するぞって感じがあって、だんだん夕暮れに近づいて、夜になっていくようなイメージになってます。「Only You」は、暗闇の中で松明を焚きながら原始人たちによる宗教儀式をしているイメージなんですけど、夕暮れ感っていうか切なさは「私へ」っていう曲に詰まってます。アルバム・タイトルの『YOU ARE THE WORLD』って、「君なしの世界は世界じゃない」「 君のいる世界は素晴らしいし、君 = 世界だよ」って意味を込めていて。「逃げろ!!」でもそうですけど、ゆるめるモ! が一貫してやってきたのは、自分を大切にしなさいってことなんです。「私へ」は自分に感謝する曲で、アルバムを聴いた人が「自分に対してありがとう」ってなればいいなって曲なんです。

――〈私でいてくれてありがとう〉ってラインは、じーんときますよね。

田家 : 小林愛ちゃんは狂気みたいなものを持っているんですよね。だから、一筋縄ではいかないというか、弱者に優しい。マイノリティの気持ちが分かるというか、生き辛さを分かってる人なんで、そういう人に寄り添うっていう意味でこういう感じの歌詞が生まれるんだと思います。

――「私へ」は、「Only You」とともに、もう1つ心臓的な曲になってますよね。

田家 : そうですね。サウンド的には電気グルーヴとアンダー・ワールドを組み合わせたイメージです(笑)。フェスでイントロかかった時に泣かせる曲が欲しいなと思って、大星徹くんはこういうの全然聴かないって言ってたんですけど、彼も器用なので、こっちが意図を伝えたらいい感じにメロウに仕上げてくれて、愛ちゃんがそれに乗る泣ける詞を書いてくれたって感じですかね。

――いつもいいですけど、今作の小林愛さんの歌詞はアルバムを体現しているものが多いですよね。

田家 : 愛ちゃんには途中から『YOU ARE THE WORLD』っていうコンセプトを伝えたんですけど、「よいよい」の歌詞に〈音楽は皆を主役にしなくちゃ〉〈音楽が鳴り出すたびに あっというま 自分がこの世の真ん中なんだ〉っていうラインがあって、見事にこのアルバムのコンセプトを言い当てていて、これはどんどん繋がってくぞと思いましたね。

出典: ototoy.jp

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――小林愛さん自身も、窮屈な感じを抱えてる方なんでしょうか。

田家 : うえーいとかリア充とか程遠い人で。ゆるめるモ! のメンバーもそういう子たちだし、すごく気持ちが分かるっていうか、歌詞に関してもゆるめるモ! のメンバーを通して見える世界を書いてくれていると思います。常日頃からメンバーに「これは君たちの歌だ。人からもらった歌ではなく、自分たちの歌だと思って歌いなさい」って言っているんです。みんながいなかったらこの詞は生まれてないんだよって言っていたら、メンバーも最近歌に気持ちをすごくのせるようになってきて。

――歌入れで、メンバーの変化って何か感じたりしました?

田家 : やっぱりでも表現力は増してるなと思いました。もちろん、まだまだだよとは言ってるんですけど、「私へ」みたいなちょっと泣かせる曲は、曲の中に入り込んで、泣かせる歌を歌えてたので、すごく上手くなったなと。

――歌入れにおいて、田家さんがこだわるポイントはどういうところですか?

田家 : 僕は音程を外したとかそういうことを気にするより、歌詞の景色みたいな部分を聴き手に見せてくれればいいと思っていて。上手く歌えていても、全然感情が震えない歌ってあると思うんですよ。そうじゃなくて、ひたすら練習して、できるようになったところで3~5回くらい本気で録らせて、その中から選ぶことが多いです。耳を澄まして聴いて、自分の心に1番刺さるテイクを選んでいます。

――「Only You」は、パッションだったり、原始的な荒ぶる気持ちみたいなものを求めている曲じゃないですか。この曲に関しては、バンドでのレコーディングもされているってところで、他の曲とも成り立ちが違いますよね。

田家 : ハシダさんとも、これは打ち込みじゃなくて、生で録りたいよねって話になって。ドラムが重要だったので張替智広さんにお願いして、ベースも三島想平さんにお願いして、あとはいつもの箱庭の室内楽のメンバーとホーン隊のみなさんが吹いてくれて固まったんですよ。演奏しているときに、箱庭の室内楽の上野翔さんが「ちょっとノイズのせていいですか?」って提案してくれて。ウエノさんはフィードバック・ノイズ・マニアらしく、ものすごくかっこいいノイズをのせてくれたので、ここも弾いてください、ここもって、かなり全編にわたって弾いてもらって、後半も僕がめちゃくちゃボリュームあげちゃって(笑)。普通は絶対にこんなにあげないと思うんですけど、このノイズだけで異世界にトリップさせられると思ったから、ノイズはかなり重要な要素だと思っています。

出典: ototoy.jp

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――この曲はツイン・ドラムで収録されてますよね。赤坂ブリッツでやったワンマンライヴでの編成もツイン・ドラムでしたけど、まさに田家さんの理想的な編成なんですね。

田家 : 要はボアダムスですね。あれをアイドルでやりたいなっていうのがそもそもあったから。こういう曲は、ドラマー2人がトランシーに叩きまくるっていうのがほしかったんですよね。

――12月20日のZepp DiverCity TOKYOを見据えての楽曲が詰まったアルバムでもありますね。

田家 : Zeppでやることが決まったときに、超大作のアルバムを出して、それを生でやろうってことが見えていたんです。だから、ライヴを観に来てほしいし、多くのロック・ファンに届いて〈フジロック〉のホワイト・ステージに出ても遜色ないものをやってるんだよってことを世間に知らしめたいんです。

――本作は、ゆるめるモ! でやりたいことが、トータルの世界感として、すごくポップにわかりやすく伝わってくる作品だなと思いますよ。

田家 : そのためにデザインとかも重要だったんです。ぐちゃぐちゃなジャンルでも、こういうジャケット・デザインだったらまとめられるだろうと思って、ちょっと80年代感のあるサイケデリックな感じでタカハシヒロユキさんにお願いしたんです。そしたら見事にこちらの意図を汲んでくれて、タカハシさんなりの攻め感、未来感を存分に出してくれて。最高のデザインになりました。

――ナカコーさんもTwitterで「国内の音楽は今とても多重な世界だと感じました」って書いていましたけど、アイドルという枠だけで食わず嫌いでいると、音楽の多様性を見失ってしまう時代だと思うんですよね。変な話、ロック・バンドのフォーマットより、こっちの方が全然新しいし、ロックだと思うんです。

田家 : それって本当にそうだと思います。ただ怖いのが、これがかっこいいと思われるのにあと5年かかっちゃうんじゃないかなって。一般のリスナーが言い出すスピードをもっと早くしたいんですけど、どうやれば届くのかなっていうのは考えるところですよね。

――ナカコーさんやハヤシさんのような鋭いアーティストが反応しているってことが、なによりもここにおもしろいものがあるという証拠でもあると思うんですよね。ちなみに、メンバーは本作をどう感じているんでしょう。

田家 : さすがにこれだけの奇作が手元に届いて、すごいことやっているかもという自覚は芽生えてきているみたいで、この音楽を届けるのは自分たちなんだと思っているようです。

――田家さんがこの作品を完全自主製作でやりきったことは、今後どういう道を進むかは置いておいて、大きな意味があると思います。ゆるめるモ! のステートメントを身をもって示した金字塔的な作品になると思います。
田家 : だからこそ多くの人に届けたいなって思うんですけどね。たくさんの人に伝わるといいなと思います。

出典: ototoy.jp

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