ゆるめるモ!(You'll Melt More!)の徹底解説まとめ

ゆるめるも!(You'll Melt More!)とは、フリーライターの田家大知がももいろクローバーの「ピンキージョーンズ」に触発されて、「辛い時は逃げてもいいんだよ」をテーマとして自ら街頭でスカウトして集めてきたメンバーで結成された女性アイドル・グループ。名前の由来は「(窮屈な世の中を)ゆるめる」というメッセージと「You'll melt more!(あなたをもっとトロけさせたい)」という2つの意味が込められている。

2014年

1月22日:箱めるモ!

箱めるモ!
名義:ゆるめるモ!×箱庭の室内楽
参加メンバー:けちょん、ゆみこーん、もね、しふぉん、ようなぴ、ゆいざらす、あの、ちーぼう
発売日:2014年1月22日
レーベル:T-Palette Records
規格:ミニアルバム

収録曲
01. manual of 東京 girl 現代史
02. 木曜アティチュード
03. 虎よ
04. 私と私と私と私と私と私と私と私と
05. おこしてしまった?
06. さよならばかちゃん
07. manual of 東京 girl 現代史 (Instrumental)
08. 木曜アティチュード (Instrumental)
09. 虎よ (Instrumental)
10. 私と私と私と私と私と私と私と私と (Instrumental)
11. おこしてしまった? (Instrumental)
12. さよならばかちゃん (Instrumental)

ロック・バンド「箱庭の室内楽」とのコラボレーション・アルバム。また、ゆるめるモ!が8人体制になってからの初の作品。

タワーレコードが設立したアイドル専門レーベル「T-Palette Records」からリリースされた。

元々は、箱庭の室内楽のギター、ヴォーカル担当のハシダカズマが企画した「廃病院パーティー(第1回が2013年6月29日、第2回が同年12月14日、第3回は本作リリース後の2014年9月6日。場所は初台玉井病院スタジオ)」にゆるめるモ!が出演したことがきっかけとなっている。

同イヴェントには田家氏の好きなバンドが多く出演していることもあり、田家氏側からゆるめるモ!も出演させてほしい、という連絡をハシダ氏に取ったのだが、その際に田家氏とハシダ氏の音楽の趣味が似ていることで両者が意気投合。ゆるめるモ!の同イヴェント出演後に、今度はハシダ氏側から楽曲提供の申し出があったことで本作の制作が始まった。

当初は1曲のみの提供予定だったが、多くの曲が出来てしまい、そのどれもが捨てがたく良い曲だったため、ミニ・アルバムという形でのリリースになった。

前出のように出来上がった曲がどれも素晴らしかったため、ハシダ氏と田家氏の間で盛り上がり、作詞を依頼された小林氏の手元には1度に5曲も送られてきた。

小林氏:先日、ゆるめるモ!×箱庭の室内楽「箱めるモ!」というCDが発売されました。ゆるめるモ!さん、ハシダさん、箱庭の室内楽さん発売おめでとうございます。私は、この中で5曲歌詞を書かせていただきました。とっても好評なようで私もすごく嬉しいです。インストアライブもたくさんあるようなので気になる方はぜひ遊びにいかれてはいかがでしょうか。レコード店での展開もすごく大きいようなので私も見にいこうかな。
短期間で5曲も歌詞を書いたことがないので、とても勉強になりました。がんばって書くのは底辺レベルで当たり前のことで、必ず人の心に刺さるものを作らなければならないしこの先何十年も聞いてもらえる名曲にするために私の出来ることは全部するつもりで製作しました。出来ているといいよなあ…私の作る物で今、楽しんでほしいし将来出会ったことを自慢できるような作品を作りたいです。
今年は歌詞以外の作品もたくさん書いていきたいです(ひどもやま日記:2014年1月31日)。

その5曲をまとめあげるのにふさわしい曲がオープニングに必要ということで、追加で「manual of 東京 girl 現代史」が制作されている。

表ジャケットはアメリカのロック・バンド「Weezer」のデビュー・アルバム「Weezer」のオマージュ。

裏ジャケットはイギリスのロック・バンド「Gang of Four」のデビュー・アルバム「Entertainment!」のオマージュ。

2014年8月6日「Real Sound」に掲載されたインタビューより。

――「箱めるモ!」では、箱庭の室内楽とがっつり共演しましたが、あのきっかけは?

田家:僕は早めにアイドルでペイヴメントみたいなUSインディーロックをやりたかったんです。そこで箱庭の室内楽のハシダカズマさんに会ったら、話が合いすぎて、やりとりしてたら、最初1、2曲の予定が6曲もできたんです。

――あのアルバムだけT-Palette Records(タワーレコード傘下のアイドル専門レーベル)からリリースされたのは?

田家:いい作品だと確信したので、もっと多くの人に聴かれるレーベルから出したくて、タワーレコードの嶺脇育夫社長に「企画盤として出していただけませんか?」とメールをしたんです。

――「箱めるモ!」のジャケットはウィーザーの「ウィーザー」のパロディですね。

田家:ノイ!よりはもうちょっとわかりやすいものがいいかと思って。あの6曲を聴きながら、青春っぽい水色とウィーザーのジャケットが浮かんだんですよね。裏ジャケのギャング・オブ・フォーの「エンターテインメント!」のパロディは、アイドルとバンドの握手ということで。

出典: realsound.jp

「Weezer」の表ジャケット。

「箱めるモ!」の裏ジャケット。

「Entertainment!」の表ジャケット。

*箱庭の室内楽(はこにわのしつないがく):2006年、bolbots というギター・バンドの中心メンバーによって結成される。同年にデビュー・アルバム「箱庭の室内楽」、翌年にミニアルバム「幾何学的カーニバル」をリリース。
いずこねこのワンマンライヴでバックバンドを担当したり、ハシダカズマはlyrical school や泉まくらへ楽曲を提供したり、「「廃病院パーティー」というイヴェントを企画したりと多方面で活動している。
ちなみに、いずこねこの主演映画「世界の終わりのいずこねこ」にはクラスメイト役でしふぉん、ようなぴ、あのの3人が出演している。

箱庭の室内楽「Terra」。

Weezer(ウィーザー):アメリカのロック・バンド。1992年2月14日結成。パワー・ポップ・ブームの火付け役であり、当初は「泣き虫ロック」と評されていた。
デビュー・アルバムのタイトルはグループ名と同じ「Weezer」であるが、実は彼らは「Weezer」と題されたアルバムを4枚もリリースしており、便宜上、ジャケットの色をとってそれぞれ「The Blue Album」「The Green Album」「The Red Album」「The White Album」と呼ばれている。ゆるめるモ!がオマージュしたのは「The Blue Album」。

Weezer「Buddy Holly」。

*Gang of Four(ギャング・オブ・フォー):イギリスのポスト・パンク・バンド。1977結成。1984年に解散しているが、199年、及び2004年に再結成している。ゆるめるモ!がオマージュした彼らのデビュー・アルバム「Entertainment!」は評価の高いロック名盤の1枚に挙げられている。
ちなみに「Gang of Four」とは、中華人民共和国(中国)の文化大革命を主導した江青、張春橋、姚文元、王洪文の4名のこと。

Gang of Four「Ether」。

2014年3月8日、ゆるめるモ!のオフィシャル・サイトに掲載された、小林愛のインタビューより。
インタビュアーはゆるめるモ!卒業生ののんちゃん。

ゆるめるモ!の歌詞のほとんどを手がけ、その独特のワードセンスが評判の小林愛。
でも、作詞のスタンスは謎、詞世界は独特で難解…?
新作のアルバム『箱めるモ!』で全6曲中5曲の作詞を手がける彼女に、元ゆるめるモ!メンバーで、プライベートでは愛さんと“カレー友達”を自負するのんちゃんが迫ります!

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

ゆるめるモ!ファンのみなさん、そしてそうでないみなさんも、こんにちは。元ゆるめるモ!メンバー・のんです。
今回、ゆるめるモ!(以下、モ!)と箱庭の室内楽さんのコラボアルバム『箱めるモ!』のリリースを記念して、作詞を担当している愛ちゃんこと小林愛さんにインタビューをさせていただきました!

モ!のライブに足を運んでくださっているファンの方々のなかには、愛さんのことをご存知の方もいらっしゃると思いますが、愛さんは以前、miamiというバンドで活躍されていました。miamiさんはニューウェーブガールズユニットで、海外でライブを行っていました。モ!が歌う『エース』と『白玉ディスコ』は、miamiさんのカバーをさせてもらっているのですヨ。

さて、今回リリースの『箱めるモ!』。曲はもちろん、歌詞もとっても評判!こんなに素敵な歌詞を書いてくれる愛さんのことを、モ!ファンのみなさんをはじめ、たくさんの人に知ってもらうべく、この度“インタビュアーのん”として、みなさんのもとへ愛情を込めてお届けします。

みんな、やっと愛さんのヒミツが聞けちゃうよ?
のんと一緒に愛さんの世界にどっぷり浸りましょう!

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

小林愛

作詞家、文筆家、ゆるめるモ!“ほぼ専属”作詞家

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

(のん)miamiでは、愛さんが歌詞を考えて、愛さん自身が歌っていました。自分が歌う歌詞と人に提供する歌詞では、なにか違いのようなものはあるんでしょうか?

(愛)自分が歌う歌詞と人が歌う歌詞では、作り方が全く違います。miamiのときは、私が書いた歌詞は私が一番ちゃんと歌えるから、全く何も気にせずに全開でやろうと思って歌詞を書いていました。歌詞を人に理解されたいとも思ってなかったし、自分で歌うわけだし、自分が使わない言葉とか言い回しは絶対使っていませんでしたね。
でも、あるとき、知らないバンドが『エース』をコピーしている映像を見たんです。それが初めて私が書いた曲を他人が歌っているのを見た経験でした。それが、「なんだかとても変だな」と…。その人たちが変なんじゃなくて、私の歌詞が攻撃的すぎるからなんだと思います。私が歌うために書いた歌詞だから、私ではない人が歌っていると違和感がありすぎて驚きましたね。私の歌を人が歌うのって厳しいんだなって思いました。それからは、人が歌う歌詞というものを意識するようになりましたね。

(のん)モ!の作詞はどうしているんですか?

(愛)モ!の曲は、基本的には先に歌詞についてオーダーがあるから、それを膨らませたり全く違うものにしたりして書いています。今まで自分で歌っていた歌詞とは逆に、私が普段あまり使わない言葉をわざといれたりもしていますね。自分しか見ない日記書くのと、人に見せるブログくらいの差があります。“人に見られることを前提にするかしないか”っていうことの違いがあるのかな。
アーティストって、自分の感覚とかセンスが一番素晴らしいと思って作品をつくっているのかもしれないけれど、私の場合は、やっぱり人に書く歌詞はあまり自分のセンスは信じないようにして書いています。よく、「個性的な歌詞だね」っていわれるけど、誰が書いてもその人が書けば個性的なものになるんじゃないかなと。でも、それってほんとはよくないことだと思うんです。プロの作詞家は計算して、個性を出さない。アクが強いことって、あんまりよくないことなんじゃないかなって思います。自分のセンスを信じて、全開で書くと絶対ダサくなると思う。だって私、センスいい人じゃないし。だから、あまり自分を信じないようにして書いています。センスがいいなんて、自分でもあんまり思ったことないし、やっぱりあんまり信じちゃいけないなって思って、なるべく客観的に書いていますね。

(のん)「センスを信じてない」といっても、愛さんの歌詞は、超絶“愛さんらしさ”がありますが?

(愛)モ!の歌詞は、“真実を書く”ようにしています。ある事実を歌詞に書いているだけだから、私の感覚とかはできるだけ排除してるんですね。だからといって個性ゼロで書こうとは思っていません。私に歌詞を依頼してくれるのは、やっぱりどこかで私っぽい歌詞を書いてほしいっていうのが前提だから、なるべく普通のアイドルさんが歌わないようなもの、っていう意識は常にありますね。
例えば「青春」って言葉一つとっても、私なんか、もうリア充死ねって感じの青春時代を送ってきたから(笑)、青春って言われても全くピンと来ないんです。でも、みんながみんな私みたいなわけではないし。だから私のフィルターを通すことで個性って出ると思うけれど、基本的には客観的な歌詞を書いていて、それでも印象に残るようにちょっと変わった感じの方がいいかなっていつも思って書いています。

(のん)メンバーのことを想像しながら書いたりもしますか?

(愛)メンバー一人ひとりの個人的な部分は、私には多分理解できないことが多いと思います。違う人間だし考え方も境遇も違うから。それでも、たぶん共通するものも絶対にあるんですよね。ステージに立ってパフォーマンスをするということだけでも、私は同調できる部分がかなりあるわけです。ステージ上で心の動きなんて、すごく想像できちゃう。自分で決めてステージに立っているんだから頑張らなきゃいけない……でもやっぱり……って気持ち。そういう気持ちをどうしたいとか、どうしてほしいっていうのはすごく理解できる部分はありますね。だから、彼女たちのその隙間を埋められたらいいなって思っています。
やっぱり同じ女性だからわかる部分も多いのかもしれない。男性にはわからない部分って年頃の女の子にはやっぱりあると思うから。「宇宙に比べたら、あなたの悩みなんて小さいよ」なんて男子的な答え、そんなのわかっているものね。欲しいのはそうじゃないんだよなあ…っていう複雑な気持ちが女の子にはある。キレイ事はもうわかるから、それ以外の言葉で慰めてほしいんだけど!って気持ち。結局、ひねくれているんだと思います(笑)。キレイ事万歳なときもあるけど、そういう歌は他の人たちが歌っているから。たぶんもっとそれを素敵に歌う人がいるから、モ!は歌わなくていいんじゃないかなと思っています。

(のん)そう聞くと、ますますモ!の作詞は大変そうですが、これは書きやすかった、これは大変だったとかありますか?

(愛)私の中の真骨頂は『ゆるめるモん』のような歌詞です。うまいこといったなあ、と思っています。
モ!の歌詞だから書くのが大変ってことはないけれど、『逃げろ!』と『なつ おん ぶる ー』は大変でしたね。
『逃げろ!』は、メンバーたちがパフォーマンスをしてくれて一番ハマったと思います。私はこの曲はあまり得意なジャンルじゃなかったから、書くのがすごく大変でした。でもライブを観たら、曲と歌詞とパフォーマンスが一番よく形になっていて、そこにお客さんの盛り上がりも乗っかって、感動的になってた。ちなみに私自身、「地獄みたい」って口癖なんですよ。すぐ、「こんな辛いの地獄みたいだ」って思う。だからすごく自然な、素直な言葉ですね(笑)。

(のん)では、『箱めるモ!』について。曲は箱庭の室内楽さんが全曲を担当、愛さんは全6曲中5曲を作詞されました。初めてのコラボはどうでしたか?

(愛)最初は本当に緊張しました。箱庭の室内楽は、ハシダさんが歌詞を書いていて、箱庭の室内楽のファンの人たちはそれがいいわけですよね。そのファンの人たちが私の歌詞を聞くって本当にどうしようって思いました。ハシダさんの歌詞よりもいい歌詞を書かないとコラボの意味がないと思って、すごく悩みました。だけど、途中で「まいっか」って(笑)。悩んでても書けないし、ハシダさんと似ている歌詞を書いても意味がないと思って、もう誠意をつくすのみって思って書きあげました。
リリースされてみると、とっても評判がよいし、ライブに行ってCDが目の前でバンバン売れていくのを見て、やっと肩の荷が降りたというか、ほんとに安心しました。それで報われたと思いましたね。

(のん)特に印象的なタイトルについても聞かせてください。

(愛)タイトルは毎回けっこう気にしています。とにかく普通じゃない感じがいいだろうと。私なりに、youtubeにアップすることを考えて、「なにこれ?」みたいな反応になるように、すごく頑張って変わったタイトルにした曲もあります。MVになるって聞いていた曲は特に、検索ですぐひっかかるように意識しました。ネットで初めて見る人も、「えっ、なにこの曲? 聞いてみたい」ってインパクトを与えられるといいなと思って。

(のん)それでは、一曲ずつ歌詞の解説というか、作詞エピソードなども交えて聞かせてください。

1. manual of 東京 girl 現代史
この曲は個人的に一番気に入っています。うまくいったな?って。この曲だけ締切の1週間前くらいに送られてきたから、矢のように仕上げました。曲がいいから、歌詞はあっという間に完成しましたね。曲が送られてきたときがバスの中だったので、バスの中で聞いたんですが、聞いた瞬間サビが思いつきました。だから「こいつは早いぞ」って思って、あとは埋めていくだけでしたね。

3. 虎よ
私の場合、サビが一番ドラマチックで書きやすいからいつもサビから書き始めるんですが、この曲だけは頭から書き始めました。最後の三行くらいのところまできたときに最後のオチを思いついたんですけど、そのときは自分で「おお!」ってなりました。うまいこと言ってやりましたね(笑)。
ちなみに、この曲は、『デビルマン』のオープニング映像みたいな色彩イメージで書きました。

4. 私と私と私と私と私と私と私と私と
この曲は最初、「盗んだバイクで走り出そう」ってタイトルにしていました(笑)。“青春っぽい曲”っていうオーダーがあって、青春と言えば尾崎豊だろうと。でも女の子ってバイクとか盗まないじゃないですか(笑)。尾崎って一人だったし、男の子ってかっこつけるところってあるじゃないですか。そういうのって女の子にはわからないな、と思って。でも女の子ってそういうところも憧れちゃうんですけどね。
この曲と、『おこしてしまった?』は、とにかくラップの部分が大変で時間がかかりました。

5. おこしてしまった?
これはもう、曲の持つ世界が濃いからすぐに書き上がりました。「そうだ、全部ひらがなにしよう!」って思いついたとき、やった!と思ったんですけど、そのことを言ってくれる人はあんまりいませんね(笑)。最初、タイトルも『起こしてしまった?』って漢字だったんですけど、最後にお願いして直してもらいました。
メルヘンぽい曲だし、オーダーも一切なくて割と得意ジャンルでした。語りの部分も、一日でスラスラって何も考えずに書きましたね。書いていて楽しかったです。イメージは、女の子がいてのんびりひなたぼっこしてる。でもやっぱりひねくれた心があるから、昼寝だけはさせないぞ、って。だからちょっとエッヂが効いてる言葉が出てくるのかもしれませんね。

6. さよならばかちゃん
……あんまり書いたときの記憶がないですね(笑)。この曲って、たぶん聞いてくれた人たちの反応が一番いいんですよね。たぶんそれがすべてだと思います。いろんな気持ちで聞いてくれているんだろうと思っています。曲ありきの歌詞だと思うから、曲の雰囲気で書きました。
タイトルはどれも悩むけど、これはすごく悩みました。でも親父ギャグみたいなものですね(笑)。

(のん)ありがとうございます! こうやって一つずつ聞くと、また曲への興味が深まりますね。ところで、愛さんは何回かモ!のリリイベも見てますよね。アルバムが出たことにすごく安心したって言ってましたけど、実際にライブを見てどうでしたか。

(愛)すごい良かったです。評価も上々で。でも、その評価は私に直接返って来るものではないんですよね。私は歌詞を書いているだけだから。やっぱりそういう意味での充実感、満足感は個人でやってる方が大きいのは確かです。それでも、みんなと一緒に作業するのって、とっても素晴らしいことだと思います。みんなでやったんだなって達成感と喜びがあります。一人でやるよりたくさんの人に関わってるわけだから、中途半端なことは書けないし、自分のやれることを精一杯やらなきゃいけないし、なによりメンバーはじめ、関係者さんみんなが同じ気持ちでやっているわけですからね。そういう責任のなかで一つのものを作れる喜びは、また別物です。
とはいえ、私個人の活動では届かないような方々に、モ!を通じてたくさん届けられるし、私の歌詞が、私の歌詞以上に広がっていってるなって感じられるのは、すごく嬉しいです。
ハシダさんが曲を書いて、そのバトンを私が貰って歌詞を書いて、またそのバトンをメンバーに渡す。バトンを受け取ったメンバーはステージでパフォーマンスをする。そういうのはすごく素晴らしいと思う。それがちゃんとできたな、達成したな、ってライブで思えるとすごく感動します。

(のん)愛さんって、モ!のお母さんみたいな感じもしますし、ファンなのかなって感じもします(笑)。メンバーのことをどういう風に見ているのか教えてください。

(愛)ライブに行く前は、「厳しい目でダメ出ししてやるぞ!」って思っていますよ。歌詞が間違って世の中に出るなんてあってはならないと思うし、全部チェックしようと思って準備して行くんですけど、結局行くと忘れちゃうんですよね。現場に入ると、「これはお客さんと一緒になってライブを楽しまなければ!」となっちゃって。今はもう、純粋に楽しむためにライブに行ってます(笑)。
メンバーのことは、すごく尊敬しています。単純に、歌詞を憶えて歌いながら踊ってすごいなって思います。忙しいなか、ライブもあんなに数をこなしてるし。物販まで考えるとワンステージと言ったって、とても長いじゃないですか。私にはできないことだと思います。作り手といったって、彼女たちが歌うからお客さんはみんな聞いてくれるわけで、私だけじゃここまで人に届けさせることはできないですよ。だから、彼女たちを尊敬しています。

(のん)最後にもうひとつ。そんなにメンバーに愛情や尊敬を感じながら、愛さんはあんまりメンバーとお話ししてないですよね?この機会にメンバーへのコメントもお願いします。

(愛)そうだね。意識的に、あんまり仲良くならないようにしていますね。私は歌詞を書いているスタッフなわけだから。メンバーと私に個人的な関係ができると、メンバーが私に気を遣ったりすることもありそうでしょ? そういうのっていやだなって思います。私との時間をとるくらいなら、お客さんと関わる時間を取ってほしいと思う。それって、メンバーのためでも私のためでもお客さんのためでもあるなって思います。みんなのこと好きだから、メンバーの一人だけと話すとかもできないですし。一人に話したら8人に同じくらい話しかけなきゃって大変だもん(笑)。モ!のメンバーは1人1人が個性的で単体で目立っていて素晴しいと思うから、その魅力を最大限に活かして『ゆるめるモ!』で一つになって欲しいと思っています。人から褒めていただいた時は素直にうけとめ調子に乗ったらいいと思います。調子に乗ることも才能ですからね。もっと褒めてほしいのであれば、そこから努力したらもっと評価されるもの。出来ないことを頑張るのではなくて、出来ることは全部してみようというつもりで、楽しく頑張ってほしいと思っています。でも、一つ心配なのは、いつもみんなが薄着な気がすること(笑)。風邪をひかないように十分気をつけて頑張ってほしいです。

(了)

あとがき

今回愛さんにインタビューして、愛さんは制作からパフォーマンスまで一人で行なう厳しさも喜びも知っているからこそ、みんなでつくる喜びも強く感じるのだろうなと思いました。メンバーの個人的なことを知らなくても、とっても大きな視点で物事を捉える才能があるので、メンバーもヲタさんたちも共感できる歌詞が生まれるんだろうなと思います。
のんは、ひどもらー(愛さんのブログ『ひどもやま日記』のファン)なので、愛さんのいちファンでもあるわけです。今回のインタビューで、ゆるめるモ!作詞家としての愛さんのこともみなさんに伝わったらいいなと思います。
次回も(?)お楽しみに!

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

インタビュアー:のんちゃん
元ゆるめるモ!創設メンバー。
某私立大学に通う花の現役女子大生。お酒と寺山修司がすき。
モ!卒業後は最古参としてヲタ活中。

出典: ylmlm.net


楽曲概説

01. manual of 東京 girl 現代史
作詞:小林愛
作曲:ハシダカズマ
編曲:ハシダカズマ
Guitar&Bass&Programming&other Instruments:ハシダカズマ

全体をまとめあげるのにふさわしい曲がオープニングに必要、ということで追加で制作された楽曲。

ハシダ氏は今までに四つ打ちの楽曲を制作したことがなく、とても苦労したと語っている。

作詞を手掛けた小林氏は、自分でも歌詞を書いているハシダ氏の楽曲に歌詞を載せることに対してプレッシャーを感じていたが、この曲に関してはスラスラと書くことが出来たと語っている。

小林氏:この曲は個人的に一番気に入っています。うまくいったな?って。この曲だけ締切の1週間前くらいに送られてきたから、矢のように仕上げました。曲がいいから、歌詞はあっという間に完成しましたね。曲が送られてきたときがバスの中だったので、バスの中で聞いたんですが、聞いた瞬間サビが思いつきました。だから「こいつは早いぞ」って思って、あとは埋めていくだけでしたね(ゆるめるモ!オフィシャル・サイト:2014年3月8日)。

小気味の良いギター・ポップで、まさにこのミニアルバムを紹介する内容の楽曲。
ギター以外の演奏は打ち込みだと思われるが、そのギターがバックで結構忙しなく飛び回っている。

02. 木曜アティチュード
作詞:DOTAMA
作曲:ハシダカズマ
編曲:ハシダカズマ
Guitar&Bass&Programming&other Instruments:ハシダカズマ

*DOTAMA(どたま):日本のヒップ・ホップ・アーティスト。現在は活動休止中のバンド「FINAL FRASH」のヴォーカリストでもある。

DOTAMA。

逆回転の映像のみで制作されたミュージック・ヴィデオがあるが、これはヒップ・ホップ・グループ「The Pharcyde(ファーサイト)」の楽曲「Drop」へのオマージュ。

まさに脱力系のゆるゆるラップ。ラップ、というよりも女の子たちによる会話を少々リズミックに仕立て上げたような、親密なキュートさがあり、時としてガールズ・トークに聞き耳をたてて「うんうん、そうだよな、わかるわかる」と思えてしまうような内容のライムになっている。

ゆるめるモ!「木曜アティチュード」。

The Pharcyde「Drop」。

03. 虎よ
作詞:小林愛
作曲:ハシダカズマ
編曲:ハシダカズマ
Guitar&Programming:ハシダカズマ
Guitar:上野翔(箱庭の室内楽)
Bass:本田琢也(箱庭の室内楽)
Drums:ヤノアリト(TACOBONDS.H MOUNTAINS)
Percussion:松本暁雄(箱庭の室内楽)

勢いのあるロック・ナンバー。深いリヴァーヴとディストーションのかかった浮遊感のあるギター・サウンドはシューゲイザー的。

ミュージック・ヴィデオではメンバー全員がギターを演奏しており、実際のライヴではあのがギターを披露することもある。

イントロがちょっとレベッカを思い起こさせる、マイナー調のロック・ナンバー。

前の曲の脱力系から、いきなりパワフルなロックに転身する振り幅の大きさはゆるめるモ!の魅力の一つだろう。また、1、2曲目の打ち込み主体の演奏から、生のベース、ドラムスを使用した演奏はバンド感に溢れており、楽曲の良さも含めて出色の出来になっている。

現実逃避的な歌詞も秀逸で、特に「部屋からは出~たくない、出~たくない」と繰り返されるコーラスは胸に迫るものがある。

小林氏:私の場合、サビが一番ドラマチックで書きやすいからいつもサビから書き始めるんですが、この曲だけは頭から書き始めました。最後の三行くらいのところまできたときに最後のオチを思いついたんですけど、そのときは自分で「おお!」ってなりました。うまいこと言ってやりましたね(笑)。
ちなみに、この曲は、『デビルマン』のオープニング映像みたいな色彩イメージで書きました(ゆるめるモ!オフィシャル・サイト:2014年3月8日)。

ゆるめるモ!「虎よ」。

04. 私と私と私と私と私と私と私と私と
作詞:小林愛
作曲:ハシダカズマ
編曲:ハシダカズマ
Guitar&Programming:ハシダカズマ
Guitar::野翔(箱庭の室内楽)
Bass::田琢也(箱庭の室内楽)
Drums:ヤノアリト(TACOBONDS.H MOUNTAINS)
Percussion:松本暁雄(箱庭の室内楽)

小林氏:この曲は最初、「盗んだバイクで走り出そう」ってタイトルにしていました(笑)。“青春っぽい曲”っていうオーダーがあって、青春と言えば尾崎豊だろうと。でも女の子ってバイクとか盗まないじゃないですか(笑)。尾崎って一人だったし、男の子ってかっこつけるところってあるじゃないですか。そういうのって女の子にはわからないな、と思って。でも女の子ってそういうところも憧れちゃうんですけどね。
この曲と、「おこしてしまった?」は、とにかくラップの部分が大変で時間がかかりました(ゆるめるモ!オフィシャル・サイト:2014年3月8日)。

ジャケットでオマージュしている「Weezer」を思い起こさせるギター・パワー・ポップ。
この曲も打ち込みではなくバンド演奏主体の演奏であり、そこに脱力系のラップと、そのラップにキュートなコーラスが絡んできて、ゆるめるモ!と箱庭の室内楽による見事な化学反応を披露している。

05. おこしてしまった?
作詞:小林愛
作曲:ハシダカズマ
編曲:ハシダカズマ
Guitar&Bass&Programming&other Instruments:ハシダカズマ

小林氏:これはもう、曲の持つ世界が濃いからすぐに書き上がりました。「そうだ、全部ひらがなにしよう!」って思いついたとき、やった!と思ったんですけど、そのことを言ってくれる人はあんまりいませんね(笑)。最初、タイトルも『起こしてしまった?』って漢字だったんですけど、最後にお願いして直してもらいました。
メルヘンぽい曲だし、オーダーも一切なくて割と得意ジャンルでした。語りの部分も、一日でスラスラって何も考えずに書きましたね。書いていて楽しかったです。イメージは、女の子がいてのんびりひなたぼっこしてる。でもやっぱりひねくれた心があるから、昼寝だけはさせないぞ、って。だからちょっとエッヂが効いてる言葉が出てくるのかもしれませんね(ゆるめるモ!オフィシャル・サイト:2014年3月8日)。

楽曲、歌詞、メンバーの歌唱、これらが三位一体となって「ゆる~い」脱力世界を見事に繰り広げている。まるで透明な虹色が映えるシャボン玉の中に入って、ゆらゆらと宙を舞っているような心地にさせてくれる。

バンド主体の楽曲が2曲続いた後に、打ち込み主体の楽曲が再び現れるのだが、違和感は全くないのは、やはり主役となっているのがゆるめるモ!のメンバーによる歌唱、というか「声」だからだろう。

素敵なメロディが随所に散りばめられている楽曲も素晴らしいが、モノローグを交えた小林氏の歌詞は(唯一無二という意味で)ユニークであり、ゆるめるモ!の世界観の構築に大きく貢献している。

06. さよならばかちゃん
作詞:小林愛
作曲:ハシダカズマ
編曲:ハシダカズマ
Guitar&Bass&Programming&other Instruments:ハシダカズマ

小林氏:……あんまり書いたときの記憶がないですね(笑)。この曲って、たぶん聞いてくれた人たちの反応が一番いいんですよね。たぶんそれがすべてだと思います。いろんな気持ちで聞いてくれているんだろうと思っています。曲ありきの歌詞だと思うから、曲の雰囲気で書きました。
タイトルはどれも悩むけど、これはすごく悩みました。でも親父ギャグみたいなものですね(笑)(ゆるめるモ!オフィシャル・サイト:2014年3月8日)。

この楽曲も「Weezer」を思い起こさせる、甘酸っぱい感じのギター・パワー・ロック。

この楽曲だけでなく、本作全体に言えるのだが、作詞の小林氏のセンスのユニークさ、作・編曲のハシダ氏の能力の高さ、それらを受け止めて、自分達の表現方法で見事に昇華、披露しているゆるめるモ!、この三つががっぷりと組み合わさった結果、本当に素晴らしい作品に仕上がっている。売上や世間の認知度はいま一つかも知れないが、「ゆるめるモ!×箱庭の室内楽」のコラボレーションは大成功に終わっている。

ゆるめるモ!「さよならばかちゃん」。

yamada3desu
yamada3desu
@yamada3desu

目次 - Contents