【あのちゃん】ano率いるパンクバンドI’s（アイズ）の魅力を徹底解説

パンクバンドI’s（アイズ）の概要

まずはバンドI’s（アイズ）に関する基本情報をまとめておこう。当バンドの結成は2021年。男女4人組により構成されるパンクバンドである。

【メンバー】
・ano（Gt.Vo.）
・中山卓哉（Gt.）
・キッチン前田（Ba.）
・畝鋏怜汰（Dr.）

アーティストanoについて

当バンドのボーカルとギターを担当するのはano（年齢非公表）。「あのちゃん」の呼称で広く親しまれ、タレント、女優、モデルとマルチに活動する彼女は、ano名義にてソロの音楽活動にも励んでおり、最近ではTVアニメ『チェンソーマン』の第7話エンディング曲に抜擢されたソロ曲『ちゅ、多様性』のヒットにより一層注目を集めている。

2019年9月まで女性アイドルグループ「ゆるめるモ！」の一員として活動していたあのは、当時からその唯一無二のファッションや言動により一際高い人気を得ていた。中には彼女の髪型や服装を模倣する「あのギャル」なる女性ファンまでいたのだという。

テレビタレントとしてその独特な話し方や言動が注目されがちな彼女だが、実はアーティストとしても精力的に活動しており、ソロ活動、バンド活動ともに多くの楽曲の作詞作曲を手がけている。
テレビタレントの「あのちゃん」という特徴的なキャラクター、そしてアーティストanoとしてのクリエイティブな一面。さまざまな表情をあわせ持つ彼女だからこそ、アイドル時代から変わらず多くのファンの心を深く捉えて離さない、比類なきパワーを持つのだろう。そんな彼女の描く音楽世界は、いったいどのような多彩な色合いに満ちているのだろうか。ここからはパンクバンドI’sの楽曲について、アーティストanoの紡いだ歌詞に着目しながら紹介する。

I’s（アイズ）を知るならまずこれを聴け！おすすめ3曲を解説

①DON't COMMIT SUICIDE

I’sにハマりたいのなら、まずはこの曲を聴かなければ始まらない。DON't COMMIT SUICIDE…「死ぬな！」という強烈なメッセージが含まれた当楽曲は、2021年8月にリリースされたI’sのデビューep『DON't COMMIT SUICIDE』の表題曲である。作詞はあの、作曲はあの, 中山卓哉。

リズミカルなメロディーにどこか中毒性のあるano特有の歌声がぴたりとハマる、なんともキャッチーな一曲であるが、注目すべきは非常にメッセージ性の強いその歌詞である。運命を信じず夢を持たず眠れない夜が続く主人公は、それでも”自分らしく”生きることだけは諦めようとしていない。劣等感と葛藤にまみれたやるせない想いは、しかし決して絶望だけで終わることはなく、”今日を生きる”希望へとつながっていく。

積み重ねたマイナス感情が一気に爆発し大きなプラスへと変わるその様は、anoがアイドル時代からライブ会場でよく見せていた、振り切れた感情を一息に放出するような魅せ方を彷彿とさせる。日常の中で小さく降り積もる怒りや苛立ち、そしてその奥にひそむ「自分らしく生きたい」という切実な願いを見事に表現した、いかにもあのらしい一曲である。

②はっぴーえんどろーる

当楽曲は、2022年8月にデジタル配信リリースされた2nd ep『不毛戦争』の収録曲である。作詞はあの、作曲は中山卓哉。疾走感溢れる跳ねるようなリズムに、あのの持つどこか内省的な、それでいて明るく語りかけるような独特の雰囲気がぴったりとハマっている。

どうしようもない孤独や生きづらさを持て余しながらも「ハッピーエンド」に手を伸ばし続けることを忘れない。これこそまさに、独特の世界観を大切に守ってきた表現者anoがアイドル時代から貫き通してきた姿勢なのではないか。ネガティブとポジティブが見事に共存しているこの曲は、同じく生きづらさに悩む人の心に強く響くだろう。

③僕の春

『僕の春』は、2021年8月にリリースされたCD作品『DON't COMMIT SUICIDE』の収録曲。作詞はあの、作曲はあの, 中山卓哉。さらにはバンドメンバーと以前から親交の深いという映像監督、加藤マニ氏がMV監督をつとめており、リリース当時はビデオ映像の個性溢れる世界観も相まって大きな注目を集めた。

「春の歌」であるからといって、ポップで希望に溢れた世界観を期待してはいけない。そう、春とは希望の季節であると同時に、新たな道への不安や葛藤の時期でもあるのだ。この楽曲では、そういった若者特有の不安感や地に足がつかないおぼつかなさが、日常に即した共感性の高い歌詞により見事に表現されている。直接寄り添ってくれるようなこの親しみやすさ、そしてからりと明るい優しさは、若者を中心にカリスマ的人気を誇るインフルエンサー「あのちゃん」だからこそ紡げる世界なのではないだろうか。