ゆるめるモ!(You'll Melt More!)の徹底解説まとめ

ゆるめるも!(You'll Melt More!)とは、フリーライターの田家大知がももいろクローバーの「ピンキージョーンズ」に触発されて、「辛い時は逃げてもいいんだよ」をテーマとして自ら街頭でスカウトして集めてきたメンバーで結成された女性アイドル・グループ。名前の由来は「(窮屈な世の中を)ゆるめる」というメッセージと「You'll melt more!(あなたをもっとトロけさせたい)」という2つの意味が込められている。

ゆるめるモ!初ワンマン&のんちゃん生誕祭 ゆるすぎちゃったらごめんなさい!
名義:ゆるめるモ!
参加メンバー:けちょん、のんちゃん、ゆみこーん、もね、いっちー (SPECIAL GUEST)
発売日:2013年6月1日 ライヴ会場物販50枚限定リリース
レーベル:You'll Records
規格:DVD

収録曲
01. エース
02. DO FUFU
03. 自己紹介ラップ
04. 逃げろ!!
05. ひものちゃん (いっちーソロ)
06. ゆるゼロ (生演奏)
07. ゆるモニ (生演奏)
08. ゆるレス (生演奏)
09. ゆるめるモん
10. なつ おん ぶる ー

2013年4月20日、阿佐ヶ谷Loftで開催された初ワンマン・ライヴ「ゆるすぎちゃったらごめんなさい」の模様を収録したDVD。この日はのんちゃんの生誕祭でもあった。

ジャケットのイラストは漫画家若狭たけし氏によるもの。若狭氏はDVD「2014:A Space Odyssey On Liquid RooMo! ~リキッドルーモ!号で行く、2014年宇宙の旅~」のジャケットも手掛けている。
若狭氏「アイドルグループ ゆるめるモ!のライブDVDのジャケット絵を描かせていただきました。ゆるめるモ!とはご縁があり、デビューしたての頃からメンバーの生誕Tシャツとか会場販売のDVDのジャケットなどを担当させていただき、それまで漫画以外の仕事をほとんどやったことが無かった中でとてもいい経験となりました。CDジャケットの絵など、いつかやってみたいというのも夢のひとつでしたし、音楽ナタリーなどに『ジャケットは漫画家の若狭たけしが担当』…みたいに書いてもらえるのも夢だったので、叶って嬉しかったです」。

パッケージの裏側。

6月15日:BELLMELTMO! ~少女たちのナイトクルージング~

BELLMELTMO! ~少女たちのナイトクルージング~
名義:ベルめるモ!
参加メンバー:けちょん、のんちゃん、ゆみこーん、もね
発売日:2013年6月15日 会場物販限定リリース
レーベル:不明
規格:CD

収録曲
02. Shout!!!
04. the Edge of Goodbye

2013年6月15日、アイドル・グループ「BELLRING少女ハート」と横浜港の船上で共演した「ベルめるモ! ~少女たちのナイトクルージング~」のライヴ会場でのみ販売されたCD。
内容はBELLRING少女ハートとゆるめるモ!がお互いの楽曲をカヴァーしあったもの。

BELLRING少女ハート。

BELLRING少女ハート「Shout!!!」。

BELLRING少女ハート「the Edge of Goodbye」。

9月18日:NEW ESCAPE UNDERGROUND

NEW ESCAPE UNDERGROUND
名義:ゆるめるモ!
参加メンバー:けちょん、ゆみこーん、もね
*のんちゃんは「Guest Vocal on 1,2」としてクレジットされている
発売日:2013年9月18日
レーベル:You'll Records
規格:ミニアルバム

収録曲
01. ゆるトロ (slo-モ!)
02. 逃げろ!!
03. 花のドイリー
04. SWEET ESCAPE
05. ゆるトロ (slo-モ!) (Instrumental)
06. 逃げろ!! (Instrumental)
07. 花のドイリー (Instrumental)
08. SWEET ESCAPE (Instrumental)

ゆるめるモ!にとって初となる全国流通作品で、初のミニアルバム。

アルバムには「本CDはクラウドファウンディングサイト「CAMPFIRE」での支援金で作られました。サポートして下さった皆様、本当にありがとうございました」の一文が掲載されている。

ゆるめるモ!のメンバーとして、ももぴ、ゆみこーん、けちょんの名前がクレジットされており、本作リリースの4日後に卒業したのんちゃんに関しては「Guest Volal on 1,2,」という内容でクレジットされている。

ロック好き、特にドイツのロック・バンド (プログレッシヴ・ロックがメイン)の呼称として使用される「クラウト・ロック」が好きな人にとっては、目を引くジャケットになっている。

その表ジャケットは、クラウト・ロックの雄である「NEU! (日本語表記は「ノイ!」)」のデビュー・アルバム「NEU!」のオマージュであり、裏ジャケットは同じく「NEU!」の「NEU!86」のオマージュになっている。

「NEU!」の表ジャケット。

「New Escape Underground!」の裏ジャケット。

「NEU!86」の表ジャケット。

収録曲の「ゆるトロ (slo-モ!)」もタイトルが、「NEU!86」の1曲目に収録されている「Intro (Haydn slo-mo)」のオマージュとなっている (ただし、「Intro (Haydn slo-mo)」はゆったりとしたクラシック風のシンセサイザー音楽)。

同じく収録曲の「SWEET ESCAPE」も「NEU!」のデビュー・アルバム「NEU!」の1曲目であり代表曲でもある「Hallogallo」のオマージュである。

アルバム・タイトルの「New Escape Underground!」の大文字と最後の「!」を抜き出すと「NEU!」になり、これまたオマージュとなっている。

「ゆるめるモ!」に「!」が付いているのも、この「NEU!」へのオマージュと思われる。

*NEU!(ノイ!):1971年に旧西ドイツで結成されたロック・バンド。
メンバーはクラウス・ディンガー(ドラムス)とミヒャエル・ローター(ギター)。
クラウス・ディンガーは、Kraftwerk(クラフトワーク)の雇われドラマーであり、デビュー・アルバム完成後にミヒャエル・ローターがKraftwerkに参加。ところがKraftwerkからリーダーのラルフ・ヒュッターが脱退(後に復帰し、Kraftwerkは世界的なバンドになる)、クラウスとラルフも半年後にはKraftwerkを脱退し、「Neu!」を結成することになる。
反復するハンマー・ビートと呼ばれた8つ打ちのバス・ドラムが特徴にあげられることが多いが、彼らの音楽は実験精神にあふれたアヴァンギャルド風であったり、サイケデリック風であったり、のちのパンクを彷彿とさせるエネルギッシュな演奏であったり、結構多面的な音楽性を見せていた。
Kraftwerkと並んで、エレクトロ・ポップの雄としては勿論、セックス・ピストルズやウルトラヴォックス、ディヴィッド・ボウイ、チューブウェイ・アーミー、ブライアン・イーノ、トム・ヨークといったパンク/ニュー・ウェイヴ、及びポスト・ロックのミュージシャンに多大な影響を残している。

楽曲概説

01. ゆるトロ (slo-モ!)
作詞:松坂康司
作曲:松坂康司
編曲:松坂康司
Programming:松坂康司

1分50秒程の短い曲で、ライヴでの登場曲として使用されることが多い。

振付をもね(ももぴ)が担当している。

*松坂康司(まつざかこうじ):本作以降もゆるめるモ!に多くの作品を提供している作曲家。岩手県出身。1990年1月10日生まれなので、2018年8月5日現在で28歳。
紹介文によると「キャッチーなメロディと、繊細且つ緻密に計算されたアレンジで、ROCK、POPS、JAZZなどジャンルに囚われない楽曲制作でTVアニメ楽曲や声優アーティストを中心に楽曲を多数提供」とのこと。
ゆるめるモ!以外に今井麻美、Pyxis、わーすた、はちロケ、ウマ娘などに楽曲を提供している。

曲のタイトルは、「NEU!」のアルバム「NEW!86」に収録されていた「Intro (Haydn slo-mo)」へのオマージュになっているが(この「Intro (Haydn slo-mo)」も30秒程の小曲)、曲調としてはイギリスのロック・バンド、Primal Scream(プライマル・スクリーム)のアルバム「Xtrmntr」や「Evil Heat」を想起させるハードなエレクトロ・ポップといったところ。
歌詞は「ゆ ゆ ゆ ゆ ゆるゆるゆるめるモ!」「モ!モ!モ!モ!」だけであるが、メンバーが歌うこのフレーズが流れてくると、ハードなエレクトロ・ポップには相反するようなアイドルのテイストが楽曲に加味されるのだが、それが全く違和を感じさせないところがすごい。

02. 逃げろ!!
作詞:小林愛
作曲:松坂康司
編曲:松坂康司
Programming:松坂康司

ゆるめるモ!の代表曲の一つで「自殺するという手段をとらざるを得なかったような人に、“逃げる”という手段を、可愛い女の子達の歌に乗せて広く届けたい」というコンセプトを元にしている。これはゆるめるモ!というグループ全体に対するコンセプトでもあり、田家氏も「ゆるめるモ! 全体をイメージ付ける楽曲にしたい」と語っている。

タイトルはももいろクローバーの「走れ!」のオマージュであり、楽曲発注時にも「『走れ!』のような楽曲を」という注文があった。実際に楽曲の構成やアレンジ、雰囲気、歌割などかなり「走れ!」を意識して作られている。

松坂氏に楽曲の発注をした際、10日間でデモ音源が出来上がり、約1ヶ月で楽曲が完成した。

田家氏に作詞を依頼された時に小林氏は「基本的に逃げちゃダメだと思う人間で、テーマとの兼ね合いが難しかった」と語っている。

小林氏:「逃げろ!」は、メンバーたちがパフォーマンスをしてくれて一番ハマったと思います。私はこの曲はあまり得意なジャンルじゃなかったから、書くのがすごく大変でした。でもライブを観たら、曲と歌詞とパフォーマンスが一番よく形になっていて、そこにお客さんの盛り上がりも乗っかって、感動的になってた。ちなみに私自身、「地獄みたい」って口癖なんですよ。すぐ、「こんな辛いの地獄みたいだ」って思う。だからすごく自然な、素直な言葉ですね(笑)(ゆるめるモ!オフィシャル・サイト:2014年3月8日)。

小林氏:煮えたぎる釜の中でも、ぬるま湯の中でも気持ちは地獄みたいだ!無理矢理気持ちを収めると涙が出そうだ!という乙女心をつづった歌詞です!
書くの大変でした!メンバーのちーぼうさんは、レコーディングの時サムライみたいでかっこいい。萌えしぬ!(ひどもやま日記:2015年12月3日)。

この曲は初出である本作「New Escape Underground!」以降にも、2014年の初のフル・アルバム「Unforgettable Final Odyssey」と2016年の配信限定シングル「アントニオ」、そして2018年リリースの初のベスト・アルバム「音楽よ回れ!! MUSIC GO ROUND ~ゆるベスト!~」にもスタジオ・ヴァージョンが収録されており、それぞれ異なるヴァージョンになっている。
以下は各ヴァージョンの参加メンバー。
2013年「New Escape Underground!」(本作)
けちょん、ゆみこーん、もね、のんちゃん
2014年「Unforgettable Final Odyssey」
けちょん、ゆみこーん、もね、しふぉん、ようなぴ、ゆいざらす、あの、ちーぼう
2016年「アントニオ」
けちょん、もね、しふぉん、ようなぴ、あの、ちーぼう
2018年「音楽よ回れ!! MUSIC GO ROUND ~ゆるベスト!~」
けちょん、しふぉん、ようなぴ、あの

いきなり「地獄」というアイドルらしからぬ単語で始まる楽曲。
田家氏自身「アイドルの楽曲を研究した結果、作られた楽曲」と語っているように、楽曲としてはアイドルの王道といった印象だが、「自殺するという手段をとらざるを得なかったような人に、“逃げる”という手段を、可愛い女の子達の歌に乗せて広く届けたい」というコンセプトを元に作られた歌詞が、ゆるめるモ! というグループの唯一無二なスタンスを決定づけている。
実際にこの楽曲の歌詞に助けられたり、力づけられたりしたリスナーも多い。
確かにももいろクローバー(Z)の「走れ!」に対するオマージュであり、曲調も似てはいるが、「走れ!」と同じくらいに、この「逃げろ!!」も名曲。

ゆるめるモ!「逃げろ!!」

ももいろクローバー「走れ!」

03. 花のドイリー
作詞:小林愛
作曲:Tamptin
編曲:Tamptin
Programming:Tamptin

ドイリーとは、机やテーブルの上で使用する、レースやかぎ針編みで作られた小型の敷布のこと。コースターやテーブル・クロスとして使用することもできる。

この曲もアイドルの王道路線的な楽曲で、ファンファーレのような勇ましいイントロに導かれて始まる。
「逃げろ!!」と「SWEET ESCAPE」という超強力な楽曲に挟まれる形で収録されているため、少し割を喰った印象もあるが、明るい曲調や心地よいBMP等はライヴ映えする楽曲となっている。

ドイリー。

04. SWEET ESCAPE
作詞:田家大知
作曲:田家大知
編曲:松坂康司
Programming:松坂康司

10分を超える、反復するリズムとエレクトリックに彩られたスペイシーなクラウト・ロック。

「NEU!」のデビュー・アルバム「NEU!」の1曲目に収録されていた「Hallogallo」をオマージュした楽曲。

振付をもね(ももぴ)が担当している。

ゆるめるモ! 初のミュージック・ヴィデオが作成されたが、ヴィデオにはメンバーは一切登場してこない。

ライヴ披露時には、各メンバーが楽器を持ってバンドとともに演奏に参加することもある。

2014年8月6日「Real Sound」に掲載されたインタビューより。

――音楽面では、『New Escape Underground!』のジャケットはノイ!のパロディで、「SWEET ESCAPE」は10分越えのクラウト・ロックで衝撃を受けました。いきなりクラウト・ロックに向かったのは?

田家:「やるぞ」と考えているネタはたくさんあるんです。当時メンバーののんちゃんが辞めちゃったんですけど、この曲のインパクトならこのタイミングでも出せるぞ、と。のんちゃんが音楽的柱としてたくさん歌う子だったから、インストの部分が多ければパワーダウン感を出さないで済むと思ったんです。

――僕はその「SWEET ESCAPE」でゆるめるモ!に一気に注目したタイプですが、一般的な反応はどうでしたか?

田家:意外と叩かれなかったんです、本家のノイ!ファンからあまり反応がなくて。昔のかっこいいバンドでも、日が当たらなかったバンドがいますよね。そこにメジャーなスパイスを振りかければ、音楽史に埋まっていたバンドを、音楽を少しでも好きな人に届けられると思うんです。「掘り返しても楽しいんだよ」ってみんなで共有できたらいいな、って。m-floはヴォーカルを変えながら、やりたいことをやりますよね。ゆるめるモ!は、ヴォーカルは変えずになんでもありの空間にしたいし、やりたいことを全部実現したいです。

出典: realsound.jp


まさにクラウト・ロックそのものの楽曲であり、特にインストでは、ゆるめるモ! のヴォーカルがない分、それが顕著に現れてくる。
起伏の少ない反復するリズムと、スペイシーなシンセサイザーの無機質な演奏に、ゆるめるモ! の力の抜けた、ちょっと匿名的で、アンニュイなヴォーカルが絡むと、不思議に聴く人を魅了する化学反応が起こる。
匿名的でアンニュイではあるが、彼女たちの声には強い存在感があり、アイドルらしからぬ楽曲のようであっても、あくまでもアイドルとしての自己主張をしているところも魅力の一つ。

ゆるめるモ!「Sweet Escape」。
ゆるめるモ! 初のミュージック・ヴィデオ。

NEU!「Hallogallo」。

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