龍が如く5 夢、叶えし者(Yakuza 5)のネタバレ解説まとめ

『龍が如く5 夢、叶えし者』とは、セガゲームスが発売するアクションアドベンチャーゲーム『龍が如く』シリーズの第5作目に相当する作品である。キャッチコピーは「その生き様に 男たちの血が騒ぐ」。本作は前作『龍が如く4』で桐生一馬と仲間たちが東城会と上野誠和会の抗争事件を解決した後、日本各地を舞台に起きる極道たちの動乱の物語を描いており、新たな主人公に品田辰雄と澤村遥、さらに物語の舞台に大阪、福岡、名古屋、北海道が追加されているのが特徴となっている。

北方を狙撃したのは、なんと馬場だった。「北方は親父ではないのか」と叫ぶ冴島を笑いながら、馬場は自らの正体と目的について語り始める。

馬場に自分の思いをぶつけるべく、冴島は彼に拳を向けた。

それに困惑しながら、冴島が北方にその真島が睨んでいる別の誰かについて尋ねようとした瞬間、突然北方が何者かの狙撃を受けて倒れた。目の前の突然の出来事に驚いた冴島だったが、銃弾が飛んできた方向にひとりの不審な男が逃げるのを目撃した。すぐさま後を追って、その男を空き地まで追い詰めた冴島は、男が身につけていた覆面を剥ぎ取った。すると、その下から現れた男の素顔に、冴島は目を疑った。なんとその男は、馬場だったのだ。「馬場ちゃん……これはどういうことや? なんで北方撃ったんや? お前の親父なんちゃうんか?」と、問うてくる冴島に対し、馬場は「兄貴……アンタ、本当に素直な人ですね」と、バカにした笑いを浮かべて返した後、自分は本当は北方組の人間じゃなく、そうした肩書きをつければ都合が良かっただけだと言った。
馬場の目的は冴島の監視と行動のコントロールであり、自分が刑務所にいたことも、冴島と同じ房になったことも全部監視のために計画されていたことだという。さらにあの釘原も馬場の部下であり、狂言も馬場が釘原に命令して行わせたまでのことだいう。そして真島の死亡の報せが冴島に届いたら、冴島を脱獄させてこの月見野まで連れてくるよう馬場は命令されており、さらに冴島が自分の意思で脱獄するための一押しとして、刑務所の所長の暗殺と仮釈放の申請取り消しも、馬場に命令した人間が仕組んだことだったのだ。どうしてそこまで自分を刑務所から出す必要があると冴島はさらに問うと、馬場は自分に命令した人間が冴島の力が必要だったからだと言った後、その人間が誰かをここで教えれば自分も冴島も死ぬことになるとここで答えるのをやめ、拳銃を構えた。

それを見て、ここで自分を消すつもりだと身構えた冴島だが、馬場はいつまでたっても拳銃の引き金を引く様子を見せない。「どないした? 撃てや。さっさと撃たんかい、馬場ちゃん!!」と、冴島が叫ぶと、馬場は急に拳銃を下ろして、泣きそうな顔になって、なぜ雪山で遭難した時、危険を顧みずに自分を助けに来たんだと問うてきた。そして、自分なんか放っておいて、ひとりで月見野に行けばよかったんだと叫び返す馬場に、「兄弟を見捨てられる訳ない……それだけや」と、冴島は答えた。それに耳を疑った馬場は、盃を交わした訳でもなく、自分が「兄貴」と勝手に呼んでただけなのにかと言ってきたが、冴島は盃なんてただの儀式であり、人間の絆なんて自然にできるものだと返した。「馬場ちゃん……俺はお前のこと、ずっと弟分だと思とったで。裏に何があったかはどうでもええ! 俺にとってお前はホンマの兄弟!!」と、冴島が迷うことなく言い切ると、馬場は悲鳴と共に自分に銃口を向けた。
それを見た冴島は、馬場を殴りつけてその手から拳銃を弾き飛ばした。倒れた馬場に冴島は立てと促すと共に、人間はどんなに辛くても夢を持って生きなければいけなく、馬場にも叶えたい夢はあるはずだと訴えた。そして、極道の世界に入るしかない人間が、自分のように哀しい道を生きなくてもいいようにすることが自分と真島が描いた夢で、今ここにいる理由だとも冴島は語った。その言葉を聞いて、心動かされたのか馬場がゆっくりと立ち上がってきた後、「馬場ちゃん……都合良う死ねるほど、世の中甘ない。お前には死ぬっちゅうことがどういうことか教えたる。いっぺん死ぬほどの恐怖をその体に叩き込んだるわ」と、冴島は拳を構えた。それに答えて「なるほど……冴島さんらしいやり方ですね。きちんとケリ、つけましょう」と、馬場も拳を構える。冴島が「来いや……! 馬場ぁぁぁ!!!」と、吠えた後、馬場も覚悟の雄叫びを挙げて冴島へと躍り掛かった。

冴島の拳と言葉に心を動かされた馬場は、彼の思いと恩義に報いるべく、ここは見逃してほしいと頼み込む。

冴島の前に現れる芹沢。空港へ向かう護送車の中で、芹沢は冴島に東城会の現状を語り始める。

熱戦の末、冴島は馬場を下した。「どや? 死ぬほど痛い思いをした気分は」と、冴島が穏やかに言いながら手を差し伸べると、「……いいモンじゃないです」と、苦笑いしながら、馬場は冴島のその手を手に取った。そして、馬場は自分に命令した人間のことは聞かないのかと訊ねたが、冴島はそんなことをしても真島は帰ってこないと割り切り、北方に会ったことで何となくだが真島はまだ生きているとも言った。
その言葉を聞いて馬場は、「冴島の兄貴……ここは恥を忍んで言います。ここは一旦、見逃してください」と、冴島に頭を下げてきた。そして、自分がこの先どうするべきかの答えを自分で見つけ、その時は必ず冴島の前に現れて兄弟の盃を交わしたいという馬場の頼みを、「分かった……いつでもええ。待っとるで」と冴島は受け入れ、それから静かにどこかへ去っていく馬場を黙って見送った。しかしその直後、「そこまでだ。冴島大河だな?」という男の声が投げかけられる。冴島が振り向くと、部下の刑事と思しき男たちを従えた芹沢が立っていた。

その後冴島は、芹沢たちによって手錠をかけられ、護送車へと乗せられてどこかへ連行されていく。その護送車の中で、芹沢は北方には会えたのかと冴島に訊ねてきた。なぜそれを知っていると冴島が聞き返すと、「お前がどういう目的で動いていたかくらいわかってる」と、芹沢はあしらうように言った。芹沢は、真島を殺したのは北方組ではなく東城会であり、さらに福岡でも大吾が消えると共に青山が森永に殺され、名古屋でも幹部組員である安住が死ぬという事件が起きて、東城会の本家は今混乱の真っ只中だということを告げた。そして、馬場についても知っていて、わざと泳がせた甲斐があるとひけらかすように言ってきた芹沢に、「なんでそのこと……? アンタの狙いはなんや? 俺を捕まえることやったんちゃうか?」と、冴島は訝しげになる。
それに芹沢は一呼吸置いてからこう答えた。「俺の真の狙い。それは……この一連の騒動を裏で操ってる東城会の裏切り者を突き止めるってことだ」そして芹沢は、この護送車は東京へ向かうための空港行きであり、この騒動を府警の力で解決するためにも冴島には東京に行って協力してほしいと申し出て、もし断るならこのまま刑務所へ逆戻りだと脅すように言った。対する冴島は何も答えず、険しい表情で芹沢を見据えているだけで、そんなふたりを乗せた護送車は空港へ向かって夜の高速道路を静かに走り続けていた。

澤村遥編(第三部・上)

朴にスカウトされ、大阪へとやってきた遥は、ダイナチェアのスタジオで日夜厳しいレッスンに明け暮れていた。

慣れない高校生活と厳しいレッスンに疲労困憊になる遥を、マネージャーの堀江が優しく慰め、支えてくれる。

ダイナチェアのライバル会社・大阪芸能の所属のアイドルユニット「T-SET」のメンバーである真田まいと大沢あずさと、そのマネージャーの中井。この3人は遥はもちろん、朴やダイナチェアに対してこれ見よがしに敵意を見せつけてくる。

朴にスカウトされた遥は、彼女が社長を務める大阪・蒼天堀の芸能事務所ダイナチェアにて、ボイストレーナー・山浦美沙とダンストレーナー・荻田冠の指導のもと、厳しい歌やダンスのレッスンに日夜打ち込み続けていた。この頃、蒼天堀では人気テレビ番組「プリンセスリーグ」が行われることになっており、決勝戦で優勝すれば大手レコード会社からのメジャーデビューが約束されているというのだ。遥もこのプリンセスリーグに出場しており、まだ経験の浅い新人であるに関わらず決勝戦まで勝ち進んだことで一躍時の人となっていた。そして、プリンセスリーグの決勝戦が1週間後に迫る中にレッスンの合間を縫うように遥には握手会やクイズ番組の出演など地道な営業活動がスケジューリングされていた。
そのため、営業活動にも精を出さなければならないため、遥には休む暇はほとんどないに等しい状況だった。そんな中、荻田はまだ経験の浅い遥が、あと1週間でプリンセスリーグで優勝できるレベルに登り詰めるなんて時間的に無理だと朴に苦言を呈するが、朴は「今さら泣き言? プロなら言われた期日できっちり形にしなさい」と、取り合わない。すると荻田は遥のダンストレーナーとしてダイナチェアと契約する際、最初の話では1年がかりで育てるはずだと言い張り、それが半年だなんて時間が無さ過ぎるとさらなる苦言を呈する。
さらに、歌とダンスのどちらかひとつに遥のレッスンを絞るべきじゃないのかと荻田が言うと、「私は遥をただのアイドルで終わらせるつもりはないの」と、朴はそれでも取り合わなかった。その契約に見合うだけの金なら払っている以上、黙って自分の言う通りにしていればいい。そして、その条件に従えないなら今すぐ契約解除しても構わないと朴が冷酷に言い切ると、憤懣やるかたない思いを抱えながら、やればいいんだろうと吐き捨てて荻田は遥の指導を続行する。

こうして、厳しいレッスンと営業活動で1日が終わる頃には遥は体は疲れ果て、帰りは必ずマネージャーの堀江博にアパートまで送ってもらうことになった。「遥ちゃん、毎日頑張ってるねぇ」と、堀江は遥を労い、プリンセスリーグを決勝まで勝ち進んだ彼女の努力を讃えると、「今までこういうことやったことなかったから、人一倍頑張らないと」と、遥は謙遜する。
そして、仕事の合間に通っている学校でも自分がアイドルをやっていることを良い意味と悪い意味の両方で気にしているクラスメイトたちがいることに、自分がアイドルをやるのは変なのかと遥は悩む。そんな遥に堀江は「遥ちゃんのステージ、ほんまに魅力的やと思う」と言った。そして遥のアイドルとしての仕事は大勢の客に夢を与えるものだと自分は思っているからこそ、遥にはもっと自信を持って欲しいと堀江は励ましの言葉を送った。その堀江の気持ちを受け止めて、桐生やアサガオの仲間たちの為にも遥はアイドルになるという夢を実現させるべく、泣き言ひとつ言わずに厳しい仕事に打ち込み続けた。

プリンセスリーグ決勝戦当日、堀江と共に会場にやってきた遥だったが、すれ違った二人組の少女に足を引っ掛けられて転ばされてしまう。「何やってんの? ちゃんと前見て歩かないと」「ほんと、気をつけたほうがいいですよぉ〜?」と、いかにも見下した感じでそう言い放ってくる二人組は、ダイナチェアのライバル芸能事務所である大阪芸能所属のアイドルユニット「T-SET」の真田まいと大沢あずさだった。そんな露骨な嫌がらせに憤った堀江が食ってかかると、「ダイナチェアさん、何やっとるんですか? ウチのタレントに」と、悪そうな顔つきをしたスーツ姿の男が現れる。その男は、T-SETのマネージャーで大阪芸能の社員・中井だった。堀江がまいの嫌がらせのことを言うが、中井は妙な言いがかりはよせと一蹴する。
そして、これ以上食ってかかるなら出入り禁止などそれなりの対応はさせてもらうと中井が居丈高に言い放つと、堀江は押し黙ってしまった。これを見た遥は、もうこれ以上付き合いきれないとばかりに堀江に促すと、まいとあずさに「沖縄、行ってみて。ストレスいっぺん吹き飛びますよ」と、意味ありげにそう言い残して、控え室へと向かった。それに訝しげになるまいとあずさに、中井が「沖縄行って、心でも洗い直して来いっちゅうことちゃうかぁ?」と、煽り立てるように言った。中井のその煽りに逆上しかかったまいとあずさは、去っていく遥の後ろ姿を忌々しげに見つめた。

自分のダンスの指導に口出しされたことに苛立ちを爆発させ、朴に食ってかかる荻田。だが朴は荻田の怒りを物ともせず、「嫌なら今すぐやめてもらう」と一方的に切り捨ててしまう。

クリスティーナを探しに夜の蒼天堀を奔走する遥の前に、高校の同級生にしてダンサーであるアカリが現れる。

アカリの案内で遥はクリスティーナと会うことができたが、クリスティーナは遥とアカリにダンスをさせてどちらが自分の指導を受けるに相応しいかを見極めようとする。

その後、プリンセスリーグの決勝戦第1ラウンドをどうにかやり遂げた遥だったが、レッスンの続きをするべくダイナチェアに戻ったところで、荻田が激しく朴に食って掛かる場面を目撃する。「アホぬかしとんちゃうぞ、糞ババァ!! ダンスのことなんか何も分からん素人が、プロの仕事に口出しとんちゃうで!!」と、吠え立てる荻田。荻田は遥へのダンスの指導に朴に口出しをされたことで、ついにその不満を爆発させて彼女に食ってかかったのだ。朴が「わかった……クビよ。今すぐ辞めてもらう」と冷たく言い放つのに対し、遥みたいな田舎者が自分なしでダンスを踊れるのか、金払ってる人間が一番偉いと思ったら大間違いだと荻田はさらに食ってかかる。
これに朴は「残念だけど、間違っているのはあんたの方」と一蹴し、芸能界では金を払ってる人間が一番偉く、使えないと思ったら切り捨てるだけで、金さえあれば荻田の代わりなんていくらでもいるとさらに冷たく言い放った。さらに気色ばんだ荻田は、違約金はきっちり払ってもらうからなと吐き捨てながら去ろうとするが、朴はそんな契約などしていないと切り捨てた。目を剥いて驚く荻田に、朴は自分の依頼をこなせないなら報酬はなかったことにすると契約書に書いてあると言い、これでも文句があるなら弁護士でも通してこいと追い打ちをかけた。それに荻田は激怒し、朴を突き飛ばしてからそのまま事務所を走り去っていった。

目の前の有様に愕然となる遥と堀江に、朴は「クリスティーナ」と呼ばれる凄腕の外国系のダンストレーナーの存在を伝え、彼に荻田の後任を務めてもらうよう説得することをふたりに言った。これに堀江が、プリンセスリーグの決勝戦も始まってしまった以上時間はあまり残されていないと難色を示すが、朴はこれ以上ごねるならクビにすると反論を許さない。そして堀江は遥と共に、クリスティーナがいるとされる蒼天堀の飲み屋街へと向かうのだった。堀江と二手に分かれて飲み屋街で懸命に聞き込みをして回る遥。その途中で会った同級生でダンサーの少女であるアカリの協力を得て、遥はついにクリスティーナと出会う。
「アナタはさっきのダンサー……? アナタともうお話しすることはないと言ったはずですが」と、アカリを見て首を傾げるクリスティーナ。実はアカリは遥より先にクリスティーナと出会っており、彼にダンスの指導を引き受けて欲しいと頼んだが、断られてしまっていたのだ。そこでアカリは、期待の新人アイドルである遥を連れて、彼女と友達であることをアピールしてもう一度説得にやってきたのだ。それにクリスティーナは少し考えた後、「いいでしょう」と頷いたが、自分が興味を持ったダンサーにしか関係は持たず、自分に話を聞いてほしければまずはダンスの腕前を見せてみろと遥とアカリに言い放った。これに遥は一瞬迷った後、クリスティーナの言葉に従い、アカリと共にダンスを踊った。その結果、クリスティーナは「……あなたとなら、良いお話ができそうね」と、遥のほうを見て言った。

遥のダンスの腕前を認め、荻田の後任のダンストレーナーを引き受けることを快諾したクリスティーナ。

朴にメイクをしてもらう遥。朴は遥がメイクを知らないことに呆れながらも、真摯に、かつ優しく彼女にメイクを施していく。

朴にメイクの手解きをしてもらった次の日、朴へのお礼の品を買いに訪れた小物屋で、遥はまいとあずさに遭遇するという思わぬ事態に見舞われてしまう。

この言葉からして、クリスティーナは遥を選んだことに驚愕し、アカリはクリスティーナに食い下がる。「ど、どうして……!? 私との差がそんなにあったとは思えない!!」と、叫んでくるアカリに「言ったはずですよ、アカリさん。私は興味あるダンサーとしか関係は持たないと」と、クリスティーナは取り合わない。そこで気分がいいということでクリスティーナは遥を選んだ理由をアカリにこう教えた。ダンスとはテクニックが全てではなく、観る側に自分の心や感情を表現し、相手にどう伝えて感動させるかが大事である。と。そしてクリスティーナがこれまで見てきたダンサーにはオーディションに落選した者が多くいたが、クリスティーナはその落選したダンサーたちには、ただの「踊る機械」にしか見えないほど、ダンスに心や思いが籠っていないという共通点があると挙げた。
そしてアカリも落選したダンサーたちと同じく、相手を感動させるほどダンスに心が籠っていないとクリスティーナは指摘し、「それが、今のアナタと遥の差よ。人に認めてもらおうとして踊ってもダメ。もっと、心から楽しく踊りなさい」と、言い切った。これにアカリは爆発し、「何なのそれ……もう知らない!! 私、ダンスなんかしないっ!!」と、悲痛に叫んでどこかへ走り去ってしまった。思わず遥が後を追おうとしたが、クリスティーナはそれを止めた。「今のあの子は、自分で気づくしかないの。……つらいけど、それがあの子のためよ」と、クリスティーナに諭された遥はアカリを追うのをやめ、彼に改めてダンスレッスンの依頼を申し出た。

こうしてクリスティーナが遥のダンストレーナーを引き受けたことで、一時は雲行き怪しくなりかけたレッスンは何事もなく続行されることになった。そしてさらに芸能活動を続け、決勝戦の第2ラウンドに向けて準備を進める遥だったが、ある日、朴にメイクの拙さを指摘される。早くに母親をなくすことになり、化粧のやり方など今まで誰にも教わったことがなかった遥に呆れながらも、朴は自ら彼女にメイクの手解きをする。そんな突然の朴の行動に遥はつい笑みを漏らしてしまう。
朴がその遥の笑みにに首を傾げると、遥は「嬉しいんです。こんな風に化粧してもらえる事なんて、ないと思ってたから……すごく嬉しいんです」と、言った。それを聞いた朴は、メイクを続けながらも微笑ましそうになって「女の子には、母親が必要よね」と、言ったのだった。その後の休日で、遥は朴に連れられて蒼天堀の街中を歩き、ショッピングやレストラン、ゲームセンターなどいろんなところを回っては楽しんでいた。そうして仕事の疲れも忘れかけ、心がだいぶ安らいだ遥が、朴へのプレゼントとしてとある小物屋で買い物をしていると、「あれぇ? 遥ちゃんじゃない」と、後ろから嫌味ったらしい声を投げかけられた。振り返ると、そこにまいとあずさがいた。

自分だけでなく朴への雑言を口にしてくるまいとあずさの横暴ぶりに怒る遥。しかしまいとあずさは、大阪芸能という事務所の力を武器にして遥に脅しをかけてきた。

まいとあずさに土下座を強いられそうになった遥を、颯爽と助けに現れた朴。そして朴は、まいとあずさに鋭い啖呵を切ってのける。

朴の啖呵に気圧されかけたまいとあずさは、捨て台詞を残しながら逃げるようにして立ち去っていった。

朴へのプレゼントに買ったブローチをダサいと笑い飛ばし、さらに朴をおばさん呼ばわりするなどあずさと共に我が物顔に振る舞った後、まいがこのようなことを遥に言った。「あのおばさん、昔売れないアイドルだったって。売れなかったアイドルに指導されて、あなた自身が売れると思う?」そんな悪意たっぷりなまいの言葉に内心では驚きながらも、遥は必死に聞き流そうとする。そしてあずさも「決勝戦、勝つつもりじゃないでしょうね? 教えておいてあげる……アンタ、ただの噛ませ犬だから」と、追い打ちに悪意溢れる言葉を遥に投げつけた。あずさによると、自分たちの事務所である大阪芸能はプリンセスリーグのプロデューサーとすでに話をつけており、決勝戦がどうなろうとも必ず自分たちに有利な方向へと転ぶようになっていると言うのだ。
これに我慢できなくなった遥が「やめてください。それ以上、社長の悪口言ったら……」と、反論しようとすると、まいは遥の手からブローチを叩き落とし、それを足で踏みにじった。「だったら、何?」と、まいが睨むと、遥も負けじと睨み返して「それ以上社長の悪口言ったら……許さない!」と、言い放った。そんな遥の気勢をあずさと共に鼻で笑ったまいは、大阪芸能がその気になればダイナチェアぐらいあっという間に潰せると居丈高に言い放つ。それに遥が言葉を失うと、あずさも一緒になって「それが嫌なら、今すぐ土下座して謝りなさい。それともあんたもこの世界から消えちゃう?」と、脅しをかける。そしてついには、携帯を取り出して大阪芸能に言いがかりの電話をかけようとしてきたまいとあずさを前に、怖くなった遥はそのまま土下座しようとした。

すると、「おい、何してんねんお前ら!?」と、堀江の声が聞こえた。まいとあずさが振り返り、遥が顔を上げると、堀江と朴がやってきていた。そのまま食ってかかろうとする堀江を抑えて、朴はまいとあずさに「久しぶりね……二人とも元気?」と、呼びかけた。その呼びかけに、まいとあずさの顔が曇り、朴から視線を逸らした。実はまいとあずさもかつてはダイナチェアにアイドルとして所属していたが、朴のやり方についていけずに大坂芸能に移籍したのだった。朴は遥に構わないから土下座してやれと言いながら、まいとあずさを冷たく見据えてこう言い放つ。「昔と違って、今のタレントにオフはないわ。あるとしたら自分の家の中くらい……一歩外に出たら、そこは営業の場よ」
そして朴は、ブログやSNSなどによって良い噂も悪い噂も一瞬にして世界中に広がる時代となったからこそ、こんなところで他社のタレントである遥に土下座なんてさせたらどうなることかと啖呵を切る。その啖呵に気圧されて、押し黙りそうになるまいとあずさに、朴は自分もライバルを蹴落とそうとして逆に自分が転げ落ちていったタレントを嫌という程見てきたと言い、まいやあずさはその典型だとさらに啖呵を切る。それにさらに気圧されかけたまいとあずさだったが、「……馬鹿みたい」「冗談が通じなかったみたい」と、それぞれ捨て台詞を残して去ろうとする。
そのふたりの後ろ姿に向かって、朴は元事務所仲間のよしみの忠告として最後にこう言った。「実力は嘘をつかない。ライバルを恐れるのは、自分たちの実力に自信を持てないからよ。遥に関わってなんかいないで、自分たちの芸を磨くことね……可愛いだけのアイドルじゃ、すぐに飽きられるわよ」その朴の言葉に一瞬色めき立ちそうになったまいとあずさだったが、何も言わずにそのまま立ち去っていった。

帰りのタクシーの車内で、朴はデビュー祝いとして遥に自分の万年筆をプレゼントした。

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