M:i:III(ミッション:インポッシブル3)のネタバレ解説・考察まとめ

往年の人気TVドラマ「スパイ大作戦」の映画化で、大ヒットスパイ・アクションにまで成長させたトム・クルーズ製作・主演のシリーズ第3弾。2006年公開のアメリカ映画。TVシリーズ「エイリアス」「LOST」で注目を集めたJ・J・エイブラムスの劇場映画初監督作品。フィアンセとの結婚を控え、一線を退き教官となった主人公イーサン・ハントが、凶悪な敵を前に世界を駆け巡り、再び危険なミッションに挑む。

海にかかる長い鉄橋の上での襲撃シーンの中、護送するはずのデイヴィアンが敵に連れ戻される。何とか食い止めたいイーサンは車のトランクから組み立て式のマシンガンが入ったケースを持ち出すが、敵のファントム機からミサイルで狙われ、走って逃げる最中に後方の車に着弾、爆風で吹っ飛ばされ浮き上がったイーサンは、横に止まっている車に激しく打ちつけられる。

このシーンは、トム・クルーズがスタントマンを拒否して、本人が演じている。装置をコントロールして、爆発と同時にワイヤーを引っ張り、車の側面に体当たりさせるというアクションを、彼は自分から3テイクもやり直したという。最後には車のドアがへこむほどの激しさだったそうである。

高層ビルを飛び移る究極のバンジー・ジャンプ

上海の高層ビル56階にある研究室に保管されている”ラビットフット”を奪うため、イーサンはそのビルの左隣にある高いビルから振り子の原理で飛び移り研究室へ侵入してブツを確保し、屋上からパラシュートで脱出するという計画を強行する。

本作におけるドラマティックなスタントは、24mのビルからの大バンジー・ジャンプだったというトム・クルーズ。彼が、実際にはジャンプしてから15mほど落下するというこのスタントをやることは、単にジャンプして落ちるだけでなく、彼がイーサン役として落下する演技を見せる必要があったからで、必須条件だったという。
アクション監督はこのスタントについて「単に目を閉じてバンジー・ジャンプをする勇気があればいいというものではなく、これは役者がやったスタントとして、見たことがないほどすばらしく、勇気あるスタントの一つです」と語っている。

決死のイーサンVS超大型トレーラー

上海の高層ビル大バンジー・ジャンプのあと、”ラビットフット”を確保し56階の窓を突き破ってパラシュートで降下するイーサンだったが、ビル風に煽られ飛ばされながら着地したのは激しく車が行き交う車道のド真ん中へ着陸する。そこへ超大型トレーラーがイーサンを見て急ブレーキを掛けると、車体が真横になりイーサンの頭上をギリギリで通過するというシーン。

このスタントでは、全長12メートルのトレーラーが使用され、シリンダーが1本でも折れたりすれば、トラックはまっすぐになり、彼を潰してしまうという大変に危険なシーンだがトム・クルーズは果敢に挑戦する。アクション監督は「テストのために一度、トムと同じ位置で横になってみたが、トレーラーが頭上ギリギリを通り過ぎるのは、とても怖い経験だった。」と語る。さらに本番では、「カメラが設置された高台にいたが、トラックがトムに向かって進み、車体が横を向いてトムを通過するまでにものすごく長い時間が掛かったような気がした」とも語っている。

”ラビットフット”とは

カプセル型の”ラビットフット”

本作では”ラビットフット”なる悪人の欲しがるアイテムが登場する。イーサンは妻の命を救うために、この”ラビットフット”を求めて物語が進行するのだが、この”ラビットフット”なるものが何なのか最後まで明かされない。
本編中、ルーサーの説明によれば、”ラビットフット”の設計図によりカプセル型の物ということは判明しているもののそれ以外の情報は不明。中国・上海のヘンシャン・ルー・ビル56階にある研究室に保管されているという。

J.J.エイブラムス監督のインタビュー記事によると、「ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』を観たことがあるかい? あの映画で僕が気に入っているのは、ヒッチコックが使うマクガフィンだ。悪者が欲しがるものなんだけど、マクガフィンについては一切説明がない。でも物語はちゃんと機能している。素晴らしいよね。『M:I:3』の“ラビットフット”もマクガフィンなんだよ。クールだろう?」と話している。

因みに、2015年公開の第5作「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」のDVD映像特典において「”ラビットフット”の正体は(序盤に登場する)手錠の鍵」であると語られている。

『M:i:III』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

実は監督と脚本の決定まで二転三転していた

演出するJ.J.エイブラムス監督

シリーズ第3弾の本作は、当初2004年の公開を目途に、「セブン」「ファイトクラブ」のデビッド・フィンチャー監督と脚本家ロバート・タウンの手に任されていた。約10か月に渡って出来上がった3分の1のストーリーをクルーズ・ワグナー・プロダクションはOKしていた。ただ脚本がその段階にもかかわらず、すでにプロダクション側は、ロケーション・スカウトやスタントマンの準備に入ろうとしていて、フィンチャー監督は残りの脚本が無ければ撮影など出来ないと言って降板したという。
そのあと、「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」の監督で脚本家のフランク・ダラボンに脚本が依頼され、監督は新鋭のジョー・カーナハンに白羽の矢が当たった。ところが撮影開始の寸前で、「創造性の違い」を理由にカーナハン監督も降板することになる。
この段階でトム・クルーズは先にスティーブン・スピルバーグ監督の「宇宙戦争」に制作と主演を兼ねて参加することになるのだが、そんな折、トムから「宇宙戦争」のシナリオを依頼されたのが、J・J・エイブラムスだった。彼はテレビの新番組「LOST」のパイロット版の監督とぶつかったため「宇宙戦争」は辞退するが、演出もできるところを見せようと思い、TVの監督作品「エイリアス」のDVDをトムに送ったところ、DVDを観たトムから本作の監督依頼が来たので驚いたという。
初の劇場映画となるエイブラムスにとって、ブライアン・デ・パルマ、ジョン・ウーに次ぐ3作目に割り込むのはかなりのプレッシャーだったという。彼は後のインタビューで「映像ではとても彼らに太刀打ちできない。だから、僕なりのやり方で勝負するしかなかった。だからトムに『シナリオをゼロから自分で書き直していいか?』と尋ねたら彼は『好きなようにやりな』って言ってくれたんだ」と語っている。

日本でのロケーションも考えられていた

J.J.エイブラムスが最初に書いたシナリオでは、極東でのシークエンスは”上海”ではなく”東京”だった。大部分のシークエンスが東京で起こることを想定して書いていた。
しかし、日本でロケハンをした時に、今回どうしても必要としていた高層ビルが見つけられなかったこともあるが、いろいろと規制の多い日本では、ビルから飛び降りたり、高速道路を封鎖して撮影が行うことが残念ながら現状では不可能に近い状況だったので諦めたのだそうである。
その代わりに、世界のどの地域にもないような場所を中国の上海で見出した。中国でのロケ撮影は、チャイナ・フィルム・コープロダクション・コーポレーションとザ・フォース・プロダクション・カンパニー・チャイナ・フィルム・グループ・コーポレーションの協力のもとで製作された。

トム・クルーズもJ.J.エイブラムスも日本が大好きだという。次回はどんな内容にしても東京を舞台にしたいと考えているそうだ。

『M:i:III』のオリジナル予告編

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