レインマン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『レインマン』とは、1988年にアメリカで公開された、自由奔放な弟と自閉症の兄の心の繋がりを描いたロード・ムービーである。高級車のディーラーの仕事をしているチャーリーの元に疎遠だった父親の訃報が届き、そこで初めて自分に兄がいるという事実を知る。事業が上手くいかず四苦八苦していたチャーリーは遺産目当てに故郷に戻るが、遺産の300万ドルが兄のレイモンドに相続されることを知り、施設にいたレイモンドを半ば強引に連れ去るのだった。

『レインマン』の概要

『レインマン』とは、1988年にアメリカで公開された、勝手気ままな弟と自閉症の兄の心の繋がりを描いたロード・ムービーである。
ロサンゼルスで高級車のディーラーの仕事をしているチャーリーは借金を抱え四苦八苦していた。そんな時、絶縁状態だった父親の訃報が届く。チャーリーは遺産目当てに故郷のシンシナティに戻るが、父親が自分に残したのは車とバラの木だけで、遺産300万ドルは他の人物に渡ることを知る。その人物とはチャーリーの兄であり、そこで初めて自分に兄がいたという事実を知ったのだった。レイモンドは重度の自閉症で施設にいたのだが、チャーリーはレイモンドを誘拐まがいに連れ去る。そして父親の管財人で施設にいるブルーナー医師に、遺産の半分を要求するのだった。飛行機と高速道路に拒絶反応を示すレイモンド。仕方なく一般道でロサンゼルスに戻ることになり、6日間の兄弟の旅が始まる。

自閉症の兄レイモンドとの意思疎通は想像以上に難しいものだった。日々のルーティンを守り、こだわりの強いレイモンドにチャーリーは事あるごとに苛立ちを見せる。しかし、自分勝手で自己中心的なチャーリーと、イレギュラーなことを嫌い受け入れないレイモンドは、相手の感情を無視するという点においては似通った部分があった。そしてなんだかんだとレイモンドの我儘に応えていく内に、チャーリーはレイモンドに対して家族としての愛情を覚えていく。

チャーリーが幼い頃、頭の中で作った空想の友達である「レインマン」は、実はレイモンドであり、チャーリーは覚えていないが、まだ小さかったチャーリーに怪我などさせないようにレイモンドなりに配慮していたという過去を知る。思いがけない兄との出来事に、チャーリーは徐々に兄弟としての情が湧くようになるのだった。

自閉症の兄レイモンドを『卒業』のダスティン・ホフマン、弟チャーリーを『ミッション:インポッシブル』のトム・クルーズが演じる。監督はバリー・レヴィンソンが担当している。
第61回アカデミー賞、第46回ゴールデングローブ賞、第39回ベルリン国際映画祭においてそれぞれ作品賞を受賞した。

『レインマン』のあらすじ・ストーリー

父親の訃報

旅行へ向かうチャーリー(画像右)とスザンナ(画像左)

高級車のディーラーの仕事をしているチャーリー。4台のランボルギーニを購入するがEPA(環境保護局)の検査が長引き、顧客からは納品を迫られ、20万ドル借りた金融会社からは返済をせっつかれている。EPA(環境保護局)とは、自動車を生産、販売する事業者に求められる燃費テストだ。従業員のレニーも対応に追われている中チャーリーは、従業員で恋人でもあるスザンナと週末旅行に出かけるのだった。
スザンナと車でパームスプリングスへ向かう途中、レニーから連絡が入る。「親父さんの弁護士のムーニー氏から電話があった。親父さんが亡くなったそうだ」というレニーからの報告に、感情の揺らぎを見せないチャーリーは、「週末がパァだ」とだけ言った。「チャーリーそんなこと…」と気遣うスザンナに「前にも話したけど」とチャーリーが被せる。「親父とは絶縁状態なんだ。おふくろは2歳の時死んで親父と俺だけになったがうまくいかなかった」と話すチャーリー。沈痛な面持ちで「お葬式、私も行くわ」と言うスザンナに「うれしいけど意味ないよ」とチャーリーは拒否する。スザンナが「行きたいのよ」と再び言うと「分かったよ。気の済むように」とチャーリーは言って車をUターンさせ、故郷のシンシナティへ向かった。

葬儀に参列するチャーリー。親族とも疎遠なチャーリーは、参列者から少し離れた場所から葬儀の様子を見ている。車で待つスザンナに「あとは夜、遺言状を開いて片付く」とだけ言い、車を走らせた。
チャーリーは弁護士から受け取った鍵を持って父親の家に向かった。倉庫に1台の車がある。「49年型ビュイックロードマスター」とチャーリーはスザンナに説明し、昔1度だけ乗ったことがあると言った。
家の中に入るチャーリーとスザンナ。「あなたは1人っ子でお父さんが45歳くらいの時の子?遅く生まれた子だからかわいがったはずよ。冷たくされたなんて思い過ごしよ」とスザンナがチャーリーに話しかけるが、チャーリーは何も答えず家の中を見て回っている。スザンナが「見て。優しそうな父親だわ」と言って家にあった写真を手に取る。そこにはチャーリーの父親と、まだ幼いチャーリーの姿があった。すると「何してる。そんな物に触るな」と声を荒げるチャーリー。「そんなに聞きたきゃ話すよ。親父の宝物はあのビュイックとバラだ。希少価値の車で触らしてもくれなかった。俺が16の時珍しくオールAに近い成績表をもらった。”ご褒美にあの車に乗ってもいい?友達を乗せたいんだ”と言ったら親父は”ダメだ”と言った。俺は鍵を盗んだ」と興奮気味にチャーリーが話すと、スザンナは「無断で?」とチャーリーを非難するように聞いた。チャーリーは「当然の褒美だと思った。だが親父には通じなかった。友達4人と高速で取っ捕まった」と話した。「事故で?」と聞くスザンナに、「パトカーだ。親父は息子が持ち出したと言わずに盗難届けを出した。友達は親が来たが俺は2日間勾留」と説明するチャーリー。驚いたスザンナは「怖かった?」と聞いた。「怖かったさ。それで家を出た」と肩を落とした。「あなたと1年間同棲してそんな話を聞くのは初めてよ。なぜ話してくれなかったの?」とスザンナは寂しげだった。チャーリーはそれには答えず、昔のことを思い出したのか「子供の頃、何か怖いと雨男(レインマン)が歌を」とつぶやく。「レインマン?」とスザンナが尋ねると「子供が頭で作る友達さ」とチャーリーが言う。「今もいる?」と言うスザンナに「俺はもう大人だ」とチャーリーは言い捨てた。

「”お前が怒って捨て台詞を残し家を飛び出した日を覚えている。母親の愛を知らぬ、かたくなな子だった。私に愛も尊敬も示そうとしなかった事は許そう。だがお前は手紙も電話もよこさず私は息子を失った。今はお前の幸運を祈るだけだ”」。
弁護士のムーニーがチャーリーの父親の遺言状を読み上げる。チャーリーは苛立たしげにテーブルの上で指を叩いていた。
「”私は息子チャールズにビュイックを1台贈る。不幸にも父と子の関係を断った車である。また自慢のバラの木を贈る。丹精と完成の美を息子に示すであろう。家屋とその他の財産はすべて信託に委ね、別途作成する書類の定めに従って処理する”」。
ムーニー弁護士が読み上げる父親の遺言状を黙って聞いていたチャーリーは顔色を変え、「もう1度」と言った。ムーニー弁護士は分かりやすく「経費と税金を差し引いた300万ドルを超える全財産はこの書類にある受取人の信託預金となる」と説明した。「誰です?」と動揺するチャーリー。ムーニー弁護士は「それは言えない。金の管理は管財人だ」と言った。「どういう事です?」と、納得のいかない様子のチャーリー。「それ以上は言えない。君の失望はよく分かるよ」と切り上げるムーニー弁護士に「失望?バラの木と中古車をもらいました。その受取人は300万ドルもらったがバラの木はもらわなかった。俺はもらった」とチャーリーは感情を露わにまくし立てる。不服なのは明白だった。ムーニー弁護士は「チャーリー」と言い、なだめる。チャーリーは「落ち着けと言うんですか?落ち着け?もし地獄があるなら親父はそこで俺を見下ろして大笑いしてますよ。あんまりだ。今の遺言を聞きましたか?」と詰め寄る。ムーニー弁護士は冷静に「聞いたよ。君は?」と尋ねた。「もう1度読んで。信じられない」とチャーリーは言い、落胆と怒りでないまぜになっていた。

初めて知らされる兄の存在

車に乗り込むレイモンド(画像中央)、助手席にいるスザンナ(画像左)、車に戻って来たチャーリー(画像右)

翌日チャーリーはスザンナと一緒に信託銀行へ向かった。父親の管財人はブルーナーという人物だと知り、チャーリーはその人物を訪ねる。ウォールブルックという病院だった。会議中だというブルーナー医師を、チャーリーは病院の中を見て回りながら待っていた。

会議を終えたブルーナー医師と話すチャーリー。「なぜそれほど秘密にするんです?父に内妻でも?」と、チャーリーはブルーナー医師に聞く。受取人を聞き出すも、答えてもらえないようだった。「父上への恩義で引き受けた役目だ」とブルーナー医師は話す。「俺にも恩を知れと?」とチャーリー。ブルーナー医師は「君は父上を恨んでる。彼は愛情表現が下手だった。私が君ならやはり恨むだろう」とチャーリーを慮って言った。チャーリーは「父の考えとなぜこうなったか説明してくれ。でないと僕も僕の事情でとことん戦ってやる」と語気を強め反論した。

車で待っていたスザンナは、勝手に運転席に乗り込んできた男と話していた。「これは私の恋人の車よ」と注意するスザンナに「父さんが運転させてくれた」と男が言う。スザンナが「この車を?」と聞くと男は「走行距離は先週からたった45キロ増えてるだけだ」と答えた。スザンナと男の会話はまるで成り立っていなかった。そこへチャーリーがやってきて「こいつは?」とスザンナに聞く。スザンナが「勝手に中へ」と答えると「出ろよ」とチャーリーは男に強く言った。「運転できる」と男が言うとチャーリーは「素晴らしい。早く降りろ」と言って取り合わず、男をどかした。車から降りた男は「シートは茶色の皮だったのにこんなヘンな赤」と呟く。チャーリーは男の言葉を聞いて思い出し、「そういえば茶色だった」と言った。「この車を知ってる?」と男に聞くチャーリー。「知ってる。49年型ビュイック”ファイヤー・ボール8”製造台数は8千95台。父さんが土曜に運転させてくれた」と男は早口で答える。矢継ぎ早にチャーリーが「父さんの名前は?」と尋ねると男は「サンフォード・バビット」と、チャーリーの父親の名前を口にした。驚くチャーリーは「君のおふくろは?」と次々に質問をする。「エレノア・バビット。1965年1月5日病死」と男が答える。チャーリーは、同じ名前の両親を持つその男を追いかけ回しながら「君は誰だ?」と問う。チャーリーから逃げるように歩き回る男は「”テレビ裁判”が始まる」と言って病院の入り口の方へ歩く。外に出ていたブルーナー医師にチャーリーが「あいつは誰です?」と聞くとブルーナー医師は「君のお兄さんだ」と言った。呆気にとられたチャーリーは「兄貴?俺に兄貴が?」と驚きを見せる。チャーリーの兄はずっと何か独り言を口にしながら病院の中へ入って行った。

テレビ裁判という番組を見ているチャーリーの兄の部屋の外の廊下で、ブルーナー医師と再び話すチャーリー。「精神異常?」と言うチャーリーに「違う」と答えるブルーナー医師。チャーリーが「じゃあなぜここに?」と聞くと、ブルーナー医師は「自閉症だ」と答えた。ピンと来ないチャーリーが「それは?」と聞く。「昔は痴呆症と混同されていたが能力に欠陥がある」とブルーナー医師が話す。「知恵遅れだ」と言い放つチャーリーにブルーナー医師は「自閉症だ。知能は高い。知覚のインプットと処理過程に障害がある」と自閉症について説明をするが、チャーリーは混乱する。「意思の疎通と学習能力に障害があり、感情の表現と理解ができない。外の世界が怖くて、決まった儀式的行動に逃げ込む」と、分かりやすく話すブルーナー医師。「日常生活はパターン化。睡眠、食事、排泄、歩き方、言葉。パターンが破られることを嫌う」と続けて話すと、「何年間?」とチャーリーが聞いた。「1960年から。当時20歳くらいだった」とブルーナー医師は答える。チャーリーは「俺は3歳だった。なぜ秘密に?なぜ誰も俺に兄貴がいる事を教えてくれないんだ」と激昂する。するとブルーナー医師が「知っていたら世話したか?」と鋭い質問を投げかける。チャーリーはそれまでの勢いをなくし「さあね」とバツが悪そうに呟いた。そして「遺産の事を知ってるのか?」とブルーナー医師に聞く。「金の観念がない」答えるブルーナー医師。チャーリーは「金の観念がない?300万ドル相続して金の観念がない?そいつはいいや。親父らしい」とあざ笑っていた。

チャーリーの兄は”テレビ裁判”を見終えてからずっと独り言を繰り返していた。「何をしゃべってる?」とチャーリーが聞く。チャーリーとスザンナはチャーリーの兄の部屋にいた。「アボット・コステロのギャグだ。不安になった時の口癖だ」とチャーリーの兄の世話をしている、病院の職員であるバーンという男が答えた。「台詞の記憶を?」とチャーリーが聞くと「記憶力はすごい」とバーンが言った。チャーリーは本棚の前に立ち「読書も?」とバーンに聞く。バーンは「読むとみんな覚える」と答えた。チャーリーが本棚から1冊本を抜き取ると、チャーリーの兄は更に落ち着きをなくし「バーン。この人たちまだここに?今日は訪問日じゃない」と困惑した様子だった。本を開くチャーリーに「よせ。嫌がってる」とバーンが注意する。チャーリーは、開いた本の表紙の裏に「レイモンドへ 父より」と書いてあるのを見つけた。チャーリーの兄の名前だった。「本を元に戻して」とスザンナも注意する。チャーリーはそれらを無視して「シェイクスピア読んだのか?」とレイモンドに聞いた。「知らない」と答えるレイモンド。「マクベスを?」と聞くチャーリー。「知らない」とレイモンドが言う。「ハムレットも?」と懲りずにチャーリーは尋ねるが「知らない」としか言わないレイモンド。「本があって読んだかどうか分からない?」と、チャーリーはレイモンドを問い詰める。レイモンドは「知らない」と繰り返していた。チャーリーは、バーンが言ったレイモンドの記憶力をにわかには信じ難いようで「落ち着けレイモンド。もう触らないよ」と言って本を戻し、鼻で笑うのだった。

「もう大丈夫だ。俺は親友だろ?」とレイモンドにバーンが笑いかける。レイモンドは「バーンは僕の親友。親友だ」と繰り返し、落ち着きを取り戻す。スザンナはレイモンドの私物である野球選手のカードを持ってレイモンドの近くへ行き「カードをいじってごめんなさい。どこへ置けばいい?」と聞いた。レイモンドはカードを受け取り「何か処方薬を飲んでる?」とスザンナに聞いた。訳が分からないスザンナがバーンの方を見ると、バーンは「好きな人にはそう言う」と笑った。「体に触ったら嫌がったわ」と言うスザンナに「誰にでもそうだ。親しい俺にも触らせない。9年面倒見てるのに。俺が明日消えても気付かない。人間に関心がないんだよ」とバーンは言った。すると、本を戻してから口を閉ざしていたチャーリーが「レイモンド。散歩に行かないか?」と突然レイモンドを誘った。レイモンドは何も答えず、一心不乱に野球選手のカードを見ている。バーンが「外のアヒルを見せてやれ」とチャーリーに助け船を出すと、レイモンドは「クイズ番組まであと27分だ」と言った。「それまでには戻るよ」と返すチャーリーに、レイモンドは腕時計で時間を確認しながら「正確には26分だ」と言った。

レイモンドを連れ出すチャーリー

病院の外で話をするレイモンド(画像右)とチャーリー(画像左)

チャーリーはスザンナに、車を門の所まで移動して待っていてほしいと伝え、チャーリーとレイモンドは病院の敷地内を散歩した。アヒルがいる近くのベンチに腰を下ろし、「親父が先週死んだ。聞いたかい?」とチャーリーはレイモンドに聞いた。「知らない」と答えるレイモンド。「”知らない”って、親父が死んだ事が?」とチャーリーが尋ねるも、レイモンドは何も答えない。チャーリーは「つまり親父は死んで墓に埋められたんだ。墓に行ってみたいか?」と聞く。レイモンドはまたも「知らない」と答える。「行ってもいいって事か?」とチャーリーは聞くが「知らない」としか言わないレイモンド。話にならないと思ったチャーリーは野球の話をした。「俺はロスに住んでる。ドジャーズの試合を見られる」と言い、レイモンドの興味を引こうとした。レイモンドは「今日は試合はない。月曜は休みだ」と、”知らない”以外の言葉を口にする。チャーリーが「バレンズエラが投げるのを見たいだろ?」と言うと「土曜に投げた。次は水曜だ」とレイモンドが答える。チャーリーは「水曜はちょうど暇だ。ロスへ行こう」と強引にレイモンドを誘い立ち上がる。「カリフォルニアは遠い。外出は2時間と決められている。2時間だ」とレイモンドが言うもまともに取り合わず、「満員の見物客、歓声。楽しいぞ」とレイモンドを連れ出す。レイモンドは「2時間だ」と繰り返していた。

門で待つスザンナの元へ向かうチャーリーとレイモンド。バーンは病院の2階から、病院と反対方向へ歩いて行く2人を怪訝そうに眺めていた。
チャーリーとスザンナはレイモンドを乗せて車を走らせる。レイモンドは後部座席に乗っていたが、不安からか挙動不審な様子だった。

ホテルに到着した3人。「スウィートルームだぞ。左はレイモンドの部屋だ」とチャーリーが言う。「僕の部屋じゃない」と落ち着きのないレイモンドに「今夜だけよ」とスザンナが優しく声をかける。「病院へ帰る」と言って部屋を出ようとするレイモンドを止めながら、「ブルーナー先生が僕らと行けと言ったんだよ」とチャーリーは嘘を付く。門で待っていたため経緯を知らないスザンナは「本当に?」と不安そうだった。「僕の部屋じゃない。ベッドの場所も違う。もっと窓のそばへ。僕の本がない。本棚もない。本がない」と不安そうなレイモンドにチャーリーは「電話帳がある。字がいっぱい書いてあるぞ」と言って、ベッドサイドにある引き出しから電話帳を出してレイモンドに渡した。レイモンドは黙って電話帳のページをめくり、「夕食は6時半」と言った。
チャーリーがどうやってレイモンドを連れ出したのか知らないスザンナは不安になり「本当に医者が許可したの?信じられないわ」と言うが、チャーリーは「心配するな」とだけ答えるのだった。

決まった配置を好むレイモンドは、ホテルの部屋を自身の部屋のレイアウトに似せるためソファなどの移動を始める。ベッドサイドにあるライトが乗った台を机代わりにするため移動させようとした所、ライトが転倒してしまい混乱するレイモンドは「バーン!」と呼びかける。バーンはレイモンドの世話をしているウォールブルックの職員だが、レイモンドは彼がここにいない事、そしてなぜいないのかを理解していないのだ。別の部屋にいたチャーリーとスザンナにも慌てているレイモンドの声は届き、「行って見てきてくれ」とチャーリーはスザンナに頼む。スザンナはレイモンドのいる部屋へ向かうが、レイモンドは「バーン」と繰り返し錯乱状態だった。その様子を見て「病院へ連れて帰りましょう」と言うスザンナにチャーリーは「食事をさせりゃ落ち着くよ」と平然と言ってのけ、「ハンバーガーにするか?」とレイモンドに聞く。レイモンドは「月曜はペパロニ・ピザだ。月曜はイタリアン」と落ち着かないながらも答えたのだった。
落ち着いてきたレイモンドはテレビを観ていた。バラエティ番組の冒頭の台詞を完璧に暗記しているレイモンドに、スザンナは驚きながら楽しそうに笑っていた。

夜、レイモンドが電話帳を見ていると、別の部屋から声が聞こえてきた。テレビが点いていない事を確認するレイモンドは、その声がする部屋の方へ向かう。そこはチャーリーとスザンナの部屋だった。勝手に入って来たレイモンドに激怒したチャーリーは「早く出て行け!」と怒鳴る。レイモンドは言われるがまま出て行った。「一緒に行ってあげて。あなたのお兄さんでしょ。こんな所へ連れてこられて不安なのよ」とスザンナはレイモンドを気遣う。仕方なくレイモンドの元へ向かうチャーリー。「レイモンド。俺の部屋に何か?」とチャーリーは問い詰める。レイモンドは「音がした」と答えるが、電話帳を夢中で読んでいた。「お前には関係ない。本を置いて早く寝ろよ」とチャーリーは言うがレイモンドは何も答えない。「聞こえないのか?寝ろよ」とチャーリーは強く言い放つ。「消灯は11時だ」とレイモンドは呟いた。

バスルームにいるスザンナの所へ行くチャーリー。スザンナは「何を言っても無駄ね。彼に謝らずにまた怒鳴った」と、レイモンドに対するチャーリーの態度に腹を立てていた。「子守唄を歌うのか?」とチャーリーは茶化す。「あなたのお兄さんよ!今日初めて会ったのに嬉しそうな顔もしない。何も感じないの?」とスザンナは怒りを露わにする。「分かってない」とチャーリーはこぼした。スザンナが「分かるわけないでしょ?私に何も話してくれずウソばっかり」と言うと、「俺がウソを?」とチャーリーが感情的になる。「先生が許可したなんてウソよ。なぜお兄さんを連れ出したの?」と詰め寄るスザンナ。「親父が頭に来たからだ」とチャーリーは当然のように言う。「それでレイモンドを?」とスザンナが不審げに尋ねる。チャーリーは「奴らが思い知る」と言った。遺産の件を知らないスザンナは訳が分からず「どういう事?」と声を荒げる。チャーリーは「遺産はあいつに。300万ドルそっくりだ。半分もらうまで奴を預かる」と言った。スザンナは勢いよくバスルームを出る。「もうたくさんよ。出て行くわ」と言い着替えを始めるスザンナ。「出て行く?俺には君が必要なのに?」とチャーリーが言うと、「必要?笑わせないで」とスザンナは吐き捨てる。チャーリーは「俺が何したんだよ」大声を出す。「人を利用してるわ」と、荷造りする手を止めることなく話すスザンナは「レイモンドに私。みんなを利用してる!」と激昂した。納得のいかない様子のチャーリーは「レイモンドを?俺が利用してるか?」と言い、「あいつが300万ドル持ってどうする。俺は金が要るんだ」とチャーリーはスザンナの後ろを付いて回りながら話す。「彼から盗むのね。彼はどうなるの?」とスザンナが言うと「その金でもっといい病院へ入れる。親父の金だ。俺にも半分もらう権利がある」とチャーリーは言った。「彼を誘拐したのね。狂ってる」とスザンナ。2人の言い争いはヒートアップしていた。チャーリーはドアの方へ向かうスザンナを掴み、「親父に踏み付けられて君までこれか」と言うが、スザンナはチャーリーを振りほどき部屋から出て行く。チャーリーは呆然とし、独り言を繰り返すレイモンドを一瞥した後、自分の部屋へ戻って行った。

レイモンドの才能

レストランにいるレイモンド(画像左)とチャーリー(画像右)

翌朝レストランで朝食を摂るチャーリーとレイモンド。レイモンドは不安なのか、アボット・コステロのギャグを繰り返している。レイモンドが不安な時の口癖だ。チャーリーとレイモンドのテーブルにやって来たウェイトレスの名札を見て、「サリー・ディブス461−0092」と突然レイモンドが口にする。ウェイトレスは険しい顔付きになり「なぜ私の電話番号を?」と聞いた。不思議に思ったチャーリーが「どこで?」とレイモンドに聞くと「ゆうべ電話帳で見た。461−0092」と答えるレイモンド。「この男は変な事を覚えちゃうんだ」とチャーリーが言うとサリーは笑ってキッチンの方へ戻って行った。サリーが去った後、「どうやって覚えた?全部暗記を?」とレイモンドに聞くチャーリー。レイモンドは「ノー」と言った。チャーリーが「じゃあ途中まで?」と聞くと「”G”まで。W・ゴッドセイカーまで」とレイモンドが答える。「”G”まで暗記したのか?」とチャーリーは信じ難い様子だったが「そいつは素晴らしい」と言った。レイモンドはテーブルの上の砂糖やシナモンの位置を正していた。「何を食べる?」チャーリーが聞くと「火曜はホットケーキ。シロップ付き」とレイモンドが答える。チャーリーは「いいね」と言いメニュー表を眺めた。すると落ち着かない様子のレイモンドは「テーブルにシロップがない。シロップと楊枝」と言った。「注文してからだ」となだめるチャーリーだが、レイモンドは「シロップがない」と繰り返す。チャーリーは「ホットケーキを注文したら一緒に来る」と言い聞かせた。「シロップは先にテーブルに。ホットケーキの後からじゃ遅い」と、異例な事を嫌うレイモンドは聞き入れない。「まだ何も注文してないんだよ」と説明するチャーリー。「シロップも楊枝もテーブルにない。絶対に嫌だ。ホットケーキの前に…」とレイモンドが興奮しだした時、チャーリーがレイモンドの首を掴み顔を近寄せ、「騒ぐな。バカだと思われるだろ」と言った。するとレイモンドは鞄からノートを取り出し何かを書き込む。チャーリーに見えないように書いている様子を見て、「何してる。何を書いてる。見せろ」とノートを奪うチャーリー。そこには”暴行記録チャーリー・バビット”とあった。それを見たチャーリーは「”暴行記録”?ふざけるな」と激怒しノートを投げつける。レイモンドはノートを手にして「18件目1988年首を乱暴に押さえた」と記入した。

レストランでブルーナー医師に電話をかけるチャーリー。「どこにいる?すぐ連れて戻りたまえ」とブルーナー医師は言う。「150万ドルもらえたらすぐ返す。欲は出さない」とチャーリーは言うが、「金をやる事などできん。今すぐ連れて戻りたまえ」とブルーナー医師は繰り返す。そして「元々強制入院患者ではない。だが彼のためにはここが1番なんだ」と言うブルーナー医師に、チャーリーは「そんな事はどうでもいい。俺は財産の半分をもらう権利がある。ロスの施設に入れて彼の保護権利を求めて訴訟を起こす」と言った。楊枝を求めてレストランをうろつくレイモンドを見てチャーリーは「彼に楊枝を」とウェイトレスに頼んだ。そして話に戻り「法廷へ出て戦いたいか?それが嫌なら今すぐ半額を」と言い放つ。ブルーナー医師は「彼の障害度も知らずに君に金を渡す事などできん」と、拒否をする。両者の言い分は交錯していた。埒が明かないと感じたチャーリーは「では法廷で会おう」と言って電話を切った。

一方、ウェイトレスはレイモンドに楊枝を渡そうとしたが、ウェイトレスの手が滑り床にこぼしてしまう。床にばら撒かれた楊枝を見てレイモンドは、「82…82…」と呟く。チャーリーが食事の会計をしながら「82?」と聞く。「楊枝」と答えるレイモンド。チャーリーは「82本より多いよ」と関心を示さない。するとレイモンドは「全部で246本落ちてる」と言った。半信半疑のチャーリーが「それは何本入り?」と楊枝を箱からこぼしたウェイトレスに聞くと「250本よ」と答えた。「かなり近かったな」と言うチャーリーにレイモンドは「246本だ」と繰り返す。チャーリーとレイモンドが店から出ようとした時、「4本箱に…」とウェイトレスが呟いた。あまりの正確さにチャーリーは絶句していた。

飛行機を拒否し大声を出すレイモンド(画像左)と慌てるチャーリー(画像右)

レストランを後にしたチャーリーはレイモンドを乗せ車を走らせる。空港に着いたチャーリーはレニーに連絡を入れた。「車が検査をパスしなきゃ破産だ。借金の期限は切れてる。俺は3時間でロスに着く」と話す。まだEPA(環境保護局)を通過しておらず、かなり切羽詰まっている様子だった。
電話を終えたチャーリーは「レイモンド。行こう」と言い飛行場へ向かう。しかしその途中でレイモンドは「あれは飛行機だ」と言って拒絶反応を引き起こす。「危険だ」と言って拒否をするレイモンド。「飛行機は安全な乗り物だよ」とチャーリーが言うが「嫌だ。1987年に30件の事故が起こった。211人の乗客が死んだ」とレイモンドは言う。出発時刻が迫っているのか、腕時計で時間を気にしながらチャーリーは「俺たちの乗る飛行機は安全だ」と急ぐ。しかしレイモンドはその場から動こうとしない。「この航空会社が嫌なのか?それなら変えよう。アメリカン航空は?」と、なんとしても早くロスに帰りたいチャーリーは提案する。「625便が1976年4月27日に墜落した」呟くレイモンド。「じゃあ他の会社にしよう。コンチネンタル」と、チャーリーは諦めずにフライト情報を見るが、「1713便が1987年11月15日に墜落。28人が死亡」とレイモンドは次々と事故の事例を上げる。痺れを切らしたチャーリーは「よく聞け。俺は何が何でもロスへ戻らなきゃいけない。だから乗るんだ。もう1つデルタ便がある。真夜中の便だが仕方ない」と説得するも、「1987年8月2日ダラス発の便が墜落した」とレイモンドは答える。レイモンドはすべての飛行機事故を記憶していた。「どの会社も事故はある。だがそれが危険って事ではない」と尚も説得を続けるチャーリー。するとレイモンドが「カンタス。事故がない」と言った。チャーリーは呆れ、「それはロスへは行かない。カンタスはメルヘボンへ飛ぶんだよ。メルヘボン経由でロスへ帰るのか?この飛行機に乗るんだよ来い!」と声を荒らげレイモンドを無理矢理引っ張る。するとレイモンドは頭を叩きながら大声を出しパニック状態になってしまった。慌てふためくチャーリーはレイモンドの手を押さえ「分かった。乗らないよ。落ち着け。飛行機はやめるよ」と言った。レイモンドは落ち着きを取り戻し「乗らない」と言った。チャーリーは腹を立て「頭に来るぜ。車でロスへ帰るわけだ。それでご満足か?早く来い」と吐き捨てる。そして「俺がどうなるか分かるか?3時間の所が3日かかる」と言い飛行場を後にした。レイモンドは「もうじき5時だ。”テレビ裁判”が始まる」と呟いた。

飛行機を諦め車を走らせるチャーリー。辺りはすっかり暗くなっていた。前方で事故があったようで足止めを食らう。すると、横転した車を見て驚いたレイモンドは突然車を降りた。「レイ。どこへ行く」とチャーリーが叫ぶ。レイモンドは「高速を通るのは危険だ」とぶつぶつ言っている。チャーリーは「車に戻れ。この渋滞はすぐ抜けられるよ」とレイモンドに言うが「絶対に死亡事故だ」と言って車に戻ろうとしない。すると警察官がレイモンドに近付き注意をする。チャーリーは車を降りてレイモンドの元へ駆け寄るが、後続車からのクラクションが鳴り響く。仕方なく車に戻ろうとするチャーリーは、道路の端を歩いて行くレイモンドに「真ん中に出るなよ。レイ!そこにいろ!」と叫ぶ。そしてレイモンドのそばに車を寄せ「何のマネだ!」とチャーリーは怒鳴る。「高速は危険だ」と繰り返すレイモンド。チャーリーは「高速を降りりゃいいのか?降りるから早く車に乗れ!」と強く言う。レイモンドは「1986年には46,200人が死んだ」と言い、車に乗ろうとしない。仕方なくチャーリーは「よし。高速を出るまで車の前を歩いて行け。危険じゃない道へ出たら車に乗る。素晴らしいアイディアだろ?」と投げやりに言う。そしてレイモンドの後ろを、チャーリーはゆっくりと車を走らせた。レイモンドは不安な時の口癖、アボット・コステロのギャグを繰り返していた。
ようやく一般道に出た所でレイモンドは車に乗り込み、「11時までに帰らなきゃ。消灯は11時だ」と言った。チャーリーは「飛行機も高速もダメ。これじゃ遅れる一方だ。ロスで仕事が待ってる。止まっていられるか」と毒づく。「テレビを見て11時に寝る」と繰り返すレイモンドに「忘れろ」と吐き捨てるように言うチャーリー。結局、モーテルに泊まる事になった。

運転中のチャーリー(画像右)と助手席のレイモンド(画像左)

翌日は雨だった。「”雨の日は外に出ない”か。素晴らしい。これで俺の商売はトイレに流れた」と、窓の外を見ながら皮肉を言うチャーリー。レイモンドが「12時半。ランチだ」と言う。「今日はなんだ」と聞くチャーリーに「魚のフライ。デザートはゼリー」とレイモンドが答える。レイモンドの儀式的行動は徹底していた。チャーリーは昼食を買いに出かけて行った。
翌朝雨は上がり、出発するチャーリーとレイモンド。車を走らせていると「僕運転できる。父さんが教えてくれた」とレイモンドが言った。「父さんに?それじゃあいつか運転させよう」とチャーリーが言うと、突然運転しているチャーリーのハンドルを切るレイモンド。チャーリーは大慌てでハンドルを戻し「俺が運転してる時にハンドルを触るな!」と怒鳴る。するとレイモンドは「パンツがない」と突拍子もない事を言い出す。「俺のを貸したろ?」と言うチャーリーに「ポケットに入ってる。窮屈だ。Kマートで買う」とレイモンドが言い「シンシナティのKマート?」とチャーリーが聞くと「オーク通りの」とレイモンドが答える。チャーリーは「そこでなくても売ってるよ」と言うが、レイモンドは「オーク通りのKマートだ」と繰り返す。会話が成立しないレイモンドに「言葉は分かるんだろ?」と苛立ちを募らせるチャーリー。レイモンドが「窮屈だ」と答えると、チャーリーは「言うことが分からないのか?黙れ!」とハンドルを叩き激怒した。レイモンドは耳を塞ぎ、「シンシナティのKマートからだんだん離れてく」 と言った。「あそこへは戻らない。レイ。よく聞け」と言い、車を止めてチャーリーは外へ降りる。そしてレイモンドに向かって大声で「気が狂う!パンツはどこで買おうと同じだろ?いいか。パンツはパンツだ!どこで買っても同じなんだよ。何が自閉症だ。俺は騙されないぞ!本当は通じてるんだ!」と叫ぶ。レイモンドは「Kマートのトランクスを」と呟く。「精神科の医者を探す。こっちまでヘンになる」と独り言のように言いながら車に乗り込んだ。チャーリーは自閉症というものがどんな障害なのか、どういう症状なのか、全く分かっていなかったのだった。

ある病院を訪ねたチャーリーとレイモンド。チャーリーはレイモンドの障害をいまいち理解出来ずにいるためレイモンドの言動を芝居だと思ってしまい、医師に助言を求めた。「それでどうしたらいいんです?」とチャーリーは医師に聞く。「私は精神科医でなないが、脳に障害があるんだ。決して芝居でなない。神経に触るなら少し離れる事だ」と医師は言った。チャーリーは「我慢するほかないわけですね」と肩を落とす。医師は「そういう事だ。これは私の好奇心だが、何か特殊な能力が?」とチャーリーに聞く。「記憶力がよくて楊枝を数えた。床にばら撒かれた楊枝を見て一瞬の間に数えた」と医師に説明するチャーリー。「レイ。数字に強いんだって?」と医者がレイモンドに話しかける。すると医師は何かを思い出したのか「学界誌で読んだ事が…」と呟きながら電卓を手に取り「レイ。計算を」と言った。「312掛ける123は幾つだ?」と医師が聞くと「38,376」と瞬時に答えるレイモンド。医師は「合ってる」と小声で言う。「合ってる?」と驚きを隠せないチャーリー。続けて医師が「ではこれは?4,343掛ける1,234は?」と聞くと、レイモンドは「5,359,262」とこれもまた即座に答えた。チャーリーは「天才だ」とささやく。「レイ。2,130の平方根は幾つかね?」と医師が尋ねると、「46.15192304」と考える様子もなくレイモンドは答える。「すごい!NASAに勤められる」感心するチャーリー。医師はレイモンドの方へ近付き、「1ドル持ってて50セント使ったら残りは?」と聞いた。レイモンドは「70セント」と答える。するとチャーリーが「NASAはダメだ」と呟いた。「キャンディーの値段は?」と医師がレイモンドに聞くと「100ドルくらい」とレイモンドは言い、医師が続けて「新車の値段は?」と聞く。レイモンドは「100ドル」と答えたのだった。
レイモンドは4桁の掛け算は出来ても物の価値などは分からず、金銭感覚もまるでないのだ。チャーリーはじっとレイモンドを見つめる。レイモンドの障害を自分なりに解釈し、理解しようと努め始めているようだった。

レインマンの正体

昔の話をするレイモンド(画像右)とチャーリー(画像左)

”テレビ裁判”がどうしても観たいレイモンドのためにチャーリーはある農家を訪ねた。視聴率調査員を装い「今回お宅がこの地域の調査対象家庭に選ばれました」と話すが門前払いされてしまう。あと1分で始まる”テレビ裁判”を観たいレイモンドとチャーリーが家の外で揉めていると、「何事なの?」とドアが開く。チャーリーは「今の話はウソです。彼は僕の兄です。”テレビ裁判”を見逃すと暴れ出します。どうか見せてやって下さい」と正直に話しお願いした。そしてレイモンドは無事にその家で”テレビ裁判”を視聴する事が出来たのだった。

番組が終わり、農家を後にするチャーリーとレイモンドはモーテルに泊まる。「もう戻れない。遠くに来すぎた」とレイモンドが言うと「あと2日だ」とチャーリーが答えた。するとレイモンドはまたアボット・コステロのギャグを口にする。「”1塁手はだれだ。セントルイスの1塁手だ。だからそいつの名前は?」とレイモンドが繰り返す。チャーリーは「モーテルに着くたびにそれか」と言い、「レイ。それはなぞなぞじゃないんだよ。”だれ(フー)”っていう名前の1塁手なんだよ。そのギャグが分かりゃお前も少しは進歩する」と言って部屋の中へ入って行く。しかしレイモンドはそのギャグを繰り返し中に入ろうとしない。部屋から出てきたチャーリーは「ベッドを窓に付けた。ジュースもある。ペンと紙もテーブルの上に置いた」と言って、レイモンドを中に入れた。

レイモンドがバスルームで歯磨きをしている時、「医者が今日計算をさせたろ?なぜ答えが?」とチャーリーが聞くと、レイモンドは「見える」と答えた。歯磨きを止めずに答えるためうまく聞き取れないチャーリーは聞き返すが、歯ブラシを動かし続けるレイモンド。チャーリーは「話をしてるから歯ブラシは置くんだ。よせと言ったらよせ。いいな。レイモンド」とこれまでよりずっと優しく話しかける。するとレイモンドが笑った。「何がおかしいんだ?」と聞くチャーリーに「おかしなレインマン」とレイモンドが呟く。チャーリーは驚き「なんだって?」と尋ねる。レイモンドは「おかしな歯のレインマン」と言った。「レイモンドがレインマン?お前があのレインマン?」と問いただすチャーリー。チャーリーは、自分が頭の中で作ったはずの友達の名前を、なぜレイモンドが知っているのか不思議だった。するとレイモンドが幼い頃のチャーリーと若い頃のレイモンドが写っている写真を渡した。「誰が撮った?」と聞くチャーリーに「父さん」とレイモンドが答える。チャーリーは「あの家で?いつまであそこにいた?」と聞くと「1965年1月21日。木曜日。雪が降ってた。1日で20センチも積もった」と話すレイモンド。「母さんが死んで…」とチャーリーが言いかけると「1965年1月5日に死んだ」とレイモンドが言う。「自分が家を出た日を覚えてる?俺はその時どこにいた?」とチャーリーは、思い出せない記憶を埋めるかのように質問を重ねる。レイモンドは「窓で手を振ってた。”バイバイレインマン!バイバイ”」と答えた。「あの歌を歌ってくれた?」とチャーリーが聞くと、レイモンドは「そうだ」と言って歌い始める。徐々に思い出してきたチャーリーも一緒に歌い出した。チャーリーが子供の頃、よく歌を歌ってくれていたという「レインマン」。チャーリーは空想の人物だと思っていたが、その正体はレイモンドだったのだ。
そしてチャーリーが湯船にお湯を溜めようと蛇口をひねると、出てきたお湯を見て大声を上げパニックを起こすレイモンド。自分の頭を叩き錯乱状態に陥ってしまった。驚いたチャーリーは慌てて蛇口を閉める。「ベイビーが火傷を!」とレイモンドが叫ぶ。「ベイビーが?俺の事か?」とチャーリーが問う。レイモンドは「ベイビーが火傷を!」と繰り返す。チャーリーは「見ろ。火傷なんかしてない。大丈夫だ」とレイモンドを落ち着かせる。次第に落ち着いてきたレイモンドは、チャーリーの頭をポンポンと叩きバスルームから出て行った。

チャーリーは「僕をケガさせると思って病院へ…」と呟く。レイモンドは小さい声で何かを繰り返し口にしていた。聞き取れないチャーリーは「さあ。消灯の時間だよ」と言って、ベッドに腰掛けるレイモンドの靴を脱がせてやると、「チャーリーにケガさせるなチャーリーにケガさせるな」とレイモンドは言っていた。チャーリーは黙って、レイモンドに布団を被せた。
チャーリーは、まだ小さかった自分にケガをさせてしまいそうになったため、レイモンドは病院へ行ったという事実をこの時初めて知る。自分が産まれた事で家にいられなくなってしまったレイモンドに対し、チャーリーは責任を感じたのだった。

チャーリーはスザンナに連絡を入れる。「君と別れたくない。別れるなんて怖いんだ」と言うチャーリーに「急に言われても困るわ。考えさせて」とスザンナは答えた。チャーリーは「戻ったら連絡する」と言って電話を切った。

カジノでゲームをするレイモンド(画像左)とチャーリー(画像右)

翌日、レニーに連絡を入れるチャーリー。期日までに納車する事が出来ず借金も返せず、事業が失敗した事を思い知る。
レイモンドはチャーリーにポータブルテレビを買ってもらい、いつでもテレビを観る事が可能になった。ラスベガスまで着いた2人はレストランに寄る。店内を流れる音楽を聴いて「J7」と突然口にするレイモンド。チャーリーはテーブルに置かれたジュークボックスを見る。そして横を向いてとレイモンドに言い、「”18の車輪とバラ”は何番?」と聞くと、レイモンドは「E5」と答えた。「”偽りの心”H・ウィリアムズは?」とチャーリーが言うと「H・ウィリアムズ・”ジュニア”だ。D1」と答える。続けてチャーリーは「ケンタッキーの青い月」と聞き、レイモンドは「ビル・モンローT5」と即答した。レイモンドは、ジュークボックスの曲名と数字の一覧表をすべて暗記していたのだ。
事業に失敗したばかりのチャーリーはこれで金儲けが出来るかもしれないと企み、トランプを使って確かめる。チャーリーが適当にトランプを並べて行き、手元に残ったカードが何かを聞くと、レイモンドはすべて言い当てたのだ。興奮したチャーリーはそのままカジノへ向かうのだった。

道中、カジノの説明を始めるチャーリー。「カードを数えてる事を見破られるな。1番重い罪だ。いいか忘れるなよ」とレイモンドに話すと、「カードを数えちゃいけない」とレイモンドは答えた。
チャーリーは腕時計を売り、レイモンドにスーツを買いヘアサロンでセットしてもらう。スーツに着替えた2人はカジノに到着し、チャーリーは「レインマン。いっちょやろうぜ」と調子のいい事を言った。
チャーリーはカードゲームでレイモンドの能力を上手く使い、勝ち続ける。ギャラリーも集まり大盛りあがりだった。イカサマを疑うスタッフはモニター室へ連絡するが、すり替えている様子や不審な行動もないと判断し、「6組のカードを記憶出来る人間はいない」と言った。結果、8万6千ドル勝つのだった。

ゲームを終えたチャーリーとレイモンドはカジノのバーで飲んでいた。チャーリーがトイレで席を立つと、近くに座っていた女性がレイモンドに近付き「デートの相手を捜してるの?」と聞いた。レイモンドは「知らない」と答える。「名前は?」とその女性が聞き、「レイモンド」と答えるレイモンド。「私はアイリス。私が好き?」とアイルスはレイモンドに尋ねる。「知らない」とレイモンドが言うと「もっとよくお互いを知り合いましょうよ」とアイリスは言い、レイモンドは「知り合う」と答えた。レイモンドはアイリスが身に着けているアクセサリーの輝きに興味を示していた。そこでチャーリーが戻ってきて「彼はカモれないぜ」とアイリスに言う。アイリスは「ただ話をしてたのよ」と答えた。「隅に置けないな」とチャーリーが笑うと、「お互いを知り合う」とレイモンドが言った。「いいでしょ?」とアイリスはチャーリーに尋ねる。チャーリーが「知り合いになったのかい?」とレイモンドに聞くと、レイモンドは「話して知り合う」と言った。「念のためこっちにいるよ」とチャーリーは言って、離れた場所に座った。「あれは誰?」とアイリスがレイモンドに聞く。「弟だ。一緒にいる」とレイモンドは言った。アイリスが「若い弟ね」と言うと「1962年8月12日生まれ日曜日だ」と答えるレイモンド。怪訝そうな顔をしたアイリスは話を変えようと「ベガスで何を?」と聞いた。レイモンドは「カードを数えてる」と話す。「カードを数えてる?他には?」と尋ねるアイリスに「カードを数えてる」と同じ事を言うレイモンド。アイリスが「だからその他は?」と聞くとレイモンドは「処方薬飲んでる?」と言った。気に入った人に聞く質問だったがアイリスは気分を害したようで立ち去って行った。「デートの時間は?」と立ち去るアイリスにレイモンドは聞く。アイリスは「10時に」と適当に答えた。
去って行くアイリスを見てレイモンドの所へ戻るチャーリー。「気に入ったのか?」とチャーリーが聞くと「ピカピカしてる」とレイモンドは言った。

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