ミッション:インポッシブル(M:I)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

1966年から7年間放送された往年の人気TVシリーズ「スパイ大作戦」を基に、トム・クルーズが主演と初のプロデューサーを兼ね、ブライアン・デ・パルマ監督で映画化したスパイ・アクション超大作。1996年製作のアメリカ映画。スパイ組織IMFに属するイーサン・ハントは、ある任務に失敗し多くの仲間を失うが、生き残ったことで裏切り者にされてしまう。身の潔白を証明するため、新たなメンバーと独自に捜査を開始する。

「ミッション:インポッシブル」の概要

「ミッション:インポッシブル」は、日本でも放送されたアメリカのTVドラマ「スパイ大作戦」(1966~73)を基に、主演のトム・クルーズが初の製作も兼ね、映画化権の交渉から3年に及ぶ準備期間を経て、自身のプロダクション〈クルーズ‐ワグナー・プロ〉の第1回作品として完成させた1996年のアメリカ映画。
製作は共に初プロデュースとなるトム・クルーズとパートナーのポーラ・ワグナー。トム・クルーズが自ら選んだという監督には「キャリー」「アンタッチャブル」のブライアン・デ・パルマ。撮影はデ・パルマ監督とは6作目となるスティーブン・H・ブラムが担当している。
音楽は、ティム・バートンやサム・ライミの映画では常連の作曲家・ダニー・エルフマンがスコアを書き、ラロ・シフリンが作曲した有名なTV版のテーマ曲を、ロックグループ〈U2〉のアダム・クレイトンとラリー・ミューレンがアレンジ・演奏している。

TV版「スパイ大作戦」の冒頭で、テープレコーダーに録音された指令の最後に「例によって、君、もしくは君のメンバーが捕えられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこのテープは自動的に消滅する。成功を祈る」とのメッセージが入っており、指令再生が終わると自然発火するなどの仕掛けで消滅し再生が出来ない状態になるという有名なシーンがあるが、本作ではテープレコーダーをビデオカセットテープに置き換えて再現している。

「ミッション:インポッシブル」あらすじ・ストーリー

IMFと呼ばれる秘密工作機関のボスであるジム・フェルプスは、飛行機の座席で乗務員から映画のビデオと称されたビデオテープを渡され、新たな任務の内容を聞く。それは「東欧に潜入しているCIA諜報員のリスト"NOC"を盗んだプラハの米大使館員・ゴリツィンと、情報の買い手を捕らえること」だった。そのテープは、聞き終わるとすぐにその場で自動消去された。

プラハのアジトで、ジムを中心にチームのIMFメンバー、リーダーのイーサン・ハント、ハッカーのジャック、工作員のサラ、監視役のハンナ、ジムの妻であるクレアが集まり、作戦会議を開いていた。"NOC"にはコードネームと本名の2つのリストがあり両方が無いと意味をなさない。盗まれたのはコードネームのリストであり、ゴリツィンはもう1つのリストを入手するため、翌日、大使館のパーティに現れるという。
そしてパーティ当日、ジムの指示で、IMFのメンバーは、大使館に潜入する。彼らはゴリツィンがリストを盗む場面の記録に成功するが、直後にジャックがエレベーターの誤作動で圧殺され、ジムも何者かに銃撃されて川に転落する。この一部始終をみたイーサンは計画中止を他のメンバーに伝えるが、サラとクレアは車中で爆殺され、ハンナも監視していたゴリツィンとともに刺殺されており、ゴリツィンの盗んだリストもどこかへ消えてしまうのだった。

作戦に失敗し仲間を殺され、動揺を隠せないイーサンだったが、CIAでIMFの監督官でもあるキトリッジへ連絡を取り、カフェで落ち合う。イーサンはパーティ会場でIMFの別チームが動いていたことに気付いていて、その事をキトリッジに問う。キトリッジは「2年前からIMFの作戦が外部に漏れ始めた。内通者がいるらしい。そこで今回は、ゴリツィンを囮にして、内通者の背後にいるという情報を入手した”マックス”という武器商人にニセのリストを盗ませ、その内通者をあぶり出す<JOB(ヨブ)3-14作戦>という作戦だった。そして本来のリストはCIA本部に保管されている。」と答える。そしてキトリッジは、唯一生き残ったイーサンを内通者と疑った。愕然とするイーサンはカフェの中央に設置された特大の水槽を爆破し、その隙に逃走するのだった。

イーサンは、アジトに戻ると自らの濡れ衣をはらすため、まず”ヨブ”の背後にいる武器商人マックスに接触を試みようと、キトリッジの言った作戦名「JOB3.14」の意味を調べる。そこで偶然本棚にある聖書を目にした彼は、聖書のJOB3.14というところを探し当て、“JOB”(ヨブ)を内通者のコードネームと仮定する。マックスにJOBを装ってメールを送ってみるとイーサンのPCにマックスから“JOB”宛で会う場所を指定したメールの返信が来た。“JOB”が内通者のコードネームだと確信したイーサンは、指定の場所に行くとマックスの手下らしき男たちに目隠しをして車に乗せられ、彼らのアジトへ連れて行かれた。イーサンは自分の正体を明かすと、マックスが大使館で手に入れた“NOC”はCIAが用意したニセ物だと伝えマックスを信用させる。そして、本物の”NOC”を1000万ドルで取り引きすることを決め、“JOB”にその取り引きの情報を流すようマックスと約束する。それは“JOB”に罠をかけるイーサンの作戦であった。

その頃、大使館で死んだと思っていたジムの妻クレアがイーサンのもとへ現れた。彼女は爆発寸前に車から脱出していたのだ。そして彼女はイーサンと一緒に居ればグルだと思われることを承知で、ジムの敵を討ちたいとイーサンに協力することにする。イーサンとクレアは、CIAを解雇された人物の中からタフガイのクリーガーと天才ハッカーのルーサーを仲間に加えて、世界一厳重に警備されたCIA本部の1室に侵入し、本物の”NOC”を入手しようという作戦を開始する。

ヴァージニア州ラングレー、CIA本部に乗り込んだ4人。ルーサーは本部内のシステムをハッキングし、クレアは職員に成り済ましてNOCリストの管理者を遠ざける。そして、クリーガーとイーサンはリストの管理室に室外からダクトを通じて忍び込む。天井のダクト口から、クリーガーが支えるケーブルに吊るされながら入室するイーサン。厳重なセキュリティを掻い潜って見事にNOCリストのダウンロードすることに成功した。

リストが盗まれたことを知ったキトリッジは、イーサンの実母と叔父を嘘の麻薬密売容疑で逮捕し、彼をおびき出そうとする。イーサンはキトリッジに電話をかけてわざと逆探知させ、自分がロンドンにいることを知らせる。すると、そこへ死んだはずのジムが痛々しい姿で現れた。ずっとイーサンを追っていたという。驚くイーサンに、彼は黒幕はキトリッジであると教える。だがイーサンは、アジトに置いてあった聖書がシカゴのドレイクホテルの物であることに気付き、大使館の任務前にジムがドレイクホテルに泊まっていると言っていたことを思い出していた。そしてジムとクレアが生きていたことで大使館での仲間の殺人を2人の犯行に置き換えてみると全てに辻褄が合い、2人に疑惑を持ち始める。すでにイーサンはマックスとの取り引き場所を、翌日のロンドン発パリ行きの特急列車TGVユーロスターの車内と設定していた。そこには内通者の“JOB”も現れるはずだった。

そして翌日、走る列車の車内、イーサンはマックスにリストを渡す。本物だと確認したマックスは、取り引きの金は荷物車輌にあるから取りに行けば“JOB”も現れるはずだという。イーサンの連絡を受けたクレアが荷物車輌に行くとそこにはジムがいた。だがそれはクレアへの疑惑を確認するため、得意の変装で彼に化けたイーサンだった。そこへ本物のジムが銃を向けて現れた。イーサンが睨んだ通り“JOB”の正体はジムであり、大使館で仲間たちを殺したのも、全ては彼とクレアの仕業だった。ジムは冷戦後の世界情勢を鑑み、自分のようなスパイが用済みになることを察して仲間の情報を売っていたのであった。イーサンはそこで眼鏡仕様のカメラを掛け、ジムの映像をキトリッジの腕時計型のモニターに送った。キトリッジは、イーサンから列車のチケットと腕時計型モニターを事前に受け取っていたのだった。イーサンに嵌められたと知ったジムは、イーサンに心が傾いていたクレアを射殺、そしてイーサンを殴り倒すと列車の屋根を伝い、追尾していたクリーガーの操縦するヘリコプターに飛び付いた。クリーガーもグルだったのだ。追うイーサンも屋根を伝い、ヘリコプターをワイヤーで列車に繋ぎ止める。もつれ合ったままトンネル内に突入し、イーサンはヘリに飛び移ってガム型爆弾をヘリに貼り付けてヘリコプターを爆破した。イーサンは間一髪再び列車に飛び移り何とか危機を脱したのだった。
そして車内では、マックスを監視していたルーサーの協力で、キトリッジはマックスを逮捕した。

イーサンの母と叔父は釈放され、ルーサーは晴れてCIAに復帰することに。ルーサーに君も戻れと言われるイーサンだが、スパイ稼業が嫌になったと告げて飛行機に乗り込むのだった。
飛行機の座席でくつろいでいると、乗務員から映画のビデオテープを渡され驚くイーサン。それは新たな任務なのだろうか。

「ミッション:インポッシブル」主な登場人物・キャラクター

イーサン・ハント(演:トム・クルーズ)

秘密工作機関IMFのメンバー。
常に先を読んで行動し、頭脳だけでなく身体能力も高い切れ者のスパイ。
ジム・フェルプスによって集められたチームのリーダーを務め、プラハ大使館での新たな任務に就くが、メンバーが殺され、CIAから内通者の疑いを掛けられてしまう。
真の内通者を炙り出すため、単独行動によってCIA本部の潜入や各所での駆け引きでその実力を見せつける。

ジム・フェルプス(演:ジョン・ヴォイト)

IMFのリーダーで、イーサンをはじめとするメンバーのボスとして、プラハ大使館での新たな任務を遂行する。
だが、任務が失敗し、内通者の手引きによる者によって銃撃され、橋の上から川に転落する。
事件の真犯人であり、死亡したと思われたが、その後イーサンの前に現れる。犯人はキトリッジだと主張するが、イーサンに真犯人と見抜かれ、イーサンと格闘の末に死亡する。

クレア・フェルプス(演:エマニュエル・ベアール)

ジム・フェルプスの妻にしてIMFメンバーの1人。
プラハ大使館の任務では輸送を担当するが、車の爆発によって死亡したかに見えたが生きていた。
自分の旦那を殺した敵討ちの為にイーサンに協力し、同じ生き残り同士として段々と親密な関係になっていく。

ユージーン・キトリッジ(演:ヘンリー・ツェーニー)

CIAの一員でIMFの監督官。
プラハ大使館の任務を偽の作戦としてイーサンを内通者とした張本人。
イーサンの話をロクに聞かないばかりか彼を犯人と決め付けて罵詈雑言を浴びせたり、無関係のイーサンの家族を麻薬密売の犯人扱いして逮捕したりとイーサンの足を引っ張るが実は良き理解者でもある。

フランツ・クリーガー(演:ジャン・レノ)

IMF解雇者リストから選別されたイーサンとクレアの協力者の1人。
物品の調達やイーサンと共に現場でのミッションを担当、ヘリの操縦士でもある。
作戦中にくしゃみをしたり、作戦成功を確信してミスを侵したりと注意力散漫な面が目立つ。
実はクレアに雇われたジムの仲間だった。

ルーサー・スティッケル(演:ヴィング・レイムス)

クリーガーと共にイーサンとクレアに協力することになったIMF解雇者の1人。
情報分析のスペシャリストで天才的なハッカーとして有名だったらしい。
その分プライドも高く、リスクの計算もきちんとこなせるのでイーサンからも信頼される。
盗み出したNOCリストを託されたり、最後の取り引きの場でも妨害電波を発信したりで活躍する。
最終的にIMFに戻ることになり、イーサンを心から信頼する友人の1人となった。

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