君が生きた証(Rudderless)のネタバレ解説まとめ

『君が生きた証(Rudderless)』は2014年にアメリカで製作された音楽映画である。『ファーゴ』などで知られるベテラン俳優ウィリアム・H・メイシーの初監督作品である。優秀な広告マンだったサムは、大学生の息子ジョシュを銃乱射事件で失ってしまう。悲しみからすさんだ生活をしていたサムはジョシュが残した歌があることを知り、ライブバーで飛び入り参加し、歌を披露する。そこで出会った青年クエンティンとバンドを結成することになるが、サムには大きな秘密があった。

『君が生きた証』の概要

『君が生きた証』は2014年にアメリカで製作された音楽映画である。監督は『ファーゴ』『マグノリア』などで知られている俳優ウィリアム・H・メイシーが初監督を務めている。やり手広告マンのサム役に『あの頃ペニー・レインと』『ビッグ・フィッシュ』で知られるビリー・グラダップ、サムの演奏に感銘を受けた青年ミュージシャンのクウェンティン役に『スター・トレック』シリーズや『ターミネーター4』のアントン・イェルチンが務めている。
本作は日本で先行レイト上映として「観客に入場料金を決めてもらう」、いわゆる’’投げ銭’’形式での上映が行われ、ひとりの観客が払った最高額は3500円と高い評価を受けた。主演のビリー・クラダップと青年役アントン・イェルチンは実際に演奏を行っている。
やり手広告マンであったサムは、ある日大学で起こった銃乱射事件で息子のジョシュを亡くしてしまう。悲しみからすさんだ生活をしていたサムは、別れた妻からジョシュの遺品の歌詞やデモテープ、ギターを受け取る。ジョシュの曲を聞いたサムは、ジョシュが何を思い生きていたのかを何も知らなかったと痛感する。ジョシュについてもっと知りたいという思いから、遺品のギターを片手にライブバーで飛び入りでジョシュの歌を歌う。その曲を聞いた、青年のクウェンティンはサムにバンドを組もうと持ち掛ける。サムは当初拒否していたものの、クウェンティンの説得でバンドを組むことになるが、その曲には大きな秘密が隠されていた。

『君が生きた証』のあらすじ・ストーリー

大学生のジョシュは音楽好きで、寮の自室で作詞作曲に励んでいた。自作した曲の録音中、他生徒が話しかけ、ジョシュの録音が妨げられてしまう。
やり手広告マンのサムは仕事の商談がうまくまとまり、息子のジョシュに30分後にいつもの店でご飯でもどうかと誘う。ジョシュは迷ったあげく、授業を優先する。サムはジョシュが店に来ないことにがっかりし、席を立とうとする。ふと目に映ったテレビにはジョシュが通う大学が映されていた。動揺するサムに、さらなる事実として、大学内で銃乱射事件が起こったことをテレビのリポーターが伝える。
サムは事件でジョシュを失ってしまった。マスコミがサムのことを追い回し、ジョシュの葬儀の時も家の前で待ち構えていた。葬儀に参列したサムはジョシュの部屋に訪れた。落ち込む彼の前にジョシュのガールフレンドであったケイトが現れる。ケイトはジョシュのことを思い出し泣き出すも、サムはそれをただ見ているだけだった。
サムは悲しみに浸ることもできないほど、マスコミに追い回されていた。事件後妻であるエイミーとは別れ、サムの生活は徐々に堕落していく。酒漬けになり、仕事もままらなくなる。上司はそんなサムを見かねて、休養を提案するが、サムはそれを拒む。
事件から2年後、サムは仕事を辞め、湖のボートで生活をしていた。日雇いの大工の仕事をしながら、ホームレス同然の暮らしをしていたが、そんなある日エイミーがサムのもとへ訪ねてきた。再婚相手と家を引っ越すために、家の整理をしていたところ、ジョシュの遺品がでてきたそうだ。エイミーはサムにそれらを渡し、去っていった。サムはやっとジョシュのことを忘れようとしていたところに届いたジョシュの遺品を捨てようとしたが、どうしても捨てきれず、ボートの中でジョシュのCDを聞くことにした。サムはCDを聞くほどにジョシュがそこにいるように感じられ、ジョシュを知れたような気がした。それからサムはCDを聞き続け、夜はギターの練習をした。

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演奏をするクウェンティン(左)とサム(右)

ある朝、湖の管理人であるアルアドが現れ、サムが湖で用を足していたことを咎めるが、サムは適当にいなす。その日の晩サムはジョシュの1曲「Home」をコピーし、とあるライブバーに赴いた。そこは以前サムが同僚に連れられてきたバーで飛び入りの参加もできるバーだった。サムは何度も酒を煽ってから、バーのオーナーであるトリルに飛び入りで歌いたいことを話し、ステージへと立つ。酒場では誰も歌を聞いてなかったが、サムが歌を終えると、一人の青年がサムの曲に感動して見つめていた。酔っぱらって足元のおぼつかないサムを、青年は車でサムのボートまで送り届ける。
次の日、サムのボートに昨日の青年クエンティンがバイト先のドーナツを持ってやってきた。クウェンティンはサムに一緒にバンドを組もうと誘うが、サムは門前払いする。サムはバンドに興味はなく、ただ、息子を近くに感じたかっただけだった。しかしクウェンティンは何度もサムの下に訪れ、説得を試みる。クウェンティンはサムのボートで「home」を口ずさむ。そのまま夜まで二人で歌い、クウェンティンは帰り際サムに改めて説得を試みる。説得におされたサムはバーで一緒に歌うことを組むことを了承する。本番の夜、バーに行くとクウェンティンの友達であるエイケンとその彼女のトリーとあいさつを交わす。しかしそこにはクウェンティンの姿がない。トイレで緊張して吐いているクウェンティンに呆れるサム。サム達の演奏は盛り上がりをみせた。

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「Rudderless」の演奏に大盛り上がりなライブバー

ある日サムとクウェンティンはデルの楽器店に行く。クウェンティンは壁に飾られているギターに見惚れるが、価格が高すぎて買えないことを店主のデルにからかわれていた。店から出ると、クウェンティンの元バンドメンバーでベーシストのウィリーと偶然会い、言葉を交わす。クウェンティンはウィリーのベースがいると曲が生きると述べるが、サムはバンドは無理だという。クウェンティンは「バンドっていうわけじゃないが、ベースが入るとよくなる」といい、サムはなんともいえない表情をする。
クウェンティンの家のガレージでバンドの演奏の練習が始まった。そこにはドラムのエイケン、ベースのウィリーもいた。サムはウィリーの加入も許したのだ。
いよいよ4人でのバンドの初舞台の夜を迎えた。予想をはるかに超える盛り上がりをみせ、トリルから毎週土曜日に出演してほしいとお願いされる。メンバーが喜ぶ中、サムは何とも言えない顔をしていた。
ある日、サムのボートがある湖でヨットレースが開かれることになるのをアレアドから聞かされる。当日は湖の南端にいろと忠告され、サムは適当ながらも了承する。
土曜日の夜、サムがいつものバーに向かうと外に看板がだされており、そこには「Ruderless」と書かれていた。クウェンティンの考えたバンド名にサムは難色を示す。彼らの演奏はどんどん盛り上がっていき、バーは多くの観客が埋め尽くしていた。
サムのバンドは徐々に街でも名前が広がっていき、大工の同僚からも知られるようになった。
ある日、サムはクウェンティンの家を訪れる。そこでクウェンティンの母親であるジョイスとあいさつを交わす。その後二人でモールへと出かけ、サムはジョイスがクウェンティンの母親だと知らずに、娼婦呼ばわりしてしまう。母親だと怒ったクウェンティンにサムは謝り、2人が昔ホームレス生活をしていた話を聞かされる。クウェンティンは「おふくろが家に来るときつい。問題を抱えているんだ」とこぼす。
土曜の夜、ライブ前にいつも通りクウェンティンは緊張している。サムはクウェンティンにもっと自信を持たせるように女を口説けとアドバイスをする。そこでサムはクウェンティンを無理やり連れて、2人の女性客であるエイプリルとリジーに話しかける。クウェンティンとリジーは視線を交わすほどいい感じになる。エイプリルとリジー2人のリクエスト曲もあり、いつも通りライブは大盛り上がりをみせる。ライブが終わり、サムが帰ろうとするとそこにはケイトがいた。「騒ぎが落ち着いて外出もできるようになった。あなたはロックスターなんだ。自分の曲じゃないのに。恥知らず」ケイトは涙をみせながら叱責し、立ち去る。サムはライブ後のパーティーで一度も笑顔を見せることなく、帰宅する。

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ジョシュの墓の前でウィスキーを飲むエイミー(左)とサム(右)

サムはジョシュの墓へ赴いた。しかし、そこには「人殺し」など落書きがされたジョシュの墓があった。銃乱射事件はジョシュが起こしたものだったのだ。墓に寄り添い酒を飲んでいるとエイミーが現れる。落書きをシンナーで落とす二人。「誕生日おめでとう」と言い、テキーラを飲む。エイミーは遺族の母親の一人と会い、「ジョシュを許すと言ってくれた」と話す。他の遺族にも会おうと提案するエイミーを横にサムは帰ろうとする。エイミーは「私たちのせいじゃない。あの子は病気だった」と告げる。サムは「俺は考えたくないんだ。誰のせいとも関係ない。他の遺族とも会わない」と声を荒げ、去っていった。
ボートで酒を飲みながら、ジョシュのCDを聞くサム。ジョシュが使っていた歌詞ノートに新たな言葉を書き足す。次の日、サムはいつも通り日雇いの仕事に行くが、さぼっているのがバレ、くびになってしまう。
ある日、サムのボートでメンバーとその彼女たちで遊んでいると、クウェンティンたちがサムにイベントでの演奏を持ちかける。しかし、サムは事情があると言い、考えさせてくれと話す。
サムがデルの店に訪れると、デルは大きなキャンピングカーを動かすのに苦労していた。楽器店を閉め、旅に出るのだという。デルの奥さんであるティナと言葉を交わした後、サムはデルに車を切り返すようアドバイスする。「2度もやった」とデルはイライラしながら答える。デルが試乗に戸惑っていることにサムが耐えれず、笑ってしまうとデルは怒って詰め寄る。サムは代わりにやるといい、デルは傷つけずにやったら今日はなんでもタダにしてやると吐き捨てる。サムはなんなく車をだし、デルは感心する。デルからなぜイベントに出ないのかと言われ、サムは考えなければならないの一点張り。その後、クウェンティンのガレージに向かいサムはクウェンティンの曲で締めるならイベントにでると了承する。
イベント当日、サムが会場に行くとケイトがクウェンティンらバンドメンバーに話をしていた。ケイトはサムの方へ歩き、「拍手喝采を得てどう感じるの?私はケイトじゃない。アン。電話が後を絶たないから名前を変えたの。学校もやめた。ジョシュのせいで人生が台無し」と言葉を残し去っていく。ケイトからすべての話を聞いたクウェンティンは「本当なの」と問いかけ、サムは「そうだ」という。クウェンティンは「あの曲は歌っちゃだめだ。そうだよな」とサムに聞く。クウェンティンはたまらず、サムを殴り去っていく。サムはそのままバーで酒をのみ、ふらふらのまま帰る。しかし、湖には柵が張っており、無理に乗り越えようとし柵から落ちてしまう。その衝撃でギターは壊れてしまい、サムは怒りのあまり叫ぶ。

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ライブバーのステージ

次の朝、湖ではヨットレースが開かれていた。大きなラッパの音で目を覚ましたサムは怒りのあまり、ヨットレースの妨害をする。警察に捕まったサムを迎えに来たのはデルだった。デルの車でサムはジョシュの話をし始める。デルはサムが店に来た時に見覚えがある顔だったと話す。サムはバンドの曲はジョシュの作った曲なんだと打ち明ける。デルに「クウェンティンがかわいそうだ」と言われるサム。それをわかっていながらも、サムは「ジョシュは自分の息子なんだ」と涙をこぼす。
サムはジョシュの通っていた大学を訪れていた。そこには銃乱射事件の慰霊碑が建てられていた。しかし、そこにジョシュの名前はない。「俺の息子が...」とサムはその場に泣き崩れてしまう。
その後サムはジョシュのCDを持ってエイミーのもとを訪ねた。「息子のフィリップが兄の存在を知った時に聞かせてあげてくれ」と言い去っていく。次にデルの元へ訪れたサム。そこでクウェンティンがギターを売ってしまっていたことを知る。サムが店から出るとふたつのギターを抱えている。サムはデルと握手を交わし、別れる。サムはギターをふたつ持ったままクウェンティンのバイト先を訪れる。クウェンティンに「2人ではじめて歌った夜、俺の知らないジョシュに会えた気がした。新しい曲をやるたびに息子のことがわかってやめられなかった。でも、あれはジョシュじゃない、君だ。人に人生を狂わされるな。自分の音楽を作り続けてくれ」とサムは告げる。「やめたら負けだ」と言葉を残し去っていく。ギターケースを開くと、いつもデルの店で見惚れていたギターがそこにはあった。
ある夜、サムはいつものバーでステージに立った。そこでジョシュの死や彼がつくった曲であることを告げ、「Sing Along」を歌い始める。サムはボートをデルに売り、デルとその妻が喜ぶ様子が映し出される。エイミーはジョシュの曲をキッチンで一人聞いており、クウェンティンたちは新たなメンバーを迎え再スタートをきっていた。歌い終えたサムは少し前を見つめステージを去る。ステージには歌い終えたマイクが佇んでいた。

『君が生きた証』の登場人物・キャラクター

サム(演:ビリー・クラダップ)

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ジョシュの父親で本作の主人公。かつてはやり手の広告マンであったが、ジョシュの死から酒に溺れ、自堕落な生活をし、仕事をやめ、ボートで生活するようになる。ジョシュの死を受け入れられず、妻のエミリーがジョシュの遺品を持ってきたときには受け取りを拒否していた。しかし、ジョシュの歌を聞き、ジョシュのことを理解し、知りたいと思うようになる。
バンドを組んだクウェンティンにジョシュを重ねていたが、歌がジョシュの作ったものだと言い出せず、それがきっかけで袂を分かつことになる。その後、クウェンティンが音楽を辞めようとしていることを知り、音楽をやめないように説得する。クウェンティンがデルの店でいつも見惚れていたギターを渡し、去っていく。

ジョシュ(演:マイルズ・ハイザー)

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サムの息子で大学生。自作で曲を作ることが趣味で、大学の寮の自室で作曲作詞をしている。しかし、録音中に他学生の邪魔が入るなどして不満を抱いていた。大学で銃乱射事件を起こした張本人。なぜ、事件を起こしたのか具体的には語られていないが、サムとエミリーとの会話で病気であったためと言われている。

クウェンティン(演:アントン・イェルチン)

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音楽好きな青年。ライブバーでのサムの歌に感銘を受け、何度もサムの船に通いバンドを組むことになる。サムへのバンドを組もうというアプローチは積極的にできたが、女性に対してはあまり慣れておらずサムの手助けも合って、女性と仲良くできるようになる。また、人前での演奏に極度に緊張し、サムとの初舞台ではトイレで嘔吐し、サムに呆れられていた。デルの店に置いていあるエレキギターをずっと欲しがっていたものの、お金があまりないためかうことができなかったが物語終盤でサムからプレゼントされる。父親がいなく、母親だけで、幼いころは車中生活をしていた過去がある。その頃から母親が病気になってしまい、家で顔を合わせるのが億劫だとサムに語っている。

エミリー(演:フェリシティ・ハフマン)

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