三つ目がとおる(The Three-Eyed One)のネタバレ解説まとめ

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『三つ目がとおる』とは、手塚治虫による漫画及び、それを原作とするアニメ作品である。無邪気な性格の中学生、写楽保介は古代種族三つ目族最後の生き残り。額の絆創膏を剥がすと第三の目と共に超知能、超能力を操る冷酷な人格が現れ悪魔のプリンスと化す。写楽は世界征服を目論む一方で、時にクラスメイトの和登さんらと共に古代遺跡絡みの陰謀に巻き込まれる。オカルトブームの中、人気を博し第1回講談社漫画賞を受賞。漫画の神と呼ばれた作者の没後初のアニメ化作品でもある。

『三つ目がとおる』の概要

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出典: blog.goo.ne.jp

『三つ目がとおる』とは、手塚治虫による漫画作品及び、それを原作とするアニメ作品である。1974年から1978年にかけて『週刊少年マガジン』に連載。この時期、漫画業界を席巻していたのは大人向けの劇画であった。『週刊少年ジャンプ』や『週刊少年チャンピオン』などでもそういった作品が多く、あまり劇画作品を乗せていなかった『週刊少年マガジン』は売り上げが落ちていた。少年漫画による人気を巻き返すべく、日本漫画界のパイオニアともいえる手塚治虫が起用された。
こうして連載が始まったのが『三つ目がとおる』である。当初は月一掲載だったが好評を博し、毎号掲載となった。1977年、手塚氏は『ブラック・ジャック』と『三つ目がとおる』により第1回講談社漫画賞を受賞している。

『三つ目がとおる』はSF推理物として始まったが、オカルトや超能力ブームの時代の波により、古代文明を始めとするオカルティックな要素を盛り込んだ作品となる。推理物としての要素は、主人公・写楽保介とヒロインの和登さんこと和登千代子の名前に反映されている(それぞれシャーロック・ホームズとワトソン博士が由来)。

琵琶湖の底に遺跡がある、モアイ像が子供の泣き声に反応して動くなど、実在する古代遺跡に独自の解釈が与えられており、すでに失われた古代文明へのロマンや想像力が広がる造りである。
作中でも言及されていることだが、古来より一部の神や仏など、超常的な力を持った存在は時に三つ目として表されてきた。このことから、作中人物(須武田博士など)は三つ目族の超能力や文明を神の所業とした古代人が、三つ目という特徴を神の印として残したのではないかと推測している。

第三の目が超常的能力の源というアイディアは今でこそ漫画を始めとする創作物のポピュラーなジャンルとして確立しているが、『三つ目がとおる』は漫画等におけるそうしたジャンルの走りともいえる。
また、漫画作品における三つ目キャラクターの多くは多重人格的な性格を有しており、第三の目の開閉(正確には絆創膏による封印)で性格が変わる写楽のキャラクターは、後の三つ目キャラに多大な影響を与えた。

アニメやリメイク作品

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出典: video.unext.jp

1990年放送のテレビ東京版より。

1985年24時間テレビの中で『悪魔島のプリンス 三つ目がとおる』(以下24時間テレビ版)として放映される。ベースは原作の『イースター島航海編』だが、以下の変更点、アレンジがある。
・『イースター島航海編』の敵、パンドラが訓練し操っていた半人半獣のポキ族の出番が一切なし。
・『三つ目族の謎編』に登場した天人鳥(てんじんちょう)に似た人面鳥が複数登場。三つ目族の遺跡、遺産を守る番人という点は同じ。パンドラに操られていた点では『イースター島航海編』のポキ族と同じである(どのようにして従えていたのかは不明)。
・敵に当たるパンドラが長耳族という古代種族の子孫から、ヒトラーの孫に変更。これに伴い、パンドラの目的も日本人への復讐から世界征服に変えられた。
・赤ん坊の写楽を犬持に託したのが母ではなく乳母になっている。
・写楽が古代三つ目族の王家の血筋という設定。
・テレビ東京版で「赤いコンドル」と呼ばれる槍のような遺物が「ホコ」と呼ばれる。また王族の血筋でないと扱えないものになっていた。

1990年10月から翌9月まで、テレビ東京系でシリーズアニメ化された。このテレビ東京版『三つ目がとおる』は、手塚治虫氏の死後に企画が始まり、作者没後初のアニメ化作品となった。ストーリーの順序やキャラクター設定、内容にいくらかの改変が加えられている。一部を列挙すると以下のようになる。
・三つ目の写楽がやや丸い性格になっており、クールな振る舞いこそあれど原作ほどの冷酷さを感じさせない言動も多い。
・犬持の職業が医師から考古学者に変更。犬持が三つ目族の研究をしているという設定の為、須武田博士は登場しない。写楽に対し、「研究対象として育てたと思われているのではないか」との犬持の負い目が追加されている。
犬持が須武田博士の役割を継いだため、「普通の子に育てたい」と思いながらも三つ目族の遺跡や遺産の謎の解明の為に絆創膏を剥がすといった矛盾した行動も多々ある。
・『怪植物ボルボック編』に登場する、三つ目族の遺物たるボルボックの球根をこっそり育てていたのが成人男性の吾平ではなく少女のモエギに変更。吾平だけでなくその兄の青玉も登場せず、遺跡泥棒の草井が青玉の役割を受け継いでいる。最終話付近ではボルボックに生体強化細胞が植え付けられてパワーアップし、ラスボスとして立ちはだかる。

2001年、『手塚治虫が消えた?!20世紀最後の怪事件』に他の手塚作品のキャラクター、アトム(『鉄腕アトム』)、お茶の水博士(『鉄腕アトム』)、天馬博士(『鉄腕アトム』)、ブラック・ジャック(『ブラック・ジャック』)、ピノコ(『ブラック・ジャック』)、サファイヤ(『リボンの騎士』)、ヒゲオヤジ(『三つ目がとおる』を含む多くの手塚作品に登場)、ロビタ(『火の鳥』)らと共に写楽と和登さんが登場する。
この作品は手塚治虫氏が健在で21世紀を迎える為の年越しパーティーに出席するという設定。アトムや写楽らは早めに呼ばれて手塚氏と同じホテルに宿泊することとなる。手塚氏はアトムにのみ、「最近何者かにストーカー被害を受けている」と打ち明け謎の失踪を遂げる。各人が不可解な行動をとる中、手塚氏が何者に連れ去られたのか、今どこにいるのかなどを推理するストーリーである。トリックの推理や説明はアトムが行った。
結果は天馬博士と手塚氏による自作自演の狂言誘拐であり、手塚氏は天馬博士に化けて自作キャラクターたちに漫画を通したメッセンジャーとしての役割りを託すべく行ったことだった。手塚氏は天馬博士の姿で「私たちは手塚治虫に生み出されたが、漫画で世の中が少しでも変わったか?」と問うている。

漫画作品としてのリメイクは2016年より、秋田書店『チャンピオンRED』にて、『三つ目黙示録~悪魔王子シャラク~』(脚本:藤澤勇希/作画:柚木N')として連載開始。2018年4月まで掲載された。

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出典: animeperson.com

『手塚治虫が消えた?!20世紀最後の怪事件』より。

『三つ目がとおる』のあらすじ・ストーリー

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出典: www.videomarket.jp

ボルボックの苗に追われるヒゲオヤジ(左)、写楽(中央)、和登さん(右)。

中学生ながら小柄な体格に幼児のような性格の写楽保介。その正体は、古代に栄えた三つ目族の末裔だった。普段、額にある第三の目は罰点型の絆創膏で封じている。これは三つ目の写楽が、現在栄える人間を奴隷化する、日本を乗っ取るといった危険な思想とそれができるだけの能力を持つ存在だからである。度々和登さんや養父たちから、武器であり弱点でもある第三の目に絆創膏を貼られては陰謀を阻止されるのだった。
古えの文明の秘密、秘宝、秘術を狙う者は他にもおり、写楽たちは古代遺跡に関するトラブルに巻き込まれていく。そうした中でも、写楽は人類を滅ぼすのに使えそうな道具に目を付けるのであった。
長編短編合わせて複数の物語が存在する。

以下に中長編を紹介(講談社刊『手塚治虫全集・三つ目がとおる』シリーズより)。雑誌掲載時、単行本掲載時、文庫本や全集など、媒体によって編の順番や一部内容、セリフが変更されていることもあるが、これは手塚治虫作品にはよく見られる傾向である。
テレビ東京版では一部キャラクターの性格や、設定などが変更されている。

イースター島航海編

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出典: ameblo.jp

パンドラの島にて本家の猿石を見つけるシーン。

三角山の焼け跡から、三人の焼死体が見つかる。捜査に当たった雲名警部は、遺体の頭部にある奇妙な傷跡に気付き殺人事件と断定。
夜も遅くなった頃、犬持邸では写楽の養父である犬持が何者かに襲われ重体となる。犬持の頭部には、先の焼死体と同じ傷があった。雲名警部は第一発見者の写楽に事情を聴くが、写楽が見つけた時には既に襲われた後であり、何者の仕業かまでは分からなかった。雲名警部は凶器と思われる熊手状の棒が分解できることを見抜き、こっそり持ち込まれた可能性が高いと推理する。

犬持の見舞いに来ていた写楽は、言葉を話すメスの猿と出会った。写楽からあんパンをもらったその猿は片言ながら写楽に「このままでは殺されるから逃げろ」と忠告する。
その夜、入院中の犬持は再び襲撃された。ベッドの周辺に無数の小さな足跡があり、窓からその足跡の主、無数の猿にも小鬼にも似た生物がなだれ込んでくる。
その場にいたのは重傷の犬持、写楽、見舞いに来ていた犬持の友人で考古学者の須武田博士だった。須武田博士が写楽の絆創膏を剥がしたことにより窮地を脱した。犬持と須武田博士は車での逃走に成功するが、写楽は車から振り落とされた上、何者かに殴られて気を失う。

目を覚ました写楽は、雲名警部と同じ屋敷の一室に監禁されていた。二人は怪物のような男によって屋敷の主人の元へ案内される。知的な美男子(実際には男装)である屋敷の主人は自らをさまよえるオランダ人・パンドラと称した。パンドラは小鬼たちの正体を明かす。彼らは猿と人間という進化の過程の謎、ミッシング・リンクだというのだ。元はある島に住んでいたその種族(名はポキ族)に火や道具の使い方、そして人の殺し方を教えたパンドラは、写楽と雲名を小鬼達の群れに投げ込んだ。
小猿達は写楽と雲名に飛び掛かるが、先のメスのポキ族が彼らを制する。ポキ族にとってパンドラは知恵を教えてくれた神だが、そのメスはアンパンをくれた写楽にも感謝していると言う。写楽は小鬼達に爆弾を作らせて屋敷を爆破する。

雲名警部は一度警察に向かい、上司に先の出来事を報告するが、部下を殺されている失態を指摘された上、ポキ族達のことも信じてもらえなかった。証人として連れて行った写楽は絆創膏を貼られており、事件当夜の記憶はない。上司に取り合ってもらえず報告書を破り捨てた雲名警部のもとに報告が入る。それは例のメス猿に似た人影を見たとの報告だった。雲名警部は写楽を連れて、目撃箇所である港に向かう。そこには廃船があった。部下を帰らせて写楽と二人で捜索をしていると、急に船が動き出した。流されたわけではなく、エンジンの誤作動でもない。廃船は何者かの意思で動いていた。船内にいたのは写楽と雲名警部だけではなかった。写楽があんパンを与えた先のポキ族のメスが閉じ込められていた。彼女はポゴと名乗った。写楽、雲名警部、ポゴの三名はいろいろな島を巡りながら様々な遺跡を目にする。
この旅路の中、ポゴは羞恥心を覚えて局部を葉っぱで隠したり、傷の手当てをしてくれた写楽に好意を寄せてプロポーズまでしてきた。写楽は自分には和登さんという恋人がいるからお前とは結婚できないというと、ポゴは自分はポキ族の女王であり、自分と結婚しないのなら和登さんを家来に襲わせて殺すと物騒なことを言う(和登さんは写楽のクラスメイトであり、絆創膏状態の写楽をいじめから庇うなどしている)。

船に戻ると、パンドラの部下達が銃を構えて待っていた。幽霊船を動かしていたのは彼らだったのだ。船底には捕らえられた雲名警部、そしてパンドラがいた。この船はソ連の最新型の潜水艦と同じタイプだとパンドラは言う。設計図をポキ族に盗ませて作ったものだった。

パンドラの目的は、写楽に自分の所有する島(かつて三つ目族と耳長族がこの島を巡り争ったことさえあったという)に眠る遺跡の謎を解かせ、日本人に復讐することだった。
パンドラはかつて、日本人の化学メーカーに勤めていたが、多くの死者を出す事故に巻き込まれ重傷を負った。幹部たちは何の責任もとらず、訴えに出たパンドラを追放までした。三角山で見つかった死体は、そのメーカーの幹部たちであった。
パンドラは尚も言う。日本人は利己主義で威張り腐っている。それは三つ目族の血を引くからだとも言った。彼女自身はポリネシアの出身で長耳族の末裔だった。長耳族はかつて三つ目族と争ったことのある狩猟民族で、科学や呪文に頼り切っていた三つ目族にも勝った歴史を持つ、やや好戦的にして残忍な種族であった(短編では長耳族の子孫、出杉が登場。興奮すると耳が立ってぴくぴく動くと言っている)。

写楽たちに逃げろと何度も言っていたポゴは裏切り者扱いを受けて処刑されることになる。女王の処刑は、磔にされた女王を処刑人が投げ槍で突くというものだった。処刑に成功したものが次の女王となるのだが、写楽の念力により槍は跳ね返り、処刑人は全員死亡。ポゴは再び女王となった。
この島には日本の猿石に似た像が点在していた。この島にも猿石、そして飛鳥地方にある酒船石と似た遺跡があり、いずれも日本にあるもののオリジナルであると写楽は推測する。
パンドラが三つ目の写楽をオリジナルの猿石の場所まで連れていき解読させた遺跡には長耳族の歴史が書いてあるのみだったが、猿石が薬の元となる粉末を入れた容器、酒船石がその調合用の台であることが判明。写楽たちが試しに作った薬は飲んだ者を奴隷にする薬であった。

写楽はこの薬で日本人を奴隷にしようと言い、パンドラもそれに同意する。潜水艦で日本に向かうが、イースター島に三つ目族の遺跡があると聞き、潜水艦はイースター島に向かう。ポゴはイースター島行きに反対しており、写楽に絆創膏を貼った。そのままの状態で、写楽たちはパンドラの弟のパン・ドン、元墓荒らしのガルシアによりラノ・ララク火山の麓にあるモアイ像石切り場、モアイ像の製造場所へ連れていかれる。
「魔女がモアイを歩かせた」との伝承を始め、モアイをいかにして運んだかについては諸説あった。パンドラがガルシアから買い取った古文書には「ラノ・ララクの『古き井戸』にいたる子ら泣き叫び、その声にてモアイ目覚めるべし」と書かれていた。

ラノ・ララクの井戸を調べたパンドラは、そこで精神を高ぶらせる薬を発見していた。この薬で子供の精神力を高めて超能力を呼び起こし、モアイを動かしていたとパンドラは推測する。子供は大人よりも超能力が強く、古代の子供たちは現代の子供よりも強い力があったのだろうとパンドラは語る。まして写楽は古代種族の末裔であり、絆創膏を剥がさずとも古代人並みの超能力を発揮すると思われた。
パンドラ、並びにパン・ドンは写楽に薬を飲ませ、鞭で追い立てる。写楽の泣く声にモアイが反応し、ジャンプしながらある場所へと向かった。そこは、麓の飛行場だった。
群れを成すモアイは制御が不能な状態であった。写楽の力が強すぎたのだ。パン・ドンは写楽を殺そうとするが、ポゴに阻止され共にモアイに踏みつぶされる。パン・ドンだけでなく、ポゴも致命傷を負い、写楽の励ましもむなしく死んでしまう。写楽の嘆き悲しむ声でモアイは止まり、写楽はポゴの墓を作る。

パンドラは写楽をオロンゴの丘と呼ばれる場所へ案内した。その場所は、石と地面でかなり精巧な太平洋周辺の大陸や島を表したものだった。その中に、インドの南当たりの海を示す矢印型の石があった。矢印の先端に当たる場所こそが三つ目族の故郷のあった場所らしい。
パンドラは、京都の龍安寺に三つ目族の遺産があると言い、写楽と別れて潜水艦に乗り込む。写楽の力を怖れたパン・ドンは写楽を殺そうとしたが、できなかった。パンドラは、絆創膏状態の写楽の純粋さに復讐を諦め、それでも「自らが手を下すまでもなく、三つ目族同様日本人も滅びるであろう」と独り言ちポキ族の生き残り共々、潜水艦ごと自爆した。それはポキ族に知恵をつけ、結果女王を奪ったことへの責任でもあった。

怪鳥モア編

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出典: video.unext.jp

メキシコの遺跡を見る写楽たち。

写楽は学校の遠泳大会合宿でのズルが元で、砂浜に埋められる。そこに巨大な鳥が現れて、尻を膨らませて飛び去って行った。翌日、写楽は学校の生徒自治会金狼会により、ちゃんと遠泳をさせるべくロープで船に繋がれて海に放り込まれた。流される写楽を救ったのが、先の鳥である。鳥は写楽を岩場に乗せ、去っていく。そこには卵があった。卵から孵った雛は写楽を親と思い込む。
写楽は合宿から帰ると雛を連れて友人の和登さんの家である寺へ遊びに行き、雛を見せた。和登さんは尻袋の穴から出るガスの噴射で飛んで行った親鳥の特徴から、絶滅したモアという鳥ではないかと推測。写楽と和登さんはモアが成鳥になれば世界が驚くだろうと興奮。
しかし、モアは殺し屋に狙われていた。殺し屋は写楽を蹴散らし、モアの巣に銃弾を撃ち込んだ。ケツアルというこの殺し屋は、雇い主らしき「将軍」にモアを始末したと連絡。将軍は写楽を危険人物とし、写楽の始末も命じた。和登さんは写楽の絆創膏を剥がし、銃撃されたモアの治療をさせる。その後モアは犬持邸で飼われることになり、ひと月で巨鳥へと成長した。どうしたわけか、モアはビールの蓋や硬貨を自分の巣にため込んでいた。

夏休みに入ったある夜、須武田博士が親類の行佐(ぎょうざ)なる青年と共に犬持の所有する別荘を訪れる。大きくなり過ぎたモアは、ここで飼育されていた。行佐たちが訪問したのは、少し前、タンカーによって謎の腐乱死体が引き上げられたことに端を発する。この死体にはくちばしや鳥に似た足が確認されており、胃からは古いメキシコの硬貨が発見されたという。モアにも同じ物を与えるとそれを食べた。これにより、腐乱死体とモアが同じ種であることが分かり、行佐はモアを研究の為メキシコに連れ帰りたいというのだ。
写楽はモアを大事に思っており、行佐がモアを連れ去り、そのまま自分の元へ帰さないと考えている為行佐の申し出をかたくなに拒否。親鳥と同じくらいに成長したモアは、親鳥同様に尻を膨らませ、尻袋の穴から出るガス噴射で飛べるようになっていた。
行佐が、これでは目立つと写楽を説得しても聞く耳を持たなかった。遂に行佐は、モアの餌に睡眠薬を混ぜ、眠ったまま連れ出そうとした。写楽はモアの脚に自分を縛り付けてまで、メキシコ行きに抵抗した。それでも行佐はモアをコンテナに運び込み、写楽、犬持、須武田博士もメキシコへの旅に同行することとなる。メキシコ行きの飛行機の中、行佐は怪しげな二人組と視線を合わせる。その二人組は、写楽一行を尾行しているようだった。おまけに、賄賂によりモアの検閲をパスをするなど、行佐は陰で不審な行動をとる。

モアがガラス入りの檻に入れられたことに写楽は怒りを見せる。写楽は隙を見てモアと共に空に逃げた。行佐は先の二人組と共にモアを追跡する。
写楽たちは森に着陸する。一応危機は脱したが、写楽は日本に帰りたい、和登さんに会いたいとの思いが募る。そんな中、和登さんに似た少女と出会う。少女はモアを見て驚いて逃げ出した。写楽はモアを置いて少女を追い、飲んだくれの男・ペペに捕まる。ペペは和登さんに似た少女・セリーナの父であった。
ペペは写楽にモアの居場所を吐かせようとする。モアには多額の賞金が掛かっているのと言うのだ。ペペにより呼び出されたケツアルは写楽の命も狙い、セリーナによって写楽、モアは逃がされる。モアは尻からガスを出して写楽と共に空中に逃げる。ケツアルもペペを連れてライフル付きのセスナ機で追ってきた。空中チェイスの後、セスナ機のライフルが暴発し墜落。ケツアルは逃走し、写楽はペペを助けた。
ペペは助けられたことに感謝をし、ケツアルが付けてくるのも知らず、モアと写楽を隠れ場所へと案内した。そこは一千を超えるメキシコの道の遺跡の一つであった。遺跡の内部にはモアに似た鳥の絵があり、ペペは写楽にモアの秘密を語る。

モアとは、古代トルテカ人により飼育され金や硬貨を飲み込むようにしつけられた鳥だった。金を輸送するための手段として、モアは使われていたのだ。飲み込んだ金は強引に吐かせるか、殺して腹から取り出していたとされる。
トルテカ人は、滅亡の際できる限り多くの金や財宝をモアたちに飲ませ、どこかへ運ばせた後全て殺した。モアの生き残り、その子孫には財宝を嗅ぎ付ける力があるという。

ここまで話したところにケツアルが現れる。ケツアルはペペを撃ち、遺跡の内部に燃える枝を放り込む。これが元でモアは尻に火傷を負ってしまう。ペペは写楽に、一人になってしまうセリーナを頼むと言い残し息絶える。モアは尻にやけどを負う。写楽とモアはどうにか脱出を果たした。

写楽はモアの負った火傷を治すべく、自分たちを追い詰める時、石に挟まって動けなくなったケツアルに油の作り方を聞き出す。これで絆創膏を剥がし、三つ目となってモアを治療。夜、ケツアルが石から抜け出し、写楽たちを始末しようとするが、モアが写楽を咥え、逃走する。
村ではセリーナが写楽を気にかけていた。そこに、黒服にソンブレロ、葉巻まで咥え恰好をつけた三つ目の写楽が現れる。写楽はセリーナにペペの死を告げ、「頼まれたからかわいがってやる」と彼女を「自分の女」にすると宣言。無論セリーナは納得しないが、写楽は財宝も手にするべく火傷の治ったモアに乗せ、連れ去るのだった。

一方、ユカタン半島ではケツアルを雇った将軍なる人物が息子と共に、ユカタン半島のジャングルにある人工の沼へとたどり着いた。その沼に、トルテカ人の遺産があるという。トルテカ人の遺跡と、遺産である黄金は暗い地下にあった。沼の底には空洞があり、そこに黄金が散乱。将軍がケツアルに命じてモアを始末しようとしたのは、この黄金を横取りされない為だった。

沼の地上では、写楽、セリーナがモアに乗って降り立つ。モアが財宝のありかを突き止めた為だ。写楽は将軍たちが乗ってきたヘリコプターを改造し、沼の水を引き上げるポンプを作る。写楽は自分の野望をセリーナに話した。沼の底に眠る財宝を資金にしてまずはメキシコを乗っ取る。自分が初代の帝王となり、セリーナを妻としてアメリカをも乗っ取って三つ目族を復活させるというのだ。
水を全て吸い上げると、黄金が現れた。モアが黄金を食べ始めると、銃弾が飛んできた。将軍ことヘパトームと、息子のアドルフが現れたのだ。二人は写楽たちを地下に連れ去り、さらに奥へと通ずる階段へと連れて行く。最下層には棺があり、中には三つ目の骸骨があった。古代トルテカ人や、高度な文化を持っていたとされるマヤ人、インカ人に知恵を授けたのが、三つ目族ではないかとの推測が立てられる。

ヘパトーム親子は写楽たちを閉じ込めて去っていく。先ほどアドルフが射殺したはずのモアから黄金を回収する為だった。しかしアドルフには狙撃の腕がなく、モアの死骸や血すらなかった。モアが誰か別の人間を連れてくる前にと、親子は黄金を大型ヘリに積み込む。
穴倉の中で酸欠状態の写楽は、テレパシーでモアを呼び、穴を掘らせた。脚がボロボロになっても、モアが懸命に穴を掘り続けたことにより、どうにか写楽とセリーナは生還。モアに乗ってヘパトームたちを追った。
着いた場所はタスコ。メキシコシティから南西にある。写楽はモアとセリーナを安全な場所に隠して単身ヘパトームのアジトに乗り込む。そこには須武田博士、並びに行佐がいた。

行佐はインターポールの一員であり、ナチの残党、ヘパトームを追っていたのだ。生物学者を名乗っていたのはモアを泳がせ、黄金のありかを突き止め、ヘパトームを逮捕する為だった。行佐は、「子供には関係のないこと」として写楽を眠らせ、本部に連絡を入れる。
ところがインターポールは、アラブに保護されているヘパトームを捕まえては政治問題になるとして見逃すように命じる。金品を持っての高飛びを看過できないと見た行佐は、部下を二人伴い、単独でヘパトームを射殺しようとする。しかしケツアルの返り討ちに遭い、行佐並びに二人の部下は殺されてしまう。
モアは窓の外から、眠らされた写楽を見て写楽が死んだと思い込む。怒ったモアはヘパトーム親子が乗ったヘリに乗って大破させ、親子を殺す。モア自身も重傷を負い、セリーナに励まされるがケツアルに射殺されてしまった。
ケツアルはセリーナを人質に、モアの死体を置き土産にして去っていった。目を覚ました三つ目の写楽はモアの死体を見て号泣する。モアの敵討ちを誓い、古代マヤ族に倣って、写楽はモアの心臓を焼いて食らうのだった。

夜中の3時。ティオワンカンの遺跡(ピラミッド状)にて、ケツアルは雇い主のヘパトーム親子を失ってもなお、写楽と戦う理由を自分に問いていた。自身にトルテカ人の血が流れているのかもしれないと、ケツアルは結論付ける。トルテカ人は、かつて三つ目族を根絶やしにしたという。

ケツアルはピラミッドに罠を仕掛け、光で写楽の視界を奪った。その上で執拗に写楽の額の目を狙うが、セリーナが「やめろ」と叫んだ途端に銃を落としてしまった。声に驚いてのことではなく、念力だった。念力の波動がセリーナから来たとしてセリーナの額の髪をかきわけると、おできのようなものがあった。それは第三の目の痕跡であり、セリーナは三つ目族の子孫だったのだ。写楽に知られる前にと、セリーナはケツアルによって気絶させられた。

写楽が光源を潰すと、ケツアルは騒音などを使って写楽の気を逸らし念力を使わせないようにする。写楽を狙撃するチャンスを得たケツアルだったが、いつの間にか念力で刀が呼び寄せられており、それに貫かれた。ケツアルは事前にピラミッドに染み込ませていたガソリンに火をつけた。写楽たちと心中するつもりなのだ。ケツアルはそのまま息絶える。あっという間にピラミッドは炎に包まれる。写楽たちは逃げ場を失ったかに見えた。

写楽はセリーナが三つ目族であることに気付いており、目を覚まさせると一緒にオートバイを引き寄せるから手伝えと言った。二人の念力によりオートバイで火からは逃れられたが、地元の警官が追ってくる。二人がピラミッドに放火をしたと思い込んでいたのだ。セリーナはパトカーを潰す。その念力の強さは写楽以上であった。写楽はセリーナを自分の花嫁にふさわしいと喜ぶが、セリーナは警官に撃たれて致命傷を負ってしまう。

写楽は行佐の研究所までセリーナを運び、医師である犬持に治療してもらうよう頼むが、医療設備もろくにない状況では治療のしようがなかった。セリーナはペペの養子で三つ目族のことは何も知らない。写楽は先祖がいかに高度な文明を築いた超人化を話すが、「そんな賢いなら何故滅んだのか」とセリーナに返される。
写楽はセリーナに一緒に三つ目を復興させようと声をかけて励ますが、セリーナは「三つ目族は過去の存在。そんなものに縋らないで、今の時代を大事にし、生きるべき」と言い残して息を引き取る。泣きわめく写楽に対し、犬持は絆創膏を貼って黙らせるしかなかった。

古代王子ゴダル編

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魂を体から出す秘術、ホア・カバリ・キルマにより、三つ目族の王子ゴダルに乗っ取られた和登さん。

紀元前2400年。強大なるレムリヤ王国を支配する三つ目族の王子・ゴダルはウル王朝を滅ぼし、絶世の美女と名高いシグアナ姫を手に入れる。三つ目族の中でも特に強い力と残虐性を持つゴダルだったが、シグアナ姫には本気で惚れ込み、言いなりになっていた。
そんな中、姫から三つ目族に伝わる魔術『ホア・カバリ・キルマ』を見せるようせがまれる。一度は渋ったゴダルだったが、姫の前で儀式を実行。ホア・カバリ・キルマは生きたまま魂を肉体から出す術で、姫は三つ目族の秘薬の一つでゴダルの肉体を溶かし、国を滅ぼされたことへの復讐を完遂。ゴダルの魂が壷に封じられたまま、レムリヤ王国はやがて滅亡した。

5000年が経過し、ゴダルの魂を封じた壷は発掘され須武田博士に持ち帰られる。和登さんはひょんなことからその壷に入り込んでしまい、ゴダルの魂に呼び掛けられる。ゴダルは、シグアナ姫と似た容姿の和登さんに「恨んではいるが今も姫を愛している」と言った。
和登さんの魂は体から追い出されて、ゴダルが和登さんの体に憑依。ゴダルはそこに現れた写楽がかつての自分と似ていることから、写楽の体に乗り換えようとする。二つ目の体でも念力を使えるゴダルだったが、絆創膏が剥がれた写楽には勝てなかった。写楽は日本を滅ぼし、三つ目族の王国をたてるとの計画を打ち立てる。ゴダルはそんな楽に表向き服従するふりをし、三つ目族である写楽の肉体の乗っ取りを画策する。

ゴダルと写楽は京都の龍安寺に向かった。『イースター島航海編』でパンドラが「龍安寺に三つ目族の遺跡がある」と言った為である。ゴダルは龍安寺の石庭を見て、石の形状や位置関係がレムリヤの海図に似ていると指摘する。
龍安寺には三つ目の天狗伝説があり、石庭の海図も含めこの地に三つ目族の生き残りがやってきたことの証拠だと二人は推測する。写楽は石庭の形で海図をわざわざ残したということは、レムリヤの三つ目族がいずれ故郷に戻るつもりでおり、そこに帰る手段も講じていたはずと考え、ゴダルから心当たりはないかと聞き出す。そこに、和登さんの憑依した猫が現れて、写楽は絆創膏を貼られる。ゴダルは頼りなくなった写楽を抱え、龍安寺の地下で、レムリヤに帰るための三つ目族の古代船や、古代兵器ゴモラを発見する。

世界を手中に収めるには、各国首脳を支配下にする必要がある。ちょうど、京都で首脳会議が行われる所だった。首脳が集まるみやびホテルに、ゴモラによる氷での攻撃をするゴダルだが、ホテルはびくともしなかった。それでも首脳らを驚かせるには充分であり、ゴダルはホテルの支配人に脅迫の電話を入れた。「外に出る者がいたら氷で潰す」と。その他の要求として写楽の絆創膏の剥がし方を教え、ホア・カバリ・キルマの壷を用意しろと言った。
ゴダルの計画は、まず写楽の絆創膏を剥がし、超兵器ソドムを作らせる。その後、写楽をホア・カバリ・キルマの壷に押し込んで、写楽の肉体と魂を引き離し、自分が三つ目族の肉体を得て地上の覇権を握るというものだった。

壬生屯所に呼ばれた犬持と須武田博士は事の次第を聞き、シークレット・サービスの局長、芹沢家鴨に写楽の正体や三つ目族のこと、三つ目が出ている時の写楽が危険な性格であることなどを話す。芹沢から三つ目が元凶なら取ってしまえとまで言われるが、犬持も須武田博士もそれには怒り、抗議する。そうこうしているうちに、ゴダルから指定された時間がやってきた。ホア・カバリ・キルマの壷と、数十名の泣く子も余計泣き出す壬生シークレット・サービス(「泣く子も黙る壬生狼」と呼ばれた新選組のパロディ。シークレット・サービスは全員新選組の陣羽織に似たものを着ている。尚、芹沢家鴨のモデルと思われる芹沢鴨は天狗党と呼ばれる尊王攘夷派の一員である。『古代王子ゴダル編』では天狗にまつわる話も少しばかり登場する為の遊び心と思われる)が送り込まれた。いざとなった場合、写楽を捕縛、それができなかった場合は射殺する為である。

写楽の捜索命令を受けていた雲名警部は、部下二名と共に龍安寺に潜入するが、地下の洞窟に落ちゴダルに捕らえられる。シークレット・サービスの張り込みの中、須武田博士と犬持により、ホア・カバリ・キルマの壷が運び込まれた。そこで二人は和登さん(の姿をしたゴダル)を見て驚く。ゴダルは自分の正体を明かし、雲名警部とその部下を人質にシークレット・サービスを含めた全員を追い返した。

ゴダルは写楽の絆創膏を剥がすが、逆に自分の両目に絆創膏を貼られて絶対服従を誓わされる。写楽から自転車、電話機、自動販売機を調達するように命じられながらも、ゴダルは内心で復讐心を燃え立たせるのだった。

雲名警部らは写楽によって何かの装置を飲まされて、ゴダルの手でみやびホテルの側に捨てられる。これは首脳の体を乗っ取るという写楽の計画の一つだった。ゴダルがいない間、和登さんが現れて、今猫の体に入れられていることを伝えた。写楽は和登さんの魂を元の体に戻す方法を知らず、時が来るのを待てと言った。
写楽は風邪を引いたようで、高熱に倒れる。ゴダルは風邪薬と称してホア・カバリ・キルマの術に必要な、魂を出す為の薬を作るが、自身も風邪をうつされて倒れる。写楽は首脳たちの会議が始まっているのに寝込んでいては首脳の体を奪えないと焦りつつ、ホア・カバリ・キルマの壷を見て和登さんの魂が猫に入った方法を悟る。
写楽はゴダルにホア・カバリ・キルマについての秘密を吐かせる。それでもゴダルは秘薬の作り方までは教えないつもりだった。写楽は、風邪のことを知らないゴダルに「これは死ぬ病気だ。まずは健康な人間の体を手に入れよう」と持ち掛ける。

一方、みやびホテルでは首脳会議が一段落し、首脳たちは食堂に向かった。雲名たちは厨房で酸っぱいものを食べたくなっていた。写楽に飲まされた装置のせいである。雲名警部とその部下は目に入ったサラダドレッシングを夢中で飲み始める。この時、写楽が飲ませた機械をドレッシングの中に吐き出してしまい、首脳たちは機械入りのドレッシングのかかったサラダを食べることとなった。雲名たちに飲ませた薬に機械が入っており、ドレッシングを食べさせることで機械を吐き出させる為、雲名たちに装置を飲ませ、捨てたのだ。
龍安寺からみやびホテルまでは、京都盆地の地下を走る水脈の一つで繋がっている。さっきの警部たちがいい仕事をしてくれているはずだから、後は乗り込むだけとの話を聞き、ゴダルはホア・カバリ・キルマの薬を作る。

みやびホテルでは、雲名たちの吐き出した機械が元ですさまじい悪臭のガスが発生。首脳たちは皆気を失ってしまう。写楽は掘削機付きの潜水艇を作り、ゴダルと二人、気密服を着こんでホテルに乗り込み合衆国の大統領を捕らえる。しかし潜水艇が流された為逃げられなくなった。
脱出用の機械を作り始める写楽だが、ガードマンやシークレット・サービスが踏み込んでくる。写楽は暗示光線で彼らに「自分こそが大統領」と思い込ませる。そのすきに逃げ出そうとしたが、犬持と須武田博士が立ちはだかる。
ここで風邪が死の病でないと聞いたゴダルは写楽を殴り、犬持と須武田博士たちも車に乗せて龍安寺へ向かった。写楽とゴダルは龍安寺の地下のアジトにいた。ゴダルは自分に貼られた絆創膏を剥がして写楽の三つ目を封印すると、作っていた薬を探す。それは半分ほど、和登さんの魂入りの猫が飲んでいた。ゴダルは角材で和登さんを追い払おうとするが、弾みで和登さん(猫の体)がホア・カバリ・キルマの壷に入ってしまう。薬を飲んだ状態で壷に入ったため和登さんの魂は猫の体から抜け出した。

ゴダルはちょっとしたアクシデントはあったとしながらも写楽と和登さんの体を入れてホア・カバリ・キルマを行い、自分が写楽の肉体を得ようとした。写楽の魂が壷の中に残ることなどお構いなしで、ゴダルは犬持たちを念力で制し、魂が離れやすいように裸になり写楽に薬を飲ませる。
写楽は和登さんの裸に喜び、その拍子に明りの炎が古代船に燃え移ってしまう。ゴダルは壷を運び出そうとするが、一人犬持により壷に押し込められる。効き目が出るまで蓋を押さえておけば、和登さんは元の体に戻れると踏んだのだった。作戦は成功し、和登さんは自分の体に、ゴダルは猫の体に入った状態で壷から抜け出す。壷に入れられることのなかった写楽も含め、全員が燃え上がる地下から脱出することができた。

帰りの新幹線で、「猫になった夢を見た」と言う和登さんと、絆創膏状態の無邪気な写楽は、犬持から龍安寺でのことを夢だ、忘れろと言い聞かされる。みやびホテルの各国首脳たちも、「何か突発的な事故が起きたが、皆忘れてしまったらしい」と事実を覆い隠した状態で報じられ写楽たちに疑いがかかることもなかった。
全ての真相を知るのは、五条大橋に住み着いた一匹の薄汚い野良猫(ゴダル)のみであった。

地下の都編

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出典: video.unext.jp

アニメ版より。写楽の見つけた遺跡を調査したい草井(左)と、その申し出を断る写楽。

ゴダルの件で長期外泊をしていた為、父から座禅修行などでしごかれていた和登さんは、犬持から大事な相談があると電話を受ける。犬持はゴダルの一件で三つ目の写楽の危険性を改めて思い知り、第三の目を潰す手術を受けさせようとしていた。
和登さんは反対するが、犬持とて、本音を言えば健康な目を潰すことは避けたかった。それでも三つ目の写楽によるテロ行為は人間のやれることではないとしての苦渋の選択であった。今写楽に必要なのは本当の友達だと、犬持は和登さんに縋る。
和登さんは、成績不振が元で写楽が転校した猪鹿中学(不良生徒が多い)に向かう。いじめられていた写楽を助け、男らしく堂々と振る舞うように言い、「堂々と振る舞えたら一緒にお風呂に入ってやる。約束を守るところから、男らしく振る舞うことが始まるのだ」と続けた。その晩、和登さんは写楽を疫病神と忌み嫌う父から、まだ写楽とまだ付き合っていることを咎められる。

写楽は「宝物」と称する大きな箱をどこかに隠そうとしていた。隠し場所や内容物についても和登さんには言わない。箱の中身は、三つ目族との繋がりを示すものらしかった。第三の目(写楽はオデキと表現)を潰したら、三つ目族との関わりもなくなる。そうなれば箱の中身は不要と判断されて犬持によって焼いて処分されると写楽は言うのだ。

和登さんは写楽を寺にかくまうが、写楽は秘密の通路を作ろうと寺の一部を破壊。和登さんの父親は写楽の行動に根負けして、第三の目を取ったら寺に住まわせ、修行をさせて性根を叩き直すという。手術の予定日まではまだ時間があり、何か策を見つけようと考えながら、和登さんは写楽と入浴する。友人、というより子供が母に甘えるような写楽の態度に、和登さんは同情する。

翌日、写楽は和登さんのとりなしで学校の考古学部に入れてもらうことになった。部員たちは物を壊してしまう写楽に辟易しつつも、考古学に関して教えるのだった。写楽は考古学部の活動が終わった後も貝塚を掘り当てようと周りからの嘲笑の中でも活動を続ける。
遅くなっても帰らない写楽を探していた和登さんは、もう遅いから帰ろうと言うが、石でできた蓋のようなものを掘り続ける写楽は「最初にやりかけたことをやり続けるのが男だ」とし、作業を続ける。
せめて10時までは発掘作業をさせるとし、手伝い始めた和登さんだったが、突如二人は穴に落ちた。そこには古代のものと思われる遺物がたくさんあった。和登さんは大発見だ、明日須武田博士に報告しようと言う。しかし、写楽は自分の宝物をここに移すと言って誰にも教えないとした。

宝物を取りに向かう二人だったが、その場所では工事が始まっていた。泣きわめく写楽に対し、和登さんは時には諦めなくてはならないこともあるとなだめるが、宝物の正体が写楽の母の形見だと知り愕然とする。雷に打たれて亡くなった写楽の母の服や靴が、写楽の手によって箱に入れられて保存されていたのだ。
和登さんは、犬持と写楽との間に気持ちのすれ違いがあるのではないかと感じる。犬持は写楽を可愛がりこそするものの、写楽に対し不気味に思ったり、突き放したりしたのではないかと。母の服、唯一の形見を宝物代わりにしていた写楽の孤独を想いながらも、和登さんは「メソメソするな。女ものの服が欲しいなら、ボクの古着をやる」と敢えて強気の態度で古い下着を写楽にやるのだった。写楽は新しい宝物に喜ぶ。

一週間が経過し、写楽は相変わらず同じ場所での発掘作業を続けていた。そこからは土器と思しきものが出始め、何らかの遺跡があったことを裏付け始める。初め馬鹿にしていた旧友たちも発掘の手伝いを申し出るが、和登さんが追い払った。
この遺跡は写楽のものであり、写楽一人の力でやり遂げさせると言う。そうすれば皆も犬持も写楽を認め、三つ目を取る手術も思いとどまると考えたのだ。貴重な遺物発見の話を聞いて飛んできた須武田博士は、写楽一人に遺跡の発掘作業をさせるわけにはいかないとしたが、和登さんの話を聞いて写楽の三つ目がとられないのならと和登さんに従った。

その翌日、和登さんと写楽は石の蓋を発見。開けてみるとどうやら墓のようであった。4体の骸骨が剣で壁に磔にされていた。石棺の中には意味ありげな人骨と、その上に獣の骨があった。
地上に出ると、写楽の担任の暴力教師・通称ノラキュラが現れて発掘作業を砂遊びとけなし、罰の意味合いで写楽を教室に拉致監禁する。その度に抜け出しては発掘作業に戻る写楽だが、遂にはノラキュラによって遺跡に閉じ込められてしまう。

閉じ込められた写楽の背後で棺の蓋が開いた。中からは和登さんに似た女性が鹿を伴って現れ壁に消えていった。写楽は後を追うため、壁の下部分をくりぬいた。そこには廃墟と化した地下遺跡があった。
和登さんに似た女性と、土偶を思わせる女性が現れる。和登さん似の女性は自らを精霊の巫女・マヌイと名乗る。マヌイは写楽に地下遺跡について語った。元々この都市は地上にあったもの。ところが富士山(マヌイ曰く「聖なる山」)の噴火により灰に埋もれてしまった。そのまま灰が固まり、大地震による地盤沈下で空洞ができたというのだ。
マヌイは巫女として町に残り、祈りを捧げ、神の鹿と共に棺に入った。石棺の骨はマヌイ達だったのだ。長きにわたる年月の中、女たちと男たちが別々にこの地を訪れた。女たちはマヌイを守護神とするのが目的だったが、男たちは盗掘が目当てだった。
マヌイ、並びにお付きの女戦士は幽霊ではなく、マヌイ達が生きていた頃の姿を見ている(写楽の心にマヌイたちの姿がテレビのように映り込んでいる)とのこと。マヌイは写楽に、この街を盗掘から守ってほしいと頼み込む。

ここで突如マヌイ達が消え去る。過去との通信が途絶えたのだ。盗掘は始まっていた。盗賊はノラキュラと、井奈折(いなおり)なる代議士。井奈折の選挙演説の資金として、地下の都の宝が必要だという(遺跡にはメノウや真珠といった宝石があった)。ドリルでの掘削作業が始まった。

遺跡が暴かれ5000万円相当の真珠が見つかった。ここで作業人たちが真珠を奪い合う事態が起きる。写楽は絆創膏を貼られた状態のままに突進、どうにか追い返した。マヌイが現れて写楽に礼を言い、写楽に危機が迫った時必ず助けると約束した。写楽は土偶のような女戦士、エビラに手を引かれて外に出た。エビラは外に出ると土偶になっていた。

そこには、掘削作業を邪魔されたノラキュラに「絆創膏を剥がした写楽に、代議士もろとも暴力を受けた」と嘘の報告をされた犬持がいた。写楽は本当のことを話すが、絆創膏を貼った状態で他者を攻撃できるわけがない、学校の先生が嘘をつくわけがないとされ明日手術が行われることになった。写楽は和登さんにもすべての真相を話し、和登さんは「手術はやめさせる」と約束する。

翌日。写楽は病院に連れていかれ手術台に乗せられる。手術室には、和登さんが仲間とともに侵入し、それぞれ執刀医、看護師に化け待ち構えていた。和登さんは麻酔をかけない状態で写楽の絆創膏を剥がし、立ち会うために手術室にいた犬持に訴える。写楽が皆に馬鹿にされながらも発掘をやめなかったことを何故認めてやれないのか、何故写楽の言うことを信じてやれなかったのかと。和登さんは三つ目の写楽に遺跡が危険だと告げ、遺跡を守り抜いたら絆創膏を貼るから戻って来いと付け加えた。

三つ目の写楽は川の水を誘導させて遺跡を水没させた。須武田博士に抗議されるが、金に目のくらんだ盗掘者に荒らされるよりは水に沈めた方がいい、マヌイとの約束を果たせたとした。
写楽はマヌイがマヌイが和登さんの心に溶け込み、犬持を説得したことを感じ取っており、マヌイも約束を果たしたと須武田博士に説明する。
工事現場から持ち出された母の遺品を見つけ出した写楽は、「和登さんとの約束があったから」と寺に向かった。家に置いていたらいつなくなるか分からないとして和登さんに服を預け、また自ら額を差し出し、絆創膏を貼らせるのだった。

テレビ東京版では墓を荒らすのが遺跡泥棒の草井になっている。またアニメでは写楽が転校しない為、ノラキュラは登場しない。アニメオリジナルキャラクターのバンカラが第三の目の摘出手術の阻止を手伝っている。

グリーブの秘密編

10

出典: www.shogakukan-cr.jp

核弾頭を積んだ浮遊物体が上空にあるとし、上底を人質にとって米軍基地から逃れる。

えどのゆうき
えどのゆうき
@edono78

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