三つ目がとおる(The Three-Eyed One)のネタバレ解説まとめ

『三つ目がとおる』とは、手塚治虫による漫画及び、それを原作とするアニメ作品である。無邪気な性格の中学生、写楽保介は古代種族三つ目族最後の生き残り。額の絆創膏を剥がすと第三の目と共に超知能、超能力を操る冷酷な人格が現れ悪魔のプリンスと化す。写楽は世界征服を目論む一方で、時にクラスメイトの和登さんらと共に古代遺跡絡みの陰謀に巻き込まれる。オカルトブームの中、人気を博し第1回講談社漫画賞を受賞。漫画の神と呼ばれた作者の没後初のアニメ化作品でもある。

出典: blogs.yahoo.co.jp

『手塚治虫のマリン・エクスプレス』より、悪役で登場したシャラク王子。

声:肝付兼太

1979年8月26日に放送された24時間テレビ内の『海底超特急マリン・エクスプレス』に三つ目の状態で登場。この作品はヒゲオヤジやアトムと言った手塚キャラクターがスターシステムにより元々の作品とは違った役割りで登場している。
ストーリーは2002年に作られた海底超特急列車、マリン・エクスプレスの試運転に、計画の責任者だけでなく殺人者とそれを追う探偵、マリン・エクスプレスの破壊を目論む者といった訳ありの者や招かれざる客が乗り込み旅をするという、サスペンス色の強い冒険ものである。2015年にコミカライズされたが、一部内容が異なっている。

写楽は1万年前のムー帝国に現れたクリプトリプトン星人のシャラク王子として登場している。移民を自称し、初めは友好的にしていたが次第に本性を表してムー帝国を乗っ取った。国の宰相を抱き込んで多くの島々に侵略を仕掛け、マリン・エクスプレスを参考に海底の宝を採集するための乗り物を作ろうとした。
アダム(声:清水マリ。外見はアトム)がマリン・エクスプレスを破壊しようとしていると知りアダムを止めようとするが、間に合わずマリン・エクスプレスもろとも爆死する。

終始上から目線の態度であり、超能力を使用し陰謀を持つ様は三つ目の写楽そのままだが、惚れた弱み故にその相手を殺せない点も受け継いでいる。『マリン・エクスプレス』での想い人はムー帝国の女王、サファイヤ(声:太田淑子)である。サファイヤを女王のままにしているのは彼女を愛している為である。

写楽(しゃらく)/出演作品:アニメ『ブラック・ジャック』及び『ブラック・ジャック21』

出典: blackjackanime.wikia.com

アニメ『ブラック・ジャック』と『ブラック・ジャック21』に登場した写楽。

声:佐藤ゆうこ

2004年に放送された『ブラック・ジャック』に登場。『ブラック・ジャック』とは『三つ目がとおる』と同時期に連載開始された手塚治虫の代表作の一つで、奇跡の腕を持つ天才外科医ブラック・ジャック(声:大塚明夫)がどんな患者も治してしまうというヒューマンストーリーである。
ブラック・ジャックにはピノコ(声:水谷優子)という助手がいる。ピノコは一見すると幼い少女だが18年間双子として生まれるはずだった姉の畸形嚢腫内部に内臓、手足、目といったパーツがバラバラの状態で入っており、ブラック・ジャックに救われ人間として組み立てられた経緯を持つ。

アニメ版の『ブラック・ジャック』における写楽はピノコの友達としてレギュラー出演していた。初登場時から気弱で「自分がいじめられるのは仕方ない」と諦観状態だったが、ピノコに救われていじめっ子に立ち向かう特訓をつけてもらうことで前向きになり、ピノコとも仲良くなった。
ピノコ曰く「学校の勉強は苦手だけど変ことは知っている」とのことで、華道の歴史や8月8日がそろばんの日であるなど妙なトリビアを度々披露する。読書家のようで度々本を読んでおり、そこから知識を得たらしい。低年齢児向けの特撮に夢中になるなどオタクで変人気味の所はあるが『三つ目がとおる』の写楽よりは常識人でそこそこ空気は読める。またテレビ局に知人がいるなど侮れない人脈の主でもある。
和登さん(声:小野涼子)とは姉弟であり、『三つ目がとおる』のような恋人的な要素は一切ない(それぞれピノコ、ブラック・ジャックに想いを寄せている節がある)が、初登場回でこの姉弟を知る人物から「写楽君はきっとシスコン」「和登さんのような強い女性が好み」と言われていた。

考古学者の父、犬持の発掘現場にブラック・ジャックやピノコ、和登さんと共に呼ばれていったことがある。夜中、赤いコンドルに似た発掘品を手にし、「アブトル・ダムラル・オムニス・ノムニス・ベル・エス・ホリマク」の呪文を口にした。声も表情も通常と違い凛としたものになったが、これは地球人から攻撃を受け地球に滞在せざるを得なくなった宇宙人に操られてのことである。宇宙人リーダーが妻を治療させるべく犬持にブラック・ジャックを呼ばせ、自分たちと脳波の周波数が近い写楽を通訳にしたのだった。
ポゴやモアも写楽の持つ人形として度々カメオ出演する。

続く『ブラック・ジャック21』ではブラック・ジャックとピノコがある企みに立ち向かうべく世界を巡る展開になりレギュラーとしては登場しなくなるが、毎回何らかの形(人形やトランプの絵など)で姿だけを見せる。放送の終わりに『写楽を探せ』というコーナーができ、「どこに紛れていたか」の答え合わせを行っていた。

出典: s.mxtv.jp

宇宙人に操られる写楽。

『三つ目がとおる』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「アブトル・ダムラル・オムニス・ノムニス・ベル・エス・ホリマク われとともり来たり われとともに滅ぶべし」

出典: twitter.com

三つ目の写楽がよく使う呪文。アニメでは赤いコンドルを呼び出すのにも使うが、三つ目族の遺跡を開くのにも使用される。古代三つ目族がこの呪文を唱えている最中に長耳族の攻撃を受けるシーンがあり、呪文詠唱が長すぎるのが弱点と言えるかもしれない。
『イースター島航海編』では、ポゴの処刑の際に小声もしくは心に思った状態でこの呪文を唱え、念力でポゴに投げられた槍を全て処刑人に跳ね返している。

「写楽クンにとってはどっちが生きがいなんだろうか…?」

出典: tezukaosamu.net

寂しげにも見える寝顔。

『三つ目族の謎編』を締める、和登さんのモノローグ。三つ目族の生き残りとして現代人を滅ぼすことを先祖の遺言によって義務付けられた写楽に対し、和登さんは「写楽は三つ目のままがいいのか、それとも何も知らない絆創膏を貼った姿の方がいいのか」と考える。コミカルタッチで描かれながらも時に浮き彫りにされる写楽の孤独などを思いやる言葉である。

「三つ目クンは人間にとっていつか恐ろしい敵になるかもしれないけど…。…でも、そんな三つ目クンが好きなの。ボクはたまらなく彼に惹かれるんだ」

出典: www.boukenexceednori2.com

和登さんが三つ目の写楽を評し、心でつぶやいたセリフ。この時点ではまだいじめられっ子の写楽とのギャップに戸惑いつつ、悪魔のプリンスたる三つ目写楽に対する恐れと、恋愛ともつかない好意が読み取れる。

「あのバンソウコウをとってはならんのだ。第三の目をむきだしにすると危険なんだ」「でも先生。そういう三つ目クンに…ボクあこがれちゃってるんです。…すばらしいわ…。だってそうでしょ?いまの人間とぜんぜんちがった心をもってちがったことをやれるなんて…。そういう人、今世の中にいるかしら?」

出典: twitter.com

三つ目の写楽に対する犬持と和登さんの見解の違い。写楽を普通の子として育てたい犬持と、三つ目の写楽が好きな和登さん。このセリフからは、和登さんの三つ目写楽に対する羨望や尊敬のようなものが垣間見える。
寺の娘として生まれて良き妻、良き住職、良き社会人になることを父から望められている和登さんには一種の破壊願望があるとの考察がある。父による寺院の修行だけではなく華道や琴と言った稽古ごとに明け暮れる日々の中、悪魔(写楽)と一緒に暴れ回る想像をするシーンすらある。

「そうだ。お前はオレの和登サンだ。ぜったいにウワキは許さんぞ。おまえはいずれ悪魔のプリンスの奥さんになる運命だ」

出典: twitter.com

雑誌掲載時の最終話『スマッシュでさよなら』でのセリフ。この時、和登さんはテニス部部長の駄盤(ダーバン)に一目惚れする。写楽と共にテニス部の練習を見に行くほどの熱の入れようだった。
しかし駄盤はとんでもない女たらしであり、和登さんは駄盤の女遊びの標的にされていたのだ。かつて駄盤に捨てられた少女から駄盤の正体と目的を知った和登さんはどうにか難を逃れる。
写楽はずっと、駄盤から邪魔者扱いされてテニス部員たちからスマッシュの的にされていた。傷の手当ての最中、額の絆創膏が取れた写楽は念力でテニス部員、並びに駄盤に仕置きを食らわせる。和登さんも助けを求めて来た駄盤を放り投げるのだった。
このセリフは一見すると傲慢だが、和登さんに対する照れや気遣いも見て取れる。

『地下の都編』ラスト、三つ目の写楽が自ら和登さんに絆創膏を貼らせるシーン

えどのゆうき
えどのゆうき
@edono78

Related Articles関連記事

PLUTO(プルートウ)のネタバレ解説まとめ

『PLUTO』とは、手塚治虫の作品「鉄腕アトム」の中のエピソード「史上最大のロボット」を原作とした浦沢直樹の漫画作品。 舞台は人間とロボットが共存する世界。世界最高水準の能力を持つ7体のロボットが、次々と何者かに破壊される事件が起きる。7体のロボットの1人・ドイツ刑事ロボットのゲジヒトは、一連の事件に深く関わっているとされる謎のロボット「プルートウ」の正体に迫っていく。

Read Article

火の鳥(Phoenix)のネタバレ解説まとめ

漫画界の巨匠、手塚治虫の描く壮大な物語が『火の鳥』だ。その血を飲むと永遠の命が得られる伝説の鳥である「火の鳥」。この伝説の鳥を巡り、古代から未来へ、未来から古代へ。またミクロからマクロへ、マクロからミクロへと想像を絶するスケールで世界が流転する。文明の進化と衰退、科学の罪、生命進化、人間の心と、「火の鳥」を狂言回しに、あらゆる要素を紡ぎ、手塚治虫が読者へ送る「究極の物語」だ。

Read Article

ブラック・ジャック(BLACK JACK)のネタバレ解説まとめ

ブラック・ジャック(BLACK JACK)は、手塚治虫の代表漫画作品の1つ。黒いマント姿につぎはぎの顔の天才無免許医師が、法外な治療費と引き換えに多くの怪我や難病を治療していく人間ドラマ。1973年~1979年に「週刊少年チャンピオン」にて連載され、連載終了後も読み切り作品が掲載された。さらに、他の漫画家の執筆による作品も数多くあり、医療漫画のパイオニアにして、金字塔と言われる。

Read Article

ブッダ(アニメ・漫画)のネタバレ解説まとめ

「ブッダ」とは、漫画家・手塚治虫が手がけた、仏教を生み出した釈迦こと「ブッダ」の物語についての漫画作品である。少年漫画雑誌「希望の友」(潮出版社)にて、1972年〜1982年まで連載された。後のブッダである主人公「ゴータマ・シッダルタ」が苦悩しつつ仏教をどのように悟ったのかを描き出している。実在の人物と手塚治虫自身の創作の人物が入り混じっているも、2000万部を超える売り上げを記録し、非常に評価されている作品である。

Read Article

神の手を持つ男 ブラック・ジャックの生い立ちと謎について考察まとめ

手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』。一話完結の作品の中に完璧な人間ドラマを描きだす手塚治虫は間違いなく天才だったといえるでしょう。漫画を読んだことのない人はもちろん、ある人にとってもブラック・ジャックは謎の多い人物です。今回は間黒男がいかにして伝説の無免許医ブラック・ジャックになったのか、ブラック・ジャックとはいったい何者なのか、その本性に迫ります。

Read Article

火の鳥(Phoenix)の名言・名セリフまとめ

『火の鳥』はあの『鉄腕アトム』を生み出した漫画界の巨匠、手塚治虫による『火の鳥(不死鳥)』を題材とした長編漫画である。日本の漫画文化を代表する作品の一つ。仏教の「六道輪廻」の考え方を軸に「死と再生」を主なテーマとした壮大なストーリーとなっている。 全12編ともなる独立したストーリーの舞台が過去と未来を行き来する独特な構成や、宗教思想と漫画の融合が当時画期的であり、現在でも数々の作品に影響を与え続けている。 この記事では、生命の本質や人間の業を説くような火の鳥の名セリフの数々を紹介する。

Read Article

ぐるなびにて連載のエッセイ漫画【田中圭一のペンと箸-漫画家の好物-】をご存知ですか?

田中圭一先生と言えば、漫画界の巨匠・手塚治虫先生の絵柄で下ネタギャグな作風を確立したパイオニア。その田中先生が現在webサイト「ぐるなび」にて、漫画家ご本人とそのご家族にまつわる“食”にスポットを当てたエッセイ漫画を連載しており、これが大変おもしろい!ですのでこちらでは、田中先生の作品を通して、ご自身も漫画家や他分野で活躍されているご家族も紹介させて頂きます。

Read Article

手塚治虫の名作『ブラックジャック』の集大成! 『ブラックジャック大全集』

手塚治虫の名作が最も美しく甦る。 『ブラックジャック』は過去、秋田書店等で何度か単行本化されているが未収録作品がいくつかある。 しかし本書は、過去の単行本化された中で未収録作品が3話と一番少ない。 なお、この3話(「指」・「植物人間」・「快楽の座」)は手塚プロダクションの意向により今後も掲載されることはないため、この『ブラックジャック大全集』が〈完全版〉と言えるだろう。

Read Article

【ブラック・ジャック】記念すべき第1話「 医者はどこだ!」のネタバレと感想

「鉄腕アトム」や「火の鳥」「ジャングル大帝」などの名作を世に生み出した手塚治虫先生。そんな彼の作品の中で「医療漫画の傑作」と言われ、現在でも高い支持を集めているのが「ブラック・ジャック」です。今回は2004年に発売された新装版の特徴を踏まえながら、第1巻収録話についてまとめていきます。(※参考画像なし)

Read Article

いつの時代も面白い!テレビアニメ『ブラック・ジャックシリーズ』

どうも。最近話題になっている「ヤング ブラック・ジャック」効果で再びB・Jブームが到来した筆者です。子供の頃に何気なく見ていたストーリーは、今改めて見ると中々に感慨深いものがあったりします。という事で今回は、テレビで連続放送されていたB・J各シリーズを1話無料動画と合わせてご紹介。

Read Article

目次 - Contents