三つ目がとおる(The Three-Eyed One)のネタバレ解説まとめ

『三つ目がとおる』とは、手塚治虫による漫画及び、それを原作とするアニメ作品である。無邪気な性格の中学生、写楽保介は古代種族三つ目族最後の生き残り。額の絆創膏を剥がすと第三の目と共に超知能、超能力を操る冷酷な人格が現れ悪魔のプリンスと化す。写楽は世界征服を目論む一方で、時にクラスメイトの和登さんらと共に古代遺跡絡みの陰謀に巻き込まれる。オカルトブームの中、人気を博し第1回講談社漫画賞を受賞。漫画の神と呼ばれた作者の没後初のアニメ化作品でもある。

『グリーブの秘密編』に登場する。現地のインディアン(作中の表記に準ずる)により崇め奉られていた。頂上が10m四方の平らなピラミッド状。調査に来た白人が無残な姿で見つかることが多く、神秘の力が眠っているとされた。力の正体はグリーブの中にある重力制御装置であった。写楽並びにブラックホーンはこの謎を解いたが制御できず、満月の夜、地球にもたらす重力の影響もあって重力制御装置が暴走。内部のメカも含め滅茶苦茶に自己破壊して機能を停止した。

24時間テレビ版にも似たものが登場している。写楽が言うにはデビルコンピュータという名前であり、引力を操る最終兵器とのこと。24時間テレビ版における三つ目族滅亡の原因である。こちらは世界征服を目論むネオナチの統領、パンドラが押してはいけないボタンを押してしまい、装置が眠る島もろとも崩壊した。

天人鳥

出典: video.unext.jp

『三つ目族の謎編』に登場。犬持邸に贈られて来た青銅製の球体に入っていた。人間の女性を思わせる頭部に、鳥のような脚と翼を持つ。三つ目族の命令に忠実に従う僕。鳴き声が琵琶湖の底に眠る遺跡の扉のカギとなっていた。

ボルボック / スーパーボルボック(テレビ東京版のみ)

出典: ameblo.jp

『怪植物ボルボック編』に登場。古代の三つ目族により知性を与えられた植物。土の性質を変え、他の植物を枯らせるも咲かせるも自由な能力を持つ。現代では自分の出自を知らない三つ目族の子孫、吾平がその苗をこっそり育てている。苗はナマズに似ており、和登さんたちは当初ボルボックの苗を持ち歩く吾平を「ナマズ男」と呼んでいた。

ボルボックは古代三つ目族の食糧需給に大いに貢献したが、おごり高ぶった末戦争や人心の荒廃によって自滅の道を進む三つ目族に愛想が尽き、突如野菜作りをやめてしまった。これにより三つ目族とボルボックの間で戦争が起きる。三つ目族はボルボックを火や薬品で痛めつけるが、ボルボックは第三の目を毒針で封じる術を身につけていた。目そのものを潰すのではなく、コブで覆う形であり、写楽と吾平はボルボックの毒針で三つ目を封じられる。
写楽は初め、ボルボックを手懐けようとしたが、ボルボックが植物作りをやめ、それに端を発する兵糧攻めの形で三つ目族滅亡のきっかけになったことを知る。三つ目族の生き残りは衰退しても尚食糧の需給をボルボックに頼り切っていた(自力で食糧を作る力がなかった)為、滅亡の原因となったボルボックを捨て去ることができなかった。それを知った写楽は先祖とボルボックの両方に怒りを覚え、ボルボック打倒を誓う。
写楽はボルボックが海岸付近に植えられなかったことや、先祖の遺した文字盤から、海水がボルボックの弱点であることを突き止める。環状列石を直したことで海水の雨をボルボックに浴びせ、ボルボック本体を倒すことはできたが、吾平がボルボックの苗を持って逃走したため、どこかでまたボルボックが育っているかもしれないとされた。

テレビ東京版では、三つ目族の少女モエギが吾平の役割を受け継いでいる(モエギはボルボックの苗に因んで、住んでいた村で「ナマズっ子」と呼ばれていた)。モエギは『怪植物ボルボック編』の後放浪の旅を続けていた。ボルボックはある遺跡で生体強化細胞を植え付けられて、スーパーボルボックとしてパワーアップ。ビルをも超える巨体と、戦艦に巻き付き沈めるほどの力を得た。海水という弱点を克服し、海から日本へ上陸して、自然を汚す人間たちを三つ目二つ目関係なく滅ぼそうとした。
モエギとは友達のような関係であり、モエギが人間に殺されたことを受けて人間たちへの憎しみを強める。一騎打ちの果て写楽を追い詰めるが、和登さんの「五十年待ってほしい、その間に人類はやり直す」との説得に心を動かされて活動を停止。これは一時的な休眠であり、五十年後に人間と自然との関係が変わっていなければ今度こそ人間を滅ぼすとした。

環状列石(ストーンサークル)

出典: ameblo.jp

『怪植物ボルボック編』に登場。地震と共に巨大な石柱がせり出し、周囲に放射状に石が並んだもの。イギリスのサークルストーンを思わせる。写楽曰く三つ目族が日本に上陸した証に自分たちの領土の印として建てたもので、柱の表面にそのことが刻まれていた。
本来の用途は、ボルボックが暴れ出した時に海水の雨を降らせて倒すこと。長い年月とともに地中に埋まり、和登さんの伯父の寺などの下で眠っていた(三つ目族が故意に地中に埋めたものもある)。

デビルコンツェルン

テレビ東京版オリジナルの悪の組織。『怪鳥モア編』並びに最終決戦などで度々その名が語られる。ブラッドリーをボスとし、文福、ケツアルと言った原作での悪役はほぼこの組織の一員ということになっている。三つ目族の遺跡をはじめとする古代遺跡を巡り、調査していた。目的は世界征服。
モエギとスーパーボルボックの反乱により壊滅した。

『三つ目がとおる』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

三つ目族の呪文の由来

「アブトル・ダムラル・オムニス・ノムニス・ベル・エス・ホリマク」という意味ありげな三つ目族の呪文だが、これはホア・カバリ・キルマ同様手塚治虫氏による創作である。
手塚氏の子供が幼い頃に言った舌足らずな言葉が元になっているなど諸説あるが、古代文明や言語等にこの呪文の「元ネタ」となるものはない。

『三つ目がとおる』は手塚治虫久々のヒット作

出典: natalie.mu

漫画の神様との異名を持つ手塚治虫氏だが常にヒット作に恵まれていたわけではない。劇画が隆盛を誇った1970年代にはこれといった人気作は生み出せなかった。手塚氏も大人向けの作品を多数送り出してはいるが、他の作家、作品の人気の陰に隠れる事態もあった。
そんな中、漫画家生活30年目の節目として連載が開始された。掲載誌である『週刊少年マガジン』とは、作品に関する事態(W3事件)が元で関係を断っていたが『三つ目がとおる』の連載を機に再び『週刊少年マガジン』にて筆を執ることとなった。
劇画作品に負けまいと、手塚氏は古代遺跡について徹底的に調査をし、そのリアリティと古代遺跡に関する独自の解釈によるロマンにより、『三つ目がとおる』は手塚氏久々の人気作となった。

【W3(ワンダースリー)事件】
手塚氏が『三つ目がとおる』まで『週刊少年マガジン』に漫画を描かなかったあらましを「W3事件」と呼ぶ。手塚プロダクションが『ナンバー7』という作品をアニメ化しようとしたが、『ナンバー7』と似た設定の作品の企画が通る事態が発生。手塚プロダクションは酷似した作品の放送を回避すべく『ナンバー7』のタイトルだけをそのままにし、内容を大幅に変更する羽目になった。『007』シリーズを意識したスパイものにヒントを得て、星光一(ほし・こういち)なる諜報員を主人公にし、光一の相棒として様々な能力を持った宇宙リスのボッコを登場させ、アニメ版の『ナンバー7』をスタートさせようとしたのである。
しかし、『宇宙少年ソラン』というアニメに、ボッコと似たキャラクターがいることから『ナンバー7』はタイトルを『W3(ワンダースリー)』とし、更に内容を変えたSF冒険ものとして発表された。
『ナンバー7』の主人公だった光一は、『W3』の主人公星真一(ほし・しんいち)の兄となり、ボッコもウサギ(に化けた宇宙人)となって辛うじて『ナンバー7』の名残りを遺している(ちなみに真一の名前の由来は手塚氏と親交のあったSF作家の星新一氏である)。
『W3』はそのまま『週刊少年マガジン』で漫画版が連載される予定だったが、『ナンバー7』の内容を変えるきっかけとなった『宇宙少年ソラン』も『週刊少年マガジン』に掲載されることとなった。手塚氏は『W3』の連載を自ら6話で打ち切って『週刊少年サンデー』に移行した。

写楽の没デザイン

出典: tezukaosamu.net

手塚治虫ファンの間では写楽のデザインは馴染みのものと言えるが、『三つ目がとおる』連載前は主人公のデザインを色々と模索したようである。『三つ目がとおる』の主人公を決める為のキャラクターデザイン集からは、一つの作品を何度も推敲する手塚氏のこだわりが伺える。

スターシステム上の写楽

手塚氏は漫画の制作に当たり、スターシステムなるものを取り入れていた。スターシステムとは、「作品は劇、もしくはドラマでキャラクターは役者」という概念であり、早く言えばキャラクターの使い回しである。手塚氏の作品においては、主役を務めたキャラクターが別作品で脇役や名もないモブとして登場することが多々ある。
「写楽保介」もそうしたスターシステムで他作品に登場している。基本的には絆創膏を貼った状態で、大人しいか気弱な少年として描かれる。三つ目状態の時は悪役である。

シャラク王子/出演作品:アニメ『手塚治虫のマリン・エクスプレス』

えどのゆうき
えどのゆうき
@edono78

Related Articles関連記事

火の鳥(Phoenix)のネタバレ解説まとめ

漫画界の巨匠、手塚治虫の描く壮大な物語が『火の鳥』だ。その血を飲むと永遠の命が得られる伝説の鳥である「火の鳥」。この伝説の鳥を巡り、古代から未来へ、未来から古代へ。またミクロからマクロへ、マクロからミクロへと想像を絶するスケールで世界が流転する。文明の進化と衰退、科学の罪、生命進化、人間の心と、「火の鳥」を狂言回しに、あらゆる要素を紡ぎ、手塚治虫が読者へ送る「究極の物語」だ。

Read Article

ブラック・ジャック(BLACK JACK)のネタバレ解説まとめ

ブラック・ジャック(BLACK JACK)は、手塚治虫の代表漫画作品の1つ。黒いマント姿につぎはぎの顔の天才無免許医師が、法外な治療費と引き換えに多くの怪我や難病を治療していく人間ドラマ。1973年~1979年に「週刊少年チャンピオン」にて連載され、連載終了後も読み切り作品が掲載された。さらに、他の漫画家の執筆による作品も数多くあり、医療漫画のパイオニアにして、金字塔と言われる。

Read Article

ブッダ(アニメ・漫画)のネタバレ解説まとめ

「ブッダ」とは、漫画家・手塚治虫が手がけた、仏教を生み出した釈迦こと「ブッダ」の物語についての漫画作品である。少年漫画雑誌「希望の友」(潮出版社)にて、1972年〜1982年まで連載された。後のブッダである主人公「ゴータマ・シッダルタ」が苦悩しつつ仏教をどのように悟ったのかを描き出している。実在の人物と手塚治虫自身の創作の人物が入り混じっているも、2000万部を超える売り上げを記録し、非常に評価されている作品である。

Read Article

PLUTO(プルートウ)のネタバレ解説まとめ

『PLUTO』とは、手塚治虫の作品「鉄腕アトム」の中のエピソード「史上最大のロボット」を原作とした浦沢直樹の漫画作品。 舞台は人間とロボットが共存する世界。世界最高水準の能力を持つ7体のロボットが、次々と何者かに破壊される事件が起きる。7体のロボットの1人・ドイツ刑事ロボットのゲジヒトは、一連の事件に深く関わっているとされる謎のロボット「プルートウ」の正体に迫っていく。

Read Article

神の手を持つ男 ブラック・ジャックの生い立ちと謎について考察まとめ

手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』。一話完結の作品の中に完璧な人間ドラマを描きだす手塚治虫は間違いなく天才だったといえるでしょう。漫画を読んだことのない人はもちろん、ある人にとってもブラック・ジャックは謎の多い人物です。今回は間黒男がいかにして伝説の無免許医ブラック・ジャックになったのか、ブラック・ジャックとはいったい何者なのか、その本性に迫ります。

Read Article

火の鳥(Phoenix)の名言・名セリフまとめ

『火の鳥』はあの『鉄腕アトム』を生み出した漫画界の巨匠、手塚治虫による『火の鳥(不死鳥)』を題材とした長編漫画である。日本の漫画文化を代表する作品の一つ。仏教の「六道輪廻」の考え方を軸に「死と再生」を主なテーマとした壮大なストーリーとなっている。 全12編ともなる独立したストーリーの舞台が過去と未来を行き来する独特な構成や、宗教思想と漫画の融合が当時画期的であり、現在でも数々の作品に影響を与え続けている。 この記事では、生命の本質や人間の業を説くような火の鳥の名セリフの数々を紹介する。

Read Article

【ブラック・ジャック】記念すべき第1話「 医者はどこだ!」のネタバレと感想

「鉄腕アトム」や「火の鳥」「ジャングル大帝」などの名作を世に生み出した手塚治虫先生。そんな彼の作品の中で「医療漫画の傑作」と言われ、現在でも高い支持を集めているのが「ブラック・ジャック」です。今回は2004年に発売された新装版の特徴を踏まえながら、第1巻収録話についてまとめていきます。(※参考画像なし)

Read Article

いつの時代も面白い!テレビアニメ『ブラック・ジャックシリーズ』

どうも。最近話題になっている「ヤング ブラック・ジャック」効果で再びB・Jブームが到来した筆者です。子供の頃に何気なく見ていたストーリーは、今改めて見ると中々に感慨深いものがあったりします。という事で今回は、テレビで連続放送されていたB・J各シリーズを1話無料動画と合わせてご紹介。

Read Article

ぐるなびにて連載のエッセイ漫画【田中圭一のペンと箸-漫画家の好物-】をご存知ですか?

田中圭一先生と言えば、漫画界の巨匠・手塚治虫先生の絵柄で下ネタギャグな作風を確立したパイオニア。その田中先生が現在webサイト「ぐるなび」にて、漫画家ご本人とそのご家族にまつわる“食”にスポットを当てたエッセイ漫画を連載しており、これが大変おもしろい!ですのでこちらでは、田中先生の作品を通して、ご自身も漫画家や他分野で活躍されているご家族も紹介させて頂きます。

Read Article

手塚治虫の名作『ブラックジャック』の集大成! 『ブラックジャック大全集』

手塚治虫の名作が最も美しく甦る。 『ブラックジャック』は過去、秋田書店等で何度か単行本化されているが未収録作品がいくつかある。 しかし本書は、過去の単行本化された中で未収録作品が3話と一番少ない。 なお、この3話(「指」・「植物人間」・「快楽の座」)は手塚プロダクションの意向により今後も掲載されることはないため、この『ブラックジャック大全集』が〈完全版〉と言えるだろう。

Read Article

目次 - Contents