三つ目がとおる(The Three-Eyed One)のネタバレ解説まとめ

『三つ目がとおる』とは、手塚治虫による漫画及び、それを原作とするアニメ作品である。無邪気な性格の中学生、写楽保介は古代種族三つ目族最後の生き残り。額の絆創膏を剥がすと第三の目と共に超知能、超能力を操る冷酷な人格が現れ悪魔のプリンスと化す。写楽は世界征服を目論む一方で、時にクラスメイトの和登さんらと共に古代遺跡絡みの陰謀に巻き込まれる。オカルトブームの中、人気を博し第1回講談社漫画賞を受賞。漫画の神と呼ばれた作者の没後初のアニメ化作品でもある。

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中央が写楽。

写楽の第三の目を塞ぐものが機械式のカツラになっている。和登さん曰く写楽の危険度が上がったため、目立つ上に剥がされやすい絆創膏ではなくカツラに変更となった。暗証番号を打ち込まない限り、外れることはない。しかし、写楽の存在を嗅ぎ付けた組織は皆、簡単に暗証番号を割り出しカツラを外している。
カツラ着用時には額が完全に隠れるので、絆創膏の使用時と同じく無邪気で幼い性格となる(一度だけ絆創膏で封じられたことがある)。

ブラフマン

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写楽の武器が赤いコンドルではなく、赤いオロチと呼ばれるものになっている。一言「熱と化せ」と命ずるだけで熱そのものとなって重火器を溶かすこともできる。「ブラフマン」と口にするのが能力発動のキーらしい。
ブラフマンとは赤いオロチの正式名称ではなく、すべての物質や物体の始原の状態を指す。エネルギーや時間でさえも、ブラフマンを通せばあらゆる物質や物体、エネルギーへの変換が可能となる。言ってみれば、一度無に戻した上で行う別の物への組み換えであり、クリシュナが言うところの錬金術に等しい。
赤いオロチは個人携帯用の変換器に過ぎず、個体や状況によっては変換器なしで別の物へと変えることができる。
作中では古代三つ目族の王子インドラ(実際には一度王位についている)が「砂と化せ、ブラフマン」「石と化せ、フラフマン」と口にしただけで、ロックの体が砂に、写楽の体が石になった。最終話では写楽がアメリカによりかき集められた遺物を、変換器なしで全て無に帰している。
尚、三つ目族は核兵器に当たるものは持っていなかったが、それは必要がなかったため。現代人の使用する核燃料などは遅れた文明の産物であると、写楽やインドラが口にしている。
ちなみに、赤いオロチを始めとする変換器は赤いコンドルに比べ装飾等が複雑化しているが、自由自在に動くので軽く持てると1巻巻末のおまけページに描かれている。

写楽の目的

出典: www.mangaup.net

原作では三つ目族の再興を目指していた写楽だったが、『三つ目黙示録』では現代人の文明の破壊を目的とする。これは単に現代人を妬んでのことではなく、既に滅んだ種族としてのけじめだった。

三つ目族はその文明に驕って滅び、細々と生きていく羽目になった。しかし遺跡や遺産は機能し続け、知性の点ではるかに劣る他種族(二つ目族やバンパイヤ)の手に渡っては結果的に悲劇や騒動を起こしている。
自分たちの文明をも滅ぼしてしまった三つ目族の最後の末裔である写楽は、現代人が先祖と同じ道を辿らないよう二つ目族の産んだ文明を滅ぼすつもりだったのだ(原作でも『三つ目族の謎編』で後に現れる地上の支配者が同じ過ちを繰り返したら、その種族を滅ぼすよう遺言が遺されていた)。

最終話で、写楽は二つ目族ではなく危険な三つ目族の遺産の方を破壊する旅に出た。この旅には、和登さんが進んで同行を申し出ている。

『三つ目がとおる』の用語

三つ目族

出典: video.unext.jp

三つ目族とは、額に目玉のような感覚器官をそなえる古代種族である。またの名を三つ目人。現代に栄える人種を二つ目人(もしくは二つ目族)と呼ぶこともある。現代人を始めとする他種族をはるかに超える優れた知性と超能力を持って超文明を築き、地上に王者のごとく君臨していたが、戦争や公害などによって自滅同然に滅んだ。かつては長耳族と呼ばれる種族と争っていた時期もある(長耳族も滅んでいる)。他の種族に比べ、知性も能力も圧倒的に優れている為、三つ目族であることにいくらかの選民意識を持つ個体(写楽、ゴダル)もいる。

衰退後は生き残りがアジアやインドなどに分散し、今は写楽保介を含め、わずかな生き残りが各地に点在するのみである。また、生き残りが落ち延びた先には三つ目族の痕跡や遺物が残り、それを写楽或いは悪者が狙うというのが『三つ目がとおる』のお約束のパターンである。三つ目族の遺産は大体が現代人の理解の範疇を越える代物であり、その気になれば世界征服も可能。
超能力に関しては主に念力(オーラ)を使用。これにより手を触れることなく物を動かしたり、他者の体の自由を奪うサイコキネシスがよく使われる。能力には個体差があり、既に第三の目を失っているセリーナが写楽以上の念力を発するシーンがあるかと思えば、眼窩しかないゴブリン伯爵が能力を使えないからと写楽に青銅球の解読をさせようとした。
また二つ目の体でも念力の使用は可能である。和登さんの体を乗っ取った古代三つ目族の王子ゴダルは写楽の体に移動しようと和登さんの体に入った状態で念力を使うが、三つ目族の念力には勝てず写楽に競り負けている。
脳細胞の増幅及び第三の目の形成手術で三つ目族と同等の力を得ることは可能であり、作中では犬のホクサイが三つ目にされた。ホクサイは人工の三つ目犬だが、写楽に念力で勝っている。

無敵というわけではなく、弱点も存在する。それが「三つ目族」と呼ばれる所以となった額の目(第三の目。または三つ目)である。
この器官は脳の一部が伸びて目玉の形に露出したものであり、犬持が言うには昆虫の触覚(もしくは複眼)のようなもの。三つ目の状態であれば超知能と超能力を操れるが、何かで第三の目を封じただけで極端に知能が下がり、超能力も使えなくなる。ゴダルが写楽との念力対決に負けたのは、二つ目族の脳が幼稚な(というより三つ目族の脳が優れている)為である。写楽は罰点型の絆創膏を額に貼られており、通常は幼児のような精神と知能で暮らしている。
作中、第三の目を封じられたのは写楽、吾平、ゴダル、ホクサイ、モエギ(アニメオリジナルキャラクター)。古代三つ目族は知性植物、ボルボックの毒針で額にコブを作る形で第三の目を封じられた。
トルテカ人や長耳族などと戦った挙句に虐殺された背景もあり、他種族との戦いでも負け戦を経験している。

第三の目は「目」ではない為物は見えていないと思われるが、第一話では和登さんの「黒目の部分が動く」とのモノローグがあり、瞼や瞳が動く描写も少なくない。リメイク漫画版では視線と同じ方向に瞳が動いている(触覚あるいは複眼のようなものと考察される為、一応は動くものと思われる)。
24時間テレビ版では眠っている写楽の第三の目が犬持を見据える、本を読んでいるような動きをするなどしていた。テレビ東京版では瞳が動くことも瞼もなく、視覚器官ではないことが強調されている。またテレビ東京版では念力使用時に第三の目が光る。
『三つ目族の謎編』では写楽が第三の目から涙のような液体を流しているが、これに関しては「興奮すると額の目から涎が出る」と称した(普通の「目」からは涙が出ていないがせつなげな表情をしており、取りようによっては泣いているようにも見える)。

現実の世界では、オーパーツと呼ばれる遺物が存在する。これは古代遺跡などから発掘されたもので、当時の技術や常識では到底作りえないような物として学者だけでなく、マニアの間でも正体や製作の目的に関して意見の割れる物である。作中ではオーパーツの大部分が三つ目族と関係があると描写される。
三つ目族はその高度な文明や超能力、三つ目という特異な外見的特徴から、かつての二つ目族により神として崇拝されていたのではないかとも言われている。実際、世界の伝承には第三の目を持つ超常的な存在が無数に存在する(ヒンドゥー教のシヴァ神、仏教の准胝観音、馬頭観音、大威徳明王など)。

赤いコンドル

出典: matome.naver.jp

三つ目族の遺物。赤い槍のような形状をしており、柄の部分には古代文字が刻まれている。三つ目族の滅亡に伴い、実質封印状態にあった。博物館に三つ目の神の像と共に展示されていたが、絆創膏を剥がされ開眼した写楽により封印が解かれた。

単なる槍状の武器ではなく呪文を唱えることで念力を発し、時には盾の役割や、写楽の組み立てた機械に差し込むことで、レバースイッチの役目を果たす。「アブトル・ダブラル・オムニス・ノムニス・ベル・エス・ホリマク。我と共に来たり、我と共に滅ぶべし。来たれ赤いコンドル」の呪文で写楽の手中に現れる。ちなみに、この呪文の「我と共に」以前の部分は、単に念力を使用する時や遺産を起動させるときにも使われる。写楽個人のものではなく、古代三つ目族が携帯していたもののようで、『怪鳥モア編』では朽ちたコンドルが描かれたシーンもあった(完全な状態で遺跡に保存されていたが、使用できずに崩れた)。

24時間テレビ版では赤いコンドルではなく「ホコ」と称される。王族の血筋にだけ扱える特別な物とされていた。王家の末裔かどうかを見定めるカギにもなっており、パンドラの支配するネオナチにより連れ去られた無数の三つ目族が殺された。

テレビ東京版では、冒頭から幼い写楽の力に反応。赤く光りながら博物館を揺らすほどの震動を起こした。写楽に絆創膏が貼られたことで再び光を失うも、和登さんに絆創膏を剥がされた写楽が呪文を唱えたことで完全復活を遂げた。使用できるのは開眼時のみで、写楽に絆創膏が貼られるとその場から消え失せる。

魔弾球(まだんきゅう)

アニメオリジナルのアイテム。本来は三つ目族の作った土木作業用のロボット、ガロンの良心に相当するものだが、作中でガロンはこの弾が装填されていない状態で暴れ町を破壊したことを悔やんで土に戻った。
その後は写楽が主に乗り物として使用するようになる。通常はポケットサイズだが、使用時に巨大化し、二人ほど乗れる大きさになる。単なる移動手段ではなく、危険地での戦闘にも役立つ。最終話のスーパーボルボック戦でも活躍した。

ホア・カバリ・キルマ

出典: tezukaosamu.net

『古代王子ゴダル編』に登場した、三つ目族秘伝の術。古代レムリヤの三つ目族の王子、ゴダルが言うには失敗する可能性が高い。実態は、特別に調合した薬を特定の壷の中で飲み、この秘術を行った者の魂を生きたまま肉体から出すことである(猫の体に入れられた和登さんが壷の外で薬を飲み元の体に戻ったことから、必ずしも壷の中で飲まなくてもいいらしい)。

本編では国を滅ぼされた上、強引に連れて来られたことを恨んだウル王朝の王女、シグアナ姫の奸計によってゴダルが秘術を行い、魂が抜けだしている間に肉体を薬で溶かされてしまう。その後、ゴダルの魂を封じた壷は遺跡として発掘され手違いで和登さんが中に入り込む。和登さんの魂はゴダルによって肉体から追い出されることとなる。

ゴダルはシグアナ姫に似た和登さんの肉体を乗っ取り、次いで三つ目族である写楽の肉体への移動を画策するが、失敗している。写楽もこの秘術のことは知らなかった模様。薬の調合方法を知るゴダルが猫の体に入れられたことで、この秘術も事実上消え去った。
逆から読むと「まるきり馬鹿、アホ」となるが、ゴダル曰く「偶然」。

ゴモラ

出典: video.unext.jp

『古代王子ゴダル編』に登場。空気中の水分を凝結させ、氷の塊にする兵器。レムリヤ王国の生き残りの三つ目族が京都に流れ着き、龍安寺の地下に遺した。京都のみやびホテルに集まっていた各国の首脳を脅すのに使われた。もう一つ、火の硫黄を降らせるというソドムなる遺物もあるが、こちらは使用されることはなかった。

グリーブ

えどのゆうき
えどのゆうき
@edono78

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