HUGっと！プリキュア（はぐプリ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ジョージ・クライ

CV：森田順平

クライアス社の社長。「1人の女の子が切り開いた理想郷を、人類は自らの欲望で蝕み、ついには滅ぼした。女の子はなお人々の希望となるべく、この世から消えてしまった」との未来の物語を語り、結果として自ら滅びに向かう人類に絶望。時間を止めることで世界を終わらせ、永遠に思い出の中で生きようと考える。
敵であることを知りながらはなに対してはフレンドリィに接し、正体を知られてなお説得して仲間に引き入れようとした。

ドクター・トラウム

CV：土師孝也

クライアス社の開発担当にしてジョージの右腕。ルールーを含めて、クライアス社の機械類は全てトラウムの開発したものである。
かつて娘を失ったことがあり、ルールーを開発したのは「もう1度娘に会いたい」との想いが高じた結果だった。しかしどれだけ研究しても人間らしい心を再現できず、失敗作の烙印を押して封印。人手不足から現代に来てから起動し、これがはなたちとの交流で心を持ったことに驚き、「自分にできなかったことをこんな子供たちにできるはずがない」と躍起になって襲撃を繰り返した。

プリキュアチームに敗れて毒気が抜けるとクライアス社を離れ、ルールーを「私の娘」と呼んで溺愛する。彼女からは「自分の創造主」と認められる一方で大いにウザがられ、さながら親バカな父と思春期の娘のような関係を築いていった。

その他

若宮アンリ（わかみや アンリ）／キュアアンフィニ

CV：染谷俊之

ほまれと同世代のフィギュアスケーター。紳士的に振る舞う自由人。
プリキュアは変身すると顔を見ても本人とは分からないよう認識が阻害されるという設定になっているが、キュアエトワールの“動き”から彼女の正体がほまれであると見抜き、その周囲にいるはなやさあやもプリキュアであると突き止める。といって彼女たちを邪魔するでもなく、ほまれとその選手復帰を応援する彼女たちを程々の距離から見守った。

自身も足に古傷を抱えており、成長期に入ることもあって「選手でいられる時間は残り少ない」と考えていた。この心の隙をクライアス社に利用され、オシマイダーの素体とされるも、はなたちやえみるの兄の正人との絆によって自ら呪縛を打ち破る。同時に『プリキュア』シリーズで史上初の男性プリキュア「キュアインフィニ」に変身し、1話限定ながら戦う姿を披露した。

『HUGっと！プリキュア』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

はな「ここで逃げたらカッコ悪い…そんなの、私がなりたい野乃はなじゃない！」

はぐたんとハリーを庇い、オシマイダーの前に立ちはだかるはな。謎の怪物を前に恐怖し、逃げるよう勧められるが、なおはなは「ここで逃げたらカッコ悪い…そんなの、私がなりたい野乃はなじゃない！」と言って勇気を振り絞る。
はながこの物語の主人公であることを、本作のテーマが「なりたい自分になる」であることを簡潔に証明する印象的なセリフである。

えみる「ギターは自由なのです！ノれるのです！カッコいいのです！ギュイーンとソウルがシャウトするのです！

えみるの家に招待され、初めて楽器を見たルールーは、「これはなんですか」と彼女に尋ねる。その物怖じしない様子に「もしかしてこの人は音楽に興味があるのでは」と判断したえみるは、自分の一番のお気に入りであるエレキギターを持ち出して、その素晴らしさを熱く語る。
「ギターは自由なのです！ノれるのです！カッコいいのです！
ギュイーンとソウルがシャウトするのです！」
比較的落ち着いた性格のキャラクターが多い本作に置いて、えみるは非常にテンションの高い人物である。このセリフはそんな彼女のキャラクター性を端的に表しており、そのインパクトもあってファンの間で広く認知されている。

ほまれ「輝木ほまれは、ハリーの事が大好きです！」

男女の恋愛描写に慎重な『プリキュア』シリーズにあって、ほまれは珍しいほど明確に序盤からハリーへの恋心が描かれていったキャラクターである。しかし彼女は物語の途中で「ハリーには好きな人がいる」ことを知り、その性格からしてハリーが想い人を裏切ることはないだろうとも薄々理解する。なぜなら、「1度誰かを好きになったら、相手から断られるでもしない限りは裏切らない」だろう優しさや誠実さこそほまれがハリーを好きになった理由だったからだ。
それでも己の想いを抑えられなかったほまれは、フィギュアスケーターとして重要な試合の直前に彼に告白する。「輝木ほまれは、ハリーの事が大好きです！」というあまりにストレートな言葉は、いかにもほまれらしい清々しいものだった。

ほまれが予想していた通り、ハリーは「自分にも気持ちを伝えたい人がいる、お前の気持ちは受け取れない」と正直に打ち明けて彼女の想いを拒絶。ほまれは涙を流しながらも「すっきりした」と言ってその場を去り、仲間たちに報告して思い切り泣いた後、「恋が叶わなかったのは悲しいけど、とても素敵な思い出になった」と切り替えて演技に臨む。
実に爽やかな告白と、失恋と、そこからの再起を描いた名シーン。涙と共に想いを打ち明け、友達と共にそれを振り切るほまれの姿は、あまりに健気で美しく、そしてカッコいいと話題になった。

ジョージ「君は本当に素敵な女の子だね。またね」

プリキュアたちの諦めない心と勇気の前に敗れ、力尽きようとしていたジョージの下にはながやってくる。ついさっきまで戦っていた相手に手を差し伸べようとする彼女に対し、ジョージは「僕は未来を信じない」と言って滅びを受け入れようとする。
しかし「本当に未来を信じてないなら、どうしていつも私に“またね”って言うの？」とはなに問われ、自身が心のどこかでは彼女との交流を望んでいたことに気付く。自分を狂わせ奔走させていた絶望など、結局は「愛する人との一時」の前にはあっさり覆される程度のものだったのだと知ったジョージは、苦笑を浮かべながら「君は本当に素敵な女の子だね。またね」との言葉をはなにかける。

ジョージとはなが未来世界でどのような関係だったのかについて、作中では明言されていない。しかし2人の交流はなんとも言えない情愛を感じさせるものとなっており、ただの知り合いではなかっただろうことをうかがわせる。
自分を倒し、その野望を阻止した女の子を「君は素敵だ」と心から称賛し、再会を約束しながら散っていったジョージの姿は、新たな『プリキュア』シリーズを目指して制作された本作のラストにふさわしい切なくも暖かな余韻を含むものとなった。

『HUGっと！プリキュア』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話