ナウシカが招いた死の未来【漫画版 風の谷のナウシカ(ネタバレあり)】

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初めてのジブリ作品で、代表作の一つである『風の谷のナウシカ』。ナウシカには映画版と漫画版があり、映画版の内容は漫画版全7卷の中で第1巻のストーリーです。
漫画版では、王蟲や腐海の蟲はなぜ生まれたのか、巨神兵は何のために生まれたのか、ナウシカたちは何者なのか、など映画では描かれなかった衝撃の事実が明らかになります。それを知ったナウシカはある行動に出ます。それは逃れられない滅びの道です。
この記事では、漫画版で描かれた、衝撃の結末・ナウシカの決断を解説します。

『風の谷のナウシカ』の世界の成り立ち

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出典: 78.media.tumblr.com

世界に広がる腐海

『風の谷のナウシカ』の世界では、『腐海』といわれる森が存在します。腐海は瘴気が充満し、マスクなしでその空気を吸った者は死んでしまいます。ナウシカの父であるジルも、腐海の毒によって寝たきりの状態になっています。
さらに森には異形の蟲が生息しており、人が入るにはあまりにも危険な場所です。映画で重要な存在であった「王蟲」も腐海に生息しています。
腐海は世界にどんどん広がっています。ナウシカたちは、そんな腐海を恐れながら暮らしています。ナウシカの父・ジルも腐海の毒に侵され、寝たきりの体になっています。
腐海を焼こうにも、森を守る蟲や、王蟲が群れをなして反撃します。怒れる蟲たちははやがて力尽き、その死体を苗床にして腐海の胞子は繁殖します。その分だけ腐海は広がるのです。

そして、汚染されているのは腐海に限った話ではありません。
ナウシカは、風の谷の隠し部屋で腐海の植物を育てていました。腐海の植物は毒を持っていますが、綺麗な水と土で育てると無害になります。ナウシカは、地下500メートルから汲み上げた、清浄な水と砂で植物を育てています。ユパにそのことを話した際「風の谷の土でもダメだった」と言っています。腐海ほどではないが、ナウシカたちが暮らす土地も汚染されているのです。

ナウシカの世界はなぜ汚染されているのか

そもそもナウシカたちの世界はなぜ汚染されているのか。
それは、ナウシカたちが生まれる遥か昔、その時代の人類は高度な文明を持っていた。そして、人類はその力を使って戦争を始め、互いを殺し合うと共に星を破壊していった。その汚染がナウシカたちの時代になっても浄化されていないのです。
ナウシカたちの時代まで続くほどの汚染です。生命体が生きのびれるような環境ではありませんでした。
旧世界の人類たちは取り返しのつかない過ちを犯したことを自覚し、ある計画を立てます。

旧世界の人類が立てた計画

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「オーマ」とは巨神兵のこと

旧世界の人類たちが立てた計画とは、全てを破壊し、1から世界を再建しようという物でした。
その為に創造されたのが、強大な破壊の力を持つ巨神兵です。巨神兵は7日で世界を焼き尽くします。これがナウシカたちの時代にも伝わる「火の七日間」です。
「火の七日間」は意図して行われていたのです。こうして旧世界は滅びました。

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世界を浄化する腐海

こうして滅んだ旧世界ですが、彼らは新たな世界を創造する計画も立てていました。
彼らが汚染した星は普通の生命体では生存ことが出来ません。その為、世界を浄化するシステムを作りました。それが腐海です。
腐海は土と空気を浄化し、その後は砂となって姿を消します。ナウシカとアスベルが落ちた腐海の深層が腐海によって浄化された空間ですね。そこではマスクをする必要がありませんでした。
そして浄化システムの番人として王蟲を含める蟲たちが生み出されました。蟲は腐海を守り、死んだ後は腐海の菌糸の苗床となり、さらに腐海を広げます。
そうやって腐海は拡大し、長い年月をかけて世界を浄化するのです。

では、世界を浄化した後はどうするのか。
実は旧世界の文明は途絶えたわけではありませんでした。旧世界の人類はその文明の力、旧世界に存在していた動物や人類などの生命体を「墓所」と呼ばれる場所で保管しています。世界が浄化された後で復活する計画だったのです。
ですが一つ問題があります。旧世界の人類がそのまま復活してしまうと、また人々は争い、星を破壊してしまいます。それではただの繰り返しです。それを恐れた旧世界の人類は遺伝子に改良を加え、詩と音楽を愛する平和的な新人類を生みだしました。その新人類は墓所で卵となって眠りについています。彼らは星の浄化の完了と共に羽化して新たな時代を築きます。
こうして争いのない、清浄な世界を作ろうとしたのです。

ここで一つ疑問が浮かびます。
「火の七日間」によって旧世界は滅びています。墓所に眠っているもの以外の生命体はその時に絶滅しています。
では、ナウシカやクシャナなど、あの時代に生きている人々とは一体何者なのでしょうか?

ナウシカたちの正体と、ナウシカが選んだ死の未来

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真実を知ったナウシカ

ナウシカたちの正体は、旧世界の人類たちによって改良された、汚染された空気でも生きることができる人間です。
ナウシカたちが暮らしている「風の谷」も、綺麗な谷に見えますが実は汚染されています。旧世界の人類が風の谷で暮らそうとしても、汚染に耐えることが出来ずに死んでしまいます。そして改造されたのは人間だけではありません。ナウシカたちの時代に存在している動植物、その全てが汚染に適応するように改造されています。
なぜ旧世界の人類は汚染に適応した人間を作り出したのか。それは、浄化システム(腐海)の監視をさせるためでした。
しかし、ナウシカたちを作り出したことで新たな問題が生まれます。それはいずれ目を覚ます平和的な新人類と、ナウシカたち「汚染適応人間」が争う可能性がある、ということです。
しかし、旧世界の人類はその問題も見越していました。実はナウシたちは「汚染された空気でも生きることができる人間」ではなく、「汚染された環境でしか生きることができない人間」なのです。つまりナウシカたちは、腐海が浄化を終えると共に死ぬ運命にあるのです。

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出典: stat.ameba.jp

決断を下すナウシカ

ナウシカは「遺伝子を改良してまで人類が生き延びようとしたこと」「使い捨ての命に改造したこと」に激怒します。ナウシカは「生命とは『愛』や『喜び』だけではなく、『憎悪』や『悲しみ』などの相容れないものが入り交ざったものである」という考えを持っていました。対して旧世界の人類が目指したのは、戦争も汚染もない「汚れを許さない世界」です。ナウシカは、汚れを排除してまで生き永らえようとする旧世界の人類の考えことこそが、生命に対する最たる冒涜であると批判します。そしてナウシカは卵となっている新人類と、旧世界の技術の結晶を壊そうとします。
そんなナウシカに対し、墓所の主(旧世界の人類の意識体のようなもの)は、「再び改造を行い、清浄な世界でも生きれるようにしよう」と提案します。しかしナウシカはその提案を聞き入れず、墓を破壊してしまいます。

これが漫画版ナウシカの最後です。
このナウシカの決断により、ナウシカの時代に生きている全ての生命体は、腐海の浄化完了と共に死んでしまいます。さらにナウシカは墓を壊したので、新たな生命体が生まれることもありません。最後に残るのは浄化された世界だけなのです。

なぜこのようなラストになったのか

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出典: commonpost.info

なぜこのようなラストになったのか。これは当たり前ですが、宮崎駿の人間に対する考えがそのまま表されています。
宮崎駿は、「人間は愚かしい」という考えを持っているのではないでしょうか(勿論その一面だけではない)。

ナウシカで巨神兵を描いた庵野秀明は、「「人間なんてね、滅びたっていいんだよ!! とにかくこの惑星に生き物が残ってれば、人間という種なんていなくなっても全然いいんだ!」って怒鳴ってるのを僕は横で聞いてて、この人すごいとその時思ったんですね(中略)人そのものに執着してないってのが根っこにあって」と、宮崎駿について語っています。

『もののけ姫』では山を削り、神殺しを遂行するたたら場が、『風立ちぬ』では夢を追いかけて戦闘機・零戦を作る堀越二郎が描かれています。これらも宮崎駿の考えを表しているような気がします。

そんな思いを抑えることなくストレートにぶつけた「漫画版 風の谷のナウシカ」は、宮崎駿作品最大の問題作なのです。

鶴の恩返し
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@tsuru-no-ongaeshi

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