ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(ヱヴァ:Q)のネタバレ解説まとめ

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』とは、社会現象をも巻き起こしたTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を、同作監督を務めた庵野秀明自らが再構成したアニメ映画作品。「新劇場版」シリーズの三作目である。
主人公碇シンジが目覚めると、前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』から14年もの月日が流れていた。自身が起こした大災害により滅亡に瀕する世界で、かつての仲間たちが新世界創世を画策する「NERV」とそれを阻む「WILLE」の二派に別れて相争う中、シンジは14年前の真実を求めてNERV本部へと向かう。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の概要

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(以下ヱヴァ:Q)とは、アニメ界の奇才・庵野秀明が監督・脚本・原作を務める、2012年11月17日公開のアニメーション映画作品。
1995年に放送され社会現象を巻き起こしたTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を再構築した、「新劇場版」と称されるシリーズの三作目である。前々作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』(以下ヱヴァ:序)、前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(以下ヱヴァ:破)がTV版の第一話から第拾九話までの内容を踏襲し、それを再構築したものだったことに対し、本作はTV版とはまったく異なる衝撃的なストーリーが展開。続編を待ち望んでいたファンの度肝を抜いた。

『ヱヴァ:序』、『ヱヴァ:破』で受けた高評価から、上映館数は前作の百二十館から二百二十四館へと大幅に上昇。公開初日とその翌日だけで、興行収入は十一億円を突破した。
「第36回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞」、「第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門 優秀賞」など数々の賞を獲得。最終的な興行収入は五十二億円を超え、これは2012年の映画興行ランキングで第四位の記録となった。
一方、TV版のそれを彷彿とさせる複雑かつ難解なストーリーに対しては「これこそ『エヴァンゲリオン』だ」と絶賛する者もいれば否定的な意見を述べる者も存在し、翻って本作に対する期待と注目がいかに高いものであったかを物語るものとなった。

前作『ヱヴァ:破』にて、クラスメイトにして同じエヴァンゲリオンパイロットである綾波レイを救うため、自身の乗るエヴァンゲリオン初号機(以下初号機)の力を限界以上に引き出した主人公・碇シンジ。それによって“世界を滅ぼし人類を死滅させる”という大災害「サードインパクト」が発生してしまい、シンジ自身は初号機の中に取り込まれてしまう。
次にシンジが目を覚ました時には十四年もの時が流れており、かつて共に戦った仲間たちはさらなる大災害とそれによる新世界創世を画策する「NERV(ネルフ)」と、それを阻止せんとする「WILLE(ヴィレ)」の二派に別れて死闘を繰り広げていた。
WILLEに保護されるも、“サードインパクトを起こした張本人”として信頼していた葛城ミサトや式波・アスカ・ラングレーからも敵視に近い扱いを受けるシンジ。自分のしたことは正しかったのか、綾波はいったいどうなったのか。真実を知るため、シンジはNERV本部へと向かう。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のあらすじ・ストーリー

前作までのあらすじ

前々作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』、前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』。いずれも高い評価を受けた。

謎の巨大生物「使徒」により発生した大災害「セカンドインパクト」により、人類の半数が死滅した世界。さらなる大災害「サードインパクト」を起こさんとする使徒に対し、人類は特務機関NERVを結成。同組織が開発した汎用ヒト型決戦兵器「エヴァンゲリオン」で戦いを挑む。

そのエヴァンゲリオンのパイロットである14歳の少年碇シンジは、ある時仲間である綾波レイを救うため、乗機である初号機の力を限界以上に引き出し「疑似シン化」を果たしてしまう。そのすさまじい力の余波で世界が崩壊していく中、シンジは初号機に取り込まれて意識を失う。

衛星軌道上の棺

初号機と、その中にいるシンジを奪還するため、宙域作戦に臨むアスカ。

初号機を奪還するため、シンジの仲間でエヴァンゲリオンパイロットでもある式波・アスカ・ラングレーはUS作戦に参加する。初号機が封じられた十字架状の棺は衛星軌道上にあり、これに肉薄するため自身の乗機エヴァンゲリオン改2号機(以下改2号機)にロケットブースターを増設。同じ改造を施した、真希波・マリ・イラストリアスが搭乗するエヴァンゲリオン8号機と共に、慣れない宙域作戦に臨む。

初号機を奪わせまいとする者が用意していたEVANGELION Mark.04(以下Mark.04)による迎撃を受けるも、改2号機は8号機の援護でこれを突破。首尾よく棺に取りつくものの、そこで待ち伏せしていた敵の新手に苦戦を強いられる。
「なんとかしなさいよ、バカシンジ!」
追い詰められたアスカが思わず叫んだ刹那、棺の中から光線が迸る。アスカの声に応えるように休眠状態にあった初号機が動き出し、彼女を援護したのである。初号機が放った光線攻撃により敵機は撃破され、US作戦はひとまずの成功を見る。

14年分の齟齬

空中戦艦AAAヴンダーの艦橋で指揮を執るミサト(左)と、それを補佐するリツコ(右)。

初号機の中から回収されたシンジを待っていたのは、かつて共に戦った仲間であるアスカや葛城ミサトからの敵意にも近い何かを含んだ視線だった。自分と世界に何が起きたのかも分からず、困惑するシンジ。自分が助けたはずの綾波はどうなったのかと彼女らに問うも、返ってきたのは「もう何もするな」という冷たい言葉だけだった。
そこに再びMark.04の集団が現れ、ミサトたちの組織「WILLE」は窮地に陥る。シンジは自分も初号機で出撃して戦うことを申し出るが、ミサトはそれにはとりあわず、その初号機を主動力としたWILLEの空中戦艦AAAヴンダー(以下ヴンダー)を起動。Mark.04を撃破し、この場を切り抜ける。

かつてのクラスメイト、鈴原トウジの“妹”サクラ。シンジの担当医官兼監視役である。

その後シンジが教えられたのは、「自分が初号機で疑似シン化を果たしてから14年の年月が経過した(シンジ自身はその間ずっと眠っていた)」という驚愕の事実だった。自分やアスカなどのエヴァンゲリオンパイロットのみ姿が変わっていないのは、「エヴァの呪い」によるものだという。WILLEに来てから自分の監視についていた年上にしか見えない女性が、かつての同級生・鈴原トウジの妹のサクラだと聞かされ、シンジは半信半疑ながらミサトたちが嘘を言っているわけではないらしいことをなんとか受け入れる。
WILLEに来てすぐシンジの首に取りつけられた「DSSチョーカー」は、彼がエヴァンゲリオンに乗り込んで再び疑似シン化を果たした時に作動し、命を奪うためのものだという。今のNERVは大災害「フォースインパクト」の実現を画策しており、WILLEはそれを阻止するために活動しているらしい。混乱の中、どうしてそんなことをと質問を重ねるシンジ。しかしミサトたちがそれに答える前に、敵の新手がヴンダーを襲撃。その迎撃のために彼女たちはシンジとの対話を打ち切り、彼の前から去っていく。

綾波は生きているのか、そうでないのか。自分自身でそれを確かめるため、シンジはMark.09と共に出立する。

仲間だったはずのミサトたちから理不尽としか思えない扱いを受け、シンジは「あんなにがんばったのに、どうして」と虚無感に苛まれる。そんな中、彼は不意に綾波の声を耳にする。向かった先では、WILLEに襲撃をかけてきた組織の有するEVANGELION Mark.09(以下Mark.09)がシンジが来ることを知っていたかのように待ち構えていた。
綾波は生きていた、自分が成したことは間違いではなかったと安堵するシンジ。そのまま導かれるようにシンジがMark.09の下へと向かうと、駆けつけたミサトがDSSチョーカーの強制起動装置を手にそれを制止する。しかしシンジの中にはこれまでのやり取りでミサトたちに対する不信感が芽生えており、綾波の生存を信じたい一心でMark.09の掌に乗ってしまう。それを見たサクラが「勝手もいいですけど、エヴァにだけは乗らんでくださいよ」と釘を刺す一方、ミサトはシンジがNERVの手に落ちることは世界の滅亡の可能性を孕むことを承知でなお情を捨て切れずにDSSチョーカーを起動させられず、シンジを回収して撤退していくMark.09を見上げるアスカは「バカじゃなくてガキね」と呆れたように吐き捨てるのだった。

かつての仲間と新たな友人

カヲル(左)と連弾するシンジ。

Mark.09に連れていかれたのは、NERV本部が存在する、かつての第3新東京市だった。シンジはここでMark.09から降りてきた綾波、かつてのNERV最高司令官にして実の父である碇ゲンドウ、その副官の冬月コウゾウ、エヴァンゲリオンのパイロットだという見覚えの無い同年代の少年と出会う。第3新東京市は廃墟と化しており、自分たち以外には誰もいないようだった。
ゲンドウは「間もなく完成するエヴァンゲリオン第13号機(以下13号機)にそのパイロットと乗れ」とだけシンジに命じ、彼からの質問は受け付けずに去っていく。シンジのNERV本部での生活が始まる。

最初の内は綾波が生きていたことを純粋に喜んでいたシンジだったが、声も見た目も言動も酷似しているのに自分のことをまったく覚えていないこと、過去の彼女とは違う嗜好の主であることを知って次第にその正体に疑念を抱いていく。そんな彼に一番親身に接してくれたのは、自分と共に13号機に乗るパイロットだと紹介された同年代の少年だった。渚カヲルと名乗った彼は、シンジが真実を求めていることを見て取り、今の世界の有様とそうなった理由を説明する。

綾波に酷似した少女。そのオリジナルはシンジの母ユイであり、彼女もかつての綾波もその複製に過ぎない。

今から14年前、地球全体を巻き込んだ大災害が発生。今や人類は絶滅寸前の状況にあるという。「ニアサードインパクト」と名付けられたこの災害の原因こそ、シンジが初号機を疑似シン化させたことにあった。仲間のシンジに対するアスカやミサトの冷然とした態度も、ここから始まった苦難と人々の死と破滅を14年間見続けたことによるものだったのだ。
自分が世界を破滅させる引き金を引いたという事実に打ちのめされるシンジ。さらに綾波だと思っていた少女が複製の内の一体に過ぎず、本物の綾波は初号機の中に取り込まれたままだと知って絶望する。そんなシンジに手を差し伸べ、彼を救ったのは、カヲルの純粋な友情だった。

壊れてしまった世界を元に戻すために、シンジはカヲルと共にエヴァンゲリオン第13号機に乗る。

カヲルはシンジのDSSチョーカーを取り外し、その罪の重さを一緒に背負うことの証として自分の首に巻き付けると、完成したばかりの13号機に共に乗ろうと彼に持ち掛ける。NERV最深部に放置されているロンギヌスの槍とカシウスの槍、その2つを手に入れれば世界をやり直せるというのだ。全てを失い、罪悪感に押し潰されそうになっていたシンジは、カヲルのこの提案を受け入れる。

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