Maison book girl(ブクガ)とは【徹底解説まとめ】

Maison book girlとは、2014年11月5日に結成された日本のアイドルグループ。作曲家・音楽プロデューサーのサクライケンタとBiSのメンバーであったコショージメグミを中心として誕生。サクライケンタの「現音ポップ」と称する変拍子を多用した楽曲をバックにコショージメグミが詞の朗読を行うというパフォーマンスを発展させた形といえる。一筋縄ではいかない「現音ポップ」に合わせてパフォーミングを行う、という独自の世界を持っている。2021年5月30日、活動終了が公表される。

シングル『elude』に収録されていた「おかえりさよなら」のリミックス。
リミックスを担当したSeiho(せいほー)は大阪生まれのトラックメーカー、DJ。
2013年にはMTVが注目する若手プロデューサー7人に選出されている。

『おかえりさよなら (Seiho Remix)』

2019年2月14日:『十六歳 (Ryan Hemsworth Remix)』

『十六歳 (Ryan Hemsworth Remix)』

シングル『cotoeri』に収録されていた「十六歳」のリミックス。
リミックスを担当したRyan Hemsworth(ライアン・ヘムズワース)はカナダの音楽プロデューサー、DJ。
フランク・オーシャン、カニエ・ウェストなどのリミックスも手掛けている親日家。

『十六歳 (Ryan Hemsworth Remix)』

Blu-ray

2017年2月5日:『Solitude HOTEL 2F + faithlessness』(CD付)

『Solitude HOTEL 2F + faithlessness』

Blu-ray
opening SE
1. cloudy irony
2. snow irony
3. bath room
4. sin morning
5. film noir
6. remove
7. last scene
8. 最後のような彼女の曲
9. karma
10. faithlessness
SE11. 14days
12. empty
13. lost AGE
14. bed
15. blue light
En1. cloudy irony
En2. my cut

CD
1. faithlessness

Maison book girl初の映像作品(2016年11月30日にリリースされたシングル『river (cloudy irony)』の初回限定盤に付属されていたDVDを除く)。
Blu-rayのみでDVDでのリリースはなかった。
2016年11月6日に東京・渋谷WWW Xで開催された「Solitude HOTEL 2F」の模様が収録されている。
また付属のCDには2017年4月5日リリースのmajor 1st album『image』からの先行リード曲「faithlessness」が収録されている。

リリース決定時にオフィシャルブログに掲載されたサクライケンタのコメント。
「頭の中の作曲に必要無い事を全部捨てて制作に励みたい気持ちで日々を送っております。日々の人間としての生活の中での色んな出来事が楽曲に影響するのはとても良い事だと思うのです。だがしかし、だがしかしだ。色々面倒な事をせねばならんのが会社の代表でもあるからでもあるわけですし、それを選んだのは自分ですし、でも芸術だけやって生きたいという期間もある訳で。アルバムちょっと遅れてごめんね。本当は2月に出したかったんだけど色々あって念には念をで4月にしてもらいました。その代わりと言ってはなんですが2月にblu-ray+CDを出すよ。Blu-rayのみなのはわざとで、YouTubeとかでもHD画質対応なのにせっかくのライブ映像DVDとか意味わからんしと思って。Blu-ray見れないって方は単体プレイヤーとかもうかなり安いのでこれを気に導入してみても良いと思います。VHSとDVD位画質の差があるよ。Blu-ray+CDの形態って珍しく無い?あとなんかブクガってDVDよりBlu-rayっぽいなーみたいな雰囲気で。チェックした映像もとても良かった。早くみんなにも見て欲しい。あの日関係者もっと気さくに色んな人声かけたかったんだけど、キャパオーバーでこっちから声かけれない状況で誘えなくてほんとに申し訳ない。次はその辺りも失礼の無い様にしたい。アルバム発売の4月から5月にかけても色々計画しているので楽しみにしててください。あ、karmaのMVも公開されたよ。youtubeで検索してみてね。このMVが広がったらすごい嬉しいなーと思います。よかったらTwitterとかで、色んな人に届く様に拡散して貰えると嬉しいです。あ、さっきギター録音しました。この後から明日夜まではその曲のアレンジ修正&ミックスして仮歌入れまでがんばりますね。さっきちょっと頭の容量がいっぱいになって(音楽とは全然関係ない案件で)車酔いみたいになって1時間くらい仮眠しました。そういうの無くしていきたい。まぁそんな中でもなんとか頑張って曲作ってるので楽しみにしててねー。2月もリリースイベントとかいっぱいやりたいなー。色んな人に音楽を聴いて見てもらいたい。売り上げの事とかもあると思うけど、無料で来やすい場所でイベントをするのって今後すごい大切になると思うんです。平日18:00スタートとか無いわーって思うけど。じゃあねー。ファンの方を一番に考えて今後も頑張るだけでございますよ。いつも応援してくれてる人ほんとありがとね。Twitterの感想とかもチェックして嬉しい気持ちで見てます。今日もなるべく美しい心を持って生きましょうー。サクライケンタでした」

『Solitude HOTEL 2F + faithlessness』ダイジェスト

以下、音楽ナタリーよりコショージメグミとサクライケンタのコメントを引用。
初の映像作品に対する二人の思いを知ることができる。

コショージメグミ コメント
2ndワンマンの日、あの時間、あの会場にタイムスリップできるのではと思いこの映像を見ました。私の体の半分はしっかりと「あの時」にタイムスリップしていて、あの時が具現化された証拠になりました。私の体のもう半分は今まで見たことのない味わったことのないものを目の前に呆然と立ち尽くすのみでした。

サクライケンタ(プロデューサー)コメント
先日11月6日に開催したMaison book girl 2ndワンマン、「Solitude hotel 2F」。メジャーデビュー決定後の初ワンマンライブ。この公演を映像化したBlu-rayを発売させて頂く事になりました。
映像チェックした所、とにかくメンバーの表情が良く、僕にとっても大変感慨深い内容の仕上がりになっております。
また、4月5日発売のアルバムも、未発表曲、未音源化の楽曲を含め、新しいMaison book girlの音を、「丁寧にお届け」できればと思い、鋭意制作中でございます。楽しみに待っていてくれたら僕にとってそれほど嬉しいことはありません。

出典: natalie.mu

以下、Qeticよりインタビューを引用。
Maison book girlのライブ面にフォーカスを当てたインタビューであり、当日のパフォーマンスに込められた様々なアイディアや、ライブを通して手にしたこれまでの変化について語られている。
本映像作品『Solitude HOTEL 2F + faithlessness』を試聴する際のサブテキスト的なインタビューとなっている。

左から井上唯、和田輪、矢川葵、コショージメグミ。

――今回映像作品としてリリースされた昨年11月の2ndワンマン<Solitude HOTEL 2F>は、メジャー・デビューを直前に控えたライブだったと思います。その頃、メジャー・デビューに向けてどんなことを考えていましたか?
和田輪(以下、和田) 私は「私たちの今の実力で、メジャー・デビューして大丈夫なのかなぁ。」と思ってました(笑)。
矢川葵(以下、矢川) でも、メジャー・デビューに向けて、気合いを入れるいい機会になったワンマンだったと思いますね。
井上唯(以下、井上) それまでに、伸びられるところまで伸びておかなくちゃって思ったしね。
コショージメグミ(以下、コショージ) あのときは、とにかくここでインディーズの集大成を見せて、メジャーでの活動にも期待をもってもらえるものにしたいな、ということを考えていたんです。
――1年前の渋谷Wombでの1stワンマンと比べて規模も大きくなりましたし、楽曲自体もやり込んで迎えたライブだったんじゃないかと思います。
コショージ 1回目のワンマンは最終的にはソールドアウトになりましたけど、ギリギリまでチケットが余っていたんで、今回も不安だったんです。そうしたら即日ソールドアウトになって、「えっ、どこにそんなに沢山来てくれる人がいたんだろう?」と思いました。
矢川 みんな今までどこにいて……。
井上 何をしていたんだろうって(笑)。
――自分たち自身では、人気の広がりは実感していなかったんですか?
コショージ まったくしていなかったですし、今もないですよ(笑)。
和田 だから、「いつもアイドルのイベントに来てくれている人以外の、私たちのことを好きでいてくれている人たちがどこに隠れていたんだろうね」と思ったんです。
――今回、その様子を収めた初の映像作品『Solitude HOTEL 2F+faithlessness』がリリースされますね。まずは、自分たちのライブが映像作品になったものを観て、どんな風に感じました?
矢川 「照明がこんなことになってたんだなぁ」というのはライブをしているとなかなか分からないので、今回観て初めて気づきました。
和田 「ここでキメ顔をしていたのに、めっちゃ暗いやん!」とかもね(笑)。
コショージ すごく集中していたのかもしれないですけど、やっているときは本当に一瞬に感じていたんですよ。だから、映像を観て思い出して「ああ、このときこういうことをしてたなぁ。」って思ったりもして。

出典: qetic.jp

井上唯

――ライブはオープニングのSEのあと、発売直前だったメジャー・デビューEPのリード曲“cloudy irony”からはじまるのが印象的でした。
コショージ MVは上がっていたんで、それを観て来てくれる人が多いんじゃないかなと思ったんです。これまでライブをやってきて、「どの曲が盛り上がるか」「お客さんがどの曲を待ってくれてるか」ということが私たちもだんだん分かってきているんですけど、あえて新しい曲を持って来て「いつもとは違うな」と感じてもらいたかったし。
――Maison book girlは変拍子の楽曲が多いですし、振り付けも手の角度まで意識しなければいけないものが多いので、パフォーマンスをするのはきっと大変なんじゃないかと思います。ライブではどんなことを意識していますか?
和田 みんな最初は、ほぼ素人から始まったこともあって、何も考えないでいると手を伸ばす角度もそれぞれ違ってしまうんです。それをみんなで調整することは考えますね。
――特に井上さんと矢川さんは、歌もダンスも本当に初めてでした。
矢川 最初は曲も変拍子で、よく分からなくて……(笑)。でも今は、曲のかっこよさも分かるようになりました。
井上 最初に音源をもらったときは、一週間ぐらいずっと聴いていても歌詞が全然覚えられなくて、「ずっとこんな曲をやるんだ。大変だなぁ。」って思っていたんですけどね。
――でもその結果、アンコールでファンの人たちの手拍子が“bath room(intro)”の変拍子になったりと、このグループにしかない魅力も生まれてきていますね。
井上 ファンの人たちもどんどん鍛えられているんですよ。最初は「難しい」「ノリ方が分からない」って言っていた人も多かったんですけど、みんなMVを観て練習をしてきてくれたり、「何度もライブに来ているうちに覚えた」って言ってくれて。たぶん、ちょっと音ゲーみたいな感覚だと思うんです。
矢川 ファンの人たちに「(振り付けを)練習してくるね」ってよく言われます(笑)。
コショージ 「これ出来るようになったよ!」って言ってくれたりとかね。
――ああ、お客さんも一緒になってライブに参加してくれるような感じで。
コショージ ライブの盛り上がり方をお客さんも考えてくれるのかな、と思う瞬間は結構あります。私たちはすごく盛り上げるような曲をやるわけでもないですし、表情とかは自分たちでは盛り上がっているつもりでも、そんなに盛り上がっていないように見える部分があったりもするので……。
矢川 表情筋の問題(笑)。
コショージ でも、そこにもメンバーの個性が出ているなぁと思うんですよ。
――Maison book girlは決まったセンターがいるタイプのグループではなくて、4人全員で連動していくような振り付けも印象的ですが、これもすごく難しいんじゃないですか?
矢川 ひとりじゃできないですよね。レッスンのときにひとりずつ踊ってそれを他の3人が見たりもするんですけど、ひとりになった瞬間に立ち位置が全然分からなくなったりするんです。4人いるからこその振り付けで、ひとりじゃできないなぁあって思うんですよ。
和田 ひとりインフルエンザで倒れたりすると、フォーメーションのダンスを組み直すのも大変で。メンバー4人がいて成り立つものなんだな、ということはすごく感じます。

出典: qetic.jp

コショージメグミ

――それぞれの曲に色んな思い入れがあると思いますが、振り付けなども含めて、<Solitude HOTEL 2F>で披露した中で、みなさんがそれぞれ好きな曲というと?
コショージ ええー、何だろう?
矢川 “karma”の2番が終わってからの間奏で、コショージが前に立ってひし形になってひとりずつ時間差で振りをやるところがあるんですけど、私はそこが戦隊ものみたいですごく好きです。そこでいつも気合いが入る。
コショージ 分かるかも! あそこいいよね。
矢川 今回の映像作品でも、そこで手を上げるところをお客さんも一緒にやってくれていて、手が一斉に「バーッ」と上がるのが見えるんです。
コショージ 私は“blue light”ですね。本編の最後で、ファンの人たちも一番「観る曲だ」と思ってくれている曲で。この曲を本編の最後に絶対にしたいな、と思ったんです。後で聞いたんですけど(プロデューサーで当日照明も急遽手伝っていた)サクライさんが照明を後ろの2つだけしか光らせないようにしていたらしくて、「そこは本当に褒めてほしい」って言ってました。
井上 すごいドヤってました(笑)。
コショージ そういうところも観てほしいな、と思いますね。
和田 私は“lost AGE”。MVにもなっている曲で、4人が時間差で連動する振り付けがありますけど、それがライブでもすごく面白いので好きですね。
井上 私は今回の映像作品にも音源として入っている“faithlessness”ですね。この曲はストーリーが曲の中で一貫していると思うんです。振り付けをしてくれているミキティー本物は、それぞれの振りに意味を持たせてくれているみたいなんですけど、“faithlessness”はその中でもちゃんとストーリーがあって好きなんですよ。
――最初、矢川さんを3人が囲んではじまる振り付けですね。
矢川 そうです。私だけが人間で、他の3人は人形という設定なんです。私はみんなを人間にしようと頑張るんですけど、裏切られて最後は私も人形になっちゃうという振り付けで。
――それで人形っぽい振りが入っていたんですね。
矢川 すごくダークな感じですけど、観ていて楽しいと思います(笑)。“最後の様な彼女の曲”も、(手で作った)幸せの青い鳥を追いかけるけど、飛んで行っちゃうというもので。
和田 それで、最後にメンバーが手を合わせて鳥の羽を作るんです。鳥は飛んでいちゃったけど、私たちで作っちゃう(笑)。
井上 あと、“snow irony”や“cloudy irony”は、実は手の指が4本になっているんですよ。これはミキティー本物が、「これはブクガのメンバー4人なの」って言ってました。それを最後にパッと5にして、みんなで「5」だよっていう振り付けなんです。5本目はきっとファンの人。そういうこだわりが隠されているんですよ。
コショージ えー、それは知らなかった……!
――(笑)。ライブをしていて最も楽しさを感じるのはどんな瞬間ですか?
和田 私は新曲を初披露してお客さんがまだポカーンとしているときに、「これを乗り越えればいい感じになるかな」と思うと気持ちが高まります。
矢川 (笑)。私はお客さんを忘れてしまうぐらい、自分のパフォーマンスに集中できたとき。そのときが一番楽しいです。
井上 私は曲を聴いて泣いてるお客さんがいると、「やった!」と思いますね。
コショージ 私はいつも長い尺のライブが終わったあとはめちゃくちゃテンションが高くて、会う人みんなに「ありがとう~!!」みたいな感じになっちゃうんです。ライブ終わりに特典会とかでファンの方と話すときも、「フゥ~!」ってテンションが高くなっちゃう。そのときに、「私楽しかったんだなぁ」と思いますね。
――もうひとつ、Maison book girlの特徴として、コショージさんが作詞を担当したポエトリー・リーディングがありますね。これはもともと、どんなアイディアで始まったものだったんですか?
コショージ Maison book girlが始まる前に、プロデューサーのサクライさんとグループを作りましょうという話になって、そのときに私がひとりでライブをすることになったんです。そこで、私って何もできないから「何をする?」という話になって。そのときにサクライさんが「ポエムコアをやってみるのはどう?」と言ってくれたんですよ。サクライさんのインストに合わせて私が詩を読むという形で。それでブクガが始まってからも、まだ2曲ぐらいしかなくて30分セットをやらなきゃいけないときに、それをやったりもしました。今回嬉しかったのが、ポエトリーのときにVJをつけられたことですね。やっぱり、朗読の曲って観てる人はやることがなくて暇になっちゃうと思うんですよ。
――確かに、他の曲に比べて情報量は少ないですよね。
コショージ だから、あまりブクガのことを知らない人が観たときに、面白くないかもしれないなと思ったりもして。映像がつくと、色んな人が楽しめるものになると思ったんです。ちなみに、“14days”の野菜を切っている映像は、実はメンバーで撮ったんですよ。それこそ、みんなでスーパーに行くところから始めました(笑)。
井上 ちょっと私には意味が分からなかったんですけど、メンバーで映像を撮るということになったときに、コショージが「“14days”はちょっと野菜っぽいと思うんだよね」って言い始めたんです(笑)。
――どういうことですか……?(笑)。
矢川 私たちも分からないんですけど、詞を書いた本人が言うので……。
井上 それで、和田のiPhone7の4Kカメラを使って、事務所のキッチンで撮影しました。
和田 かぼちゃがかたくてなかなか切れなかったよね。
コショージ (笑)。私としては、野菜をただ切ってるだけの映像を“14days”に合わせたら、ちょっとゾクッてなるんじゃないかな、と思ったんです。
――ああ、なるほど。“14days”は詩の主語が消えていたりと、ミステリアスな雰囲気が魅力ですからね。
コショージ それで「絶対野菜!」って(笑)。唯ちゃんが野菜を切ってくれました。
井上 コショージ監督のもと切りました……。たまごも茹でてね。
――話を聞いていて思ったんですが、Maison book girlはメンバーの意見が反映されやすい環境になっているんですね。
コショージ そうだと思いますよ。サクライさんも、「これはどっちがいい?」ってメンバーによく聞いてくれるんです。インディーズ時代のアルバム『bath room』のジャケットも、LINEで私たちの顔が写っているものと、完成形のものと2つ写真が送られてきて、「どっちがいい?」って聞いてくれたんです。それで排水溝のようなものになりました。
井上 私はそのLINEのやり取りをしている時間帯は、もう寝ていて、朝起きたら決まってました(笑)。でも、私も顔が表に写っているものは違うと思ったんです。後ろ(裏ジャケ)に映ってるぐらいでちょうどいい。
コショージ 私たちがそこで顔じゃない方がいいと言ったから、それから顔をどんどん隠すようになっているのかな? (最新のメンバーの顔が判別しにくいアーティスト写真を見ながら)だって、この写真とかヤバくないですか?(笑)。
――オフィシャルHPのメンバー欄でも顔が全然判別できないことには驚きました。
井上 確かに(笑)。
――でも、Maison book girlのライブは「自分たちが前に出る」というよりも、映像や振り付けの細かなディテールと合わさって魅力的なものになっていると思うので、そういう意味ではとてもらしいのかもしれないですね。
コショージ ああ、それは嬉しいです。
井上 そもそも、みんな「私だけ前に出よう」というタイプの人間じゃないんですよ。だから何も話していないんですけど、自然とそうなる。
矢川 変拍子の変わった曲をやっているので、「やらされてるのかな」と思いきや、みんなこれでいいと思っていますしね。
和田 私たちメンバーを引き立てるために曲があるんじゃなくて、Maison book girlの世界観があって、その中の構成要素のひとつとして私たちもいるという感覚なんです。

出典: qetic.jp

矢川葵

――活動を続けていく中で、他のアーティストさんのライブでいいと思ったり、影響を受けたものはありましたか?
コショージ 私は他のメンバーよりもライブを観に行くのが好きな方で、自分たちのセットにもよかったところを組み込むんですけど、私たちのライブはMCが少ないからこそ、そこが大切だと思うことはあります。バンドマンの人もアイドルの人も、「曲と曲の間に言う一言がバリカッコいい!」というMCがあるじゃないですか? 最近はそういうことに挑戦したいと思っているんです。あとは、欅坂46さんのライブもそうですね。私、欅坂さんが好きすぎて、去年の年末のワンマンライブに行ったんですよ。イヴにひとりで行って、物販にも並んだんですけど、ライブが本当にすごくて。ダンスも初心者の人が多いはずなのにすごくダンスも揃っていて、構成もかっこよかったです。最初にカップリングの“大人は信じてくれない”から始めた構成もすごくかっこよくて。周りのファンの人たちはサイリウムを振っている中で、私だけ「はぁぁっ!」って頭を抱えちゃいました(笑)。
――これからそういう構成も出来るといいですね。みなさんはどうですか?
和田 バンドのライブを観たときに、演奏するメンバーが全員止まって、ヴォーカルの人がワーッと畳みかけて次の曲に行く構成をみたときに「かっこいい」と思ったり、アイドルさんのライブで「幕張へようこそー!」って言っているのを観て、私には出来ないなぁって思ったりしましたね。
コショージ 欅さんは「有明コロシアム、かかってこい」っていう感じだったよ。それで私も「キャアー!!」ってなってて。この違い、すごいね。
和田 グループによって色んな形があると思うんですけど、Maison book girl的に一番かっこいいMCってどんなものだろう? ということを考えるのが今の課題です。かっこよくするのか、それとも人間味のあるものにするのか……。私たち、本当にMCが出来ないんですよ。特に私(笑)。
コショージ 和田は喋ると面白くなるんだよね(笑)。今回の作品でのMCは、人間味のある方のMCですね。
矢川 パフォーマンスをしているカッコいいところだけ作品になると思ってたのに、「これ全部入れるの~?」って思いましたもん(笑)。(アンコールのMCで初春のアルバム・リリース予定を発表した際、「RELEASE」の文字が「RERESE(レレセ)」になっていたのに気づいて)私がバーッと隠しに行ったところも全部写ってました。
――そこも見どころのひとつだと思いますよ(笑)。
井上 ライブの最後の方まで積み上げてきたのにね……。
矢川 「あっ、間違ってる!」って(笑)。
井上 私も最初の頃、どんな方向性でライブやMCをすればいいのか、見本を色々と探していたんです。でも、ブクガのライブって参考になるものがあまりなくて。よく一緒になるアイドルさんを観てても「すごい熱量だなぁ」と思うんですけど、それを自分たちが取り入れるのは難しいと思うし。だからやっぱり、自分たちが楽しいと思えるライブにするのが大事だと思うんです。
矢川 私は松田聖子さんとか松浦あやさんが好きなんですけど、それってあまり参加型のライブではないじゃないですか? だから、大きな会場で遠くから観ていても楽しいライブができるようになったらいいな、と思います。私たちはまだ肉眼で観れる距離でライブをしていますけど、これからもっと会場が大きくなっても、みんなに楽しんでもらえるようなライブができるようになりたいです。MCで「綴りが違うね」ってちょっとふざけていても、その分パフォーマンスをかっこよくすれば、「魅せられるライブになるのかな」と思うので。
――今回のライブは、Maison book girlとしての結成が発表された14年の11月5日からほぼ丸2年後に行なわれたライブでした。2年の活動の中で、メンバーそれぞれに成長したと思うところを挙げるなら?
コショージ 井上は福岡から出てきて、「東京に染まったなぁ」って思います。
全員 (笑)。
井上 昨日も、すごく久しぶりに来てくれたファンの方に「別人みたいだね」って言われたんです。福岡は捨てました(笑)。
矢川 捨てないで……。
井上 葵ちゃんも大阪を捨てたよね?
矢川 捨ててないよ(笑)。今でも大阪から通えるなら通いたいぐらい。でも、ちょっと標準語にはなってきていて、この間久しぶりに大阪に帰ったときにお店の店員さんの関西弁を聞いて、「あ、これが本物や!」って思いました。
コショージ 和田は、インタビューで緊張しなくなった! 最初はガッチガチで、インタビュー・カットも顔が本当にやばかったんです。
和田 2年前ぐらいは、インタビューに限らず人とちゃんと喋れなかったんです。だから、やっと人間になれてよかった(笑)。
コショージ 葵は、ライブで憂いを帯びた表情がうまくなったよね。
井上 和田は歌い方がすごく変わりました。最初はアキバにいたというのもあって、もっとアニメの主題歌のような歌い方だったんです。
和田 「アニメっぽくない感じで歌って」ってサクライさんに言われていましたね(笑)。
井上 コショージは、遅刻をしなくなったし、ちゃんとしたと思います。あと、ライブでも立つだけで成立しちゃうオーラがあるんですよ。
矢川 コショージはライブのMCでも、予期せぬ形で上手いこと言えたりするよね。
コショージ そして、それに自分では気づいてないんです(笑)。
――春にはメジャー1stアルバム『image』がリリースされますね。ここに向けてはどんなことを頑張っていきたいと思っていますか。
井上 まだ完成はしていないですし、これから一番大変な振り入れの作業もはじまるので、とにかく必死に頑張りたいです。
矢川 もう3曲ぐらいレコーディングをしているんですけど、相変わらずサクライさんのいい感じが出ている曲ばかりで、でもちょっと新しい感じも入っていて、私たちも一枚のアルバムになって聴くのが楽しみなんです。早くみんなにも聴いてほしいです。
和田 メジャー・デビューEPの『river (cloudy irony)』はポップ寄りの作品でしたけど、今上がってきている曲はアルバム曲的な、もうちょっと難解なものもあるんです。だから、ブクガの深いところまで好きになってくれる人が増えたらいいな、と思います。難解なものだって、一回腑に落ちちゃうとすごく楽しくなると思うので。
コショージ 私は次のポエトリーを考えているところですね。あるお題があって、それについてずっと考えているんですよ。それを自分の中で上手く表現できたら嬉しいので、頑張ります。何より、完成したアルバムを色んな人に届けて、もっと沢山の人にブクガのことを好きになってもらえたら嬉しいですね。

出典: qetic.jp

和田輪

2021年8月18日:『Solitude HOTEL』

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