Maison book girl(ブクガ)とは【徹底解説まとめ】

Maison book girlとは、2014年11月5日に結成された日本のアイドルグループ。作曲家・音楽プロデューサーのサクライケンタとBiSのメンバーであったコショージメグミを中心として誕生。サクライケンタの「現音ポップ」と称する変拍子を多用した楽曲をバックにコショージメグミが詞の朗読を行うというパフォーマンスを発展させた形といえる。一筋縄ではいかない「現音ポップ」に合わせてパフォーミングを行う、という独自の世界を持っている。2021年5月30日、活動終了が公表される。

バンドとアイドルに求められる発信力ーードラムとピアノの2人だけで成立させるというのは、ポップしなないでの基本的なコンセプトなんですか?
かわむら:“2人だけで成立させる”というのと少し語弊があって。もともとかめがいはピアノの弾き語りをやってたんですけど、歌を引き立たせるためにはどうしたらいいかを考えて、「これがいいだろう」と思ったのがピアノとドラムだったんですよ。本当はバンドがいいんだけど、2人だけで頑張って成立させているのではなくて。
ーードラムとピアノが最良の形だったと。
かわむら:そうですね。音源にもベースは入れてないので。
かめがい:高い音を少し重ねているくらいですね。「絶対に2人でやる」と決めているわけでもないんですけど。
かわむら:うん。ベースが欲しくなったら入れるだろうし、オケが必要だったらそうするだろうし。
かめがい:かわいい女の子が必要なときは和田ちゃんをお呼びして(笑)。
かわむら:それは絶対だね(笑)。そういえば、和田ちゃん、VTuber(バーチャルYouTuber)もやってるでしょ?
和田:あ、はい。
かわむら:あれもすごくいい。観てると悔しくなる。
かめがい:(笑)。なんで?
かわむら:アイドルとしてしっかり活動しているうえで、別の発信をしてるってことでしょ。しかも、まったく紛いものではなくて、すごく良くて。嫉妬しますよ、それは。
和田:まさかVTuberの話になるとは(笑)。“ワダリン”のキャラクターデザインはメガネの白衣ちゃんなんですけど、あれも「エレ樫」ですね。
かわむら:ホントに筋が通ってるし、時間と労力のかけ方といい、向上心といい……。長くなるので、この話はまた今度。
和田:(笑)。ポップしなないでの「オールナイトニッポし」(※Webにアップしているトーク番組)、おもしろいです。
かめがい:聴かなくていいよ(笑)。
かわむら:ダラダラしゃべってるだけだから(笑)。
和田:バンドマンの方は、自分のことをあまり表に出さない印象があって。そんななか、パーソナルなところを出しているのがおもしろいなって。アイドル性がある。
かめがい:アイドルに「アイドル性がある」って言われた(笑)。
ーーバンドもアイドルも発信するセンス、クリエイターとしての資質がないと立ち行かないというか。
かわむら:ホントにそうですね。ステージに立つときもそうだし、SNSの使い方もそうだけど、いちばん伸び伸びと楽しく発信できるやり方を模索しないと。ブクガはみんなすごいと思います、ホントに。アイドルグループとして確立したものがあって、そのうえで、メンバーそれぞれが好きなものを発信するパワーがあって。
和田:そんなそんな。私はクリエイターではないので……。やりたい気持ちも少しはあるんですけど、「私なんて」という感じもあって。できることをちょっとずつ出している感じですね。
かわむら:クリエイターが偉いわけではないけど、和田ちゃんはクリエイターの才能もすごくあると思います。だからこそ、今日もこうやってお呼びしているわけだし。
かめがい:和田ちゃんに会いたかったしね(笑)。私、和田ちゃんのかわいい写真をスマホに保存しているんですよ。超お気に入りの写真があって…(と和田に見せる)。
和田:けっこう前のイベントですね。しかもファンの人が撮ったヤツ(笑)。
かめがい:写真を見直してるときに久々に見つけて「やっぱりかわいいな」って。かわむらくんにも送っておきました(笑)。

出典: realsound.jp

10月27日
千葉・稲毛海浜公園 野外音楽堂にて開催された「PLAYGROUND MUSIC FESTIVAL vol.1」に出演。

「DREAM ROCKET LiVE」の一コマ。

10月28日
東京・サンリオピューロランド ピューロビレッジ1階 エンターテイメントホールにて開催された「DREAM ROCKET LiVE」に出演。

2018年11月

11月2日
福岡・蔦屋書店六本松店にて「アルバム『yume』リリースイベント」開催(19:30)。

11月3日
福岡・タワーレコード福岡パルコ店にて「アルバム『yume』リリースイベント」開催(13:00)。
福岡・HMV&BOOKS HAKATAにて「アルバム『yume』リリースイベント」開催(17:00)。

11月4日
神奈川・LUB CITTA'川崎にて開催された「ロフト MUSIC & CULTURE FESTIVAL 2018」に出演。

【新潟空港PR動画】「新潟へ帰ろう」30秒ver

【新潟空港PR動画】「新潟へ帰ろう」60秒ver

11月7日
矢川葵、YouTubeにて公開された新潟空港のPR動画「新潟へ帰ろう」に出演。

11月10日
東京・duo Music Exchange及び渋谷ロフト9にて開催された「LOFT MUSIC & CULTURE FESTIVAL 2018 in SHIBUYA」に出演(13:40よりduo Music Exchangeでライブ、14:00より渋谷ロフト9でトークショー、14:40より再びduo Music Exchangeで物販 / 特典会)。

11月15日
11月15日リリースのアルバム『yume』より「狭い物語」のMVをYouTubeにて先行公開。

11月17日
大阪・タワーレコードNU茶屋町店にて「アルバム『yume』リリースイベント」開催(16:00)。
兵庫・HMV三宮VIVREにて「アルバム『yume』リリースイベント」開催(19:00)。

11月18日
愛知・ヴィレッジヴァンガード名古屋中央店にて「アルバム『yume』リリースイベント」開催(15:00)。

アルバム『yume』

11月21日
アルバム『yume』をポニーキャニオンよりリリース。
東京・新宿マルイメン屋上特設ステージにて「アルバム『yume』リリースイベント」開催(19:00)。

11月22日
東京・タワーレコード新宿店にて「アルバム『yume』リリースイベント」開催(21:30)。

11月23日
東京・池袋マルイ7Fイベントスペースにて「アルバム『yume』リリースイベント」開催(15:00)。
東京・ヴィレッジヴァンガード渋谷本店にて「アルバム『yume』リリースイベント」開催(19:00)。

「Solitude Hotel 6F hiru」の一コマ。

11月25日
東京・日本橋三井ホールにて6thワンマン・ライブ「Solitude Hotel 6F hiru」と「Solitude Hotel 6F yoru」(昼夜2公演)開催。
以下、Music Voiceより「Solitude Hotel 6F hiru」ライブレポートを引用。
以前のように日付や時間を軸としたパラレルワールドのような世界を作り出すはっきりとした演出はされていないが、日常からかけ離れたライブ会場をより異空間に仕上げていくパフォーマンス力がより向上されてきていることが語られている。

「Solitude Hotel」と名付けられた白い巨塔
日が暮れるその瞬間が好きだ。それまで蒼のカンバスへ白い配色を施していた絵に、次第に薄紅な差し色が加わるその時間の経過に、心が喜びと、心地好い微睡みを覚えていく。
空を濁しだした赤い差し色は、いつしか蒼みがかったカンバスを朱色に埋めつくした。そこに生まれるのは、空間を歪ませる時の歪み。時の経過と共に空が真紅に染めあげられる。雄大な景観を描いたその絵は、触れた人たちの心を、歪んだ時の中に開いた扉の奥へと招きだす。
蒼く澄んで生まれたはずの心が、朱の色を差すごとに紅く染まりだす。その紅は、気持ちを痛く騒がせる。乱れゆく心模様、歪む意識、騒ぐ感情…僕らは暮れゆく景色の中へ、心騒がす事件を求めていた。
此処ではない異なる世界の中、心揺れるまま無邪気な姿で、音を相手に戯れる女性たちが居る。それは伝説の中の記憶なのか。それとも、現実を記録した噂なのか…。
生を弄ぶように揺れる女性たちは、時の壁へ記された日付と時間に合わせ、真っ白な塔(ビル)と共に、僅かな時間、蜃気楼のように現れるという。
時空の歪むその日に合わせ、人々は、時の歪みの中に現れる塔へと足を踏み入れようと、その入口となる広場へ集まってきた。そして、時の歪みの中から顔を覗かせる4人の少女たちの無邪気な招きに誘われたくて、心の手でその隙間を探っていた。
Maison book girlが示した、時の扉が開く時間と、その空間。そのサインを受け取った大勢の人たちが、日本橋三井ホールに足を運び、歪む時空の隙間から覗かせる、その扉の開く瞬間を待ちわびていた。
時の合図が訪れると共に、その空間は無機質な音を響かせながら時空を歪ませ、真っ白な扉をゆっくりと開いた。目の前へ姿を現したのは、4人の少女たちが音を介して戯れるという、「Solitude Hotel」と名付けられた白い巨塔。今宵の戯れは、大きな塔の中の6Fでおこなわれる。
そこには、前回、4人が「Solitude Hotel」の5Fで戯れ、宴を描き出していたときの…いや、あの恍惚を導いた宴の幕が閉じるときに流れていた「GOOD NIGHT」の音色が満ちあふれ、その空間を支配していた。
今宵の物語も、あの時の宴の余韻を引き継ぐ形を取りながら、また新たな少女たちの無垢で無邪気な戯れを、このフロアへ描き出すのだろうか。「Solitude Hotel」の6Fを埋めつくした人たちが、その期待に胸を馳せていた。

これまでの歩みを辿るようなステージ
闇に包まれた場内へ、鋭利な音を叩きつけるように。いや、その戦慄は優しさを抱きながらも鋭利さを隠すことなく、フロア中に耳を刺激する音を響かせた。流れだしたのは「sin morning」だ。
この日の4人は、一日の流れと、光と闇とを交錯させながら、現実と乖離してそうで、とても現実と密接に心を繋げあった物語を語り始めた。 新たな始まりを告げるように流れた「sin morning」は、ローレライの歌にも似た、夢の舞台を綴る物語の夢先案内のようにも響いていた。
その期待を嬉しく騒がせるように流れた「end of Summer dream」。封印した過去の記憶を甦らせるように、その音色は、意識の扉をノックする。弾む音に抱かれながらも、心地好くまどろみの中へ溶けていく。音と意識が同化し、意識を惑わすその感覚のなんと気持ちの良いことか。
心を騒がせる金属音の調べ。キンキンと鳴り響く音を背負い、走っては止まり、走っては止まることを繰り返す「rooms」を、同じく、気持ちを走らせるように歌う4人の歌声にせかされ、フロア中の人たちが前のめりな気持ちのまま、大きな部屋の中に広がりだした闇の中へ、その身を投じていった。
先日、最新アルバム『yume』を発売したばかりとはいえ、この日のライブはMaison book girlは最新アルバムの楽曲たちを中心に…というよりも、これまでのMaison book girlの歩みを辿りながら、その中へ新しく生まれた表情を描き加える形で進められた。
真っ白な衣装に身を包んだ天使のような彼女たち。その姿は、「Solitude Hotel」という名の真っ白な病棟の中、心揺れるままに。統一性を持った音色を軸に据えつつも、不均衡な音の調べを重ねながら色を変えていく多彩な楽曲たちへ心を騒がせ、感情の導くままに想いを歌に変え唱えてゆく、そんな病棟の中の無垢な少女たちのようにも見えていた。
モノクロな心へきらめきを射すように歌い踊った、「ボーイミーツガール」。彼女たちは、時の流れの中を自由に行き交いながら、心踊るままに、心の中に映し出された想いや思い出を、歌声や楽曲を介し、触れた人たちの心へ胸騒がせ、想像を掻き立てる物語として映しだしていく。写真の中の少女の姿へ、有り日の想いを馳せるように歌う彼女たち。映写機の映し出す「ボーイミーツガール」という物語と、今は心地好くはしゃぎあっていたい。

出典: www.musicvoice.jp

「Solitude Hotel 6F hiru」の一コマ。

夢の続き
相反する形や想いほど、じつは根底で結び合っている。騒ぐ気持ちを、絶望の中へ植えつけるように。汚れた心の景色の中へ白い光を差すように。何より、沈む色へ喜びを覚えるよう、Maison book girlは気持ちを憂いながらも開放する「cloudy irony」を。
雨空から雪降る空へ移り変わる凍える景色の中から魂を解き放つように、「snow irony」を高らかに歌いだす。心騒ぐ感情。その心地好い痛みを、強くノックするように響く「film noir」。意識がどんどん光をまといながらも混濁していく。さぁ、もっともっと心を解き放て。4人の歌声が、次々と理性の鍵を壊し、心を自由に与えていく。そして、4人と一緒に背中に映えた白い羽根を羽ばたかせ、「Remove」と一緒にこの空間を越え、自由という名の空へ気持ちを飛ばしていけ!!
歪む時空。その空間は、ふたたび無機質な音のジッパーで、扉ごと封印していく。暫しの沈黙…。その封印が解かれたとき、そこには黒い服に身を包んだ4人が佇んでいた。
黒い闇に冒された空間の中、4人は、壊れそうな気持ちの均衡を保つように「狭い物語」を歌いだす。光と闇が錯綜する世界の中、4人の意識は、黒いカンバスに覆われた空間へ白い光の差し色を求めだした。
その空間には、いつしか光と闇が交錯しあっていた。一筋の光をつかむように。濁った世界を夕立で一気に履き散らすように、4人は「言選り」を歌いながら想いを飛ばしていた。
射し込む光、その先に彼女たちは出口を見いだした。闇の舞台へ放り投げられた観客たちも一緒に連れ出すように、Maison book girlは「十六歳」を歌いながら、微かに見える光の匂いをたぐりながら、黒い世界を彷徨い続けていた。
さぁ、この空間に輝きを与えようか。騒ぐように跳ねる「karma」を歌いながら、4人は、この塔へ迷い込んだ人たちへ鈍いきらめきを注ぎだす。その誘いへ導かれ、乱れ、はしゃぐ感情。4人の歌い踊る姿に熱い視線を注ぎながらも、身体はうずうずとした衝動を携えながら、暴発寸前の気持ちのままに心を踊らせていた。
いつしか乱れ騒ぐ感情のままに、彼女たちもまた、光射す出口へ向かって駆けだしていた。そして…。そこは、雨が降りながらも光も射し込む不思議な世界。終わりを告げるようで、また新たな始まりへの期待を抱かせる心地好い空間。4人は「おかえりさよなら」を歌いながら、大きく揺れる音楽のうねりの中、闇と光の手を心の中で結びながら、ふたたび心地好い眠りの中へ、その身を落としていった。
物語の余韻を心地好く壊すように、Maison book girlはアンコールの始まりに「my cut」を投影。気持ちを熱く掻き乱す楽曲の登場に、それまで身体をうずうずさせていた観客たちが、一斉に声を荒らげ騒ぎだした。高ぶる熱、騒ぐ感情。誰もが嬉しく心を乱しながら、高揚導く楽曲の中へ飛び込み、ふたたび白い衣装を身にまとった4人と無邪気に戯れていた。
ここまでに描き出した物語が、すべて夢だったと語るように。いや、夢と現実が交錯しあう物語だからこそ、そのメッセージを微睡む夢物語として受け止めるのか、それを明日へ繋がる現実の糧へ変えてゆくかの選択を示すように、Maison book girlは「夢」を届けてくれた。とても美しく、心地好い微睡みを与えていく楽曲だ。このまま4人と一緒に、優しい色の差す世界へ落ちていきたい。
最後にMaison book girlは、それぞれに本を携え、「不思議な風船」を語りだした。その歌に示した想いこそ、この日のMaison book girlが伝えたかった想い。その答えは、それぞれの心に委ねようか。
メンバーが去り、舞台上に映し出された真っ赤な夕陽の映像と、荒野に置かれた2つのベッド。僕らは、広大な景観の中で、ずっと不思議な夢に微睡み続けていたのだろうか…。その夢の続きは、12月16日にヒューリック東京でおこなわれる「Solitude Hotel 6F yume」へと繋がっていく。この物語は、また同じ階で綴られる。その続きの世界へ、またどっぷりと溺れたい。

「Solitude Hotel 6F hiru」

11月25日@東京・日本橋三井ホール

00.GOOD NIGHT
01.sin morning
02.end of Summer dream
03.rooms
04.ボーイミーツガール
05.cloudy irony
06.snow irony
07.film noir
08.remove
09.狭い物語
10.言選り
11.十六歳
12.karma
13.おかえりさよなら

EN1.my cut
EN2.夢
EN3.不思議な風船

出典: www.musicvoice.jp

11月29日
東京・タワーレコード渋谷店 B1 CUTUP STUDIOにて「アルバム『yume』リリースイベント」開催(20:00)。

2018年12月

12月2日
NHK「シブヤノオト」出演。初の地上波での歌唱パフォーマンスを行う。
アルバム『yume』より「夢」のMVをYouTubeにて公開。

「Solitude Hotel 6F yume」の一コマ。
鳥のようなマスクがペストマスク。
ちなみにAmazoneで購入したとのこと。

12月16日
東京・ヒューリックホール東京にて6thワンマン・ライブ「Solitude Hotel 6F yume」(追加公演)開催。
以下、Music Voiceより「Solitude Hotel 6F yume」ライブレポートを引用。
当ライブは「Solitude Hotel 6F hiru / yoru」の追加公演であり、さらに詳細に期すれば「Solitude Hotel 6F yoru」の続きということになり、舞台装置もこの「yoru」の最後に登場した「焼け空の背景と、2つの赤いベッド」であることがわかる。
「yoru」の続きとしての「yume」であり、ライブパフォーマンスもそんな「yume」を意識したものになっていることがレビューから伝わってくる。

夢の世界
夢とは不思議なものである。馴染み深い人から、意外性を持った人物、面識はあるが、そこまで交遊は持ってない人たちまでもが、繋がっているようで支離滅裂な夢の中という物語に登場しては、不可思議な出来事を描いていく。その出来事が印象深いほど、目が覚めた瞬間、その夢の景色が頭の中へ残像として色濃く残っている。
大概の夢は、理屈や常識をどこか逸脱した歪な物語を成している。枠に縛られないその自由さが、夢に惹かれる理由なのかも知れない。あなたは、どうだろうか?
この日の舞台には、前回に観た夕焼け空の背景と、2つの赤いベッドが据えられていた。暗くなった場内。ここは、お馴染み“Solitude Hotel”の6階にある「yume」と名付けられた部屋の中。
「fMRI_TEST #3」と題したノイズ音に導かれ、部屋の扉が開くと同時に、白い寝間着姿の4人の女性たちが、ゆっくりと中へ入り、二手に分かれ、ベッドで眠りについた。
やがて打鍵するように流れだした「夢」の音に刺激され目を覚ました4人は、ベッドの上から這い上がるように部屋の中央へ。いや、これもまた彼女たちが見ている夢の中の風景なのかも知れない。夢を重ねるように見る、新たな夢。夢と現実が交錯しているような、夢の世界。これまでに描いてきた物語も、そして今も、4人はまだ夢の途中と語るように、優しく戯れるよう穏やかな声で「夢」を歌い紡いでいた。
ふたたび舞台は暗転した世界へ。朝を告げるような小鳥の囀り。窓は、たくさんの水滴で埋めつくされていた。ポツポツと滴る水の音。そんな雨の朝の風景を切り取るように響くシャッター音。「ELUDE」を通した音の情景が、夜が明けたことを、夢の中で微睡む4人に伝えていく。
黒い衣装姿に着替えた4人は、蒼い色が支配した世界へ足を踏み入れた。弦楽の響きに合わせ流れだしたのが、「レインコートと首の無い鳥」。4人は演奏に合わせ、舞台の上をゆったりと舞う。その背景には、蒼く染まった雨が透明な水を浸食してゆく様が映し出されていた。その色は、いくつもの色を重ねながら、どんどん黒く濁していく。それは、人の心も黒く浸食し、聡明さを濁していくというメッセージ。
振りしきる雨、水滴だらけのガラスの奥に映し出されたのは、人物を描いた絵画…それとも写真? 「YUME」の演奏が、強い水滴を打ちつけるように心を濡らしていった。そして…。
降り注ぐ雨の音に導かれ、夢の中で溺れた4人は、そんな濁った風景の中でさえ楽しく微睡むように「おかえりさよなら」を歌いだした。歌の中の住人となり、無邪気に戯れる4人。その歌声と演奏は、触れた人たちの心へ、雨上がりの晴れた景色さえも映し出していくようだった。

出典: www.musicvoice.jp

「Solitude Hotel 6F yume」の一コマ。

繰り返す夢
仄かな明かりのような「GOOD NIGHT」の調べに乗せ、幻灯機を用い、両手を使い影絵遊びに興じるメンバーたち。スクリーンには影絵や、モノクロのネガフィルムなどが映し出されていく。その風景や音楽は、次第に夢という時空を歪ませ、いろんな時の流れの扉を繋ぎあわせていった。
舞台上には、夏の終わりの景色を思い返すように「不思議な風船」を朗読する4人の姿があった。それもまた夢の中の一つの風景。彼女たちが語る少女の物語は、時空を歪ませた中から見えてきた、それぞれの幼少期の姿。それとも…4人は淡々と語り続ける。少女と風船にまつわる不思議な物語を。
流れだした「fMRT_TEST #1」と「fMRT_TEST #2」と題したノイズ音。その音の続きを成したのが…青い闇の中へ、雷鳴にも似た姿を持って幾筋もの光が射し込んでいく。4人は、心を軽やかに弾ませながら「言選り」を歌いだした。光を抱いたメンバーたちの歌声とは裏腹に、舞台にはどんどん黒が、闇が浸食し続けていく。いつしか4人は、黒い夢の世界へ閉じ込められてしまう。
開く扉。その向こうには赤い光の世界が広がっていた。背景に映し出されていた白い壁も、「SIX」の音色に合わせ、心を浸食されるよう赤い色に染め上げられていく。
流れだしたのは、「狭い物語」。背景には雄大な景観が広がるが、でも、彼女たちは赤いベッドが2つあるだけの狭い「yume」という部屋に閉じ込められていた。その世界から外へ飛びだそうと、心だけでもこの空間から解き放とうと、4人は「狭い物語」を憂いを持った声で歌い続ける。
刺々しい音の響く「MOVE」が描き出したのは、モノクロな世界。そんな白黒な世界へ色を与えるように、4人は「ボーイミーツガール」を歌いだした。軽快に弾む演奏と歌声、彼女たちが歌を通して見ていたのは、少女時代の自分たちの姿。青春という眩しい輝きを人生の制服として身につけていた時代の、在りし日の姿。過去と現在がパラレルしていく、それもまた素敵でノスタルジックな夢の世界だ。
優しく、少し乱れるように鳴り響く鉄琴の音の上で、4人が優しく歌をハミングしていた。「PAST」が告げたまどろみの風景。やがて演奏は、「rooms」へ。狭い部屋の中でさえ自由を謳歌するように、一気にテンションを上げ歌い騒ぐメンバーたち。これもまた、彼女たちが見ている夢の途中の景色。解放されたい気持ちと幽閉された心情が錯綜しながら、4人の神経を「rooms」が明るく狂わせていった。
じんわりと流れるピアノの音色、メンバーそれぞれにマイクをリレーしながら「MORE PAST」を歌いだす。その歌声は過去を慈しむように、懐かしさを愛おしむように、消えゆく記憶を名残惜しむようにも耳に響いていた。
ふたたび4人は、「十六歳」を歌いながら軽やかに舞い踊りだした。少女特有の閉塞感と無邪気な自由さを両手に抱えながら、雨の中でさえ無邪気にはしゃぐ明るさと解放感を持って、4人は歌うことを謳歌していた。それはまるで、悲しい気持ちさえ無垢な笑顔に変えるようだった…。
通りすぎる電車の音が鳴り響く。それは突如目の前を覆った「NIGHTMARE」。やがて4人は、みずからの心を偽るように、作り笑いを浮かべながら「影の電車」を歌いだした。<笑って 笑って>と響く歌声が、悲しい痛みを持って胸に突き刺さる。それはまるで、青春の蹉跌のようだ。
ふたたび物語は、冒頭を飾った「fMRI_TEST #3」へ。4人は、またもベッドへ潜りだす。そして流れだしたのが、「夢」。ベッドから起き上がった4人は、夢の中、ふたたび描き出された夢の風景を楽しむように、<ゆめ おきて まだゆめの途中>と微睡むような優しい声で「夢」を歌っていた。
舞台上で歌いながらはしゃぐ4人。その姿は強制的に幕を閉める形で閉じ、夢を目撃していた我々は、現実の世界へと戻された。
この夢は覚めることはない。延々と何度も繰り返される。覚めない夢だからこそ…つねに夢の途中にいることで、きっと彼女たちは無垢な姿のまま、これからもいろんな色に染まり続けるのだろう。そして、ふたたび無垢な色を取り戻しては、またも染まってと、終わらない夢の中で過ごしていくのかも知れない。
4人の夢に紛れ込んだ人たちを素敵な夢の住人として招き入れては、それぞれの心の中にいろんな夢の種を植え、最後に会場の明かりを灯しては、現実の中へ送り出していくことを、彼女たちは繰り返し続けていく。

セットリスト
01. fMRI_TEST#3
02. 夢
03. ELUDE
04. レインコートと首の無い鳥
05. YUME
06. おかえりさよなら
07. GOOD NIGHT
08. 不思議な風船
09. fMRI_TEST#1
10. fMRI_TEST#2
11. 言選り
12. SIX
13. 狭い物語
14. MOVE
15. ボーイミーツガール
16. PAST
17. rooms
18. MORE PAST
19. 十六歳
20. NIGHTMARE
21. 影の電車
22. fMRI_TEST#3
23. 夢

出典: www.musicvoice.jp

yamada3desu
yamada3desu
@yamada3desu

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