秒速5センチメートル(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『秒速5センチメートル』とは、2007年に公開された日本のアニメーション映画作品およびそれを原作とした小説・漫画などの派生作品。「君の名は。」(2016年)で有名な新海誠監督の劇場公開長編第3作目。思春期から成人までの男女の心の距離と速度をテーマとした3つの短編の連作。現実の現代日本を舞台に、少年・少女を主人公とした恋模様や葛藤が描かれる。

しかし、貴樹が花苗の言おうとしている気持ちを察しながらも、拒絶の意志を暗に示していることを察した花苗は想いを伝えることができず「優しくしないで」と、か細く口にすることしかできなかった。
その後の帰路の途中、花苗は拒絶しながらも自分に優しく接する貴樹の心情がわからず、泣き出してしまう。直後、種子島のH-Ⅱロケットが発射された。二人は空高く昇って行くロケットが見えなくなるまで見つめていた。
その時、花苗は気が付いた。自分と貴樹は一見 同じものを見ているようでも、彼は本当はもっと遠くにある別の存在を見ているということ。同時に、自分のことを見ておらず、自分の想いは決して叶わないということ。

花苗は自宅で眠りながら、叶わなくても、それでもこの先もずっと彼のことをどうしようもなく好きなんだろうと、貴樹のことだけを想いながら涙を流した。

第三話「秒速5センチメートル」

月日は流れ、貴樹は成人し、IT企業でプログラマとして働いていた。明里と別れて以降、彼女を守れるような自分になりたいという想いからとにかく前に進もうとしていた。しかしただ働き続けるうちに、いつの間にその想いが失われていた。
そのことに気が付き、仕事も上手くいかずもう限界だと考えた貴樹は会社を辞めた。更には、3年間交際していた女性・水野理紗(みずの りさ)とも別れることになる。

貴樹は雪の降る東京の街中をあてもなく歩く。
もう明里との心の距離は遠く離れてしまったこと、そして今まで自分が彼女への想いに縛られ花苗や水野を傷つけていたことに気がつき、夜空を見上げる。

その後、貴樹は13歳の頃の明里との思い出を夢に見る。

明里は貴樹との過去を思い出にしまい、別の男性との結婚を控えていた。
そんな中、かつて貴樹宛てに書いた手紙を見つけた明里もまた13歳の頃の思い出を夢に見る。

夢の中で二人は、この先も同じ桜を見れると何の迷いもなく思っていた。

やがて貴樹は再びプログラマとしての仕事を始めた。

明里は結婚し、東京で暮らしていた。

貴樹が桜の舞う東京の街中を歩いていると、踏切で1人の女性とすれ違う。そこは小学生時代の明里との思い出の踏切だった。「今 振り返ればきっとあの人も振り返る」と強く感じた貴樹と女性は互いに振り返るが、二人の間を通過する電車が遮る。電車が通り過ぎたとき、そこには誰もいなかった。

貴樹は少しだけ寂しそうな表情をしたが、振り返らずに前に向かって歩き始めた。

『秒速5センチメートル』の登場人物・キャラクター

遠野 貴樹(とおの たかき)

CV: 水橋研二

第一話・第三話の主人公。全編を通して登場する。
親の仕事の都合で転校が多く、小学3年の頃に長野から東京の小学校に転校。その1年後に明里が同じクラスに転校してくる。
子供の頃は体が弱かったとされているが、中学ではサッカー部、高校では弓道部に所属。
性格は静かで大人しいが、明里との仲をからかわれても毅然と退けるなどといった面もある。
第二話では、出すあてのないメールを打っては消すという奇妙な習慣を持ち、大人びたクールな性格になっている。
第三話では成人し、IT企業に就職してプログラマとして働いていたが、悲しみやストレスが積み重なり、5年間務めた会社を退職する。
声を担当した水橋研二に関しては、新海監督は1999年の水橋の主演映画「月光の囁き」を観賞したことから声を気に入り起用したという。

篠原 明里(しのはら あかり)

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