秒速5センチメートル(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『秒速5センチメートル』とは、2007年に公開された日本のアニメーション映画作品およびそれを原作とした小説・漫画などの派生作品。「君の名は。」(2016年)で有名な新海誠監督の劇場公開長編第3作目。思春期から成人までの男女の心の距離と速度をテーマとした3つの短編の連作。現実の現代日本を舞台に、少年・少女を主人公とした恋模様や葛藤が描かれる。

CV: 近藤好美(第一話 少女時代) / 尾上綾華(第三話 成人時代)

ヒロイン。親の仕事の都合で転校が多く、小学4年の頃に静岡から東京の貴樹の小学校に転校してくる。貴樹と精神的に似ている部分が多く、自然と仲良くなった。性格も彼と同様に静かで大人しく、やや内向的。
小学生の頃は貴樹とともに図書館で過ごすことが多く、劇中でも本を読んでいるシーンが多い。
中学校は東京の私立中学へ貴樹と共に入学するつもりで受験も合格していたが、家の都合で栃木の岩舟へ引っ越すことになる。その際、東京の親戚の家から通うことを親に懇願するほど貴樹のことを想っていたが、叶わなかった。
第三話では成人し、かつて貴樹宛てに書いた手紙を見つけ、彼との思い出を夢に見る。貴樹への想いに縛られず、別の男性と結婚する。
声を担当した近藤好美の起用に関しては、声の輪郭が儚く揺り動いている雰囲気が明里に合っていると考えて起用したという。尾上綾華に関しては近藤と声が似ていたことと、小学生の明里の儚さが消えて大人っぽくなった声だと考えたためだという。

澄田 花苗(すみだ かなえ)

CV: 花村怜美

第二話の主人公。種子島育ちの少女で、やや色黒。
中学2年の春にクラスに転校してきた貴樹に一目ぼれし、その後5年間も想い続け、高校3年になっても告白できずにいる。高校3年時点では貴樹とクラスが違い、貴樹は1組(進学組)、花苗は3組(商業科)に在籍。
美人の姉に若干のコンプレックスを抱いているが、仲は良好。乳酸菌飲料のヨーグルッペがお気に入り。
明里とは対極的に快活で、特技はサーフィンだが、半年間波に乗れていない。
学力はあまり高くなかったらしいが、貴樹と同じ高校に入るために猛勉強するなど一途な性格。
貴樹への想いが叶うことはなかったが、第三話では種子島を去る貴樹を見送るシーンが描かれている。
声を担当した花村怜美の起用に関しては、語尾が時折震えるような自然な部分を出してもらえれば花苗の声に合うと考えたためだという。
また、花村は2013年に制作された新海監督の短編映画「だれかのまなざし」でも岡村綾役で起用されている。

花苗の姉

CV: 水野理紗

花苗の八歳上の姉。
花苗の高校の教師を務めている。花苗からは美人の姉と評されており、尊敬されている。
大学でサーフィン部に所属していて、花苗がサーフィンを始めたのも彼女の影響。

水野 理紗(みずの りさ)

CV: 水野理紗

第三話に登場する女性。
貴樹と3年間交際していたが、貴樹の仕事がうまくいかず退職するなどがあって、別れることになる。最後に「1000回もメールをやり取りして、たぶん心は1センチほどしか近づけませんでした」とメールに送った。
第三話の終盤、二人がベッドで寝ているシーンが登場するが距離が離れているのが確認できる。
キャラクター名と声優名が同一で、声を担当した水野理紗は新海作品常連の声優。
本編では出番が少ないが、小説版・コミック版では詳細に描かれている。

『秒速5センチメートル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

桜の花びらの落ちるスピード(第一話)

「ねえ、秒速5センチなんだって」

明里のセリフから始まるオープニングシーン。
本作のタイトルであり、桜の花びらの落ちるスピードというちょっとした知識を披露すると同時に、本作の重要なテーマである「速度」が象徴されている。
本作は全編にわたって貴樹の乗る電車の速度、互いの気持ちが届く速度、互いの心の距離が離れていく速度など様々な速度が描かれている。ストーリーの方向性を示すと同時に美しい桜の風景で観客を惹きつけるオープニングである。
この桜のシーンの舞台となった場所には実際に桜の木はない。

貴樹と明里の別れ(第一話)

「貴樹くんはこの先も大丈夫だと思う」

初めてのキスの後、二人の中では何もかもが変わっていた。それ故に最後まで互いの気持ちを伝えあうことはなく別れる二人。
この先も一緒にいたいと願っても、それは叶わないと二人は内心では理解していた。13歳という若すぎる彼らにとって、その後に押し寄せる人生にどう対処すればいいのかという不安は大きすぎただろう。そんな明里が最後に伝えた言葉は、貴樹のこの先を案じたものだった。この言葉は貴樹にとって前に進む力になったと同時に、明里への想いに縛られるきっかけでもあった。小説版では第三話で貴樹はずっと誰かにこの言葉を言ってほしかったと語っている。

波に乗る花苗(第二話)

半年間、波に乗れずにスランプ状態が続いていた花苗だったが、貴樹と話してできることから始めていこうと決意し、成功する。
花苗の高鳴る心情を表現したかのようにまぶしいこのシーンは新海誠展で制作の過程の様子が描かれている。

H-Ⅱロケット(第二話)

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