サイン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サイン』とは2002年に公開されたアメリカのSFサスペンス映画。一時期大きな話題となったミステリーサークルの謎を題材にした映画で、宇宙人襲来のパニックを描きつつ、ある家族の再生と主人公の信仰心を扱った異色作。妻の不慮の死で信仰心を失った男グラハムの営む農場に、ある日突然ミステリーサークルが出現する。それと共に世界中でUFOや宇宙人が目撃。人々は宇宙人の襲来から神の啓示によって救われるのか、それともただの不幸な出来事となるのか。宇宙人から家族を守る鍵はなんとグラハムの信仰心だった。

『サイン』の概要

『サイン』とは2002年に製作されたSFサスペンス映画。
2002年最も収益を上げた映画の1つと言われており、全世界で4億800万ドル、日本で34億円の興行収入を上げた大ヒット映画となった。
宇宙人の襲来というメインストーリーを軸に、家族愛や信仰心をテーマに扱ったヒューマンドラマでもある。

主人公グラハムを演じたメル・ギブソンは、アクション映画『マッドマックス』(1979)の主役に抜擢され一躍スターとなり、その後出演した『リーサル・ウェポン』シリーズなどで不動の人気を確立した実力派俳優である。メリル役のホアキン・フェニックスは映画『ザ・マスター』(2012)にてヴェネツィア国際映画祭で最優秀男優賞受賞、映画『ジョーカー』(2019)においてはゴールデングローブ賞ドラマ映画部門の主演男優賞、アカデミー賞でアカデミー主演男優賞などを受賞した。また惜しまれつつ早世した俳優リヴァー・フェニックスの弟でもある。モーガン役のロリー・カルキンは子役として活動をスタートし、数々の映画や海外ドラマに出演している。ロリーの兄マコーレー・カルキンも映画『ホームアローン』で主演を務め、話題となった。ボー役のアビゲイル・ブレスリンは映画『リトル・ミス・サンシャイン』(2006)にて放送映画批評家協会賞若手女優賞、東京国際映画祭女優賞を受賞した注目の若手女優だ。今作の監督・脚本を務めたM・ナイト・シャマランは代表作の『シックス・センス』(1999)にてアカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされ、世界的にその名を知られるようになった。

妻を不慮の事故で亡くし信仰心を捨てた元牧師グラハムは、アメリカの静かな田舎町で弟や子どもと共にひっそりと暮らしていた。そのグラハムの農場にある日、サイン(目印)と呼ばれる巨大な幾何学模様が出現する。家畜や人々が怯える中、世界各地に出現するサイン。やがてそのサインの上空に夥しい数のUFOが目撃される。宇宙人の襲来から家族を守ろうとグラハムは必死に抵抗する。そして妻の事故が神からのサイン(啓示)であることに気付いたグラハムは、家族を救うため思いがけない決断をする。

『サイン』のあらすじ・ストーリー

サインの出現

グラハムの畑に現れたサイン

ペンシルベニア州バックス郡、フィラデルフィア郊外72キロにある大きな農場で奇妙な事件が起こった。ある朝、グラハム・ヘスが目を覚ますと、自分の農場の広大なトウモロコシ畑の一部が不思議な形になぎ倒されていた。グラハムは村人に信頼されている牧師であったが、妻コリーン・ヘスの事故をきっかけに聖職を辞め、農場を営んでいた。村の警官、キャロライン・パスキーを呼び、状況を確認してもらう。それはどう見ても人の仕業とは思えない代物だった。とうもろこしは広範囲に渡って、完璧にそして整然となぎ倒され、巨大な幾何学模様を描いていた。近所の農場でも動物たちの様子がおかしいと通報があったらしい。動物たちは急に凶暴になり、まるで何かに怯えているよう。グラハムの飼い犬フーディーニも急に凶暴となり、グラハムの子どもモーガン・ヘスとボー・ヘスに突如襲い掛かってきた。そこでモーガンが農場の器具でフーディーニを殺し、なんとか難を逃れる。ボーは水が「汚染されている」などと言ったり、家じゅうに水を入れたコップを置き始めたり、と奇妙な行動を取り始めた。家族は言い知れぬ不安に襲われる。

世界中に広がるサイン

街のピザ屋で食事をするヘス一家

その夜、突然ボーが外にいるモンスターに水をあげたい、と言い出す。グラハムが何気なく窓の外を見ると、屋根の上に不審な影が見えた。グラハムは弟メリル・ヘスと共に外に出て探すと、何者かが屋根の上から飛び降り、トウモロコシ畑に消えていった。翌朝ニュースで、大きな幾何学的模様が世界各地で発見と報道される。それはグラハムの畑に出来た模様と同じものだった。作成に数百の手が同時に必要とされるその大きな模様は、いたずらかそれとも宇宙人からのサインかとまことしやかに囁かれた。

そんな状況に不安を覚える子どものために、グラハム達は気晴らしに街に出かけることになった。モーガンが本屋で宇宙人の本を買う等、各々用事を済ませた後、グラハム達はピザ屋で食事を楽しむ。そこにある男が通りかかる。その男をグラハムは意味ありげにじっと見つめた。帰宅後、モーガンがベビーモニターを警官のトランシーバーに見立てて遊んでいると、そこから奇妙な音が聞こえてきた。モーガンは「宇宙人の電波かな」などと言い、空に向かってモニターを高く掲げる。するとカエルの鳴き声のような「ケロロッ」という音が聞こえた。それはまるでおしゃべりをしているような様子だった。

宇宙人との遭遇と世界の混乱

宇宙人に考えを読まれないよう銀紙で出来た帽子を被るモーガン(左)とボー(右)

夜になり、グラハムのもう一匹の飼い犬イザベルがとうもろこし畑に向かって激しく吠え始めた。警戒しながらグラハムがとうもろこしをかき分けて入ると、また「ケロロッ」という音が聞こえる。そして懐中電灯に照らした先に、とうもろこし畑に入っていくつるりとした足が見えたのだ。グラハムは慌てて家に逃げ帰り、テレビを点けると、メキシコ上空に出現したUFOのニュース映像が流れていた。グラハム達はニュースを見ながら茫然となる。

朝になってもUFOは上空に存在しているようだった。姿は見えないがシールドが張り巡らされており、飛んでいた鳥がそこに激突し、落下していた。畑にできた謎の模様はUFOを誘導するサインではないか、という噂も流れている。子ども達は街で買ってきた宇宙人の本を読み、頭に銀紙で作った帽子を被り始めた。これで宇宙人に考えていることを読まれないと言う。その本の著者ビンブー博士によると宇宙人が地球に来る目的は侵略だと書かれていた。そして本の挿絵にはなぜかグラハムの家にそっくりな家が描かれている。その奇妙な類似に不安を感じた時、突然電話がかかってきた。

捕獲された宇宙人

切り落とされた宇宙人の指

電話の相手はピザ屋で見かけたレイ・レディという男だった。グラハムがレイの家を訪ねると、レイは思いつめた顔で車の中に佇んでいる。シャツには血が滲んでおり、宇宙人に襲われたため助けを求めたと言った。そしてレイは過去に起こした居眠り運転事故について懺悔し始める。その事故に巻き込まれ、グラハムの妻コリーンは亡くなっていたのだ。この事故をきっかけでグラハムは牧師を辞め、神への信仰心を捨てた。レイの懺悔と謝罪を聞き、グラハムは涙ぐむ。その後レイは宇宙人を1匹貯蔵室に閉じ込めたと告白し、宇宙人は水が嫌いだから湖の近くに避難すると車で去っていった。グラハムは恐る恐る貯蔵室に近づくと、中から何かの気配を感じる。近くにあった台所の包丁を持ち、扉の下の隙間から覗こうとすると、突然不気味な手が飛び出してきた。驚いたグラハムはその手の指を切り落としてしまう。室内からは悲痛な叫び声が響いてきた。

家族を守るため

喘息の発作を起こしたモーガン(手前)を心配するグラハム(左)とメリル(右)

茫然としながらグラハムは帰宅した。グラハムとメリルは家族を守るため、窓という窓に板を打ち付ける。ニュースでは宇宙人の目撃情報や世界各地にも表れたUFOの映像を流し続けていた。どのUFOも畑のサインの上空に現れている。畑のサインはやはり誘導用の目印だったのだ。ならばグラハムの家にもUFOはやってくるはずだ。恐怖におびえながらも自分たちの好きな食事を作り、グラハムは子ども達を励まそうとする。しかし食前の祈りを捧げようとするモーガンと神の存在を否定するグラハムとでケンカになってしまう。そして4人は泣きながら抱き合い寄り添いあった。ベビーモニターからは奇妙な音が聞こえ始め、テレビの映像も流れなくなった。いよいよ宇宙人の襲来かと覚悟を決めた時、家の外から生き物の気配を感じた。グラハム達は地下室に逃げ込んだが、外から宇宙人が扉を叩く音が聞こえる。そんな時モーガンが喘息の発作を起こしてしまう。グラハムはモーガンが落ち着くよう励ましながらも、また家族を失うかもしれないという悲しみに苛まれた。そして疲れ切ったグラハムは眠りに落ち、コリーンが事故に合った時のことを夢に見始める。コリーンはレイの居眠り運転によって、車と木の間に挟まれた状態に。もう助からない状態ではあったが、まだ意識のある妻と最期の会話をすることになった。

神からのサイン

モーガンを抱きかかえる宇宙人

グラハムがハッと目を覚ますと、ラジオから情報が流れていた。どうやら宇宙人の撃退方法が見つかり、撤退し始めたらしい。ベビーモニターで外から物音がしないことを確認し、4人は地下室からリビングに戻った。喘息に苦しむモーガンをソファに寝かせ、一瞬目を離した隙にリビングに宇宙人が入り込んでいた。宇宙人はモーガンを抱きかかえながら、こちらを威嚇するように鳴き声を上げた。ふと見るとその宇宙人の指が途中で切れている。レイが貯蔵庫に閉じ込め、グラハムが指を切り落としてしまった宇宙人だったのだ。絶体絶命のピンチに、なぜかグラハムはコリーンの最期の言葉を思い出す。車と木の間に挟まれ、もはや息絶えようとしているコリーンは、「見て」と「打って」という言葉を残して絶命した。そしてハッと意識が戻ったグラハムが部屋を見回すと、壁に飾ってあるバットが目に入る。そしてグラハムは「打て、メリル」と呟いた。その言葉を聞いたメリルは、バットを握り宇宙人に向かっていく。その瞬間、宇宙人は手から白い霧のようなガスを発し、モーガンの顔に吹きかけた。メリルに反撃され宇宙人は派手に転倒した。そこに偶然ボーが置いたコップの水がかかると、なんと肌が焼けただれたのだった。弱点が水だとわかったメリルは、バットでそこら中に置いてあったコップの水を叩き割り、宇宙人に浴びせかける。そして宇宙人は息絶えた。その隙にグラハムはモーガンを救い出し、喘息発作を止める注射を打つ。モーガンは喘息の発作で気道が閉じていたおかげで、宇宙人のガスを吸うことなく、ほどなく目を覚ました。この出来事はただの運なのかとグラハムは自問自答する。グラハム、メリル、モーガン、ボーは安堵して寄り添い合った。

そして季節は移り変わり、グラハムは再び牧師の服に袖を通した。家には子ども達の笑い声が響いていた。

『サイン』の登場人物・キャラクター

ヘス家の人々

グラハム・ヘス(演:メル・ギブソン)

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