バトル・ロワイアル(映画)のネタバレ解説まとめ

『バトル・ロワイアル』は高見広春原作の小説を映画化作品で、アジア某国で施行の「BR法」により選ばれた中学生達のサバイバルゲームを描き、2000年に劇場公開。監督は映画『仁義なき戦い』シリーズ等の巨匠・深作欣二監督。また、藤原竜也や柴咲コウといった俳優が作品を彩り、演技を競う。この作品のキャスト・スタッフは「第24回日本アカデミー賞」「第43回ブルーリボン賞」等を受賞した。2001年には、『バトル・ロワイアル【特別篇】』が、2010年には3D映画版『バトル・ロワイアル3D』が劇場公開された。

『バトル・ロワイアル』の概要

『バトル・ロワイアル』とは、2000年に劇場公開された高見広春原作の同名小説の映画化作品。アジア某国は経済崩壊危機に加え、青少年凶悪犯罪の増加で、若者を恐れた大人が施行した「BR法」の下、選ばれた中学生達が「死のゲーム」を強いられる。そして、また新たに選ばれた若者達による、脱出不可能な無人島での戦いや葛藤を描く。原作小説『バトル・ロワイアル』の内容が「中学生同士が殺し合いを行う」というもので、映画化に対し、若者への悪影響が懸念された。また十代の少年によるバス乗っ取り事件「西鉄バスジャック事件」(2000年5月)等、少年犯罪の多発化が社会問題となっていた。衆議院議員・石井紘基氏(2000年当時)は、『バトル・ロワイアル』の映画化について国会内で取り上げ、劇場公開の反対規制を働きかけ、大島理森前文部大臣へ同作品の見解を求める質疑を行った。国を動かすまでに問題視された作品として、マスコミで大々的に報道され、より巷の関心を深める事となった。結果的に『バトル・ロワイアル』は、興行収入31.1億円という大ヒット作となった。

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『バトル・ロワイアル』を制作するきっかけには、太平洋戦争中に学徒動員で軍需工場に従事していた自身の中学3年時の出来事があった。米軍からの艦砲射撃で友人達が犠牲になり、その死体の一部を集めた際に「国や大人達に対する不信や怒り」がこみ上げた。これと「今日多発する少年犯罪の加害者の心情」は他人事ではないと思い、いつか「中学三年生」を取り上げた映画を考えていた。同時に1990年代終わり頃から定着しつつあった、「テレビの力(バラエティー・話題性等)で制作する」「商業くさい」日本の映画スタイルに失望感を覚えていた。その頃に、たまたま小説『バトル・ロワイアル』を読み、その内容に強く惹かれたとの事。

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深作欣二監督(写真・左)

深作欣二・健太親子は配給元である東映に企画を持って行ったものの、東映から反対された。更に東映幹部からトイレに呼び出された深作健太は、「親父(深作欣二監督)に物騒なものを撮らすな」と怒られたとの事。ただ、映画営業部門担の岡田裕介(1995年の映画『きけ、わだつみの声』等をプロデュース、現:東映代表取締役グループ会長)のみが「予算3億円の半分を東映で出す、あとの半分を集めて来い」と健太に告げた。それまで助監督の身だった健太は、いきなり「プロデューサー」か聞いたところ、岡田は「いや、「人質」だ。深作欣二でも息子を人質に取られたら、赤字を出せないだろう?」と答えた。自身も二十代で1975年の映画『吶喊』のプロデューサーをやった経験がある岡田故、制作への「賭け」を切り出した。その後、深作健太が予算をかき集め、1999年の秋に何とか制作までこぎつけた。

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作品制作にあたり、深作欣二監督の息子である深作健太が企画書を作った。また、原作『バトル、ロワイアル』に出て来る「プログラム」の担当教官の名が「坂持金発」とあった故に、武田鉄矢を起用(因みにこの時期は、TBS系列ドラマ「3年B組金八先生・第5~6シリーズ」に出演)すべきかと考えていた。しかし深作欣二監督は、ビートたけしを希望し決定(1989年にも、映画『この男、凶暴につき』で深作欣二監督、ビートたけし主演で企画が持ち上がっていた。しかし、スケジュール上で深作欣二監督が降板し、急遽これが「北野武」監督デビュー作となった)。そして、深作健太がビートたけしに出演交渉へ向かったところ、快く承諾してもらい撮影スケジュールをおさえた。なお、作品での役名を教師「キタノ」としてキャスティングされた。

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深作欣二監督(前列中央)と城岩学園中学3年B組・生徒役のキャスト全員

城岩学園中学3年B組生徒役で撮影当時(2000年上半期)、実際に14~15歳だったのは中川典子役の前田亜季や千草貴子役の栗山千明(その年の10月で16歳)ら3~4名のみで、大半の生徒役が18歳前後だった。更に、転校生役の安藤政信と山本太郎は当時25歳と生徒役の中では最高齢だった。川田章吾役には、同時期に劇場版『難波金融伝・ミナミの帝王』シリーズに出演しワイルドな風貌が印象的だった山本太郎が深作健太の目に留まる。映画化作品について、初めて深作欣二監督・健太氏親子と対面の際、山本太郎は当時25歳であったにも関わらず、「18歳」とサバを読みそのままキャスティングされたとの事。7歳も年齢を詐称した故に、配給元である東映の幹部から𠮟責される。結局「留年し過去の「プログラム」への参加経験があり」という役回りで、川田章吾役が決定。安藤政信は元々、深作欣二監督作品ファンであり、監督へ自らを売り込み「殺しまくる人物を演じたい」と告げ、桐山和雄役を獲得。

『バトル・ロワイアル』のあらすじ・ストーリー

舞台は新しい世紀を向かえたアジア某国。経済破綻により完全失業率15%に達し、失業者数1000万人という最悪の状況と化した。治安は悪化、全国各地で犯罪も多発していた。これにより大人を信用できなくなった子供達も犯罪に手を染める様になり、不登校、校内暴力、学級崩壊等の少年犯罪は増加の一途を辿り、全国の学校教師の殉職者は延べ1200人にまで及んだ。こうした子供や若者の猛威により自身を失った大人達は、国会で新しい法案「新世紀教育改革法」、通称「BR法」を可決、施行した。この法案は「死」への恐怖を利用して、大人の威厳・権力を取り戻す事を目的とした。またこの法案により1年に一度、全国から中学校三年生1クラスが選ばれ無人島で3日間、最後の一人になるまで殺し合う「プログラム」が行われる事となった。そして今回、「BR法」のもとで選ばれたのは、城岩学園中学3年B組の生徒。彼等は、修学旅行へ向かうはずのバスの中で発生した催眠ガスで眠らされる。この時、唯一意識があった3年B組男子生徒・七原秋也だったが、間もなくガスマスクを被ったバスガイドに鈍器で殴られ意識を失う。

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生徒達に対し、「殺し合い」について指示をするキタノ

気が付くと、3年B組生徒達は見知らぬ教室にいて、その扉から入って来たのは彼等の元担任・キタノだった。キタノは3年B組生徒達に互いの殺し合いについて説明し始める。更にその途中で、私語をしていたと判断した3年B組女子生徒・藤吉文世の額にナイフを投げつけ殺害する。その瞬間、一同はパニックになり騒ぎ出すも、キタノの周りにいた専守防衛軍兵士達が威嚇発砲し混乱を鎮める。キタノは3年B組生徒達に、「プログラム案内ビデオ」を見せる。その際に、3年B組生徒達に付けられている首輪も説明されていて、キタノは見せしめとして3年B組男子生徒で七原秋也の幼馴染みの国信慶時を教室で殺害する。動揺を隠せない3年B組男子生徒・七原秋也を尻目に、キタノは、3年B組生徒達各一人ずつ食料と武器が入った鞄を渡す。そして、監視下にある無人島の中で「プログラム」が開始された。3年B組生徒達は「殺し合い」という指示に戸惑いを隠せなかったものの、やがて各々の行動に走り出す。語り笑い合っていた友人を殺す者、一方で知識を活用し協力し合い脱出を試みる者達、更には「プログラム」を楽しいゲームの様に殺しを繰り返す者までいた。3年B組生徒達が殺戮を繰り返す一方で、キタノは毎朝の放送で死んだクラスメイト名と禁止エリアを発表していた。そうしたなか、3年B組男子生徒・七原秋也は「プログラム」に憤りを感じていたものの、キタノにより目の前で殺害された3年B組男子生徒・国信慶時が生前淡い恋心を抱き、自身も好意を抱いていた3年B組女子生徒・中川典子の事が気掛かりだった。彼女が3年B組男子生徒・赤松義生からの襲撃に遭っていたところを助けた事を機に、二人で同行し彼女を守る事を決意する。

出典: cdn-ak.f.st-hatena.com

3年B組生徒(左から)七原秋也・中川典子

七原と中川は途中で遭遇した転校生の3年B組男子生徒・川田章吾と合流した。彼は過去に行われた「プログラム」の優勝者であるうえ、その「プログラム」で恋人を亡くした事を明かした。そうしている間にも殺戮が繰り返され、遂に3年B組生徒は七原秋也・中川典子・川田章吾の3人のみとなった。すると、それまで共に同行していた川田が七原と中川の2人へ銃を向けた。これまで行ってきた事は「全て生き残るための罠」だと言い、川田の発砲した銃声が島中に響く。その後、キタノの指示で「プログラム」が終了し、軍も島を去って行く。グラウンドにいたキタノのもとへ川田がやって来て、二人は教室へ向かう。キタノは川田の首輪へ向けてリモコンのスイッチを押すも、川田の首輪は爆発しなかった。川田はシステムハッキングをし、首輪のデータを盗んでいたのだ。またキタノは、川田に自身の彼女の敵討ちに「プログラム」に参加したのか聞いたと同時に、首輪のデータを盗んだ事に対し、ズルは駄目だと銃を向ける。そこへ、川田により首輪を解除してもらっていた七原と中川が教室に戻り、キタノの前に姿を現す。キタノは学校では嫌われ者扱いされ、家でも娘に嫌われている自身の状況を説明し、「無理心中しよう」と言い出し、3年B組生徒達が殺し合いをする絵を七原達に見せる。そして銃を向け徐々に近づいてくるキタノに対し、七原が銃を乱射する。しかし、キタノが持っていたのは水鉄砲で、銃先から空しく水が飛び出し、その場で倒れ込む。その時、キタノの携帯電話の着信音が鳴り響き、負傷したキタノが起き上がり携帯電話に出る。電話の相手は娘・栞で、キタノはもう家に帰らない事を告げ、「人を嫌いになるにはそれなりの覚悟が必要だ」と言い残す。無責任だと答えた栞に対し、キタノは憤慨し携帯電話を床に投げつけ、更に拳銃を撃ちつけた後に絶命する。七原・中川・川田の3人は漁船に乗り、島を脱出する。川田は疲れたと横になり、「最後にええ友達ができて良かった」と言い残し力尽きる。キタノを殺害した罪で、七原と中川に全国へ指名手配がかけられる。七原と中川は走り出し、街の人ごみの中へ消えていった…。

『バトル・ロワイアル』の主な登場人物・キャラクター

七原秋也(ななはらしゅうや)

出典: stat.ameba.jp

演:藤原竜也
城岩学園中学3年B組の男子生徒。小学4年生の時に母親が家出、中学入学の日に父親が自殺するという壮絶な過去を持つ。その後、カトリック系の孤児院「慈恵館」へ入所し生活、そこで出会った3B男子生徒で幼馴染みの国信慶時とは無二の親友。その国信慶時を教師キタノにより、爆発する首輪で目の前で殺され、現実を受け入れられずにいた。それでも国信が生前、淡い恋心を抱き、七原自身も好意を抱いていた3B女子生徒・中川典子を守るべく、「戦い」へ挑む。公開当時、蜷川幸雄氏演出の舞台『身毒丸』や映画『仮面学園』等に出演し、注目されていた藤原竜也が主人公・七原秋也役を務めた。

中川典子(なかがわのりこ)

出典: i1.wp.com

演:前田亜季
3B女子生徒で、この作品のヒロインで、ごく平凡な女子中学生である。3B男子生徒・七原秋也の親友で幼馴染みである、3B男子生徒・国信慶時と七原が淡い恋心を抱いていた。その一方で、中川はというと、七原へ好意を寄せている。「プログラム」開始前、「プログラム」内容説明中にキタノにより3B女子生徒・藤吉文世がナイフで刺殺され、3B生徒達がパニックになる。それを鎮める為、軍の兵士が威嚇射撃した際に3B男子生徒・国信慶時をかばい、腕を撃たれ負傷している。また、3B男子生徒・赤松義生の襲撃に遭うも七原に助けられた事を機に、七原と同行する。更に途中で遭遇した3B男子生徒で「転校生」の川田章吾とも同行し、「プログラム」実行中の無人島から脱出を試みる。負傷のせいもあり、熱が出る等して、苦しい思いもしていた。しかし、いかなる状況下でも挫けない精神力の持ち主であり、感情的になりやすい七原に対し、目の前の出来事を冷静に受け止める一面を持つ。3B女子生徒・中川典子役を演じた前田亜季は、この作品で第24回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。出演作に、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』(2013年)や特番ドラマ『農業女子はらぺ娘』(NHK BSプレミアム・2015年)等。

千草貴子(ちぐさたかこ)

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