秒速5センチメートル(映画)のネタバレ解説まとめ

『秒速5センチメートル』とは、2007年に公開された日本のアニメーション映画作品およびそれを原作とした小説・漫画などの派生作品。「君の名は。」(2016年)で有名な新海誠監督の劇場公開長編第3作目。思春期から成人までの男女の心の距離と速度をテーマとした3つの短編の連作。現実の現代日本を舞台に、少年・少女を主人公とした恋模様や葛藤が描かれる。

『秒速5センチメートル』の概要

正式タイトル:「秒速5センチメートル-a chain of short stories about their distance-」(英題: 5 Centimeters Per Second)

「a chain of short stories about their distance(=彼らの距離の短編連作物語)」という英題とは別の副題が付けられているが、通常は「秒速5センチメートル」と呼称されるため、本記事でもこの呼称を用いる。

2007年に公開された日本のアニメーション映画作品。新海誠監督作品の劇場公開長編第3作目である。

過去作「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」とは異なりSF要素などはなく、現実的な展開のみでストーリーが進む。
思春期から成人までの男女の心の距離と速度をテーマとした3つの短編の連作で構成されている。各短編は独立したオムニバスではなく、ストーリーは第一話から第三話まで繋がっており、下記の時系列順に展開が進む。

第一話 1992年4月~1995年3月(主人公:小学4年生~中学1年生)
第二話 1999年夏~秋(主人公:高校3年生)
第三話 2008年2月~3月(主人公:27歳)

単館公開だったが、興行収入は1億円を記録している。公開当時は新海作品の最高興行成績だった。
国内のみならず海外からも高い評価を受け、アジアパシフィック映画祭“Best Animated Feature Film(最優秀アニメ賞)”およびイタリアフューチャーフィルム映画祭 ランチア・プラチナグランプリを受賞。

『秒速5センチメートル』のあらすじ・ストーリー

第一話「桜花抄(おうかしょう)」

「ねえ、秒速5センチなんだって」

小学生の遠野貴樹(とおの たかき)と篠原明里(しのはら あかり)が、桜の舞う東京の街の中を駆けるシーンから物語は始まる。桜の花びらが落ちる速さは、秒速5センチメートルなのだと明里が語る。

踏切を渡りながら「来年も一緒に桜見れるといいね」と明里が言う。

親の都合で転校が多く、どこか精神的に似ていた二人は小学4年生の頃にクラスメイトになると自然と仲良くなり、二人で過ごす時間が多くなった。ときには周囲にからかわれたりもしたが、臆することなく過ごしていた二人は、この先もずっと一緒にいられると何の疑いもなく信じていた。
しかし、明里は卒業後に栃木に引っ越すことになってしまった。小さい二人がどれだけ願っても覆すことはできず、二人は別々の中学に進むことになる。

その後も二人は手紙でやり取りを続けていたが、中学1年の3学期、今度は貴樹が鹿児島への転校が決まる。明里との距離が今までよりも遥かに遠くなる前に会いたいと考えた貴樹は、東京から栃木まで行くことを決意する。
明里と約束した1995年3月4日の放課後、貴樹は電車で栃木の岩舟駅まで向かうが、その日は夕方から大雪となってしまい、電車が大幅に遅れてしまう。当時は携帯が普及していなかったため明里に連絡もできず、更に明里に渡すはずだった手紙まで吹雪で飛ばされてしまった。泣き出しそうになるのを懸命にこらえながら、貴樹は電車が動き出すのを待つ。同時に、明里にどうかもう家に帰っていてほしいと願った。

なんとか岩舟駅に到着したときには、約束の時間から4時間も遅れた夜の11時になっていた。
それでも、明里は駅で貴樹を待っていた。

涙ながらに再会を果たした二人は、雪道を歩く。
貴樹は手紙で明里が話していた大きな桜の木に案内される。3月の初旬ではまだ咲いていない桜の木の下で、二人は初めてのキスをした。

一晩を共に過ごした翌朝、貴樹は東京に帰ることになる。

駅のホームで別れ際、明里は「貴樹くんはこの先も大丈夫だと思う」とだけ伝えた。明里も貴樹と同様に手紙で想いを伝えるつもりだったが、渡そうとはしなかった。

あのキスの前と後では二人の中では世界が変わってしまったかのように、何もかもが変わっていた。そのために、二人は最後まで互いに好きという言葉を伝えることなく別れた。二人の初めてのキスはそれほど特別なものだった。

明里から離れていく電車の中で、貴樹は「明里を守れるだけの力がほしい」と強く思った。

第二話「コスモナウト COSMONAUT」

鹿児島県の種子島に住む澄田花苗(すみだ かなえ)は、中学2年の春にクラスに転校してきた遠野貴樹と出会い、その日のうちに好きになった。貴樹と同じ高校に進学したが、3年生になっても想いを告げられずにいた。
仲の良い友人どまりの関係だったが、それでも花苗は貴樹と過ごす帰り道に幸せを感じていた。
サーフィンで波に乗れたときに告白すると決めていたが、うまくいかない。更に、卒業後の進路も決まらず、悩んでいた。

進路を含め、この先の将来に関しては漠然と「ここではない」と花苗は感じていた。しかし、どこへ行きたいのか自分でもわからない。どこまで行けるのかもわからず、花苗の苦悩は募るばかりだった。

そんな中、高台で貴樹と会った花苗は彼と話すうちに色々なことを知る。
貴樹が東京の大学に進学するつもりだということ、そんな彼も自分と同様に迷っていて余裕などなく明日のことさえわからないということ、そしてここではない場所へ行こうとしていること。

貴樹の迷いとは、明里を守れるような自分になりたいという想いから、自分がどこへ行けばいいのか、どこまで行けるのか、そしてどこまで行けば明里との距離を埋められてまた会えるのか、というものだった。雪の日に駅で別れて以降、何度か手紙のやり取りはしていたがそれもいつしか途絶えていた。何度も携帯でメールを送ろうとしていたが、どうしても出すことはできずにいた。

貴樹と話して彼も自分と同じであることを知った花苗は迷いを振り切り、一つずつできることからやることを決意した。そうするしかなく、それでいいのだと自分に言い聞かせる花苗は以前よりもサーフィンを楽しめるようになった。
そして、貴樹と高台で話した日の2週間後の10月半ば、半年ぶりにサーフィンで波に乗ることに成功した。

その日の放課後、花苗は意を決して貴樹に告白しようとする。

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