ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生(ゲーム)のネタバレ解説まとめ

『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』(Danganronpa: Trigger Happy Havoc)とは、2010年11月スパイク(現スパイク・チュンソフト)から発売されたPSP向けのゲーム。ダンガンロンパシリーズの第1作目となる。
2013年にはアニメ化、2014年には舞台化されている。
今作は才能あふれる「超高校級」が集められる希望ヶ峰学園で16人の高校生が監禁され、コロシアイを強要されるストーリーとなっている。

苗木が目を覚ますと、いつの間にか体育館に来ていた。
朝日奈が心配そうな顔で苗木の事を覗き込んでいる。
他の生徒達も集まっており、気を失った苗木を連れて体育館に集まったらしい。
しばらく意識がハッキリしなかった苗木だが、徐々に舞園が殺されてしまった事を思い出す。
「夢じゃ…ない…?」と呟く苗木に、十神が「現実だ。舞園さやかは…死んだ」と現実を突きつける。
取り乱す苗木に「落ち着け」となだめる生徒達。
そもそも、なぜ全員体育館に集まっているのか。
すると霧切が「私達だって、こんな場所にいる事は本意じゃない」と言った。
どうやら、舞園の死体を発見した後、モノクマが現れ、全員体育館に集まるように指示をしていたようだ。
「舞園さんを殺したのもどうせアイツだ!」と喚く苗木の元にモノクマが現れ「ボクはそんな事しないよ!」と言った。
そしてモノクマは続けて「舞園さやかを殺したのは、オマエラの中の誰かじゃーん!」と言う。
遂に、モノクマの思い通りに生徒同士の殺し合いが始まってしまったという事だ。
十神は「俺達の中に殺人者がいるとすると、そいつはここから『卒業』できるんだな…?」とモノクマに問う。
するとモノクマは「うぷぷ…うぷぷ…」と奇妙に笑い出し、「甘い…甘すぎるッ!」と高らかに言った。
そして、突然『卒業』に関しての補足ルールを説明しだした。
以前確認した校則には「仲間の誰かを殺したクロは『卒業』となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません」とだけ書かれていた。
単純に考えれば、殺害時に誰にも見られなければセーフという事となる。
しかし、モノクマは、条件がクリア出来ているかの為に、事件発生から一定時間後に「学級裁判」を行うと補足した。
学級裁判では、「身内を殺したクロは誰なのか」を生徒同士で議論し合うシステムのようだ。
議論の中で怪しいと思った人物に「投票」する事で、クロの決定が行われる。
投票により決定したクロが正解だった場合は、クロが「おしおき」される事になり、他の生徒は共同生活を続けるというシステムだ。
しかし、もしも間違ったクロに投票してしまった場合は、クロだけが卒業、「シロ」である他の生徒が全員「おしおき」される。
そこまで聞いたところで山田が「あの…ところで…さっきから連呼している「おしおき」って…?」とモノクマに尋ねる。
モノクマは「あぁ、簡単に言えば…処刑ってところかな!」とあっけらかんと言った。
つまり、殺人を犯した犯人を見つけられれば、犯人だけの処刑となるが、犯人を見つけられなければ他の全員が処刑されてしまうという事だ。
そして、犯人は殺人を犯すだけでなく、自分が疑われる事なく学級裁判を乗り切らなければ外の世界に出る事は出来ない。
その後、学級裁判の事も校則に追加された。
そしてそこまで聞くと江ノ島が「何が…学級裁判よ!あたし、そんなのに参加するのヤだからね…!」とモノクマに食って掛かった。
モノクマは「どうしても参加しないと言うなら…ボクを倒してからにしろー!」と応戦し、江ノ島に向かって突進した。
江ノ島はそのまま、モノクマを踏みつけ「はい、これで満足?」と言った。
するとモノクマは「学園長ことモノクマへの暴力を禁ずる。校則違反だね…。助けて!グングニルの槍!」と叫んだ。
次の瞬間、どこからともなく数本の槍が出てきて、江ノ島の体を串刺しにした。
江ノ島は小刻みに震えながら「お…おかしくない…?なんで…あたしが…?」と言い、その場に倒れこみ、2度と動かなくなってしまった。
何が起きたのか咄嗟に理解が出来ない生徒達に向かって、モノクマは「関係ないところでは、出来るだけ、死人は出さないようにと思ってたんだけど…」と言った。
続けて「やっぱり見せしめは必要だったんだね!でもさ、これでオマエラもわかってくれたよね?…ボクは本気だよ」と釘を刺すように凄んだ。
「何で殺したの…?最初から殺す気だったんじゃない?」と冷静にモノクマに問い掛ける霧切。
しかし、モノクマはその問いに答える気はなく「そうそう、クロ探しの捜査にあたって、オマエラにこれを配っておかないとね!」と話を変えた。
モノクマから渡されたのは、モノクマがまとめた死体に関するファイルである「モノクマファイル」だ。
死体を調べるには限度がある生徒達の代わりに、死亡状況や死因等をモノクマが記載した文書のようだ。
モノクマは、学園内の至る所に設置された監視カメラで事件の一部始終を観察していた為、そのような文書を作成する事が可能という訳だ。
最後に「では後ほど、学級裁判でお会いしましょう!」とだけ言い、モノクマは去って行った。

校則違反により串刺しにされてしまった江ノ島

モノクマが去った後の体育館は静寂に包まれていた。
舞園や江ノ島の死がショックだったという事も当然あったが、何よりも今この場に居る誰かが殺人を犯したという事実に衝撃を受けていた。
おまけに追加された校則である「学級裁判」。
こんな状況の中、仲間の誰かを疑い、仲間の誰かを殺す事になるかもしれない。
はたまた、間違えれば自分が死ぬかもしれない。
互いに復活した疑心暗鬼の心。
状況は最悪だった。
そんな中でも、ただ1人霧切だけは「落ち込んでいる場合じゃないわよ…」と冷静だった。
続けて「今は、誰が犯人なのかを突き止めるのが先よ…そうでないと…全員まとめて処刑されるだけ…」と言った。
その言葉に動かされるように、他の生徒も「逃げられないならやるしかない」という気持ちを持ち、捜査を開始した。
すると、モノクマファイルを見ていたセレスが「あら…?わたくし気付いてしまいましたわ」と声を発した。
そして「みなさん、ご覧になってください。舞園さやかさんの死亡現場は…『苗木誠の個室』となっていますわよ」とセレスは続けた。
一斉に苗木に疑いの目が向けられる。
もちろん、苗木は舞園を殺してなどいない。
苗木は「ボクは一晩だけ…舞園さんと部屋を交換していただけなんだ…と言うのも、彼女が怯えていたから…」と弁解する。
しかし、先程までとは打って変わって、他の全員が苗木を見る目が違っていた。
いずれにしても、捜査をし、正しい犯人を見つけ出さなければならない。
現場の保全という意味合いも込め、頭を使うのが苦手な大和田と大神は事件現場となった苗木の個室の見張りをする事となり、それぞれが捜査を開始した。
苗木はとりあえず、モノクマファイルを確認する所から始めた。
モノクマファイルには、死亡時刻や状況等が書かれていた。
「被害者は舞園さやか。死亡時刻は午前1時半頃。死体発見現場となったのは、寄宿舎エリアにある苗木誠の個室。被害者はそのシャワールームで死亡していた」と、確かに苗木の個室の事が明記されていた。
「致命傷は刃物で刺された腹部の傷。その他、右手首に打撃痕あり。打撃痕のある右手首は、骨折している模様」と、モノクマファイルはそこで終わっていた。
モノクマの言っていた通り、モノクマファイルには死亡状況や死体の致命傷等、確かに詳細に書かれていた。
これだけを手掛かりに、自分で捜査をし、舞園を殺した犯人を見つけ出す事となる。
苗木は、ひとまず事件現場となった自分の個室へと向かった。
苗木の個室は、相変わらず酷い有様だ。
壁やベッド、床等につけられた傷。
部屋の荒れ具合もあり、恐らくこの部屋で舞園と犯人との争いがあったのだろう。
しかし、隣の舞園の部屋に居た苗木は全く気付かなかった。
寄宿舎エリアの個室同士は、完全防音となっていて、隣の部屋ですら物音は聞こえないようになっている。
床には、金箔の模擬刀が鞘から抜かれた状態で置かれている。
本来部屋には無かった物だったが、護身用として体育館の入口にあったのを苗木が持ってきていた物だ。
刀が鞘から抜かれているという事は、部屋についた無数の傷はこの刀で付けられた物かもしれない。
また、鞘自体にも傷がつけられている。
こちらも、刃物で切り付けられたような傷だ。
刀の近くには、苗木の部屋の鍵も落ちている。
部屋を交換する際、舞園と交換した鍵だ。
鍵が部屋に落ちているという事は、普通に考えれば舞園が所持していた事になる。
そもそも、この部屋で犯人と舞園の争いがあったと仮定すると、どうやって犯人はこの部屋に入ったのだろうか。
部屋を交換する前、怯えていた舞園がドアを不用意に開けるとは思えない。
それから、掃除に使われる粘着テープクリーナーが使用されているのを苗木は発見した。
苗木は使用していない為、舞園が使ったのかもしれない。
まだ謎は多く残されている。
続いて苗木はベッド横の引き出しを確認した。
工具セットは、新品のまま未開封だ。
争いには使用されなかったという事になる。
それを見ていた大和田が「オメーも使ってねーか…そりゃそうだよな。男連中みんな使ってないって話だぜ」と苗木に言った。
それから、苗木が捜査をしているのと同様に、霧切もこの部屋の捜査に来ていた。
しゃがみ込んだ態勢で部屋の隅々を見て回っている霧切。
その後霧切はいきなり立ち上がったと思ったら、おもむろに「…あなた潔癖症?」と苗木に尋ねた。
「違う」と苗木が即答すると、霧切は微笑みながら「なるほどね」と呟いた。
何が何だか分からず、疑問の表情を浮かべる苗木に対し「この部屋には、髪の毛が1本たりとも落ちていなかったわ」と霧切は応える。
この部屋では少なくとも、苗木が3日、舞園が少しの間使用していた。
それなのに、床の隅々まで見て回った霧切はどちらの髪の毛も見つけられなかったという。
霧切の話を聞き、苗木は先程調べたテープクリーナーに使われた形跡があった事を思い出す。
舞園が使ったのだろうと苗木は思っていたが、もしかすると犯人が使ったのかもしれない。
霧切との話を終え、苗木は最後にシャワールームを再度調べようとした。
舞園の死体があるシャワールーム。
躊躇ったが、苗木は自分を奮い立たせ、意を決してシャワールームへと足を踏み入れた。
シャワールームには、夢でも錯覚でもなく、ただただ現実を突きつけるように舞園の死体がまだ存在していた。
涙と吐き気と立ちくらみが、苗木を一気に襲う。
しかし、苗木は死んでしまった舞園の為にも、真実と犯人を見つけ出さなければならない。
怯んでなどいられないと、苗木はシャワールームの捜査を開始した。
舞園の腹部には刃物が刺さっている。
モノクマファイルにあった致命傷だ。
刃物は包丁のように見えるが、どこから持ち出された物なのか現時点では分からなかった。
それから、骨折しているという舞園の手首は、確かに腫れと出血が確認出来た。
また、何故か右手首にはラメのような、キラキラした物が付着している。
苗木はそのまま左手の方へと視線を移すと、舞園の左手人差し指に血がついているのを見つけた。
よくよく観察すると、舞園がもたれかかっている壁に何か書かれている。
「11037」と読めるような血文字。
舞園の左手の人差し指についていた血で書かれた物だろうか。
舞園が残したダイイングメッセージなのかもしれない。
一通りシャワールームを捜査し、部屋に戻ってきた苗木に霧切が「どうしてシャワールームのドアノブが壊れているのかしら?」と話し掛けてきた。
何の事か分からず、開きっぱなしになっていたシャワールームの扉を閉めた苗木。
すると、ドアノブのネジが外され、ドアノブ自体が取れかかって斜めになっていた。
少なくとも、苗木が部屋を使っていた時点ではこんな状況にはなっていなかった。
霧切の見解では、ネジをわざわざ外すという事は明らかに意図的な行為であり、恐らく犯人が扉を開ける為にドライバーでネジを外したのだろうという事だった。

舞園が残したと思われるダイイングメッセージ

部屋の捜査を終え、廊下に出た苗木。
すると、隣の苗木が居た舞園の部屋のネームプレートが苗木の物になっていた。
いつの間にか、部屋だけでなくネームプレートまで交換されていた。
少なくとも、昨日の夜苗木が舞園の部屋に入った時には、ネームプレートは舞園の物だったはず。
いつ誰が、どんな目的で交換したのだろうか。
元舞園の部屋に入った苗木。
事件に関わるような物はないだろうが、ゴミ箱をチラリと見ると「動機」として配られたDVDが捨てられていた。
部屋の交換前に、舞園が捨てた、舞園宛のDVDだ。
今回の事件に繋がる何かが映っているかもしれないと、苗木はDVDを持ち出した。
それから苗木は食堂へ向かった。
舞園の腹部に刺さっていた刃物は、包丁のようだった為だ。
食堂では朝日奈が捜査をしていた。
朝日奈と少し会話をしてから、食堂の奥にある、厨房へと入り、壁に掛けられている包丁を確認する苗木。
大小の包丁何本かが規則正しく並んでいる中、1本分だけ足りない状態だった。
やはり、凶器はここから持ち出されたのだろう。
厨房から出て、朝日奈に包丁の件を聞く苗木。
「そうそう、私も変だと思ったんだよね…いつの間にか、包丁がなくなっててさ…」と朝日奈も包丁が足りない事に疑問を抱いていた。
苗木は「じゃあ、包丁は最初から足りなかった訳じゃないんだ?」と尋ねると「違うよ。前に見た時には、ちゃんと全部揃ってたもん」と自信ありげに朝日奈は答えた。
朝日奈が昨日の夜、紅茶を入れようと厨房に入った際には揃っていたようだ。
しかし、紅茶を飲み終え、カップを片付けようと厨房に入った時、既に包丁は足りなくなっていたらしい。
朝日奈が紅茶を入れ、飲み終えるまでの数分間で包丁はなくなった事になる。
おまけに包丁は朝日奈が食堂に居る間になくなったという事だ。

食堂を後にした苗木は、寄宿舎エリアの奥にあるゴミ捨て場へ来ていた。
中には焼却炉のような物が見えるものの、入口からすぐの所には鉄格子があり、奥に行く事は出来ない。
すると、突然モノクマが「ここはゴミ捨て場…名付けてトラッシュルーム…」という訳の分からないセリフと共に苗木の前に現れた。
鉄格子の先にはどうすれば行けるのか問い掛ける苗木だったが、「掃除当番以外は入れないよ!」とモノクマは鉄格子の先に入る事を拒否した。
掃除当番が存在していたなど、苗木は初耳だった。
誰の事か聞いてはみたものの、モノクマは「掃除当番以外は入れないよ!」を繰り返すだけで会話にならないまま去って行った。
仕方がないので、苗木は掃除当番については他の生徒達に確認する事にしてゴミ捨て場を後にした。
その後、個室が並ぶ廊下に居た山田を見つけ、苗木は掃除当番を探している事を伝えた。
すると山田は「掃除当番…?あぁ、それなら僕ですが…それが何か?」と言い、いきなり掃除当番を見つけた苗木。
山田は、昨日の朝「掃除当番が居ないと学園中がゴミだらけになってしまう」とモノクマに言われ、立候補する形で掃除当番になっていたようだ。
掃除当番になれば、鉄格子を開ける鍵も当然管理する事になる。
ただし、ずっと山田が担当する訳ではなく、1週間ごとの交代制という事だった。
恐らく全員がトラッシュルームに入れるようになってしまうと、証拠隠滅が容易になってしまう為、モノクマは当番制として鍵を設けたのだろう。
苗木はトラッシュルームを調べる為、山田についてきてもらい、鉄格子の鍵を開けてもらう事とした。
トラッシュルームの奥へ入った苗木は早速捜査を開始した。
焼却炉は鉄格子から約10m程離れている。
何かを投げ込もうと思えば、投げ込める距離だ。
そして、焼却炉の火はつけっぱなしになっている。
山田も、火がつけっぱなしになっている事に驚いている様子だ。
焼却炉は本来、横についている緑のボタンで燃焼開始、黄のボタンで燃焼終了が出来るようになっている。
そして、山田が当番に任命された直後に確認した時には焼却炉の火は消えていたらしい。
更に、鉄格子を開ける事が出来る山田はその後トラッシュルームに訪れていない。
どうやって、誰が焼却炉の火をつけたのだろう。
焼却炉の周りには、何かが落ちていた。
ワイシャツの袖口の切れ端と、割れたガラスの破片だ。
破片の形状から、元は丸いガラス玉だったのだろうと推測出来る。
男性の手にちょうど収まるようなサイズ感で、山田が「占いとかで使う水晶玉みたいですな」と言っていた。
占いと言えば葉隠だ。
苗木はガラスの破片を持ってトラッシュルームを後にし、体育館で葉隠を見つけた。
早速苗木は、ガラスの破片を葉隠に見せた。
葉隠は破片を見ると驚いた表情を浮かべ「それって俺の水晶玉だべっ!!」と言った。
どうやら、昨日ランドリーに居た葉隠は水晶玉を持っていて、部屋に戻る際、忘れてきたらしい。
その忘れられた水晶玉を、誰かが盗み、焼却炉で何かに使ったという事だろう。

その後、舞園が捨てたDVDの中身を確認する為、視聴覚室にやってきた苗木。
苗木のDVDと同様、暗い画面が続いた後にパっと映ったのは、舞園がセンターに立って仲間達と歌っているコンサートの映像だった。
「超高校級のアイドルである舞園さやかさんがセンターマイクを務める国民的アイドルグループ。そんな彼女達には、華やかなスポットライトが本当によく似合いますね。ですが…」というモノクマのナレーションが入っていた。
その直後、映像に映ったのは舞園以外のメンバーがステージ上で倒れている。
彼女達の後ろにあったモニターには、モノクマが映し出されている。
そして再びモノクマの声で「訳あって、この国民的アイドルグループは解散しました!」とナレーションが始まった。
「彼女達が、アイドルとして活躍する事も、スポットライトを浴びる事も2度とありません。つまり、舞園さやかさんの『帰る場所』はもうどこにもなくなったのです!」と淡々とナレーションは続く。
最後には「では、ここで問題です。この国民的アイドルグループが解散した理由とは!?」と言って、苗木の時と同じように「正解発表は『卒業』の後で!」という文章が映し出され、映像は終わっていた。
その直後、学園内にモノクマの放送が入った。
いよいよ学級裁判が始まるようだ。
学校エリア1階の赤い扉の前に来るように言ってモノクマの放送は終わった。

赤い扉の中は正面にエレベータがある以外、他に何もなかった。
全員でエレベータに乗り込み、裁判場へ向かった。

エレベータで降りた先にある裁判場

裁判場は、一同が円状になるように設置された席に立って行われるようだ。
席はそれぞれ名前が、誰がどこに着くかの位置は決められている。
死んだ舞園と江ノ島の席には、遺影のような物が置かれていた。
ここで命がけの裁判、命がけの騙し合いが始まる。
モノクマの「まずは、事件のまとめからだね!じゃあ、議論を開始してくださーい!!」という言葉と共に生徒達は議論する事になった。
殺されたのは舞園さやか。
部屋に争った形跡があった事から、部屋で舞園と犯人が争い、その末に舞園はシャワールームへ逃げ込んだのだろう。
そして、凶器となったのは厨房にあった包丁。
そこで包丁を持ち出したのは誰かという事になる。
当然、苗木は食堂に行っていない。
それについては、包丁が持ち出された時間食堂に居た朝日奈が証人となる。
すると朝日奈にも疑いの目が向いたが、実はその時、朝日奈は大神と一緒に食堂に居た。
2人のアリバイはお互いが証明出来る。
更に朝日奈は「実は…私達が食堂にいる間、殺された舞園ちゃんが食堂に来たんだよ」と新しい情報を話した。
そうなると、厨房から包丁を持ち出したのは、被害者である舞園という事になる。
朝日奈の言葉に付け足すように「食堂に来るなり、舞園は我らに見向きもせずに、厨房へと入って行った。何か妙な感じだった」と大神は言った。
そして朝日奈は素朴な疑問として「そもそも、犯人はどうやって、苗木の部屋に入ったのかな?」と言った。
舞園が鍵を落としたとか、ピッキングだったのではとか、様々な意見が飛び交う中、山田が自信ありげに「来訪者のフリをしてやって来た犯人を、舞園さん自らが招き入れたのでしょう」と言った。
しかし、そもそも苗木と部屋の交換をする事になったのは、舞園が不審な物音に怯えていたからだ。
そんな舞園が不用心に誰かを招き入れるとは思えないと、苗木は否定する。
すると霧切が「彼女が怯えていた事自体が、ウソだったとしたら…?」と苗木の考えを逆に否定する。
霧切は続けて「苗木君にとっては、考えたくない可能性でしょうけど…これを見ても、まだそう言える?」と言って、一枚の紙切れを出した。
そこには「2人きりで話したい事があります。5分後に、私の部屋に来てください。部屋を間違えないように、ちゃんと部屋のネームプレートを確認してくださいね。舞園さやか」と書かれていた。
霧切は苗木の部屋にあったメモ帳の1番上のページを鉛筆でこすり、この文章を見つけた。
霧切の推理によると、このメモで舞園はある人物を呼び出そうとしていて、その人物のドアの隙間からこっそり呼び出そうとしていたのだろう。
そして、知らない間に行われていたドアのネームプレートの交換。
苗木はこの事実を知らなかった。
部屋の交換を知っていたのは、苗木と舞園だけ。
つまり、部屋の交換を行った後、ネームプレートの交換も舞園は行っていた。
そして、部屋の惨状から察するに、舞園は呼び出した人物に厨房から持ち出した包丁で襲い掛かろうとした。
呼び出された人物は、咄嗟に模擬刀の鞘でその攻撃を防いだ。
その際、模擬刀を持った人物に反撃され、舞園は右手首を骨折したのだろう。
実は、被害者でありながら、最初に殺人を行おうとしていたのは舞園の方だったのだ。
また、部屋の交換を最初に持ち掛けたのも舞園だ。
彼女は苗木の部屋で殺人を行う事により、罪を苗木になすりつけるつもりだったのかもしれないという推理も出てきた。
信じられない事ばかりで、取り乱す苗木。
しかし、今は犯人を見つけ出す事を優先しなければ、クロ以外の全員が処刑されてしまう。
次に議題として挙がったのは、舞園が残したダイイングメッセージだ。
「11037」と読めるあの文字だ。
数字に強いであろう、プログラマーの不二咲ですら、この数字の羅列に意味を見出せないでいた。
霧切は「数字じゃないわよ」と呟く。
数字ではないと思って見ると、「11」の間にかすれているが線が入っているように見え、アルファベットの「N」のように見えてきた。
しかし、推理はそこで行き詰っていた。
そんな中、霧切がまた「時計周りに…ひっくり返すのよ…」とヒントを与えるように呟いた。
苗木はその言葉で閃いた。
「11037」を180度回転させ、全てアルファベットと考えると「LEON」と読める。
「LEON」は桑田の下の名前だ。
舞園は壁にもたれかかった状態で右手が骨折していた為、左手を後ろ手の状態でダイイングメッセージを残した。
そのせいで、文字が反転してしまっていたのだ。
しかし、桑田は「偶然だ!」と言い張り、認めようとはしない。
そこで苗木は、焼却炉に残っていたワイシャツの袖の燃えカスの事を桑田に突きつける。
あれには血がついていた。
恐らく、舞園殺害時に返り血がついてしまった為に犯人が処分しようとした物だろう。
ただし、ワイシャツだけでは桑田がやったのだと断定は出来ない。
苗木が注目したのは、燃えカス自体ではなく、処分の方法だ。
本来であれば、鉄格子の奥に行くには掃除当番の持つ鍵が必要となる。
しかし、焼却炉のスイッチ付近に落ちていたガラス玉を使えば、鉄格子があった状態でも焼却炉に証拠を放り込み、燃焼開始をさせる事が出来る。
鉄格子の隙間からガラス玉を投げ、焼却炉のスイッチを押し、丸めたワイシャツを焼却炉に投げ込めば、証拠の隠滅は可能だ。
鉄格子から焼却炉までは10m程離れてはいるが、超高校級の野球選手である桑田ならば、投げ込む事も容易になる。
それでもなお、納得していない様子の桑田。
最後に苗木は事件の全容を説明した。
苗木と部屋の交換をした後、舞園からのメッセージを受け取った犯人は、舞園の居る苗木の部屋へと向かった。
舞園は、厨房から取ってきた包丁で部屋に尋ねてきた犯人に突然襲い掛かったのだ。
しかし、舞園の攻撃はかわされ、犯人は部屋で見つけた模擬刀で応戦、舞園に反撃をしてきた。
包丁と模擬刀の攻防の末に、舞園は右手首を骨折し、反撃の手段である包丁を犯人に奪われてしまう。
追い詰められた舞園は、シャワールームへ逃げ込んだ。
犯人はドライバーでドアノブを壊し、扉をこじあけ、舞園から奪った包丁で舞園を刺した。
その場に倒れこみ、舞園は最後の力を振り絞り、ダイイングメッセージを残した。
舞園を殺害後、犯人は慌てて証拠隠滅を図った。
返り血のついたシャツを脱ぎ、部屋に置いてあったクリーナーで部屋を徹底的に掃除した。
その後、葉隠がランドリーに置き忘れたガラス玉を持って犯人はトラッシュルームへ向かった。
犯人も最初は、ランドリーで血を洗い流そうとランドリーに向かったのだろう。
その際に葉隠のガラス玉を発見し、トラッシュルームのスイッチを押す計画を思いついた。
犯人は鉄格子の外からガラス玉を投げる事で、焼却炉のスイッチをつける事に成功。
シャツも丸め、同じ要領で鉄格子の外から焼却炉の中へ投げ込んだ。
証拠隠滅が完了した事に安心し、犯人はすぐにトラッシュルームから出た。
しかし、その後投げ込んだワイシャツの袖の部分が焼け落ちてしまうという、犯人にとっての誤算が存在していた。
結果、その燃えカスが決定的な証拠となってしまった。
ここまで苗木に追い詰められてもなお、桑田は「つーか、全部推論だろ?証拠がねーじゃねーか、証拠がよッ!」とまだ認めようとしない。
しかし、証拠ならば存在している。
犯人がシャワールームのドアノブを外す際に使ったドライバーだ。
現在のこの状況で、ドライバーが手に入るのは男子の部屋にある工具セットの中だけ。
にも関わらず、苗木の部屋の工具セットは未開封のままだった。
犯人は舞園の部屋と思いこんでいたため、裁縫セットが入っていると思ったのだろう。
よって、犯人は自分の部屋にある工具セットからドライバーを持ち出すほかなかった。
苗木は「桑田クン、キミの工具セットを見せてもらえないかな?『使用された痕跡』が残ってるはずなんだ!」と桑田に言う。
それに被せるように、十神も「もし、別の用途で使ったと言うのなら、どこで、どんな使い方をしたのか説明してもらおう…」と桑田に追い打ちをかけた。
最後に「先に言っておくけど…なくしたなんて言うのはなしよ?」と霧切が言うと、桑田は反論の言葉を失い、絶望の表情となった。
そしてモノクマが「議論の結果が出たみたいですね。では、そろそろ投票タイムといきましょうか!」と言った。
満場一致で桑田に投票され、クロが遂に決定した。
「あらら!大正解っ!!今回、舞園さやかさんを殺したクロは…桑田怜恩クンでしたー!!」とモノクマが言う。
「本当に桑田クンが…舞園さんを…殺したんだね…?」と苗木が桑田に問うと「し、仕方ねーだろ…オレだって…殺されそうになったんだ…」と青ざめた顔の桑田が答える。
たまたま今回、舞園に狙われたのが桑田というだけで、実際に「殺意はなかった」と桑田は弁解する。
しかし、モノクマは容赦しない。
「今回は、クロである桑田怜恩クンのおしおきを行いまーす!」と言い、どこからともなく出してきたボタンを押した。
桑田には首輪が掛けられ、一本の棒に括りつけられる状態にされた。
「超高校級の野球選手」に対して、四方八方から飛んでくる無数のボール。
抵抗する術もなく、無数のボールを当てられ続け、最後には桑田は血塗れになり動かなくなった。
桑田の処刑を目の当たりにし、ただ絶望するしかない超高校級達。
今回の裁判はこれにて終了し、モノクマが去った後も超高校級達はその場からしばらく動けずにいた。

事件の全容を暴き、桑田を犯人と名指しする苗木

初めての学級裁判を終え、絶望を持ちながらひとまず食堂へ集まった超高校級達。
落ち込む苗木を、無理にでも励まそうと仲間達は気を遣っていた。
そんな中、十神だけは仲良しごっこの空気に釘を刺す。
「今だって何度も協力と言いつつ殺人は起きた。次からは、もっと簡単に裏切り者が出るはずだ…」と十神は言った。
腐川が十神の言葉に被せるように「舞園さやかが…口火を切ったせいでね…」と言う。
最初の殺人が起こった事で、いつまでも仲良しごっこをしている訳には行かなくなったと言いたいのだろう。
また、セレスも冷静に「黒幕は、警備が厚いはずの希望ヶ峰学園を乗っ取り、モノクマを開発し、膨大な生活必需品まで揃えるという力を持っています。手が込み過ぎていますわ」と状況を分析する。
黒幕は、自分達が考えるよりもずっと巨大な組織なのかもしれないという不安が全員の中に渦巻く。
これからどうしていけばいいのか、なかなか考えられない生徒達の中で十神は「ここでのルールに従うまでだ」と突き放す。
それに対し、不二咲は「誰かを殺してまで…生きたくない…桑田君は、みんなが投票したせいで死んじゃったんだよ!みんなで殺したのと…一緒だよ!」と涙目で訴えた。
すると、夜時間を知らせる校内放送でモノクマがモニターに登場した。
「人が人を裁く責任は重いんだ!ちゃんと自覚しろよな!」と、先程の会話を聞いていたような言葉と共に「ではでは、いい夢を。おやすみなさい…」と言って映像は切れた。
これからの学園生活で、ずっとこんな事を続けなくてはいけないのかと、気分が沈みながらそれぞれ部屋へと戻って行った。
苗木も部屋へ戻り、シャワールームへと向かった。
学級裁判終了後、モノクマが「あ、そうそう!学級裁判も終わったことだし、『ジャマな死体』はキレイに掃除しといたから!」と言っていた。
その通りに、学級裁判後、自分の部屋へ戻りシャワールームへ入った苗木の目には、舞園の死体は映らなかった。
それどころか、何もなかったかのようにキレイになっていて、血の一滴すらも残っていなかった。
苗木は強制的に異常な日常に戻された感覚だった。

翌朝、朝を告げる校内放送では、モノクマが全員を体育館に呼び出した。
モノクマが何を考え、何をするか分からない以上、行かないという選択肢はなかった。
渋々集まった生徒達を前に、モノクマは学園内の行動範囲が広がった事を告げる。
どうやら、学級裁判が終わる度に、昨日まではシャッターの降りていた階段や、開かない部屋等が行けるようになるらしい。
脱出の為に、早速超高校級達は新たなエリアの探索を始めた。
今回開放されたのは、学園エリアの2階と寄宿舎エリアの大浴場と倉庫だ。
2階には、図書室、プール、プールの更衣室にあるトレーニングエリアがあった。
苗木は最初に図書室に訪れた。
低めの本棚の上にノートパソコンと封筒が置かれている。
ノートパソコンに関しては、かなり古い型で埃を被っていて、電源が入らず壊れているようだ。
電源が入らないというのは、近くに居た霧切が確認している。
もう一つの封筒についても、埃を被っていて紙が少し色あせている。
封筒裏面の差出人の部分には「希望ヶ峰学園事務局」と書かれている。
「……中を確認してみましょうか」という霧切と共に苗木は封筒を開けた。
中には希望ヶ峰学園が『深刻な事情』により、閉鎖を決断したとの内容が書かれている。
また、『深刻な事情』が改善され次第、すぐにでも再開するとも書かれていた。
「深刻な事情」というのが何なのか、誰に宛てられた手紙なのか、今の所は何も分からなかった。
希望ヶ峰学園が既に学校としての役割を終えていたという事以外は。
となると、今回の監禁を行った黒幕は無人化した希望ヶ峰学園を乗っ取ったという事となる。
しかし、結局のところまだ分からない事だらけだ。
苗木は続いてプールを訪れた。
そこでは、「超高校級のスイマー」である朝日奈が目を輝かせていた。
苗木を見つけるやいなや朝日奈は「奥にね、プールがあんの!プールがあるんだよ。プール、プール!」とプールを連呼し、やたらとテンションが高い。
更に、更衣室にあるトレーニングマシンについても「更衣室にはトレーニング機器が勢揃いッ!さくらちゃんが知ったらスゲー喜ぶよ、絶対!!」と朝日奈は言っていた。
苗木は近くに居た不二咲にも「プールに行ってみた?」と声を掛ける。
テンションの高い朝日奈とは対照的に不二咲は「水着は…着たくないからぁ…」とプールにはあまり興味がないようだ。
それから、更衣室の扉を調べる苗木。
しかし、ドアノブはあるものの、鍵が掛かっているのか開く事が出来ない。
そこへモノクマが現れた。
モノクマは「更衣室のロックを解除するには…ドアの横にあるカードリーダーに自分の生徒手帳を重ねてください」といきなり更衣室のドアの説明をしだした。
ちなみに、当然ではあるが男子更衣室には、男子の生徒手帳、女子更衣室には女子の生徒手帳でないと入る事は出来ない。
更衣室のドアの上にはガトリングガンがついた監視カメラがぶら下がっている。
仮に男子が女子の、女子が男子の更衣室に入ろうとした場合は、そのガトリングガンで罰が与えられるようだ。
また、この場でモノクマは「電子生徒手帳の他人への貸与禁止」という校則を追加した。
続いて、寄宿舎エリアの大浴場と倉庫をそれぞれ訪れた苗木。
大浴場はその名の通り、脱衣所からして広々としており、今居る男子生徒全員で入っても余裕な程だ。
サウナもついていて、贅沢な仕様になっている。
さすがに大浴場にまでは、監視カメラは設置されていなかった。
それから倉庫には、お菓子やインスタント食品等の食べ物から、生活用品や衣類等、とにかく大量に保管されていた。
何日もこの学園で過ごしても十分足りる量だ。
開放されたエリアを一通り見た後、食堂に集まり、報告会を行った。
しかし、結局誰も出口や黒幕についての情報を仕入れる事は出来なかった。
新しいエリアが開放された所で、何も手がかりは得られないまま夜時間となってしまったのだ。
仕方なく、全員そのまま部屋へと戻って行った。

更衣室に必要な電子生徒手帳の貸与禁止の校則を追加したモノクマ

翌朝、既に習慣となっている朝食会の為、苗木は食堂へ向かった。
ほとんどの生徒が集まる中、石丸と十神が来ていないという。
どうやら、十神が来ず、石丸が呼びに行っているようだ。
すぐに戻ってくるだろうから、ここで待とうという事となった。
そんな中、セレスが「喉が渇きました。山田君、紅茶を入れてくださる?」と突然言い出した。
困惑する山田だったが、セレスに「ミルクティーをお願いしますわ。喉がカラカラですの。急ぎで願いますわ」と更に言われ、渋々厨房へ向かった。
セレスは笑顔だが、何となく威圧感がある。
言われた通りに紅茶を入れてきた山田。
するとセレスは一口飲み、手にしていたカップを壁に向かって投げつけた。
セレスは紅茶に並々ならぬこだわりがあるらしく、「紅茶に後からミルクを入れるのは認めない」と言った。
更にセレスは「わたくしは牛乳で紅茶を煮出す『ロイヤルミルクティー』しか認めていませんの」と言い、山田に淹れ直してくるように言う。
「そこまでしろと…?」とまだ困惑する山田に向かってセレスはドスの効いた声で「いいから早く持ってこい、このブタがぁぁぁ!」と怒鳴った。
その恐喝に山田はすっかりビビってしまい「は、はいっ!このブタめがすぐに持って参りますぅ!!」と再び厨房へ駆け込んだ。
そうこうしているうちに、十神を迎えに行っていた石丸が食堂へ戻ってきた。
石丸は「十神くんが部屋から出てこないんだ…」と神妙な面持ちだった。
もしかすると、次の犠牲者になってしまったのかもしれない、という不安が全員の脳裏によぎる。
ひとまず、手分けして十神を探す事にした。
そんな中セレスは「だって、まだ紅茶を飲んでいませんわ」と我が道を行く発言をしていた。
苗木は一応、厨房に居る山田にも十神捜索の件で声をかけた。
しかし山田は「しかし、このブタめには…ご主人様にロイヤルミルクティーをお届けするという使命がありまして…!」と、いつの間にかセレスに心酔している様子だった。
十神の捜索に様々な場所を回る苗木。
ようやく辿り着いた図書室で十神の姿を見つけた。
図書室の奥の書庫にあった延長コードと電気スタンドを持ってきて、十神は優雅に本を読んでいた。
その後、他の生徒達も図書室に集まってきて「心配していた」等と十神に声を掛けた。
しかし十神は「心配される筋合いなどない。本を読んでいただけだ」と言った。
そもそも十神は「朝食会自体に拘束力はないのだから、参加する必要もない」という思いがあるようだ。
また、十神にとって今回の事も「殺人ゲーム」として捉えており、「やるからには楽しまんとな」という言葉すら出て来る程だった。
十神はそのゲームで「自分が負けるという可能性は微塵もない」と断言している。
そして「俺達は仲間同士なんかじゃない。その逆だ…互いに蹴落とし合う競争相手なんだ」とその場に居る全員に十神は言った。
その言葉に対し不二咲が「で、でも…やっぱり…」と口を開いたが、十神は「俺の言葉には肯定だけしていればいいんだ」と上に立つ者のように言葉を投げる。
不二咲はその後、言葉を詰まらせ、最後には「ご、ごめん…なさい…」と十神に言って口をつぐんだ。
その様子を見ていた大和田が十神に対し「おい、コラァ!弱い者いじめして楽しいか!?胸クソわりーんだよ!」と突っかかった。
十神は「また仲良しごっこが始まったか…」と呟き、そして「俺はこれ以上、お前らと一緒に行動するつもりはない」と言って、十神はまたどこかへ行ってしまった。
すると腐川も「彼の…言う通りかも…」と十神に同調するように、朝食会への不参加を表明しどこかへ行ってしまった。

翌朝、苗木が食堂へ行くと人数が少ない印象を受けた。
それも当然だ。
舞園、江ノ島、桑田という3名の犠牲者が出た上、十神、腐川の2名が朝食会ボイコットをしてしまっている。
やはり「みんなで仲良く脱出」は難しいのかもしれない。
そんな中、不二咲は昨日の十神とのやり取りで落ち込んでいた。
「十神君に言われた時…怖くなっちゃって…何も言い返せなかった…」と不二咲は半泣き状態だ。
更に不二咲は「結局は大和田君に助けてもらって…しかも、『弱い者いじめ』なんて言われて…ホントにダメだよね…弱っちくてさぁ…」とかなり落ち込んでいる様子を見せた。
朝日奈が「あーあ、大和田のせいで落ち込んじゃった…」と大和田に話を振る。
大和田は「オレは悪気があった訳じゃねーぞ!大体、女なんだから弱くて当たり前だろッ!?」と返す。
大和田なりに不二咲を励まそうとするが、不二咲は泣き止まない。
すると「お、おい泣くなって…わ、悪かったよ…もう怒鳴ったりしねぇからよ…男の約束をしようじゃねぇか!」と大和田は不二咲に言う。
大和田には「男の約束は一度したら絶対守れ」という兄からの遺言があった。
「…つー訳で、オレはぜってーに怒鳴らねぇからよ。だから、オメーも泣くなって!」と大和田は最後に笑顔で不二咲に言った。
それを受け、不二咲もようやく笑顔を取り戻し「ありがと…大和田君…」と言った。
しかし、やはり「強くなりたい」という思いがある不二咲は、「体でも鍛えようかな…」と言っていた。
大神も手伝ってくれるらしく、ほのぼのとした空気が食堂を包んだ。

その後、苗木は自由に過ごし、夜時間まであと1時間と迫った時に小腹が空いた事に気付く。
何か食べられる物を探しに食堂を訪ねた苗木は、石丸と大和田に会う。
石丸と大和田の間には、何やら不穏な空気が流れている。
大和田は「苗木…!オメェによぉ、頼みがあんだけどよぉ…」と言い出す。
どうやら、石丸が大和田に対し「根性無しだから、社会やルールを守れず、そんな恰好をしているのだろうッ!?」と言ったらしい。
その言葉に血気盛んな大和田は「ナメた事抜かしやがって…!」と応戦する形になり、現在に至っている。
そして、どちらがより根性があるかという勝負をする事になった。
大和田は「苗木!オメェが立会人やれや!!」とたまたま食堂に行ってしまったが為に何故か立会人をやらされる事となってしまった苗木。
勝負は、大浴場にあるサウナにて行われる事となった。
要はどちらが長くサウナに入っていられるかという、単純な勝負だ。
大浴場前に着いても「どうせ数分で音を上げるに決まっている!」と大和田を挑発する石丸。
それに対抗するように大和田は「だったら、ハンデやんよ!服を着たまま勝負してやんよ!」と学ランのままサウナでの勝負をすると言い出した。
その後、サウナの覗き窓から2人の勝負を見守っていた苗木。
しかし、1時間しても決着はつかず、夜時間になってしまった為に、サウナの中の2人に声を掛け、苗木は自分の部屋と戻った。

サウナで根性比べをする大和田と石丸

翌朝、いつも通り食堂へ向かった苗木。
すると、昨日の状態が嘘のようにお互いを「兄弟」と呼び合い、笑い合っている大和田と石丸の姿があった。
昨日の勝負の事を知らない朝日奈は「なんか朝から気持ち悪いんだよね。2人で肩組んで、笑っちゃってさぁ…」と困惑していた。
石丸が「男同士の友情とは血よりも濃いのだッ!」と言うと大和田も「さすが兄弟、いい事言うぜ…」と昨日とは真逆の関係性が出来上がっている。
どうやら、石丸と大和田の間には根性比べの果てに熱い友情が芽生えたようだ。
苗木は「ところで…勝負はどっちが勝ったの?」と聞いてみたが、2人が勝敗について口にしなかったところを見ると、恐らく同じようなタイミングでバテたのだろう。
ある意味で、一件落着したような感じだ。

朝食会を終え、部屋に戻った苗木。
のんびりしていると、部屋のインターホンが鳴った。
ドアの先に立っていたのは腐川だった。
珍しい来客に苗木は驚いた。
腐川は「め、迷惑なんて承知よ…承知の上で来てるのよ…ちょ、ちょっと一緒に…付いて来て欲しい場所が…あるの…」と被害妄想を炸裂させながらも、苗木にお願いをしに来たようだ。
腐川に言われるがまま、図書室に連れて来られた苗木。
そこには、自室と言わんばかりの態度で読書をしている十神の姿があった。
腐川は十神の姿を見つけると「いた…アハハ…本当にいた…」と何やら興奮状態だ。
いつの間にか腐川の中で、十神への恋心が芽生えていたようだ。
十神もこちらに気付いた様子だったが、気にしていない様子だ。
それでも腐川はめげずに、十神に話し掛けるが十神は「お前は風呂に入れ。匂うぞ」と腐川を一蹴する。
最後には「さっさと出ていけ」と十神に言われ、腐川と苗木は図書室を後にした。
図書室を出てきた腐川は落ち込むどころか、「十神君…あんなに…あたしの事心配してくれたッ!」と苗木にとっては斜め上の思いを抱いていた。
更に腐川は「あたしと十神君…うまくいくかしら…?」と苗木に聞いてくる始末。
「いや、ちょっと…わからないけど…」と苗木は答えるしかなかった。
すると腐川は「…そうね。わかるはずがないわね。想った時にはすでに叶っている…それが恋なんだから…!」と目を輝かせた。
妄想を爆発させ、気が済んだのか「じゃあね、さようなら…」と言って、苗木を置いて腐川はどこかへ行ってしまった。
何が何やら理解出来ない事ばかりだったが、ひとまずは疲れを癒す為、苗木は部屋へと戻った。

部屋で過ごしているうち、いつもの様に夜時間を告げるモノクマの放送があった。
しかし、今回は「緊急事態」と称し、全員体育館に集まるようにとの呼び出し付だった。
モノクマの全員招集という事で、嫌な予感しかしなかったが、行かないという選択肢はなく、苗木は重い足取りで体育館へ向かった。
体育館では、「今度は何が起こるのか」とモノクマを警戒する空気が漂っている。
そんな中、葉隠が「そういや、昨日俺は玄関ホールでぼーっとしてたんだが…そこで工事現場みたいな音が聞こえたんだ」といきなり話を持ち出した。
しかし、葉隠自身もそれが何の音なのか分からずじまいで、よく分からない情報を提供しただけに終わった。
その後、モノクマが登場し、殺人事件が起こらない事に「つまらない」と憤りを露にした。
そこでモノクマは新しい「動機」を持ち出してきたのだ。
それぞれの名前が書かれた封筒の中には、その人物の恥ずかしい過去や知られたくない事が書かれているという。
全員に配られ、各々内容を確認する。
苗木の封筒の中には「苗木クンは、小学5年生までおねしょをしていた」という文章が書かれていた。
全員の反応を見る限り、苗木同様「なぜそんな事まで知っているんだ?」と思う内容だったのだろう。
そしてモノクマは、24時間というタイムリミットを設けた。
24時間の間に殺人事件が起こらなければ、紙に書かれた内容を世間にバラまくらしい。
苗木に配られたような内容なのであれば、到底殺人事件を起こす程の威力があるとは思えない。
しかし、石丸が殺人事件が起こらないよう「いっその事、ここで秘密とやらを告白しあうのはどうか!」と提案するも、大多数がこれを拒否した。
誰かにとっては、人を殺してまで守りたい秘密があったのかもしれない。
微妙な空気が流れる中、ひとまずその場は解散し、各々眠りについた。

翌朝、苗木が目を覚ますと部屋にはなんとモノクマが居た。
「趣向を変えてみました!校内放送じゃなくて、直接起こしに来たのッ!」とモノクマはなんだか楽しそうだ。
続いて「仲良しクラスメイトの誰かさんに、何かあったみたいだよ」とモノクマは言った。
その言葉を聞き、苗木の眠気が吹っ飛んだ。
部屋を飛び出し、ひとまず食堂へ向かった苗木。
そこには、苗木と同じようにモノクマの話を聞き集まってきた大神、十神、朝日奈、葉隠が居た。
他の生徒達の所在は、食堂に居た4人にも不明だと言う。
まずは何が起こったかを確認する為、食堂に集まっていた面々も捜査に乗り出した。
苗木も学園エリアを中心に何かが起こっていないか捜査をしていた。
すると、たまたま立ち寄ったプールの更衣室前で異変に気付く。
通常は電子生徒手帳をかざさないと入れない更衣室のドアのロックが解除されていたのだ。
苗木が驚いていると、十神がやってきて「あっちの更衣室…怪しいな…とても怪しい…」と女子更衣室に目線をやった。
ズカズカと女子更衣室へ足を踏み入れる十神。
十神に続き、女子更衣室を除いた苗木の目に飛び込んできたのは、トレーニング機器に磔にされた不二咲の死体だった。

女子更衣室で発見された不二咲の遺体

血まみれになった不二咲の後ろには血文字で「チミドロフィーバー」と書かれている。
慌てる苗木に対し、十神は至って冷静だ。
「こいつは妙だな…お前もそう思うだろ?」と十神は苗木に問い掛ける。
苗木が答えられずにいると十神は「見ろ、不二咲千尋の死体は『ハリツケ』にされている。それに…あの壁面に書かれた血文字…惨すぎる殺し方だ」と言った。
十神の見解では、この事件現場は素人がやったにしてはあまりに猟奇的であり、快楽殺人のように見えるという事だ。
十神が話している間に、石丸がやって来て、不二咲の死体を目の当たりにし驚いていた。
その直後、「死体が発見されました!」というモノクマのアナウンスが流れた。
苗木は、初めて聞くアナウンスに戸惑った。
それもそのはず。
舞園の死体を発見した直後、苗木は気を失っていたからだ。
先程の校内放送は「死体発見アナウンス」。
3人以上の人間が死体を発見した際、アナウンスを流し、全員に知らせる仕組みになっているようだ。
集まってきた生徒達も不二咲の死体を目の当たりにする。
第2の殺人事件が起きてしまった。
そして、またあの学級裁判が始まってしまう。
愕然とする中、壁面の「チミドロフィーバー」という文字に全員の視線が向く。
死体を磔にし、近くに血文字を残すという手口は、以前話題に上った快楽殺人鬼、ジェノサイダー翔の手口だ。
誰かがジェノサイダー翔の仕業だと見せかける為に書いたのか、はたまた生き残っている生徒の中に本物のジェノサイダー翔が存在しているのか。
その後、1人遅れてやってきた腐川は血を見た途端その場に崩れた。
どうやら、腐川は血が苦手で、血を見ると気絶してしまうらしい。
奇声を発しながら倒れた直後、起き上がった腐川。
すると、いつもの腐川とは違う口調、虚ろな目ででペラペラと喋りだした。
「ごめんごめん、びっくりしすぎて気絶しちった。あるよね、そういう事。あ、死体だ!おいっ、そこ死んでるぞ!ゲラゲラゲラ!!」と、いつもの腐川では有り得ない喋り方だった。
その様子を見て、気絶した際に頭を打ったのだろうと心配する他の生徒達。
ひとまず、休ませようという事で朝日奈と石丸が付き添って、腐川を部屋に連れていった。
その後、モノクマファイルを配る際、モノクマが「同一のクロが殺せるのは2人まで」という校則を突然追加し、「学級裁判でお会いしましょう!」と言い去って行った。
仕方なく、各々で捜査を始める事となった。
苗木はまずモノクマファイルの確認から行った。
死亡時刻は午前2時頃。
致命傷は鈍器による頭部への殴打であり、即死だった模様。
午前2時というと、夜時間をとっくに過ぎている時間だ。
そんな時間になぜ、不二咲はこんな所までやってきたのだろうか。
いずれにせよ、捜査をしない事には何も分からない。
苗木が捜査を始めようとしたところ、十神が突然苗木に「俺の捜査に協力させてやろう」と言い出した。
前回の舞園の事件での学級裁判で苗木が解決した事を、十神は買っているようだった。
十神の中で苗木は「多少は使える人間」という認識となった結果、苗木を捜査に誘ったのだろう。
とは言え、苗木に拒否権はないようで、半ば強引に十神と一緒に捜査をする事になった苗木。
まず目に入ったのは、更衣室の床に落ちていた血痕のついたダンベルだ。
不二咲の死因と照らし合わせた結果、恐らくこれが今回の凶器だろう。
それから、苗木は大和田に話を聞いた。
大和田によると、不二咲は自分の弱さにコンプレックスを持っていて、ここのトレーニング機器で体を鍛えて強くなろうとしていたようだ。
似たような話は大神もしていた。
不二咲はトレーニングをしたいけど、1人では出来ないから「誰かに手伝ってほしい」と言っていた事があるらしい。
そのまま捉えるならば、不二咲がトレーニングを手伝ってもらった人物に殺されたという事だろうか。
そして苗木は、女子更衣室で殺されたのだから、犯人は女子ではないかと考えていた。
すると十神が苗木の考えを見透かした上で「甘いな…」と苗木に言った。
続けて「もう一度、よく校則を確認してみるんだな。電子生徒手帳について禁止されているのは、他人に貸す行為だけだ。借りる事は禁止されていない」と十神は言う。
苗木が納得する間もなく、十神は「行くぞ、玄関ホールだ」と歩き出した。
玄関ホールには、レターケースが置いてあり、その中には電子生徒手帳が入っていた。
その電子生徒手帳は、犠牲になった生徒達の電子生徒手帳だった。
舞園、江ノ島と電子生徒手帳には名前が映し出されている。
この電子生徒手帳を使えば、校則も違反せずに、異性側の更衣室に入る事が可能となる。
しかし、桑田の物と思われる電子生徒手帳のみ起動せず壊れているようだ。
唯一の男子犠牲者である桑田の電子生徒手帳が使えないという事だ。
玄関ホールで十神と苗木が話していると、慌てた様子の朝日奈がやってきた。
「緊急事態なの緊急事態!助けて!腐川ちゃんがね…大変なの…」と朝日奈は腐川に何かあった事を知らせに来たようだ。
十神はまた一蹴するかと思いきや「腐川冬子か…少々気に掛かるな…ちょっと様子を見に行ってやるか…」と意外にも腐川の部屋まで行くと言った。
苗木はまたも十神に引っ張られる形で、腐川の部屋へと向かった。
朝日奈がノックすると腐川はチェーンロックを掛けたドアから顔を少しだけ出し「ジェノサイダー翔なんかの…す、好きにはさせない…ッ!!」と繰り返し言っている。
先程からこの様子のようで、一向に外へ出ようとしない腐川に朝日奈も困っていた。
付いてきた苗木は「ねぇ、十神クンから腐川さんに外に出るようにお願い出来ないかな?」と十神に問い掛ける。
すると、十神は意外にも「まぁ、いいだろう…」と返事をし、腐川の視界に映る位置に移動した。
十神の姿を確認した腐川は動揺していたが「ご、ごめんなさい…約束…守れなかった…」と意味深な言葉を十神に投げかけ、再び部屋へこもってしまった。
2人が交わした約束について苗木は十神に尋ねてみたが、答える気はないらしく、はぐらかされてしまった。

その後、捜査を再開した十神と苗木は図書室の奥にある書庫へとやってきた。
書庫には所狭しと本棚が並べられ、それぞれの本棚にはぎっちりと本が入れられている。
十神は一冊のファイルを取り出してきた。
そこには、ジェノサイダー翔についての資料が全てファイルされていた。
「チミドロフィーバー」の血文字を残す事については世間に公表されていた。
しかし、「被害者を磔にする」という情報はマスコミに公表されていなく、警察内部でも上層部しか知らない情報のようだ。
十神はその事を予めこの資料で知っていた為、ジェノサイダー翔が犯人なのではないかと考えている。
今回の不二咲の死体の様子は、完全にジェノサイダー翔の手口。
おまけに一般に公開されていない磔にまでされているという事から、十神はやはり生徒達の中に本物のジェノサイダー翔が紛れているという確信を得ていた。
十神の話を聞きながら、ファイルをめくっていく苗木。
そこには、被害者の情報や、死体発見時の状態等、写真付きで詳細に書かれていた。
被害者は全て同じ方法で殺され、同じ方法で磔にされている。
また、資料には「現場には犯人が長く居座ったような痕跡と共に、取り乱しながら現場から逃げた痕跡がある。犯人は重度の『解離性同一性障害』の可能性もあると考えられる」と書かれていた。
解離性同一性障害とは、つまり多重人格者の事だ。
ジェノサイダー翔は多重人格者である可能性が高いという事になる。
一通りファイルを読み終え、図書室を出た苗木と十神。
突然十神が「さてと…お前とはここでお別れだ。俺は学級裁判までにやっておく事があるんでな」と苗木との合同捜査の打ち切りを告げた。
戸惑う苗木に「後は、自己責任でなんとかしろ。自力で捜査を進めるんだな…」とだけ言い、十神はどこかへ行ってしまった。

ジェノサイダー翔は「解離性同一性障害」の可能性があると書かれた機密情報ファイル

十神と別れ、プールに戻ってきた苗木。
先程は調べなかった男子更衣室も調べる事にした。
男子更衣室にも同様にトレーニング機器等が置かれている。
すると、トレーニング機器の置かれたカーペットの隅に茶色っぽいシミを見つけた。
血痕ではなさそうだが、何のシミかは不明だ。
また、トレーニング機器の横の壁には男性アイドルユニットのポスターが貼られている。
続いて、苗木は再び女子更衣室も捜査をしておく事にした。
女子更衣室にも、男子更衣室同様ポスターが貼られている。
グラビアアイドルの水着姿のポスターだ。
そこには血痕がついている。
女子更衣室にグラビアアイドル、男子更衣室に男性アイドルユニットのポスターというチョイスに何となく違和感を覚えた苗木。
苗木はひとまず更衣室を出ようとした時、霧切と会う。
霧切は苗木に「不二咲さんの死体をよく調べ直してみて。それから、不二咲さんの電子生徒手帳もなくなっているわ」とアドバイスをしてどこかへ行ってしまった。
霧切に言われた通り、苗木は意を決して不二咲の死体を調べる。
よく見ると、不二咲の死体を磔にしている紐には、コンセントがついており延長コードのような物である事に気付く。
どこにあった物なのか、不二咲の電子生徒手帳はどこへ行ったのか、まだ謎は多く残っている。
次は聞き込みだ。
苗木は近くに居た大神にポスターについて聞く事にした。
ただ、大神はポスターに注意を払っていなかった為、以前どういう状態だったか覚えていないようだ。
しかし、「この更衣室に関して言えば、少々気に掛かる事がある…」と大神は言った。
大神はトレーニング後、プロテインコーヒーをよく飲んでいる。
先日、そのプロテインコーヒーをカーペットにこぼし、シミを作ってしまったらしい。
しかし、現時点での女子更衣室のカーペットにはそのシミはない。
不思議に思いつつ、大神にお礼を言って苗木は別の場所の捜査に向かった。

倉庫ではセレスが捜査をしていた。
セレスは昨夜の夜時間直前、この倉庫で不二咲と会ったという。
不二咲はスポーツバッグにジャージを入れていたらしい。
しかし、セレスがスポーツバッグからジャージが見えている事を指摘すると、不二咲は慌ててバッグにジャージをしまい込みそそくさと去って行った。
現場にはスポーツバッグも、ジャージも残されていなかった事から、犯人が持ち去ったと考えるのが普通だろう。
それから苗木が食堂へ向かうと朝日奈を見つけた。
朝日奈は大好きだというドーナツをほおばっていた。
苗木は、不二咲が誰と仲が良かったのか朝日奈に聞いてみた。
すると朝日奈は「彼女って不思議ちゃんでさ…あんまり女子とは仲良くなかったんだよね。その割には、気軽に男子に話し掛けてたよ」と答えた。
また、朝日奈と大神は更衣室が開放されてからと言うもの、ほぼ毎日のようにトレーニングやプールを利用していた。
しかし、一度も不二咲を見かけた事はなく、朝日奈達が誘っても毎回断られていたようだ。
最後に図書室を訪れた苗木。
書庫へ行くと、つい先程見たはずのジェノサイダー翔のファイルがなくなっていた。
そんなに時間は経っていないはずだが、一体誰が持ち出したのだろうか。
更に、図書室の方では電気スタンドが目に入る。
そういえば、以前十神が本を読んでいた際、電気スタンドに延長コードを付けていたのを思い出す。
しかし、現段階では延長コードがなくなっている。
不二咲を磔にしていた延長コードは、図書室から持ち出された物なのかもしれない。
そこまで捜査した所で、学級裁判が始まるアナウンスが流れた。
捜査で得た情報を手に苗木は裁判場へと向かう。

裁判場へ向かう面々

2回目の学級裁判が始まってしまった。
まず話題に上ったのは、ジェノサイダー翔についてだ。
十神は今回の殺人の手口から、ジェノサイダー翔が犯人なのではないかという説を押している。
更に十神は「ジェノサイダー翔は腐川冬子の別人格である」という暴露を突然しだした。
腐川は「どうして…黙っててくれるって言ったのに…」と愕然としている。
腐川のこの反応から、本当にジェノサイダー翔は多重人格者であり、腐川の別人格なのだろう。
何かのタイミングで、十神にだけ打ち明けた腐川だったが、突然十神にカミングアウトされてしまったのだ。
十神は「お前は約束したはずだ。この学園でジェノサイダー翔に人を殺させないと」と言った。
腐川も「努力したわ!必死で抑えようとした!!」と反論する。
しかし、十神は更に「その努力は無駄だったようだな。続きは本人に聞かせてもらう」と突き放した。
腐川はその言葉を受け、泣き叫びながら失神した。
直後に跳ね起きた腐川は、虚ろな目をし、長い舌を垂らし、凶悪な笑顔を浮かべていた。
不二咲の死体を発見し、失神した後の腐川と同じような喋り方だった。
本当に腐川の中には、「超高校級の殺人鬼」ジェノサイダー翔が存在していたのだ。
腐川とジェノサイダーは真逆の性格であり、共有するのは知識のみで、記憶については共有していないようだ。
その為、お互いが直前に何をしていたのか共有する事は出来ないのだ。
ジェノサイダーが実在していた事で、やはり今回のクロはジェノサイダーなのではないかという空気が流れる。
しかし、ジェノサイダーはその事についてはキッパリと否定をした。
一般人には理解が出来ないが、ジェノサイダーが殺人を行う際には流儀があり、「真剣に殺人を行っている」と語った。
その流儀とは、太ももにつけたホルスターにストックされている自作のハサミで男性だけを狙い、刺し殺す事だ。
磔についても、自作のハサミで必ず行っていた。
確かに、苗木が見た資料にも全て被害者は男性であり、ハサミで刺殺され、磔にされていた。
それと比べて今回の殺人は、凶器による殴打であり、磔には延長コードが使われている。
ジェノサイダーの殺人流儀とは全く異なる犯行だ。
そして「アタシはねぇ、生き残る為とかそんなセコい理由で殺しなんかしねーんだよ…」と、自分が犯人でない事を告げる。
また、もし仮に「生き残る為の殺人」を行う事があったとしても、磔や血文字等、自分がやったのだとバレバレの犯行は行わないとしている。
そうなると、今回の事件現場は誰かがジェノサイダーを模倣して作り上げた事になる。
苗木は現在ある情報を元に推理をした。
世間一般には知られていない「被害者を磔にする」という情報や腐川とジェノサイダーが同一人物だと知っていた人物。
それはただ一人、十神だけだ。
更に、十神は死体発見前に「怪しい」と言って、男子更衣室よりも先に女子更衣室に入ろうとしていた。
あの時点では、誰が殺されたかも分からない状況であったにも関わらずだ。
「そうだよね…十神クン…」と苗木が言うと、十神は慌てるどころか楽しそうに怪しい笑顔を浮かべていた。
「面白いぞ、苗木。根拠はそれだけか?」と十神は余裕な態度で苗木に質問する。
十神がジェノサイダーを模倣したという根拠は、他にもあった。
不二咲の死体を磔にしていた延長コードだ。
あれは、十神が図書室で本を読む際に使用していた延長コードである。
そこまで聞いて、十神は「確かにジェノサイダー翔の手口に見せかけたのは俺だ」とあっさり白状した。
これにより、「ジェノサイダーの手口を真似した=犯人は十神」という認識でほぼ全員が納得し、投票タイムに移ろうとしていた。
しかし、苗木はまだ何かが引っ掛かっている。
投票タイムを始めようとする生徒達を制止し、更に他の気になる点についても推理と議論を重ねた。
様々な証言から、恐らく更衣室のポスターとマットは男子と女子で入れ替わっているだろう。
女子更衣室で大神がこぼしたはずのプロテインコーヒーのシミが、男子更衣室のマットについていたり、不自然なポスターチョイスから推測出来る。
そうなると、本来の犯行現場は男子更衣室という事となるが、不二咲は男子更衣室に入る事は出来ない。
玄関ホールにあった、唯一の男子である桑田の電子生徒手帳は壊されていた為だ。
結局のところ、苗木の推理はそこで行き詰まる。
すると、その様子を見ていた霧切が「休廷を要求するわ。みんなに見せたいものがあるの」と言い出した。
前回にはなかった「休廷」だが、モノクマは「事件を解決させる為なら」と休廷を許可する。
そして、霧切は全員を連れ、裁判場を出て、まだ不二咲の死体がある女子更衣室までやって来た。
「不二咲さんの体を触ってみれば、すぐに分かるわ」と霧切は言う。
「ならば我がやろう…」と大神が不二咲の死体を検める事となった。
すると、しばらく不二咲の死体を触った後、大神は驚愕の表情を浮かべた。
「こやつ…男か…」と大神は言う。
そう、不二咲千尋は愛らしい顔にスカートを履いていたが、実は男だったのだ。
その真実を共有した後、再び裁判場へ全員で戻り、裁判の続きを行う事となった。
不二咲が男だとすれば、「一人では無理」と言っていたにも関わらず、朝日奈や大神の「一緒にトレーニングしよう」という誘いを頑なに断っていた事にも納得がいく。
そもそも、不二咲は女子更衣室に入る事が出来ず、女子と一緒にトレーニングする事は不可能だったのだ。
そして、更衣室のポスターとマットが入れ替わっていたのではないかという疑問も、不二咲が男であるならば解決する。
やはり本来の犯行現場は男子更衣室だったのだ。
しかし、結局のところ犯人を割り出すまでになる推理は揃わなかった。
その時、苗木には話していたが、セレスはもう一度全員の前で昨晩倉庫で見かけた不二咲の話を持ち出した。
不二咲はジャージの袖がはみ出したバッグを持っていた。
セレスがその事を指摘すると、不二咲は慌てて隠すようにしてジャージをバッグにしまいこんだ。
そして不二咲は「急いでるからもう行くね」と足早に去って行った。
セレスには、不二咲の様子が誰かと待ち合わせしているような印象だったらしい。
そのまま考えれば、不二咲は恐らく犯人に自分が男である事を打ち明け、一緒にトレーニングをしてもらおうとしていたのではないだろうか。
ただ、この話を聞いても、結局のところ犯人は誰かという議論になる。
そんな中、霧切が突然「手掛かりはあるじゃない。不二咲さんが持っていたジャージにね」と言い出したのだ。
「今からトレーニングに行こうとしていたのに、彼は何故あんなジャージを選んだのかしら?」と霧切は続けた。
何故そんな事を突然言い出したのか。
苗木は霧切の言葉に疑問を持っていた。
すると、大和田が突然「あいつと同じ色のジャージを持ってる奴が怪しいんだな!俺のジャージは黒だからちげぇよ!」と言い出した。
霧切は大和田の発言を聞き、満足そうに笑い「不二咲さんのジャージの色は、一度も証言されてないわ」と言った。
先程の霧切の不可解な発言は、犯人を誘い出す為のブラフだったのだ。
続いてセレスが「不二咲さんが持っていたジャージの色は青でしたわね」と霧切同様、笑って言った。
不二咲は、倉庫でセレスに会い、バッグに詰め直した為、仮に更衣室までの道のりで誰かに目撃されてもジャージの色までは分からない。
そして、死体発見現場にバッグやジャージが残されていなかった事から、バッグは犯人に処分されたのだろう。
つまり、不二咲が着ていたジャージの色を知っているのは、セレスと犯人の2人だけなのだ。
そして先程の大和田の発言。
不二咲のジャージの色が明確にされていないまま、「俺のは黒だから、アイツが持っているのとは色が違う」という失言を大和田はしてしまったのだ。
しかし、それでも「そんな揚げ足取りで犯人にされてたまるか」と怒りを露にする大和田。
確かに苗木が思っていた大和田の人物像は、見た目や言葉遣いこそ暴走族らしいが、性格は男気があり、義理堅く、面倒見も良い男だった。
そんな大和田が不二咲を殺したとは、苗木にも信じがたかった。
微妙な空気が流れる中、山田が捜査中に見つけたという新たな物証を出してきた。
山田が出したのは、壊れて起動しなくなっている電子生徒手帳だ。
名前が確認出来ない為、確証はないが、恐らく犯人が壊した不二咲の電子生徒手帳だろう。
しかし、モノクマが言うには、電子生徒手帳の耐久性は凄まじく、真空、電流、圧力等、故障の原因となりそうな物に対してほとんどの耐性がある。
仮に犯人が不二咲の電子生徒手帳を壊したとして、どのような方法を使ったのだろうか。
そんな中、電子生徒手帳にも「唯一の弱点がある」とモノクマは言う。
その弱点を、事件解決の為に開示するよう霧切はモノクマに要請した。
事件解決の為ならば仕方ないと「「しょうがないなー。絶対真似して壊さないでよ。正解は「熱」です!高温に長時間さらされると、熱暴走して壊れてしまうのです」とモノクマは白状した。
それを聞いた瞬間、苗木と石丸が気付いてしまった。
犯人は、電子生徒手帳の弱点を知っていた訳ではない。
たまたま知る事になったのだ。
そう、根性比べと称し、石丸と共に電子生徒手帳を入れた制服のままサウナに入り、熱にさらし続け、電子生徒手帳を壊した人物。
それは、大和田ただ一人だ。
苗木も信じられなかったが、この事実を語り、大和田に「大和田クン、石丸クンとサウナで我慢比べをした時、学ランを着たままだったよね?」と問い掛ける。
しかし、大和田はそれでも「俺の電子生徒手帳はちゃんと動く」と怒り心頭だ。
石丸も「兄弟がそんな事をするはずがない、第一証拠が無い」と大和田を庇う。
電子生徒手帳がなければ、更衣室に入る事は出来ない。
大和田は、根性比べの後自分の電子生徒手帳が壊れている事に気付き、玄関ホールにあった桑田の電子生徒手帳と入れ替えたのだ。
苗木と十神が玄関ホールを捜査した際、壊れているのはてっきり桑田の電子生徒手帳と思っていたが、実はあれこそが大和田の電子生徒手帳だった。
「今、大和田クンが持っている電子生徒手帳を起動したら、桑田クンの名前が表示…」と苗木が言いかけた時、大和田が「もういい」と言葉を遮った。
そして「俺が…アイツを殺したんだ…」と大和田は白状した。

大和田が犯人と知り、未だ信じられない石丸

その後、すぐに投票タイムが行われ、大和田がクロに決まった。
正解だったが、モノクマが「ちなみに、投票は満場一致ではありませんでした。石丸クンだけが不正解でした!」と明かされる。
大和田も自白した状況の中で、石丸だけは現実が受け入れられていない。
「兄弟が…人を殺すはずが…なぜだ!なぜだ!なぜだ!なぜなんだ!」と石丸は泣きながら、大和田を問い詰める。
「すまねぇ…」と石丸に謝るだけで、理由については語ろうとしない大和田。
「では、黙秘権を発動した大和田クンに代わり、ボクが説明しましょう」と何故か語らない大和田に代わり、モノクマが今回の事件について説明すると言う。
今回の事件が起こってしまった理由の裏には、2人の少年の悲しい物語があった。
1人の少年の名前は不二咲千尋。
不二咲は繊細な心の持ち主で、「自分が弱い」という事にコンプレックスを持っていた。
「男のクセに」という言葉もよく不二咲が言われた言葉だった。
その末に不二咲がたどり着いた逃げ道は「女性になりきる事」だった。
女だと思われていれば、「男のクセに」等と言われずに済む。
しかし、それでも「女のフリをしている男」と周りに知られれば、以前よりも酷い状況に陥るのは目に見えていた。
彼のコンプレックスは、改善される事なく、「自分は弱い」という思いは一層強くなっていった。
しかし、そんな中モノクマから配られた動機の紙「不二咲千尋は男である」という秘密が暴かれた時から不二咲の中で「強くなろう」という思いが芽生えた。
その日から、不二咲は更衣室での心身を鍛える為、トレーニングを始めた。
その際、不二咲は誰かに協力を依頼しようと考えた。
そこで選んだのが、「男の約束は必ず守る」と言った大和田だった。
大和田は、不二咲の憧れる「強い男」の理想であったのも理由の一つだろう。
大和田なら、最初に「自分が男である」という秘密を打ち明けても約束を守り、言わないでいてくれると不二咲は思った。
不二咲殺害後、男子更衣室から女子更衣室へと死体を移動させたのも、単純に現場偽装の為だけではなかった。
「まだ他の皆には言わないでほしい」という不二咲との男の約束を守る為だった。
そこで石丸が「話を聞けば聞くほど分からないッ!君らは、互いに信頼し合っていたようではないかッ!?」と大和田はに問う。
確かにモノクマの話とは言え、大和田が黙っているところを見ると真実なのだろう。
ならば、大和田が不二咲を殺す理由がますます分からなかった。
大和田は絞り出した声で「あの秘密を…バラされたくなかったんだ…どうしても…」と言った。
モノクマが大和田の言葉に補足するように「大和田クンが世間にバラされたくなかった過去は…自分のお兄さんを殺した事だよ!」とさらりと言った。
もう1人の少年の名前は大和田紋土。
昔から親とは上手く行かず、信頼が出来、紋土が本当の家族と言えるのは兄の大亜だけだった。
兄に追いつこうと兄の真似ばかりしていた。
大亜を尊敬していたのは、弟の紋土だけではない。
大亜は関東最大・最凶と呼ばれる暴走族を作り、頭として君臨していた。
大亜の暴走族に所属するメンバーは、いずれもやはり大亜を尊敬していた。
その中で、紋土も大亜に次ぐナンバー2として兄と共に走り続けた。
しかし、ある日突然、大亜が暴走族を引退する事を発表した。
兄の引退に伴い、ナンバー2であった弟の紋土が暴走族の頭となる事になっていた。
兄の偉大さを誰よりも知っていた紋土には、それが重圧となった。
チームのメンバーからは「このチームは大亜が作ったんだ。紋土はおまけだよ」「そんなヤツに2代目総長が務まるのか?」と言った声が上がるようになっていた。
そんなメンバー達を納得させる為に、紋土は兄の引退式の日、単車での勝負を兄に挑んだ。
兄に勝利すれば、自分が総長に相応しいと他のメンバーにも認めさせる事が出来るのではないかと紋土は思っていたのだ。
しかし、兄弟の勝負中に事故が起きてしまった。
勝利を焦った紋土は、無謀な走りをし、反対車線に飛び出していった。
目の前にはトラックが走っていて、絶体絶命と思われたその時だった。
反対車線に大亜が飛び込み、紋土の車体を蹴り、紋土の代わりにトラックに轢かれてしまった。
慌てて駆け寄り、血塗れの兄を抱き起す紋土。
大亜は紋土を責める事なく「ワリィ、ドジっちまった…」とほほ笑んだ。
そして最期に「後は…頼んだぞ…ぜってーに…チームを潰すんじゃねぇぞ…男と男の…約束だ…」と大亜は言い残し、そのまま息を引き取った。
その後、紋土はチームのメンバーに「負けそうになった大亜がミスして事故った」という嘘をついた。
「大亜に勝った紋土」を2代目総長に据え、解散する事なく再びチームは1つにまとまった。
嘘を貫き通す過程で「俺は強い。強い強い強い強い」と大和田は自分に言い聞かせるように思った。
そんな中、始まった希望ヶ峰学園でのコロシアイ生活。
モノクマから配られた動機により、大和田は「自分が兄を殺した」という秘密が暴露されてしまうのを恐れていた。
真実が明らかになってしまえば、チームは必ず崩壊するだろう。
そうなると、兄と交わした「チームを潰さない」という約束も守れなくなる。
不安と恐怖が大和田を襲っていた時、不二咲から秘密を打ち明けられる事となった。
不二咲が男である事に驚いた大和田は「どうして急に…秘密を打ち明ける気になった?」と不二咲に問い掛ける。
不二咲は真っ直ぐな目で「…変わりたいんだ。いつまでも『ウソに逃げている自分』を壊してさ…!」と答えた。
それは、嘘を貫き通す事で「自分は強い」と思い込んでいた大和田にとって、今までやってきた全てを否定された気になるような言葉だった。
不二咲は「大和田クンは強いから、モノクマに秘密を暴露されてもへっちゃらだよね!」と更に大和田にとって追い打ちを掛ける言葉を投げる。
「オレが強いって…?そいつは…皮肉かよ…」と不二咲に言う大和田。
単純な話、大和田は不二咲に嫉妬していたのだ。
自分が持っていない、「弱さを乗り越える強さを持っている」不二咲に対しての激しい嫉妬。
当然、不二咲は「ひ、皮肉なんかじゃないよ…大和田クンは…本当に強い人だし…」と言った。
しかし、自分を否定され、嫉妬にまみれていた大和田にはもうその言葉は届かなかった。
「じゃあ…オレはどうすりゃよかったんだ?秘密をバラして…全部を…台無しにすりゃ…よかったってのか?」と大和田は独り言のようにも思える言葉を吐き続けていた。
そして不二咲に対し「なんで…オレに言った?オレへの当てつけか…?」と大和田は言う。
不二咲が「ぼ、僕はただ…大和田クンに憧れて…」と言うと「そうだよ…オレは強ぇーんだ…兄貴よりもなぁぁぁ!」と大和田は叫んだ。
その後の記憶はなく、大和田が我を取り戻した時には血のついたダンベルを持ち、血まみれで動かなくなった不二咲が居た。
そこまで話し終わると、モノクマがおしおきを始めると宣言した。
慌てる石丸に大和田は「すまねぇな兄弟…男同士の約束…守れなかった…」と言い、処刑場に連れて行かれた。
大和田はバイクに縛りつけられた状態で、電流が通っている巨大鉄球の中へと放られた。
巨大鉄球を1周するようにバイクは自動走行を始める。
だんだん速度が上がり、最終的に外からではバイクの目視が困難な程のスピードになっていた。
遠心力により、大和田から出た脂が鉄球に繋がる機械に流され、大和田はバターとなった。
2回目の学級裁判とクロへのおしおきが終了した。
無残なおしおきに、その場の全員がしばらく声を出せずにいた。
やがて、ようやく我に返った石丸は現実を受け入れられず、ひたすら絶叫していた。
「兄弟」とまで称していた親友が人を殺し、最終的には自分の目の前で殺された。
何もかもが信じられない光景だった。
しかし、そんな中十神だけは冷静に「…あっけないものだな。ゲームの幕切れというのは…」と口にする。
「あんた…正気じゃない…何がゲームよ…仲間が死んだんだよ?」と朝日奈に言われても、十神はただ淡々と「そりゃそうだ…これは『命がけのゲーム』なんだからな」と言った。
そして、霧切が「どうして、大和田君の犯行を偽装したの?」と十神に問う。
十神は悪びれる様子は一切見せず「その方が面白いからだ」と答える。
事件が起きた当時十神は2階の図書室で本を読んでいた。
十神は読書に区切りをつけ、部屋に戻ろうとした時、実は偶然大和田が慌てて女子更衣室から出て来るのを目撃していた。
大和田が去った後、女子更衣室を覗いたところ、不二咲の死体を発見した十神。
十神は事件が起きた当初から、犯人が大和田である事を知っていたのだ。
しかし、答えを知っているゲームは「つまらない」という思いから、十神は犯人を言わずにいたのだ。
そして十神は「だから…俺が手を貸してやったんだ。ゲームを盛り上げる為にな」と、偽装工作した理由を説明した。
その後言葉を失った面々は、十神を警戒するしかなかった。
重たい空気のまま、各々部屋へ戻った。

学級裁判終了後、希望ヶ峰学園の中のどこかの部屋ではモノクマが誰かと話している。
多くのモニターが並び、薄暗い部屋だ。
「いいペースで殺人が続いているよね。やっぱりさ…こう着状態になる前に、最初の殺人に及んだ彼女の功績が大きいよねぇ?」と舞園の事を嬉しそうに語るモノクマ。
続けて「本来なら、口火を切るのはキミの役目だったんだけど…しょうがないから、キミはそのまま学園生活を盛り上げてちょうだい」と一緒にいる誰かに指示を出している。
そこまで静かに聞いていた誰かは、「誰の…事…?16人目の高校生って…?」と唐突な質問をモノクマに投げかける。
しかしモノクマは「奥の手をあっさり見せるバカはいないでしょ?いくら『仲間同士』と言えどさ…」と質問について答える気はなかった。

残り10人になってしまった超高校級達

裁判終了後の深夜に朝日奈は部屋で泣き疲れていた。
元気を出す為、仕方なく夜時間の「出歩き禁止」を破り、大好物であるドーナツを食べようと食堂へ向かった朝日奈。
朝日奈が食堂へ向かう途中、大浴場の方から「ガ…ガガ…」という音が聞こえてきた。
恐る恐る大浴場へ向い、朝日奈は中を覗いた。
すると、薄暗い更衣室のロッカーの中で何かが光っている。
そこには、殺されたはずの不二咲顔がぼんやりと浮かんでいた。

朝になり、食堂へと向かった苗木。
犠牲者が出ている上、十神と腐川が欠席している為、集まりが悪い。
今朝は、朝日奈も欠席している。
石丸も来ているものの、昨日の事があったせいで話し掛けても反応がない位、抜け殻になっているようだ。
これからどうしていけばいいのか、途方に暮れる面々。
セレスだけは、「ここで仲良く暮らせばいいだけですわ」と一貫して順応するべきだと主張している。
ただ、やはり何かしない事にはここから抜け出す方法も見つけれない。
石丸が腑抜けになっている今、最年長である葉隠が「今日は探索の日にすんべ!」と言った。
学級裁判が終わった後には、前回開放された場所があった。
今回も恐らく同様に行けるようになった場所があるだろうという考えの元だった。
早速、校内探索を始めようとしたその時、突然食堂にジェノサイダーが現れた。
腐川の人格ではなく、ジェノサイダーの人格での登場だ。
「この学校で素敵空間よね!アタシみたいな殺人鬼が堂々としていられるんだもん!コソコソ隠れるのはもうやめッ!」とジェノサイダーは朝からテンションが高い。
ジェノサイダーのテンションについていける相手が居なかった為、各々ようやく探索を始めた。
今回は、学園エリアの3階にある、娯楽室、美術室、物理室が開放されたようだ。
娯楽室の中央にはビリヤード台が置かれ、壁沿いにはダーツや雑誌棚等も設置されている。
苗木はその場にいたセレスと話をしていた。
セレスが「雑誌は充実しているようですけど、新しい号が出たら順次追加されていくのでしょうか?」と言った時、モノクマが突然2人の前に現れた。
するとモノクマは「ボクがそうしたくても…雑誌そのものが…」と言いかけ、「おっと、いけないいけない…」と言うだけ言って去って行った。
今のモノクマの言葉はどういう意味なのだろうか。
苗木はその後、美術室へ向かった。
部屋の両脇に彫刻品が置かれ、壁一面には絵やイラストが乱雑に貼られている。
また、美術室には隣接した美術倉庫があり、その中にはトンカチやキャンバス等、美術品を作る際の備品が置かれていた。
ふと苗木が床を見ると一枚の写真が落ちている。
苗木はしゃがみこみ、写真を拾おうとしたが、写真を認識した瞬間、苗木の手は止まった。
そこには、大和田、桑田、不二咲がどこかの教室のような場所でじゃれあい楽しそうにしている風景が写されている。
バックには窓が写っているが、今居る希望ヶ峰学園のように鉄板はなく、窓の外には青空が広がっていた。
犠牲となり、既に死んでしまった3人の仲が良さそうな写真。
いつ撮られた物なのか、ここに来る前から3人は知り合いだったのか、様々な思考が苗木の頭を巡った。
呆然と立ち尽くす苗木の前に、モノクマが「もしかして、見ちゃった?でも、いい笑顔でしょ?」と現れた。
「なんだよ…コレ…」と苗木がモノクマに聞くと、苗木から写真を奪い取るとモノクマは「青春の1ページってヤツですかね!?」と言って去って行った。
訳が分からないままだったが、ひとまず苗木は美術室を後にし、物理室へ向かった。
物理室の中央には、巨大な機械が置かれ、部屋の脇には配電盤のような物が並んでいた。
物理室というよりは、何かの研究室のような印象を受ける。
石丸が居たので苗木は話し掛けてみたが、未だに反応はなくただ立ち尽くしていた。
そんな状態のは石丸がどうやって物理室まで来たのかも謎だ。
するとそこへモノクマが現れ、巨大な機械は「タイムマシンなの」と説明した。
「超高校級の物理研究者」という、絶望の末に死んでしまった希望ヶ峰学園の生徒が作ったものらしい。
「タイムマシン」という言葉を聞き、ようやく石丸が言葉を発した。
「過去に…戻れるのか…?今度こそ、兄弟を止められるッ…!」と希望を見出した石丸。
しかし、石丸の希望はモノクマの「無理だよ。このタイムマシンって1分しか戻れないもん」という言葉にバッサリ斬られた。
更にモノクマは「ていうか、全部ウソなんだけど。タイムマシンなんて…ないない。ホントは空気清浄機なんだ」と石丸に追い打ちをかける。
物理室の巨大な機械は、本当は空気清浄機であり、火星ですら生きていける程の酸素を生み出す物のようだ。
石丸は再び口を閉ざし、放心状態へと戻ってしまった。
物理室の奥にも、美術室同様、倉庫のような物理準備室があったのを苗木は確認し、物理室を出ようとした。
苗木は出掛けに物理室の隅のテーブルに、アニメキャラクターのイラストが入ったインスタントカメラが置かれているのに気付いた。
山田の物だろうか。
先程はなかったようだったが、ひとまずその場から持って行き、そのままの足で食堂へ向かった。

美術室の倉庫で見つけた、不可解な写真

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