SIREN(サイレン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『SIREN』とは、2003年にソニー・コンピューターエンタテイメントが開発、PlayStation2用に販売されたホラーゲームである。他人の視界を利用してマップを見渡せる幻視ジャック(視界ジャック)や純日本風の舞台設定など、他にはないシステムや世界観から、国内外で大ヒットとなった。主人公の進め方次第でシナリオの難易度が変化はするも高難易度であることも知られている。

『SIREN』の概要

『SIREN』とは、昭和78年(現代の年号で平成15年、西暦2003年)の日本の廃村羽生蛇村(はにゅうだむら)を舞台とした探索ホラー。2006年『SIREN2』、2008年『SIREN:New Translation』と続編が登場、メディアミックスとして映画『サイレン〜FORBIDDEN SIREN〜』(04年公開)、コミック『サイレン〜ETERNAL SIREN〜』も登場するなど、ゲームの域をも飛び越えた人気を持つ。

ゲームシステムとして特徴的な幻視ジャックは、一時的だが第三者の視覚・聴覚を利用できるようになり、敵である屍人の現在位置、屍人が聞いている音などを判断できる。また戦闘に不慣れな一般国民のキャラクターを、いかに戦闘を回避させるか、シナリオごとに指定されたミッション(クリア条件)をいかに達成するか判断力も必要とされ、高難易度でも知られている。

この恐怖感を作り上げたのはディレクター外山氏とシナリオ担当の佐藤氏。この両名は『サイレントヒル』を手掛けた者達である。両名、屍人役としてゲーム中にも登場している。

『SIREN』のあらすじ・ストーリー

一日目

××県三隈郡にある羽生蛇村。ここではかつて大規模な土砂災害があり、甚大な被害を被った。この村の「かつて大量虐殺があった」という都市伝説に興味を持った高校生・恭也は、夏休みを利用して一人で村を訪れた。だがそこで自転車がパンクしてしまい、森の中を歩いて移動する事となる。その先で犬を連れた少女・美耶子と出会うが、彼女はすぐに逃げ出してしまった。

そのまま森を歩いていた恭也は、深夜の森に響く男女の合唱を耳にする。近付いてみると、森の奥で妙な儀式が行われていた。儀式の中に先程の少女・美沙子の姿を見つけた恭也は、身を乗り出したために見つかってしまい、慌てて逃げ出す。後ろからは駐在警官が発砲しながら追ってくる。恭也は村に停まっていたトラックに飛び乗り、慌てて発進させた。突然動いたトラックは駐在警官をはね飛ばしてしまい、恭也は様子を見にトラックを降りて警官に近付く。
その瞬間大きな大地の鳴動と共に、村は赤い海に囲まれていく。海からは大音量のサイレンが響き渡る。驚くばかりの恭也の目の前で、今度は瀕死のはずの警官が自力で起き上がった。恭也は為す術もなく警官の放った銃弾を胸に受け、赤い海へ落ちていった。

高遠玲子(人間として)の最後

深夜、恭也と休息していた美耶子は、一人廃屋の外に居た。
対峙していたのは実の姉の神代亜矢子。亜矢子は異変に巻き込まれた怒り、許嫁の淳の美耶子への執心を美耶子にぶつけ、美耶子も応戦する。
亜矢子には神代家の呪いがかけられていて、永遠に生きなければならない。儀式に差し出す生贄を産まなければならない。現在の生贄が美耶子で『神の花嫁』であるとは知っている。しかし亜矢子は御神体に生贄を捧げるという目的は知らなかった。鎌を突きつけられても怯まない美耶子、そして美耶子の言う「死ぬのがそんなにイヤ?」「化け物になっても生きたい?」という台詞が理解が出来ず、亜矢子は苛立ちながらその場を後にする。亜矢子は儀式の意味も赤い水の効果も、何も解っていなかった。花嫁を捧げなければ村が壊滅するという事も知らなかったのだ。

二日目

診察室で美奈を追っていった司郎を待っていた慶と理沙。窓の外を眺めていた理沙の背後、慶が美奈に襲われた。為す術のない理沙だが、美奈がモノ言いたげに寄ってくる。すると二人の意識は完全に同調し、美奈の精神が理沙と合体する。
一人医院の中を探索していた司郎は、美奈のナース服を着た理沙と対峙する。司郎は衝動的に理沙を殺してしまうが、美奈と同調している理沙は既に屍人と化していた。
何とか振り払って辿り着いたのは医院の地下室。司郎はそこで27年前に行われたものの失敗していた儀式の生贄、先代の美耶子と出会い、宇理炎(うりえん)を受け取る。「美耶子」という名は27年前の生贄の名前であり、現代の美耶子の名も彼女からとられたものだった。宇理炎は剣と盾がデザインされた土偶が対になったもので、攻撃時に炎が噴き出る。ただし使用すると命を引き換えとする代物であった。

宇理炎を授ける先代・美耶子

真夜中、鳴り響いたサイレンの音に恭也が反応した。サイレンの音が鳴ると、赤い水に触れた者は屍人となってしまう。サイレンの音につられて臨死状態の恭也を見た美耶子は、自分の掌を切り、恭也の掌も切り、傷口を重ね合わせる。すると恭也の苦しみが治まった。神代家の血は屍人化を無効化する力があり、美耶子の血を受けた恭也の苦しみは治まる。
こうして恭也は屍人化は免れたが、永遠に生きなければならない神代家の呪いも受けてしまう。
神代家は先代である八尾家の呪い、永遠の命を受けている。これは不完全な呪いであり、不死であるものの肉体は朽ち、永久に精神のみで苦しみながら生きなければならない恐ろしいものだった。

恭也に神代家の血が渡る

学校から離れてフラフラと歩き続けていた奈保子は、いつしか赤い水を蓄えた湖に出ていた。民話集から「赤い水」と「永遠に生きる女」の関連を見出していた奈保子は、永遠の美しさと命を手に入れるため、自ら赤い水に浸る。
そして奈保子は屍人化した。

永遠の若さを求めた奈保子

慶と逸れた知子は、比沙子に出くわす。比沙子から両親の無事を聞いた知子は、両親が待つ教会を目指すが、道中で屍人に襲われた。

気が付けば、知子の周囲は美しい光とオーロラに包まれていた。
その知子のもとに、屍人化した奈保子が現れた。知子は奈保子の姿に怯えるが、奈保子は知子を襲うことなく立ち去る。
何とか教会に辿り着いた知子は、教会の中に両親の姿を見つける。窓の外から両親に声をかけるものの、両親は知子の姿に怯える。

窓ガラスを叩く屍人化した知子

知子は自覚がないまま屍人となっていた。

知子は両親に拒絶され、肩を落として教会を離れた。
両親は一度は安心するものの、娘への思いを捨てきれず、知子を追って教会の外へ出ていく。しかしそれが仇となり、二人共屍人となってしまった。

知子と離れた比沙子は、赤い水で満たされた海岸線に居た。流れ着いた御神体、堕辰子の首を拾い上げたところ、海上に光の柱が現れた。その袂には、白い髪のもう一人の比沙子が立っていた。

比沙子は思い出した。自身が村に永遠に呪いをかけ続けていく存在「虚母ろ主の輪(うろぼろすのわ)」であると。684年、自身が天より墜ちてきた神(堕辰子)を食したこと、その為に比沙子の血を受け継ぐ神代家の直系は永遠に生きる呪いを受けたこと、生贄を差し出す儀式を続けていた事を。儀式のためには生贄となる『神の花嫁』が必要である事を。神の花嫁は自身の八尾家の子孫、神代家の姉妹の内の妹が慣例である。神代家は代々女系の一族であり、外部から男性を一人婿に入れることにより、代を重ねてきた。そして姉妹が生まれると儀式が執り行われ、それによって妹は神に花嫁として捧げられ、姉は現世に残り次の代を生む役割を担う。
比沙子は神の花嫁、美耶子を求めて歩き始める。

一方光の柱を川辺から見ていた慶は、儀式が失敗であると悟った。儀式が失敗すれば、村は厄災に遭い、異世界に飲み込まれてしまう。慶は愕然と膝を着いた。

光の柱

恭也と美耶子は朝霧の漂う森の中から村を見渡してみる。空と川面を繋げるように伸びる光の柱が見える。その異様な光景も然ることながら、美耶子が見えない「何か」に怯えだす。
美耶子自らが破壊した御神体(堕辰子、だたつし)の像の首が発見されたと気付いた。初めて恭也と出会った時、確かに壊していたはずの御神体が、確かに埋めたはずの御神体が、土の中から戻ってきている。自身が生贄になる儀式は終わっていない。そう悟った美耶子は怯えていたのだ。
恭也は解らないながらも美耶子に励ましの声をかけ続ける。美耶子も恭也に対して心を開きかけた時、再び淳が現れた。淳は恭也に銃を向け、そのまま発砲。恭也は谷へ落ちてしまう。
目の前から消え、谷底に落ちていった恭也を捜そうとする美耶子を、淳は今度こそ、と強引に連れ去ろうとする。
そこにいつの間にか比沙子が居た。
普段の穏やかで物腰の柔らかい比沙子とは違う。そう気付いた淳は、その異様な雰囲気に飲まれたまま、比沙子の言いなりとなって儀式再開の準備をさせられる。

儀式再開の準備

多聞と依子は村の橋に居た。この橋の欄干には『竹内』と掘られていて、多聞は自身の姓であると語る。村の生まれであることを依子に話して聞かせていた。
そこに突然の銃声。銃弾は依子の胸を貫き、依子は橋から崖下へ転落してしまう。依子を捜して崖下に降りた多聞は、大木に寄り掛かる依子を発見。依子は生きていたが、これまでの体験から、自分もこのまま死んだら屍人になる、と多聞に告げる。多聞は依子の仇を討つ為、依子を狙撃した人物を捜し当てる。
ようやく見つけた依子を撃った狙撃手は、自害したが屍人と化していた志村だった。多聞と志村は旧知の仲であり、二人はお互いの姿に驚いた。

この間にも依子は多聞を追うが、遂に力尽きて臥せてしまう。同じ谷に転落していた恭也も近くに居て、こちらも臥せてしまう。
そこに現れたのは司郎だった。司郎は二人を救い、自身の医院へ連れて行った。
二人は宮田の医院で意識を取り戻す。依子は状況が解らずに混乱していた。司郎は生き続けられるであろう二人に僅かな希望を見出し、希望を託して診察室を出ていく。
この時依子には恭也の血が輸血されていた。美耶子の血を含む恭也の血を体内に取り込んだ依子は、自覚がないまま不死の身となる。

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