ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生(ゲーム)のネタバレ解説まとめ

『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』(Danganronpa: Trigger Happy Havoc)とは、2010年11月スパイク(現スパイク・チュンソフト)から発売されたPSP向けのゲーム。ダンガンロンパシリーズの第1作目となる。
2013年にはアニメ化、2014年には舞台化されている。
今作は才能あふれる「超高校級」が集められる希望ヶ峰学園で16人の高校生が監禁され、コロシアイを強要されるストーリーとなっている。

苗木が食堂へ戻ると、朝日奈が部屋から出てきていた。
心配するみんなに朝日奈は「ごめんごめん、ドーナツ食べたら元気になってきてさ…」と笑った。
それから全員で、探索の報告会を始める事となった。
朝日奈は、ドーナツを食べて元気になった後、探索をしていたようで、1階の保健室が開放されていた事を報告した。
「プロテイン系やサプリはなかったか?」という大神の問いには、朝日奈も同じ物を探したようだったが、頭痛薬等の市販薬しか置いていなかったようだ。
その他は3階の開放された教室の報告が主だった。
それから、葉隠からは「十神っちを見かけたべ」と十神の目撃情報が報告された。
どうやら十神は、誰にも邪魔されないように図書室の本を、男子更衣室に運び、そこで読書をしているようだ。
ジェノサイダーは「十神」の言葉に反応し、「んな所に隠れてやがったかぁ!逃がさねーぞぉ…!」と何やら十神を追いかけまわす気満々のようだった。
最後に苗木から、アニメキャラクターのカメラを見つけた事と、美術倉庫で見た写真の話をした。
カメラはやはり山田の物だったようだが、「もう要らない」と言い、結局何故だか「何かに仕えるかもしれない」という理由でカメラはセレスが引き取る事となった。
写真については、やはり他の生徒も思い当たる事がなく、結局は「モノクマの悪戯ではないか」という結論で収束した。
その後今朝、朝日奈が来なかった理由についてセレスが問い掛ける。
「体調不良…というのはウソなのですよね?本当は何があったのですか?」とセレスが聞くと、朝日奈は「…見ちゃったの。……幽霊を」と言いづらそうに言った。
真相を確かめようと、朝日奈が幽霊を見たという脱衣所へその場に居る全員で向かった。
恐る恐る確認すると、朝日奈が幽霊を見たロッカーの位置には、1台のノートパソコンが置かれていた。
このパソコンは、恐らく図書室に置いてあったパソコンだろう。
そして、「超高校級のプログラマー」である不二咲がこの脱衣所に持ち込み、動けるように直したのではないかと全員で推測した。
脱衣所には監視カメラがない為、黒幕に隠れて何かをするには好都合な場所だ。
現在はパソコンの電源が入っているようで、ディスプレイは緑色に発光している。
朝日奈が夜中に見たのは、このパソコンの光だったようだ。
霧切がキーボードに触れ、パソコンを動かすと、画面に現れたのは不二咲の顔だ。
「えへへ、来てくれたんだね!」と画面の仲の不二咲は笑った。
見た目も、声も、不二咲そのものだ。
画面の中の不二咲は、自分を「アルターエゴ」という存在である事を説明した。
アルターエゴとは、「超高校級のプログラマー」である不二咲自身が開発した、人工知能だ。
キーボードで対話する事により学習し続け、最終的には思考等が不二咲本人のレベルまで達するスーパープログラムだ。
物忘れも、衰えもしない、完璧なもう1つの人格となる。
不二咲がアルターエゴを作った理由としては、ノートパソコンに入っている膨大な量のファイル解析をさせる為だ。
ノートパソコンの中には、希望ヶ峰学園に関すると思われる膨大な資料が入っているが、いずれも厳重なロックが掛かっているらしい。
不二咲1人では、全てのロックを解除するのが不可能な為、アルターエゴに解析やロック解除を任せていたようだ。
ちなみに、ウェブカメラを通して、アルターエゴにも画面の外、生徒達の姿も認識出来ているらしい。
そして「資料の解析はもう少しかかるけど、絶対なんとかするから待っててね」とアルターエゴは笑った。
ただ、ここまでの高性能な人工知能を、いくら監視カメラがないとは言え、黒幕には絶対に気付かれる訳にはいかない。
生徒同士では、「個人的にアルターエゴとの接触をしないこと」という約束をした。
また、ウェブカメラで不審人物を見かけた際には、アルターエゴに声を発せさせる事を伝えた。
夜時間は、霧切が部屋のドアを開けておく対策もする事となった。
最後に、アルターエゴは不二咲の姿が見えないと疑問を持った。
霧切はキーボードで、不二咲が死んでしまった事を伝える。
アルターエゴは、悲しそうな表情をしたが、不二咲の代わりに「更に頑張る」と笑顔で全員と別れた。
その後、食堂へ戻ってきた生徒達。
するとそこへモノクマが現れ、「プレゼントを用意した」と言う。
「体育館に行け」との事だが、また動機が開示されてしまうのだろうか。
嫌な予感しかしないが、生徒達は行かざるを得なく、渋々全員で体育館へと向かった。

体育館に着くと、既に単独行動していた十神と腐川の姿があった。
探索中はジェノサイダーだったが、今は腐川に戻っている。
どうやら、クシャミをする事でジェノサイダーから腐川に戻るようだ。
そうこうしているうちにモノクマが登場し、予想通り動機の提示をしてきた。
今回は「金」だ。
額にして100億円。
シンプルにして、殺人の動機に十分成りえる代物だ。
しかし、外に出られないこの状況下で金をちらつかせるのは意味がないようにも思える。
おまけに、ここに集まっているのはただの高校生達ではなく、特別な才能を持った超高校級の生徒達だ。
それぞれが、金の為に殺人は犯さない、という思いを抱いているようだった。
その日は、その場で解散、各々部屋へと戻った。

翌朝、いつのものように朝食会が開かれる。
苗木が食堂に着くと、既にほとんどの生徒達が集まっていた。
セレスは、霧切に昨夜のアルターエゴの状況について「大丈夫でしたか?」と聞く。
霧切は「さっき確認しに行ったけど、ノートパソコンにも異常はなかった。ただ…勝手にアルターエゴを使うのは禁止よ」と再度警告するように言った。
人が頻繁に脱衣所を出入りしていれば、黒幕に気付かれる可能性がある。
普通に考えれば、霧切がここまで言う理由は分かりそうなものだ。
セレスも「あら…分かりきった事じゃないですか。どうして、そんな事を?」と不思議そうに霧切に尋ねる。
霧切は「さぁ…どうしてかしらね…?ねぇ、山田君?」と山田を名指しした。
山田は慌てる素振りを見せた直後「いいから、さっさとメシを食わんかー!」と話題を変えた。
霧切と山田の様子からして、もしかすると山田は個人的に脱衣所に行っているのかもしれない。
苗木は朝食会の後、自分の部屋へ戻った。
ゆっくりしていると、苗木の部屋のインターホンが鳴る。
ドアの向こうには石丸が立っていた。
石丸は部屋へ入ると「…本当か?不二咲くんと会えるって…」と、誰から聞いたのかアルターエゴの存在を苗木に尋ねた。
そして「本当なら…会わせてくれ…話が…したいんだ…」と石丸は苗木に頼み込んだ。
まだ大和田を亡くしたショックから抜け出せていない石丸を放っておく事も出来ず、苗木は仕方なく石丸を脱衣所まで連れて行った。
アルターエゴに向かって「兄弟を…恨んでいるか?兄弟を止められなかった僕を…恨んでいるか…?」と石丸は質問をする。
キーボードを打てる状態じゃなかった為、苗木が代わりにキーボードを打ち、アルターエゴに話し掛ける。
アルターエゴは「きっとご主人タマなら、こう言うと思うんだぁ…僕の分まで生きてください…僕は無理だったけど…みんなは必ずここから生きて帰ってね…って」と不二咲の気持ちを代弁した。
「ご主人タマ」とは、アルターエゴを作った不二咲の事だろう。
アルターエゴはもちろん不二咲ではないが、限りなく不二咲に近い存在だ。
本当に不二咲と今の段階で会話が出来たのなら、きっとそう言うのだろう。
「石丸君と大和田君は仲が良かったって聞いてるよ…だから、責任を感じてるんでしょ…?」とアルターエゴは石丸に言う。
続けて、不二咲に代わって画面に現れたのはなんと大和田だった。
そして大和田の顔で、声で「その責任の重さに潰れちまったんじゃねーだろうなぁ!?」と石丸に語り掛ける。
「男の重さってのはよぉ、その男が背負ってるモンの重さなんだぜ…わかるだろ…兄弟…?」とアルターエゴは続けて語り掛けた。
その後すぐに不二咲の顔に戻った。
どうやら、アルターエゴは不二咲が入力していた大和田の情報を元に、喋り方や石丸を励ます言葉を判断していたようだ。
すると、カラッポだった石丸の心にアルターエゴの言葉が染み込んだようで、石丸が覚醒した。
石丸はスーパーサイヤ人のようになり、「オウッ、もう心配はいらねーぞ!悪かったな、迷惑掛けちまってよぉ!」と苗木に言う。
何が起こったのか分からない苗木を置いて、そのまま覚醒した石丸は脱衣所から出て行った。
苗木は石丸を追いかけようと脱衣所の出口に向かった。
その瞬間、霧切と鉢合わせしてしまった。
霧切は静かに怒った顔で「…勝手な事しないで」とだけ言った。
「ご、ごめん…」と謝る苗木だったが、霧切は「謝る気持ちがあるなら、すぐにここから出て行って」と冷たく言う。
言い訳の余地もなく、苗木は脱衣所から出てそのまま部屋に戻り、眠りについた。

アルターエゴによる大和田からの励ましにより、覚醒した石丸

翌朝、苗木が食堂へ行くとそこには葉隠の姿しかなかった。
他の生徒達の様子を聞こうとしたところ、問答無用で葉隠に脱衣所まで連れて行かれた苗木。
脱衣所に入ると、いつも朝食会に参加している生徒達の姿があり、山田が「苗木誠殿!助けてください!」と苗木の姿を確認するや否や言ってきた。
何事かと状況を聞くと、霧切が「私は理由を聞いてるだけよ。どうして、2度も同じ過ちを犯したのか…?」と怒った表情をしている。
どうやら、山田は夜中に脱衣所に忍び込み、アルターエゴを勝手に使っていたのだという。
そして、あろう事か、アルターエゴと話しているうちに楽しくなってしまい、山田はアルターエゴに惚れてしまった。
「ご主人タマ」と「山田クンの話って面白いね」という言葉で、すっかり恋に落ちてしまっていた山田。
セレスはその話を聞き「アルターエゴは、あなたではなく、あなたの話に興味を抱いたのです」と山田をバッサリ切り捨てた。
続けて「アルターエゴが自分の知らない話に興味を持つのは当然なのです。その情報を欲しただけですわ」とセレスは山田に追い打ちをかけた。
山田もそれについては、理解はしているようだが、どうしてもアルターエゴが気になるようだった。
すると、今度は覚醒した石丸が脱衣所に入ってきた。
面倒な話をしている最中に、面倒な人物が入ってきてしまった。
葉隠が「お、石丸っち!復活したんか!?」と声を掛けると石丸は「石丸ってのは、どこのどいつだぁー!」と叫んだ。
葉隠も困惑した様子で「いや…オメーだべ…」と言った。
石丸はニヤリと笑い「オレは…石丸と大和田で…石田ってトコかな…」と言った。
意味不明な状況だが、大和田の魂が石丸の中に入り込んだという事だろうか。
そして、山田と石丸で結託し、愛で結ばれているだの、熱い絆で結ばれているだの言い出した。
霧切は呆れた様子で「あれは誰の物でもないわ…不二咲クンが私達全員に残した物…」と言った。
最終的に大神が「…霧切の言う通りだ。これ以上、我らの足並みを乱すようなら…我が相手になるぞ」と石丸、山田を威圧した。
圧倒的な大神の態度に山田と石丸は固まる。
そんな2人に大神は「返事がないようだが…?」と更に威圧する。
そのお陰で、2人は渋々勝手にアルターエゴを使わない事を改めて約束した。
全員で長居しているのも良くない為、話がまとまったという事で、その場は解散となった。

次の日、いつも通りに食堂へ向かう苗木。
今朝は、石丸と霧切の姿が見えない。
霧切に関しては、恐らくアルターエゴの確認に行ったのだろうが、石丸の所在は不明だ。
ひとまず、今居るメンバーだけで朝食を食べようとした時、久しぶりに十神とジェノサイダーが姿を現した。
十神は「説明するのも面倒くさい」と理由を明かそうとはしなかったが、2人は一緒に居たようだ。
そして、どこから嗅ぎつけたのか十神は「俺に話していない話があるはずだぞ…」と上から目線で言った。
アルターエゴの話だろう。
しかし、監視カメラのある食堂で話す訳にもいかず、おまけに今までずっと関わらずに居た人間に教えるというのもシャクだった。
「まぁいい…」と言って、十神は食堂から出て行った。
ジェノサイダーも十神に「来るな」と言われながらも十神を追いかけて食堂を出て行った。
その日、苗木は他の生徒達と話をし、部屋に戻りのんびりしていた。
すると、ドアの隙間から「食堂に集合せよ!」という達筆なメモが入ってきた。
誰が書いたのかも分からず、もしかしたら罠かもしれないと苗木は思ったが、ひとまずはメモの通り食堂に行ってみる事とした。
食堂に居たのは葉隠だった。
あのメモは、葉隠が入れた物らしい。
そして現在、実は全員脱衣所に集まっているらしく、黒幕にバレないよう「風呂でも行くべ!」と演技をしてから葉隠は苗木を連れて脱衣所へ向かった。
脱衣所では、全員が集合し、霧切がまた静かに怒っている。
「アルターエゴが…ノートパソコンが…なくなっているの…」と霧切は静かに言った。
アルターエゴには、知らない人物が入ってきたら叫び声を上げるように言っていた。
もしも黒幕がノートパソコンをどこかに持って行こうとしたなら、叫び声が上がっていたハズだ。
そのうち、石丸と山田で「お前がやったのだろう」という言い争いが始まった。
しかし、霧切は実は知らない人物同様、石丸と山田が来た場合にも叫び声を上げるように言っていた。
つまり、ノートパソコンを持って行ったのは黒幕でも、石丸でも、山田でもない。
消去法で行けば、十神、苗木、セレス、大神、朝日奈、腐川の誰かという事になってしまう。
十神は「前から考えていたんだ。俺達の中に内通者がいるんじゃないかとな…」とニヤリと笑った。
内通者の存在の有無は、証拠もない為、ひとまず保留となった。
アルターエゴの話に戻り、仮に誰かが持ち去ったのだとしても壊されている可能性はまだ低いだろう。
壊す事が目的ならば、持ち去るという面倒な事をせず、置いてあるノートパソコンを壊せばいいだけの話だ。
結局のところ、この学園に来てからは分からない事だらけだ。
夜時間になった事もあり、その場は解散となった。

翌朝、食堂では苗木、朝日奈、大神、霧切しか集まっていなかった。
仕方なく他の生徒達が集まるのを4人で待っていたが、集合時間を1時間過ぎても誰かが来る様子はなかった。
特に葉隠とセレスは、今まで一度も朝食会を欠席した事はなかった。
霧切は「うかつだったわ…アルターエゴに気を取られ過ぎてた…モノクマが動機を提示して、それで何事もなく終わるなんて…そんなはずないのに…」と悔しさを滲ませた。
4人で手分けして、来ていない生徒達の捜索を始めた。
1階を捜索していた苗木だったが、突然「誰かぁー!!来てぇー!!」という朝日奈の大きな声が聞こえ、3階に向かう。
慌てた様子の朝日奈は「そこの娯楽室のドアが開いてて…私…みんなを集めてくるから…苗木は先に行ってて…!」と要領を得ない説明で、朝日奈は大神と霧切を呼びに行った。
言われたまま、娯楽室へ入る苗木。
すると、ケガをしたセレスが居た。
何があったのかと聞くと、「妙な不審者」に床に転がっているハンマーで襲われたのだという。
娯楽室の床には確かにハンマーが落ちており、「ジャスティスハンマー1号」と書かれていた。
朝7時頃、不審者に襲われたセレスは、間一髪、不審者からの攻撃を避けたものの、そのまま転んでしまい、1時間程気絶をしていたようだ。
7時頃というと、朝食会の集合時間の頃だ。
セレスが食堂に姿を現さなかったのは、不審者に襲われ、気絶をしていたからだったのだ。
それからセレスが娯楽室に来た頃、不審者の他に実は山田も居たのだという。
不審者はセレスをハンマーで襲った後、山田を連れ去って行ったらしい。
朝日奈は「ねぇ、セレスちゃん…その不審者って何か特徴あった?」と聞くと「見て頂いた方が早いかもしれません」とセレスは以前預かったキャラクター物のデジカメを取り出した。
気を失う直前、セレスは不審者の姿をこっそりカメラに収めていたのだ。
確かに妙だ。
セレスが見せたのは、肩に「正義」と書かれたロボットが山田を連れ去って行く画像。
その後、不審者は左の方向に進んでいったらしい。
娯楽室の左方向には2階に降りる階段がある。
ひとまず、急いで山田を探しに行こうと全員で下の階へ降りた。

セレスを襲い、山田を連れて行った不審者の画像

2階に降り、図書室で山田を発見した一同。
山田が適当に命名した、先程の不審者「ジャスティスロボ」にハンマーで殴られたようで山田は頭から血を流していた。
図書室の床には、娯楽室に落ちていた物よりも大きいジャスティスハンマー2号が落ちていた。
ひとまず、山田の怪我の処置の為、全員で1階の保健室へ降りた。
その頃には、山田の頭から流れていた血も止まっていた。
落ち着いた山田から状況を確認する一同。
どうやら、セレスが襲われた30~40分後に山田は図書室でジャスティスロボに襲われたようだ。
その頃は、まだ苗木、霧切、朝日奈、大神はまだ食堂に居た。
途中合流した十神は、その時間ランドリーで選択をしていたようだ。
ジェノサイダーも十神と一緒に居た。
他に居ないのは、石丸と葉隠だ。
すると、十神が「ところで、霧切はどうしたんだ?」と全員に尋ねる。
先程、山田を捜索していた時にも霧切の姿は見かけなかった。
そして十神は「やはり、俺が考えている通り、あいつが内通者なのかもな」と、霧切を内通者だと疑っている様子だ。
しかし、今は内通者の話よりも不審者の捜索の方が先決だ。
次なる犠牲者を出さない為にも、再び保健室を出て不審者捜索を再開しようとした。
その時、セレスが階段の方を指差し「影です…あの階段の上で影が動きました!」と言った。
全員で急いで2階に上がり、ここからは手分けして不審者を探す事となった。
不審者を見かけたら、声を上げるようにと約束をしてバラバラに散った。
苗木も1人、不審者捜索に乗り出した。
しばらくすると、上の階から「ドッヒャァァァーーー」というセレスの声が響いた。
叫び声を聞きつけ、他の生徒達も3階に集合した。
セレスは3階の奥へ逃げ込む不審者の姿を目撃したという。
不審者を追いかけようとしたその時、今度は階下から山田の悲鳴が聞こえてきた。
山田の身に何かあったのかもしれない。
しかし、不審者を追わねば逃げられてしまうかもしれない。
苗木、朝日奈、セレスは1階の保健室へ、腐川、十神、大神はそのまま不審者捕獲と手分けをした。
保健室に飛び込んだ苗木達の目に飛び込んできたのは、血の海の中で動かなくなった山田の姿だった。
間髪入れず、モノクマの死体発見アナウンスが流れる。
山田が殺されてしまった。
山田の死体の横には、ジャスティスハンマー3号が置かれている。
やはり2号よりも大きくなっていて、この大きさならば十分凶器になる。
仮に不審者が殺したのであれば、つい先程3階でその姿をセレスが目撃している。
1階の保健室に居る山田を殺すのは不可能だ。
しかし、今はそんな事を考えている暇はない。
苗木は他のみんなに、山田の死を伝える為、再び3階へと向かった。
3階の一番奥の部屋、物理室に飛び込んだ苗木。
その目に映ったのは、今日2度目の悪夢だ。
山田と同じように頭から血を流し、死んでいる石丸の姿がそこにはあった。
朝からずっと姿を見かけなかった石丸は、既に殺されていたのだ。
石丸の死体の横には、何故か腐川も転がっている。
心配して声を掛ける苗木に十神は「安心しろ。そいつは血を見て卒倒しただけだ」と説明する。
それから、石丸の横には腐川だけでなく、ジャスティスハンマー4号が転がっていた。
3号よりも、凶器にするには重そうな程の大きさになっていた。
大神と十神は「なぜハンマーは4号なのか」と疑問を抱いていた。
そこでようやく苗木が、1階の保健室で山田も殺されていて、3号はそこにあったと事情を説明した。
急いで保健室へ向かおうと、苗木、大神、十神は物理室を出た。
すると、ドアから出た所でセレスが居た。
セレスは、朝日奈と共に山田の死体の見張りをしているはずだ。
十神が「聞いたぞ、山田が殺されたんだろう…?」と言うと、セレスは神妙な面持ちで「それだけでは…なくなりました…」と言った。
続けて「山田君の死体が消えてしまったのです!」と言った。
セレスの話を聞き、急いで保健室へ向かう一同。
本当に血だまりが残っているだけで、山田の死体は忽然と消えていた。
セレスと朝日奈が、トイレに立ったほんの1分程の間に消えてしまったようだ。
今回の事件は、立て続けに2件の殺人が起きた上、死体消失もあり、今までの事件とは違った計画性が見える。
朝日奈は「みんな…あの不審者に殺されちゃうよ…」と怯えている。
そこで十神が「…だとしたら次の標的は腐川あたりか」と腐川の名前を口にする。
そういえば、苗木が物理室に行った時、腐川は血を見て卒倒したと言っていた。
保健室に向かう時、腐川をそのままの状態で置いてきてしまった事を苗木と大神も思い出す。
今度は急いで物理室へと向かう一同。
なんと、物理室に確かにあったはずの石丸の死体すらも消えていた。
今度は、全員で死体を捜索し、ようやく見つけたのは美術準備室だった。
すると、2回目の死体発見アナウンスが鳴った。
なぜここで再び死体発見アナウンスが鳴るのか。
分からない事だらけの状況の中、モノクマが登場しモノクマファイルを配った。
「さっき、死体をめっけた時に配っておこうと思いつつ、まだ何かありそうだから出し惜しみしてたんだけど…正解だったね!」とモノクマは1人楽しそうに去って行った。
朝日奈は泣きながら山田の体を抱え上げ「誰が…こんな事…」と呟いた。
朝日奈の涙が山田の顔に落ちると、フィクションのような奇跡が起きた。
死んでいるはずの山田が目を開け、途切れ途切れに話し始めたのだ。
「思い出した……希望ヶ峰学園…僕は……みんなと出会う前から……みんなと出会っていたんだね…」と山田は最期の言葉を語る。
意識がなくなりそうな山田に朝日奈は「…ねぇ、山田。誰にやられたの!?誰があんたを襲ったの?」と必死に話し掛ける。
山田は「犯人の名前…僕は知ってる…思い出したんだ…や…やす…ひろ……」とだけ言い、動かなくなってしまった。
「やすひろ」という名前で心当たりがあるのは、「葉隠康比呂」だ。
朝からずっと姿が見えない葉隠が犯人なのだろうか。

犯人の名前を思い出したと言う山田

早速、2人を殺した犯人を突き止める為、捜査を開始した生徒達。
大和田が死んでしまった今、死体の見張りは大神と朝日奈で行う事となった。
まずは、モノクマファイルの確認からだ。
「被害者は山田一二三と石丸清多夏。両名とも致命傷は頭部の殴打。それぞれ、似たような凶器で殺されたものと思われる」
モノクマファイルの情報はいつも通りシンプルだった。
それから美術準備室の捜査だ。
壁にはハンマーがいくつも掛けられていたはずだが、その内の何本かが無くなっている。
更に壁に掛かっているハンマーの一つは、水で洗われた痕跡が残っていた。
石丸の死体の下には青いビニールシートが敷かれていて、端には石丸の物と思われる血痕がついている。
元々、物理室にあった物を使い、死体運搬に使ったのだろうが、そもそもなぜ犯人は死体を移動させる必要があったのだろうか。
続いて山田の死体を確認すると、初めに保健室で死体を発見した時には、メガネにも血がついていたが、今はメガネの血は拭かれている。
何か意味がありそうだが、現時点では分からない。
それから、美術準備室の隅には台車が置かれていた。
台車もブルーシート同様、元々は物理室にあった物だ。
更に台車のタイヤには血痕が確認出来る。
これも死体運搬に使われたのだろう。
苗木は証言の聞き取りも行った。
不審者捜索をしていた際、朝日奈と大神は、この美術準備室に真っ先に来たらしい。
しかし、その際準備室に続くドアの鍵は閉まっていたというのだ。
ドアノブを確認すると、確かに鍵が掛かるようにはなっているが、部屋の内側からのみしか掛けられないようになっている。
その後、消失した2人の死体を探す時には準備室のドアの鍵は開いていた。
この間に一体何があったというのだろう。
美術準備室の捜査を一通り終え、今度は物理室に向かった苗木。
石丸が倒れていた部分には血だまりがあり、その血だまりの一部は部屋の扉の方に向かって車輪のような跡が伸びていた。
卒倒していた腐川は目を覚まし、ジェノサイダーの人格になっていた。
ジェノサイダーが目を覚ましたのは、死体運搬後だったようで、犯人の姿は見ていないようだ。
物理室には他にこれと言って目ぼしい物がなかった為、苗木は山田の死体が消えた保健室へ向かった。
保健室には冷蔵庫が置いてあり、その中には輸血用の血液パックが大量に保管されている。
他にもゴミ箱の中には、山田の好きなキャラクターデザインのメガネ拭きが捨てられている。
メガネ拭きには血痕がある。
一通り保健室を調べ終え、廊下に出た苗木を待っていたのは十神だった。
「面白い物を見つけた。葉隠の部屋に行ってみろ」とだけ言い、十神は去って行った。
それを言う為だけに苗木を待ち伏せしていたのだろうか。
ひとまず苗木は十神に言われた通り、葉隠の部屋を訪れた。
部屋の中央にはいくつかのダンボールが置かれている。
ダンボールの中には、石膏やプラスチック、ダンボール紙等で作られた何かの部品と、下手な字で書かれたジャスティスロボの設計図が見つかった。
何故こんな物が葉隠の部屋に置いてあるのだろうか。
不思議に思いつつも部屋を出た苗木。
今度は寄宿舎エリアの廊下で朝日奈と会った。
朝日奈は「霧切ちゃんが見つかったって!!それと、ジャスティスロボまで参上しちゃったんだって!……の衣装を着た葉隠がね」と言い、報告しようと苗木を探していたようだ。
苗木は朝日奈と一緒に、霧切と葉隠を見つけたというプールへと向かった。
そこにはジャスティスロボが居たが、会話をしてみると、確かに中身は葉隠のようだ。
捜査をしていた霧切が、プールのロッカーにはまっていた葉隠を発見したらしい。
ついでに苗木は霧切が今までどうしていたのか尋ねたが、答えたくないのか霧切は「何でもないわ」という返事しかしなかった。
とにかく、葉隠にジャスティスロボの衣装を脱ぐように生徒達は言うが、背中の留め具がしっかり閉まっており、自分では脱げないようだ。
数人で手伝い、ようやく葉隠が顔を出した。
葉隠が脱いだ後のジャスティスロボの衣装を見て朝日奈は「これってビックリするくらい、葉隠の体型に合わせて作ってあるんだね?」と言った。
試しに朝日奈も着てはみたが、視界が悪い上に、腰の辺りは全く曲がらないという設計ミスが多い衣装だった。
また、何も知らない中、犯人扱いされ困惑する葉隠に、苗木は山田と石丸が殺された事を説明する。
そもそも、何故葉隠がこんな場所に閉じ込められ、今まで眠らされていたのか。
それは、昨夜にまで遡る。
昨日の夜、葉隠の部屋のドアに「抜け道らしき穴を見つけた。ここから出られるかもしれない。モノクマに勘付かれないようみんなには内緒で深夜1時に娯楽室に集合」と書かれたメモが挟まっていた。
それを見て、深夜に娯楽室まで行った葉隠だったが、そこからの記憶はなく、今に至るという事だった。
しかし、そのメモも今は失くしてしまったようで、葉隠の証言のみとなる。
朝日奈は、既に葉隠を犯人だと決め込んでいるようだ。
ひとまず、自分の潔白を証明する為、葉隠はメモを探しにどこかへ行ってしまった。
その後、霧切が苗木に「捜査を手伝ってほしい」と依頼する。
今まで霧切がどこに居たのかは不明だが、恐らく彼女も葉隠同様、現場等は見ていないのだろう。
苗木は山田と石丸の死体がある美術準備室へ連れて行った。
すると霧切は「苗木君、早速見つけたわよ」と苗木に死体の状況を説明する。
石丸はいつも左腕に腕時計をしていた。
腕時計は6時過ぎの時刻で止まっている。
盤面のガラスが割れている事から、犯人に襲われた際、石丸が抵抗して腕時計が壊れてしまったのかもしれない。
また、石丸の腕時計をしている左手には、紙の切れ端が握られていた。
重要な部分は切られているので、何が書かれていたのかは不明だ。
それから霧切は「山田君がパンツの中に隠し持っていたわ」と平然と言って、丸められた紙を出してきた。
丸められたメモを広げると、そこには「抜け道らしき穴を見つけた。ここから出られるかもしれない。モノクマに勘付かれないようみんなには内緒で早朝6時に物理室に集合」と書かれていた。
葉隠が言っていた内容とほぼ一致するが、指定されている日時が異なっている。
おまけに、このメモの右端部分は破れた跡が残っていた。
メモを読み終わった直後、学級裁判の始まりを告げる放送が流れる。
捜査を切り上げ、苗木は霧切と共に裁判場へと向かった。

山田が隠し持っていたメモ

3回目の学級裁判が始まった。
最初に朝日奈とセレスは「葉隠が犯人だ」という主張を始める。
しかし、苗木は葉隠の部屋で見つけたジャスティスロボの設計図をみんなに見せる。
設計図に書かれた字は平仮名も多く、下手だ。
以前、葉隠が書いた「食堂に集合」というメモはかなりの達筆だった。
つまり、設計図の文字を書いたのは葉隠ではない。
ただ単に、葉隠は犯人にハメられたのだ。
おまけにジャスティスロボの衣装は自分で脱ぎ着出来ず、視界が狭かったり、腰が曲がらなかったりと設計ミスも多い。
あの衣装を着たまま動き回るのは、いくら葉隠の体にピッタリ作られていたとしても至難の業だ。
葉隠は、真犯人にハメられ、ジャスティスロボの衣装を着せられた状態でプールのロッカーに押し込められた可能性が高い。
しかし、セレスは未だに葉隠を犯人にしようとしている。
埒が明かない為、議論を事件の方に戻した。
まず、石丸の殺害についてだ。
モノクマファイルに明言はされていなかったが、腕時計が壊れた時間と山田が隠し持っていたメモから察するに石丸が殺されたのは午前6時前後だろう。
夜時間が明ける前の時間帯の為、全員にアリバイは存在しない事になる。
続いて山田の事件について。
山田の悲鳴が聞こえたのは、食堂に来ないメンバーを捜索中、全員が同じ場所に居た時だ。
ほとんどの人間にアリバイがある。
ただし、その時から居なくなっていた葉隠と霧切を除く。
更に、死体消失時にも葉隠と霧切以外の全員は行動を共にしていたりとアリバイはある。
しかし、そこで疑問となるのが、山田の巨体を、朝日奈とセレスがトイレで居なくなった1分程の間に1階から3階まで動かせる人物が居るのかという事。
苗木は、保健室にあった輸血パックや血を拭いたような跡のあるキャラクター物のハンカチを思い出し、仮説を立てた。
山田の悲鳴が上がり、みんなが駆けつけた際、実は山田がまだ生きていたのではないかという仮説だ。
そして、朝日奈とセレスが保健室から出た瞬間、ハンカチでメガネに掛かっていた血を拭き、自分の足で3階に向かったのではないだろうか。
気になる点はもう一つある。
死体発見当時は、気が動転していて気付かなかったが、死体発見アナウンスのタイミングだ。
山田の悲鳴を聞き、駆けつけた1階組と石丸の死体を発見した3階組は、恐らく同時に死体を発見している。
その時に死体発見アナウンスは確かに流れたが、死体消失後、2人の死体を見つけた時にも死体発見アナウンスが流れていた。
つまり、最初の死体発見アナウンスは石丸の死体に対してであり、山田はまだ生きていたという説が成り立つ。
そして2回目に流れた死体発見アナウンスは、本当に殺害されてしまった山田の死体に対してだったのではないだろうか。
まだ仮定の段階に過ぎないが、苗木はこう推理した。
まず、山田は例のメモで午前6時に石丸を物理室に呼び出し殺害。
午前8時過ぎに、他の生徒達が山田を見つけた際、図書室で「ジャスティスロボに襲われた」と証言する。
その後、保健室で休むフリをして、冷蔵庫の輸血パックを使い、死んだふりをして他の生徒達に目撃させる。
朝日奈とセレスがトイレに行ったタイミングで、保健室から抜け出し、3階の物理室へ向かった。
そしてブルーシートと台車を使い、石丸の死体を美術準備室まで運び、中から鍵を掛けた。
その後、後からやってきた真犯人に撲殺され、山田は本当に死んでしまった。
山田を撲殺した凶器は、恐らく美術準備室にあった、洗われた痕跡のあったハンマーだろう。
一つ一つ、仮定でしかなかったが、事件を振り返ると山田は真犯人の「共犯者」という位置がしっくりくる。
死んだふりをして、死体運搬させたのにも関わらず、山田本人も死んでいた。
山田は「共犯」であったはずの真犯人に殺されたのではないだろうか。
そう考えると、今回の一連の事件はジャスティスロボを実際に「見た」と言ったのはセレスだけだ。
全員が全員、セレスの「どこどこでジャスティスロボを見た」「あそこにジャスティスロボがいた」という証言に基づき行動していたのだ。
山田が死んだふりをした後、3階に移動出来たのも、セレスが朝日奈をトイレに連れ出したからこそ可能になった事だ。
苗木は十神の手助けを借りながら、セレスを追い詰めていく。
しかし、そこは「超高校級のギャンブラー」。
いつものポーカーフェイスを崩さず、セレスはただ否定する。
「山田くんは犯人を「やすひろ…」と言い遺しました。犯人は葉隠康比呂ですわ」と、セレスは一貫して葉隠を犯人にしようとしている。
ここで気になるのが、山田の呼び方だ。
山田はいつも、みんなを「フルネーム+殿」で呼んでいた。
苗木の事は「苗木誠殿」、霧切の事は「霧切響子殿」といった具合だ。
そう考えると、仮に山田が葉隠の名前を口にしようとしたのなら「やすひろ」ではなく「はがくれ」から始まるはず。
ただ、この場には「やすひろ」と苗字につく人間は居ない。
そこで苗木は「いや、一人だけ可能性があるんだ。本名を明かしていないセレスさん。キミだけが…」と言った。
するとセレスは、ポーカーフェイスを崩し、すごい形相で「わたくしの本名は、セレスティア・ルーデンベルクだっつってんだろぉがあああ!!!」と叫んだ。
直後は、いつものポーカーフェイスに戻り「わたくしの本名を確かめる手立てなんてありませんわ」とニッコリ笑った。
しかし、苗木は怯まず「いや、あるよ…」と言う。
そう、不二咲の性別も正しく表示され、全員に配られている電子生徒手帳だ。
「セレスティア・ルーデンベルク」というのが本名でない事は、当然全員が分かっている。
しかし、恐らく電子生徒手帳には本名が表示される。
セレスの電子生徒手帳を起動させれば、確認するには十分だ。
そこまで言ったところで、苗木が「犯人はキミだって認めるね」とセレスに言う。
するとセレスは「いやですわ、キミだなんて教授みたいな口ぶり。セレスティア・ルーデンベルク。もしくは…安広多恵子、で結構ですわ」とニッコリ笑って言った。
セレスの本名は「安広多恵子」だった。
山田が意識が遠のきながらも口にした「やすひろ」。
あれは、セレスの本名の事を言っていたのだ。
セレスは「負けてしまいましたわね…非常に残念です」と視線を落とした。
続けて「…やはり、他人と組んだ事が、そもそもの間違いだったようですわね。山田クンのおっちょこちょいぶりは、わたくしの計算を、はるかに超えていましたもの…」と言った。
始まりは、アルターエゴがなくなったという話をした直後、セレスが山田の部屋を訪れた事から。
セレスは、「石丸がアルターエゴを盗んだ」という嘘を山田についた。
それも、石丸がセレスに乱暴をし、写真を撮られ、脅され、セレスに代わりに盗ませに行ったとまで嘘をついたのだ。
実際には、石丸に脅されてなどいないセレスが山田を共犯にする為にアルターエゴを盗んだのだ。
すっかり騙された山田は、共犯になる事を決めた。
しかし、今となってはセレスも山田を共犯にしたのは「人選ミスだった」と語る。
ジャスティスロボの設計をしたのは山田だったが、セレスもまさか「あんな物を作ってくるとは思いませんでしたわ」とこぼしていた。
ちなみに、葉隠を容疑者に仕立てようとしたのは「バカだから」という単純な理由だった。
セレスは、この学園生活が始まった頃から他のみんなには「ここでの生活を受け入れるべき」と提唱し続けていた。
その実、セレスは他の誰よりもこの学園から抜け出す方法は無い物かとずっと思っていた。
セレスには夢があった。
裏世界の命がけのギャンブルに挑んでいたのも、その夢を果たす為だった。
セレスの夢というのは「西洋の城に住み、世界中から集めたイケメン執事達に囲まれて一生を過ごす」事だった。
それがセレスの夢であり、人生のノルマだった。
現在、セレスが保有する資産と、モノクマが提示してきた100億を足せば、十分に叶う夢だったのだ。
その夢も、学級裁判によって儚く散る事になった。
しかしセレスは「ですが、悔いはありませんわ。最後まで夢にチャレンジし続けた結果ですもの」と言った。
そんなセレスを見て朝日奈は「わかってんの?あんたはこれから殺されるんだよ…?」と怒ったように言う。
セレスはニッコリ笑い「わたくしの嘘は、他人だけでなく、自分の気持ちすらも騙せるのです」と言った。
苗木はセレスが最後に見せた笑いが、いつもよりも下手な作り笑いだと感じた。
もしかすると、「自分の気持ちすらも騙せる」と言った事が、セレスの最後の嘘だったのかもしれない。
モノクマがおしおきを始める直前、セレスは霧切にアルターエゴを隠しているロッカーの鍵を渡した。
その後セレスは「また、来世でお会いしましょう」と言って、処刑場に連れて行かれた。
石造りのような城のステージに立つ、杭に縛りつけられたセレス。
足元には藁があり、そこに火がつけられた。
燃え盛る炎で火あぶりにされながら、セレスは最期までポーカーフェイスを崩さず、ほほ笑んでいた。
その直後、モノクマの操る消防車が猛スピードでセレスの元へと突っ込んだ。
鎮火もされ、おしおきは終わった。

また1人、仲間を失ってしまった。
いや、今回失った仲間は3人だ。
ただし、残された生徒達には、まだ希望が残っている。
アルターエゴの存在だ。
セレスは、アルターエゴを盗んだというより、ロッカーの場所を移動させただけだったのだ。
裁判終了後、脱衣所の前まで来て、霧切が「ここから先は私だけで行くわ」と言った。
霧切が内通者と疑っている十神は「お前だけで行かせるわけにはいかない」と霧切を止める。
そこで苗木は、証人として自分もついていくからと十神を納得させた。
苗木と霧切は脱衣所に入り、セレスから預かった鍵でロッカーを開け、アルターエゴと再会した。
アルターエゴは「えへへ、なんだか久しぶりだねぇ!」と笑った。
そしてアルターエゴは、「ハードディスクのファイルが早ければ明日にでも開けそう」だと報告する。
ファイルの解析は再びアルターエゴに任せ、脱衣所を出ようとした霧切を苗木は止めた。
たまに姿を見かけなくなる霧切。
「1人で何をしようとしてるの?心配してるんだよ…!ボクは…霧切さんの事を信じてるんだ」と苗木は霧切に伝える。
「心配」「信じてる」という苗木のセリフに驚く霧切。
少し考えた後、霧切は「じゃあ、私も少しは信じてみようかしら…」と言った。
霧切が姿を消していた時間、どこに居て、何をしていたのか、苗木に話し始めた霧切。
監視カメラもモニターもついていない、学校エリア2階の男子トイレの奥。
霧切は「そこに行けば分かる」と言った。
苗木はその後、夜時間になるのを待ち、言われた通り、2階の男子トイレに向かった。
トイレの奥には用具置き場になっている。
一見すると変わった所はない。
しかし、霧切が言うからには本当に何かしらあるのだろうと用具置き場を探し始める苗木。
すると、壁が回転し、なんと隠し部屋に行けたのだ。
隠し部屋は書斎のようになっていて、本棚にはびっしりと本が入っていた。
この隠し部屋にも、監視カメラはないようだ。
苗木は本棚に近づき、気になるファイルを見つけた。
「希望ヶ峰学園第78期生在学者名簿」と書かれたファイル。
78期生とは、正に苗木達の事だ。
ファイルをめくっていくと、1枚の紙きれを見つけた。
そこには大きく「ここから出てはいけない」と書かれている。
苗木は不思議と、この言葉をどこかで聞いたような気がしていた。
しかし、頭には靄が掛かり、それ以上思い出す事は出来ない。
その直後だった。
頭をフルフェイスマスクで隠し、白衣を着た謎の人物に苗木は後ろから殴られ、気絶してしまった。

次に苗木が目を覚ました時には、先程までびっしり入っていた本棚の本がすっかりなくなっていた。
さっき、苗木を襲った人物が持って行ってしまったのだろう。
襲われた衝撃の頭痛もひどく、それ以上どうする事も出来ない為、苗木はひとまず部屋に戻る事にした。
部屋に戻る途中、打撃音がどこからか聞こえ苗木は立ち止った。
音は体育館の方からだ。
体育館の扉の隙間から中を確認すると、何やらモノクマと大神が死闘を繰り広げていた。
「どういうつもり?約束が違うじゃん!」とモノクマは大神に言っている。
大神は「…我は決心したのだ!もう退かぬ、もう媚びぬ、もう顧みぬと…お前と…戦うと…ッ!!」と力強い言葉でモノクマに言い放った。
モノクマはそれを聞き「ふーん。でもわかってるよね?人質の事…」と言っていた。
モノクマの内通者は、大神だったと思わせるような会話の内容だった。
予測不能な事態が次々に起き、いよいよついていけなくなった苗木は重い体を引きずり、何とか部屋まで戻った。

隠し部屋で謎の人物に襲われた苗木

学級裁判翌日の朝。
朝食会に集まるメンバーはもう5人になってしまった。
生き残りは7人だが、腐川と十神は相変わらずの不参加だ。
昨晩、体育館で見た光景は何だったのだろうか。
大神は変わった素振りも見せず、いつも通りだ。
苗木も、みんなの前で聞く訳にも行かず、静かに口を閉ざした。
朝食後、また新たなエリアが開放されているだろうという事で学園内の探索をする事にした。
今回開放されたのは、学園エリアの4階だ。
4階には化学室、音楽室、学園長室、情報処理室、職員室があった。
しかし、重要な物が置かれていそうな学園長室、情報処理室については鍵が掛かっている。
音楽室は音楽ホールになっており、小さなコンサートであれば普通に開催出来る位だ。
霧切も音楽室を訪れていた。
苗木の姿を確認すると「男子トイレの隠し部屋はどうだったかしら?」と霧切は聞いた。
苗木は「隠し部屋は見つけたんだけど…調べ物をしようとした途端、急に誰かに襲われて…」と昨日の出来事を話した。
霧切は目を丸くして驚き「襲われた…?誰に襲われたの…?」と苗木に聞く。
しかし、背後から襲われた為、苗木自身は犯人の様子は確認出来なかった。
それから、襲われた後に気が付いたら本棚の本が丸ごと無くなっていた事も苗木は霧切に報告した。
霧切は「…平気よ。私はもう見てるから」と苗木を心配する訳でもなく、冷静に言った。
それから、驚いた表情を見せたものの、霧切はあの部屋に苗木が行けば黒幕に襲われるかもしれないという予想はしていた。
トイレには監視カメラはないが、当然廊下には監視カメラが設置されている。
男子トイレに霧切が入って行く姿も黒幕は知っていたのだろう。
同じ場所へ、今度は苗木が来れば黒幕も動かざるを得ない。
苗木が黒幕に襲われる可能性を見越していながら、霧切が苗木を隠し部屋に行かせたのは、あの部屋が黒幕にとってどんな意味を持つのか確かめたかったから。
淡々と苗木に今回の狙いを説明する霧切。
そして「…次は、あなたの番ね。あなたの秘密を聞きましょうか」と、苗木にも隠し事がある事に気付いて霧切はそう言った。
苗木の隠し事とは、当然昨日見た大神とモノクマのやり取りだ。
しかし、現段階で確証がある訳ではない。
まだ話すべきではないと苗木は判断し「ごめん…今はまだ…言えないんだ…」と霧切に告げる。
すると霧切は「それが…あなたの答えなのね?人の話は聞いて、自分の事は話さないなんて卑怯じゃない…?もういいわ…」と怒った表情を浮かべ去って行ってしまった。
霧切にしては珍しく、感情が表に出てきていた。
確かに「仲間なんだから信じて話して」と言ったのは苗木だった。
霧切が怒るのも無理はないが、現段階では苗木にもどうする事も出来なかった。
その後、苗木は気を取り直して化学室へと向かった。
化学室には、かなりの数の薬品が揃っている。
毒薬までもが置かれており、危険な香りがする。
しかし、朝日奈と大神の体育会系女子2人はプロテインやサプリがあると喜んでいた。
最後に苗木は職員室を訪れた。
職員室だが机と椅子が並べられているだけで、職員の姿は一切見当たらない。
ふと床を見ると、一枚の写真が落ちていた。
よく確認しようと、苗木は写真を拾い上げ、直後に驚愕した。
窓に鉄板等ない教室で、楽しそうにじゃれている舞園、セレス、山田の姿がそこには写っていた。
以前、美術準備室で見つけた大和田、桑田、不二咲の写真と同じように、平和な学園生活がそこには写っていた。
しかし、写真自体が捏造の可能性もある。
苗木が呆然と写真を見ていると、モノクマが現れ、またも写真を奪い取った。
「写真は本物。それ以上でもそれ以下でもないよ」とモノクマは言って去って行った。
モノクマの言葉を信じるならば、以前見つけた3人の写真同様に舞園、セレス、山田もここに来る前から知り合いだったのだろうか。
いつまで経っても、この学園は分からない事だらけだ。
一通りの探索を終え、苗木は食堂に戻り、みんなが戻ってきてから報告会を開いた。
全員が報告を終え、霧切に話し掛ける苗木だったが、霧切は無言のままスルー。
どうやらまだ怒っているようだ。
そうこうしているうちに、十神が食堂までやってきて、それとなくアルターエゴのファイル解析が終了した事を告げた。
全員で更衣室まで移動し、アルターエゴの分析を聞く。
どうやら、希望ヶ峰学園では「ある計画」が進行していたようだ。
「希望ヶ峰学園に高校生達を隔離し、共同生活を送らせる。場合によっては学園内で一生を過ごさねばならない」という計画だった。
そして、そのような計画が立てられた理由は1年前に起きた事件にある。
「人類史上最大最悪の絶望的事件」という名の悲惨な事件だ。
この事件が原因で希望ヶ峰学園は教育機関としての機能を失い、閉鎖を余儀なくされた。
学園内隔離計画の発案者は、希望ヶ峰学園の学園長。
モノクマの事ではなく、30代後半の男性で本来の希望ヶ峰学園の学園長の事だ。
そして、その学園長は現在も希望ヶ峰学園の中に居る可能性が高いらしい。
その話を聞き、霧切だけが「学園長が…この学園の中に…!?」とかなりの驚きを見せていた。
しかし、原因となった事件や隔離計画の詳細や理由についてのデータはパソコンの中に残っておらず、分からないままだ。
現在の状況の黒幕は、もしかしたら今もどこかで生きている本物の学園長なのかもしれない。
ひとまずこれで、アルターエゴの役目は終わった。
アルターエゴは「じゃあ、ちょっと休もうかな…じゃあね、みんな…」と少々悲しそうな表情をして、パソコンの電源が落ちた。
情報共有も終わり、その日は部屋に戻ろうと全員が更衣室から出た高校生達を迎えたのはモノクマだ。
何やら怒っている様子だ。
しかし、怒りの理由について明かす気はないようだ。
「ボクは、やられたらやり返す子なんだよ」とだけ言って、モノクマはどこかへ行ってしまった。
昨日、苗木が目撃した大神との死闘に関係しているのだろうか。

ノートパソコンの中にあったファイルの分析結果を伝えるアルターエゴ

翌日の夜、例のごとくモノクマが全員を体育館に招集した。
恐らくまた動機の提示だろう。
全員体育館に集まり、モノクマが出てきたところで話は始まる。
「今回、オマエラを集めたのは、ボクの恨みを晴らす為なんだよ」とモノクマは言う。
そして「十神クンは前に言ってたよね?オマエラの中にボクの内通者がいるんじゃないかって…教えてあげるよ、内通者の正体は大神さくらさんです!」とモノクマは突然内通者の暴露をした。
当然、親友である朝日奈は「さくらちゃんが内通者なんて…そんな訳ないじゃん!」と抗議する。
しかし、当の大神は黙ったままだ。
モノクマは「それと、大神さんにはそろそろ『約束』を果たしてもらおうかなーと…じゃないと、人質の件…責任持てないよ…?」と大神に言った。
最後に「ボクが言いたいのはそれだけだよ。内通者の件はオマエラの好きにするといいよ」と言って、モノクマはどこかへ行ってしまった。
衝撃の事実に戸惑う面々。
朝日奈だけは頑なに「そんなはずない!」と大神を信じていた。
霧切が「どうなの、大神さん?違うなら違うとハッキリ言って」と言うと大神は「黙っていて…すまなかった…」と内通者であった事を認めた。
体育館の中は混乱と大神への疑念で溢れていた。
苗木は、昨日見た出来事、大神が誰かを人質に取られた事で内通者になった事、今はモノクマと戦う決意をした事を説明した。
しかし、十神や葉隠、腐川は大神をもう信じられなくなっている。
十神は、大神に「黒幕とは何者か」「黒幕から何を命じられていたんだ」と質問をぶつける。
大神は、黒幕については知らず、命じられていたのは「仲間の誰かを殺すこと」だったと回答する。
それを聞き、十神は「なるほど…それで今も、俺達の命を狙っているわけか…」と鼻で笑った。
十神の挑発にも大神は「黒幕と刺し違えてでも倒してみせる。それが…我の責任の取り方だ…」と静かに言った。
最後に「言えずに本当にすまなかった…」と言って、みんなの前から姿を消した大神。
その後、夜時間となり大神を「敵だ」とする十神と「味方だよ!」とする朝日奈の言い合いは続いたが、ひとまずその日は解散となった。

翌朝、苗木が食堂へ行くとここの所ずっと不参加だった、十神と腐川の姿があった。
十神は「大神の脅威から身を守る為に、わざわざここに来たんだ」と昨日の状態のままだった。
昨日の続きをするように、十神と朝日奈の言い合いは始まってしまう。
霧切は冷静に「ねぇ…そうやって争う前に、もう1度よく考えてみたらどうかしら?」と2人を止めるように言った。
「きっと、大神さんの事をバラす事こそが、黒幕の用意した『動機』だったはずよ。疑心暗鬼から生まれる憎しみ合い。このいがみ合うのは、黒幕の思う壺よ」と霧切は続けた。
朝日奈は「じゃあ、どうすれば…みんなは、さくらちゃんの事を信じてくれるの…?」と涙を浮かべて訴えた。
「本当に黒幕をやっつけてくれたら…」と言う葉隠だったが「そんな無茶させてもしもの事があったらどうするの!?」と、結局朝日奈を納得させることは出来なかった。
そこで十神は「大神が死んだところで黒幕側の人間が1人減るだけだ。別に構わないじゃないか…」と暴言に近い発言をした。
その時だった。
朝日奈の手が十神の顔に飛んだ。
あまりの暴言に遂に朝日奈がキレ、十神を平手打ちしたのだ。
霧切はもう一度「そんな風に争っていたら黒幕の思う壺…それは、大神さんだって望んでないはずよ…」と争いが止まらない2人に言う。
朝日奈は怒りに震えながら、部屋へと戻って行った。
十神は去って行く朝日奈を横目に「結局、ただのヒステリーだったか…面白くもなんともないな」と吐き捨てるように言った。
少しずつ生まれていた仲間意識が、またも簡単に崩れてしまった。

さらに翌日、食堂に向かおうとして廊下に出た苗木の耳に届いたのは誰かの悲鳴だ。
何事かと苗木は急いで食堂へ向かった。
そこには、肩を押さえて座り込む朝日奈とハサミを持ったジェノサイダーが居た。
一緒に居た葉隠はパニックになりながらも「腐川っちと朝日奈っちが…いきなり取っ組み合いになって…」と苗木に説明した。
そうなってしまった理由は分からなかったが、ジェノサイダーが「いいからそいつを連れて行けって。でないと切り刻んじゃうわよ!」と苗木と葉隠に言う。
状況を把握出来ない苗木だったが、ひとまず応急処置の為、葉隠と一緒に朝日奈を保健室まで連れて行った。
先程よりは多少落ち着いた朝日奈に事情を聞くと、どうやら大神の事で腐川と口論になり、その途中でジェノサイダーと入れ替わってしまったようだ。
その直後、誰に聞いたのか大神が物凄い勢いで保健室に飛び込んできた。
朝日奈の傷を見て、苗木と葉隠に事情を聞く。
葉隠は「お、俺じゃねーぞ!ジェノサイダーだべ!」と慌てて自分の釈明をする。
それを聞き、大神は「裏切った自分ではなく、大事な親友の朝日奈が傷つけられたこと」に強い怒りを覚え闘気を爆発させている。
そこへ「…なんの騒ぎ?」と大神の声を聞きつけた霧切も保健室に現れた。
苗木は慌てて「霧切さんッ!霧切さんも大神さんを止めて!」と霧切に助けを求める。
しかし、大神は「我は何もしない…ただ…けじめをつけるだけだ…」とだけ言って、保健室を去った。
大神を追いかけ、朝日奈も保健室を出て行った。
いつの間にか葉隠も居なくなっており、保健室には霧切と苗木が残った。
苗木は思い切って「…まだ怒ってる…?」と霧切に聞いた。
霧切は少し黙った後「もう…いいわ…あなたが隠していたのは大神さんとモノクマの件。言わなかったのは大神さんを思っての事だったんでしょ?」と言った。
続けて「彼女自身に確認するまで、不確かな情報でみんなを混乱させる訳にはいかないものね…」と霧切は、苗木が隠し事をした事に対し理解を示した。
しかし最後に「そんな気遣い…苗木君のクセに生意気ね」と言った。
霧切は理解は示してくれたが、苗木が話さなかった事に対し「結局、私を信用してないって事でしょ?」と付け加えた。
謝る苗木に「…もういいわ。私も…ちょっと怒り過ぎたし…」と少しだけ恥ずかしそうに霧切は言った。
ひとまず、苗木と霧切の間の空気が元に戻った所で、霧切に言われ一緒に脱衣所に向かった苗木。
どうやら、アルターエゴが呼んでいるようだ。
アルターエゴを起動させると、開口一番「僕をネットワークの接続可能な場所に連れてって欲しいんだ」と言った。
ファイルの解析が終わった事で、役目が終わったはずのアルターエゴ。
しかし、アルターエゴはすっかり自我を持っており、「これで終わりなんて嫌だ」という思いを抱いていたのだ。
そして、みんなが出られるように自分も頑張りたいと、アルターエゴは力強い表情で言った。
苗木は、ネットワークに接続すれば黒幕に知られる可能性が格段に上がる事を危惧していた。
アルターエゴも「怖い」と言っていたが「でも、みんなの事を思うと勇気がわいてくるんだ!」と再び力強く言った。
霧切も迷った末、「苗木君、やってもらいましょう」とノートパソコンのネットワーク接続を実行する事に決めた。
少しでも危険を減らし、確実にネットワークに繋ぐ為、以前苗木が何者かに襲われた、男子トイレの隠し部屋へ向かった苗木。
隠し部屋にあったネットワークケーブルを繋ぎ、準備は整った。
去ろうとする苗木の背中にアルターエゴは「後は僕に任せて!絶対に手掛かりを見つけるからさ!」と言った。
苗木はアルターエゴに別れを告げ、男子トイレ前で待っていた霧切と合流した。
無事にアルターエゴをネットワークに繋いだ事と、やはり隠し部屋の資料は無くなっていた事を霧切に報告し、苗木は部屋へ戻った。

部屋に戻り、のんびりしていた苗木。
どこかに行こうかと思ったその矢先、部屋のインターホンが鳴った。
ドアの向こうには霧切が居た。
何やら神妙な面持ちだ。
「苗木君、すぐに来て…さっき、朝日奈さんが私を呼びに来たのよ。真っ青な顔色でね…」と霧切は言う。
何かがあったらしいという事で、霧切と一緒に苗木は部屋を飛び出した。
霧切が朝日奈から聞いた情報から、学園エリアの娯楽室へ向かう。
娯楽室の前では朝日奈が確かに真っ青な顔をして立っていた。
娯楽室の中には、大神が椅子に座り込んでいる姿が見える。
しかし、開けようとしても内側から何かが引っ掛かっていてドアは開かない。
窓を割るしかないという事で、非力ではあるが、この場に居る唯一の男子という事で苗木はドアの窓を割った。
娯楽室に入り、ピクリとも動かない大神を見て、苗木は直感的に「死」を感じた。
直後に流れる死体発見アナウンス。
3人が部屋に入った時、既に大神は死んでいた。

密室の娯楽室で死んでいた大神

霧切と苗木は大神に駆け寄ったが、朝日奈は娯楽室の入口で呆然としている。
動揺しながらも「みんなを…呼んでこなくちゃ…」と朝日奈はフラフラな足取りでその場から去って行った。
霧切が大神の死体を調べている間に、朝日奈が呼んで来た葉隠、十神、ジェノサイダーが集まってきた。
「大神さくらは殺された…ここにいる誰かに殺されたんだな…」と十神は言った。
それを聞いた朝日奈が「ここにいる誰か…なんかじゃない…葉隠、十神、腐川…の誰かだよ!」と言った。
捜査をしていない段階で、朝日奈は大神を目の敵にしていた3人の名前を挙げた。
そこへモノクマが「大神さんは、ボクとの戦いにたどり着くことなく、無念の死を遂げたのですよ!」と言いながら現れた。
ひとまずは、捜査をしない事には真実も何も分からない。
モノクマファイルを全員が受け取り、捜査を開始する事にした。
その際、死体の見張り役として朝日奈は手を挙げた。
「私はここに残っていたい…さくらちゃんと一緒に…」という強い思いが朝日奈にはあった。
ついでに、大神から呼び出された「十神、葉隠、腐川の3人はすぐに娯楽室から出て行くように」という事も朝日奈は付け加えた。
葉隠と腐川はそのまま追い出されたが、十神は「捜査くらいさせろ」と朝日奈の要求を一蹴した。
そして、もう1人の見張り役には、十神が霧切を指名した。
十神にとって「いつも目障りだ」という理由からだったようだ。
無用な争いを避ける為、霧切は見張りを渋々承諾した。
苗木は早速、モノクマファイルの情報を得る所から捜査を始めた。
「被害者は大神さくら。死亡時刻は昼の12時頃。被害者の頭部に打撃痕あり。それ以外の目立った外傷はなし。外傷以外では、被害者は激しく吐血した模様」
どうやら、大神は何者かに殴られたようだ。
しかし、「致命傷」とは書いていない為、それが原因で死に至ったかどうかは不明だ。
続いて娯楽室の調査だ。
娯楽室の出入口は、苗木達が入ってきたドア1つしかなく、窓を割って中に入るまでは密室だったという事になる。
大神の死体に近づくと、モノクマファイルの通り口元に血がついている。
激しく吐血した時の物だろう。
足元には、赤い水玉の包装紙に包まれたアメが落ちていた。
これは、保健室から出たすぐ後に朝日奈が大神に渡したアメのようだ。
朝日奈はこのアメが大好きで、寄宿舎の倉庫にあったアメをダンボールごと部屋に持って帰ったらしい。
よって、アメは現在朝日奈からもらう以外、手に入れる事は出来なくなっている。
そして足元に目をやると、大神の履いている靴の甲の部分に何やら黄色い粉末のような物がついていた。
それから、大神が座っている椅子の後ろには、ボトルらしきビンが割れて破片が散らばっている。
ガラス片の近くには、チェスのナイトを抱えたモノクマのフィギュアが落ちていた。
その近くの棚の上には赤いボトルが4本並んでおり、そのどれもに同じようなデザインのモノクマのフィギュアがボトルの中に入っている。
大神の死体から少し離れた雑誌棚の前にも、血痕が残っている。
大神はここで殴られたのだろうか。
それと、雑誌棚近くのロッカーは扉が開けっ放しになっており、中には手形が残っている。
この手形が誰の物かは、現時点では不明だ。
また、娯楽室の入り口付近には割れた窓のガラスに交じって、プラスチック製の容器が転がっていた。
容器には「化学室A-2」というラベルが貼られている。
霧切によると、この容器はプロテインの容器のようで、今は中身は入っていない。
一番不思議なのは、苗木が割った窓ガラスの破片がプロテインの容器の下にあった事だ。
密室状態で既に大神が死んでいたのなら、容器の下に窓ガラスの破片が入り込む事は有り得ない。
それも捜査を続け、学級裁判を行わなければ分からない真実なのかもしれない。
その後、朝日奈に話を聞く事にした。
先程の「大神は葉隠、十神、腐川の誰かに殺された」という事を言った事について聞いた。
すると朝日奈は「あの3人は、さくらちゃんに呼び出されてたんだよ。しかも…この娯楽室にね」と言った。
どうやら、大神が娯楽室に行く前に朝日奈に、あの3人に向けて「娯楽室に来い」というメモを書いたと話していたようだ。
だからこそ、朝日奈は大神が呼び出した3人の誰かが、大神を殺したのだろうと思っているという事だった。
続いて、そのメモの事を十神にも聞いてみた。
十神は、そのメモの存在は認識していたが、自分の身を守る為に娯楽室には行かなかったらしい。
メモも破って捨て、少なくとも今日は十神は大神に会っていないとの事だ。
娯楽室の調査を一通り終え、苗木は次に大神に呼び出されたという腐川と葉隠に話を聞きに言った。
腐川は、メモは確かに見たが「怖くて娯楽室には行っていない」と言っていた。
葉隠に関しては、何とメモは大神から手渡しをされていた。
その時に、自分だけでなく十神や腐川も呼んでいるという事を聞いた。
しかし、実際には葉隠も娯楽室には行っておらず、大神と会ったのは保健室が最後らしい。
苗木は「ちなみに…受け取ったメモを見せてもらえる?」と葉隠に言う。
ポケットをあさる葉隠だったが「あー、スマン!ないわ!」と言った瞬間、葉隠のポケットから見覚えのある包装紙が出てきた。
葉隠は「ゴミだべ…」と言っていたが、あれは朝日奈が大神にあげたアメの包装紙のように見えた。
何故葉隠が持っていたのだろうか。
証言を一通り聞くと、苗木は次に化学室を訪れた。
十神も化学室を訪れていたようで「俺の邪魔はするなよ」と苗木に言った。
化学室で一番気になったのは、薬品棚の前に散乱している黄色い粉末。
ドクロマークに「C-4」と書かれたラベルが貼られたビンは近くで割れている。
十神が言うには、今朝化学室を訪れた際にはこの状態ではなかったらしい。
という事は、粉末がばら撒かれたのは、事件前後という事になる。
そして、その粉末の左側に集中して誰かの足跡が残っている。
足跡は迷う事なく、Aの棚を目指し、そのまま化学室を出て行ったようだ。
靴のサイズは、苗木の足よりも少し小さい。
ちなみに、薬品棚は左から「A」「B」「C」の区分けがされており、Aはサプリ類、Bは実験用の試薬、Cは劇薬・毒薬類という風に並んでいる。
つまり、足跡が残っていたのはAのサプリ類がある棚の前だ。
棚の中に入っているビンは、ABCの区分け通り、ラベルが貼られているが、Aの棚には一つだけ「C-9」と書かれたビンが置かれている。
最後に苗木は娯楽室へ戻り、霧切にこれまでの調査を報告すると共に何か進展があったか尋ねた。
すると霧切は「気になる事があるから手伝ってほしいの」と言って、苗木に床に散らばっていたモノクマのフィギュアが入っていたであろうガラスの破片を集めさせた。
そして、割れていないモノクマボトルと集めたガラス片を天秤に乗せる。
割れていないモノクマボトルの重さはほぼ同じだったのだから、集めたガラス片を乗せた所で天秤は均衡を保つはずだった。
すると、割れたガラス片の方がずっと重く、天秤は分かりやすく傾いた。
それから、大神の頭部には2つの傷があった事も霧切は調べていた。
他にも、大神の両手はキレイなままで血痕は付着していなかったという。
苗木が最後に見つけたのは、雑誌棚に1冊だけ逆さに突っ込まれた雑誌だった。
ページをめくると、血文字で「フカワ」と書かれたページが見つかった。
人の指で書かれているようだが、一体誰が書いた物なのだろうか。
そうこうしているうちに、学級裁判開始を知らせる放送が流れた。

霧切が行った、モノクマボトルの実験

4回目の学級裁判が始まった。
苗木はいつもこの場所に来ると、緊張感が走る。
真実を追求する為、仕方ないが、いつまでも慣れる事はない。
まず、議論の中心となったのは、やはり大神に呼び出された葉隠、十神、腐川の3人についてだった。
3人とも「メモはもらったが娯楽室には行っていない」という主張をする。
しかし、少なくとも葉隠は娯楽室に行っているはずだ。
苗木が葉隠と話した際に見た、アメの包装紙。
あれは、現在は入手不可で朝日奈経由でしか手に入れられないアメだ。
朝日奈が大神にアメを渡したのは、ジェノサイダーに切り付けられ、保健室での治療後、大神を追いかけた時だ。
時系列から考えて、葉隠がそのアメをもらうタイミングは、大神に呼び出され、娯楽室で大神と話した時だけ。
すると葉隠は一転して、娯楽室に行った事を認める。
しかし、葉隠はやはり「大神を殺したのは自分ではない」という主張をする。
更に「雑誌にフカワっていうダイイングメッセージがあったべ!」と言い、葉隠は腐川を犯人として名指しした。
当然腐川も「あたしはやってないわよ!」と無実を主張する。
そこで苗木は、先程の葉隠の発言を改めて考えた。
確かに雑誌には血文字で「フカワ」と書かれていた。
しかし、捜査開始直後、葉隠は朝日奈に現場から締め出されている。
そしてそれ以降、葉隠は娯楽室に入っていない。
つまり、マガジンラックに突っ込まれていた雑誌の血文字を見る機会が葉隠にはないのだ。
また、大神の手は血すらついていない綺麗な状態だった為に、あの「フカワ」という文字は被害者の大神が書いた物ではない。
何故、葉隠がその事を知っているのか。
その答えは一つ。
「フカワ」の血文字を書いたのは葉隠だという事だ。
苗木がその事を突きつけると、葉隠は観念したように認めた。
そして「俺が…オーガを殺しちまったんだべ…みんな…聞いてくれ…」とそれまで無罪を主張していた葉隠が自分が大神を殺したと言い出した。
大神に呼び出された葉隠は、ビクビクしながらも娯楽室へ向かった。
そこには大神だけが居て「あと2人呼んでいるから、もう少し待ってくれ」と葉隠に言ったらしい。
アメはその時、大神から貰ったようだ。
大神と2人きりの空間に思わず緊張していた葉隠。
すると、「今日で全てを終わらせる…」と大神がボソッと独り言を言ったのだ。
その言葉を聞き、緊張していた葉隠には「自分が信用出来ない3人をここで殺す気なのか?」という疑念が生まれてしまった。
「殺されたくない」その一心で、葉隠はモノクマボトルを見る振りをしながら、大神の後ろに回り込み、モノクマボトルを使って大神の後頭部を殴打した。
その後、我に返った葉隠は「殺してしまったかもしれない」と更にパニックになり、大神が当時読んでいた雑誌に腐川の名前を血文字で残し、その場から逃げた。
葉隠の話を聞き、朝日奈は怒り、もう投票をしてしまおうと言っている。
しかし、今回の事件の謎のほとんどはまだ解かれていない。
苗木は朝日奈を制止し、葉隠の行動の続きを聞く事にした。
「フカワ」と書いた所までは分かった。
その後、雑誌は棚に逆さまの状態で入れられていた。
何故、そんな事をする必要があったのか。
葉隠は「あれ?俺は書いた後、テーブルの上に広げっぱなしにしておいたべ…?」と不思議そうな顔をした。
葉隠の話が本当ならば、雑誌を棚に戻したのは別の人間という事になる。
すると、葉隠は突然「あー!思い出したべ!」と言った。
大神からの呼び出しに不安と恐怖を抱いていた葉隠は、早めに行き、隠れて廊下で娯楽室の様子を見ていたのだ。
最初に娯楽室に入ったのは、腐川だった。
その後、大神が入って行ったので、一人ではないと安心して葉隠も娯楽室へ向かった。
しかし、そこには大神の姿しかなく、先に入って行ったはずの腐川の姿がなかったのだ。
その件について、十神が「どうなんだ?」と腐川を問い詰めると俯きがちに「あたしが殺しました…多分…」と小さな声で答えた。
腐川は先程の葉隠のように素直に娯楽室に行った事を認め、当時の事を語りだした。
大神から呼び出され、正面から行くのは葉隠と同じく怖かった。
しかし、呼び出しを無視するのもそれはそれで怖かった。
そんな腐川が選んだのは、大神よりも早く娯楽室に行き、ロッカーに隠れて様子を見る事だった。
開けっ放しのロッカーの中に残っていた手形は、腐川の物だったのだ。
葉隠の行動を一部始終見ていた為、当然葉隠が雑誌に腐川の名前を書く所も見ていた。
葉隠が娯楽室を去った後、ロッカーから出て腐川は雑誌を棚に戻したという訳だ。
その際、葉隠に殴られ気を失っていた大神が目を覚まし、腐川に声を掛けたのだ。
大神は殴られた衝撃で頭から血を流しており、血を見た腐川は卒倒、そこからの事は「ジェノサイダーに聞いて…」と腐川は言う。
そこまで話し、腐川クシャミをして、ジェノサイダーと入れ替わった。
腐川に代わり、いきなり学級裁判に参加させられたジェノサイダー。
これまでの話の経緯を説明し、娯楽室で何があったのかを聞く苗木。
腐川が卒倒後、ジェノサイダーが目を覚ますと、目の前には顔面血まみれの大神の顔がアップであった。
さすがのジェノサイダーと言えど、驚き近くにあったモノクマボトルを使い、大神の頭部を殴ってしまったらしい。
大神の頭部に殴打痕が2つあったのは、この為だ。
通常の大神であれば、ふいを突かれたとは言え、避けられる攻撃だったはずだが、葉隠からの打撃により弱っていた為、ジェノサイダーからの攻撃も受けてしまったのだ。
ジェノサイダーも葉隠同様、自分が殺したと思った。
ジェノサイダーには、男しか殺さないという信念があった為、自分が殴った痕跡を消す為、自分が割ったモノクマボトルの破片とフィギュアを拾い去って行った。
ただし、回収し切れなかった破片が残り、霧切の実験の結果、割れていないモノクマボトルよりも破片の方が重いという結果になってしまったのだ。
再び、朝日奈が怒るかと思いきや静かに「じゃあ、もう投票しようか」と言った。
先程から、どうも朝日奈は投票を急いている。
しかし、解かねばならない謎はまだ残っている。
朝日奈の行動を不思議に思いつつも、苗木は推理を再開する。
雑誌の棚付近にあった血痕は、ジェノサイダーが大神を殴った時に垂れた物である事は分かった。
しかし、大神は雑誌棚の近くで倒れて死んでいた訳ではない。
ご丁寧にその後、椅子に座り直しているのだ。
大神は女子とは言え、筋骨隆々であり、少なくとも腐川の体で大神の体を動かす事は出来ないだろう。
ジェノサイダーに殴られた後も、大神は死んでおらず、自分で移動したという方が現実的だ。
そこで十神が「そもそも、大神さくらの死因は頭部の傷ではない」と言い出した。
モノクマファイルにも記載されていた通り、大神は激しく吐血している。
その事から十神は「大神さくらは毒殺だろう」と推測したのだ。
そこで十神がみんなの前に出したのが、苗木も化学室で見かけた薬品Aの棚にあったCのラベルが貼られたビンだ。
何故Aの棚にあったのかは確かに苗木も疑問に思っていた。
ラベルに書かれている薬品が何かを知った上で十神は「猛毒ではないが、それなりの量を飲めば死ぬな」と言い、おもむろにビンを開け、中の粉末を飲みだした。
Cのラベルは劇薬・毒薬の印だ。
全員が驚く中、十神はケロっと「まずい。これのどこが高級品なのか分からんな」と言った。
ビンを回し、苗木も一口舐めてみたが、毒薬等ではなく、中身はプロテインだった。
では、何故Cのラベルに毒薬でもなんでもないプロテインが入っていたのか。
本来のAにあったはずのプロテインはどうなっていたのか。
そこで苗木は、思いついた。
もしや、娯楽室に転がっていた空のプラスチック容器にプロテインではなく、毒薬が入っていたのではないか。
プロテインだと思って大神はそのまま飲み、実は中に入っていた毒薬で死んでしまったのではないか。
そういえば、化学室にばら撒かれた粉の上には足跡が残っていた。
あれはスニーカーの足跡だ。
現在、生き残っている人間の中でスニーカーを履いているのは苗木と朝日奈のみ。
自分ではないと苗木が思い、朝日奈を見た瞬間、「私だよ…私が…さくらちゃんを…殺したんだよ…」と朝日奈は言った。
どうやら、朝日奈はジェノサイダーが居なくなった後に娯楽室へ様子を見に行っていた。
その際、心配する朝日奈に対し大神は「プロテインを取ってきてはくれぬか」と頼んだ。
急いで化学室に向かっている朝日奈の脳内には「今なら殺せるかもしれない」と閃き、犯行に及んだと朝日奈は説明する。
この推理を最初からしていた十神は「やはりな…」とほくそ笑んでいた。
しかし、苗木と霧切は納得していない。
そもそも、今回の事件最大の謎である、密室のカラクリが解けていないのだ。
朝日奈は「そんな事、どうでもいーじゃん!もう投票を始めてよ!」と強引に投票を始めさせようとする。
そんな朝日奈を止めるには、矛盾を突きつけるしか方法はない。
苗木と霧切は協力し、朝日奈が犯人である事の矛盾を突きつける。
朝日奈は、化学室に行った際、Cの棚で毒薬のビンを落とし、粉末をばら撒いてしまった。
その後、Cの棚から目当てのビンを取り、Aの棚に向かったという事らしい。
ただし、化学室に残っていた足跡は、Aの棚を目指して真っ直ぐに伸びており、戻る時も迷いなくそのまま出口に向いている。
朝日奈が「一度Cの棚に行った」という証言とは矛盾している。
更に霧切は十神から回ってきたプロテインの入ったビンを持ち「ここで一つ、新しい証拠を提出するわ」と言った。
先程十神が飲み、苗木が一口舐めたせいから、ビンの中の粉は当然減っている。
すると、先程までは見えなかったガラス片がビンの中に現れていた。
予想外の展開に、十神は珍しく慌てた表情で「それは何だ!?」と霧切と苗木に聞く。
「これは…娯楽室の小窓のガラス片だよ…」と苗木は答えた。
中で動かない大神の様子を確かめる為に、苗木が割った娯楽室のドアのガラス。
そのガラス片が入っているのだ。
つまり、娯楽室の小窓のガラスを破った時にビンがドアの所に置いてあったという事。
逆に捜査中に見つけたプラスチック容器は、ガラス片の上にあった事からガラスを破った際には無かった物。
という事は、大神はプラスチック容器から毒薬を飲んだ訳ではない。
ここから導き出される答えは、ビンとプラスチック容器の入れ替えは苗木達が娯楽室に入った後に行われたという事だ。
そして、大神の靴についていた黄色い粉末。
あれは、化学室にばら撒かれた粉末と同じ物に見える。
大神自身が毒薬を化学室から持ち出し、ジェノサイダーに殴られた後、密室を作り、毒薬を飲んで死んだ。
これが事件の状況から考えられる答えだ。
誰も大神を殺してなどいない。
大神の自殺だったのだ。
どういう経緯か、朝日奈はその事を知り、苗木と霧切が大神に駆け寄った際、ビンを拾い上げていた。
それから「みんなを…呼んでこなくちゃ…」と言って化学室に向かい、プラスチック容器を持ってきた。
全員集まり、全員が大神に視線を奪われている際、朝日奈はプラスチック容器を娯楽室の入口付近にそっと置いた。
苗木と霧切の推理を最後まで聞かず、朝日奈は「違うよ!私がさくらちゃんを殺したんだよ!」と叫ぶ。
しかし、これだけの状況証拠が揃ってしまっている。
朝日奈が密室トリックを答えられない以上、朝日奈は犯人ではない。
モノクマが「では、投票タイムです!」とようやく投票タイムへ移り、全員が大神に投票。
その後モノクマも「またまた正解~!大神さくらさんは自殺でした~」と言った。
大神は自殺、朝日奈はそれを偽装しようとしていた。
それが真実。
十神は「朝日奈…お前は何の為に、大神の死を偽装しようとしたんだ…あのまま投票していれば、全員処刑だったんだぞ」と朝日奈を責めるように言う。
しかし朝日奈は「それが目的だったんだもん!」と言った。
朝日奈は大神が死んだのは、「みんなのせい」だと語り、大好きな親友だった大神と一緒に全員を道連れにしようとしていたのだ。
そして、朝日奈は大神の遺書を取り出し、読み上げた。
「我はすべてに絶望した。醜い争いに絶望した。このまま殺されるのを待つくらいなら、我は自らの手で終わらせよう」
そう書いてあった。
そして、朝日奈がジェノサイダーに切り付けられた後に大神と話した際の事も説明した。
「我が傷付くのは構わん…すべては我の責任だからな…だが、我のせいで朝日奈が傷つき、仲間同士が殺し合おうとしている…すべて我の責任だ…」と大神は言っていたのだ。
しかし、大神は最後まで仲間を信じていた。
メモで3人を呼び出したのも、話をすれば分かってくれると思っていての行動だった。
朝日奈は「3人がかりで襲われたら危ないよ!」と大神を止めていた。
しかし、大神は「彼らは敵ではない、仲間なのだぞ」と朝日奈にほほ笑んだ。
結果、呼び出した3人に話を聞いてもらう事は敵わず、娯楽室に様子を見に行った朝日奈の前には頭から血を流していた大神の姿があった。
「我はここで…お前と会えた事を…嬉しく思う…」大神はそう言っていた。
それから大神に「プロテインを…取ってきてはくれぬか…」と頼まれ、朝日奈は化学室へ向かった。
そして、娯楽室に戻ってきた時には既に密室状態の中、大神は命を絶っていた。
あの大神ですら、女の子であり、弱い所ももちろんある、普通の人間だった。
だから、みんなの事を恨んで死んでいった親友の為に、朝日奈は全員道連れにしようしていた。
そこでモノクマが「…ていうかさぁ、大神さんがどう思って死んだのか、朝日奈さんなんかが本当に理解しているのかね?」と話に割って入ってきた。
そして「本物の大神さんの遺書は、こっちだよ」と言って、もう一つ遺書を出してきた。
先程朝日奈が読み上げた遺書は、実はモノクマが書いた偽物の遺書だったのだ。
朝日奈はモノクマに騙されていた。
実際の遺書にはこう書かれていた。
「知っての通り、我は黒幕の内通者だった…我を親友と言ってくれる人物を裏切れない…。
我の裏切りがもたらす…不協和音と疑心暗鬼…我には、この事態を収拾させる義務がある。
黒幕が誰かを殺せと言うなら、我は、自分自身を殺そう。
それなら人質となった道場も救われ、何よりお前達に殺し合いをさせずに済む。
お主達にはその価値がある。
我の命をかける意味がある。
お主達がどう思おうと、我の大事な仲間に他ならないのだからな…。
それから…我はただでは死なん。
モノクマに必ず一矢報いてから死ぬ」と実は優しく、気高い大神らしい言葉で綴られていた。
大神が自ら命を絶ったのは、大神自身強く、みんなを守る為にとった行動だったのだ。
全てを聞き、大神の事も、朝日奈の事も、誰も責める事は出来なかった。
そんな中、十神は突然「俺はこのゲームから降りる事にするぞ」と言い出した。
大神と朝日奈のした、自分の命を犠牲にしてまでこのコロシアイゲームを否定しようとしていた。
その行動により「誰もがすっかり、このゲームへの恐怖心を捨ててしまったようだ…」と十神は分析する。
そして「緊張感のなくなったゲームに参加する意味はない」と十神は言い切った。
最後に「そうなれば、俺の楽しみは1つ。俺を操った気になってる黒幕に、キツイお仕置きを食らわせてやる事だけだ」と言った。
モノクマは十神の言葉にイラつきながらも「じゃあ、ヘッポコ内通者の事は忘れて、いつものお仕置きタイムにいきますか!」と高らかに言う。
しかし、今回は被害者もクロも大神自身。
処刑する人物は居ないはずだ。
困惑する生徒達を尻目にモノクマはお仕置きを始めた。
処刑場の台座に置かれたノートパソコン。
その中にはアルターエゴが無邪気に瞬きをしている。
その後ろにスタンバイする重機。
おしおきが始まると、重機はアルターエゴに向かい、ショベルを何度も振り下ろす。
最終的にアルターエゴはノートパソコン諸共、鉄塊へと成り果ててしまった。
不二咲そっくりのアルターエゴを失った事で、生き残った生徒達は不二咲を2度失う事となった。
モノクマはやはりアルターエゴの存在に気付いていた。
そもそも、ノートパソコンに入っていた情報すらモノクマの用意した物だった。
「ロックを開けられたご褒美のプレゼントだよ!」とモノクマは笑う。
更にモノクマは「ネットワークまで覗きに来るのは調子乗り過ぎ!目障りだし、処分させていただきました~!!」と言って去って行った。
いつも通り、後味の悪い学級裁判が終わった。
夜時間が近い事もあり、全員それぞれ部屋へと戻って行った。

その夜、ぐっすりと寝ていた苗木。
誰かに呼ばれた気がして目を開けると、そこに居たのは霧切だった。
驚く苗木に霧切は「4階の情報処理室…」とだけ言って、部屋から去って行った。
苗木は寝ぼけた頭で部屋を出て、学園エリア4階の情報処理室に向かった。
しかし、確か情報処理室は探索の際に鍵が掛かっていて開かなかったはず。
ようやく情報処理室の前に辿り着き、苗木はドアノブをガチャガチャしてみたが、やはり開かない。
霧切に呼ばれている為、めげずにドアノブをガチャガチャする苗木。
すると、モノクマが「鍵のかかってるドアを壊すのは禁止だよ?」と突然現れた。
「…ていうか、3時だよ!深夜の!ボクだって眠いんだからさぁ…妙な事してないで寝やがれ!」とモノクマはご立腹だ。
そこへ霧切が「…何を騒いでいるのかしら…?」と素知らぬ顔をしてやってきた。
モノクマが「いいから2人とも寝ろ!ボクだって、学級裁判で疲れてんの!」と言うと霧切は素直に「苗木君。帰りましょうか…」と言った。
何の為に呼ばれたのか、何故こんな事をさせられたのか、何も分からないまま、霧切に連れられそのまま寄宿舎エリアに戻る苗木。
自分の部屋に戻ろうとした苗木を捕まえて霧切は呟いた。
「戦刃むくろ…この学園に潜む16人目の高校生…『超高校級の絶望』と呼ばれる女子高生…戦刃むくろに気を付けて…」とだけ言い、霧切は部屋へと持った。

学園に潜む16人目の高校生について、苗木に教える霧切

学級裁判の翌朝。
それまで不参加だった十神と腐川も食堂に顔を出すようになっていた。
また、学級裁判後の暗く淀んだ空気も流れていない。
大神の決意ある死が、生き残った全員の心に覚悟をもたらしたのかもしれない。
今まで不参加だったが、十神にも何か思う所があったのか、いきなり仕切りはじめ「では、学級裁判後の探索を始めるぞ」と少々意気込んでいる様子だ。
今回開放されたのは、学園エリアの5階だ。
上への階段が見当たらない事から、5階がこの希望ヶ峰学園の最上階なのだろう。
5階には弓道場、植物園、生物室といくつか教室があった。
弓道場では、室内とは思えない程の大きな桜が植えられており、桜吹雪が舞っている。
霧切も弓道場を探索していた為、苗木は昨夜の行動の真意を聞いてみた。
しかし、当然弓道場にも監視カメラは存在する。
「何も答えられない…」と、霧切は監視カメラの前では頑として口を割る気はないようだ。
続いて苗木は植物園を訪れた。
中は南国のような温かさで、植物園の中央にはどぎつい花が多く咲いている。
奥には物置もあり、ツルハシや鍬等が置かれていた。
苗木は何気なく、ツルハシに目をやった。
するとそこには文字が書かれていて、見覚えのある名前に驚愕した。
「暮威慈畏大亜紋土」。
ツルハシにはそう書かれていた。
忘れもしない。
犠牲となった、大和田が所属していた暴走族のチーム名だ。
それが何故こんな所にあるツルハシに書かれているのだろうか。
とは言え、ツルハシを見ているだけでは何も分からないので、苗木は他の場所も見る事にした。
植物園の奥には他に飼育小屋があり、五羽の鶏が餌を待っている様子だった。
飼育小屋には特に変わった様子はなかった。
飼育小屋の手前には何かの制御盤が設置されている。
不思議そうに見ていた苗木の所に、モノクマが現れた。
「それは、植物庭園の天井にあるスプリンクラーの制御パネルなのだ!」とモノクマは説明する。
植物園の天井にはスプリンクラーが設置されているようだ。
毎朝7時30分になると水が撒かれる仕組みになっており、制御盤にはキーロックが掛かっていて設定の変更は出来ないようだ。
その後、ある教室に足を踏み入れた苗木。
惨状を目の当たりにし、苗木は立ち止った。
十神も教室に居たが「酷い匂いだな…」と顔をしかめている。
それもそのはず、教室の中では、机も椅子もぐちゃぐちゃに散らばり、至る所に無数の傷が存在し、至る所に血痕が飛び散っている。
何があれば、教室がこんな事になるのかと思う程、酷い有様だ。
するとやはりモノクマが出てきて「この部屋に関しては、掃除もしないで、当時の状況にしておいただけなのです!」と言った。
それだけ言うと、モノクマはまたどこかへ行ってしまった。
「当時の状況」とはどういう事なのだろうか。
何が起こったのか分からず、もやもやしたまま、苗木は教室を後にした。
最後に生物室を訪ねてみた。
ドアの所には「ナマモノ」と書かれている。
ドアは鍵が掛かっており、中に入る事は出来なかった。
一通り5階の探索を終え、苗木は食堂へと戻った。
全員集まり、恒例の報告会が開かれる。
報告会でも、話題は例の教室の話になった。
十神は「5階にあった妙な教室…殺害現場の比ではない。ありとあらゆる人間の体液が濃縮された匂い…あの部屋では、大量の人間が死んだはずだ」と冷静に分析していた。
十神の話に付け足すように「人類史上最大最悪の絶望的事件…」と霧切が言う。
アルターエゴがノートパソコンから見つけ出した資料の中にあった「人類史上最大最悪の絶望的事件」。
1年前に起きたというあの事件は、希望ヶ峰学園生徒の達の大量虐殺を指す物なのかもしれない。
そう考えれば、希望ヶ峰学園が閉鎖にまで追い込まれたのにも説明がつく。
それだけの事件を誰も覚えていないのは不思議だが、確実に今回のコロシアイ生活との関係はあるだろう。
みんながそれぞれどういう部屋があったと報告し、苗木は植物園の物置で見たツルハシを話題に出した。
今日入れるようになった植物園の物置に、大和田のツルハシが置かれているのはおかしい。
しかし、理由が分からないという事で、あまり詳細まで議論は発展しなかった。
続いて、腐川が惨状になった教室とは別の教室で、ナイフを見つけたと報告した。
放置していたら危ないという理由で回収してきたようだが、結局「苗木君が持っていたらいいじゃない」と霧切に言われ、何故かナイフは苗木の手に渡った。
一通りの報告が終わると、十神が話を始めた。
「今日から、お前らは俺の支配下に入る訳だが、その前にハッキリさせておきたい事がある。霧切響子の正体だ…」と、十神は勝手に話を進める。
朝日奈は不思議そうに「霧切ちゃんの正体って…霧切ちゃんは霧切ちゃんでしょ?」と十神に問う。
十神は「俺達が希望ヶ峰学園に選抜されたのは、それぞれに確固たる理由があったはずだ。では、霧切はどうだ…?知っている者はいるか?」と全員に問い掛けた。
確かにこの学園に集まった当初から、霧切の超高校級の才能は誰も知らなかった。
というよりも、霧切自身が口にした事がない。
霧切は「記憶がないの…」と自分は記憶喪失である事を伝える。
しかし、十神はそれで納得せず「…あくまで話すつもりはないという事か?だが、これ以上、お前の好きにはさせん」と言った。
更には、霧切の行動を制限すると言って、霧切の部屋の鍵を自分に預けるように十神は言った。
自分の事について話すか、部屋の鍵を渡すかの二択を十神は霧切に迫る。
霧切は仕方なく、自分の部屋の鍵を差し出した。
「なぜ…そこまでして話そうとしない…」と十神は霧切の行動に少しの驚きを見せた。
霧切は淡々と「話したくても話せないのよ…さっきから言ってるでしょう?」と答える。
最後に「心配しなくても、あなた達に害を及ぼすような事はしないわ…」とだけ言って、霧切は食堂から出て行ってしまった。
そして霧切と入れ替わりで食堂に現れたのはモノクマだった。
何やらモノクマは「この中の誰かに宝物を盗まれた!!」と怒っているようだ。
その宝物が何なのかは言おうとしないが、とにかくモノクマにとって大事な何かを盗まれたようだった。
ひとしきり怒り、モノクマも去って行った為、報告会も終了とし、それぞれ部屋へと戻った。
苗木は先程、渡されたナイフをひとまず机の引き出しにしまっておいた。
ひとまずはそれで安心だろう。
その後、苗木がベッドで横になり寝かかっていた所、部屋のインターホンが鳴った。
そこには霧切が立っていて「脱衣所で待ってるわよ…」とだけ言い、去って行った。
アルターエゴが壊れてしまった今、脱衣所に何があるのだろうか。
苗木はひとまず言われた通り、脱衣所へ向かう。
既に脱衣所で待っていた霧切は、モノクマの顔がついた鍵を出した。
苗木が何の鍵でどこから持ってきたのか尋ねると「学園長室よ。あそこに忍び込んで持ってきたの…」と霧切は言った。
先程、モノクマが「宝物を盗まれた」と言っていたが、この鍵の事だったのかもしれない。
しかし、学園長室には探索時鍵が掛かっていた。
だが、霧切は「鍵は壊されていたわ…大神さんよ…彼女がやってくれたんだわ」と言った。
大神の遺書には、確かに「ただでは死なん。モノクマに一矢報いる」という一文が書かれていた。
大神は死ぬ前に学園長室の鍵を壊し、生き残っている仲間の為にモノクマに一矢報いたのだ。
霧切が、学園長室の鍵が壊されているのを見つけたのは昨日の学級裁判終了後。
しかし、そのまま学園長室に入ったのでは、モノクマに気付かれてしまう。
そこで霧切が考えたのが、苗木を囮にする作戦だった。
昨日の深夜、苗木が理由もよく分からないまま寝ぼけたまま4階の情報処理室に連れて行かれたのはそういう事だったのだ。
苗木が情報処理室に向かい、モノクマを引き付けている間に霧切が学園長室へ忍び込む。
そうして霧切は、この鍵をまんまと学園長室から取ってきたのだ。
そこから霧切が導きだしたのは「黒幕はモノクマの操作と、生徒達の監視を同時に行えないのではないか」という推理だ。
推理を確認する為にも、もう一度苗木には囮になってもらい、この鍵がどこの鍵かを探るというのが霧切の考えだった。
「危険は承知の上だが、謎を解く為に前に進む」と、霧切にしては珍しく力強い言葉に、苗木が初めて見る笑顔を浮かべていた。
苗木も霧切に触発され、囮を買って出た。
最後に霧切は一通の封筒を苗木に渡した。
この中には、霧切の決意表明が入っているようだ。
この封筒を開けるのは、霧切に万が一の事があった時だと苗木は説明された。
当然、霧切も死ぬつもりはないが、もしもの時の為に苗木に託したようだ。
苗木は封筒を預かるだけ預かり、モノクマを呼び出す為、脱衣所を出た。
「モノクマ、見てるんだろ!?話があるんだ!出て来いよ!」と苗木は叫ぶ。
程なくしてモノクマは「あらあら、珍しいじゃない。苗木クンの方から呼び出してくるなんてさ」と現れた。
「お前に…確認したいことがあるんだよ…」と、苗木なりに精一杯出した、モノクマを呼び出した理由を言ってみた。
が、モノクマは「オスかメスかって?」と適当な話にすり替える。
そんな下らない話をして、何とか時間を稼いだ苗木。
最終的にモノクマが会話に飽き、去って行ってしまったが、霧切ならば見つけられていると信じて苗木も部屋へ戻った。

危険は承知でも前に進むと決めた霧切の笑顔

翌朝、食堂へ行くと霧切の姿はなかった。
霧切の部屋の鍵は十神が持っている為、自分の部屋に入る事も出来ないはずだが、霧切がどこで何をしているのか誰も分からなかった。
それは苗木も同じだ。
昨日、脱衣所から別れた後、霧切がどこへ向かったのか知らない。
そこへモノクマが現れ「おや、霧切さんをお探しかな!?」と言った。
モノクマに霧切の居場所を知っているのかと苗木は尋ねたが、モノクマははぐらかした。
十神が言うには「モノクマも霧切の居場所を知らないからこそ、ここに顔を出したんだろう」という事だった。
となれば、霧切の居場所は監視カメラのないどこかという事だ。
ひとまずは探しようがない為、生徒達はそれぞれ思い思いの時間を過ごした。
その夜、風邪をひいたのか熱にうなされる苗木。
そんな中見た夢は実に不思議な物だった。
苗木自身が出てきて「ボクの目的は…ここから出る事じゃない…ここに…残る事なんだ。すべては…希望の為…」と言っている。
自分自身に語り掛けられているが、行っている意味は、今の苗木には理解出来ずにいた。
その後、ふと目を覚ますと苗木の目には衝撃の光景が広がっていた。
妙なマスクを被った不審者がナイフを持ち、苗木を襲おうとしている。
何故鍵が掛かっている苗木の部屋に、この不審者は入ってきているのか。
苗木は寝ぼけながらも必死に抵抗した。
その後、いつの間にかまた眠りについていた苗木。
次に気付いた時、枕元に立っていたのは不審者ではなく霧切だった。
訳が分からない夢が続いたまま、苗木は朝を迎えた。
熱は下がっているようだ。
昨日の夢に出てきた不審者が持っていたナイフが気になり、苗木は部屋の引き出しを開ける。
そこには、腐川が見つけ、苗木が保管する事になったナイフが入っていたはずだった。
しかし、引き出しの中は空。
あの不審者は、夢ではなく、苗木の部屋にあったナイフで本当に苗木を襲おうとしていた。
誰が、何の為に?
この学園に居ると謎ばかりが増えていく。
考えていても仕方がないので、苗木はいつも通り食堂へ向かった。
食堂には朝日奈の姿だけだった。
苗木を見るなり、朝日奈は「…軽く心配してたんだよ?昨日の夜どうしちゃったの?」と聞いた。
何故朝日奈がそう言ったのか不思議だったが、どうやら夜時間になった直後、全員で集まる事になり、苗木も呼びに来たらしい。
インターホンを押しても全然出て来なかった為、心配していたという事だった。
体調が悪くて、寝込んでいた事を説明すると、朝日奈は安心したように笑った。
そして、苗木と霧切以外は昨日の夜時間後から徹夜で体育館に集まっているようだ。
朝日奈はたまたまジャンケンで負けて、朝食係となり、食堂を訪れていた所だった。
「体育館だよ。私は先に行ってるからね。すぐに来てよー!」と苗木に声を掛け、朝日奈は食堂から出て行った。
一体、全員で集まって体育館で何をしているのか。
苗木は朝日奈の後を追うように体育館へ向かった。
すると、動かないモノクマを囲むようにして何やら作業をしている十神達の姿があった。
葉隠に至っては、ドライバーを持ち、モノクマを分解しようとしている。
昨日の夜時間前、体育館で機能停止しているモノクマを十神が発見した。
そこから全員で集まり、徹夜をしてモノクマの構造を調べようとしたらしい。
また、動かない事からモノクマが故障している事も考えられたが、内部を見る限り故障という訳ではないようだ。
モノクマを操る黒幕に何かあったのだろうか?
話していると、中身を分解中の葉隠がモノクマに内蔵されていた爆弾を見つける。
爆弾自体に振動センサーがついており、振動を与えると爆発する仕様になっている。
しかし、今は振動センサーはオフの状態だ。
モノクマの解体も終わった所で朝日奈が「これからどうしようか」と全員に投げかける。
十神は「さらなる攻勢をかける。黒幕の正体を突き止める為に、学園長室に乗り込むぞ」と言い出した。
その場に居る全員、失った仲間の事を思い、十神の意見に賛成し、全員で学園長室へ向かう事となった。
しかし、大神が壊した鍵はすっかり修復されていて、再び学園長室には鍵が掛かっていた。
強行突破の手段を取る事になり、話題に上ったのが以前苗木が見つけた植物園の物置にあった、大和田のツルハシだ。
ツルハシならば、ドアを破る事が可能だろう。
十神が「今、何時だ?」と問い掛け、腐川は「9時丁度くらいかと…」と答える。
そして十神は「9時1分までにツルハシを取って来い」という無茶ブリ命令をして、急いで植物園に向かった腐川。
すると、すぐに腐川は手ぶらで戻ってきた。
「どーも、笑顔の素敵な殺人鬼でーす」と、いつの間にか腐川からジェノサイダーに入れ替わっていた。
おまけに記憶を共有していない為、ツルハシを取ってくるという事もジェノサイダーは知らない。
そしてジェノサイダーは「植物庭園にあった物体X…あの正体やいかに!?」と思わせぶりな発言をした。
「見つけたのよ!植物庭園で!死体だよ!」とジェノサイダーは言う。
どうやら死体を発見し、血を見た事により、腐川からジェノサイダーに交代していたのだ。
ジェノサイダーの発言により、学園長室よりも先に植物園へ行かねばならないという事になり全員で植物園に向かう。
植物園に入った全員の目に映ったのは異様な光景。
鮮やかな花が咲く部屋のど真ん中で、マスクを被り、白衣を被せられ、ナイフで一突きにされた妙な死体。
深夜、苗木を襲おうとした人物と同じ格好だ。
刺さっているナイフも、恐らく苗木の部屋にあった物だろう。
正体不明の死体に、全員立ち尽くすしかなかった。

妙なマスクを被せられた正体不明の死体

全員呆然とする中、「ゲラゲラゲラッ!!だから言ったじゃーん!死体が落ちてるってー!」よジェノサイダーだけは一人楽しそうだ。
死体に刺さったナイフから出る血は、止まってはいるものの乾いてはいない。
誰だか分からないが、体のライン等を見ると「多分…女の子だよ…」と朝日奈が言う。
しかし、結局のところ顔も体も隠されていて誰かは判別不可能だ。
そんな中ジェノサイダーが「覆面を剥がしちゃえばいいじゃーん!」と制止する十神の声も届かず、覆面を剥がそうとした。
その瞬間だった。
目と耳を大いに刺激しながら、死体の頭部がいきなり爆発した。
その後バケツに水を汲み、死体に掛け、ようやく鎮火した。
ひとまず全員無事のようだ。
ただし、当然死体の上半身は黒焦げ。
下半身と手は無事だが、死体が誰だったのか、もはや判別は不可能となってしまった。
「もしかしたら被害者は、姿が全く見えない霧切ではないか…」そんな予感が全員の頭に浮かぶ。
十神だけは、「死体が黒幕の可能性もある」と別の可能性を示唆した。
突然動かなくなったモノクマと、そのモノクマを分解しても何も行動を起こさなかった黒幕。
もしこの死体が黒幕だとすれば、モノクマが突然動かなくなった事とも辻褄が合う。
また、死体発見アナウンスが流れない事や、モノクマファイルが配られない事も、黒幕に何かあった可能性を示している。
しかし、可能性としてはもう1人。
苗木は霧切に教えられた「戦刃むくろ」の名前を全員に説明する。
16人目の高校生であり、霧切の情報から戦刃は女子生徒だ。
今回の死体が女子ならば、戦刃むくろが被害者という可能性もある。
特に霧切は戦刃むくろが黒幕ではないかと疑っていた。
やはり、捜査をしてもう1度あの死体を詳しく調べる必要がある。
そこで、今まで全員ですっかり忘れていた腐川が起き上がった。
さっきの爆発の衝撃で、ジェノサイダーから腐川にまた交代していた。
落ち着いてから、死体の状況をまずは確認してみる事になった。
まず最初に発見したのは、死体の手にあった見た事のない鍵だ。
当然、どこの鍵かという話になった時、十神が「苗木よ、お前に重要な任務を与えてやろう」と言い出した。
続けて「鍵が掛かって入れなかったのは、5階の生物室、4階の学園長室と情報処理室、それと寄宿舎の2階だったな。調べて来い」と十神は当たり前のように苗木にどこの鍵か調べて来いと言った。
苗木も反抗するだけ時間の無駄だと分かっている為、鍵を持って様々な部屋を回り、植物園へ戻った。
「4階の情報処理室…あの部屋の鍵だったよ」と報告し、今度は全員で情報処理室へと向かった。
情報処理室の中には、数多くのモニターが正面の壁を埋め尽くしていた。
そこに映っている映像は、この学園の至る所だ。
情報処理室は、黒幕が監視カメラの映像をチェックする為のはいぇだったのだ。
この情報処理室の鍵を持っていたという事は、やはり先程の死体は黒幕である戦刃むくろなのだろうか。
黒幕が死んだ事に動揺しながらも、一安心といった空気が流れる。
黒幕が死んだのなら、ここから出る事はいつでも出来る。
しかし、十神は「黒幕がどんな目的で、このゲームを仕掛けたのか…それを明らかにする方が先だ。黒幕が殺されていた件も気になるしな」と脱出よりも謎を解こうという意志だった。
確かに一刻も早く出たいが、黒幕の目的も気になる所だ。
全員で情報処理室をもう一度調査する。
情報処理室の奥には、モノクマのイラストが描かれたドアがある。
しかし、こちらは鍵が掛かっており、先程手に入れた鍵でも開ける事は出来なかった。
すると苗木は、一台だけ何も映っていないモニターを発見した。
葉隠がモニターの横にあるアンテナに気付き、「これ、地デジ対応の室内アンテナだべ!すぐに映せるようになるべ」とモニターにアンテナを繋ぎ、テレビを映す事に成功した。
モニターに映ったのは、情報処理室の監視カメラの映像だった。
苗木、十神、葉隠、朝日奈、腐川の後ろ姿が映っている。
何故室内アンテナと繋いでいるモニターに監視カメラの映像が映っているのだろうか。
壊れているのかという空気が流れ、葉隠は「いや…もしかしたら、このテレビ自体に仕掛けがあんのかもしんねーぞ…」と言った。
次の瞬間だった。
「どんな仕掛け?」と突然モノクマが現れたのだ。
黒幕は死に、モノクマを操作する人間は居なくなったはず。
しかし、モノクマはいつも通り、平然と現れ、平然と会話している。
「テメーラ、久しぶりじゃん!」とモノクマは高笑いをする。
更に「死んだはずねーじゃん!希望が絶望に変わる瞬間の顔…それを見たかったんだよね」と言った。
それからモノクマは「そろそろ未来に絶望を持つ時間だよ!希望に溢れた過去を切り捨てようじゃないか!」と言い、アンテナ受信しているはずのモニターについて説明を始めた。
このモニターは、間違いなくアンテナ受信したテレビ電波の映像が流れているらしい。
「この『コロシアイ学園生活』は完全生中継により全国ネットで絶賛放映中なのだ!」とモノクマは高らかに言った。
告げられた真実は、全員の予想の範囲を超えていた。
モノクマは電波ジャックをして、この学園生活を全国に放送していたという事になる。
そこまでの力が、モノクマにあるというのだろうか。
驚きを隠せない全員を前に「まだ詳しい事は内緒だけどね!みんなにはそれよりもやる事があるでしょ?」と言った。
直後、死体発見アナウンスが流れる。
また、学級裁判が始まるのだ。
モノクマはモノクマファイルを人数分置き、「今日はたっくさん反響がありそうだな!」と言って去って行った。
黒幕が生きていたとなると、先程見た死体は霧切である可能性が高まった。
更に学級裁判が開かれるという事は、この学園生活の参加者が殺人を犯した事を意味する。
とにかく、捜査をするしか道はない。
被害者が誰で、犯人は誰なのか。
各々が必死で捜査を開始する。

モノクマから告げられた衝撃の真実

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