タイガー&ドラゴン(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『タイガー&ドラゴン』とは、2005年にスペシャルドラマとして放送され、その後、連続ドラマ化された「落語とヤクザ」をテーマにした日本のテレビドラマ。主演はTOKIOの長瀬智也とV6の岡田准一。ヤクザの虎児が落語家に弟子入りし、事件に巻き込まれながらも噺家として修行を積んで、一人前の落語家を目指していくストーリー。毎話お題目となる落語噺に沿うように作成されており、1話完結の構成となっている。TBSプロデューサー磯山晶と脚本宮藤官九郎のコンビによるドラマ。

『タイガー&ドラゴン』の概要

『タイガー&ドラゴン』とは、2005年1月9日に2時間の単発スペシャルドラマとして放送され、その後、続編という形で連続ドラマ化されて2005年4月から6月までTBS系列で放送された「ヤクザと落語」をテーマにした日本のテレビドラマ。主演はTOKIOの長瀬智也とV6の岡田准一。ヤクザの虎児が落語家に弟子入りし、事件に巻き込まれながらも噺家として修行を積んで、一人前の落語家を目指していくストーリー。毎回題材となる落語の噺に沿うように構成されており、最終的にはひとつの話として1話完結に仕上げられている作りとなっている。TBSのプロデューサー・磯山晶と脚本家・宮藤官九郎のコンビによるテレビドラマ。
子供の頃に両親が借金を苦に自殺し、笑いを忘れて生きてきたヤクザの山崎虎児(やまざきとらじ)は、浅草で落語家の林屋亭どん兵衛の高座を聞いて感動し、弟子入りを志願する。虎児はどん兵衛に弟子入りし、噺をひとつ習得するごとに10万円の授業料を払う契約をどん兵衛と交わす。林屋亭小虎として、ヤクザと落語家という二足のわらじを履くこととなった虎児は、どん兵衛の次男であり、かつては落語の天才と言われた谷中竜二(やなかりゅうじ)や、どん兵衛の弟子たちに支えられながら徐々に客の心をつかむ落語家へと成長していくストーリー。
『タイガー&ドラゴン』というタイトル名はオープニングテーマとして用いられているクレイジーケンバンドの楽曲『タイガー&ドラゴン』から来ている。登場する2人の主人公、虎児(小虎)と竜二(小竜)にも掛かっている。このドラマを機に、若者の間で落語が人気となり、実際に『笑点』の視聴率も上昇した。
2005年1月のスペシャルドラマでは第42回ギャラクシー賞のテレビ部門・選奨を獲得し、同年4月からの連続ドラマで『第43回ギャラクシー賞』のテレビ部門・大賞を受賞した。また第49回ブルーリボン賞で、岡田准一と蒼井優がそれぞれ主演男優賞・主演女優賞でノミネートされた。

『タイガー&ドラゴン』のあらすじ・ストーリー

芝浜(しばはま)

財布を落とした銀次郎。

新宿を拠点とした暴力団、新宿流星会の山崎虎児(やまざきとらじ)が、落語家の林屋亭一門の六代目である林屋亭どん兵衛に弟子入りして二ヶ月が経った。たまたま見かけたどん兵衛の高座を見て笑いに目覚め、弟子入りしたのである。そしてどん兵衛は新宿流星会から借金をしており、虎児が取り立てている。落語の弟子であり、借金取りでもあるという不思議な関係なのである。
その落語修行は順調とはいえず、演目でも客からヤジを飛ばされる始末。挙句の果てには新宿流星会の跡取りで、舎弟の中谷銀次郎(なかたにぎんじろう)にも「つまんない」と言われてしまう。今回の虎児の次の演目は「芝浜」である。

魚河岸に出入りする魚屋がいた。この魚屋の名を熊五郎という。しかし、酒好きで働くこともおっくうでたまらない。ある日女房にたきつけられて、嫌々仕入れに行った熊五郎は大金を拾って帰ってくる。その金があると夫がますます働かなくなることを危惧した女房は、熊五郎が寝ている間にその金を隠してしまう。そして熊五郎が起きると女房は、金を拾ったのは夢だったと諭した。それから夫は真面目に働くようになる。数年後、実は金を拾ったのは本当だと真実を打ち明けられた熊五郎は、よくぞ金を隠してくれたと女房に感謝するという噺である。

落語が上達せずに悩んでいる虎児に対して、すでに落語家を廃業しているにも関わらず、見事に「芝浜」を語ってみせるどん兵衛の次男・谷中竜二(やなかりゅうじ)。虎児は自分にはない才能を持ちながらも落語家を辞めて家出してしまった竜二に嫉妬を覚える。だが竜二には心配事があった。経営する古着屋「ドラゴンソーダ」の経営が思わしくなく、アルバイト従業員リサに給料を払っていなかったのだ。給料がもらえず一度は店を辞めると飛び出したリサだが、店の金に手をつけようと戻ってくる。レジを覗くが、金があるはずもない。しかし先ほど店を訪れていた銀次郎が、そこで落とした財布を拾った。リサはそれを持ち去ろうとしたが、居合わせた虎児と竜二に「交番にとどけるべき」と諭されたリサは、財布を交番に届けに行く。すると交番には銀次郎がおり、その姿を見たリサは銀次郎に一目ぼれしてしまうのであった。
一方ヤクザと噺家の二足の草鞋の虎児と、デザイナーと元噺家の二足の草鞋の竜二は、似たような境遇の中で互いに互いのことが理解できなくなる。そしてしばしば喧嘩に発展してしまう。竜二がたまに実家に帰ると、そこにはバラエティ番組に出まくっている兄の谷中竜平やどん兵衛の弟子であるどん吉がいる。そして弟子であるどんつくや、さらにもう1人の弟子であるどんぶりもいるのだ。自分抜きで平和そうな林屋亭一門を見て苛立ってしまう。また父親であるどん兵衛から、借金で両親が自殺した虎児の悲惨な生い立ちを聞かされて、竜二はいかに甘いかと説教される内に親子の溝は深まるばかりだった。
一方財布を取り戻した銀次郎は、バスガイドのメグミに街で出会い、惚れてしまっていた。しかし当のメグミは虎児のことが好きであった。美しいメグミの魅力に惑わされて身を滅ぼしていく男たちをたくさん見ている虎児は、銀次郎をなんとか阻止しようとする。
「芝浜」になぞらえ、リサの銀次郎への一目ぼれを夢だったと諭す竜二と、夢だと思って諦めろと銀次郎をメグミから引き離そうとする虎児。思惑通り夢だと思い込み健気に働くようになったリサを気の毒に思った竜二は、銀次郎のもとを尋ねて店に来るように仕向ける。そして無事にリサと再会して2人は付き合うようなる。こうしてようやくこの騒動は一件落着するのであった。
虎児は高座でこの林屋亭小虎オリジナル「芝浜」を披露し、寄席が成功したことを聞いた竜二。真剣に打ち込む林家亭小虎(はやしやていことら)こと虎児を見直し、こちらの二人も歩みよることができたのだった。

饅頭怖い(まんじゅうこわい)

どん太と鶴子夫婦。

今回の噺は「饅頭怖い」で、次のような内容である。皆で何が怖いかという話を始めるのだが、ただ一人の男だけは自分には怖いものはないという。だが聞き出すとそんな男にも怖いものがあった。それは甘い餡の入った饅頭。男は話を聞くだけでも寒気がするほどの饅頭嫌いである。
いけすかない男をこらしめてやろうと皆で画策し、饅頭を男の寝床に並べるのだがそれこそが本当の狙いだ。男は山となった饅頭を美味そうにたいらげていく。まんまと騙されたことに腹をたてた皆が本当に怖いものは何かと尋ねたところ、「今は渋いお茶が怖い」と述べたのであった。

虎児の兄貴分である日向(ひゅうが)が結婚することになった。だが日向は組長が溺愛する娘、中谷静(なかたにしずか)と過去に付き合っていたこともあり、日向を許すことの出来ない組長と静は日向の結婚式で騒動を起こしてやろうと虎児に話を持ちかける。
一方、林屋亭一家ではどん兵衛の孫にあたる男児が生まれたり、弟子の林屋亭どん吉が真打に昇進することになったりとめでたいことが続いていた。長男の林屋亭どん太は、どん吉の昇進お披露目のお祝いに前座を勤めることになったが、プレッシャーに負けて逃げ出してしまう。そこで代役を務める事になったのが元売れっ子演歌歌手でどん太の嫁、浅草寺鶴子であった。
そんな中、日向の嫁である寿子が林屋亭どん太を嫌っていることを知った組長は、結婚式の余興にどん太を呼んで台無しにしてやろうと企てる。だがそれは実は日向の結婚式を邪魔させないとする虎児が、饅頭怖いになぞらえて案じた一計で、実は寿子はどん太の大ファンだった。結婚式当日、余興に登場したどん太のパフォーマンスを前にして喜びのあまり抱きつく寿子。それを見た組長は怒り出し、「どん太のことが嫌いだったのではないのか!」と寿子を問い詰める。すると寿子は「どん太大嫌い。あとは庭付き一戸建てとドイツ製システムキッチンとプラズマテレビが嫌い。あとね、可愛い赤ちゃんが大嫌い」とあっさり言い放つ。肝っ玉の据わった寿子を認めた組長は日向の結婚を祝福するのだった。

茶の湯(ちゃのゆ)

ドラゴンソーダを訪れたBOSS片岡。

今回の噺は「茶の湯」という演目で、次のような内容である。金儲けに明け暮れて隠居を迎えた男が趣味を持とうと茶道を始めることにした。だが茶道どころかどうやって茶を立てるのかも知らずに知ったかぶりで茶をたてるが、そんな茶がうまいはずもなく、腹を下しながら風流とはこういうものだと勝手に解釈してしまう。男は自分だけで風流に苦しむのも癪だと、大家をしている長屋の衆を茶会に招待することにした。
困ったのは長屋の衆。作法もしらない茶会に誘われて恥をかいちゃいけないと見よう見真似でお茶をすするが、不味いものは不味い。唯一の救いは口直しに出された羊羹。お茶は不味いが羊羹は美味いと、男の茶会は評判になったが客は茶を飲まずに羊羹ばかり食べていく。たまっていくのは羊羹のツケばかりであった。元来ケチな男は自分で饅頭を作ることにするのだが、この饅頭の不味いこと不味いこと。不味いお茶に不味い饅頭、こんなもの誰が飲み食いするはずもなく、茶はすするフリだけ、饅頭は袖の下にしまって隣の畑にポイと投げる。
いつしか頭上に飛んでくる不味い饅頭を見るたびに畑の百姓が言う。「また茶の湯か」と。

林屋亭一門に落語評論家気取りのアマチュア落語チャンピオン、ジャンプ亭ジャンプこと、淡島ゆきおが弟子入りしてきた。だが淡島は林屋亭の家にも馴染もうとせず、寄席では師匠のどん兵衛が演ずる予定だった噺をやってのけ、格の違いを見せつけようとする。どん兵衛はそんな淡島の落語の実力を認めるが、学ぶつもりのないものに教えることはないと破門にしてしまう。一方、虎児はこれまでのオリジナルではなく古典落語をやってみる。しかし、世間の評価はどうもよくない。
同じ頃どん兵衛の次男である竜二は、プロデューサーとして名を馳せるBOSS片岡とのコラボ話が進んでいた。竜二がデザインしたリストバンドを入場券にしてイベントを開催し、竜二の店を宣伝しようという話を持ちかけられている。イベントの名は竜二の店の名「ドラゴンソーダ」にちなんで「ドラゴンナイト」。自分のセンスがついに認められたと張り切る竜二。しかし、片岡はデザインは人任せで金の話ばかりする。段々見えてきた商業的なやり方がどうも納得できない。虎児と竜二は自分の進むべき道が今のままでいいのだろうかと互いに疑問を持ち、二人は悩みながら自らの方向性を模索していく。
そんな中、片岡は何と竜二に断りも無く別のデザイナーの案を起用していた。我慢できなくなった竜二は、自分の納得できないものを店に置くことはできないと片岡に絶縁状を叩きつける。そしてイベントは大成功だったがチケットとして使用され不要になったリストバンドが会場近くの寺に投げこまれ、掃除の坊主が「またドラゴンナイトか」と、悩まされるようになった。

権助提灯(ごんすけちょうちん)

小春(左)どん兵衛(右)。

今回の噺は「権助提灯」という演目で、次のような内容である。愛人を囲う金持ちの旦那がいた。奥方も愛人もできた人で、愛人の嫉妬もなければ旦那を立てようとする奥方のおかげで家庭も円満である。
そんなある風の強い夜。奥方から「うちは大勢いるので大丈夫ですが、愛人さんのお宅は女ばかり。心配なので今晩はあちらに泊まってやってください」と言われる。そうかいそうかいと旦那は喜び勇んで飯炊きの権助をお供に連れ、提灯片手に愛人宅へ出かけて行った。
ようやく辿り着いた愛人宅。だが愛人は「愛人のことまで気遣ってくれる奥様を困らせるほど世間知らずと思われたら迷惑になります」と、旦那を本宅へ送り返してしまう。そういうことではしょうがないとしぶしぶ本宅へ帰ってみれば、無言の嫉妬なのか「あちらさんが心配なので」、愛人宅に追い返されれば「奥様に悪いので」と体よく追い返され、本宅と愛人宅を行き来させられる旦那。そんなことを繰り返すうちに、気がついてみればすでに提灯の必要もないほどの見事な朝日が昇っていた。

二つ目に昇進した虎児は、師匠である林屋亭どん兵衛から大学の落語研究会OB会のために上京してきたという水越小春(みずこしこはる)を紹介される。30年前、大学生だったどん兵衛は、新宿流星会組長と共に落語研究会に所属していた。そこに教えを請いにきたのが新入生の小春であった。どん兵衛と組長はいつしか小春にすっかり夢中になっており、どん兵衛はそれを口に出せないまま組長から頼まれた恋文を小春に渡すのだが、実は小春が想っていた人はどん兵衛だった。
今では妻もいるどん兵衛は、虎児と結託して小春と組長をくっつけようとする。虎児はOB会帰りですっかり酔いつぶれていた小春を組長の家まで送り届けるが、組長は意地を張って会おうとしない。仕方なく林屋亭の家に連れて行くが、そこにはどん兵衛の妻、小百合がいることもありどうしても泊めるわけにはいかない。組長も組長で意地を張り続け泊めることはできない。虎児が行き来を続けるうちにすっかり日は上り、朝日が東の空から上っていた。

厩火事(うまやかじ)

上方まりも・まりおのどつき漫談。

今回の噺は「厩火事」という演目で、次のような内容である。お崎という女が働きもせずに酒ばかり飲んでいる亭主に愛想を尽かして仲人のところへ相談にやってきた。仲人はそんな亭主なら別れてしまったらどうかと諭すが、情があるのかどうにも決心がつかない。そこで仲人が話して聞かせたのが二つの話だ。
ある日、孔子という学者が散歩から帰ってくると、馬小屋がすっかり焼け落ちていた。聞けばあれよという間に火の手が上がり、可愛がっていた白馬も焼け死んでしまったという。しかし孔子は馬よりも弟子のことを心配し、弟子たちもこの人なら一生ついていけると感激したという。
一方、麹町の旦那が大事にしていたのはセトモノの鉢。ある時奥方が皿を運んでる折にうっかり足をすべらせて階段から転げ落ちてしまった。皿は無事だったものの、旦那は奥方を心配せずに皿の心配ばかり。話を聞いた奥方の両親はこんな旦那の元に娘は置いとけないと、二人を別れさせてしまい、旦那は晩年を寂しく過ごしたという。仲人はそれになぞらえて、亭主の大事なものを壊してみて、お崎のことをどう思ってるのか試してみればいいともちかける。なるほどとばかり、さっそくお崎は亭主の前で大事にしていた皿を持ち出し大げさに転んで皿を割ってやった。亭主は孔子なのか麹町なのか、お崎が待ち望んでいると、「大丈夫か」と優しい亭主の言葉。皿より自分のことが大事なのかと尋ねてみると、亭主は涼しい顔で「働き手のおまえが怪我をしたら、明日から遊んでいても酒が飲める生活ができなくなってしまう」と一言言った。

夫婦どつき漫才でコンビを組む上方まりも・まりおの二人が林屋亭の食卓にいた。彼らはどん兵衛と小百合夫妻が仲人を勤めたのだ。まりおは酒に酔って暴力事件を起こしており、つい先ごろ出所して東京でやり直そうとどん兵衛を頼ってやってきた。そうとは知らずに竜二はまりおに酒を飲ませてしまい、また暴力事件を起こして逮捕されてしまう。まりもはどつき漫才とはいえ、毎日叩かれてばかりで、「まりおはもう自分のことなんかなんとも思っていないのでは」と疑いはじめる。
保釈されたものの、まりもに合わせる顔のないまりおは、ライブの予定もあるというのに一人大阪に逃げようとする。だがその道中でまりもが癌だと告げられ、いてもたってもいられなくなりライブに出ることを決意する。しかしまりもの体を気遣い、いつものどつき漫才が出来ない。落ち込んでいるまりおを見て、まりもは全てが嘘だったことを明かし、漫才より自分のほうが大事なのかと尋ねる。するとまりおは、騙された悔しさ半分、嘘だったことの嬉しさ半分で「当たり前だ。女房が死んだら遊んでいて酒が飲めない」と、またまりもをどつくのだった。
拍手が響き渡り、会場は大爆笑。しかし、そのまりもの笑顔がそのまま遺影の写真となって、まりもはほんとに亡くなってしまった。まるおはまりもの仏壇に手を合わせる。まるおを試すための虎児とまりもの嘘だったはずが、実はまりもは本当にガンだったのであった。

明烏(あけがらす)

林屋亭一門で結成された「OH!喜利喜利ボーイズ」。

今回の噺は「明烏」という演目で、次のような内容である。年頃になるのに女の影のひとつもない若旦那がいた。息子を心配した大旦那は町内でも評判の遊び人二人に頼んで吉原に連れていってもらうことになった。若旦那にはお稲荷さんの参拝に連れて行くのだと騙し、三人は吉原の大門をくぐった。お堅い若旦那でも派手な装束の娘を見ればそこが何をするところかはわからないはずがない。
案の定、若旦那は帰りたいと言い出すのだが、大旦那に頼まれているので帰すわけにはいかない。「三人で来たのに一人で帰っては大門で止められて帰れなくなる」と脅し宥め、なんとか部屋へ押し込んだ。一夜明けてみると、若旦那は遊女と二人仲良く床の中。おもしろくないのは昨夜はすっかりふられてしまった遊び人二人。若旦那も起きそうにないので先に帰ろうするのだが、そこで一言若旦那。「帰れるものなら帰ってごらんなさい。大門で止められますよ」というのであった。

新宿流星会に借金の取立てがま甘納豆屋に勤める女、白石克子(しらいしかつこ)の元にやってきた。虎児はその仕事を、将来組を背負ってたつべき銀次郎に任せようとしだが、銀次郎は克子に逃げられてしまう。一方、寄席では林屋亭一門で結成された「OH!喜利喜利ボーイズ」が、あいうえお作文で人気を博していた。
強い姉たちに囲まれて育ったせいで、全く女っ気のないどん吉を心配した虎児は、地方巡業と騙してメグミの仕事仲間との合コン旅行に誘い出す。だが急に女の子に欠員が出てこのままでは一人あぶれてしまう。虎児はその場にいた女に声をかけて事なきを得るが、偶然にもその相手は銀次郎の追う克子だった。合コンも終盤にかかってきたが、最初から気の乗らないどん吉は寂しく大座敷に座っていた。そして同じく取り残されていた克子とうち解けていく。
その頃銀次郎も克子のブログから居所を割り出し、合コンの行われているホテルに乗り込んできた。部屋に乗り込むと、克子の布団にはどん吉が寝ていた。克子と仲良くなっていたどん吉は、克子は多額の借金を抱えていることを聞かされるも、じっと手を握ってくる克子に絆され借金を肩代わりすることにする。止めても聞かないどん吉に呆れて「勝手にしろ」というOH!喜利喜利ボーイズたちは、ドン吉を置いて帰ろうとする。するとどん吉は「私が帰らなきゃ、あいうえお作文ができませんよ」と言うのであった。

猫の皿(ねこのさら)

高座に上がる柳亭小しん。

今回の噺は「猫の皿」という演目で、次のような内容である。骨董品を二束三文で買い叩いて儲けていた男が旅先で茶屋に立ち寄った。茶屋には猫がいて、みればたいそう価値のある茶碗で飯を食っているではないか。
茶屋の主人は茶碗の価値をしらずに猫に使わせているのだろうと思い、男は主人を言いくるめて大金を出すので猫を売ってほしいと持ち掛け、ついでに猫の使っていた茶碗も頂いていきますと高価な茶碗を騙しとろうとする。しかし主人は「その茶碗は高価なものなのでこちらを」と汚い茶碗を出してきた。さあ困ったのが男だ。高価な骨董品が手に入ると思って金を出したのに手元にきたのは猫と小汚い茶碗だ。高価だとわかっているならどうしてそんな茶碗を猫に使わせているのかと尋ねると「こうして猫に使わせておくと、ときどき大金で猫を買い取ってくれるお方がいるんですよ」と、一枚も二枚も上手の主人だった。

虎児があるお笑いコンテストのチラシを持って竜二を訪ねてきた。竜二はいまひとつ気が乗らないものの、賞品が探し求めていたヴィンテージのジーパンということもあり、竜二は参加を決意する。実はコンテストは、どん兵衛の所属する落語芸能協会主催のスカウトオーディションで、賞品のジーパンも竜二を参加させるために用意したものだった。だがコンテストで審査員長を務めるのは奇しくも竜二が落語を辞めるきっかけになった柳亭小しんである。当時、竜二は真打に昇格する一歩手前で、そのための高座にかける落語を人情噺を得意とする小しんに教えを請いにいった。だが、年功序列を重んじる保守派の小しんは、まだ歳若い竜二が真打に上がることが気に入らずなかなか噺を教えようとしなかった。その結果、寄席は失敗に終わってしまう。そして落ち込む竜二は小しんの嫌がらせに嫌気がさし、そのまま落語を辞めてしまったのだった。
賞品につられて出てしまった大会とはいえ、審査員はみな見知った顔の落語家ばかりか、父親のどん兵衛までいる。虎児を恨みながらも竜二は落語を演じきって見事優勝を果たし、「ジーパンを景品に出すと、ときどきおもしろい素人がタダで釣れるんですよ」と、どん兵衛からスカウトされるのだった。

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