十二大戦(第12話『どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い』)のあらすじと感想・考察まとめ

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優勝した子は「干渉力ハンドレッド・クリック」というスキルで生き残ってきた。大戦中に他の戦士達と接触し、それぞれの抱く願いを知った子は、どんな願いを叶えてもらうか悩む。そして、丑に教えられた、自分が正しいと思う願いをドゥデキャプルに伝える。
今回は「十二大戦」第12話『どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「十二大戦」第12話『どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い』のあらすじ・ストーリー

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十二大戦は幕を閉じ、第12回の優勝者は子に決まった。高校生である子は、日常生活に戻って普段通りに学校に通い始めた。子は特別な願いがあって十二大戦に参加したわけではない。しかし、せっかく手にしたたった一つの願いを叶えてくれる権利を、くだらないことに使うつもりはなかった。

子はクラスの女の子に「もし一つだけ願いが叶うとしたら何を願う」と聞く。女の子は「何でも願いが叶うとしたら、皆が幸せになること」「これなら、いろんな人のいろんな願いが一斉に叶えることが出来そうだから」と答える。子は、自分が嫌いな人まで幸せになるのは嫌だが、いい人の幸せになるのはいいかもしれないと思った。子はきちんとした答えを出さないと、死んでいった戦士たちに申し訳なくて、顔向けできないと思うのだった。

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丑に「子が正しいと信じることをしたまえ」と言われたことを思い出し、何が正しい事なのだろうと考える。クズも救ってしまうことに一生悩むけれど、言葉の力で戦を止めることを選び、例えひどい目に遇っても、皆で仲良く幸せになりたいのだと申は子に話してくれていた。そんなことを思い出していた子は、「誰よりも正しくあろうとした申が生き返る」という願いはどうだろうかと考える。申の助言がなければ子は優勝することが出来なかったから、この願いに決めようとする。しかし子は「待てよ?正しい奴だったら生き返れるのか?正しい奴だけ生き残れるってのは正しい事なのか?そんなの…あいつは受け入れるのか?」と考え直す。では、死んだ人間を生き返らすのはどうかと考えるが、それだと生き返ってほしくない人間まで生き返ることになってしまう。でも、生き返らせて感謝されたいわけではないので、自分の願いなのだから自己満足でもいいのかと思うのだった。

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子は、同時に100通りの行動の分岐を実行できる「ハンドレッド・クリック」という能力を使って、他の分岐で戦士たちの願いを聞いてみた。嘘か本音かは分からなかったが、全員あっさりと答えてくれた。

未は「不老不死」が願いだと話していたのを思い出し、子は自分のために願いを使うとしたら、無病息災とかだろうかと考える。
酉の願いは、自分自身に対しての「自信」だった。自分というものがなく、ただ誰かに言われたことを言われたとおりにこなすだけだから、誇りや自分なりの正義というものに憧れているのだという。
午の願いは「才能」だった。午は負けるのが死ぬほど怖いというのだ。負けるのが怖いというのはただのコンプレックスではないのかと子は思うのだが、午はこの怖いという気持ちは病なのだという。もっと力や才能があれば、戦場で生き残る確率は高くなるが、もっときつい戦場に送られて、さらに強い戦士と闘わなければいけなくなるのではと思った。
亥の願いは「ハーレム」だというのだ。歴史ある名家の淑女として、35億人のイケメンと愛し愛され暮らしたいのだという。その願いを聞いて、思春期まっただ中にいる子は、人に聞かれて恥ずかしい願いはしたくないと思うのだった。

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他の戦士たちのそれぞれの願いを思い出していた子は、どんな願いにするか次第に考えるのが面倒に感じ始めていた。

子は「ハンドレッド・クリック」という能力を持ってはいるが、「選択肢を千に増やす」という願いにするとどうだろうかと考えた。「ハンドレッド・クリック」で自分は十二大戦を勝ち残ることができたが、この能力を持っていなければ参加することはなかった。世の中100通りの分岐を持ってしても、回避できないことは山のようにあって、十二大戦への参加にしても避けられる選択肢はなかったのだ。今回は、運よく生き残るルートがあっただけましだと思うのだった。それに、自分の記憶の中には、99回殺された恐怖や痛みがはっきり残っているため、選択肢を千に増やすのは正直きついと感じていた。
様々な分岐で自分と出会った記憶というものは、基本自分以外には残らない。だが、ごくたまにかすかな記憶を残す他者もいて、自分とどこかであった気がするという程度であった。そのため、100通り試して全部だめだった時の絶望感は、他の人には分からないだろうと思うのだった。

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戌の願いは保育園の保育士で、自分の義娘も通わせ、保護者達にも評判はいいのだと子に話す。義娘のおかげで生き甲斐ができ、前よりはましな生活を送っているため、この生活を続けていけたらというのだ。
断罪兄弟の願いは「金だよ金、金さえあれば何でもできる」という。だが、子がそれぞれから話を聞くと、兄の辰は金の価値を信じず、自分以外も信じていない。弟の巳は、金は人から奪うためのアイテムでゲームだということだ。金が生きがいと言いながらも、断罪兄弟は思ったほど短絡的でも楽観的でもなかった。
史上最悪で最強の卯でさえ、落ち着いて話してみたら普通に話ができて、最初の印象とは結構違うと感じた。卯の願いは「世界中のみんなとお友達になりたい」だった。子は恐ろしく感じたのだが、卯にとっては真剣な願いだったのだろうと思うのだった。

子は、戦士たちのそれぞれの願いを思い出しながら、何の願いもない自分が優勝したのは間違いだったのではないかと思い始めていた。
寅の願いは、丑に出会った頃に教えてもらった「正しいことをする」というものだった。寅は十二大戦中、戦士の中で唯一願いを叶えた戦士だ。
子は、夢や希望なんてダサくて、叶わなかった時に空しくなるだけだと思っていた。もし叶ったとしても、その後どうやって生きていけばいいのか分からなかった。夢や希望もなく、なんとなく参加した十二大戦で、別に這い上がろうなどとは思ってなくて、逆境とかも特になかった。
丑との分岐で、何のために戦い子は生きているのかと聞かれたことがあった。子は生きている理由や戦う理由は考えたことがなかったためその時は答えずにいたのだが、自分の願いであれば99個ぐらいは考えられた。

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ドゥデキャプルが子の元に現れ、願い事は決まったのか尋ねた。
ドゥデキャプルは、人の欲望が100で収まるとは思えないというのだが、子は願いを考えに考えて、とうとう一つの願いを決める。
子はドゥデキャプルに、「どうしても叶えたい願いは自分にはないから、自分の願い事はどうか忘れさせてほしい」というものだった。子は、100通り試して全部だめだった時の絶望感や、99回殺された恐怖や痛みがはっきり残っているため、その苦しみから解放されたいのだと、泣きながらドゥデキャプルに願いを伝える。

ドゥデキャプルは、心のこもった素晴らしい願いとして、子の願いを叶えてあげるのだった。

願いを叶えてもらった子は、日常生活に戻って登校する。登校してすぐに自分の席で寝てしまう子だったが、どこか満ちたりた顔をして寝ていた。

「十二大戦」第12話『どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い』の感想・考察

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