チャッピー(CHAPPiE)のネタバレ解説・考察まとめ

“感情”や“意識”を持った人工知能内臓の学習型ロボット“チャッピー”を巡り、そのロボットの設計者、ロボットを強奪したギャング・グループ、設計者を妬む同僚などが入り乱れて、ユーモアを交えながら壮絶なアクションとサスペンスが展開する、2015年公開の近未来SF映画。監督は、独創的なSF映画「第9地区」(09)でデビューした南アフリカ出身のニール・ブロムカンプ。

チャッピーの“ママ”&“パパ”として、彼を育てるギャングという重要な役柄を演じた南アフリカ・ケープタウン出身のラップグループ「ダイ・アントワード」の夫婦ニンジャとヨ=ランディ・ヴィッサー。
プロムカンプ監督の「第9地区」を気に入っていた二人は、世界中で一番好きな監督だと言い、オファーを受けたときは夢が叶ったと思ったそうだ。
「ダイ・アントワード」は、リードラッパーのニンジャ(Ninja)、サイドラッパーのヨ=ランディ・ヴィッサー(¥o-LandiVi Vi$$er)、DJのDJハイテック(DJ Hi-tec)によって2008年に結成したグループ。09年にデビューアルバム『$O$』を発表。
ビビッドなファッションとアヴァンギャルドな音楽性、それに奇抜なパフォーマンスで世界的に人気を博し、日本にも来日している。
アフリカーナのプア・ホワイト文化である「ZEF」を提唱した一組でもあるそうだ。
映像にも関心が深く、10年に「スプリング・ブレイカーズ」のハーモーニー・コリン監督と組み、短編映画「UmshiniWarm」に本人役で出演したり、インパクトの強いミュージックビデオも、自分達で企画しニンジャが監督しているらしい。
彼らの代表曲「I FUNK U FREEKY」はYouTubeで再生回数が6400万回を超えるなど、ミュージックビデオの注目度も高い。

映画のエンディングで流れるダイ・アントワードのヒット曲のひとつ「Enter The Ninja」

『チャッピー』の名シーン・名場面

ニンジャにスラム街に置き去りにされ、気が沈むチャッピーと野良犬

ニンジャによって街中に置き去りにされ気が沈むチャッピーと彼にじゃれつく野良犬

チャッピーが楽しげに絵を描いているのを見たニンジャが、自分たちの味方にするためには、街の状況を覚えさせなきゃいけないということでスラム街に連れ出して置き去りにする。チャッピーの見た目はロボット警官だけに、街のチンピラ達に暴力を振るわれてしまい、チャッピーはかろうじて逃げ出す。
なぜ自分に暴力を振るわれたのか訳が分からず丘の上でしょんぼりと石にへたり込んでいると、野良犬が親しげに近寄ってきたので、自然に手が伸び犬の頭を撫でてやる。
チャッピーと野良犬とのつかの間の交流が詩的に描かれる、ちょっぴりセンチメンタルなムード漂う胸にキュンとくる名シーンである。
この後ヴィンセントたちに襲われ、片腕を切断された挙句にガードキーを奪われる。チャッピーにとってはムゴイ出来事が起こるだけに、余計に印象深い場面となっている。

隠れ家を急襲したムースに立ち向かうチャッピーやニンジャたち

ヴィンセントの放ったムースに立ち向かうチャッピー

チャッピーを欲しがったヒッポや彼の手下とニンジャ達が銃撃戦を繰り広げる中、突如ヴィンセントが操るムースが襲来し三つ巴のバトルとなる。派手なアクションやバイオレンスが炸裂する見応えたっぷりの名シーンだ。
最初にアメリカがムースによって悲惨な死を遂げ、ディオンが致命傷を負う中でチャッピーは苦戦を強いられるが、最後には爆弾の起爆スイッチのボタンを押してムースを木っ端みじんにするまで、息をもつかせずスリリングなアクションが展開する。
オトリとなったニンジャを救うために、ヨーランディがムースに重火器を発砲するが、あえなく撃ち殺されるというドラマ的にも大いに盛り上がるシーンである。

ヨーランディを逃がそうと、自らオトリとなってムースに立ちはだかるニンジャ

ニンジャを助けようとムースに重火器を向けるヨーランディ

『チャッピー』の名言・名セリフ

「ボク生きたい、ママといたい、死ぬのはイヤだ」

ニンジャから、バッテリーの残量が少ないからあと数日で死んでしまうんだ教えられたチャッピーが、ディオンに「ボクの創造者なのに、なざ死ぬように作ったの?ホントなの?」と問いかける場面。
ディオンが「決して死ぬように作ったんじゃない。君の成長は、僕の想像を超えていた。考えもしなかったんだ、君の今の姿を」と答えるしかなかったが、チャッピーは「ボク生きたい、ママ(ヨーランディ)といたい、死ぬのはイヤだ」と彼に訴えかける。
チャッピーが自分の死を意識し、それを回避したいと願う人間的感情がほとばしる名シーンだ。

「ボクたちは黒い羊だね」

ヨーランディの意識をインストールされ、目覚めたロボット。

チャッピーが亡くなったヨーランディの意識の解析データを収めたフラッシュメモリーを使って、彼女の意識を持つロボットを誕生させた時のセリフ。
ディオンがチャッピーに情操教育を施そうと隠れ家に持参した絵本「黒い羊と小鳥」をヨーランディが読んで聞かせるのだが、白い羊の中で一匹だけ黒い羊だけがいたという絵本の物語を引用した言葉だ。
ヨーランディが「黒い羊ってわかる?みんなとは違うって意味なの」と話すと「ボクもママやアメリカと違うの?」と問いかけるチャピー。「でも外見はあまり意味がないの。大事なのは中身。あなたは特別な存在なのよ。だからみんなとは違う。本当のあなたは心の中にあるのよ」とヨーランディは答え、「こういう外見は一時的なものなの。死んだら中にある魂は次の場所へ行くの」ともチャッピーに話す。
そして、チャッピーは彼女の言葉どおりに、死んだヨーランディが残した彼女の“意識”を、次の場所であるロボットに移し、彼女をロボット=黒い羊として蘇らせるのである。

絵本「黒い羊と小鳥」をチャッピーに読んで聞かせるヨーランディ

『チャッピー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

『チャッピー』の元ネタである架空の会社のロボット警官CM

03年にニール・ブロムカンプが製作した架空の会社のロボット警官CM。
ブロムカンプは自宅のパソコンを使って、ほとんど一人で作ったそうで、金がないので他の人が作ったモーションキャプチャーのデータを使って作ったらしい。
ロボットが建物の陰に隠れる場面では、ブロムカンプ自身が演じ、それをビデオに撮ってもらってロトスコープの要領でCGでトレースしたんだそう。

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