チャッピー(CHAPPiE)のネタバレ解説まとめ

“感情”や“意識”を持った人工知能内臓の学習型ロボット“チャッピー”を巡り、そのロボットの設計者、ロボットを強奪したギャング・グループ、設計者を妬む同僚などが入り乱れて、ユーモアを交えながら壮絶なアクションとサスペンスが展開する、2015年公開の近未来SF映画。監督は、独創的なSF映画「第9地区」(09)でデビューした南アフリカ出身のニール・ブロムカンプ。

『チャッピー』概要

南アフリカに飛来し難民化したエイリアン達を独自の視線で描き、第82回アカデミー賞作品賞の候補になった「第9地区」の監督ニール・ブロムカンプが、感情を持つロボットを主人公に製作したのが本作だが、彼が03年に撮ったロボット警官が登場する1分半程の「テトラバール」という架空の会社の自主製作CMがベースになっている。
監督は、以前から「テトラバール」を1本の映画として作りたかったそうだが、なかなか面白いアイデアが浮かばず先延ばしにしていたらしい。その後、たまたま彼の生まれた南アフリカのラップ・グループ「ダイ・アントワード」の曲を聴き、「彼らがロボットを育てたらどうだろう?」と思い付き、そこから物語を作り上げ、製作がスタート。
主人公のチャッピーの声とモーションキャプターを、「第9地区」で主役を演じたシャールト・コプリーが担当し、共演は、「スラムドッグ$ミリオネア」のデヴ・パテル、「X-MEN」シリーズのウルヴァリン役で知られるヒュー・ジャックマン、「エイリアン」シリーズのリプリー役で一躍トップスターとなったシガーニー・ウィーヴァー、それに映画初出演となるラップデュオ、ダイ・アントワードのニンジャとヨ=ランディ・ヴィッサー。

『チャッピー』のあらすじ・ストーリー

胸の部分のバッテリーを損傷し、廃棄されそうになる警官ロボット“スカウト”22号

近未来、南アフリカの都市ヨハネスブルグは、犯罪が多発し無法地帯と化していたが、その対応策として政府は高性能の人工知能を内蔵した世界初のロボット警官隊の導入を決定した。そしてロボット警官“スカウト”の大量動員により犯罪率は減少した。
警官ロボット“スカウト”は、大手兵器メーカー、テトラバール社が製造したもので、設計者は若き天才ディオン・ウィルソン。
女性社長ミシェル・ブラッドリーはディオンの功績を称え、社内での彼の株は上がったが、同僚で同じ設計者のヴィンセント・ムーアは彼の成功を激しく妬んでいた。
それは、ヴィンセントが開発している、遠隔で人間が操作する軍事用ロボット“ムース”の開発予算が社長によってどんどん削られていたからだった。

ディオンは、従来の人工知能では飽き足らず、より人間に近い感情や意識を持った人工知能ソフトウェアの開発を自宅で密かに行っていた。
そして、幾度かの失敗を重ねて開発に成功し、試作品を作って商品化することを社長に提案するが、現在のスカウトで政府や警察に十分満足してもらっているのでその必要はないと却下されてしまう。
諦めきれないディオンは、凶悪犯の逮捕時に銃撃を浴び、バッテリーを損傷したためにバラバラにされて廃棄寸前だったスカウトの22号と、厳重に保管されていたソウフトウェアのインストールに必要なガードキーを勝手に持ち出し、自宅に戻って試作品を作ろうと車に積み込んだ。

同じころ、ギャンググループのニンジャ、ヨーランディ、アメリカは、強盗に失敗し、大ボスのヒッポから奪いそこなった品物の代わりに大金を一週間で用意しろ、さもないとお前らを殺すぞと脅された。
自分達の隠れ家に戻ったニンジャが、このままでは殺される、現金輸送車を襲おうと提案するが、アメリカがロボット警官にやられるのがオチだと返した。すると、ヨーランディが、「ロボットってマシンだからリモコンでスイッチをオフに出来るんじゃない?ロボットを作ってるやつを見つけてリモコンを盗めばいいのよ」と言い出した。
彼女の案に乗ったニンジャは、早速、作戦を練り始めた。

ニンジャ達に拉致され、成り行きで22号に自分が開発した新たな人工知能ソフトウェアをインストールするディオン

自宅に向かっていたディオンは、突然現れたニンジャ達に襲われ気絶させられた。
彼らの隠れ家に連れ込まれ目を覚ましたディオンは、ニンジャに銃を向けられ「リモコンはどこにあるんだ」と問われるが、「そんなものはないんだ」と恐怖に青ざめながら答えると銃の筒先が彼の頭に突き付けられた。
その時、アメリカがディオンの車に警官ロボット“スカウト”のバラバラになった部品があるのを見つけた。
それを見たヨーランディが、「あの男に、こいつを自分たちの“味方”にプログラムし直させよう」と言い出した。「無敵のギャングスター・ロボ・ナンバー1だな」とニンジャもその話を受け入れた。
殺されたくなかったら組み立てて動くようにしろとニンジャに迫られ、ディオンは仕方なく応じた。
しかし、このロボットはバッテリーが損傷し本体と溶解してくっ付いているから交換不可能だし、バッテリーの寿命も後5日ぐらいだとニンジャ達に前もって告げた。
試作品のつもりだったから、ディオンは寿命のことなど考えていなかったのだ。
22号を組み立て直し、最後にディオンが開発した感情や意識を持った人工知能ソフトウェアをガードキーを使ってインストールし、パソコンで作動スイッチのボタンを押した。
ほんの数秒でロボットは起動した。
まるで生まれたばかりの赤ん坊のような無垢さでディオンやヨーランディに接するロボットを見て、ヨーランディはロボットをチャッピーと名付けた。
ニンジャに脅されてやったことだったが、ディオンも感情を持ったロボットを誕生させたことを大いに喜んだ。
しかし、それもつかの間でディオンがガードキーを会社に戻すために取り出そうとした時、ニンジャに隠れ家から追い出されてしまった。
ディオンは、「あれは僕が作った。僕が必要だ。環境に順応させるため、明日も来るよ。」と言い残して隠れ家を後にした。

その夜、テトラバール社に残っていたヴィンセントはガードキーが無くなっているのに気付いた。
ディオンの仕業だとにらんだヴィンセントがパソコンで調べると、スカウト22号にインストールされたことが分かった。

チャッピーを“味方”にするために銃の扱いを教えようとするニンジャ

翌朝、チャッピーが隠れ家を物珍しげに歩き回っていると、ニンジャが現れ銃の撃ち方を教えようとした。
だが、全く銃が使えず、それどころか銃の照準装置を狂わせてしまい頭にくるニンジャ。
ヨーランディが、まだ生まれたばかりで順応させることが必要でしょとニンジャをたしなめると、「俺はヤクを売ってくる」と言い捨て出て行ってしまった。
残ったヨーランディは、チャッピーにいろいろなものを見せ、名前を教えようとした。
瞬く間に言葉を覚えていくチャッピーに、ヨーランディは自分を“ママ”と呼ばせるようにした。どうも彼女の母性本能を刺激したようだ。
その時、ディオンが車に絵画道具や絵本などを積んでチャッピーを情操教育しようとやってきた。
そして、ディオンはチャッピーに絵筆を持たせ絵を描かせてみた。
その姿を、密かにディオンの後を付けていたヴィンセントが隠れ家の角から見つめていた。
彼は驚きながらも、そのロボットにまだガードキーが残ったままだと知った。

隠れ家に戻ってきたニンジャは、楽しげに絵を描くチャッピーに苛立ち、そんなことのために動くようにしたんじゃない、俺たちの仕事を手伝わせるためだ、この街のことを早く覚えてもわなくっちゃなとチャッピーをスラム街に連れ出し、荒療治ということで彼を置き去りにした。
見た目は警官ロボットだけにスラムのチンピラ達は最初は用心したが、挑みかかってくることもなく逆に彼らを怖がっているのを見て、棍棒で殴り石をぶつけ、あげくに火炎瓶を投げ付けチャッピーは火だるまとなって逃げだした。
まだ善悪の区別がつかず無垢なチャッピーは、なぜ自分が酷い目にあうのか分からなかった。
丘の上で岩にぽつんと座り込んでいると、レーダーで彼の居場所を見つけたヴィンセントと警備員が現れた。
そして、ヴィンセントたちの輸送車に連れ込まれ、彼にガードキーを抜かれ片腕を切断され破壊されかかったが、チャッピーは扉をけ破って辛くも逃げ出した。

チャッピーが隠れ家に戻ってくると、腕のない無残な姿を見てヨーランディはニンジャのやったことに怒った。
ヨーランディが自分のことを大事に思っていてくれると理解したチャッピーは、ヨーランディを“ママ”として慕い始めた。
アメリカが、ディオンが残していた部品の中から別の腕を見つけ、それを取り付けた。
ニンジャは、チャッピーに「人は過ちを犯す。悪かった」と謝り、「お前をクールでタフにしてやろう。俺はお前の“パパ”なんだから」と言い出した。
チャッピーは、彼の言葉を素直に受け止め、「俺の車を盗んだ悪党から取り返すんだ」と言いくるめられて高級車の盗難に手を貸した。
高級車強奪は、盗んだ高級車と引き換えに、ニンジャが密売人から現金輸送車襲撃のための武器を手に入れることが目的だった。
そして、武器密売人のアジトにニンジャと同行したチャッピーは、お前はバッテリーの残量が少ないから、あと数日で死んでしまうんだと教えられた。
気落ちしたチャッピーに、新しいボディを買おう、そのために強盗しなくちゃいけないとニンジャが話しかけると、死んでしまうのはイヤだと彼の提案を受け入れることにした。

ウイルスに汚染され機能停止たチャッピーがディオンが勤める会社で回復し、ムースを初めて目にする。

ニンジャによってチャッピーが悪に染まることを危惧したディオンは、再び隠れ家を訪れるが、チャッピーから「僕の創造者なのに、なぜ死ぬように作ったの?」と問われ、「君の成長は僕の想像を超えていた」と答えるしかできなった。

同じころ、ガードキーを手に入れたヴィンセントは、それを使ってディオンが開発したすべてのスカウトのプログラムに悪質ウィルスを放ち、機能停止に陥らせた。それは、ディオンを失脚させて自分が開発したムースの存在価値を社長や政府に認めさせるためだった。
警官ロボット“スカウト”によって犯罪が減少していた街は、再び犯罪者が我が物顔に暴れまくる無法地帯と化した。
チャッピーもウィルスに犯され突然動きが止まったが、ディオンが彼を会社に運び込んでウィルスを除去し、なんとか復旧させた。
覚醒したチャッピーは、そこでムースを初めて目にした。
ディオンから、意識を持った君と違ってムースはトランスミッター(発信装置)から脳波を送って動かすのだと説明された。
ムースに指令を送る神経ヘルメットを見たとき、チャッピーはこれを使えば自分の意識を新しいボディに移せるんじゃないかとディオンに問うたが、それは不可能なんだと言われてしまう。
だったらボクが“意識”を解析して転送するシステムを作ってみせるとチャッピーは言い放ち、ディオンをその場に残して神経ヘルメットを持って走り去った。
隠れ家に戻ると、チャッピーは“パパ”であるニンジャに新しいボディを買ってもらうのを期待して、自身の意識を解析して神経データを取り出す実験を始めた。
ヨーランディが神経ヘルメットを不思議そうに見たので、チャッピーは彼女にヘルメットを被せて意識を解析して見せ、フラッシュメモリーに彼女の意識のデータを収めた。
人間であるヨーランディの意識は難なく解析できたが、チャッピー自身の意識の解析はなかなか上手くいかなかった。
でも、幾度か失敗を重ね、やっと解析に成功した。
そして、ニンジャ達と共に大金を手に入れるために現金輸送車襲撃に出発した。

意気揚々と現金輸送車襲撃に出陣するチャッピー、ニンジャ、ヨーランディ、アメリカ

現金輸送車強奪は、チャッピーの働きもあり難なく成功した。
だが、襲撃の一部始終が監視カメラに撮影されていて、その映像がニュースとして流れた。
警官ロボットであるスカウトが犯罪に加担したことが広く知れ渡り、その対処に苦慮するテトラバール社のミシェルに、ヴィンセントは、「すべてはディオンの責任だ、スカウトのプログラムには欠陥があり、中でもあのロボットはディオンが開発した意識を持ったロボットで悪事を働くモンスターなんだ」と告げた。
そして、「会社の評判を落とさないためにも、今こそムースの優秀さを広めるべきでは?」と訴えた。
ミシェルは意識を持つロボット(チャッピー)の破壊を決め、ヴィンセントにムースの出動を許可した。

チャッピーは大金が手に入り、これで新しいボディを買いに行けると思ったが、ニンジャからそんなボディはない、強奪にお前が必要だから嘘をついたと言われ、自分を騙した彼に怒りを爆発させた。
隠れ家に戻っても、チャッピーの怒りは収まらずニンジャを罵りまくった。
そこに、チャッピーを破壊しにムースがやって来ると、重火器を持参してディオンが危険を知らせにやって来た。
彼だけでなく、ニュースでチャッピーを見たヒッポも、彼を欲しくなり手下を従えて現れた。
ニンジャ達とヒッポ達が激しい銃撃戦を繰り広げるさ中、ムースが襲来した。
三つ巴の戦いとなり、アメリカがムースによって虐殺され、ヒッポの手下達も次々と命を落としていった。
そして、ディオンもヒッポの銃弾を浴び致命傷を負った。
自分を生んだディオンを傷つけたムースにチャッピーは爆弾を撃ち込んだが、爆弾の起爆スイッチ起動させる前に銃撃を受け阻止されてしまった。
ムースを操作するヴィンセントは、一人残らず殺してしまおうとニンジャやヨーランディをも狙った。
ニンジャは自らオトリとなり、チャッピーに車を運転させてヨーランディとディオンを逃がそうとした。
だが、ヨーランディはニンジャを一人残すことが出来ず、車から降りてムースに重火器を向けたが返り討ちに合い命を落とした。
ママの死を嘆いたチャッピーは、取り落とした起爆スイッチを見つけボタンを押した。
ムースは轟音と共に木っ端みじんに破壊された。

ヨーランディの命を奪ったヴィンセントを痛めつけるチャッピー

ママのヨーランディを失ったチャッピーは、ニンジャと共に嘆き悲しんだ。
ディオンから、首謀者がヴィンセントだと聞き、怒りに燃えたチャッピーは彼を車に乗せてテトラバール社に向かった。
社内で逃げるヴィンセントを追い詰め、ママや仲間を殺したなと叫びながら社員やミシェル見ている前で徹底的に痛めつけた。
そして、工場に瀕死状態のディオンを運び込み、持参していた神経ヘルメットを彼の頭に被せて彼の意識を取り出し、そばにあったスカウトに意識を転送した。
自分の意識がスカウトに移り、ロボットの体で生きていることにディオンは驚いた。
スカウトになったディオンは、これならチャッピーの意識も別のボディに転送すれば良いのでは思い付き、パソコンで一番近くのスカウトを探し出して転送を始めた。
警官隊が駆けつけドアを破ろうとしていたが間一髪でディオンは逃げ出した。
外に飛び出すと、ヴィンセントが放ったウイルスによって道路に倒れていたスカウト39号がむっくりと起き上がった。
ディオンが「チャッピーかい?」声をかけると39号は「そうボクだ」と答えた。
そして、「人間の体を捨てるしかアナタを救えなかった」とチャッピーはスカウトとなったディオンに言った。

ヴィンセントやディオンが引き起こした騒動を重く見た南アフリカ警察は、テトラバール社の警官ロボットの使用を中止して人間の警官を大量起用する決定をした。

隠れ家では、ニンジャ、チャッピー、それにスカウトのディオンが、亡くなったヨーランディを弔っていた。
チャッピーは、ヨーランディの亡きがらに近寄り「これは一時的なボディだ。新しいのを作る。次の場所へ行かなくていい」と呟いた。
それは、ヨーランディの意識の解析データが収められたフラッシュメモリーが残っていたからだ。
チャッピーは、テトラバール社の工場にハッキングし、ロボット素材を組み立て、そのボディにヨーランディの意識を転送した。
そして、彼女の意識を持った彼女そっくりの顔をしたロボットが目覚めた。

チャッピーは、ヨーランディの意識が収められたフラッシュメモリーを使って、彼女を蘇らせようとする

『チャッピー』の主な登場人物・キャラクター

チャッピー(声&モーションキャプチャー:シャールト・コプリー、日本語吹替:川島得愛)

廃棄寸前だった警官ロボット・スカウト22号に、開発者のディオンが感情や意識を持つ人工知能ソフトウェアをインストールしたことで誕生。名付け親は、ギャンググループのヨーランディ。バッテリーが損傷していて寿命は5日間しかない。
誕生したばかりで赤ん坊のように無垢なチャッピーは、ギャンググループのニンジャに言いくるめられて彼の“仕事”を手伝ったり、ディオンから情操教育として絵を描いたり様々なことを経験する。
やがて、驚くべき速さで知能が発達したチャッピーは、ヴィンセントが開発した神経ヘルメットを使って意識の解析を試み、ヨーランディや自分の意識の解析に成功する。
人間の言葉を信じやすく善悪の区別が曖昧なところがあり、人間を傷つけてしまうこともあるが、命を絶つことは絶対にしない。
“ママ”として慕うヨーランディが亡くなった時は、フラッシュメモリーに収めていた彼女の意識データを転送したロボットを作り上げてしまう。

チャッピーのモーションキャプチャーを演じるシャールト・コプリー

ディオン・ウィルソン(演:デヴ・パテル、日本語吹替:羽多野渉)

テトラバール社の社員で、警官ロボット・スカウトの開発者。
とても研究熱心で、スカウト用の人工知能では飽き足らず、感情や意識をもった、より人間的な人工知能ソフトの開発に成功するが、社長から使用許可を得られず勝手に廃棄寸前のスカウト22号で試作品を作ろうとする。
その矢先、ニンジャ達に拉致されて彼らの隠れ家で、脅されて彼の人工知能ソフトをインストールしたスカウトを起動させてしまう。
ネットで幼児教育サイトなどをチェックし、チャッピーと名付けられたスカウトに情操教育を施そうとするが、なかなか思い通りにいかず、あげくはチャッピーから5日間しか寿命がないことを責め立てられ、自分の行為に後ろめたさを感じてしまう。
ヴィンセントの放ったムースからチャッピーを守ろうとして瀕死の重傷を負うが、チャッピーが神経ヘルメットを使ってディオンの意識をスカウトに転送し、ロボットとして生まれ変わる。

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