Dolls(映画、ドールズ)のネタバレ解説まとめ

『Dolls(ドールズ)』とは、2002年公開、北野武が監督を務めた日本のラブストーリー映画である。
北野武監督第10作目。人形浄瑠璃『冥途の飛脚』をモチーフに3つの物語から構成される。
青みがかった色彩のキタノブルーで知られる北野武監督だが、本作ではさまざまな色彩に満ちた映像になっていることが話題になった。
第59回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門正式出品作。衣装を山本耀司、音楽を久石譲が手がけた。
キャッチコピーは「あなたに、ここに、いてほしい。」である。

『Dolls』の概要

『Dolls』とは、勤務先の社長令嬢と結婚するために恋人を捨てた男。何十年も昔の男を待ち続ける女。事故で人気の絶頂から転落したトップアイドルを慕い続ける男。3つの究極の愛の物語から構成される。北野武が監督を務めた2002年公開の日本のラブストーリー映画である。

松本は恋人の佐和子を捨て、社長令嬢と結婚することになった。しかし佐和子が自殺未遂をし、精神状態が悪くなったことを知って彼女と「繋がり乞食」として放浪する。
病気を患ったヤクザの親分は昔別れた女のことを思い出していた。毎週土曜日にはお弁当を持って公園のベンチで待っている言った良子のことを。
ふと思い立ち公園へ行ってみると、自分を待つ老いた良子の姿があった。
温井はアイドル山口春奈の熱狂的ファンである。ある夜春奈は事故に遭い、タレント生命を絶たれてしまう。どうしても春奈に近づきたい温井は自分の目をつぶして春奈のもとに向かうのであった。

近松門左衛門作の人形浄瑠璃『冥途の飛脚』をモチーフにお笑いタレント兼映画監督北野武が監督、脚本、編集を手がけた。
山本耀司の衣装と久石譲の音楽が美しく、キャッチコピーは「あなたに、ここに、いてほしい。」
第59回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門正式出品作。

国内、海外ともに賛否両論、評価が分かれる本作である。日本的な情緒と色鮮やかな色彩感覚が素晴らしいと絶賛される一方で日本独特な四季折々の映像美を全面的に押していて押しつけがましいと感じるという声もある。
物語が進んでいくうちに3組の別々の男女がそれぞれに希望を見いだしていくが、最終的には「死」というあまりに無情な現実を描いた作品でもある。
その点を北野武史上、最も残酷で暴力的な作品として評価するファンも多い。

ロシアでは2年以上に及ぶロングランとなった。

当時の記者会見で、「この映画は、観る人の経験や価値観、その瞬間の自分自身が試される作品だと思います。だからこそ賛否両論が出ることは素晴らしいし、互いの意見を交換できる事は素敵なことだと思います」と主演の菅野美穂は言っている。

『Dolls』のあらすじ・ストーリー

人形浄瑠璃『冥途の飛脚』

人形浄瑠璃の舞台で『冥途の飛脚』が演じられている。『冥途の飛脚』は飛脚問屋の養子忠兵衛が遊女梅川を身請けにするために公金に手を付け逃走するという話である。

松本には婚約者、佐和子がいたが、勤め先の社長に気に入られ社長令嬢との間に縁談が持ち上がる。
両親の強い説得に負け、松本は佐和子と別れて社長令嬢と結婚することを決めた。
結婚式の当日、佐和子の友人に「佐和子自殺したよ」と告げられる。「死んだ?」と聞く松本。
友人は佐和子は命は助かったが頭がおかしくなってしまって、自分のことも認識できず病院にいると言う。
佐和子の父母は自殺未遂をした佐和子を発見し泣き崩れていた。
松本は結婚式を放り出して車で佐和子のいる病院に向かう。
そこで松本が見たのは病院の庭で廃人同然となった佐和子の姿だった。
佐和子は松本のことも認識せず、まるで空っぽの人形のようになってしまっていた。
たまらなくなった松本は佐和子を車で連れ去り、一緒に行動するようになる。
松本はうちにあるありったけの金を取りに来ていた。居合わせた同僚にはすぐに連絡すると言い残し、彼からも金を借りて佐和子との行動資金に充てる。
最初はホテルに泊まっていた松本と佐和子だったが、佐和子は勝手に部屋を出て天使の置物に話しかけたり、ロビーの花で花束を作ったり幼児に戻ったかのような行動をする。

松本が運転する車の横で吹くとボールが飛ぶおもちゃを無心で吹き続ける佐和子

ある時、松本が同僚に電話をかけていると、店で佐和子が吹くとボールが飛ぶおもちゃを盗ってしまうところだった。
車の中でずっとそのおもちゃで遊ぶ佐和子。ボールが車道に飛び出したのを追いかけた佐和子は車に轢かれそうになる。
ボールはつぶれてしまいもう吹いても動くことはない。悲しそうな声を上げ泣きながらも佐和子は遊び続けるのであった。
またある時は松本がトイレに行った隙に、トラックの前に飛び出しはねられそうになる。
松本は自分が目を離すとどこかに行ってしまう佐和子を赤い紐で車のヘッドレストに繋いだ。
松本はドスッドスッっという音で目が覚める。佐和子が外に出ようとしていたのだ。「ごめんな。」と泣きながら松本は佐和子を抱きしめた。
松本は赤い紐で自分と佐和子を繋ぎ、車を捨て、あてもなく歩き始めた。

満開の桜の下を歩く松本と佐和子

満開の桜の下を松本と佐和子は無言で歩いていく。
周りの人は「繋がり乞食」と囃し立て、汚いものでも見るかのような眼差しで松本と佐和子を見る。
小学生が赤い紐を引っ張り、「繋がり乞食」と叫んだ。
松本と佐和子は全く表情を変えず歩き続ける。

親分は手下のヤクザに兄弟分を殺させた。

ヤクザの親分は病を患い屋敷で療養していた。もう先が長くないと感じている親分には2つの忘れられない過去があった。
1つは直接手を下したわけではないが、手下のヤクザに兄弟分を殺させたこと。その兄弟分の子どもには罪滅ぼしのように小遣いを与えていた。

一緒にお弁当を食べる若き日の親分と良子。

もう1つはヤクザになる前に付き合っていた良子のことである。良子とは毎週土曜日に公園のベンチで良子が持ってくるお弁当を一緒に食べていた。
親分はもっとしっかりした男になると転職を決め、良子に別れを告げる。良子は「私、いつまでも待ってる。土曜日にはお弁当作って待ってるから。」と叫ぶ。
ふと良子のことを思い出した土曜日、親分は良子とお弁当を食べていた公園に行ってみることにする。
驚いたことに、公園のベンチには若いころのいでたちのままお弁当を持って座る良子の姿があった。

佐和子の夢の中。

夏祭りのお囃子の音が聴こえている。
鉄橋の下で眠る佐和子は夢をみる。
松本と赤い紐でつながれた佐和子は縁日の風車の横を歩いている。やがてそれはお面が売られているところに変わり、佐和子はひょっとこのお面が怖くてならない。
ひょっとこのお面をつけた3人の男が佐和子を連れ去る。紐で繋がれた松本を引きずりながら。
翌朝、松本と歩く道にひょっとこのお面が落ちていた。振り返りながら急いで歩く佐和子。

春奈一色で飾られた温井の部屋

温井はアイドル山口春奈の熱狂的なファンだった。
工事現場でアルバイトをしながら、出待ちをしたり、サイン会に並んだり、ヘッドホンで春奈の歌を聴きながら踊ったり。
山口春奈は温井のすべてであった。
サイン会で温井と同じ古参の春奈ファン、青木が春奈に名前を覚えてもらっていることに少し嫉妬もしていた。
ある夜、春奈は交通事故に遭ってしまう。
工事現場のアルバイト中に電光掲示板でその事故を知った温井は仕事をすっぽかし病院に駆けつける。
春奈のアイドル生命は絶たれ、芸能界を引退することになった。
温井は春奈の実家に行って春奈の母に春奈に手紙を書きたいと懇願する。
そして春奈の写真を目に焼き付けて、自らの目をカッターで潰したのだった。

白杖をつきながら春奈の叔母に手を引かれ、温井は夏の砂浜を歩く。
叔母の下で療養している春奈に会うために。
春奈は左目に大きな眼帯をしていた。
ファンに傷ついた顔を見せたくないと誰とも面会を拒んでいた春奈だったが、盲目になった温井を見て、「温井さんですよね?目、どうしたんですか?」と驚く。
温井は「見ないほうがいいかなと思って。」と言ってうつむく。

繋がり乞食の松本と佐和子は線路の上を歩いている。
川沿いの石垣を歩いていると、石垣から佐和子が落下してしまう。
松本に繋がっていたので無事引き上げられ、また歩き出す。

美しい紅葉の中を歩く松本と佐和子

紅葉が美しい秋になった。

繋がり乞食は川の上の一本橋を渡った。
休憩中に佐和子が松本についた赤い落ち葉をとって眺めている。

ヤクザの親分は良子の隣に座るが、良子は彼がかつての恋人本人だとは気づかない。

ヤクザの親分は土曜日に良子のもとを訪ねていた。
自分の隣に座る親分がかつての恋人本人だと気づかない良子であった。
「彼氏まだ来ませんか?」と身を隠して聞く親分に、良子は「来ないんです。でももういいんです。最近はあんたが来てくれるから。もう待つのやめようかと思って。」と答え、お弁当を差し出す。
心を通わせていく2人だったが、親分は車に戻る途中、謎の男(殺し屋)に後ろから銃で撃たれ死んでしまう。
親分の死を知らない良子は翌週もおしゃれをしてお弁当を持ち、公園のベンチで親分を待ち続けるのであった。

春奈に手を引かれ、満開のバラ園を散歩する温井。

温井は春奈に手を引かれ満開のバラ園を散歩していた。
しかしある朝、温井は血まみれの遺体となって発見される。
温井がどうして死んでしまったのかは明らかにされていない。

繋がり乞食の松本と佐和子はなおも紅葉の下を歩いている。

古民家で松本と佐和子は忠兵衛と梅川の着物をみつける。

keeper
keeper
@keeper

Related Articles関連記事

オレたちひょうきん族(Oretachi Hyokin Zoku)のネタバレ解説まとめ

『オレたちひょうきん族』は、1981年~1989年までフジテレビ系列で放送されていたバラエティー番組。ビートたけしや明石家さんま、島田紳助ら豪華な出演陣と、多くの予算と小道具を用いたダイナミックな笑いは一部で「伝説の番組」ともいわれている。タケちゃんマンやひょうきんベストテン、懺悔室などのコーナーが特に有名である。「楽しくなければテレビじゃない」を形にした番組である。

Read Article

崖の上のポニョ(Ponyo)のネタバレ解説まとめ

「崖の上のポニョ」とは、宮崎駿監督によるスタジオジブリ製作の長編アニメーション映画作品。2008年に公開された。藤岡藤巻と大橋のぞみが歌うエンディング主題歌「崖の上のポニョ」は、オリコン週間3位になり話題になった。崖の上の一軒家に住んでいた5歳児の少年「宗介」は、海で魚の女の子「ポニョ」に出会う。ポニョは宗介に恋をし、人間になろうとするのであった。

Read Article

NEW

バトル・ロワイアル(映画)のネタバレ解説まとめ

『バトル・ロワイアル』は高見広春原作の小説を映画化作品で、アジア某国で施行の「BR法」により選ばれた中学生達のサバイバルゲームを描き、2000年に劇場公開。監督は映画『仁義なき戦い』シリーズ等の巨匠・深作欣二監督。また、藤原竜也や柴咲コウといった俳優が作品を彩り、演技を競う。この作品のキャスト・スタッフは「第24回日本アカデミー賞」「第43回ブルーリボン賞」等を受賞した。2001年には、『バトル・ロワイアル【特別篇】』が、2010年には3D映画版『バトル・ロワイアル3D』が劇場公開された。

Read Article

もののけ姫(Princess Mononoke)のネタバレ解説まとめ

『もののけ姫』とは、宮崎駿、スタジオジブリ原作の長編アニメーション映画作品である。 1997年7月12日全国公開され、1998年の春先までロングラン上映を実施した映画館もあったことで、 興行収入193億円を記録し、20世紀日本映画歴代興行収入第1位となった。 アシタカという人間ともののけに育てられたサンが出会い、人間と自然の対立を描いた壮大な作品になっている。

Read Article

痛快なりゆき番組 風雲!たけし城(Takeshi's Castle)のネタバレ解説まとめ

一般視聴者が本気で汗にまみれ、泥につかり、池に落ち、壁にぶつかる。そんな姿はお茶の間の大爆笑を呼ぶとともに、自分たちも参加してみたいと思わせた。そして日本国内だけではなく、海外でも大いに受けた。『風雲!たけし城』はそんな番組である。 谷隼人率いる攻撃軍と、ビートたけし率いるたけし軍の、数々の関門を介した激闘は127回に及んだ。

Read Article

風の谷のナウシカ(Nausicaä of the Valley of the Wind)のネタバレ解説まとめ

『風の谷のナウシカ』とは、1984年トップクラフト制作の日本アニメーション映画で、宮崎駿監督の長編アニメーション映画第2作である。原作は「アニメージュ」に連載していた宮崎の同名漫画『風の谷のナウシカ』。遥か遠い未来、近代文明が崩壊し「腐海(ふかい)」と呼ばれる菌類の森に世界は覆われていた。その辺境にある「風の谷」で生き抜く少女の生き様を描く。

Read Article

千と千尋の神隠し(Spirited Away)のネタバレ解説まとめ

『千と千尋の神隠し』とは、2001年の夏に劇場公開されたジブリの長編アニメーション映画。この映画は千尋という10歳の少女が神々の世界に迷い込んでしまう物語である。興行収入は300億円を超える業績を生み出し、2003年にはアカデミー賞を受賞した。まさに大作中の大作である。その名作ぶりは2016年のイギリスBBCの投票で、「21世紀の偉大な映画ベスト100」の4位に選ばれたほど。

Read Article

ジブリだけじゃない!作曲の天才・久石譲の「映画/CM名曲集」

作曲家、編曲家、指揮者、ピアニストとしてジャンルにとらわれない音楽活動をしている久石譲(ひさいしじょう)さん。彼の生み出した情熱なまでの曲の数々は聴く者の心を惹きつけて病みません。しかし、その魅力は一体どこにあるのでしょうか?ここでは一度は耳にした事のある「ジブリ作品以外」の久石譲さんの名曲を特集していきます。

Read Article

ジブリを「音」で支えた天才アーティスト・久石譲のジブリ名曲集

みなさん、「久石譲(ひさいし じょう)」という方をご存知だろうか?編曲家、指揮者、ピアニストでもあり作曲家でもある彼が世に生み出すのは、自然と心に染み渡ってくる美しい音楽である。中でも一際人々の心を掴んでやまないのが、ジブリの長編アニメーション音楽だ。今回は、宮崎駿監督の作品に29年間提供し続けてきた久石譲さんの「音楽」の世界について迫る。

Read Article

目次 - Contents