るろうに剣心（実写映画）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

左之助「お前も食うか？うめえぞ、ほれ」

観柳屋敷に乗り込んだ左之助は、待ち構えていた戌亥と壮絶な肉弾戦を繰り広げる。厨房に雪崩れ込んだところで、左之助は突如「ちょっと待て」と言い出し、思わずそれに従った戌亥の前で落ちていた肉にかぶりつく。あまつさえそれを戌亥に差し出し、「お前も食うか？うめぇぞ、ほれ」と告げる。
意外にも戌亥は「自分は菜食主義者だからいらない」と律儀に言葉を返し、納得した左之助から「こっちはどうだ」と水を渡されると受け取って飲み干す。これまで壮絶な格闘戦を繰り広げていた2人とは思えない唐突な食事シーンに、思わず肩の力が抜ける名シーンである。

剣心「人を切れば恨みを生む、その怨念を断ち切るのが殺さずの誓いでござるよ」

刃衛を倒して薫を救うも、自分をギリギリまで追い詰めた彼に「お前もしょせん人斬りだ、同じ人斬りが言うのだから間違いない」と断言された剣心。駆け付けた斎藤は「不殺の誓いだのと甘いことを言っているからそうなる」と彼を嘲笑するも、剣心は「人を切れば恨みを生む、その怨念を断ち切るのが殺さずの誓いでござるよ」と言って己の道を貫く決意を新たにする。
しかし、そう言う剣心の口調は暗く、かつてないほど弱々しく、とても自分の選択に自信を持てているとは思えない。剣心が未だ迷いの中にあること、何より彼の物語がまだまだ続いていくことを感じさせる印象的なセリフである。

『るろうに剣心』（実写映画）の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

武田観柳役・香川照之の怪演

若手からベテランまで様々な役者が活躍し、高い評価を受けるに至った実写映画版『るろうに剣心』だが、中でもその怪演が話題となったのが武田観柳役の香川照之である。
漫画版の観柳は、「金さえあればなんでも許される」とでも言いたげな言動を繰り返し、追い詰められると冷静さを失うという紋切り型の悪党だった。香川はここに“いずれ国家の主にもなってやる”という強烈な野心と凶悪ながらコミカルなキャラクター性を加え、“実写映画版武田観柳”として新たな魅力を生み出した。

左之助の発案で偽りの投降を申し出た際、ガトリングガンを構えたまま観柳が「脱げーっ！」と絶叫するシーンは香川のアドリブで、「あのシーンなら、観柳は絶対にこう言うと感じた」と語っている。剣心役の佐藤健は、このシーンで“とりあえず従っておこう”とばかり帯に手をかけようとしているが、香川曰く「下から脱ぐのが“よく分かっている”」とのこと。
その強烈なインパクトは作者である和月伸宏にも影響を与え、漫画版『るろうに剣心』の新シリーズでは観柳が再登場。実写映画版のキャラクターを彷彿とさせる悪辣ながらも爽快な魅力で物語を盛り上げた。

賛否両論巻き起こった斎藤の殺陣

剣心のライバルである斎藤は、彼に匹敵する壮絶な剣の使い手である。特に代名詞でもある必殺技「牙突」（がとつ）は、そのカッコ良さもあって連載当時小学生にマネされるほど高い人気を誇っていた。
実写版でも斎藤が牙突を披露するシーンが存在するが、スピード感のないワイヤーアクションで、「剣心を苦しめた牙突の迫力が無い」と不評を買うこととなった。その派手なアクションで話題になった本作だが、唯一に近い不満点としてよく取り沙汰されるのがこの斎藤の牙突である。

『るろうに剣心』（実写映画）の主題歌・挿入歌

主題歌：ONE OK ROCK『The Beginning』