新宿スワン(漫画・ドラマ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『新宿スワン』はアンダーグラウンド系の日本の漫画である。作者は和久井健。講談社『週刊ヤングマガジン』で、2005年20号から2013年45号まで連載された。スカウトマンをテーマにした物語で、和久井にとって連載のデビュー作品となった。主人公は19歳の白鳥龍彦、通称タツヒコ。ライバルの死や暴力団がからむ違法薬物の取引、そして信頼していた仲間の裏切り、そして、タツヒコの知らないところで大きな復讐の計画が動き出していた。数々のトラブルに見舞われながらも逃げずに立ち向かうタツヒコの成長する姿を描く。

『新宿スワン』の概要

上京してきたタツヒコと真虎との出会い

『新宿スワン』はアンダーグラウンド系の日本の漫画である。作者は和久井健。講談社『週刊ヤングマガジン』で、2005年20号から2013年45号まで連載された。単行本は全38巻。スカウトマンをテーマにした物語で、和久井にとって連載のデビュー作品となった。和久井はかつて実在した新宿のスカウト会社でスカウトマンとして働いており、自身の実体験を基にフィクションを交えて描かれている。スカウトはキャバクラや風俗など夜の街の仕事を女性に斡旋し、紹介料を得て生計を立てる仕事だ。2000年代初めの歌舞伎町では実際、違法風俗店の一斉摘発に乗り出した警察当局による「歌舞伎町浄化作戦」が行われていた。『新宿スワン』はこうした激動の歌舞伎町を舞台にした物語となっている。主人公は19歳の白鳥龍彦、通称タツヒコ。当てもない目標だけを持って上京したタツヒコは、歌舞伎町で絡まれているところをスカウト会社バースト幹部の真虎に助けられる。真っすぐな目をしたタツヒコに惹かれた真虎がスカウトマンを勧めたことで、タツヒコはスカウトマンとしての道を歩み始める。しかし、タツヒコに待ち受けていたのはアングラ世界の厳しい現実だった。ライバルの死や暴力団がからむ違法薬物の取引、そして信頼していた仲間の裏切り。さらに、タツヒコの知らないところで大きな復讐の計画が動き出していた。数々のトラブルに見舞われながらも逃げずに立ち向かうタツヒコの成長する姿を描く。『新宿スワン』は、テレビ朝日系列で2007年8月18日からドラマ化された。土曜日の深夜帯で全6回の放送となった。また、『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』などのヒット作を手がけた園子温を監督に迎え、脚本は鈴木おさむが手掛けた。キャストにはタツヒコ役に綾野剛のほか、南ヒデヨシに山田孝之、アゲハ役に沢尻エリカ、真虎役に伊勢谷友介ら豪華キャストが集まった。原作では、違法薬物に手を出すアゲハをヒロインとした物語として描かれている。週末観客動員数では1位を獲得。2017年には続編となる『新宿スワンⅡ』が公開された。原作のバーストが横浜に進出した際のストーリーが描かれている。

『新宿スワン』のあらすじ・ストーリー

白鳥龍彦 「バースト」入社

真虎の勧めでスカウトマンになったタツヒコ

眠らない街、新宿・歌舞伎町。キャバクラやスナック、風俗店など数千軒が軒を連ねるアジア最大級の歓楽街。19歳の白鳥龍彦は人生をのし上がるため上京した。しかし、仕事も金もないタツヒコが歌舞伎町をさまよっているとき、名うてのスカウトマン真虎と知り合う。スカウト会社「バースト」幹部の真虎は、タツヒコに何かを感じスカウトの仕事に勧誘する。タツヒコのスカウトマン人生が始まる。スカウトを初めてから1週間、美女の藤崎裕香のスカウトに成功したタツヒコだったが、裕香はこの時別のスカウト会社「ハーレム」に所属していた。これがきっかけとなり、別のスカウト会社ハーレムとバーストとの間で争いが起きる。バースト社長の山城神は、タツヒコをかませ犬として、ハーレムに殴り込みをかける。山城がハーレムを吸収して会社を大きくするための計画の一環だった。この時、バースト幹部の関玄介がハーレムの社員にケガを負わされたことで、ハーレムの社長の松方に慰謝料を請求する。これがきっかけとなり、松方はハーレムを山城に奪われる。単に利用されただけのタツヒコのほろ苦いスカウトデビューとなった。

スカウトに金を持ち逃げされるタツヒコ

タツヒコの苦難は続く。借金を背負った女性をスカウトしたタツヒコだったが、50万円を貸した途端に逃げ出してしまう。このことで、住んでいたアパートを追い出されバーストの寮に入ることに。寮はルームシェアをする形で、同僚で南ヒデヨシと洋介と出会う。ヒデヨシは、バースト幹部の葉山の勧めで、会社には内緒で違法薬物の売買に手を出していた。しかし、取引現場を関が見つけたことで、ヒデヨシは追われる身となる。タツヒコも山城神の指示を受けてヒデヨシを探していたが、この時に運命の出会いをする。風俗嬢のアゲハだった。気が合う2人。しかし、アゲハはヒデヨシの扱うシャブによって薬物依存症に陥っていた。一人の女性として接してくれるタツヒコと出会ったことでクスリをやめることを決意するアゲハは、ヒデヨシのシャブを置いている風俗店で店長を刺して警察に自首するのであった。一方、ヒデヨシと関係する売人グループを突き止めたバースト社員。そこで、タツヒコはヒデヨシの過去を知る。古谷秀吉。タツヒコの中学時代の同級生で、ボロヤと呼ばれるいじめられっ子だった。因縁がある2人。タツヒコは、ヒデヨシが落としたシャブ入りの鞄を持っていたことからヒデヨシから連絡が入る。屋上に来るように指示された。「ボロヤと呼ばねーとな」。ヒデヨシに同級生であることを気づいたと告げるタツヒコ。もちろん、ヒデヨシも気づいていた。殴り合う2人。ケンカではタツヒコが上手だった。空を見上げるヒデヨシは本音を漏らす。「おれはお前のように強くなりたかったんだよ」。タツヒコは、シャブ入りの鞄を渡さない代わりに逃げるよう伝えた。立ち直ってほしい一心だった。しかし、その思いは通じることはなかった。ヒデヨシは新宿駅のホームで何者かに背中を押されて電車に轢かれてこの世を去ることになる。

「バースト」渋谷スカウト進出

後輩の犬飼とともにAVスカウトをすることになったタツヒコ

ヒデヨシの死後、ふだんと変わらずスカウトにまい進するタツヒコ。後輩社員もできる。井手、犬飼、鳥居の3人だ。犬飼は元ホストで、そのころに作った借金があった。真虎はこの借金を返済させるため、単価が高いアダルトビデオのスカウトをするように指示する。そして、出会ったのがカエデとアオイの姉妹だった。犬飼は妹のアオイと仲良くなり、ホストで培った恋愛術でアオイをAVに売り込むことに成功した。一方、タツヒコは姉のカエデに言いように扱われていた。カエデに呼び出されたタツヒコの前には渋谷のスカウト会社パラサイツのメンバーがいた。社長の田無は「二度と渋谷くるな」とタツヒコに言う。このことで、バーストとパラサイツがもめることに。話をつけに行ったはずの葉山は田無の頭を灰皿でたたく。ナンバー2の森長が憤怒する。その場に居合わせたタツヒコが戦うことになるが、この時のタツヒコは全く歯が立たず病院送りにされる。一時、パラサイツのケツモチで暴力団の美竹組組長の土屋が出てくるが、山城が親交がある暴力団の紋舞会会長の天野に話をつけたことでバーストが渋谷で活動することが許された。

さらわれた犬飼とアオイを助けに行き返り討ちに会うタツヒコ

しかしトラブルは続いた。犬飼がアオイのアダルトビデオの紹介を二重で契約していたことが発覚。アオイと犬飼は、美竹組の若頭、灰沢に連れ去られる。バーストは犬飼を見捨てることを決めたが、タツヒコは、別のスカウト会社ミネルバの吉川哲に連絡をとり、2人が拉致された場所を探してもらう。結局、タツヒコも囚われの身となるが、3人の前にカエデが現れる。自分のために生きてきたカエデは、4年かけて貯めた現金5000万円を渡す代わりにアオイを助けるように申し出た。紋舞会に1500万円、美竹組に1500万円、荒星企画に1000万円、パラサイツに1000万円。アオイは解放される。しかし、タツヒコは解放されずに殺害されそうになるが、美竹組の土屋が刺されたとの一報が灰沢に入ったことでタツヒコたちは解放される。その後、灰沢は刺傷した土屋のもとを訪れて射殺するのであった。

闇金編

闇金騒動を巡りスカウトを担当するマユミらにはめられたタツヒコ

アダルトビデオの一連の騒動が落ち着いたが、バーストには次の問題が表面化していた。借金を抱えるマユミをスカウトするタツヒコ。この女性が起点となり大きなトラブルに発展する。バーストの幹部の牛尾と鼠賀は、タツヒコの後輩の井出とともに闇金業に手を出していた。マユミもこの3人とつながっていた。マユミが勤務先の店の女の子の名簿を盗む。そして、タツヒコのもとにマユミを拉致しているとの電話が入り、助けてほしければバーストの名簿を持ち出すように指示される。追われる身となったタツヒコは、スカウト会社ミネルバの幹部、吉川にかくまってもらっていた。吉川の部下、影里と寮に向かう際、バーストの亀山と鉢合わせるも真相を話すことができなかった。一方、マユミは拉致されておらず、牛島と鼠賀、闇金の店長を務める原木のいるマンションに一緒にいた。

一連の闇金騒動が落ち着きマユミを海に誘うタツヒコ

ミネルバ寮に身を隠すタツヒコのもとに不川金融の不川という男が現れて連れていかれる。向かう先は原木のもと。黒幕が原木であることに気付くのであった。タツヒコはマユミを助けるために新宿にいる牛尾のもとに向かう。そこにバーストの山城社長と幹部の時正が現れた。真相を話そうとしたタツヒコだったが、牛尾が2,000万円の入ったアタッシュケースを山城社長に渡して、自身のこれまでの行為を見逃してほしいと謝罪。手を打つと言う山城社長。しかし、そのタイミングで警視庁生活安全部の捜査員たちが乗り込んでくる。闇金業に手を染めた牛尾が出資法違反の疑いで逮捕された。タツヒコの無実を信じた真虎が裏で画策していた。そして疑いが晴れたタツヒコは再び、バーストに戻ることを許される。

横浜王国 進出

タツヒコはバーストの横浜進出で滝正樹と再会する

新装オープンのキャバクラの顧問などを任されるタツヒコに重大な任務が課せられる。横浜に進出し「横浜バースト」を立ち上げること。牛尾と動いていた鼠賀はタツヒコの部下となり、井出とあわせて3人で横浜へ。しかし横浜は「タキ王国」と呼ばれ、スカウト会社ウィザードの社長、滝正樹が牛耳っていた。裏では神奈川の暴力団宝来会の存在もあった。街頭でスカウトを始める3人だったが、ウィザードのナンバー2ハネマンとナンバー3森田建水、通称モリケンに絡まれる。鼠賀は足を刺され、タツヒコはタキに連れて行かれてしまう。そこで、意外な人物と再会する。タキの愛人アリサが連れて行った先にいたのは、死んだ南ヒデヨシの姿に似せた洋介だった。タツヒコを助けに行く関も横浜中央署生活安全課の砂子に逮捕される。砂子は裏でタキとつながっていた。一方、ウィザードのハネマンは、新宿でバーストを潰すために奔走。タキは紋無会会長の天野に5,000万円を渡す代わりに、バーストが担当する店舗で暴れることを黙認してもらっていた。

タツヒコと関の2人が月を見上げた時、タキは静かに自らの命を絶った

警察に捕まっていた関は、タキによって釈放される。このことで、バーストの山城社長はタキを裏切り者だとみなしてバーストを追放する。タキの思惑通りだった。バーストの山城社長はウィザードと相対することを決め、真虎と宝来会の田坂総長を訪ねた。タキが新宿で店を持つために紋舞会に協力を求めていたことなどを告げる。タキの立場が不利になり始める。宝来会の後ろ盾がなくなったのだ。さらに、裏でつながりがあった砂子も県警本部長が交代したことで、汚職がバレて職を失う。一方、山城は新宿でスカウトした女性を横浜に連れていき、新たな店をオープンさせることに成功。バーストとウィザードの全面戦争が始まる。アリサは再び、タツヒコを連れて洋介のもとに連れていく。違法薬物の取引をやめさせて、タキのもとから逃がすためだった。しかし、タツヒコのもとに現れたのがタキ。アリサの裏切りをタキの部下コージから聞いていたので。タキはタツヒコにこれまで伏せられていた事実を告げる。洋介が南ヒデヨシを殺したこと、そして、葉山がヒデヨシを殺させた張本人だと言う。そして、タキは「俺がお前を解放してやる」と洋介を拳銃で撃った。洋介は海に転落してしまった。新宿では、バーストの担当する店が次々と契約の解消が相次いだ。その心労から山城は心筋梗塞で倒れてしまう。バーストとウィザードの戦いはまもなく終わりを迎える。倉庫の上にはタツヒコとタキが2人。そこに関が現れ、意外な事実を話し始める。「オレとタキは幼なじみなんだわ」。そう話す関。10年前、2人で大きなことをやろうと約束していた。バーストにこだわるタキの狙いは、関をウィザードに迎えたかったからだった。突如、関は「タチュヒコこいつとタイマンはれや」と言い、タツヒコに勝ったらタキの言うことを聞くと約束する。その代わり、タキが負けたら新宿から手を引くというものだった。拳を交わす2人。タツヒコが勝つ。倒れたタキは夜空に輝く満月を見上げていた。「地べた這いつくばって見る月も悪くなかったよ」とタキが指差し、空を見上げるタツヒコと関。目線を戻したときタキはそこにはいなかった。飛び降り自殺を図ったのだ。

keeper
keeper
@keeper

目次 - Contents