勇者ヨシヒコと悪霊の鍵（ドラマ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』の概要

『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』とは、2012年10月12日から12月21日までテレビ東京系「ドラマ24」で放送された山田孝之主演で福田雄一監督作品である。
勇者ヨシヒコに魔王が倒されて100年後、何者かによって魔王の封印が解かれ、再び魔物がはびこる時代となった。民はかつて魔王を倒した勇者ヨシヒコに助けを求め、復活を遂げる。魔物を封印する「悪霊の鍵」を探すためヨシヒコはかつて旅を共にした仲間と共に再び魔王を倒すべく旅に出た。RPGゲーム『ドラゴンクエスト』をモチーフにした冒険活劇で3シリーズの2作品目である。

『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』のあらすじ・ストーリー

序章

魔王デスタークが封印されてから100年後の世界で、何者かが魔王の封印を解いた。再び世界に魔物がはびこり、民はかつて魔王を倒した勇者ヨシヒコの復活を望んだ。しかし、既に勇者と仲間であるダンジョー、メレブ、ムラサキは天寿を全うしこの世にはいない。嘆く民のもとに仏が現れ呪文を唱えると、勇者たちが復活した。
しかし、仏の手違いで亡くなった時の年齢で復活した老ヨシヒコ、老ダンジョー、老ムラサキ、老メレブたちでは再び冒険に出かけることは不可能である。もう一度仏は呪文を唱え、無事に魔王を倒した時の勇者たちに蘇ったものの、セーブを忘れてレベル0からのスタートとなった。仏はヨシヒコたちに「悪霊の鍵を探せ」と命じた。
ヨシヒコたちは蘇った最初の村「カボイ」から旅立つ前にヨシヒコの子孫であるオルトガに会う。一緒に冒険に旅立とうと誘ったが、オルトガにはタイトなスケジュールにより冒険には参加できないと断られてしまった。仕方なくヨシヒコたちはカボイを後にし、4人で再び魔王を倒すべく、悪霊の鍵を探す冒険の旅に出た。その様子を陰から見ていたヨシヒコの妹・ヒサもまた、仏のうっかりによってヨシヒコたちのついでに蘇っていた。

ガンザの村

旅に出たヨシヒコたちの前に、早速盗賊が現れた。ビドーという名の盗賊はアリーというラブラブな彼女を連れており、ダンジョーがビドーの指先を少し斬っただけでビドーは倒れ、アリーは「助けてください！」と涙ながらに叫んだ。その茶番を見てメレブだけは呆れていたが、他の3人は感動の涙を流した。
ヨシヒコたちは仏のお告げによりガンザの村に悪霊の鍵を探しに来た。村ではちょうど庄屋の若旦那の元にカバナの村から嫁入りにやって来るところだった。若旦那は悪霊の鍵をおぼしき鍵を持っているが、これは姫への贈り物だと言う。しかし、道中で姫が盗賊にさらわれたという知らせが舞い込んできた。ヨシヒコたちは助ける代わりに鍵を渡すよう交渉して姫を救出しに向かった。
姫は牢に入れられており、美しい侍女のメジロが嘆いている。メジロも絶賛する美しさと言われる姫に一行は期待に胸を膨らませたが、救出した姫は期待外れの顔立ちだった。しかし、これは呪いによるものだということで、一行はその呪いを解くために尽力した。無事呪いは解けたものの、姿の違うブスが現れた。仕方なく、その姫を若旦那の元へ連れて行き鍵と交換した。若旦那は姫と会ったことがなかったため、侍女のメジロに一目ぼれし、求婚していた。
もらった鍵が本物かどうか空に投げて確かめたところ、鍵は塵となった。鍵は偽物であった。

ドレープの村

盗賊のザジが4人の行く手を阻む。ザジは毒の使い手で、ヨシヒコたちに攻撃を仕掛けてくるが、ザジが風下にいたことにより、毒霧が自分自身にかかり、あっけなく自滅した。
仏のお告げによりヨシヒコたちはドレープの村を訪れる。しかし、村はどこに行っても女の人の姿がなく、見かけるのは男のみ。村一番の識者・薬屋のガライによれば、女性は全て魔物にさらわれてしまい、男達はみんな魔物によって妙な病にかかっているという。さらにその夜、ヨシヒコは、村の男たちがネコのような姿で徘徊しているところを目撃する。やがて、全て魔物の仕業であることが判明し、ヨシヒコはなんとか村を救い出そうとする。ところが、その矢先ムラサキが魔物にさらわれてしまう。ムラサキの肩にいつも乗っている小鳥のキロがヨシヒコたちに助けを求め、ヨシヒコたちは魔物の屋敷にたどり着く。魔物は気に入った男を傍に置き、それ以外の男に対しては猫になる菌をばらまき猫にしていた。女が苦手であったことからムラサキが水着姿でセクシーポーズを決めた姿を見てダメージを受けているところにヨシヒコが斬りかかり勝利した。

トロダーンの村

4人の前に仮免許取得中の新人盗賊と教官が現れた。不器用な新人盗賊と教官のスパルタ教習に巻き込まれるヨシヒコだった。
仏のお告げによりトロダーンの村に向かうヨシヒコたち。仏によれば、村長が邪悪な気を漂わせる鍵を持っているという。村人は、邪悪な幽霊から身を守ってもらう代わりに、村長に重い年貢を納めなければならず苦しんでいた。幽霊の出没はその鍵に原因があるというヨシヒコ達に、村長は北の山に巣食う邪悪な霊魂を退治すれば鍵を渡すと約束し、山に向かった。しかし、幽霊の正体は悪霊に憑りつかれた村長の差し金である人間で、本物の幽霊は今の村長に殺された無念によりこの世をさまよっているお人よしの前村長の幽霊だった。事実を知ったヨシヒコたちは現村長をいざないの剣で斬ったことで悪霊を退治し、村に平和が戻った。約束通り鍵を譲ってもらったものの、偽物の鍵だった。

サクーラの村

仏が現れ、邪悪な気が蔓延しているサクーラの村に悪霊の鍵があるかもしれないため、そこに向かうようお告げがあった。サクーラの村に到着したヨシヒコたちは、若者が悪さをしているところを目撃する。
そこに金八先生風のコンパチがやってきて指導すると、若者たちは納得し、おとなしく帰っていった。その様子を見て感心するヨシヒコたちに、村人が近づいてきてシャーマンという呪術師に洗脳された村人たちにより魔物の餌にされるから早く村から出るように警告する。
ヨシヒコたちは村を探ってみることにした。「職員室」と呼ばれる館があり、コンパチも含めた先生が何人かで言い合っていた。しかし、旅の目的は悪霊の鍵であることからダンジョーがコンパチと関わらなければ洗脳されることもないため、本来の目的を達成しようと鍵探しを再開した。
怪しい古道具屋で壺の中や樽を割り鍵を探していたところ、店主がヨシヒコたちの奇行に驚きコンパチを呼んだ。コンパチはヨシヒコたちを職員室に呼び、説教を始める。コンパチが髪をかき上げるたびにヨシヒコは意識が遠のいていった。そこへ、ユキーノという女子中学生が現れてヨシヒコの子供を授かったと言う。ついに洗脳されてしまったヨシヒコは子供を育てるために牛乳配達のアルバイトを始めた。メレブの必死の説得も聞く耳を持たない。更にコンパチの元へ話を付けに行ったメレブも洗脳され、ムラサキもあっけなく洗脳されてしまった。ダンジョーだけは洗脳されずに残り、職員室に乗り込んでみんなの前で「魔王を倒すために3人が必要なんだ、返してくれ！」と声をあげた。ダンジョーの熱意によりメレブとムラサキの洗脳を解くことに成功。更に、ダンジョーがこのことで警察に連れて行かれそうになったところをヨシヒコがいざないの剣で警察を斬った。実はヨシヒコは洗脳などされておらず、村を探るべく、洗脳されたふりをしていただけだった。
更に、コンパチや他の先生たちも魔物に操られていただけであったことが判明。コンパチから無事に鍵を奪った後、魔物も倒すことができた。しかし、この鍵もまた、仏から偽物であることを聞かされた。

アイシスの村

ヨシヒコたちは仏のお告げによりアイシスの村を訪れた。その村では国を作るために強い男が必要で、武道会が開かれていた。優勝賞品は西の山にある宝箱の鍵であると聞き、ヨシヒコも武道会に参加することとなった。
第一試合の相手・ネルソンはカンフー、空手、柔道を習っている強敵である。しかし、ネルソンはことあるごとにヨシヒコを挑発し、棄権させようとしてきたことからメレブに実は弱いのではないかと予想されていた。しかし、実際に戦いが始まると、かなりの強者でヨシヒコがやられそうになってしまう。すんでのところでネルソンの陰毛がチャックに挟まり勝利することができた。
第二試合の相手・ボルカノはヨシヒコのことを「セリザワ」と呼ぶ。ボルカノは「スズランのてっぺんをとる」と言い張っているが、ヨシヒコにはなんのことだか分からない。ボルカノは頭突きで攻撃を仕掛けてくる。更に、ボルカノは試合に迷い込んできたペンギンにも攻撃を繰り出し、ヨシヒコが身を挺して守ってあげた。再び攻撃を仕掛けてくるボルカノだが、ムラサキが応援する度に動きが止まる。それに気づいたメレブがムラサキに指示を出し、ムラサキのお色気作戦によりボルカノに勝利することができた。
準決勝戦の相手・タシスンは貧弱な体にまわしをつけた色白の男。見るからに弱そうで、実際に戦いが始まってもヨシヒコが困惑するくらい弱かった。なぜこんな男が準決勝までのし上がってこれたのか不思議に思っていると、父母の遺影を持った妹や弟たちが応援に駆けつけてきた。心優しいヨシヒコはその姿を見てタシスンに攻撃できなくなるが、妹や弟たちがタシスンのことをそれぞれ違う名前を呼んでいることから雇われた偽物の家族であることが分かり、勝利した。
決勝戦の相手・ジャッキーピョンは戦いが始まるやいなや一撃でヨシヒコを倒してしまう。死んでしまったヨシヒコは猫耳を付けた仙人の下で目が覚め、仙人が時間を止めている間に修行をつけてもらうことになった。修行の内容は魚釣りや流しそうめんなど、とても修行のようには思えないものだったが、ヨシヒコは強くなり元の世界に戻った。しかし、すでにメレブたちの手によって時が止まっている間にジャッキーピョンは場外負けとなっていた。こうして無事優勝賞品の鍵を手に入れたヨシヒコだったが、この鍵もまた偽物であった。

キラナの村

旅の途中、ヨシヒコたちは強力な魔物4体に出会う。なかなか倒すことができず追い詰められたところに魔物は呪文を唱えた。すると魔物たちは偽物のヨシヒコ、メレブ、ムラサキ、ダンジョーに化けあっという間に立ち去ってしまった。ヨシヒコたちは勇者の姿で魔物が暴れまわることを危惧して先回りしてキラナの村へと向かう。キラナの村は100年前にヨシヒコが生きていた時に救った村の一つだった。そこではすでに偽ヨシヒコたちが英雄として迎え入れられており、後から来た本物のヨシヒコたちは偽物扱いされてしまう。抗議するヨシヒコたちは偽メレブの呪文により眠らされ、牢屋に入れられていた。しかし、理由は分からないが偽ヨシヒコにより武器は没収されたものの牢屋から出ることができた。偽物たちを観察していると、どうやら本物よりも優秀である。ダンジョーは子供たちから好かれ、メレブは役に立つ呪文をたくさん持っており、ムラサキはとにかくかわいかった。途方に暮れているところに仏が現れ村人たちが鍵の在り処をしっているものの口にすることは固く禁じられていることを教えてくれた。
またしても牢屋に入れられたヨシヒコたちだったが、唯一ヨシヒコたちが本物の勇者だと信じてくれた村人が現れて鍵の在り処を教えてくれた。鍵の在り処が分かったことを偽ヨシヒコに伝えると一緒に探すためにヨシヒコだけが牢屋から出されて偽物のヨシヒコたちと鍵を探しに行くことになった。道中、魔物が現れたが、ヨシヒコは指示をするだけで魔物をいとも簡単に倒してくれる。ヨシヒコと偽物のヨシヒコたちは仲睦まじくなった。そしてついに皆で鍵を手に入れることができた。
鍵を手に入れたヨシヒコはメレブたちのもとに戻るが、偽物のヨシヒコたちとの旅が楽だからという理由で本物のメレブたちをルイーダ酒場の店主に預けて旅を続けることにした。しかし、仏が現れて偽物たちとの目的がヨシヒコと違うことを説得された。ヨシヒコが鍵を手にする目的が魔物を封印することに対して、偽物たちの目的が魔物を増やすことだということを知り、「騙された」と再びルイーダの酒場にメレブたちを迎えに行き旅を続けることにした。偽物たちと手に入れた鍵はまたしても偽物であった。

ムーンポタの村

旅の途中、ヨシヒコたちはダーマ神社を訪れた。ダーマ神社は転職ができる神社でヨシヒコは僧侶、メレブは遊び人、ムラサキは魔法使い、ダンジョーは武闘家をそれぞれ選択した。仏のお告げによりヨシヒコたちはムーンポタの村にやってきた。そこには旅の扉というワープトンネルがあるという。そのワープトンネルから邪気が放出されていることからその先に鍵があるかもしれないと早速手分けしてワープトンネルを探すことにした。まず、ムラサキがワープトンネルの場所を知っていると言うエルフに出会い、ヨシヒコたちに知らせに行くが、ヨシヒコはすでにワープトンネルを見つけ、うっかり一人で入ってしまった。
ワープトンネルの先にはパパラタという村があり、そこでヨシヒコはフローナという夫からDVを受けている女性と出会う。
一方その頃、ムラサキはエルフにワープトンネルの場所を聞き出そうとしていた。しかし、エルフはムラサキに一目ぼれしており、「俺の嫁になれば教えてやる！」と言うため、ムラサキは鍵が見つかれば1回デートしてやるという条件を出した。エルフはその条件をのみ、ワープトンネルのことを教えてくれた。ワープトンネルは2か所あり、一つはパパラタという普通の村につながるものだが、もう一つ、邪悪な扉があるということだった。3人はその邪悪な扉に入っていくとカジノにワープした。そこでは1万ゴールドの商品として悪霊の鍵が手に入るようになっており、遊び人に転職したメレブにより悪霊の鍵を手に入れることができた。無事鍵を手に入れたムラサキはエルフに「タイプじゃないから！」とデートもせずにヨシヒコのもとへ向かう。
鍵を探す使命よりも夫から暴力を受け続けているフローナが放っておけないヨシヒコはフローナを連れて逃げ出した。そこへ鍵を手に入れたことをムラサキが知らせに来たが、不倫に目覚めたヨシヒコは人妻の良さを語り、「もう魔物など封印する必要はない！」と言い放つ。更にフローナを追いかけてきた夫とフローナをかけて勝負となったが、ムラサキがヨシヒコの頭を背後から殴って気絶させ、フローナと夫に覚えたての呪文を唱えると二人はラブラブの夫婦になった。
ヨシヒコが気絶している間、仏ビームによりヨシヒコの記憶を消してもらった。目が覚めたヨシヒコは「旅は遊びじゃないんです！ちゃんとしてください！」と3人を叱って再び旅を続けた。

エスタスの村