PLUTO(プルートウ)のネタバレ解説まとめ

『PLUTO』とは、手塚治虫の作品「鉄腕アトム」の中のエピソード「史上最大のロボット」を原作とした浦沢直樹の漫画作品。
舞台は人間とロボットが共存する世界。世界最高水準の能力を持つ7体のロボットが、次々と何者かに破壊される事件が起きる。7体のロボットの1人・ドイツ刑事ロボットのゲジヒトは、一連の事件に深く関わっているとされる謎のロボット「プルートウ」の正体に迫っていく。
PLUTO版の7体のロボットは、基本的に原作である手塚治虫版「地上最大のロボット」の7体のロボットの特徴を引き継いでいるが、外見のデザインやバックグラウンドの設定など、原作との相違点も見られる。
PLUTO版と手塚治虫版の7体のロボットの違いなどを紹介していく。
ゲジヒト

原作でもPLUTO版でも、ドイツで刑事をしているロボットで、特殊合金・ゼロニウムで作られた耐久性の高いボディを持っているという設定は変わらない。
プルートウ版では主人公のような立ち位置で、バックグラウンドなどもかなり掘り下げられて描かれているキャラクターだが、手塚治虫版での出番はわずか10ページ程度。
殺人を犯した過去やロビタという息子がいた設定なども手塚治虫版にはない。
PLUTO版同様、原作でもプルートウに挑み、プルートウの電磁波攻撃にダメージを受けないなど善戦する。しかし、最後は真っ二つに切り裂かれ、死亡してしまう。
アトム

手塚治虫版「地上最大のロボット」における主人公。
プルートウとの戦いの中で、プルートウとの間に友情が芽生えていく。
頭の2本の角のようなでっぱりは、PLUTO版では髪の毛のハネとして再現されている。
モンブラン

スイスで山案内をしているロボット。
世界最高水準の7体のロボットのうち一番最初に殺害されてしまうため、たったの2ページしか出番がなく、セリフも2つしかない。
丸みを帯びた外見はかなりPLUTO版に近い。
ノース2号


PLUTO版ノース2号のケープを脱いだ姿
手塚治虫版でもPLUTO版と同様、スコットランドにて執事として働いているが、音楽家・ダンカンの執事ではなく自身の開発者である博士の執事である。
ダンカンの母親に対する誤解を解くエピソードや、ダンカンがかつて母親と歌っていた歌を歌いながら爆死するシーンなどはPLUTO版のオリジナルである。
手塚治虫版では、兵器となる6本の腕を持っているという外見。
PLUTO版ではほとんどのシーンでケープを羽織っているが、ケープを脱ぐと手塚治虫版と同様に6本の腕を持った外見をしている。
ブランド

手塚治虫版ではトルコのロボット相撲界にて最強と言われている力士という設定。
プルートウにも匹敵するほどの巨体と怪力の持ち主である。
PLUTO版同様、親友であるモンブランの敵討ちとしてプルートウに挑むものの敗北する。
しかし、戦いの中でプルートウに行動不能となるほどのダメージを負わせた。
ヘラクレス


PLUTO版ヘラクレスの戦闘用スーツ姿
ギリシャの戦闘ロボットで、好戦的かつ誇り高い性格という特徴は手塚治虫版もPLUTO版も共通している。
手塚治虫版では、プルートウとの戦いの中で、プルートウの体に自身のエネルギーを逆流させて殺害しようとするものの、「見ろ! 私こそが地上最大のロボッ…」と言っている途中に逆流に失敗し、爆死してしまう。
手塚治虫版では兜をかぶった騎士のような外見をしており、さらに盾と槍を持っている。
PLUTO版のヘラクレスの戦闘用スーツが手塚治虫版のデザインに近い。
エプシロン


「アストロボーイ 鉄腕アトム」に登場するエプシロン
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目次 - Contents
- 『PLUTO』の概要
- 『PLUTO』のあらすじ・ストーリー
- 2つの事件と謎のロボット
- アトムの登場
- アブラー博士の登場
- アトムの死
- ゲジヒトの過去とヘラクレスの死
- プルートウの正体に迫る
- プルートウの正体とゲジヒトの死
- エプシロンの死とアトムの復活
- アブラーと名乗る男の正体
- アトムとプルートウの戦い
- エピローグ
- 『PLUTO』の登場人物・キャラクター
- 世界最高水準の7体のロボット
- ゲジヒト
- アトム
- モンブラン
- ノース2号
- ブランド
- ヘラクレス
- エプシロン
- 「プルートウ」の関係者
- サハド / プルートウ
- アブラー博士 / ゴジ博士
- ボラー
- 口からゴキブリを出す男
- 事件関係者
- アレクサンダー大統領
- ダリウス14世
- Dr. ルーズベルト
- ブラウ1589
- 天馬博士
- ホフマン博士
- ロナルド・ニュートン・ハワード博士
- ベルナルド・ランケ
- 田崎 純一郎
- スコット准将
- 警察関係者
- 田鷲警部
- 中村課長
- ワラス警部
- フェルゼン刑事
- シュリング局長
- ベッカー部長
- ホーガン
- その他のキャラクター
- お茶の水博士
- ウラン
- ヘレナ
- ロビタ
- ポール・ダンカン
- アドルフ・ハース
- アドルフ・ハースの兄
- アーノルド
- 伴校長先生
- モハメド・アリ
- ワシリー
- 『PLUTO』の用語
- トラキア合衆国
- ペルシア王国
- 大量破壊ロボット製造禁止条約
- 第39次中央アジア紛争
- ボラー調査団
- ゼロニウム弾
- 小型クラスター砲
- メモリーチップ
- 連続幼児ロボット誘拐破壊事件
- エデン国立公園
- KR団
- 偏った感情
- 『PLUTO』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「1体500ゼウスで良いよ。」
- 「ピアノの練習の時間だよ。」
- 「アトムが死んで私も悲しい……」
- 「人間の憎悪は消えますか……?消去しても消去しても消えないものですか?私が一番恐れていたのは……憎しみを持ってしまった、自分自身なんです。」
- 「モンブラン………ノース2号………ブランド………ヘラクレス………エプシロン………ゲジヒト………そしてプルートウ……きっとみんな祈っています……そんな日が来ることを………みんなが……」
- 『PLUTO』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 手塚治虫版の世界最高水準の7体のロボット
- ゲジヒト
- アトム
- モンブラン
- ノース2号
- ブランド
- ヘラクレス
- エプシロン
- 「ブラックジャック」らしき医者が登場
- 手塚作品へのオマージュを感じさせるキャラクター
- ロビタ
- ブラウ1589
- 舞台版PLUTO(プルートウ)
- 概要