PLUTO(プルートウ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『PLUTO』とは、手塚治虫の作品「鉄腕アトム」の中のエピソード「史上最大のロボット」を原作とした浦沢直樹の漫画作品。
舞台は人間とロボットが共存する世界。世界最高水準の能力を持つ7体のロボットが、次々と何者かに破壊される事件が起きる。7体のロボットの1人・ドイツ刑事ロボットのゲジヒトは、一連の事件に深く関わっているとされる謎のロボット「プルートウ」の正体に迫っていく。

CV:飯塚昭三(エピソード5まで)、間宮康弘(エピソード8)

ペルシア王国の元国王。
悪の独裁者というイメージが強いが、実際は自分に忠実な国民にはとてもやさしい男だったらしい。
砂漠に覆われたペルシア王国を緑化させることが夢で、環境開発ロボットとしてボラーを開発させていた。ボラーの開発の際の失敗作である大量のロボットの死骸をあるモスクの地下に置いており、ボラー調査団がこの死骸を発見したことにより、トラキア合衆国が「ペルシア王国は大量破壊兵器ロボットを保持している」とでっち上げ、第39次中央アジア戦争が始まった。

第39次中央アジア戦争によりペルシア王国を壊滅させたトラキア合衆国と、第39次中央アジア戦争に深く関わった世界最高水準の7体のロボット、そして戦争のきっかけとなった大量のロボットの死骸を発見したボラー調査団を憎んでいる。
ペルシア王国の敗戦がほぼ確定し、王宮が崩落する直前、ゴジが作り上げたプルートウに対して7体のロボットの殺害を命じる。ゴジには、ボラー調査団のメンバーの殺害とトラキア合衆国を制裁することを命じた。

第39次中央アジア戦争終戦後は、トラキア合衆国の管轄であるカラ・テパ刑務所に収容される。
長期間にわたる収監生活により、恰幅のよかった体型は別人のように痩せこけており、獄中や法廷にて、プルートウやゴジによる一連の事件において殺害あるいは殺害未遂の被害にあった人物の名前を繰り返しつぶやく、収監されている房の壁に花畑の落書きをする、「進化の過程」「お花畑」「神に愛されたロボット」などの語を用いて意味不明な発言をするなどの奇行を繰り返している。

事件の捜査のためゲジヒトが面会に来た時に舌をかみ切り、自殺を図るものの一命をとりとめる。
トラキア合衆国大統領であるアレキサンダー大統領を憎んでおり、通信にて彼に呼び出された時、「復讐の炎に焼きつくされるであろう」と吐き捨てる。

また、アブラー博士こと、アブラー博士の世界への憎しみにより目覚めたロボット・ゴジが世界を滅ぼそうとしていることにも感づいるようであり、法廷にてボラーの影響による強い地震に襲われた際には「アブラーの仕組んだ復讐からは誰も逃れられないだろう」と発言している。

Dr. ルーズベルト

CV:井上麻里奈

アレクサンダー大統領のブレーンとして活躍するロボット。他者とのコミュニケーションの際はテディベアの形の端末を用いている。
ゲジヒトやアトムの人工知能の数千倍もの容量を持つ、極めて優秀なコンピューターである。

「自分以外はすべて敗者で愚者で死者」「人間はロボットの下僕」と発言するなど、残虐で傲慢な面を持ち、ともに活動しているアレキサンダー大統領のことも手駒の1つとしか考えていない。
アレキサンダー大統領とともに、世界最高水準の7体のロボットの殺害の手引きを行っていた様子である。

ボラーにより地球上のほとんどの生物が滅ぼされるという情報を知った時も、「生物ではない自分たちロボットは生き残る」という理由で落ち着いており、人間などの多くの生物が死ぬというということにも全く動じなかった。

エピローグにて、拘束されていた施設を抜け出し、自分とアレキサンダー大統領の元へやってきたブラウ1589に、彼を突き刺していた巨大な槍を投げつけられる。

ブラウ1589

CV:田中秀幸

8年前に人間を殺害したことにより、ベルギーの「人工知能矯正キャンプ」という施設にて身動きが取れない状態で拘束されているロボット。
配線が露出している状態にまで破壊され、さらに大きな槍が刺さっているというボロボロの姿で施設の壁につながれている。
ロボットは人間を殺害できないよう設計されているにもかかわらず、史上初にして唯一人間を殺害したロボットだとして、人間たちから恐れられていた。

数々の人間やロボットを殺害しているロボット・プルートウを捜査しているゲジヒトに、プルートウと同じく人間を殺害したロボットとして関心を持たれていた。
なぜか、プルートウの目的が7体の世界最高水準の7体のロボットらの殺害であることや、アレキサンダー大統領のブレーンとしてDr. ルーズベルトが活躍していることなど、プルートウによる一連の事件の重要な手掛かりとなるような事実を見抜いており、面会に来たゲジヒトにそれらの情報を教えている。

ゲジヒトとメモリーチップを交換し、ゲジヒトが過去に殺人を犯しているもののユーロポールによって殺人の記憶が消去されているということを知る。
アトムとは旧知の仲であるようで、ゲジヒトの死後、面会に訪れたアトムに対し「少し大人びた」と言っている。

エピローグにて施設を脱走し、アレキサンダー大統領とDr. ルーズベルトのもとを訪れる。2人を殺害しようとするものの、「心がある」と判断したアレキサンダー大統領のみ殺害を断念する。その後、自身に刺さった矢を引き抜き、Dr. ルーズベルトをめがけて投げる。

天馬博士

CV:津田英三

アトムを開発した科学者。
「テンマ型チップ」と呼ばれる優秀な人工知能を開発するための重要なパーツを発明した、人工知能開発の世界的な権威。

事故死した息子・飛雄を模してアトムを開発するものの、飛雄とは性格が違いすぎるアトムに失望し、サーカスに売り飛ばした。
しかし、一方でアトムに対して屈折した深い愛情を持っており、アトムが死亡してしまった際には、目覚めたアトムが怪物のようなロボットになってしまう可能性があると知りつも、死亡する直前のゲジヒトの無念という「偏った感情」が記録されたゲジヒトのメモリーチップを挿入することで、アトムを生き返らせようとする。

自身をアブラー博士だと思い込んでいるロボット・ゴジの開発者。本物のアブラー博士とは親交があり、彼の依頼で人間のような複雑な思考を持つロボット・ゴジの開発を進めていたが、ゴジはその複雑さゆえに目覚めなかった、しかし、第39次中央アジア戦争の攻撃により家族を亡くし、自身も死亡したアブラー博士の遺言により、彼が死の間際に感じた世界への強い憎しみという「偏った感情」が記録されたメモリーチップをゴジに挿入すると、ゴジは目覚め、自分を挿入された記憶の持ち主・アブラーだと思い込むようになった。

アトムを生き返らせた後にゴジと再会し、ゴジの正体はアブラー博士ではなく、自分が作り出したロボット・ゴジであることを伝える。

ホフマン博士

CV:家中宏

ゼロニウムの開発者であり、ゲジヒトを開発した科学者。ユーロポールドイツ支局に所属している。
自身が開発したロボット・ゲジヒトを、かけがえのない友人として大切にしている。

ゲジヒトが過去に殺人を犯したことや、ユーロポールの操作により彼の殺人にまつわる記憶が消去されたことを知らなかった。
過去の殺人の記憶による悪夢に苦しむゲジヒトを心配している。自分の悪夢はかつて何者かにより記憶を操作されたという可能性によるものなのではないかというゲジヒトの言葉を聞き、ユーロポールがゲジヒトの記憶を操作したのではないかと疑う。

ハワード博士の死後、プルートウの関係者により命を狙われ襲撃されるが、エプシロンにより救出される。
その後、ゴジによりボディを乗っ取られた警備ロボットに襲われ、拉致されるが、その時プルートウと戦っていたゲジヒトが「プルートウにとどめを刺さずに立ち去れればホフマン博士を開放する」というゴジの交渉に応じたことにより、解放される。

親友のように思っていたゲジヒトの死にショックを受け、彼の墓前で涙を流しているときに、そこにやってきた天馬博士から死んだはずのアトムが復活したという知らせを聞く。

ロナルド・ニュートン・ハワード博士

光子エネルギーの発明者であるオーストラリア人の科学者。エプシロンを開発した。
かつてホフマン博士や天馬博士と、「地球全体を救うロボット」の開発のため会談したことがある。
ゴジにより殺害されてしまう。

ベルナルド・ランケ

ゴジにより殺害されてしまったボラー調査団のメンバー。
デュッセルドルフにて、ロボット法擁護団体の指導者として活動していた。
ホフマン博士やお茶の水博士曰く、「人を上から見下ろしたような物言いをする」性格で、「敵を自分で作ってしまう人物」であったらしい。

田崎 純一郎

ゴジにより殺害されてしまったボラー調査団のメンバー。
日本人法学者で、国際ロボット法を発案した。

スコット准将

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@spsomonu4

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