グッドライアー 偽りのゲーム(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『グッドライアー偽りのゲーム』とは、ニコラス・サールの小説『老いたる詐欺師』を映画化したクライムミステリーである。監督は数々のヒット作を持つビル・コンドン。イギリス映画界の重鎮であるヘレン・ミレン、イアン・マッケラン、ジム・カーターを起用し、緊張感に満ちた、良質な大人のサスペンスを生み出した。世間を知らない初老の資産家ベティの全財産の乗っ取りを企む老獪な詐欺師ロイと、相棒のヴィンセントが仕掛ける危険な罠。60年もの間ベティの心の奥底にくすぶっていたロイへの怒りが今、解き放たれようとしていた。

スティーヴンがいなくなった途端、病院から出てきてバッグを肩に担ぎ、スタスタと若者顔負けの動きで歩きだす姿には驚かされる。

ロイがブリンを地下鉄に誘い、頭上の監視カメラを傘で上に押す

ロイが自分を追いかけてきた投資家のブリンをチャリングクロス駅に誘い込み、電車が入ってきたタイミングを見計らってホームに突き落とす直前、人通りが途絶えたとたん、持っていた傘で頭上の監視カメラを「クイ」と押し上げるシーン。実際にはこんなに簡単に監視カメラを上方に曲げられるのだろうか。ブリンが迫ってきていることで気が急いているだろうに、火急の判断ができるロイの用意周到さ・したたかさが浮き彫りになる瞬間である。

『グッドライアー 偽りのゲーム』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

絵画の花はユリではなくカラー

ベティのパスワードに使われる「lilies」を象徴するユリの絵画は「ユリ」ではなく、「カラー」という花である。

スティーヴンのベルリンでの失言の理由

ラストのベティの本宅でのシーンでスティーヴンが言った「僕がベルリンで犯したミスは、あなたを深く想うから」という言葉は、ベルリンのマルティン・ガイガーが住んでいたアパートでロイと口論になった時のことを示している。スティーヴンはベティを本当の祖母のように大切に思っていた。
自分の過去を暴いた目的を知りたいロイはスティーヴンに「私の過去を暴いて何を成し遂げたいんだ?」と聞いてきた。スティーヴンは「正義だよ。ハンス・タウブは他人になり、60年も生き延びた。犯した罪を償うこともなく!正直に生きてきただと?多くの罪を犯したくせに!」と激高する。これはスティーヴンが犯した痛いミス。一つ間違えばロイにベティとスティーヴンの計画を感づかれる危険があったので、とっさにベティが「もういい加減にして!」とロイとスティーヴンの言い合いに割って入ったのだった。つまり、この時点ではベティもスティーヴンも、ロイが詐欺師だということ、ロイが「ハンス」という名前だった時に、ベティにどんなことをしたのかは伏せておかなければならない秘密だったのだ。スティーヴンが放った「多くの罪を犯した」「犯した罪を償うこともなく」という言葉の意味にロイが気づいた途端、この復讐計画が崩れてしまうことを意味しているのである。ロイ(ハンス)とベティとの本当の関係や、ロイとヴィンセントが詐欺師だとベティとスティーヴンがすでに気づいていることを知られてはならないのだから。

本気で戦うヘレン・ミレンとイアン・マッケラン

ラストでベティとロイが格闘するシーンはスタントなしで本人たちが演じている。

『イングロリアス・バスターズ』との共通性

ロイとベティが観た映画「イングロリアス・バスターズ」

イングロリアス・バスターズとは、2009年製作のクエンティン・タランティーノ監督のヒット作。映画館を所有するユダヤ系フランス人女性とユダヤ系アメリカ人で組織された秘密部隊が、ドイツのプロパガンダ映画のプレミア上映中に、映画鑑賞に来ていたナチス高官一行と銃撃戦になるという作品。2009年が舞台の本作での上映シーンに加えて、「第二次世界大戦・ナチスドイツ」「復讐劇」というテーマが共通しているところが映画ファンの間で話題になっている。

待ち合わせ場所はフォートナム&メイソンではなかった

ベティの買い物の後に、ロイとはフォートナム&メイソンの前で待ち合わせの約束だったが、ベティが立っていたのはフォートナム&メイソンの前ではなく、その近くにあるハッチャーズ(hatchards Piccadilly)という書店の前だった。フォートナム&メイソン前での撮影許可が降りなかったのだろうか。

ベティを診察したニセ医者

ラストでベティの本当の家で行われているホームパーティ。ベティとスティーヴンがお茶の道具を持って庭に出る直前のシーンに、医者役の友人が映っている。彼もベティの芝居にひと役買った人物である。

『グッドライアー 偽りのゲーム』の挿入歌:曲名

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