ドロヘドロ(Dorohedoro)のネタバレ解説まとめ

『ドロヘドロ』とは2000年から2018年まで連載された林田球のダークファンタジー漫画、及びそれを原作としたアニメ。退廃的な背景やオリジナリティ溢れる魔法の設定、グロテスクでユーモラスな世界観、敵味方人外問わず憎めない愛嬌を持った魅力的なキャラクターが話題を呼んだ。記憶喪失の主人公・カイマンは、自分の頭部をトカゲに変えた宿敵の捜索の傍ら魔法使いの練習台にされた人間が住む町・ホールで仲間と愉快な日々を送っていたが、そこへ魔法使いの世界の実力者・煙ファミリーの刺客が襲い来て壮絶なバトルを繰り広げる。

一方アスは、地獄生まれの純血悪魔・チダルマから掟を破った罪に問われていた。悪魔になる前の縁でニカイドウに色々と融通していた事がバレ、公私混同を嫌うチダルマに睨まれたのだ。アスはストアという悪魔が経営する肉屋に連れていかれ、悪魔を唯一殺すことができるストアの包丁で解体される。解体された肉の奥から、皮膚が剥けた状態の川尻という男が出てくる。これが魔法使いだった頃のアスの姿であり、チダルマは彼に悪魔失格を言い渡したのだ。ストアは解体後の肉だけ持ち去り、川尻は皮膚を剥がれた状態で放置される。
煙の屋敷でニカイドウの身代わりを続けていた鳥太は、ニカイドウが置き去りにした日記を盗み読む。そこにはニカイドウの生い立ちが書かれていた。両親はニカイドウが生まれて間もなく死に、自然豊かな田舎で優しい養父母、近所のお兄さんである川尻と楽しく暮らしていた。2、3歳で魔法が使えるようになり、黒いキューブ状の魔法の煙を出せるようになったが、幼さ故にその使い方や特性をよく理解してなかった。養父母の家には他に八雲という少女がおり、彼女は子供ながら格闘技の達人で、ニカイドウに指導を行っていた。現在のニカイドウが格闘技の達人なのは八雲の特訓の賜物だった。八雲は赤ん坊の頃川に流されていたのを養父母に拾われた強運の持ち主で、度々その事を自慢していた。川尻は幼いニカイドウと八雲の面倒をよく見ていた。ある日川尻はどこでも好きな所に移動できる能力と千里眼を買われ、悪魔のスカウトを受ける。
ニカイドウが4歳の時、彼女は一人で留守番をしていた。暇になったニカイドウは魔法の煙で遊んでいたが、今度はボタンやレバーが沢山付いた黒いキューブが出てきた。
そこまで日記を読んだ鳥太は、アスが魔法使いに戻された事で変身魔法が解けかけているのに気付く。タイミング悪く煙が両手一杯のプレゼントを抱えて訪れ、鳥太に戻りかけたニカイドウの姿に驚く。当然激怒するが、パニックを起こした鳥太がはずみで契約書を破くと煙は昏倒する。
時を同じくして、実家の場所と両親の存在を思い出した恵比寿が屋敷を去ろうとしていた。藤田は止めるが、ホームシックを患った恵比寿は「お家に帰るバイバイ」と別れを告げる。
訓練学校を後にしたカイマンたちは温泉旅館に宿泊していた。宿泊費用は十字目のメンバーに会ったら払ってもらえばいいと楽観的な夏木だが、記憶の一部を取り戻したカイマンは浮かない顔。

温泉旅館に泊まった夜、ニカイドウはカイマンに店を手伝って欲しいと切り出す。

温泉を満喫した後に飲み会をし夏木が酔い潰れる。彼女を介抱しながらふとカイマンを見たニカイドウは、彼の顔が一瞬人間に見えた。縁側に座り飲み直す二人。記憶が戻ったらどうすると聞かれたカイマンは、ホールへ戻ると答える。仮に自分が十字目の一員だったとしても、カイマン自身はニカイドウと出会い、多くの仲間に恵まれたホールを恋しがっていた。それを聞いたニカイドウは、顔と記憶が戻ったら店を手伝ってほしいと切り出す。ニカイドウの提案にカイマンは戸惑いながらも嬉しさを隠しきれず、束の間の穏やかな時間が過ぎていく。しかしこれがニカイドウとカイマンが話す最後の夜になってしまったのだった。
時は遡り13年前、ヘイズは愛妻ハルの本名を名乗り、魔法被害者向けの診療所を開いていた。そこへアイ=コールマンという一風変わった少年が訪ねてくる。アイはホール在住の人間だが、本を読んで魔法使いに憧れを抱き、カスカベの噂を聞いて彼なら魔法使いにしてくれると頼ってきたのだ。カスカベが何故魔法使いになりたいのかと聞くと、この街で生きる理由が見つからないと返す。アイはカスカベの診療所で手伝いをしていたが、ある日町内会が生きている魔法使いを捕まえた一報が入り、カスカベとアイも現場へ急ぐ。しかし一足遅く、魔法使いはまだ息のあるうちに廃物湖に捨てられてしまった。そこはホールの汚水廃水、危険物や死体が投棄されるヘドロ溜まりのような湖だった。どうしても魔法使いになりたいアイは、貴重な実験材料が失われるのを捨て置けず、自ら廃物湖へ飛び込む。どうにか魔法使いの死体を拾い上げたものの、アイは内臓まで廃物湖の毒素に冒されて危篤の状態だった。瀕死のアイはカスカベに一冊のノートを託す。そこには彼が研究と実験を重ねて確立した、人間を魔法使いに変える手術が図解されていた。カスカベはアイの最期の頼みを聞き入れ、彼に無謀な手術を施す。手術は奇跡的に成功し、アイは一命をとりとめたが、200日間の入院を余儀なくされた。そして退院した1日目に、変わり果てた死体となって路地に倒れているのを発見されたのだった。
そして現在、カスカベは町内会を訪ねてアイの遺体がリビングデッドデイに回収されているか調べる。結果アイの死体は未回収と判明、カスカベはハルの屋敷で見た蝋人形、即ち十字目のボスがアイだと断定する。魔法使いに生まれ変わったアイは替え玉を仕立て、魔法使いの世界に逃げたのだった。カスカベはアイの消息を追い、ジョンソン・心・能井と再び魔法使いの世界へ戻っていく。

夜道で毒蛾と鉄条に会ったカイマンは、栗鼠に会わせて欲しいと直談判する。

相変わらず温泉宿に宿泊中のカイマンは、眠れない夜に一人歩きしていたが、そこで自販機の小銭を漁る毒蛾と鉄条にばったり遭遇。一触即発の空気が張り詰めるが、カイマンは栗鼠の友達だから会わせて欲しいと毒蛾たちに頼み込む。
一方、目を覚ました煙は契約書を破かれた仕返に鳥太をキノコにし、本物のニカイドウを取り戻しにいく。同じ頃ニカイドウもカイマンが布団を抜け出したのに気付き捜索を開始する。
恵比寿は懐かしの我が家へ帰ったが、そこには恵比寿を名乗る偽者がいた。自分が本物だと訴える恵比寿に襲いかかる偽者。恵比寿は使用人のばあやに匿われ事情を聞く。それによると恵比寿の両親は娘が失踪した心痛から身代わりを作らせたが、見た目はそっくりでも中身は異なり、気に入らないことがあるとすぐ暴れ出す偽者を扱いかねて夜逃げしたらしい。遂にはばあやも偽者に殺され、「自分と同じ顔が気に入らない」と恵比寿を見て憤慨、異形に変身して襲ってくる。恵比寿は自室に隠していた黒い粉を使って恐竜に変身、どうにか偽者を倒す。そこへ恵比寿を心配し、こっそり尾行していた藤田が駆けつけた。両親とばあやを失い、途方に暮れて立ち尽くす恵比寿はまだ息があった偽者に不意を衝かれ身体を切断される。藤田は恵比寿に覆い被さり、恵比寿から分けてもらった黒い粉で威力を底上げした魔法の弾丸で偽者を始末する。藤田は必ずキクラゲに頼んで生き返らせてやると約束し、恵比寿は彼の腕の中で息を引き取る。

規格外の強さを見つけてカイマンとニカイドウを圧倒する煙。

煙の魔法の影響で、ニカイドウ達が泊まっていた旅館がキノコに浸蝕され始める。ニカイドウの体内には新たな契約書が生成され始め、毒蛾・鉄条との話し合いを中断されたカイマンは、体調不良に苦しむ彼女を背負って逃げる。そこへ煙が現れ、キノコを生やす・ぶつける・武器をキノコに変えてしまうなど、様々な攻撃を用いて一行を圧倒する。煙は松村の仇であるカイマンに狙い定め、彼の体内からキノコを爆発的に生やす。それを見たニカイドウは半狂乱となり、「カイマンはたった一人の大事な親友だ」と絶叫し、パートナーである自分を差し置いてカイマンを優先するその姿を見た煙はますます頭に血が上る。

人間に戻ったカイマンは煙に立ち向かう。

その時、キノコに身体を突き破られたカイマンが人間の姿に戻って煙を殴り倒す。臓物をぶちまけながら煙に挑むカイマンと、逆上した煙の間に割って入るニカイドウ。煙の魔法であたり一面にキノコが増殖し、建物の崩落に巻き込まれたカイマンも命を落とす。最期の言葉はギョーザが食いたいだった。絶命したカイマンの口から栗鼠の呪いが出て、俺ではなく他者に殺されてしまったと惜しがる。カイマンの口の中の男の正体は、栗鼠が発動した極めて特殊な魔法「呪い(カース)」で作り出した彼の分身だった。
体内に出来た契約書の効果で薄れゆく意識の中、ニカイドウはやっともとに戻れたんだなとカイマンの死に顔に呟くも気を失い、煙に回収されてしまった。煙は心とカスカベにカイマンの死体の回収を命じるが、そこにはトカゲの生首が落ちているだけだった。
煙を隠れて見送った毒蛾と鉄条は、魔法が使えず盗みを働いて食べていた子供の頃、とうとう捕まってホールに捨てられそうになったことを思い出す。その時ホールからやってきた男こそが十字目のボスで、彼は毒蛾らを捕まえた大人を殺し、彼らを助けたのだった。魔法使いの世界にも魔法が使えず差別されている者はいる。そんな連中がボスをカリスマと仰ぎ、十字目の組織は次第に大きくなっていった。
煙に連れ戻されたニカイドウだが、彼のパートナーになるのを心が拒否して契約書が馴染まず、身体が腐り始めていた。煙を拒むニカイドウの意志は固く、能井の魔法すら跳ね返す。
十字目のアジトに囚われた栗鼠のもとにカースが現れる。カースは栗鼠から放たれた魔法の具現化であり、その為彼と同じ顔をしていた。未だ自分の魔法に無自覚な栗鼠は、カースと対面して驚く。カースは栗鼠の口から中に入り込み、縄を切って彼を助ける。栗鼠の皮膚や骨格が不気味に蠢き、再びカースが分離する。

十字目の前に現れた不気味な存在・カース。

夏木は無事に毒蛾らと合流を果たしアジトへ迎えられる。扉を開け放ち、見上げた天井にはカースが逆立ちしていた。カースは自らをこの世で最も不吉な者と名乗り、鉄条の日本刀や豚のナイフによる斬撃も軽々躱す。毒蛾は攻撃するなと皆を制す。どうやらカースは人の悪意や敵意、殺意に反応する性質があるらしい。鉄条や豚の血を集めて構成した兜を被ったカースは、すべてを奪うものだと自らを称す。
カイマンの首なし死体を回収したのは魔法使いに戻された川尻だった。彼は悪魔ではなくなったが、好きな場所に移動できる魔法と千里眼は健在な為、カイマンを回収することができたのだ。しかし皮膚も出来てない状態で無茶をした為、川尻は力尽きて倒れる。
死んだはずのカイマンはどことも知れない場所で夢を見た。ホールでニカイドウの店を手伝うが、自分の手には血塗れのナイフが握られている。現在と過去が錯綜し、友人の栗鼠がすごい事がわかった、お前にだけ教えるとカイマンに自慢する。自分ははたして何者か、もし魔法使いならそれと知らず同胞を殺してきたのか、煙の圧倒的な魔法の前に手も足も出ず結局ニカイドウを渡してしまったのか。激しい苦悩と悔恨に苛まれたカイマンは、このまま死なせてくれと泣いて懇願する。
藤田はキクラゲに恵比寿を生き返らせてほしいと煙を頼るが、キクラゲはペットじゃなく大事なファミリーの一員だから判断はキクラゲ自身に任せると断られる。ニカイドウは能井の煙を点滴する事で辛うじて命を繋いでいた。そこへ心とカスカベが回収したカイマンの生首を見せに来る。ニカイドウはその生首が、以前心に切断され、病院の保管庫から消えた物だと見抜く。ニカイドウの病室を訪れた藤田は、カイマンに魔法をかけたのは恵比寿だと告げる。その証拠に恵比寿が死んだ途端、カイマンは魔法が解け、人間の姿に戻った。意気消沈した藤田を見かねた心はとりあえず能井に身体だけでも治してもらえと勧める。
言われた通り能井に会いに行く藤田。煙の許しを得てキノコから戻された鳥太は、そんな藤田に連れられた恵比寿の死体を憐れみ、せめてもの手向けに常に楽しい気持ちでいられる魔法がかかった髪飾りを付けてやる。しかし手違いで能井が治す時に髪飾りが脳内に入ってしまい、次にキクラゲの所に行けば、蝶々を追いかけるのに夢中で死体に見向きもしない。今日は諦める事にした藤田は、恵比寿の部屋のベッドに死体を寝かせて去る。そこへキクラゲが遊びに来て気まぐれに生き返らす。
ニカイドウが屋敷に戻って一か月後、煙は十字目ボスの悪夢にうなされ、恵比寿は髪飾りが頭に入ってしまったせいで笑い上戸になり、煙の契約書を拒み続けるニカイドウの腐敗は末期まで進行していた。

重傷の仲間の為、女装してパーティーに潜入し修復系の煙を持ち逃げする毒蛾。

毒蛾はカースに怪我を負わされた鉄条と豚の治療用の煙を用立てるべく、コンパニオンに女装して修復系の煙を取り仕切る施設に潜入。酒に自らの唾液を混ぜてパーティー参加者を毒殺、残党をナイフと体術で一掃して、瓶に封入した煙を持ち逃げする。
川尻が目を覚ますと、傍らにはカイマン=会川がいた。カイマンは川尻より先に目覚め、彼を包帯マスクで治療したのだ。川尻は自分がアスだったことを話し、煙の屋敷での出来事やニカイドウの現在を聞くも会川は答えられない。要領を得ない問答で、会川がカイマンと思い込んだのは早とちりだったのかと反省した川尻は去ろうとするが、安静にしてろと促す会川に引き止められる。その瞬間偶発的に川尻の魔法が発動し、二人はニカイドウが現在いる、煙の屋敷へ移動する。会川は何故かニカイドウに会いたがらないが、ニカイドウの安否を案じる川尻によって病室へ引っ張って行かれる。二人は感動の再会を果たす。

魔法を覚えたてのニカイドウによって過去が変わり八雲は川で死に、周囲の人々の記憶からも抹消されてしまった。

川尻の姿を見たニカイドウは過去の辛い体験を甦らせ、自分の魔法をよく理解もせず使って過去に戻り、その時川辺にいた養父母に声をかけよそ見させたせいで、養父母は川を流れていく八雲に気付かなかったのだと懺悔する。間接的に親友を死なせてしまった罪の意識に駆られたニカイドウは、もう決して魔法を使わないと誓い、ホールへ逃げてきたのだった。
ふとニカイドウが会川に気付き、マスクをとってくれと乞うが、会川は拒む。

病床のニカイドウにマスクを脱いだ素顔を見せ「さよなら」と告げる会川。

会川がカイマンではないかと疑ったニカイドウは自分の目で確かめようと飛びかかり、押し倒された会川は仕方なく素顔を見せ、大粒の涙をためた彼女に「さよなら」と告げて去っていく。川尻は会川がカイマンなのかとニカイドウに尋ねるが、彼女自身にもそれはわからない。会川に飛びかかったはずみに点滴が倒れたせいでニカイドウの腐敗とキノコの浸蝕が進む。
病室を出た会川がカイマンの事を思い返すと頭痛が襲い、別の場所にいたカースが「見つけた」と呟く。それをきっかけに空間が歪み、屋敷内を歩く藤田の前方に十字目のボスが出現。
一方、心と能井は煙の指示で毒蛾の犯行現場に来ていた。毒蛾がパーティーを潰したせいで、水面下で暗躍していた十字目の残党の存在が煙にバレてしまったのだ。煙は自分の経歴において唯一殺せなかった十字目のボスに恐怖を覚え、組織ごと根絶やしにせんと執念を燃やす。
ニカイドウの様子を見に病室を訪れた煙と鳥太は空間の歪みに巻き込まれる。廊下の奥からやってくるのは、毎晩夢で見るほど思い焦がれた十字目のボス。今度こそ殺す気で攻撃を仕掛けた瞬間煙の左腕が切り飛ばされる。追い詰められた煙はキクラゲを鳥太に託して逃がし、十字目のボスに首を切断される。藤田はその現場を目撃するが、煙惨殺のショックと恐怖、圧倒的な力の差から何もできずに十字目のボスを見送る。煙の死を皮切りに魔法が解け、煙の魔法でできたキノコが世界中で消え始める。

十字目のボスを目撃した藤田は悪夢に悩まされる。

煙が殺害されその生首が十字目のボスに持ち去られてから数日間、屋敷はお通夜モードだった。藤田はへこんでおり、屋敷に戻った心と能井は惨状に驚く。屋敷内ではガスマスクの大男(会川)と包帯だらけの男(川尻)が目撃されたが、不審者と十字目のボスの関係はわからない。
キクラゲ・鳥太・ニカイドウは行方不明で、症状が進んで腐り落ちたニカイドウの腕を観た藤田は、彼女も十字目に殺されたのかもしれないと妄想を逞しくする。藤田は心に十字目のボスを目撃したと報告するが、恐ろしさのあまりどうしても顔が思い出せない。煙が殺害されキクラゲも消えたファミリーは空中分解寸前だった。
カスカベはまだ煙の屋敷に滞在していた。今回の事件の推理をしながらジョンソンと歩いていると、目の前に魔法使いの姿に戻ったハルが現れる。
煙の殺害は魔法使いの世界全体に衝撃を与えていた。煙のカリスマ性が組織を束ねていた一面もあったのだ。煙の生首とキクラゲが行方不明では蘇生も叶わず、残された者は頭を悩ませるが、落ち込んでいても仕方ないから掃除屋の仕事をやるだけだと心は早々に吹っ切れ、能井もこれに同意する。そこへターキーがやってくる。屋敷に不法侵入を果たし煙を殺害した十字目への警戒を強めたターキーは、煙の人形を作る事にする。心と能井のアドバイスを得て焼き上がった人形は、魔法使いの脳内の悪魔の腫瘍に反応する習性があった。煙人形は魔法を使ってどこかへ移動し、心達は慌てて追いかける。
一方毒蛾達は煙が死んだので逃げ隠れする必要がなくなり、車を盗んでボスを捜しにでかけていた。
ニカイドウは過去の悪夢にうなされる。自分の過ちのせいで死なせてしまった八雲への罪の意識に駆られるニカイドウを、回復した川尻が起こす。煙殺害の騒ぎに乗じて川尻はニカイドウを連れて逃げ、治療用煙を買って彼女の傷を塞いだ。川尻は会川かカイマンを追うなら強力すると申し出、ニカイドウは何故そこまでしてくれるのか疑問を呈す。

川尻はニカイドウへの恩を語る。

川尻はニカイドウに恩があった。彼が悪魔になる前、強力な魔法使いだった川尻はブルーナイト期間中に他の魔法使いから付け狙われるも、最終試験で魔法の使用を禁じられ抵抗できなかった。しかし子供時代のニカイドウが助けてくれたおかげで、無事悪魔になることができたのだ。
悪魔になった川尻はこっそり彼女の様子を見に行き、ホールで生きようとしていること、ニカイドウの魔法が時間に関すること、親友を死なせてしまった辛い体験から魔法を封印していることを知るも、未熟な子供時代と今は区別すべきだ、ニカイドウの魔法は無限の可能性を秘めているのだと諭す。
十字目のボスは持ち去った煙の頭を解剖していた。彼の脳内の悪魔の腫瘍が目当てらしい。その時、毒蛾が電話をかけてくる。彼は車を使って情報収集し、遂にボスの居場所を掴んだのだ。毒蛾は消えた理由を詰問するが、残りの仲間が殺到するや電話が切られる。とにかくボスに直接聞こうという流れになり、彼が潜伏するエリート魔法使い居住区域へ赴くが、上級魔法使い達は十字目を露骨に差別し毒蛾らに絡んでくる。
十字目のボスを馬鹿にされてキレた毒蛾らは上級魔法使いを瞬殺、ボスの住むマンションの501号室へ入ろうとしたが、そこで煙の人形及び心・能井とでくわす。心の攻撃から夏木を庇った毒蛾は手傷を負い、他のメンバーも次々倒されていく。牛島田が壁を壊し夏木を中へ逃がし、ボスを捜せと命じる。心の魔法で生きたままバラバラにされた十字目メンバーは能井によって袋詰めにされる。501号室に入った心は、解剖された煙の頭を見つける。

心の魔法でバラバラにされる毒蛾。

そこへ隠れていた毒蛾のナイフが急襲、戦闘になるが手傷のぶん不利な毒蛾は心の魔法でバラバラにされる。夏木は501号室の別の部屋を探索、頭から血を流して眠る十字目のボス・壊を発見する。壊は煙の頭を開き、悪魔の腫瘍を自身に移植していた。煙人形が力ずくで壊の頭をこじ開けようとするのを排除した夏木は、残り少ない治療用煙を使い、壊の傷を塞ぐ。
心と能井は毒蛾達を袋詰めにし、拷問の為に連れ帰ろうとしたが、帰り際に突然空間が歪み始める。この感覚は6年前、十字目のボスと相対した時と同じだった。心と能井の身体が煙に包まれ、夥しいキノコに蝕まれていく。煙の腫瘍を取り込んだ壊は、彼の魔法が使えるようになっていた。ピンチに陥る心と能井だが、壊がとどめをさす前に何故か身体が消えていく。そこへ飛び入りしたカースが、見つけたと呟いて壊に襲いかかる。
カスカベはハルにマンションに運んでもらったが、501号室に到着した途端、ハルが思い付きで歌を歌い始めた。酷い音痴のせいでカースが退散し、壊は間一髪無事だった。歌を聞いて失神したカスカベとジョンソンはハルが連れ帰り、夏木が毒蛾たちを助け治療を施す。毒蛾は壊から預かったナイフを返し、十字目のメンバーは再集結する。
煙と幹部を失ったファミリーはすっかり弱体化していた。煙の屋敷は十字目に乗っ取られ、壁は十字の落書きで埋め尽くされ、夏木が金目の物を漁っていた。煙ファミリー崩壊後十字目は復興し、入会希望者が後を絶たない。毒蛾らは壊の命令で、煙ファミリーの魔法使いの頭部を狩り集めていた。しかし肝心の壊が部屋に閉じこもっている為、回収した頭を渡すことができなかった。そんな壊の態度に痺れを切らした鉄条は、ボスの秘密を教えろと毒蛾に迫り、毒蛾はある秘密を話し始める。実はボスこそが栗鼠殺害の張本人だったのだ。ボスの本性は自分の利益の為なら仲間殺しも厭わない危険人物だったが、それでも自分達が生きていくには絶対的な求心力がある壊が必要なのだと毒蛾は結論付ける。
会川は新設された魔法訓練学校へ入ることを決め、パンフレットを手に栗鼠を誘いに行くが、彼は自宅の玄関先で倒れていた。会川は栗鼠を看病するが、こじれた経緯から会川に疑いを持った栗鼠は、その優しさを素直に受け入れられない。その夜栗鼠の部屋に泊まった会川は、行ったはずのないホールやカスカベ診療所で、ヘドロのような不定形の化物に襲われる悪夢にうなされる。会川はカイマンでいた頃の記憶をほぼ失っていたが、ホールで過ごした日々の断片やニカイドウとの会話が潜在意識に焼き付いていた。栗鼠の容態が落ち着いたのを確認した会川は帰ろうとするが、またしても激しい頭痛に襲われる。
煙ファミリー崩壊から一か月後、心と能井はある小屋で目を覚ます。そこには煙ファミリーの幹部・消がいた。全ての存在を消す魔法使いである消は、その魔法の特性から日頃はファミリーのメンバーにも認識されずにいた。故に隠密に行動し、心と能井を救うことができたのだ。

再起を図る煙ファミリーの生き残り達。

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