ドロヘドロ(Dorohedoro)のネタバレ解説まとめ

『ドロヘドロ』とは2000年から2018年まで連載された林田球のダークファンタジー漫画、及びそれを原作としたアニメ。退廃的な背景やオリジナリティ溢れる魔法の設定、グロテスクでユーモラスな世界観、敵味方人外問わず憎めない愛嬌を持った魅力的なキャラクターが話題を呼んだ。記憶喪失の主人公・カイマンは、自分の頭部をトカゲに変えた宿敵の捜索の傍ら魔法使いの練習台にされた人間が住む町・ホールで仲間と愉快な日々を送っていたが、そこへ魔法使いの世界の実力者・煙ファミリーの刺客が襲い来て壮絶なバトルを繰り広げる。

中央デパートは廃物湖の跡地に建てられた。リビングデッドデイが迫ると魔法の歪みが増し、蜃気楼を纏って実物より巨大に見える。バウクスに会いに来た13の話で、ニカイドウと栗鼠もホールにいると知った煙ファミリーは、食材や物資の供給を考えるならそちらの方が都合がいいと中央デパートにアジトを移すことに決める。

豚は黒い液体に飲み込まれ、死に際の幻覚として夏木と再会。

壊が囚われた中央デパートの地下に入った鉄条達だが、扉を開けた豚が黒い液体の洪水に呑まれ気絶。目を覚ました豚は独りになっており、黒い液体の溜まった穴から夏木を救出する。それは全て豚の死に際の妄想で、再び扉が開くと豚は頭をズタズタにされ死んでいた。
中央デパート地下ではぐれた豚を捜す鉄条達は、巨大化した壊が豚の死体を貪り喰らう現場を見る。仲間の死体をただの食料と見なす壊に鉄条は激昂、刀を抜く。しかし壊は予め取り込んでいた夏木の煙で皮膚をゼリー化し斬撃を跳ね返す。鉄条達が壊と死闘を演じる最中、瀕死の状態で息を吹き返す藤田。夏木や豚、数多の強大な魔法使いを吸収した壊は佐治・牛島田を殺し、残りは鉄条ただ1人となる。壊の身体の表面では、彼が取りこんだ魔法使いの身体の一部が不気味に蠢いていた。負傷した鉄条が使った治療用煙のお零れに預かり傷を治した藤田は、壊の身体から剥がれて地面に転がる悪魔腫瘍に気付く。藤田はその悪魔腫瘍をポケットにしまって逃げる。鉄条も深手を追って逃げ、壊は足元に穿たれた黒い液体の溜まった穴へとびこむ。戦闘の余波で地面が割れ、廃物湖の地下水が沸きだしたのだ。
地下でそんなトラブルが発生しているのをよそに、中央デパート広場ではニカイドウが精力的に弁当を売り捌く。彼女のギョーザ弁当は脳が破壊されるほど美味で客が群がる。
中央デパートを新アジトに定めた煙ファミリーは、バラバラにされた毒蛾も連れ、魔法の絨毯で空を飛んでいた。消は悪魔腫瘍に効果的な煙の小瓶を能井に渡そうとする。仮に魔法使いの頭部から悪魔腫瘍が除去されても、これを使えば再生が可能なのだ。しかしこの煙は直接脳内に仕込まねば効果がなく、開頭手術が不可避である為に魔法使いの世界では流行らなかったが、能井の回復力なら耐えられると消は太鼓判を押す。しかし能井は自分が悪魔腫瘍を奪い取られるようなヘマを犯すのを認めたがらず、代わりに心が預かる。
中央デパート地下から半死半生脱出した藤田は、仲間を失い一人泣く鉄条を松村を失くした自分と重ねるが、十字目に同情は禁物と思い直す。鉄条がエレベーターに踏み込むのに便乗するが、その時強風に煽られて転んだ消が頭を強打し、藤田にかかった魔法が解ける。
魔法の絨毯で中央デパート屋上に着陸しようとした心達だが、煙の遺体が強風に飛ばされて消え、挙句恵比寿やキクラゲとはぐれてしまった。しかも着陸の失敗で消はそのまま死亡する。
中央デパートは壊の干渉で空間が歪み、屋上に降り立ったはずの心・能井・ターキー・鳥太・毒蛾が屋内に転移する。回復力への自惚れから能井は単独行動でキクラゲを捜すが、心は咄嗟に追いかける。キクラゲが不在の今、能井はファミリー唯一の回復手である以上に煙にとって大事な相棒であり、絶対に失うわけにいかない存在だった。心は追いついた彼女を抱き締め魔法でバラし、輪切りになった頭部に消から貰った小瓶を詰め込む。これで万一能井の悪魔腫瘍が消滅しても大丈夫なはずだ。
その時、心は前方に黒い人影を目撃して気を失う。目が覚めた時、足には長いチューブが突き刺さっていた。チューブを辿った心は死んだはずの父親と対面する。親父は死んだはずと混乱した心は、自分と同じようにチューブに繋がれた人々が周囲に倒れ伏しているのに危機感を覚える。慌ててチューブを抜こうとするが、チューブはどんどん浸蝕して遂に心臓に達し、心は口から泥と血を吐きだす。泥が全身に行き渡った心は、邪悪な別物へ変貌を遂げていた。

落下のショックで記憶を失った毒蛾に嘘を教える恵比寿。

恵比寿とキクラゲは強風に煽られ絨毯から落下したが、煙の遺体袋が緩衝材となって無事だった。傍らには同じくバラバラで袋詰めにされた毒蛾もいたが、頭を強く打って記憶をなくしていた。力仕事が得意じゃない恵比寿は、能井に持たされた回復用の煙で毒蛾の身体を繋げ、自分の下僕としてこき使うことにする。恵比寿は毒蛾にカイコという仮の名を与え、自分の召使いだと嘘を教える。恵比寿はカイコに煙の遺体袋を持たせ、キクラゲを抱いて移動する。
弁当が完売して帰ろうとしたニカイドウ・川尻・栗鼠だが、何故かデパートから出られない。川尻の千里眼の発動も遮られ、彼の目は潰れてしまった。中央デパートの空間が歪み周囲の人々が宙吊りにされるのを見たニカイドウは、何かよくない出来事が起きていると悟る。周囲から強烈な殺気を感じた栗鼠はカースに変貌するが、その時何者かがナイフで襲いかかってくる。3人はチューブで繋がれたゾンビが累々と倒れた場所に飛ばされ、あっというまに包囲される。
悪魔化で怪力を得たニカイドウは自分に巻き付いたチューブをひきちぎるが、栗鼠はそのまま連れ去られる。なんとか川尻だけでも引き戻そうとするが、川尻はニカイドウの足手まといになるのを是とせず、友人の悪魔に製作を頼んでいたニカイドウ用のマスクを渡す。結局川尻も連れ去られ、ニカイドウは絶対2人を助けると決意する。
エレベーターの中では魔法が解けた藤田が、鉄条に「見逃してくれ」と交渉していた。もし見逃してくれるならお礼に佐治と牛島田を甦らせると、藤田は鉄条に約束する。命を与える魔法使いであるキクラゲが煙ファミリーにいることを知っていた鉄条は、はたして藤田にそこまで発言力があるか怪しむものの、他に縋るものがないので提案を呑む。藤田は鉄条に毒蛾が八坂に襲われたと教え、鉄条は壊が取りこんだ無数の顔の中に八坂と取り巻きが含まれていたのを思い出す。しかし毒蛾の顔は見当たらなかったことから生存の希望を抱き、捜索を手伝えと藤田に要請する。
そこへ足にチューブを巻き付けた心がやってくる。藤田は再会を喜ぶが、どうも様子がおかしい。心はろくに話も聞かずたちどころに鉄条と藤田をばらばらにする。
鳥太とターキーは消の遺体を寝かせ、心の帰還を待っていた。そこへ本人が登場し、鳥太とターキーを魔法でバラす。意識が回復した能井は愚痴りながら心を捜す途中、バラバラにされた多くの体の部位を見るが心の仕事にしては雑すぎる。それが鳥太とターキーの変わり果てた姿と気付いた能井に、心が突然襲いかかる。能井は心が投擲した金槌で頭を抉られ、悪魔腫瘍を破壊される。
ホール中央病院でテレビを視聴していたカスカベは、中央デパートが消えたというニュースに色めきだち、ジョンソンと共に急行する。しかしそこに中央デパートはなく、元の廃物湖が黒い水を湛えていた。驚くカスカベはハルによってジョンソンから引きはがされ、空中に浮かぶ不思議な黒い家に飛ばされる。ハルは他の仲間に見つかると危ないとカスカベを自分の体内に隠し、そこへチダルマをはじめとした悪魔の面々が集結する。これから何が起きるのか興味津々のカスカベに、中央デパートの「あるもの」へ会いに行くと告げるハル。黒い家は中に悪魔を入れたまま、廃物湖の底深く沈んでいく。
チューブを辿ってデパートの奥へ進むニカイドウは、あちこちで揺れる悪魔のしっぽに導かれ、やがて広い空間に辿り着く。中央には在りし日のトカゲ頭のままのカイマンがいて、「ようニカイドウ」と挨拶してきた。

悪魔を解体して魔法使いに戻す事ができる唯一の武器、ストアの包丁。この世に切れないものはない。

カイマンが復活した場所の上には悪魔がおり、中央デパートを脱出するには悪魔を唯一殺せる武器、ストアの包丁が不可欠と告げる。しかもその包丁はハルが持ってるらしい。ニカイドウは包丁の入手を決意するが、何故か一年前の記憶しか持たず、後頭部の角も全て切除されてるカイマンを同行すべきか悩む。このカイマンは心がはねた彼の生首に胴体が生えた姿だった。しかしカイマンにこれ以上隠し事をしたくないニカイドウは、これまでわかった全てを率直に話す。
黒い家に集った悪魔たちは中央デパートで起きる何かを見学に行く魂胆だった。しかしハルは危険だからとカスカベの同行を渋る。そこへカイマンとニカイドウが訪れ、ストアの包丁を借りたいと言うが、悪魔の包丁を魔法使いに貸せない、この世で唯一悪魔を殺せる武器であるが故に自分や仲間の命取りになるかもしれないとハルは拒む。
ニカイドウとハルは戦闘になるが、断固として引かないニカイドウへの殺意で我を忘れたハルがうっかり体内に隠したカスカベを吸収してしまい、腹痛を訴えた隙にニカイドウの反撃が決まる。ハルは体内に様々な物を保管していたが、カスカベを助ける為に全てを排出した。その中にあったストアの包丁をカイマンが掴む。ハルの努力虚しく、カスカベは彼女の体内で押し潰されてしまった。最愛の夫を殺してしまったハルは暴れ、カイマンを殺害。ニカイドウはカイマンとカスカベを救うべく時を戻す。
試行錯誤の結果どうにかチューブから自力で逃れた栗鼠は川尻を助けようとするが、自分に構わず目的を果たせと叱咤される。川尻に感謝してその場を去った栗鼠に、なんと煙ファミリーが声をかけてきた。バラバラにされながら生きてる鳥太やターキーの救助の訴えを無視し、栗鼠は先へ進む。
同じく心によってバラバラにされた藤田は、自力で這いずって行ってファミリーと合流。煙の悪魔腫瘍奪還を報告し、ターキーがキクラゲの人形を作り煙を復活させるアイディアを述べる。煙の遺体はキクラゲと共にあるから、キクラゲの人形を辿っていけばいい。藤田はキクラゲより足が速く、居場所を割り出すのが容易な恵比寿の人形の製作を勧める。
ターキーが魔法で作る人形には死んだ生き物の肉が必要な為、鳥太は自分達の肉体にかかった心の魔法を解き、一部を死肉として提供する。ターキーはデパートの商品でバーベキューの準備を整えて死肉を焼き、恵比寿の人形を作る。藤田と共にバラされた鉄条も、仕方なく恵比寿人形を追跡する羽目になる。
毒牙改めカイコに護衛されながらホールを徘徊する恵比寿とキクラゲは、不気味な黒い町で心と再会を果たす。そこへ恵比寿人形が乱入し、恵比寿が隠れた死体袋をこじ開けようとする。恵比寿に抱かれたキクラゲはこれに驚いて魔法を使い、遂に煙が息を吹き返す。
ニカイドウは死に際のカイマンから包丁を奪い時をこえ、黒い家で待機する過去の自分とカイマンに渡すや、ハルとは絶対戦うなと釘をさす。再び現在に戻ると、そこには五体満足のカスカベやカイマンの姿があった。
安堵するも束の間、カイマンの背中にチューブが突き刺さる。

圧倒的な魔法で心をキノコに変える煙。

生き返った煙は、事情はわからないまま自分に襲い掛かる心を無数のキノコに変えてばら撒く。恵比寿がこれまでの経緯を説明するが、死んでいた間の記憶がない煙にはにわかに信じがたい。煙は魔法のドアを出して自らの屋敷に帰るが、そこは十字目に破壊し尽くされ、さらには黒い雨が降り注いでいた。黒い雨を浴びた煙はただちにドアを閉めるが、少し雨に濡れたせいで気絶する。
目を覚ました煙は、雨の中でも活動できる混血の心をキクラゲに生き返らせようと決める。自分が入っていた死体袋を確認した煙は、恵比寿人形の成れの果ての肉が、鳥太・ターキー・藤田のものだと悟り、自分を甦らせる為に彼らが払った犠牲に感銘を受ける。
煙と対峙したショックで正気に返った毒蛾は、デパートで拾った仮面で顔を隠し、心を生き返らすのに必要な最後のキノコの場所に案内すると煙に告げる。毒蛾は死んだ仲間を生き返らせる為に煙を騙しキクラゲを奪おうとしたが、逆に見抜かれてキノコに変えられる。しかしひとりでに伸びてきたチューブによって恵比寿・キクラゲ・毒蛾が連れて行かれる。入れ代わりに全てのキノコが揃って復活した心が、煙に同行する。
中央デパートは壊の意志とほぼ同化していた。壊はチューブを自由自在に遠隔操作し、カイマンを手の内におこうとする。ニカイドウはストアの包丁でチューブを断ち切りカイマンを助けるが、再び現れた壊は強大な力をふるい、ニカイドウが自身の煙を固めた黒い箱とストアの包丁を奪い取る。この箱はニカイドウの魔法の発動装置を兼ねていた。壊の指示で大量のゾンビが沸き出し、どこからか伸びてきたチューブに貫かれたカスカベとカイマンに泥が注ぎ込まれる。そこへカースの姿をとった栗鼠が間に合い、ニカイドウと共闘で壊を倒す事に。大量の泥を注入されたカイマンが再び目を覚ますと、今度は栗鼠の相棒・会川の人格になっていた。壊はストアの包丁で栗鼠を切り刻もうとするが、カースは攻撃を全て本人に弾き返す為、栗鼠自身は無傷だった。ダメージを受けた壊の身体が崩れ落ち、手放した包丁をすかさず会川がキャッチして一閃、壊の首を切断する。しかし時遅く、ニカイドウはチューブに巻かれ連れ去られてしまっていた。会川として目覚めたカイマンは栗鼠とコンビを組んでニカイドウの奪還を決意する。
ニカイドウを追って走る会川・栗鼠・カスカベは、中央デパートがホールの街と入り混ざっているのに気付く。カイマンの姿をした会川曰く、この黒い泥に満たされた世界は壊の願望の具現であり、カイマンや会川とも根深く繋がってるらしい。3人が辿り着いたのはカスカベがアイと出会った場所、カスカベ診療所だった。
バラバラにされた上、人形作りに身体の一部を提供した煙ファミリーは仲良く死にかけていた。そこで藤田が能井の頭に刺さった心の金槌を抜いてみようと提案、実行する。回復力が凄まじい能井ならすぐ万全となり、自分達を助けてくれるかもしれないと一縷の望みをかけたのだが、その思惑は見事に当たる。能井は即復活し、藤田・ターキー・鳥太、ついでに鉄条を治してやる。

キリオンは「レストラン丹波」への恩返しに偵察を申し出る。

魔法使いの世界では黒い雨に降りこめられ、「レストラン丹波」の丹波と福山が苦しんでいた。しかしキリオンだけは平気で外出し、雨の中を箒に跨って食料を調達してくる。キリオンの正体はホールから来た人間で、それ故雨の悪影響を受けない。丹波や福山はキリオンの秘密を知ってなお温かく接してくれ、キリオンは彼らに恩を返そうと立ち上がる。
心の誘導でファミリーのもとへ駆け付けた煙は、夥しいチューブを纏った化物と対峙する。煙はチューブのあらゆるところにキノコを生やし、その重みで自壊させようと企む。チューブ内にまでキノコを生やされた化物は絶叫し、遂に生命活動を停止する。
一方デパート内の別所にいたカスカベは、泥を注ぎこまれて倒れたカイマンの中から這い出たアイと再会し、彼にすべてを聞かされる。カスカベが連れて行かれたのはアイの心の世界だった。少年時代、魔法使いになりたい一心で魔法使いの死肉をかき集めていたアイは、ホールの「何か」にとって理想的な入れ物だった。それは魔法使いに殺された被害者の怨念の集合体で、アイの精神と肉体はこの「何か」に利用されていた。
アイは廃物湖に飛び込んだ事がきっかけでその怨念の苗床にされ、同時に沈んでいたものを増やす魔法使いの魔法の効果で分裂し、栗鼠と出会った理想の魔法使いとしての会川、恵比寿の変身魔法とカースの産物のカイマン、そして十字目のボスの壊を生み出すに至った。
今暴れているチューブの化物もホールの怨念が生み出したとアイは言うが、大量の泥を注入されたカスカベはこの時点で死亡し、ゾンビとなって甦る。ゾンビ化したカスカベはハルに保護される。
アイの人格になったカイマンと栗鼠は、チューブを辿って煙ファミリーが集う部屋へ到着する。

チダルマは他の悪魔を集め賭けを行っていた。彼にとっては魔法使いもホールの人々も手駒に過ぎない。

敵味方一堂に会した様子を見物するチダルマ及び、元魔法使いの悪魔達。チダルマは他の悪魔と賭けをしていた。チダルマが勝てば他の悪魔は全て魔法使いに戻される。カイマン達が全滅する、もしくはホールが全て黒い泥に飲み込まれたらチダルマの勝利だ。
自分こそ全ての元凶だと悟ったカイマンの姿のアイは、殺してくれるよう他の面々に頼み、栗鼠は苦渋の面持ちで提案を飲む。その時、生命活動を停止したかに見えたチューブの化物が蠢き、腐敗したアイ=コールマンの首を生やす。カイマンの発生は副次的なものに過ぎず、この生首こそ元凶と思い直した栗鼠は、こちらを切断する。アイが消滅した事でカイマンはカイマンとしての意識を回復、しかしニカイドウの説明を殆ど理解できない。そこへ見学していた悪魔達が乱入し、あたりを暗闇が包む。この瞬間アイに憑依していた「何か」、ホールの怨念の集合体である「ホールくん」が誕生した。チダルマは賭けの勝利を喜び、他の悪魔たちを容赦なくバラした。
ホールくんの目的は魔法使い全員を殺すこと。ホール中央病院に待機していた煙ファミリーの下っ端は全員殺害された。川尻の瞬間移動で辛うじて逃れたカイマン・ニカイドウ・栗鼠だが、このまま放っておけばホールが崩壊するとして、ニカイドウは対決を挑む。
ホールくんを倒す作戦を練る4人は、カイマンが復活した謎に頭を抱えるが、ニカイドウは未来の自分の仕業だと推測を立てる。ニカイドウは悪魔化がさらに進んで巨大化していたが、その姿は彼女が以前目撃した悪魔と同じだった。カイマンが手にするストアの包丁はこの世のものなら何でも切り裂ける。カイマンからストアの包丁を譲り受けたニカイドウは、それを持ってホールくんを倒しにいく。しかしホールくんが降らす黒い雨を受けて弱体化、ホールくんに飲み込まれる。ニカイドウの末路にカイマンは怒り狂って飛び出すが、泥を浴びて倒れる。川尻はカイマンを救いに瞬間移動を使いかけるが、そこへ未来のニカイドウがやってきて、2人で黒い家に瞬間移動する。
ニカイドウはカイマンが泥に飲み込まれず、逆に吸い込んでいたことを告げる。ニカイドウと川尻は再びホールくんの上に移動し、ニカイドウがおとりになっている間に川尻がカイマンを救出する。川尻は瞬間移動でカイマンを安全圏に逃がすが、目が覚めたカイマンは、首がない死体となったニカイドウと川尻を目撃する。2人の生首を首刺しにして見せ付けるホールくんへの怒りに震えるカイマンに、チダルマによって悪魔失格を言い渡された元・悪魔達が力を貸すと申し出る。彼らは悪魔に未練があり、チダルマに一泡吹かせたかった。
元・悪魔達にこぞって強化されたカイマンは最強の魔法使いとなった。彼の魔法はギョーザを兵器に変える攻防特化型で、餃子の翼で自由自在に飛行したり、餃子の皮のバリアで身を守ったり、ホールの雨を通さない餃子のヘルメットを生成する事ができた。

煙の特製キノコスーツでホールの雨から守られている魔法使いの面々。

煙は魔法で出した特製キノコスーツでファミリーを守り続けていたが、そろそろ体力の限界に達していた。心はファミリーの古株の消なら打開策を与えてくれると賭け、能井とキクラゲの魔法で彼を生き返らす。
生き返った消は、自分の魔法なら事態を打破できると語る。彼の魔法の本質は透明化にあらず非物質化で、生き物にかければ魂以外の全てを消し去れる。

消の魔法で魂だけとなりホールくんの泥から脱出する煙ファミリー。

ホールの雨は魔法使いの身体を溶かすが、肉体がなければ関係ない。しかし魂にも重さがあり、泥を抜けた瞬間に魔法を解かなければ永遠に落下し続ける危険性に言及する消。煙ファミリーは覚悟を決め、消の魔法で魂だけの存在となり脱出する。

ホールくんが生み出したニカイドウの偽者。

カイマンはホールくんを圧倒するが、ニカイドウの生首を取り込んだホールくんは再生させた彼女を操り反撃する。
一瞬の隙を衝かれたカイマンはホールくんに悪魔腫瘍を奪われ泥の海に沈むも、もともとホールと身体を分かち合っていたカイマンは泥に触れても身体が融けず、逆に吸収してしまう為、ならばとホールくんと一騎打ちで泥の奪い合いをくり広げる。
劣勢に追い込まれたカイマンだが、その時ホールくんの体内から煙ファミリーが飛び出し加勢する。
魔法使いの世界にいたキリオンは、上空の黒い雲を偵察に行き、そのまま飲み込まれてしまっていた。魔法使いの世界の雲とホールの雨は時空を超えて繋がっており、彼女もホールくんの体内に取り込まれる。しかしキリオンは最初から自爆を覚悟の上で世話になったレストラン丹波の人達を救うべく、大量の爆発系の煙を持参。その煙を使い、ホールくんの体内のドアを破壊する。魔法使いの世界とホールを繋ぐドアが破壊され、途端に苦しみだすホールくんを心が魔法でバラバラにし、その頭から出た悪魔腫瘍をカイマンがストアの包丁で一刀両断する。ホールくんは消滅し、カイマンと煙ファミリーは勝利をもぎとった。

ホールくんを倒したカイマンは、全ての魔力を使い果たして元の姿に戻ったニカイドウと抱き合って喜ぶ。

それから半年後、煙ファミリーは魔法使いの世界に戻り、カイマン達はホールで日々を過ごしていた。魔法使い達は今回の惨劇で反省し、ホールの人間を無闇やたらと練習台にするのはやめ、共存の道を選んだ。チダルマは他の悪魔との賭けに負け、罰として5千年人間として生きることになった。
カイマンはまだ祖父のコールマンに正体を明かしてない。病院で検査をしたが頭部に悪魔腫瘍は確認されず、その後の経過も順調とのこと。「空腹虫」を手伝うカイマンのもとへ心と能井が訪れ、金塊と能井の煙が詰まった瓶を進呈する。律義に借りを返しにきた心は、これからも魔法使いの世界で能井とコンビを組み続けると話す。

煙ファミリーは団結し魔法使い世界の復興を図る。

魔法使いの世界では煙が復興の陣頭指揮を執っていた。藤田は松村の弔い用の靴を脱ぎ、恵比寿から新しくプレゼントされた靴に履き替える。「レストラン丹波」では一命をとりとめたキリオンが目を覚まし、丹波と福山に笑顔で迎えられる。ゾンビ化から戻ったカスカベは暫くハルと水入らずの夫婦生活を楽しんだが、本来の自分の居場所である病院に帰っていく。
自分が記憶をなくし倒れていた路地に向かったカイマンは、そこで魔法使いの世界へ帰る川尻と栗鼠に会って別れを惜しむ。川尻と栗鼠は2人で悪魔試験を受けると決め、合格したらお前の顔を治してやると栗鼠は言うが、カイマンはこのままでいいと清々しく吹っ切る。ニカイドウと出会い、ホールで過ごしたこの顔こそカイマンにとっての素顔だった。

「空腹虫」にニカイドウとの約束を果たしに来たカイマン。

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