ドロヘドロ(Dorohedoro)のネタバレ解説まとめ

『ドロヘドロ』とは2000年から2018年まで連載された林田球のダークファンタジー漫画、及びそれを原作としたアニメ。退廃的な背景やオリジナリティ溢れる魔法の設定、グロテスクでユーモラスな世界観、敵味方人外問わず憎めない愛嬌を持った魅力的なキャラクターが話題を呼んだ。記憶喪失の主人公・カイマンは、自分の頭部をトカゲに変えた宿敵の捜索の傍ら魔法使いの練習台にされた人間が住む町・ホールで仲間と愉快な日々を送っていたが、そこへ魔法使いの世界の実力者・煙ファミリーの刺客が襲い来て壮絶なバトルを繰り広げる。

藤田はまだカイマンへの復讐を諦めておらず、銃を隠し持ってホールへ赴く。魔法の威力で序列が決まる魔法使いにとって本来飛び道具はご法度だが、相棒を殺された上調査も暗礁に乗り上げ、新しいパートナーも未定の藤田は手段を選んでいられない。しかし何故か恵比寿も同行し、現地に着くや否やちょうどチームのメンバーが不足していたとスカウトされ、ホールで行われる野球の試合に参加する羽目に。その試合には数合わせとして、カスカベ博士に改造され、電流で遠隔操作できるゾンビとなった松村もいた。相棒の変わり果てた姿に衝撃を受ける藤田だが、死体を持ち帰ればキクラゲに生き返らせてもらえると気付き、試合が中止になったどさくさに紛れて帰還する。
その頃煙の屋敷では、部下が手違いで恵比寿の煙が詰まった瓶を割り、それを浴びた能井が巨大トカゲと化して暴走していた。どうやら恵比寿が常用していた黒い粉の作用らしい。無差別に暴れ回る能井を身体を張って止めた心は、気絶した彼女を魔法を解く魔法使い・鳥太の所へ運んで元に戻す。
屋敷へ帰った藤田だが、恵比寿の様子がおかしいのに気付く。彼女は試合中に藤田から奪った魔力増強剤入りのジュースを飲んでいたのだ。カスカベのコントロールを離れた松村も暴れだすが、自身の魔法が暴走して恐竜となった恵比寿にミンチにされ、もはや復活は絶望的となる。恵比寿は能井と心によって倒されて元に戻るが、この時の衝撃で記憶が一部戻り、口の中の男に「お前は俺の邪魔をした」と言われたのを思い出す。
煙の屋敷を彷徨い出た栗鼠は生前の自宅に戻り、自分が殺された理由を考えていた。ニカイドウや煙が自分を欲しがる理由もわからない。栗鼠は十字目の初仕事の際、相棒の会川の同行を禁じられ、単身向かった先で殺されたことを思い出す。会川は栗鼠の信頼おける親友であり、彼なら助けてくれるだろうと思い立った栗鼠は、会川の行方を追い始める。
ホールではカイマンが魔法使いの世界への渡航をきっかけに記憶が戻り始めているのを感じていた。再び魔法使いの世界へ行けば、もっと多くの手がかりを掴めるかもしれない。カイマンはまだ万全の状態じゃないニカイドウを残し、一人でホールへ行く。
軍資金が尽きたカイマンは魔法使いの世界で食い逃げを働きながら、目下の所唯一にして最大の手がかりである栗鼠を捜していたが、パイ専門レストラン「レストラン丹波」の店員・福山が何者かに拉致されかけている現場に遭遇し、店長の丹波とともに福山を救出する。一見親切心から出た行動だが、カイマンの目当ては美味しそうなパイだった。福山を助けた礼としてただでパイをおごってもらい大喜びのカイマン。丹波は行くあてのないカイマンを見かねてアルバイトに採用、そのまま働くことに。

4年に1度のブルーナイトの到来に盛り上がる魔法使いの世界。

煙の屋敷では4年に1度の祭典、ブルーナイトの準備が進んでいた。これは魔法使いの世界における重大行事で、各魔法使いのもとに青い虫が飛んでくるのを予兆とし、それぞれが自分にふさわしいパートナーを選ぶのだ。鳥太はボスの煙にぞっこん惚れており、どうしても彼のパートナーになりたくてたまらないが、煙は全く彼の気持ちにこたえる素振りがなくやきもきしていた。煙はある目的から時を操る魔法使いを捜していたが、そんなの伝説上の存在にすぎないと鳥太は否定する。その時、使用人が報告に訪れて質屋の監視カメラの映像を見せる。そこにはニカイドウが時を操る魔法の煙を売り渡すシーンがばっちり映っていた。彼女こそ煙が追い求めてやまない、時を操る魔法使いだったのだ。
煙の屋敷の前ではファミリーに在籍する魔法使いのパートナー希望者が長蛇の列を成し、受付で魔法サンプルを提出していた。この審査に合格すれば、煙の屋敷で催されるナイトパーティーの参加資格が得られるのだ。

煙の屋敷で開催されたパーティーの様子。ファミリーの主たる面々が盛装してステージに居並ぶ。

ブルーナイト当日がやってきた。
ブルーナイトが開催される3日間は福山の付き添いで社長と店員・キリオンが不在な為、カイマンは留守番と掃除を任されるが、サボって栗鼠に会えるかもと出かけていく。屋敷の見張りを倒して服を奪ったカイマンは、露店が並んで賑わうパーティー会場へ意気揚々と繰り出す。
煙ファミリーのメンバーのもとにはパートナー希望者のリストが配られるが、心と能井のリストには因縁の相手の名前があって、二人の表情が変わる。敷地内には黒い家が浮かんでいた。午前0時を回ったらどんな手を使っても構わないので、意中の魔法使いと共に黒い家で悪魔の契約書にサインしろと煙はスピーチする。それが魔法使い同士が正式にパートナー契約を結ぶ条件だった。
藤田はパートナー選びの参考に心と能井がコンビを組んだ経緯を知りたがる。ホールから逃げてきたばかりの心は、煙がチェーン展開するラーメン屋「花煙」で食い逃げをし、そこを追ってきた能井に懲らしめられかけるが、心の腕が腐っているのに気付いた能井は「気持ち悪い」と魔法で治す。心は煙の出る腺をさがして医学の知識もなく腕を切り刻んだのだが、その傷が腐り始めていたのだ。心はこの借りは必ず返すと約束し、元仕事道具の金槌で能井を殴って逃走した。

初めて能井の素顔を見た心は、美少女だったことに衝撃を受ける。

その後心は魔法使いの世界でめきめき頭角を表し、煙ファミリーに掃除屋として雇われ能井と再会を果たす。能井は悪魔になる為の試験を受けており、初対面の時と違って角としっぽを生やしていた。
それからも二人はラーメン屋で相席になるなど親交を深めていくが、能井が悪魔になったら別れなければならない。彼女に課せられた最終試験は1年間魔法の使用を禁じるもので、あと3日で叶うところまできていた。

爆の攻撃から能井を守って瀕死の重傷を負う心。

能井の合格が目前まで迫ったブルーナイト期間中、ラーメン屋で相席していた心と能井は、爆と薬という二人組の魔法使いの襲撃を受ける。爆は能井を、薬は心を、それぞれ無理矢理パートナーにしようと狙っていた。心は魔法が使えない能井を庇って立ち回り、共闘を経て固い絆が芽生えるも、爆の自爆攻撃に巻き込まれた心が瓦礫の下敷きで瀕死になる。動揺する能井に対し、心は彼女の無事を喜び、試験の合格を祈って目を閉じる。身を挺して自分を守り抜いた結果、清々しく笑って逝こうとする心の心意気に惚れた能井は禁を破って彼を癒し、二人は正式にパートナー契約を結んだのだった。
心と能井が当時の回想をしている頃、栗鼠もまた魔法の煙の補充にパーティー会場に紛れ込んでいた。
元のマスクに付け替えたカイマンは、爆破された女子トイレの瓦礫に埋もれた心を発見する。心は実は生きていた薬に注射を打たれ気絶、そのままさらわれてしまった。その際薬が逃げたバイクの煙を吹きかけられむしゃくしたカイマン。なお悪いことにサボってパーティーに来ていたのが丹波にバレて怒られる。さらに拗ねるカイマンに福山が小遣いを渡し、その金でギョーザを買ったカイマンが機嫌を直した直後、心と能井を狙って大暴れする薬と爆のコンビに店を破壊された丹波がキレる。カイマンは丹波を手伝い、共に薬と爆を撃退する。
栗鼠は煙の補充の為に、採取されたサンプルの保管庫へ向かい、爆によって箱詰めにされた気絶中の能井を発見。箱を空けた際に能井の全身から噴き出した魔法の煙を浴び、栗鼠は生身の身体を得る。
煙は部下からもたらされた時を操る魔法使いの写真を見て、それが栗鼠をさらいにきた奴と同一人物だと確信。ニカイドウにキノコを生やしたことを思い出した煙は、遠隔操作で魔法を再発動し、ホールにてバウクスの誕生会に出ていたニカイドウの背中に巨大キノコを生やす。ニカイドウの背中に生えた人間大のキノコは宿主から自立し、二足歩行のキノコマンとなってバウクスをキノコに変える。キノコマンの暴虐から皆を守る為、ニカイドウはアスに作ってもらったマスクを付けて立ち向かうが、倒したキノコマンから流れ出た体液がドアを形作り、その場に集ったバウクス・カスカベ・ジョンソン・13らと共に煙の眼前に強制召喚される。

煙に縛られ無理矢理パートナーの契約を結ばされるニカイドウ。

ニカイドウが時を操る魔法使いだと知った煙は黒い家に連れて行き無理矢理契約を結ぶ。魔法使いの契約は悪魔の体内から出した契約書に互いがサインし、それを各々の体内に戻す事で成立する。契約書には魔法的な拘束力があり、これを破かないとパートナーを解消できない。恵比寿と藤田も契約する予定だったが、恵比寿がパイの拾い食いで腹を壊し不成立となる。
魔法使い屈指の実力者であり、最強と名高い煙にパートナーができた事実は魔法界全体に波紋を呼んだ。ニカイドウ・カスカベ・バウクス・ジョンソン・13は煙の屋敷に監禁されていた。悪魔の契約書には相手を支配する効果があり、ニカイドウは効き目が出るまで監視下におかれていたのだ。
一方、引き続き「レストラン丹波」で住み込みで働いていたカイマンは悪夢にうなされ飛び起きる。夢で見た十字目の男の事を丹波に相談すると、該当する人物を一人知っていると告げられ驚く。
自分を殺した相手を探す栗鼠。
能井の煙を浴びて身体を取り戻した栗鼠は、自分を殺した犯人を捜していた。以前のパートナーで親友の会川は慢性的な頭痛に悩まされては学校を早退するなど行動にむらがあり、栗鼠は現住所すら知らなかった。街を歩いて情報収集した栗鼠は、十字目の本拠地があるというべリス村へ赴く。
カイマンは丹波に付き添われ刑務所に行き、十字目の刺青の死刑囚・清水と面会する。彼は死刑執行直前に丹波のパイが食べたいと願い出て、丹波が直接届けに来たのだった。清水の処刑に立ち会ったカイマンは、清水のてのひらに十字目のボスの顔の刺青があることを知る。その刺青を掴むやカイマンも地獄に引きずり込まれそうになるが、間一髪アスが現れ清水の腕を切り落とし事なきを得る。
アスはニカイドウが煙に囚われていることをカイマンに教えて去る。
ニカイドウは契約書に縛られて、煙の言いなりになってしまった。頃合いと見た煙は彼女を部屋から出し、新たなマスクを与えてパートナーとして待遇する。カスカベはカイマンの情報を吐けと拷問を受けていたが、隙を衝いて仲間達と脱出を図る。途中で行き会った心と能井に追い詰められるが、心はカスカベの顔を覚えており、恩人との再会にテンションを上げる。
煙に片想いしてる鳥太はニカイドウを敵視し、彼と自分の繋がりを思い知らせる為、ニカイドウに煙の自伝映画を見せる。ファミリー結成から20年後、煙ファミリーのメンバーが次々殺害される事件が起きる。被害者は全員首を持ち去られており、目撃者の証言によると犯人は目に十字の刺青を入れていた。多くの部下を殺されて怒り心頭の煙は遂に事件の主犯である十字目のボスと直接対決、気付けば街ひとつをキノコに変えてしまっていた。煙が暴走状態で周囲を破壊した為十字目のボスの行方は杳として知れず、一連の事件の真相はうやむやになった。
その日に戻って十字目のボスの生死を確認したいというのが、煙が時を操る魔法使いをパートナーに求めた理由だった。

煙の屋敷への潜入時、カイマンはパイのマスクとフリフリエプロンで女装し丹波の妻・パイマンを名乗る。

丹波は義理堅い性格で、カイマンの事情を聞いた以上放っておけないと彼に協力することを決める。ニカイドウを助ける為、丹波達に同行して煙の屋敷に入ったカイマンは、パイ型のマスクを被って女装し、丹波の妻・パイマンを名乗る。しかしふと見た新聞でニカイドウが煙のパートナーとなった事を知り、合意の上での契約なら自分が割り込むのは筋違いだと、意気消沈して身を引こうとする。しかし帰りがけに偶然ニカイドウを見つける。

煙専用に特別に焼いたシロール茸のパイが勝負の決め手になった。

「レストラン丹波」の面々が煙の屋敷を訪れたのは、「レストラン丹波」を辞めた元店員の飛鳥が出すライバル店舗との売り上げ勝負に勝ち、煙の敷地内に出店するのが目的だった。丹波にフラれた事を逆恨みする飛鳥はライバル店を出し、男を魅了する魔法を使ってパイを売りまくる。最初は飛鳥が圧倒的優位だったが、途中で魔法の効力が切れて丹波が巻き返し、最後は審査員長である煙のお墨付きを得た「レストラン丹波」が勝利を収める。
喜び合う「レストラン丹波」の面々を見届けたカイマンは自分がここへ来た目的とホールでの楽しかった日々を回想し、衝動的にニカイドウを連れだそうとする。しかしニカイドウは一緒に行かないと拒絶する。契約書で洗脳されたニカイドウは、煙に盲目的に隷従するだけの奴隷になってしまった。彼女の尋常ではない様子に胸騒ぎを覚えたカイマンは力ずくでも引きずっていく覚悟を決め、ニカイドウと戦闘を繰り広げるも劣勢に回り、煙の敷地内にある教会の地下に落とされる。ニカイドウがカイマンにとどめを刺そうとした時、悪魔アスが現れてニカイドウの背を切り開き、煙がサインした契約書を取り出す。契約書を摘出されたニカイドウは正気に戻り、カイマンと感動の再会を果たす。
カイマンとの戦闘で重傷を負って昏睡中のニカイドウは、彼女との出会いを夢に見る。彼女は路地で倒れていたカイマンを見つけ、名前を与えた恩人だった。目覚めたカイマンは反射的に、すぐそばにいたニカイドウの頭に食らい付く。ニカイドウは口の中の男に「お前は違う」と言われたこと、口の中の男が栗鼠だったことをカイマンに教える。正気に戻ったニカイドウとカイマンは、とにもかくにも互いの無事を喜び合った。
二人のやりとりを見守っていたアスは、契約書の効力の範囲外に二人を逃がすことにする。そこへ鳥太が現れて一同は警戒するが、ニカイドウを邪魔者と見なしていた鳥太にとって彼女が消えてくれるのは僥倖であり、逃避行への協力を進んで申し出る。アスは鳥太の容姿をニカイドウそっくりに変えて身代わりに仕立て、カイマンとニカイドウを別の場所に飛ばす。

リベス村の本拠地で現在の十字目メンバーと対面する栗鼠。

一方栗鼠は、十字目の本拠地があるべリス村で現在の十字目メンバーらに迎え入れられる。彼らは順に毒蛾、鉄条、豚、佐治、牛島田と名乗り、ボスはずっと行方不明で居場所は誰も知らないと告げる。
煙は鳥太が化けたニカイドウの偽者を本人だと思い込んでいた。そんな彼のもとへ、どこかの森の中に黒い粉の製造工場があるという情報が入る。黒い粉の製造を指示しているのが十字目のボスなら生存が確定する。真偽を明らかにするため、心と能井が調査に派遣される。
カスカベ・ジョンソン・バウクス・13は心の部屋に身柄を匿われていたが、カスカベを心配する心によって明日ホールへ帰れと言い渡される。カスカベは離れ離れになったカイマンに今の状況だけでも伝えたいと考え、25年間会ってない妻に伝言を託す為こっそりヒドラの森へ赴く。奇しくもその森は、心と能井が向かった場所であった。
ヒドラの森の奥にある奇妙な家を訪れたカスカベだが、そこにカスカベの妻の姿はなく、十字目の怪しげな男達に占拠されていた。不法侵入者のカスカベを敵と決め付けた男達の襲撃を受けるが、間一髪で心と能井が到着。しかし不意を衝かれて能井が人質にとられ、心は抵抗できずに刺されてしまった。どうやら十字目は相手の魔法を制限することができるらしい。
ピンチに陥る心だが、彼は魔法に頼らない物理的な戦闘力で十字目を殴り倒し、あっというまに挽回。カスカベの妻の家を占拠していた連中のリーダーは研人といい、祭壇の前にいた十字目のボスに能井の収穫を報告する。十字目のボスは誰でも魔法が使えるようになる手術を考案し、黒い粉はその副産物だった。ボスの研究を引き継いだ研人は非道な人体実験を繰り返すも遂に成功例を生み出せないまま、プレッシャーに負けた十字目のメンバー達は狂ってしまった。
研人と残りのメンバーは能井を新しい実験台にしようと拘束する。目が覚めた能井は十字目の1人が心から奪ったマスクを被っていた為、相棒の一大事を察して暴れる。しかし能井に殺されそうになった研人が突如巨大化、能井はまるかじりされてしまうが、再び救出に飛び込んだ心とカスカベの活躍によってどうにか救い出される。救出の瞬間、心達は祭壇の前に佇む十字目のボスの顔を見るが、それはただの蝋人形だった。実験の成果がでずノイローゼになった研人と部下達は、十字目のボスを模した等身大の蝋人形を拝んでいたのだった。
巨大化した研人が苦しみもがいて祭壇の蝋燭を倒し、家全体に火が燃え移る。蝋人形が炎に巻かれ溶け落ちる寸前、その顔を見たカスカベは知人と同一人物だと悟る。心、能井とはぐれたカスカベは火災に巻き込まれ気を失うが、そこを長いマフラーを巻いた女悪魔に助けられる。カスカベを抱き上げて救出したこの女悪魔こそ彼の妻、ハルだった。
ハルは春日部の愛称であり、彼女は元魔法使いだった。ホールの雨に打たれ苦しんでいるところを博士に助けられたのがきっかけで相思相愛となり結婚、その時のカスカベはヘイズという名前だった。妻の体調を慮ったヘイズは魔法使いの研究にのめりこむものの、悪魔になる夢を断ち切れないハルは失踪し、今再び悪魔に生まれ変わって夫の前に降り立った。
どうやら地獄に滞在している間に十字目に家を乗っ取られてしまったらしい。

カスカベはまだやることがあるとハルの誘いを断る。

25年ぶりに再会したハルと愛を確かめ合うも一緒に地獄で暮らそうという誘いはやんわり断り、駆け寄る仲間たちを笑顔で迎えるカスカベ。彼の研究はまだ途上であり、残していくのが不安な友人が沢山いた。
カイマンとニカイドウはアスの魔法で煙が十字目のボスと対決した、通称DEATH茸事件のあったマステマに飛ばされていた。アステマは未だにキノコだらけの廃墟と化していたが、ホールのような地下街があった。地下街に潜り物資を調達を行っているカイマンが尾行に気付くと、それは片目に十字の刺青をした少女だった。少女は十字目の新人の夏木と名乗り、同じ十字目の刺青をしていたカイマンを仲間だと思ってついてきたのだ。話を聞くと夏木は同じ十字目の牧という男のもとで、黒い粉の売人をやらされてるらしい。
カイマンとニカイドウは夏木に頼み質屋に案内してもらい装備を整える。
夏木はポジティブな性格で、十字目の存在は魔法を使えない社会的弱者の希望になると熱意を燃やしていた。魔法使いの世界では魔法の強さが重視され、魔法が使えない、あるいは出せる煙の量が少ない者は迫害や差別を受けていた。そこへ牧がやってきて、十字目のボスが行方不明で黒い粉が手に入らないから粗悪な偽物を売ると言い出し、それに反抗する夏木を殴る。カイマンは親切にしてくれた恩を返そうと夏木を助けて牧を殺害する。夏木は本物の十字目に負けず劣らずのカイマンのナイフ捌きに惚れこみ、彼を用心棒と恃んで同行を決意する。
毒蛾と鉄条は研人達が占拠していたヒドラの森の家の偵察に行くが、全てが燃えてしまっていた。しかし付近に心の車が乗り捨てられており、煙の掃除屋の仕業と勘付く。
夏木は十字目の幹部が共同生活を営むべリス村を目的地に定める。十字目の情報を知りたいカイマンとニカイドウも同行を承諾し、途中のザガンシティに立ち寄る。カイマンと二人きりになった夏木は、牧の横暴から救ってくれた礼にカイマンに残り少ない黒い粉を渡す。
べリスの村の十字目達はボスが失踪し黒い粉の供給が断たれてから内職やバイトを掛け持ち倹しい生活を送っていた。栗鼠は彼らの目を盗み、ボスの正体を掴もうと家の中を探していたが、ちょうど帰ってきた毒蛾に見咎められ戦闘になる。毒蛾は猛毒の唾液を飛ばして栗鼠の視覚を奪うが、栗鼠自身は厄介な魔法の使い手であり、下手に刺激すると危険だから殺さないと述べる。激痛に悶える栗鼠が苦し紛れに放った杭が、家賃の取り立てに来た大家の頭を刺し貫き、毒蛾達は棚ボタで家を手に入れる。
煙の屋敷では、煙が新種のキノコ・ドリームマシンを恵比寿と藤田に試食させる。藤田がムキムキになった自分の夢想に溺れる傍ら、恵比寿の前にはもう一人の自分が現れる。ドリームマシンには食べた者に理想の夢を見せる幻覚作用があった。自分の幻覚を追いかけた恵比寿は実家に帰り着く。どうやら両親に会いたい潜在願望が働いたらしい。

魔法訓練学校時代、栗鼠と会川の出会い。

栗鼠は毒蛾たちに縛られ吊るされていた。毒蛾達の話を聞いた栗鼠は、自分が殺された理由とそれに至る経緯を思い出す。栗鼠は魔法が全く使えない体質で、それ故十字目に入るのは必然だった。その頃既に黒い粉は十字目の資金源になっていたが、栗鼠は何故か黒い粉も効かず、したがって魔法の底上げもできなかった。黒い粉を売った報酬を貰った栗鼠は、その金で魔法訓練学校に通い、少しでも能力を開発しようと悪あがきする。栗鼠はそこで会川という生涯の友に出会い、学生を虐げる不良教師を二人で力を合わせ懲らしめるなど、固い絆を育んでいった。会川は凄まじいナイフの使い手の上に細かい事にこだわらない大食漢で、カイマンと共通項が多かった。
栗鼠と会川が通っていた訓練学校はザガンにあった。今は廃墟と化した訓練校に踏み込んだカイマンは、突然の激しい頭痛に襲われる。校舎内を徘徊するカイマンは、会川らしい男が死体を運ぶ幻覚を見る。職員室の机を漁ったカイマンは栗鼠の名簿を発見、途端に顔から血が噴き出し悶え苦しむ。カイマンは栗鼠を知っていた。廃校には既視感がある。ひょっとしたら自分も魔法使いだったのではと疑惑に苛まれたカイマンは、もしそうなら今まで同胞を殺してきたのではと煩悶する。

混乱する記憶に葛藤するカイマン。

カイマンの帰りが遅いのを心配したニカイドウと夏木は迎えに行き、自分の顔を掻き毟り悶絶するカイマンに治療を施す。何故かカイマンの顔からは十字の刺青が消えていた。記憶を一部取り戻したカイマンは、確かにこの学校に通った経験があり、栗鼠とも知り合いだったと認める。「自分の中に恐ろしいものがいる」と怯えるカイマンを、ニカイドウは「大丈夫だよ」と抱き締めて安心させる。
ホールの中央病院魔法被害者病棟に帰還したカスカベは、送迎に付き添った心と能井に蝋人形の顔について知っているのか訊かれる。カスカベが目撃した蝋人形の顔は、昔彼のもとでアルバイトしていたアイ=コールマンという少年に酷似していた。カスカベはアイの希望で彼に人体実験していたのだ。
心と能井の立会いのもと、アイが祖父と暮らしている家を訪ねたカスカベだが、返事がないのでドアを破る。中には車椅子に掛けた老人がおり、一行を墓へ案内し孫は13年前に死んだと伝える。心と能井はその証言を裏付ける為墓を暴くが、棺は空っぽだった。

チダルマによって悪魔失格を言い渡されたアス=川尻は、強制的に魔法使いに戻される。

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