映像研には手を出すな!(大童澄瞳)のネタバレ解説・考察まとめ

『映像研には手を出すな!』とは、大童澄瞳による日本の漫画及び、それを原作としたアニメ、ドラマ、映画作品。アニメ好きの女子高生3人が、部活動で様々なアニメ制作を手掛けていくというストーリー。アニメ制作を通じての3人の成長が見られ、映像制作の場面はアニメファンの心をくすぐるような話になっている。また、映像も空想と現実が入り混じり、独特の世界観を醸し出している。本編では、女子高生と戦車の戦い、ロボットと怪獣の戦い、異星人と地球人との交流がアニメ作品として描かれており、独特なタッチの映像となっている。

『映像研には手を出すな!』の概要

『映像研には手を出すな!』とは、『月刊!スピリッツ』に2016年9月号から連載されている大童澄瞳による日本の漫画作品。アニメ放送は、2020年1月~2020年3月にNHK総合にて放送。アニメ版の監督は、『夜は短し歩けよ乙女』(2017)などのアニメ制作を手掛けた湯浅政明監督。湯浅監督が手掛けた作品ということで放送前より話題となっており、放送終了後の2020年3月のギャラクシー賞を受賞している。
それぞれに個性的だがアニメ好きという共通点を持つ3人の女子高生が、アニメ制作を手掛けていく物語である。主人公である浅草みどり、金森さやか、水崎ツバメの3人が出会うところから始まり、映像研究同好会を立ち上げ、それぞれが得意分野を担当しながら、3人の感性によった独特な世界観のアニメ作品を作り上げていく。アニメ制作過程を描写しているので、どのようにアニメができていくのかを知ることができる作品ともなっており、主人公たちが製作するアニメは、独特のキャラが多く、それをうまく湯浅監督が映像化している。また作中には「最強の世界」を目指すという描写が登場する。映像研の3人が目指す「最強の世界」が自分の中から湧き上がってくる世界を映像化するといった意味から、映像研の3人や、周りの人間を巻き込んでの自分にはなかった世界の実現を意味するように気づいていくストーリー展開もアニメや漫画を見る者を引き付ける作品になっている。
原作は、現在単行本が5巻まで発売されており、連載は継続中である。作者自身が考える独特の世界観やアニメに関しての詳細な設定描写が描かれており、一定の評価がある。一方、原作では、アニメオタクが主人公であることから、作中の浅草、水崎のアニメ描写の吹き出しセリフが長くなっており、原作に対しての賛否につながっている点もあるが、アニメ版では、映像がつくことで、原作の補強が行われている。
実写版も、乃木坂46の齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波の3人が主演で、ドラマが2020年4月より放送され、映画も新型コロナウイルスの影響で公開延期となったが、2020年9月に公開された。

『映像研には手を出すな!』のあらすじ・ストーリー

出会い編(1話~4話)

写真は、映像研申請のために職員室を訪れた際のシーン。(左)浅草、(中)金森、(右)水崎。

アニメ制作、特にアニメのメカデザインが好きな高校1年生の浅草みどりは、同級生の金森さやかとともに学校のアニメ研究会の上映会へと向かっていた。そこに、黒づくめの男たちに追いかけられている、同じ学校の制服を着た女子高生を見かける。水崎ツバメであった。怪しげな黒ずくめの男たちは、水崎の家の使用人たちであったが、浅草と金森は水崎に手を貸し、黒づくめの男たちを撒いて彼女を助ける。そこで、浅草たちは、水崎がアニメーター志望であること聞かされる。浅草と水崎は意気投合し、アニメには興味がない金森も、浅草の独特の世界観の表現力と、水崎のカリスマモデルとしての実績から、浅草と水崎で制作されたアニメの話題性があると確信し、意気投合した3人でアニメ制作を行う部活の立ち上げを考える。
一方、特に水崎が、両親からアニメ活動を禁止されていることから、学校では、既にアニメ研究部は存在していたものの、アニメ部への入部は考えられず、また学内で同じ部活を立ち上げることが認められていなかったので、3人はあくまで実写系の映像を主として作る映像研究会を発足させ、実績を積み、アニメ制作を最終的に行っていくという作戦に出る。
無事、映像研究会の申請が認められた3人に、学校の古い倉庫を部室として利用する許可が降りる。そして、部室の修理を進めつつ、活動を本格化させるために、近く開催される予算審議委員会に参加することを決める。元々アニメ研究会があり、事前に生徒会にアニメ作品を作ると宣言してしまうと、反対される可能性もあったので、黙って作品を発表し、評価されることで映像研を認知させ、今後の活動予算を調達しようという計画だった。
水崎は、細部にこだわるタイプで制作の遅れが生じてしまうが、そこは浅草の「そぎ落とせる場面は作品の質が落ちない程度でそぎ落とす演出」のテクニックと金森の「プロデューサー的な観点からの作業工数の削減案」を取り入れながら『そのマチェットを強く握れ!』は完成し、最終的に予算審議委員会当日に短編アニメ『そのマチェットを強く握れ!』は発表に間に合ったのであった。
作品の内容としては、戦車にマチェット(日本語で、蛮刀)で対抗する生身の女子高生を独特の世界観で描いた短編作品であり、具体的なストーリーはなかったものの、自分たちが始めて制作した作品が人前で上映されていく。上映が終了すると、アニメを見ていた予算審議委員の生徒たちは、その見事な出来栄えにあっけにとられていた。その中、映像研の予算書に承認の印が押されていくのであった。

鉄巨人編(第5話~第8話)

写真は、文化祭で流れたロボットアニメの1シーン

予算審議員会で無事、予算を獲得した映像研の3人は、次の制作を検討していた。ちょうど秋の文化祭に向けてそれぞれの部活が動き始めており、その中にロボット研究部があった。ロボット研究部は文化祭に向けてロボット制作を手掛けていて、効果的に紹介するため「ロボットが怪獣と戦う」ような映像、特にロボットの活動を印象付けるために怪獣と戦わせるような映像の製作を希望していた。映像研の3人は、『ロボVS怪獣(仮)』の映像制作を請け負うことになった。3人それぞれがアニメ制作に必要なパソコンの調達や背景の作画などの依頼を進めていく。その中で、学校には音響部があることを知る。制作の過程で『ロボVS怪獣(仮)』に使う効果音が必要となり、3人が音響部の部室を訪れると、そこには大量の音源とともに、唯一の部員である百目鬼がいたのであった。目的の音源は手に入りそうであったので、音源の多さに3人は驚き喜ぶが、作画が進んでいない状況では、どの音源を利用すればいいかわからない。しかも、背景を依頼していた美術部は自分たちの感性での背景を作ってしまい、映像研のメンバーたちが想定していた背景ではなく、結局、浅草自身が手直しをしなければならなくなってしまったのだった。水崎も、また作画へのこだわりから、作画作業が進まずにいた。金森は、プロデューサーとしてこれらのトラブルを調整しながら、何とか文化祭当日までに効果音の最終調整までこぎつけた。
文化祭当日、映像研とロボット研究部は、カリスマ読モの水崎本人が舞台挨拶に出てくるということを、ロボ研メンバーたちが段ボールロボットとなり校内を宣伝しながら、集客をかけていく。それが功を奏し、アニメ上映会場には、溢れんばかりの人が集まっていた。アニメも迫力ある映像が観衆を圧倒していく。その後のDVDの売れ行きも好調で、上映会は見事成功するのであった。
上映会の観衆の中には、有名俳優である水崎の両親の姿もあった。水崎は、両親にはアニメ制作のことは一切話していなかったが、水崎の両親はアニメ作品を見て、水崎の本当にやりたいことを理解したのだった。そして、水崎は自分が、アニメーター志望であることを両親にはっきり告げる。こうして、文化祭は映像研の大きな成果の一つとなったのだった。

未知との遭遇 芝浜編(第9話~第12話)

写真は、『芝浜UFO大戦』の1シーン

文化祭後、アニメ上映後は確かに成功に終わったのだが、ロボットアニメの利権はクライアントであるロボット研究部にあったため、映像研が得た利益はごくわずかであった。そのことに一番納得がいかなかった金森は、映像研単独で、学校外の活動でアニメ制作を行う提案を浅草、水崎にしたのだった。ちょうど、「自主制作物展示即売会コメットA」の開催が予定されていた。そして、3人は自主制作のアニメづくりに取り掛かる。3人一緒に町に繰り出し複雑な街の構造をヒントにしながら空想を膨らませたり、文化祭のアニメのファンになったラーメン屋で話をしたりしながら次回作の構想を練る。そうしているうちに、3人は、自分たちが住んでいる芝浜の町そのものを舞台として、UFOが飛び交うような異世界人との遭遇を描くことで作品を作ろうと動き出した。
浅草は、アニメ設定について、水崎はアニメーターとしてのこだわりを追求していく。金森も、プロデューサーとしての役割を果たすべく動いていくが、前回の文化祭での大捕物騒ぎなどで、学校側に目を付けられていた映像研だったので、『コメットA』は学校外の活動であることから予算がおりなくなってしまう。そこで、金森は芝浜の商店街から全予算を取り付けるべく動いていく。何故、金森がこれだけ、金に強い執着を見せるのか。それは、彼女の幼い時代の体験からであった。金森が10歳ぐらいの頃、さびれたコンビニを営んでいる親戚の家を訪ねる機会があり、親戚の叔父、叔母に対して、降雪で他が店を閉めている中で、店を開くように進言する。口コミによる宣伝も的中し、商品を求めて大勢の顧客がやってくるというような、経験があったのだった。結局、親戚の店は閉店に追い込まれたが、金森にとってどうやれば金儲けができるか、また逆にお金に執着しなければ親戚の家のように潰れてしまうことを学ぶ重要な機会となっていた。
アニメ作品の制作当初のストーリーとしては、芝浜に不時着したUFOにカッパが乗り込んでいて、そのルーツを探るというものであった。人間とカッパがお互いの存在について無知であったことから、武装したUFOで戦いを始めてしまうという話であったが、制作が進む中、浅草は“芝浜町が異世界人と地球人との争いから交流へと変化する”様を描くという「演出」を思いついていく。また水崎にも、自分自身の読者モデルの仕事や映像研の作画をこなしながら、今回のアニメ作品に出てくる声優のオーディションもこなすようにと金森からの指示が次から次へと出てきていた。
そうして、3人がアニメ制作を進めていく中、金森が進めていたコメットAへの参加が学校側の知るところになってくる。学校側は、学校の活動の一環で、商業的利益を得るような活動を問題視していたのであった。結局、学校側の理解を得ることなく、アニメ制作を進めざるを得なかったが、周りの生徒たちの共感は徐々に得ていく。3人は、引き続きアニメ制作に打ち込んでいく。途中、アニメ制作のため、3人で芝浜町を探検したり、金森が風邪をひき体調を崩したりということはあったが、徐々にアニメは、完成に近づいていく。しかし、作画も一通り終わり、残すは「音」だけになったところで思わぬトラブルが発覚する。外注先が納品した音楽が、作画に沿ったものとなっていなかったことが判明した。原因は、浅草の方に、トラブル発覚の2週間前に外注先から音楽の納品があったのだが、浅草がメールチェックを十分に行っておらず、事前に作画と音楽がマッチしているかの事前確認を怠ってしまっていたからであった。
これで万事休すと思われたが、浅草は元々現在作成されているエンディングのダンスシーンには演出上で納得していなかった。そこで、今度は、音楽に合わせた映像のアレンジを試みていく。こうして、『芝浜UFO大戦』は完成したのだった。
コメットAの当日、会場には、DVDを販売する3人の姿があった。読モの水崎が、直接のDVD販売するということも手伝って、DVDは無事完売するのであった。
そして、結果、ダンスシーンを特典映像とするDVDの映像として取り扱われたのだった。

『映像研には手を出すな!』の登場人物・キャラクター

声の項はテレビアニメ版の声優。演の項は実写ドラマ・映画版の演者。

『映像研』メンバー

浅草みどり(あさくさ みどり)

CV:伊藤沙莉 / 演:齋藤飛鳥

本作品の主人公の一人で、芝浜高校1年生で映像研のメンバー。映像研では、主に監督的な役割を担っている。アニメ制作では設定が命と考えており、自分自身で考えた「最強の世界」で大冒険するのが夢である。好奇心が強く探検好き、面白いものを見て刺激を受けると猛烈な勢いでイメージボードに空想世界を描き出す事を得意とするが、人付き合いが苦手で、中学まではほとんど友達がいなかった。唯一の友人として金森が同じ上狸沢中学校の出身であったので高校でも当初は金森としか行動していなかった。芝浜高校に入学を機にアニメ研究部に入ってアニメを作りたかったが結局一人では行動できないでいた。ある日、下校途中に偶然、黒服の男たちに追いかけられている水崎と出会い、意気投合し、金森と3人で映像研を立ち上げていくことになる。

金森さやか(かなもり さやか)

CV:田村睦心 / 演:梅澤美波

浅草みどりの同級生。かなりの長身。
幼少期に、つぶれかけた親戚の店を手伝った際に、自分のアイデアで顧客をうまく呼び寄せ、お金を儲けることができた経験から、金儲けには非常に執着している。
アニメについては、まったくと言っていいほど興味も知識もない。浅草には中学時代に知り合い、浅草に何故か興味を抱くようになり放課後に一緒に行動する機会が増えていた。特に二人が初めて電車に乗った時に浅草の自身が初めて電車に乗ったということから、その乗車体験をイメージボードに描く様子を見て、浅草の作画力や、その発想力に感銘を受けていた。また、そのような浅草に金儲けのにおいがしたせいか、さらに浅草に興味を持っていくのであった。
映像研では、資金調達などプロデューサー的な役割を担っている。

水崎ツバメ(みずさき ツバメ)

CV:松岡美里 / 演:山下美月

浅草たちと同じ学校に通う同級生。両親は共に有名な役者であり、自身も有名な読者モデルである。しかし、本人は小さいころからアニメが好きで、アニメーター志望であり、特にキャラクターの動きを書くのを得意としている。
ある日、祖母が窓の外に飲み残しのお茶を投げ捨てた光景を見て、そのお茶が飛ぶ軌道に水崎が非常に感銘を受けた。自分が祖母と同じようにきれいな軌道でお茶を描けなかったので、祖母に何度もお茶を投げるようにせがむということがあった。水崎は、お茶がどのようにして軌道を描くのかがとても気になったようであり、「動き」というものに非常に興味を示した。その日以来、幼少期よりアクターズスクールに通いながらも、ひそかにいろいろな作画をしてクリエイターとしての資質を見せていた。しかし両親、特に父親の方は、自分と同じ演技の道に進ませたいと考えており、アニメ研究会への入部は反対していた。しかし、浅草の作画やキャラクターデザインを見て、意気投合し、映像研を浅草、金森と立ち上げることになる。映像研では、アニメーターとしての役割を担っていく。

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