ブルーバレンタイン(映画)のネタバレ解説まとめ

『ブルーバレンタイン』とは2010年公開のアメリカの恋愛映画。あるカップルの出会いから結婚、破局までを描く切ないストーリー。価値観の違い、気持ちの温度差、方向性の違い、仕事の格差から冷め切った夫婦をライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズが演じ、過激な性描写や体重増量も辞さない迫真の演技で、2人とも第68回ゴールデングローブ賞にノミネートされた。デレク・シアンフランス監督は10年かけて脚本を練り上げ、第63回カンヌ国際映画祭では「ある視点」部門に出品された。

『ブルーバレンタイン』の概要

『ブルーバレンタイン』とはあるカップルの出会いから結婚、破局までを、現在と過去を交錯させて描く2010年アメリカの恋愛映画。
主演は『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリングと『ブロークバック・マウンテン』のミシェル・ウィリアムズ。

ライアン・ゴズリング演じるディーンとミシェル・ウィリアムズ演じるシンディは、7歳になる娘のフランキーと3人で暮らしている。ディーンの仕事はペンキ塗り。朝からビールを飲み、仕事から帰ると家族とゆっくり過ごすのを楽しみにしている。
シンディは長年かけて医学の資格を取り、看護師として働いている。ある日飼い犬のメーガンが逃走し、死んでしまう。
悲しみに暮れるディーンとシンディ。以前からすれ違い、夫婦の危機を感じていたディーンはシンディをホテルへ連れ出す。

物語は、出会い、輝いていた過去とすれ違いから別れを選ぶまでの苦しみ、葛藤する現在が同時進行しながら交錯する。
その対比が切なく、悲しい結末が観た後にトラウマになるトラウマ映画ともいわれている。

第63回カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門に出品された本作はドキュメンタリー出身のデレク・シアンフランス監督が10年以上脚本を練り直した。
役作りのために主演のライアン・ゴズリングは髪を抜き、ミシェル・ウィリアムズはだらしない体形に見えるように体重を増量させた。
このストイックな役作りで主演の2人とも第68回ゴールデングローブ賞にノミネートされ、ミシェル・ウィリアムズは第83回アカデミー主演女優賞にノミネートされた。
本作は映画評論家の評価も高く、アメリカの映画評論サイトであるRotten Tomatoesでは88パーセントの評論家が肯定的な評価を下し、10点満点中、平均点は7.7点となっている。
興行成績は2010年12月4日に北米4館で限定公開され、初週末に19万3728ドルを稼いだ。

『ブルーバレンタイン』のあらすじ・ストーリー

はじまりは飼い犬の失踪だった

飼い犬メーガンを探すフランキーとディーン

ディーン(演:ライアン・ゴズリング)は妻のシンディ(演:ミシェル・ウィリアムズ)と7歳になる娘フランキー(演:フェイス・ワディッカ)と3人で暮らしている。ディーンの仕事はペンキ塗り。朝からビールを飲んで、仕事が終わると家族とゆっくり過ごすのが日課だ。
シンディは長年の夢が叶い、看護師として多忙を極めていた。

ある朝のこと、娘のフランキーが「メーガン メーガン」と飼っている犬の名前を呼んでいる。フランキーはパパのディーンを起こしにきて、メーガンがいないと訴える。
二人で庭に出てメーガンを探すが姿はない。「きっと戻ってくる」ディーンはフランキーにそう言いフランキーの指を食べちゃうぞと冗談を言いながらうちに戻る。
シンディの寝室に行き、ディーンとフランキーはふざけてトラが襲う真似をしながらシンディを起こす。シンディは心底嫌そうにしており機嫌がよくないようだ。
朝食の時間、フランキーとディーンはふざけてスプーンを使わないで食べている。子供をあやし、楽しい雰囲気にしたいディーンとは逆にシンディはイライラし、誰の顔も見ようとはせず、淡々と朝の支度をしていた。

シンディはフランキーを学校まで車で送り、自分の仕事場である病院に行く。シンディは職場で"犬を探しています”と書いた張り紙をコピーしている。

今日はフランキーの学校の発表会がある。ディーンとシンディは別々に車で学校に向かっていた。
学校に向かう途中、シンディは路肩で死んでいる犬を見つけてしまう。メーガンだった。
学校の観覧席で隣り合って座ったディーンにシンディはメーガンが死んでいたことを告げる。
「鍵を閉めろと何度も言ったろ」ディーンはシンディを責め、泣き崩れるシンディだった。
発表会が終わり、ディーンはフランキーがメーガンが死んだことに気づかないように、おじいちゃん(演:ジョン・ドーマン)のうちに遊びに行くことを提案する。

7年前のディーンの回想シーン

ディーンは引っ越し屋の面接に来ていた。未経験ながらも即採用になったディーンは早速、引っ越しの業務にあたる。
すぐに仲間と打ち解け、作業の合間にディーンはこんなことを話す。
「男は女よりロマンチストだ 結婚する時は1人しか目に入らない この女を逃したら俺はバカだと思う でも女は男を値踏みし選り好みする 王子様を待ち続けるが結局選ぶのは稼ぎのいい男さ」

ある日、ディーンはウォルターさんという老人の引っ越しで老人ホームを訪れる。狭い部屋なのに荷物は多く、時間も限られてはいたが、ディーンは荷解きをし丁寧に部屋を飾り付けた。そして支度が終わると、ウォルターさんの手を取り部屋に入りどこに何をしまったのか丁寧に説明した。

悲しみに暮れ未来ルームへ出発

ディーンはメーガンを埋葬した。悲しみに暮れるディーンとシンディだった。
フランキーとメーガンが映っているホームビデオを見ながらソファーで寝そべるディーンとは対照的にシンディはせっせと片づけをしている。
ディーンは突然、ホテルの予約を取る電話をかけ始める。電話口でシンディに「キューピッドの入り江と未来ルームどちらにする?」と聞く。シンディは「安いラブホテルなんて嫌 行かない」と反対するが、ディーンは「この家を出て酔っ払い愛し合おう」と提案する。「明日の通勤に2時間かかるから」と嫌がり答えないシンディにディーンは「俺が決める 未来ルームだ」と勝手に予約をしてしまう。「どうかしている」とまるで乗り気でないシンディだった。

車でホテルへ向かう途中、シンディは立ち寄ったスーパーで偶然5年前の恋人、ボビー・オンタリオ(演:マイク・ヴォーゲル)に会う。ボビーに「結婚はしているの?浮気していない?」と聞かれ、気分を害したシンディは早々に切り上げ店を出る。

車の中でディーンはシンディの様子が何かおかしいことに気づき「何考えている?」と尋ねる。「店で誰にあったと思う?」シンディはディーンに思わせぶりに言い、ディーンは「リチャード・グレコ?」「ボン・ジョヴィ?」などと答えるが、シンディは「ボビー・オンタリオ」と少し笑いながら言った。その名前を聞いた途端、ディーンは機嫌が悪くなった。「店で言えばいいじゃないか 話したのか?」とシンディを問い詰める。シンディは「心配ないわよ 彼、太っちゃってた 」と言うが、その言葉がディーンを更に怒らせた。「奴が太ってようが俺には関係ない 心配ないってなんだ?」シンディが弁解しても話はこじれるばかりで険悪なムードが漂っている。「気を悪くしてごめんなさい」とシンディはディーンの手の上に自分の手を載せるが振り払われる。
険悪なムードにたまらなくなったシンディは「止めるわよ」と車の外に出る。

7年前のシンディの回想シーン

シンディは祖母に本を読む。祖母といる時が心安らぐひと時だ。

シンディは車いすに乗ってアメフト選手である恋人のボビーに会いに体育館に来て、濃厚なキスをする。祖母(演:マリアン・ブランケット)を迎えに行く途中だったのだ。シンディが車いすに乗っていたのは祖母が使う車いすを運ぶためだった。祖母をうちまで送って、食卓で祖母に「愛ってどんな気持ち?」と聞いた。
「私はまだ見つけていない」と祖母は答えた。祖父のことは初めは愛だったかもしれないが、自分を人として見てれなかったという。そしてシンディにこうも言った。「気をつけなさい よく選ぶのよ 恋に落ちる相手があなたにふさわしいか」シンディは「父母のような夫婦は嫌 最初は愛し合っていても私が生まれる前に愛は冷めていた いつか消える感情なんて信じられる?」と思う。それに対し祖母は「愛を見つけるには感情を持たなくちゃ 愛を信じる権利がある 自分を信じるの」という。
ある日シンディはボビーと体の関係を持ち、ボビーが避妊具なしで中で果ててしまったため、不安な日々を過ごしていたが、祖母の身の回りのお世話をし、祖母と過ごすことでシンディの心は安らいでいた。
老人ホームで祖母に本を読んでいると、祖母が「タバコが吸いたい」と言い出した。
シンディは「ベッドでタバコはダメよ」と言いながらも自分のバッグに入っているタバコを探しに行く。
ちょうど少しドアの扉が開いていて、向かいの部屋にいたディーンと目が合う。すぐに扉を閉めたシンディであったが、ディーンがその扉を叩き、話しかけてきた。「俺が金を盗んだと思っているだろう?昔、盗んだこともあるが 今は仕事をして収入もある デートするお金も」と。扉を閉めようとするシンディを押し切って、ディーンは「君の名前は?」と尋ねる。「帰って」と名前を言わないシンディにディーンは「電話は持っていないが伝言をくれたら折り返す」と自分の名刺を渡す。
これがディーンとシンディの出会いであった。

未来ルームで

悪趣味な未来ルームの閉塞感がディーンとシンディの関係を更に悪化させる。

未来ルームに到着したディーンとシンディだったが、その閉塞的で悪趣味な部屋にシンディは嫌な気持ちを隠し切れない。
ディーンは気持ちを盛り上げようと、回転するベッドに横になり、回ったり、未来人の笑い声だと言って奇声をあげて笑ってみたり、はしゃいだ様子を見せる。「子供抜きじゃなかったの?」とシンディは冷ややかだ。
二人は娘のフランキーに電話をかける。ディーンはいつものようにフランキーに冗談を言って、愛していると伝える。
隣の部屋でシンディはシャワーを浴びていた。ディーンも服を脱ぎ二人でシャワーを浴びる。何とかいい雰囲気に持っていこうとするディーンだったが、シンディはまるでつれない。シンディのつれない態度にディーンも笑顔を失っていた。
「なぜ不機嫌なの?」と聞くシンディに、「さあね。なぜかな」とディーンは答え、持ってきたCDをかける。スピーカーから聴こえるのは二人の思い出の曲だった。ディーンとシンディは曲に合わせて少し踊った。

ディーンとシンディの出会い

ディーンがウクレレを弾き、シンディが踊る。楽しいひと時だった。

ボビーが祖母の車いすを押すシンディを追いかけている。「5分でいいからシンディと話がしたい」というが、シンディはボビーを無視する。

ディーンはシンディに対する想いが募っていた。一目ぼれだった。同僚に彼女はどこか違う。何かを感じるんだと話す。
同僚におばあちゃんにシンディの家を聞くことを促され、ディーンはシンディの祖母を訪ねる。そしてシンディの名前を知る。
ある日ディーンとシンディは偶然同じバスに乗り合わせる。席はガラガラだったが、ディーンはシンディの隣に「隣いい?席は満席なんで」と冗談めかして座った。ディーンはシンディのおばあちゃんに会ったこと。ウォルターを訪ねたが彼はいなかったことをシンディに話した。ウォルターのその後を知っているかシンディに尋ねると、シンディは首を切るようなしぐさをする。死んだということだった。そこから人は死ぬ死なないの冗談を交えた会話になる。ディーンはウォルターに渡そうと思っていたウォルターとその美しい妻の写真が入ったロケットのペンダントをシンディに見せる。「俺の経験ではきれいな女は悪女だ 周りがちやほやするからつまらないジョークでも笑う 君もきっと悪女だろ」とシンディに言う。シンディは「私を褒めつつ 侮辱している つまらない悪女だと」「それならジョークを言ってみて」と言うディーンに、シンディが言ったジョークは「変質者と少年が森の中、どんどん深くに入っていきました。少年は僕怖いよと言いました。変質者はじゃあ僕が一人で出ようと言いました」というものだったが、ディーンには全くうけなかった。
バスを降りて二人は並んで歩き出した。ディーンはシンディのことを知ろうと「おばあちゃん好き?」とか「いい街に住んでいるね 街を出たい?」など話しかける。シンディはおばあちゃんは一緒にいると楽しく、他の家族は怒鳴ってばかり。進学したいと思っていて医学を目指していることなどを答える。ディーンに「特技はある?」と聞かれ、シンディは10人のインディアンの曲の節に合わせて歴代の大統領の名前を歌う。「踊れる?」と聞くディーン。「歌は下手だよ」と謙遜しながら、ディーンがウクレレを弾き、それに合わせてシンディが踊った。とても楽しい時間を過ごした二人だった。

再び未来ルーム

未来ルームで食事中、シンディはディーンの今後の仕事について責め立て、ディーンと口論になる。

未来ルームで、ディーンとシンディは食事をとっている。
シンディはディーンに、「何かしないの?」と聞く。「どういう意味だ?」とディーンは不機嫌そうに答える。
「あなたはいろいろ得意でしょ?その気になれば何でもできる」シンディは今の生活に甘んじて新しいことをしないディーンに嫌気がさしていたのだ。「夫であり 父であるほかに何をさせたい?君の夢のシナリオでは俺は何をしている?」ディーンにはシンディが何にそんなに不満なのかがわからない。「ただ惜しいと思ったの 才能はあるのに 歌とか絵とかダンス」シンディは続ける。ディーンは自分の気持ちを話す。「誰かの夫になりたかったわけではない 誰かの父になるのが人生の目標じゃなかった でもこれは俺が求めていた人生だ 他には何も望まない 大事なのは家族だ 家族のために働く」それに対しシンディは「朝の8時から飲まずに仕事に出てほしい」と言う。「朝の8時からビールの飲める贅沢な仕事だ 人のうちの壁を塗り、帰って家族と過ごす 夢だ」シンディにはディーンの考え方が理解できない。「失望しない?才能を生かせずに」「あくせく働く必要があるか?」「稼げなんて言っていない」話は平行線だ。「才能ってなんだ?俺に何になってほしい?」ディーンが言った後で、シンディが「この話になるといつも喧嘩になる あなたが私の話を曲解するから」とあきらめたようにつぶやいた。「どうせ聞く気がないなら黙るよ」ディーンもわかりあえないことを嘆いた。そこでシンディはクスクス笑う。「おかしいか?」ディーンは腹を立てた。「言葉を飲み込むあなたを見てみたい」「喧嘩売っているのか?」「戦いましょ」シンディはファイティングポーズをとった。
シンディはディーンに馬乗りになってじゃれあう。
「小便してくる」ディーンは隣の部屋に行き、倒れた真似をしてシンディを呼び寄せる
シンディに覆いかぶさり、「君はきれいだ」と囁く。「子供を作ろうか?俺の子供を 欲しくない?俺は欲しいよ」この言葉でシンディはすっかり冷めてしまったようだった。「やめて」とディーンを拒否する。キスにも応じようとしない。「いつまで拒絶する?少しは愛情を注いでくれてもいいだろう 君にもフランキーにも優しくしている」ディーンは悲しく怒っていた。抵抗できないと悟ったシンディは自分からショーツを下した。拒絶されているのを感じたディーンは「できない こんなのはごめんだ。欲しいのは君の体ではなく君自身だ」と服を着た。シンディを殴らせて悪者にしようとしていると感じたディーンは「自分は暴力はごめんだ お前の望みでも殴るもんか」と言う。シンディは他の部屋に出ていき、鍵を閉める。

7年前 シンディの妊娠とプロポーズ

シンディの様子がいつもと違うと思ったディーンはシンディにその理由を聞き出す。

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