ボヘミアン・ラプソディ(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ボヘミアン・ラプソディ』とは2018年11月に日本で公開された、「クイーン」のボーカルで、類まれなる歌声と才能を持ったフレディ・マーキュリーの半生を描いた伝記映画である。イギリスとアメリカの共同制作。ブライアン・メイとロジャー・テイラーが音楽総指揮を手がけ「Bohemian Rhapsody」「We Will Rock You」など名曲の誕生秘話、クイーンとフレディ・マーキュリーの栄光とその影を描く。20世紀最大のチャリティーコンサート「ライヴ・エイド」での伝説のステージが蘇る。

『ボヘミアン・ラプソディ』の概要

『ボヘミアン・ラプソディ』とは2018年11月に日本で公開された、「クイーン」のボーカルで、類まれなる歌声と才能を持ったフレディ・マーキュリーの半生を描いた伝記映画である。興行収入は53億円を超え、『グレイテスト・ショーマン』を抜き2018年公開洋画では第二位にランクインしている。
全米では3週目に1億2790万ドル(約144億円)を突破し、全世界興行収入は3億8400万ドル(約433億円)に到達。英国では累計4533万ドル(約51億円)に達し『ラ・ラ・ランド』の累計興行収入を上回った。韓国では3週目週末では公開週末の150%を記録し、累計2452万ドル(約27億円)を突破。フランス、メキシコ、オーストラリア、ドイツ、スペインなどでは2週目、3週目に入っても落ちが少なく、78ケ国で快進撃を続けていた。

配給は20世紀フォックス映画。監督は『X-MEN』のブライアン・シンガー。音楽総指揮にはクイーンのギター、ブライアン・メイ、同じくドラムのロジャー・テイラー。フレディ・マーキュリーを演じるのは『ミスター・ロボット』や『ナイト ミュージアム』のラミ・マレック。
世界的ロックバンド「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリー。1991年に45歳でこの世を去った彼の半生を描いた伝記ドラマ。「Bohemian Rhapsody」や「We Will Rock You」などを世に送り出すまでのエピソード。クイーンの栄光とその影。フレディ・マーキュリーの天才ゆえの苦悩・孤独。クイーンのメンバーたちの絆。そして音楽の歴史にクイーンの名を刻むことになる伝説の「ライヴ・エイド」での21分間にわたる圧巻のステージが描かれている。

『ボヘミアン・ラプソディ』のあらすじ・ストーリー

舞台の始まりは1970年代ロンドン。
ファルーク・バルサラ(後のフレディ)は、インド系の両親のもとに育ち、イングランドのミドルセックス州フェルサムに移り住んだインド系イギリス人である。両親はゾロアスター教という宗教の熱心な信者で、優しい思い、優しい言葉、良い行いを守るように教えていた。しかしファルークはバンドを組み、空港の荷物運びで会えるバイトをする傍ら、女遊びをする日々を暮らしていた。ゾロアスター教の信念と反する行いを続けていたファルークは、熱心なゾロアスター教信者の父親は対立することが多くなった。
自身のゾロアスター教出身というアイデンティティに嫌気がさしたファルークは「フレディ」と名乗るようになる。ある日ギタリストのブライアン・メイ、ドラマーのロジャー・テイラーが所属するバンド「スマイル」に加入したフレディは、綺麗な女性メアリーに一目惚れし、交際を始める。メアリーは、フレディがユニセックスな服を着ることにも理解を示していた。

フレディの歌声を気に入った二人と、新たなメンバー、ジョン・ディーコンで「クイーン」として活動を始める。類まれなる才能を持ったクイーンは、「キラー・クイーン」の大ヒットで一躍スターへと成長していく。
デビュー前から献身的に支えてくれたメアリーとも順調に愛を育んできたフレディはメアリーに指輪を送りプロポーズをする。もちろんその答えはイエスだった。そしてアメリカでのツアーも決定し、クイーンはますます大きなバンドへと成長する。

世界各地でツアーをするクイーン。その頃レコード会社から「キラー・クイーン」を超えるような楽曲を作るように命じられる。そこで作成されたのが曲の長さが6分もあるオペラとロックを融合させた「ボヘミアン・ラプソディ」である。6分もある曲はラジオでは流せないと反対されるが、クイーンは反対を押し切り「ボヘミアン・ラプソディ」を発売する。マスコミからの批評はあまり良くなかったが、世界ではヒットとなりクイーンの人気は不動のものとなる。

世界各地でツアーを行っている間、フレディは自分がバイセクシャルだと自覚するようになる。メアリーへの愛情もあるが、自分の気持ちに嘘もつけず二人の距離は広がっていく。ついにフレディはメアリーに自分がバイセクシャルであると伝える。メアリーは「あなたはバイセクシャルじゃない、ゲイよ」と言い放ち、二人は別れることとなる。
メアリーと別れた後、フレディはメアリーに新しいアパートの部屋を買い与え、近くに住むようになる。しかし孤独への恐怖に押しつぶされそうになるフレディはどんどんと自暴自棄な生活を送るようになる。毎晩人々を家に呼んでは酒を浴びるように飲み乱痴気騒ぎをするフレディは、ある日のパーティの後、ジム・ハットンという男と出会う。二人は意気投合し、フレディは自分が孤独に押しつぶされそうな事などをジムに打ち明ける。ジムはそんなフレディに「君には友人が必要だ」と言い、キスをする。別れ際にフレディはジムにまた会いたいと言うが彼は自分の名前だけを伝え姿を消してしまう。
フレディは付き人だったポール・プレンターと愛人関係になり、個人的なマネージャーとして常に一緒にいるようになる。クイーンの活動にも口をはさむポールが気に入らないメンバーと、そんなポールをかばうフレディとの仲はどんどん悪くなり、そしてフレディと他のメンバーたちとも亀裂が生じはじめる。フレディはついに多額の契約金をもらいソロ活動を始める。しかしソロ活動もうまくいかず、体調も悪い中苦しみながら音楽活動を続けるフレディ。そんな中、20世紀最大のチャリティコンサート「ライヴ・エイド」が開催されることが明らかになった。フレディのソロ活動や、フレディとメンバーの軋轢から人気が落ち込んでいたクイーンをなんとか復活させようと、クイーンのマネージャーのジム・ビーチはフレディに「ライヴ・エイド」に出るように勧めようとする。しかしポールはジョン・ビーチやメアリーからの電話をフレディに取り次ごうとはしなかった。その上「ライヴ・エイド」が開催されること、出演の話が出ていることをフレディに隠し続けた。そしてポールはエイズを発症して体調不良に苦しむフレディを気に留めることもなく毎晩毎晩、フレディの財産で遊び呆けたのであった。
そんなある日、メアリーがフレディの家にやってきてライヴ・エイドへの出演を勧める。そして「ポールはフレディのことを本気で心配などしていない、目を覚まして帰ってきて」とフレディを説得する。そこでフレディは初めてジョン・ビーチやメアリーが心配してくれていたこと、ポールにいいように使われていたことに気づく。ポールをクビにし、ポールと別れることになった。ポールはその後、フレディとの関係や乱れた生活、愛人関係の話をマスコミに売った。

フレディは、クイーンのメンバーに謝罪してライブエイドへの参加を表明する。メンバーはフレディを許し、再びクイーンの活動が再開するのだった。

ライブエイドが近づくにつれて、体に異変を感じ始めたフレディは病院を訪れ、エイズと診断されて治療を開始することになった。そして、Queenのメンバーにもカミングアウトするのだった。

フレディは、思いを寄せる男性ジム・ハットンのもとを訪れる。ジムは、フレディの自宅のパーティーで給仕を務めており、フレディは一目惚れしたのだった。フレディは、ジムの名前だけは知っていたがそれ以外は何も知らなかった。しかし電話帳で探し続け、彼の連絡先を見つけ出す。そして、ライブエイド当日、ジムに「お茶でもどうかな?」と誘い、彼を実家の両親に紹介する。

そしてフレディは父親に今までの親子関係を修復するためライブエイドに参加し、チャリティー活動を行うことを伝え、ついに父子のわだかまりは消えることになるのだった。

そうして1985年、世界中の人々、家族、メアリーたちが見守る中、クイーンはライブエイドで演奏する。フレディは、約10万人もの観衆、そして中継を見守る世界中の人々を熱狂させたのだ。

『ボヘミアン・ラプソディ』の登場人物・キャラクター

フレディ・マーキュリー(演:ラミ・マレック)

唯一無二の歌声を持つクイーンのボーカル、フレディ・マーキュリー。
「ボヘミアン・ラプソディ」や「キラー・クイーン」「伝説のチャンピオン」などを数々の名曲の作詞作曲を手掛けた。
1991年11月24日、HIV感染合併症により45歳の若さでこの世を去った。
劇中ではメアリーを大事に思いながらも男性に惹かれていく苦悩や、天才ゆえに感じる孤独が描かれる。
演じるのは『ナイト・ミュージアム』でエジプト国王を演じたラミ・マレック。
「僕は、フレディにはなれない」と発言しながらも堂々とした演技でフレディのマイクパフォーマンスなどを完璧に演じている。

メアリー・オースティン(演:ルーシー・ボイントン)

フレディの恋人で婚約者だったメアリー・オースティン。バンド結成時からフレディを献身的に支え誰よりも近くで応援してきたが、フレディにゲイだと告白され別れることになる。
その後、別の男性と結婚し子供も生まれるが、フレディの良き友人として彼を支えていく。ソロ活動を始め、自暴自棄な生活を続けるフレディにライヴ・エイドの出演を勧めたのもメアリーである。
演じるのはルーシー・ボイントン。『シング・ストリート 未来へのうた』のヒロイン役、『オリエント急行殺人事件』にも出演している。

ブライアン・メイ(演:グウィリム・リー)

クイーンのギタリスト、ブライアン・メイ。ドラムのロジャー・テイラーとともにスマイルというバンドに所属していた。ボーカルが抜けてしまったので、類まれなる歌声を持つフレディと、ベースのジョン・ディーコンと一緒にクイーンを結成することになる。大学では天文学を学んでいた。
面倒見がよい兄貴肌で、暴走しそうになるフレディに一言くぎを刺すなど良心的なところがある。クイーンの代表曲の一つ「We Will Rock You」を作詞作曲した。
ブライアンを演じたのはグウィリム・リー。特徴のある髪型をして登場したが、若かりし頃のブライアンにそっくりだと話題になった。

ロジャー・テイラー(演:ベン・ハーディ)

クイーンのドラマーのロジャー・テイラー。ブライアン・メイと一緒にスマイルというバンドに所属していた。大学では歯科医師のたまごであった。そのためか、スマイルのマークは歯のマークになっていた。
ロジャーは二枚目で女子にとても人気のあるプレイボーイであった。アメリカツアー中も女子二人といつも一緒にいた。ブライアンに比べると直情的なところがあり、フレディの個人的マネージャーになったポールが、バンドの運営にも口をはさんでくるのが気に入らず険悪な雰囲気になることがあった。
ロジャーを演じたのは、ベン・ハーディ。彼も若かりし日のロジャーにそっくりだと話題になった。

ジョン・ディーコン(演:ジョゼフ・マゼロ)

ジョン・ディーコン(画面中央)

クイーンのベーシスト、ジョン・ディーコン。他の3人に比べると影が薄いかもしれないが、「地獄への道連れ」など数多くのヒット曲の作詞作曲をしている。温厚な性格で、メンバー同士が衝突した際はジョンが間に立ち、仲たがいを止めてきた。劇中、フレディに「お前からクイーンを取ったら何も残らない」といわれたが「大学で電子工学を学んでたけどだめかな?」と言った通り、電子系の学校に進学していて機械類にも強い。
ジョンを演じたのはジョセフ・マッゼロ。彼も若かりし日のジョンにそっくりだと話題になった。彼の芸歴は長く、1993年に演じた『ジュラシック・パーク』のティム役が有名である。

ポール・プレンター(演:アレン・リーチ)

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