シカゴ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『シカゴ』とは、監督ロブ・マーシャルメインキャストにレニー・ゼルウィガー、リチャード・ギア、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの3人を起用したミュージカル映画。
1920年代、ショービジネスと犯罪の町シカゴを舞台に、スターを夢見る主人公が、殺人を起こし刑務所に収容されながらもスターへの道を上る様子を描いている。
キャッチコピーは「この街では、銃弾一発で有名になれる」
近年のアメリカ映画において、ミュージカル映画はヒットしないと言われていたが、そのジンクスを覆した作品ともいわれている。

『シカゴ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ミュージカルシーン

この映画の名シーンと言えば、ミュージカルシーンであるが、これは監督であるロブ・マーシャルが吹き替えを使いたくないと考えていたことから演者自らがダンスや歌を演じている。
そのため、キャストたちは3カ月ダンスや歌の特訓を受けてからの撮影となった。
また、メインキャスト以外のエキストラダンサーにも手を抜かず、アメリカ合衆国の演劇およびミュージカルに関する賞であるトニー賞やニューヨークで上演された優れた舞台に与えられる賞であるオビー賞の受賞経験があるダンサーたちがバックダンサーを務めている。

ロキシーの瞳

映画の中で現実世界からミュージカルシーンへ移行するとき、必ずロキシーの瞳がアップとなり、印象的な場面となっている。
この瞳のアップがあるおかげで、ミュージカル映画にある、突然歌いだすことへの違和感を観客へ与えにくくなっている。
また、このことによりミュージカルシーンがロキシーの妄想であるということがわかりやすく表現されている。
さらに、ロキシーの妄想であるミュージカルシーンには必ず冒頭にMCが付いてくる。
このMCを務めるのが、バンドリーダーを務めている黒人ミュージシャンのテイ・ディグスであり、彼が楽曲について説明をしてくれるので、楽曲の意味も観客が理解しやすくなっているのである。
しかし、ロキシーの瞳のアップが妄想への引き金となっているとすると疑問に思うのが、ラストのロキシーとヴェルマが再会し、ショーを大成功させるというシーンである。
こちらも、ロキシーの瞳にカメラが寄ってからショーが開始となるため、現実なのかそれともロキシーの妄想なのか謎なのである。
監督のロブは「判断は観客のみなさんに委ねたい」と答えていることからもどちらが正解なのか断定できないラストとなっている。

『シカゴ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

劇中のヴェルマの髪型は彼女を演じたキャサリンが希望したもの

ヴェルマ役のキャサリン・ゼタ=ジョーンズは、当時ロングヘア―をしており、監督のロブもキャサリン自身の髪でこの役をやってほしいと考えていた。
その理由は、ダンスシーンで、女性の長髪がなびく画が映像として効果的だと考えたから。
しかしキャサリンはロングヘア―をかたくなに拒否し、ショートボブを主張した。
それはロングヘアーだと激しいダンスシーンで顔が隠れてしまい、観客から代役だと思われてしまうのを嫌がったため。
子どものころからミュージカルが大好きだったキャサリンは、インタビューで「今回、『シカゴ』の話を貰ったとき、脚本も読まず、何の質問もせずにサインしたの。だって、子供のときの夢が叶うわけですもの」と答えるくらい本作への出演に強い思いがあったため、自ら演じたダンスシーンではっきりと自分の顔が映るようにロングヘア―を拒否した。
また、最初ロキシー・ハート役でオファーが来ていたキャサリンであったが、ヴェルマとして「All That Jazz」を歌いたいと言ったため、キャサリンがヴェルマ役となった。

ロキシー役は別の女優がやる予定であった

女優シャーリーズ・セロン

ロキシー役であるレネーは、この映画に出演するまでダンスや歌の経験がなかった。
しかし、監督であるロブはロキシー役についてコメントで次のようなことを語っている。
「ロキシーを演じる女優を決めるまで10人ほどのトップ女優に会ったよ。名前は言わないけどね。でも、私はずっとレニーが気になっていて、彼女のコメディセンスと繊細さ、演技力がほしかったんだ。そこで彼女にステップと歌をやってもらい、彼女こそロキシーだと確信したんだ。歌声はナチュラルで美しく、サウンド的にはビリー・ホリディのような感じ。体操の経験があったので、ダンスの基本は出来ていたしね」と言うように、ロキシー役にはレネーはピッタリだった。
しかし、ロキシー役の候補であった女優の一人は『モンスター』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したシャーリーズ・セロン。
本来この作品はロブ以外が監督を務める予定であり、その監督がロキシー役にシャーリーズ・セロンを指名していたが、監督がクビになったことにより、現在の監督であるロブがシャーリーズをロキシー役から降ろしたのである。
シャーリーズはロキシー役に未練があり、出演したラジオ番組で「私はレニー・ゼルウィガーが演じた役をやる予定だった。彼女は素晴らしかったわ。だから、彼女がやり遂げたことが本当に羨ましかった。あの映画を何度も観たわ。あの作品が大好きだし、出演者全員が素晴らしかったと思う」と話している。

ビリー・フリンはジョン・トラボルタが務めるはずだった

ジョン・トラボルタ

ビリー役には、ジョン・トラボルタの名前が挙がっていたが、彼はこの役を辞退し、それによりこの役はリチャード・ギアが起用されることとなった。
ジョン・トラボルタが辞退し、その役をリチャード・ギアが引き受けるのは、『天国の日々』、『アメリカン・ジゴロ』、『愛と青春の旅立ち』に続いて4度目である。

ポスターのクレジットでもめていた

ポスターのクレジットの順について、レネー・ゼルウィガーとキャサリン・ゼタ=ジョーンズのエージェントは長い事もめていた。
結局、上から読むと、レネーが先、左から読むとキャサリンが先ということで話がまとまり、ポスターができあがった。

実際にシカゴでおこった事件がもとになっている

ブロードウェイミュージカル『シカゴ』を元に映画『シカゴ』は作られているが、実はこのミュージカルには事実を元にした原作がある。
それが戯曲『シカゴ』であり、これを書いたのが、女性記者モーリン・ダラス・ワトキンスだった。
彼女は登場人物である女性記者メアリー・サンシャインのモデルとなった人物。
実際に起きた事件は、ビューラ・アナンというロキシーのモデルとなった若い女性とヴェルマのモデルになったベルヴァ・ガードナーというキャバレー歌手の二人の女性が中心となっている。
ビューラは10代で一度結婚をするが、自動車整備工のアルバート・アナンと出会い、再婚しシカゴに引っ越すことになる。
しかし、ビューラはシカゴでハリー・カルステットという人物と出会い、二人は不倫関係になるが、1924年痴情のもつれから24歳の若さでビューラはカルステットを撃ち殺した。
逮捕されたビューラは裁判に至るまで証言が二転三転するも殺意があったわけではなく、身の危険を感じたうえでの正当防衛であったと主張する。
さらに、ビューラの裁判費用を夫であるアナンが出し、献身的に支えた。
また、裁判中であるにも関わらず妊娠を公表して世間の同情を集め、さらには無罪を勝ち取った後すぐにアナンと離婚したのである。
一方、ヴェルマのモデルとなったべルヴァには年上の夫がいるにもかかわらず、ウォルター・ロウという愛人がいた。
1924年、ベルヴァの車の中からロウの射殺死体が発見された。
車の中からジンと拳銃が見つかったことから、ベルヴァに容疑がかけられたが、彼女は酔っていて何も覚えていないと主張する。
そんなベルヴァを担当した弁護士が2人いたのだが、彼らをモデルにしたのが、敏腕弁護士であるビリー・フリン。
ロウの事件を自殺の可能性も否定できないと主張し、無罪を勝ち取った。
この2人の事件をシカゴ・トリビューン紙に掲載したのが女性記者モーリン・ダラス・ワトキンスだった。
彼女自身ビューラもベルヴァも有罪だと思っていたが、2人を記事の中で悲劇の殺人者に仕立て上げ、ビューラには「監獄の美女」、ベルヴァには「最もスタイリッシュな女殺人者」とキャッチフレーズをつけた。
ビューラとベルヴァは美女であることもあり、シカゴ市民から注目をあつめ、新聞各社が彼女たちを取り上げることとなり、時の人となった。
この事件を元に、戯曲『シカゴ』を書きあげた。
この戯曲は1926年にブロードウェイで演劇が上演され、さらに1927年にはサイレント映画『シカゴ』が作られ、1942年にリメイクされ映画『ロキシー・ハート』が作らた。
1960年代から原作者にミュージカル化が打診されるが拒否されるが、原作者死亡後に権利が売却されミュージカル化が実現となった。
この時につくられたものが1975年にブロードウェイで初演を迎え、それがもとになり映画『シカゴ』が作られたのである。

『シカゴ』の主題歌・挿入歌

ED(エンディング):ヴェルマ・ケリー、ロキシー・ハート『I Move On』

3esugi-07
3esugi-07
@3esugi-07

Related Articles関連記事

パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉(On Stranger Tides)とは、2011年5月20日に公開されたアメリカの冒険映画。大海賊ジャック・スパロウは、『見つけた者は永遠の生命を得ることができる』といわれる生命の泉を探していた。永遠の生命を求めて英国海軍とスペイン海軍に加え史上最凶の海賊・黒ひげ、そしてジャックたちが激しい争奪戦を繰り広げる。

Read Article

ブリジット・ジョーンズの日記(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ブリジット・ジョーンズの日記(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブリジット・ジョーンズの日記』とは、2001年に公開されたロマンティック・コメディ映画。原作は作家ヘレン・フィールディングの同名コラムで、結婚相手が見つからない女性の寂しい本音を赤裸々に描いている。ブリジットはちょっと太めのシングル女性で、お酒と煙草が止められず、恋も仕事も失敗ばかり。そんなブリジットの等身大の姿が、世の女性の多くの共感を呼び、異例の大ヒットとなった。温かくて親切で正直な愛すべきキャラクター、ブリジットの恋と仕事を巡るドタバタ劇を描いたコメディ満載のハートフルストーリーだ。

Read Article

ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月』とは2004年に公開されたロマンティック・コメディ映画。前作『ブリジットジョーンズの日記』(2001)の続編としてイギリスとアメリカに共同制作され、またもや大ヒット映画となる。相変わらずドジでぽっちゃり女子のブリジットと、堅物だけど真面目で温かいマークは、恋人として蜜月の日々を送っていた。しかしお互いの育ちや環境の違いで衝突したり、美人な同僚に嫉妬したり、と波乱万丈なブリジットの恋模様がキュートなコメディタッチで描かれている。

Read Article

ターミナル(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ターミナル(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ターミナル』とはアメリカ合衆国で2004年6月に公開された、ロマンスおよびコメディー映画である。ある目的をもってアメリカ合衆国に入国するビクター・ナボルスキーだったが、母国でクーデターが起き国が消滅してしまう。無国籍状態となり入国ができなくなってしまった。それでも目的を達成するために、空港の乗り継ぎロビーでクーデターが終結することを待ち続ける。空港生活の中で国土安全保障省税関国境保護局との対立、キャビンアテンダントとの恋模様など様々なヒューマンドラマが描かれている作品である。

Read Article

シンデレラマン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

シンデレラマン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『シンデレラマン』とは、2005年にアメリカ合衆国で制作された、実話を基にした感動の映画。右手の怪我と大恐慌によって苦しい生活を強いられていたプロボクサー、ジム・ブラドックが一夜限りの試合で勝利を収める。それをきっかけに再びボクサーとして奇跡の復活を遂げ、恐慌にあえぐ人々を勇気付けていく姿を白熱の試合シーンと家族の絆を交えながら描き出していく。オスカー俳優ラッセル・クロウ主演、共演は同じくオスカー女優レネー・ゼルウィガー、監督も同じくオスカーを獲得したロン・ハワードが務めた。

Read Article

アニー(1999年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ

アニー(1999年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『アニー』とは、11歳の孤児である少女アニーが、両親から貰ったロケットと手紙を頼りに家族を手に入れるまでの物語を描いた作品だ。1924年に連載が開始された原作の新聞漫画『小さな孤児アニー』を元に、1982年、1999年、2014年と計3回映画化され、それぞれが時代にあったリメイクをされており、大ヒットとなった。中でも今回紹介する1999年にウォルト・ディズニー・カンパニーによってリメイクされた『ANNIE』は、TV映画として放映され瞬く間に人気作となった。

Read Article

HACHI 約束の犬(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

HACHI 約束の犬(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『HACHI 約束の犬』とは、2009年に公開されたアメリカ映画。1987年公開の日本映画『ハチ公物語』のリメイク作品である。ある寒い冬の夜、アメリカ東海岸の郊外の駅でパーカー・ウィルソン教授は1匹の迷い犬に出会う。飼い主を探しながら保護するが、妻の反対を押し切りパーカーは自分で飼うことにするのだった。首輪のタグに「八」と刻まれていた漢字から「ハチ」と名付けられその秋田犬の子犬は、パーカーの大きな愛情を受け立派に成長して行く。そんな幸せな日々がいつまでも続くと思われたが、突然の悲劇が降りかかる。

Read Article

ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期』とは2016年に公開されたロマンチック・コメディである。ブリジット・ジョーンズシリーズ最後の完結作ということで大きな話題を呼んだ。43歳になっても相変わらずシングルトンのブリジット・ジョーンズだったが、今回はイケメン億万長者ジャックと元恋人マークのと間で恋の三角関係を繰り広げる。果たしてブリジットはどちらを選ぶのか。そして今度こそ彼女は幸せをつかめるのだろうか。世界中の女性に愛されたブリジット・ジョーンズのドタバタ恋愛劇がついに完結する。

Read Article

【保存版】永遠の憧れ!芸能人・海外セレブたちのウェディングドレス姿まとめ

【保存版】永遠の憧れ!芸能人・海外セレブたちのウェディングドレス姿まとめ

女性なら誰もが一度は憧れる純白のウェディングドレス。デザインも様々で、選ぶだけでも大変そうですよね。この記事では、日本の芸能人や海外セレブたちが披露してきたウェディングドレス姿の画像を集めました。どのドレスも本当にステキ。そして、それを着ている女性たちがまた溜息が出るほど美しい…。

Read Article

目次 - Contents