めぞん一刻(Maison Ikkoku)のネタバレ解説まとめ

『めぞん一刻』とは、高橋留美子によるラブコメディ漫画。小学館『ビックコミックスピリッツ』で連載された。アニメ、実写映画、実写ドラマ、ゲーム、パチンコ・パチスロなどにもメディアミックスされた大人気作品。
時計坂にあるおんぼろアパート一刻館に住む世渡り下手な浪人・五代裕作と突然管理人としてやってきた美貌の未亡人・音無響子が織り成す恋愛模様を描く。1980年代の恋愛漫画の金字塔として名高い作品。
高橋留美子独自のリズミカルでコミカルな展開が小気味いい作品である。

『めぞん一刻』の概要

『めぞん一刻』とは、高橋留美子によるラブコメディ漫画作品。小学館『ビックコミックスピリッツ』にて1980年11月号の創刊号から1987年19号まで、全161話が連載された。
『ビックコミックスピリッツ』は当初の月刊から隔週刊行、86年4月14日号から週刊へと変わったが、連載はそれに合わせて行われていた。
月刊当時は、9回中8回を巻頭カラーを担当し、雑誌の看板作品となっていた。

作者・高橋留美子は『めぞん一刻』連載時、『少年サンデー』で『うる星やつら』も連載しており、小学館の少年誌と青年誌両方において看板作品を描いていた。
同時期に連載をしていたこの2作品について作者は「20代の漫画で自分の青春」と語っている。

単行本は全15巻。2007年4月に新装版が発売された。1992年からはA5判のワイド版も発売、1997年には文庫版も発売されている。

1986年にはアニメ化と実写映画化され、1988年にはアニメ映画も作成された。
2007年、2008年にはテレビ朝日系列でテレビドラマ化された。

「時計坂」にある古びたアパート「一刻館」に住む五代裕作は、アパートの管理人としてやってきた若い未亡人・音無響子に一目惚れ。彼女に振り向いてもらうために様々なアプローチをする。
人より苦労を背負い込んでしまう世渡り下手な五代と、生来の鈍感さと亡き夫へ操を立てる真面目さを併せ持つ美貌の管理人・響子のなかなか進まない恋愛を、作者独自のリズミカルでコミカルな展開で描いている1980年代の恋愛漫画の金字塔として名高い作品。
「一刻館」を舞台に、個性的で常識はずれな住人に振り回されながら少しずつ成長していく五代と、過去に囚われた響子が賑やかな一刻館の面々と関わり時を重ねていくことで少しずつ変わっていく模様を描いている。

『めぞん一刻』のあらすじ・ストーリー

サクラサクカ

時計坂にあるおんぼろアパート一刻館に、新しく管理人として住むことになった音無響子。

浪人生の五代裕作は、自身が住むおんぼろアパート「一刻館」の劣悪な環境に嫌気がさし、同じ住人・四谷の制止を振り切り、管理人に出て行くと告げようとしていた。するとそこに、新しく一刻館の管理人になったと言う若い女性がやってきた。その女性は音無響子といい、絶世の美貌を持つ女性だった。
出ていくと息巻いていた五代は、明日から管理人室に入るという響子の言葉を聞き、一刻館に残ることにした。

一刻館の住人は個性派ぞろいで、浪人生の五代は2階の5号室。1階の1号室には一の瀬家族が住んでいる。
2階の4号室の四谷は覗き趣味があり、人の迷惑も顧みず、隣の五代の部屋に穴を開けて侵入し、いつも薄着で生活している6号室の六本木朱美の部屋を5号室から覗いている。

明日は模試だというのに自分の部屋で管理人となった響子の歓迎会を開かれてしまった五代は、宴会を尻目に模試の勉強に励む。迷惑ではと言う響子に住人たちは、宴会のせいで模試の成績が悪かったと言い訳ができる、と五代を弄る。
拗ねてしまった五代は押し入れに引きこもるのだが、住人たちの「響子がストリップを始めた」という嘘に騙され、押し入れの隙間から覗こうとした。
住人に散々いじられる五代に同情的だった響子だが、五代の俗物的な行動によりそんな気持ちも失せてしまった。

響子に一目惚れした五代は、響子に男がいると朱美に教えられ驚く。たまたま響子が「…惣一郎さん」と呟いているのを聞いた五代は、惣一郎の存在が気に掛かり、響子と惣一郎の話をしていた一の瀬の息子・賢太郎に惣一郎とは何者かと聞いてみた。するとそれは響子の飼い犬で、賢太郎いわく白くてじじむさい犬の名前だった。

共通一次試験が翌日に迫り、試験勉強に励む五代だが、一刻館の住人に次々と邪魔をされ、勉強にならない。
管理人の響子は五代のため住人たちに静かにするよう注意する。響子が自分のために必死に住人に呼びかけている姿を見た五代は、響子の真心に応えるために頑張ろうと奮起した。
夜になり、五代が勉強に集中しようとすると、突然停電が起こり、その原因を確かめるために響子と五代は配線がある屋根裏の時計小屋に行った。
五代のために頑張る、という響子の言葉を聞いた五代は喜び、響子に近寄った。にじり寄る五代を避けるために少しずつ後ろに下がった響子は、時計のスイッチに躓いて倒れてしまう。その拍子に時計のスイッチが入り、壊れていたはずの一刻館の時計の鐘が一晩中、街中に響き渡ることになった。
鐘の音で眠れず、徹夜明けに共通一次を受けることになった五代は、同じく徹夜した響子や四谷、朱美に見送られ家を出た。冬の寒さと雨で凍った坂は滑りやすく、転んで坂を滑り落ちてゆく五代の姿は共通一次の結果を暗示しているようだった。

2月、私大の受験シーズンが始まった。五代もいくつかの私大を受けるため連日入試を受けに行っているのだが、他大学の受験票を間違って持っていこうとするなど、うっかりが激しく、世話焼きの響子としては放っておくことができず、五代を気にかけてしまう。
ある日、1号室の一の瀬が響子に見合いの話を持ってきた。響子は思い人がいるとその話を断るのだが、一の瀬はその思い人がなぜか五代だと誤解してしまった。五代では将来性がなく、止めた方がいいと一の瀬が響子に言うと、あまりのぼろくそな言いように思わず響子が五代を弁護する発言をしてしまった。
すると、そこまで五代を思っているのかと誤解が強まってしまった。
響子は必死で違うのだと弁解しようとするが一の瀬は響子の話を聞かず、その話し声は扉の前に張り付いていた五代にも届いてしまった。
五代は響子に好かれていると勘違い。五代に一の瀬との会話を聞かれたと知った響子は思わず赤面し、そんな響子の様子に一の瀬は、五代を愛しているがゆえに試験を控えた五代を動揺させまいと秘密にしていた響子の気遣いがわからないのかと五代を叱責した。
ひどい誤解だと憤慨する響子は、翌日の五代の外出時には見送りに出なかった。いつも五代の試験前には必ず見送りに出て、「がんばってくださいね」と激励していたため、五代は今日も出てきてくれるものと思っていたのだが、響子は姿を見せず、五代はしょんぼりして出て行った。

罪悪感にかられた響子も五代の動向を気にしていた。その日、商店街に出た響子は、試験の最中のはずの五代がいたような気がして、自分が五代のことを気にしていると気づいた。たまたま商店街で一の瀬と会った響子は一の瀬とともに豆蔵という定食屋に入った。

朝の自分の態度を気に病み、五代を心配する響子に一の瀬は酒を勧め、悪酔いした響子はトイレに行こうと立ち上がった。よろけた響子は定食屋に来ていたサラリーマンに受け止められた。するとそこにはなぜか五代の姿があった。酔っ払った響子は五代に掴みかかり、何をやっているのかと叱責した。
実は五代は、響子が店に入ってきた時から気づいており、響子に気づかれないようにサラリーマンの陰に隠れて店を出ていこうとしていたのだが、運悪く響子が倒れ掛かってきて、店にいたことがバレてしまったのだ。

試験が難しくて途中で諦めて出てきてしまったという五代に呆れた響子は、酔いに任せて次の試験にはついていくと宣言した。
次の試験日、酔っ払っていた時の約束のためイマイチ覚えていない響子だったが、五代に押し切られ試験会場まで付いて行き、いつものように「がんばって」と激励した。響子の激励に感動した五代だが、カバンを忘れそうになり、響子に「ダメな弟を持った気分よ」と呆れられてしまった。

五代の全ての試験が終わり、発表を待つばかりだが、五代は1週間前から一刻館に帰ってこなくなった。
心配する響子のもとに、一本の電話がかかってきた。五代の祖母が心配して田舎からやってきたのだ。響子は祖母を心配させまいと五代の不在を隠そうとするのだが、朱美の勤め先である喫茶「茶々丸」で、五代の祖母は客として店にいた四谷から入試はほぼ全滅で1週間前から行方不明と聞かされてしまった。
五代の性格を知っている祖母は、五代が逃げ回っていることを悟り、響子に謝罪した。
翌日の私立の合格発表でもし不合格だったなら、田舎に連れて帰ると祖母は宣言し、翌日を待った。
次の日、合格発表を見に響子と祖母が大学に行ってみると、祖母の姿を見つけ逃げようとする五代を発見した。響子の哀れみの視線だけは受けたくない五代は、響子と一緒に合格発表を見ることに抵抗したが、祖母には逆らえず意を決して発表板の前に立った。

五代は自分の番号を発見し、ようやく合格が決まった。

アルコールラブコール

悪友の坂本と飲んだ帰り道、五代は酒の力を借りて管理人響子への思いを力いっぱい叫んだ。

春、五代の大学入学は決まったが、響子との間には何の進展もなかった。一の瀬は、響子の五代に対する受験期の扱いをみて、響子は五代に気があると思っていたのだが、受験が終わった今、五代に対する扱いは一変し、見立て違いだったと誤解を解いた。

ある日、大家が一刻館を訪れた。家賃が値上がりするのか、ボロアパートを改築するのか様々な憶測が飛び、住人全員、大家が何の目的でやってきたのか、気にしていた。
やってきた大家に親しげに「おとうさま」と呼びかける響子を見た住人は、響子が不良住人をチェックするために管理人になったのではと勘ぐる。響子と大家が親子だと知ると、自分をアピールするいい機会だと思った五代は、大家と響子が話している間、一緒に来ていた大家の孫・郁子の相手を買って出た。響子の情報を知りたい五代は、郁子に様々な質問をするのだが、郁子から有益な情報は何も聞き出せない。
大家と響子が出かけようとするのだが、立ち上がりざま大家がぎっくり腰になってしまった。
大家の支えになるために、五代は響子たちの外出のお供をすることになった。

着いた先はお寺。誰のお墓か気になった五代が響子に尋ねると、それは響子の夫・惣一郎のお墓であることが判明した。
響子が未亡人であることに驚いた五代は、響子の中の夫の存在を意識しつつ、現実の自分を見て欲しいと切に願うのだった。

お墓参りの一件で五代を気に入った郁子は、五代に家庭教師に来て欲しいと祖父にねだった。
郁子に甘い大家は響子に打診を頼み、響子は反対するのだが、大家に押し切られて五代に打診に行くと、五代からは快諾が返ってきた。
そして家庭教師初日。休憩中、郁子の部屋で昔のアルバムを見せてもらった五代は、そこで結婚したばかりの響子の写真を発見した。自分たちには見せない、安らかな笑顔をしている響子の写真を見た五代はショックを受けた。

ある夜、酔っ払って玄関先で寝込む朱美を介抱していた響子と一の瀬は、外からの騒がしい声に驚き、外に出た。するとそこには五代と友人・坂本がおり、酔っ払った五代が、大声で叫んでいた。「響子さーん 好きじゃあああ」と叫ぶ声は近所中に響き渡り、酒の力で勢いづいた五代は、響子を抱き上げて自分の部屋に連れて行き、布団の上に押し倒した。貞操の危機に響子は思わず惣一郎の名を心の中で呼ぶが、酔っ払った五代は響子に覆い被さったまま眠り込んでしまった。

次の朝、自分のしたことを覚えていない五代は、響子に冷たくされてショックを受ける。響子は五代からの激しい告白に動揺していた。
何をして響子を怒らせたか自覚のない五代は、一の瀬から、五代が裸踊りをして響子に見せろ見せろと迫った、と嘘を教えられ信じてしまった。
響子に、裸踊りの一件を酒の上での不埒な行為として謝ろうとしたのだが、シラフじゃなかった、本気じゃなかったと言い訳をしたため、響子から「冗談で好きだなんて言ったんですか!!あんまりだわ!!」と泣かれ、平手打ちを受けてしまった。

五代の激しい告白に一瞬でも心が揺らいだことを響子は泣きながら惣一郎に謝った。
五代は自分がしたのは裸踊りではなく告白だったと知り、響子の名を呼びながら泣き崩れた。

三鷹、五代

響子を狙う五代の恋のライバル登場。

近所の奥様達に誘われて、テニススクールに通うことになった響子。そこには、高学歴で高収入、顔も良いという評判のテニスコーチがいた。
響子のテニスウェア姿を見たさにスクールまで見に行った五代は、イケメンのコーチが響子に手とり足とりコーチしている様を見て嫉妬を隠しきれない。
そのコーチの名は三鷹瞬。奥様スクールの中でも若く美しく、独身である響子に興味を持ち、親密に接してくる。

楽しそうにテニススクールに通う響子に五代はやきもきしていた。
三鷹とはどんな人物なのか、興味津々の一刻館の面々は、響子に三鷹をお茶に誘わせて接触することにした。
一の瀬、四谷、五代、そして響子と三鷹は朱美が勤める喫茶・茶々丸で顔を合わせる。
そこで三鷹は、一の瀬たちから五代が響子に想いを寄せていることを聞いた。
響子は、五代の告白は酔った上での冗談だったと否定するのだが、三鷹への対抗心で五代はもう一度響子に告白をする。
五代が響子への思いを口にしたことで響子は居た堪れない心地になり、茶々丸を飛び出した。
響子を追いかけてきた三鷹に、自分は未亡人でまだ夫を忘れたくない、と響子は告げた。
亡き夫を忘れるには時間がかかりそうだが、自分は気が長いと、三鷹は響子の気持ちが変わるのを待つと宣言した。

複雑夜

響子を誘おうと映画のチケットを手に入れたものの、響子は三鷹とデート中。代わりに誘った坂本に断れたところをこずえが見ていて声をかけてきた。

ある日、五代が一刻館に戻ると、そこには背広を着た三鷹とおしゃれをした響子が出かけるところだった。その日、五代は映画の指定券を用意して響子をデートに誘うつもりだったのだが、三鷹に先を越されてしまいがっかり。
憤り、チケットを破ろうとするのだが、高かったチケットがもったいないと五代は友人・坂本を誘おうと電話をかけた。しかし坂本の都合が悪く困っていると、バイト先が一緒だった七尾こずえが現れ、その映画が見たいと匂わせた。
こずえとともに映画に行くことになった五代だが、心の中は三鷹と一緒に出かけた響子のことが気になっていた。
映画館に行く途中、五代たちは、車の故障で立ち往生していた三鷹と響子とばったり出会い、三鷹に五代たちもデートなのかと言われてしまった。否定しようとする五代だが、こずえは積極的に五代の腕に絡んできて、五代は否定するまもなくこずえに引っ張られてその場を去った。
自分を好きだと言ったくせに、可愛い女の子とデートをする五代にムカついた響子は「許せないっ!!」と叫び、三鷹とのデート最中でもその怒りがとけることはなかった。

一刻館とは別の友人関係ができたと喜んだ響子は、三鷹にまた誘ってもいいかと問われると笑顔で承諾した。
五代もまた、こずえからまた会って欲しいと言われ、まんざら悪い気はしていなかった。

桃色電話

電話が元で起きたトラブルを電話で解決。

大学の人形劇サークルに入っている黒木小夜子は、大学祭で行う出し物のために、人手を確保しようと、どこのサークルにも入っていない五代に目をつけた。
黒木に「ちょっとつきあってくんないかな」と言われた五代はおとなしく黒木についていき、人形劇サークルの仲間たちに引き合わされ、なし崩しに人形劇サークルに入ることになった。
その後、一刻館の管理人・響子のもとに女子大生から何度も電話が入るようになった。
自室に電話がなく、連絡先は管理人室にある電話しかない五代に、仕事だからと笑顔で取り次ぐ響子だが、自分を好きだと言っていたはずの五代に何人もの女子大生から連絡が入るのが面白くない。

ある日、こずえとデートしていた五代を見かけた一の瀬と息子の賢太郎は、五代がこずえを泣かせている場面を見てしまった。
それは、こずえのコンタクトがずれてしまって痛みのあまり泣いていただけなのだが、一の瀬はそれを痴話喧嘩と勘違いし、響子に伝えてしまった。

五代は響子に事情を説明しようとするのだが、気分を害している響子は五代の話を聞こうとしない。
あまつさえ、五代にも聞かれたくないことがあるだろうと、響子はとうとう、響子を通さずに使える公衆電話を一刻館に設置したのだ。

話を聞こうとしない響子に怒りを覚えた五代は「わかんない女だな」と暴言を吐いてしまう。
怒った響子はそのまま管理人室に閉じこもり、どうしても話を聞いて欲しい五代は、入ったばかりの電話を使って管理人室に電話をかけ、ようやく事情を聴いてもらうことに成功した。

響子が一刻館の管理人となって一年が過ぎた。五代は響子をお祝いしようとデートに誘った。「6時にま・めぞん」と五代が誘うと、響子は「6時に豆蔵」と思い込んでしまった。
一刻館の住人も、響子の管理人就任一周年を祝う飲み会を「豆蔵」で予定しており、響子は五代の誘いも一刻館の住人の飲み会にも参加できると「豆蔵」に向かった。
約束の時間を過ぎてもやってこない五代を不安に思い、五代と約束していることを朱美にもらすと、待ち合わせは「豆蔵」ではなく、「ま・めぞん」なのではと指摘され、響子は慌てて飛び出した。

その頃、1時間近く待たされても五代は響子をずっと待っていた。そこに響子がやってきて、ようやくデートができることになったが、慌てて出てきた響子はバッグや上着を「豆蔵」に忘れていた。それを心配した五代は「豆蔵」に取りに戻ることに決めた。
しかし、そこには一刻館の面々が騒いでおり、見つかってしまった2人は一刻館の飲み会に参加することになった。
響子と二人でデートをするつもりだった五代はむくれており、罪悪感のある響子は五代に謝ろうと接近した。
どさくさに紛れて響子に迫ろうとした五代を、響子は平手打ちし、そうして響子の一刻館就任一周年祝いの日は終わった。

影を背負いて

大好きな惣一郎と相合傘をしたくて、響子は持っていた傘を背中に隠して惣一郎に近づいた。

大学生活を送ったことがない響子は、大学祭に行ってみたいと五代に頼み込んだ。響子からのアプローチに五代は嬉しくてたまらない。
五代の所属する人形劇サークルを見に行ってみると、五代が王子様役を務めている舞台が上演されていた。
上演後、サークルメンバーに紹介された響子は、次の上演で欠員が出るためお姫様役で手伝うことになった。
初めての人形劇を響子は楽しげに演じている。熱中する響子が可愛くて、お姫様から「行かないで」と言われると、響子自身から語りかけられている気になってしまい、五代演じる王子様は、お姫様を振り切って行かなければいけないのに、お姫様のもとから立ち去れない。響子は話をもとに戻そうとするのだが、五代は人形で響子演じるお姫様にすがりつき、物語は全く別物になってしまった。
園児に大受けで終わった人形劇。大学生活を味わったような、楽しい一日を過ごした響子と五代だった。

テニスの練習中、響子が足をくじいてしまった。責任を感じたコーチの三鷹は、響子に近づくチャンスとばかりに連日一刻館に通い、響子の身の回りの世話を始める。一刻館の住人もそれぞれ響子を心配し、食べ物の差し入れなどを持ってくる。
一人暮らしをしている三鷹は料理上手で、美味しくてつい食べ過ぎてしまった響子。満腹な状態にも関わらず、四谷からのたこ焼き、朱美からのたい焼きを完食し、響子のお腹はもはや限界。さらに五代がラーメンを持ってきたため、響子の顔はひきつるが、響子を心配している五代の気持ちを無碍にできず、響子は汁まで飲み干した。他の住人も差し入れしたと知った五代は、響子が食べ過ぎで苦しんでいると思い、胃腸薬を持って管理人室に急いだ。
その頃響子は、これ以上病人扱いされてはいけないと、部屋で体を拭き床をあげようとしていた。
響子の返事を待たず、扉を開けてしまった五代の目の前には半裸の響子が居てびっくり。
響子は洗面器をぶつけ五代を追い返したのだが、落ち着いた後、部屋を見ると胃腸薬が転がっているのを発見し、五代が持ってきたものだと理解し、それを一粒飲んだ。

翌日、三鷹がやってきたが食べ過ぎでお腹を壊している響子は三鷹の作る食事が食べられず、ちょうど響子の見舞いにきた五代が響子の代わりに三鷹の料理を頂くことになった。
あいかわずの腕前に、響子は感心し、思わず「三鷹さんのお嫁さんになる人しあわせね…」と呟いた。
三鷹は喜び、五代はむくれて、あくまで一般論、といった響子の言葉は聞こえていないようだった。

ある日、街に出かけていた響子は突然の雨で傘もなく、立ち往生していた。
そこに偶然通りかかった七尾こずえが傘をさしかけ一刻館まで送ってくれることになった。
一刻館に到着すると、惣一郎がこずえのスカートにまとわりつき服が汚れてしまったため、こずえは響子のスカートを借りることになった。
汚れたスカートが洗い上がるまで、こずえは響子の身の上話をねだり、夫・惣一郎との出来事を聞いた。

それは雨の日、惣一郎と相合傘をしたかった響子が、持っていた自分のびしょ濡れの傘を背中に隠し、惣一郎の傘に入れてもらおうと画策したエピソードだった。

こずえからその話を聞いた五代は、響子がまだ惣一郎を忘れておらず、いつまでも縛られていると思い、どうして自分を見てくれないのかと歯がゆく思った。

帰らざる彼

帰省中にできたアザによって、五代はなかなか一刻館に帰れなかった。

年末、大晦日を響子と過ごすという朱美に便乗して管理人室で紅白を見ながら年越し蕎麦を食べる約束をした五代。
大晦日の日、約束通りに管理人室に行ってみると、そこに朱美の姿はなく、響子一人だった。
実は、朱美は急にスキーに誘われて行ってしまったのだ。
一刻館に残る住人は他におらず、響子は五代と二人で過ごす大晦日に危機感を募らせていた。
気づかれるまで朱美の不在を黙っていようとする響子だが、朱美が心配して掛けてきた電話によって、五代に知られてしまった。

大晦日を二人で過ごせると知った五代は喜び、あわよくば響子といい雰囲気に持ち込んでイチャイチャ出来たらいいと隙を伺っていた。
響子の肩に手を置こうとして、丁度テレビのチャンネルを変えに動いた響子に避けられ、コタツの中で手を握ろうとして響子が入れておいたせんべいにぶつかり失敗。ことごとく作戦は失敗し、五代は諦めて年越しソバを食べると部屋に戻った。

響子は、五代が紳士的だったことで、警戒していたことを反省し、深夜五代の部屋を訪れた。
響子が夜這いに来たと思い、急いで五代がドアを開けると、そこには着物を着た響子がいた。
ただの2年参りの誘いだった。二人きりだったにも関わらず、紳士的だった五代を響子は見直し、五代は、今年こそ響子と関係を深めたいと誓うのだった。

元旦の夜から帰省していた五代が、予定の日になっても帰ってこない。1日2日くらいで帰ってくるかと思っていたが、3日過ぎても1週間過ぎても五代は帰ってこない。響子はだんだんと五代の帰りが気になるようになり、気もそぞろになってしまっていた。
五代は五代で帰れない事情があった。正月、母校のラグビー部で親善試合をした際に、顔面を負傷し、目の周りに黒いあざができてしまったのだ。響子に恥ずかしい顔を見られたくない五代はあざが消えるまで一刻館に帰れないでいた。あざも薄くなり、ようやく帰れると思った矢先、響子との再会のラブシーンを妄想した五代はそのまま電信柱に激突。さらに怪我を増やしてしまった。

予定日を過ぎても連絡もない五代に、響子はだんだんと苛立ち始めていた。カリカリした雰囲気を纏いだした響子を住人らは見守っていた。
響子の怒りが爆発しそうになる直前、五代が帰ってきた。
響子に挨拶もせず逃げるように部屋に行こうとする五代に響子は怒りを覚え、部屋に閉じこもっていたのだが、一の瀬に強引に五代の前に連れ出されてしまった。真っ黒なサングラスをかけた五代にさらに怒りを覚えると、朱美が背後から五代のサングラスを取り上げた。
するとそこには、両目の周りにパンダのようなあざをくっきりとつけた五代の顔があった。
響子はその顔を見て、思わず笑いがこみ上げ、五代は恥ずかしさのあまり逃げるように部屋に戻った。

五代が帰ってきたことにより、響子に笑顔が戻り、一刻館に日常が戻った。

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