ベルサイユのばら(ベルばら)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ベルサイユのばら』とは、池田理代子が描いた少女漫画で、1770年から17789年頃のフランスを舞台とした物語である。週刊マーガレットで連載以来、少女たちを中心に人気に火が付き、アニメ化や宝塚化などを果たした。
ロマンチックな恋のセリフや、時代の波に飲まれながらも必死に生き抜こうとする格好良いセリフの数々は、読者に長年愛され続けている。

ジャルジェ将軍がオスカルに言ったセリフだ。女の子だが男の子として育てられるオスカルは、ゆくゆくはフランス王妃を守る軍人になる。その為、子供の頃からジャルジェ将軍はオスカルに稽古をつけていた。
剣術の稽古をする前、オスカルは父に「父親を負かせたら小隊(ジャルジェ将軍が指揮する軍隊の一つ)を一個頂きます。」と宣言する。そして、二人は勝負するのだが、オスカルは気迫でジャルジェ将軍を打ち負かした。しかし、オスカルが完全に警戒心を解いた後にジャルジェ将軍から反撃を受けてしまった。オスカルは「ひ、ひきょうな⋯!」と言うがジャルジェ将軍はこの台詞をオスカルに返した。戦場では、一瞬の油断が命取りになる。「まだまだ気持ちの引き締めが足りないから精進せよ」というジャルジェ将軍の思いが込められた名言である。

マリア・テレジアの名言・名セリフ

わたしは⋯オーストリアの女帝として⋯⋯ただ我が国の繁栄と安全のを考えてこの結婚を決め進めてきたのだけど⋯これで良かったのだろうか⋯?あのむじゃきでおてんばで遊び好きなマリーにとって⋯もしかしたら王冠や王妃などという地位は⋯⋯あの甘ったれで素直で考えることの嫌いな平凡な娘にとって、不幸をもたらすものに過ぎないのでは?ああ!!たまらなく不安だ⋯。なぜか不吉な予感がして⋯⋯。

マリー・アントワネットの母でオーストリアの女帝、マリア・テレジアが娘のマリーに対して想いを馳せた独白だ。マリア・テレジアたちオーストリアのハプスブルグ家は、フランスのブルボン家と代々ヨーロッパの支配権をかけて戦ってきた。しかし、今現在はブルボン家と争うよりも、同盟を結ぶべきであった。そこで、マリア・テレジアの家来は、「ハプスブルグ家とブルボン家の和平のためにマリー・アントワネットを未来のルイ16世に嫁がせてはどうか?」と進言する。現在、フランスはブルボン家のルイ15世が支配していた。『未来のルイ16世』とは、ルイ15世の孫だ。未来のルイ16世は、マリーとは年齢が近かった。マリア・テレジアは、「フランス王太子⋯未来のフランス国王と⋯⋯私のマリーとを⋯そうだわ⋯どうしてそれに気づかなかったんだろう?王太子妃になればゆくゆくは黙っていてもフランス王妃⋯⋯。皇女にとって王妃になるという以上の幸福が考えられるだろうか⋯?」と、一旦はマリーの幸せや国の未来のために婚姻を推し進める。
しかし、肝心のマリー・アントワネットは勉強嫌いでフランス語はおろか母国語のドイツ語も満足に操れず、物事を深く考えるのを苦手とする王妃には向かない少女だった。そのことに対して、マリア・テレジアは不安を覚えた。これはその時の独白で、図らずもマリー・アントワネットのその後の運命を示している台詞でもある。当時、フランスの政権は王族と一握りの貴族が握っていた。マリーは、フランス王妃となった後、贅沢三昧でフランスの国費を消費してしまい、民衆の怒りを買ってしまう。そして、フランスで民衆が貴族や王族に対して、革命を起こした。(歴史上でフランス革命と呼ばれている。)そこで、マリー・アントワネットは民衆の手によって処刑された。

あなたの背負う地位がどれだけ大変なものか⋯それをわたしはあなたに教えておかなければなりません。2000万フランス国民のためにあなたが立派な女王になれるように⋯。私のマリー⋯あ⋯⋯こんなに早く手放すのじゃなかった⋯⋯。

マリア・テレジアが娘のマリー・アントワネットに言ったセリフである。あと2ヶ月で、遂にフランスへ嫁ぐことになったマリー。マリア・テレジアはそれまでの2ヶ月間、マリーと同じ部屋で過ごして彼女に王妃として立派な役目を果たせるように指南することになった。この台詞はこの時のもので、オーストリアの女王としてマリーが立派に責務を果たせるようにという願いと、マリーの母として今後のいく末を案じるという両方の願いが込められている。

さようならマリー!!この母のことを忘れないで!そして勉強をして自分を磨き、自分の欠点に打ち勝っておくれ!!そのことだけがあなたを守る!!遠く離れてもわたしは⋯最期の⋯最期の息を引き取るまであなたの身を案ずるのをやめないでしょう!!やめない⋯でしょう⋯!!

マリア・テレジアがマリー・アントワネットの事について思った独白だ。ついにマリーがフランスのルイ16世に嫁ぐ日がやってきた。オースリアでは豪華な祝典が挙げられ、マリー・アントワネットを見送った。この独白はマリーとお別れをした後のセリフで、母として娘を思う気持ちが表れた名言だ。

メルシー伯の名言・名セリフ

メルシー伯はアントワネット(ドレスを着た女性)の隣にいるおじいさんだ。(ベルばらKids 44ページより)

アントワネット様お一人がかたづけられるのならばまだいい方⋯。国王は事の次第によってはオーストリアとの戦争も辞さないほどのご立腹!そうなるとオーストリア・フランス同盟はどうなります!?母帝マリア・テレジア様が生涯最大の力を注ぎこんで成立させたこの同盟は!!もし同盟がやぶれ、オーストリアとフランスが戦争することになれば⋯それは全てアントワネット様。あなたの責任でございますぞ!!

メルシー伯がマリー・アントワネットに言ったセリフだ。マリー・アントワネットは、仲の悪かったフランスとオーストリアが同盟を結ぶためにフランスのルイ王太子と結婚したが、マリーの母のマリア・テレジアは自由奔放で遊び好きのマリーのことを凄く心配していた。メルシー伯はマリア・テレジアによって、マリーのお目付け役としてオーストリアからフランスへと派遣された。メルシー伯はフランスに到着後、マリーとの再会を喜ぶがそこでマリーが起こしたトラブルを知る。なんと、マリーはフランス国王ルイ15世の愛人であるデュ・バリー夫人を公然と無視しているというのだ。
「デュ・バリーの扱いを無下にすることで国王を怒らせれば、フランスとオーストリアの同盟が破棄となってしまう。」
そう危惧したメルシー伯は、マリーに対して注意するが、聞き入れてはもらえなかった。何度言っても聞く耳を持たないマリーのために、メルシー伯は「とある毒薬の話」をする。真相は定かではないが、国王は気に入らない人物の食事に味も匂いもしない毒薬をこっそりといれて、何人もの人を始末したというのだ。この話を聞いてぞっとしたマリーは、メルシー伯の話に耳を傾ける。この台詞は、この毒薬の話の後に言った言葉だ。メルシー伯は、このまま自分の感情でデュ・バリーを無視し続けると、最悪の場合戦争になりかねないと伝えた。もっとマリーに自分の立場と女王としての責任を感じて欲しいという、メルシー伯の思いが込められた一喝である。

デュ・バリー夫人の名言・名セリフ

デュ・バリー夫人は「ピキッ」と怒っている金髪の女性だ。

わたしは⋯なんの地位もない下町の平民に生まれて⋯とうとう伯爵夫人号も手に入れたし⋯国王の寵愛もすべての権力も宝石やドレスやお城や⋯のぞむものはなにもかも手に入れてきたわ。この上はなんとしても王太子妃に言葉を掛けさせて、私の力が王太子妃よりも上だということを認めさせなければ⋯!!

マリー・アントワネットと対峙した時のデュ・バリー夫人の独白だ。デュ・バリー夫人は、ルイ15世の愛人としてベルサイユ宮殿に出入りしていた。独白の通り、もともとは平民の娼婦だったが、美しさを武器に伯爵夫人にまで上り詰めた人物だ。マリー・アントワネットは、マリア・テレジアから「男に金で体を売る女は最もダメな人間」と教えられてきたため、デュ・バリー夫人を頑なに無視していた。当時、社交界の場では目上の者から目下の者に挨拶をするのが普通だった。そのため、マリー・アントワネットから公式のパーティの場で無視され続けるデュ・バリーは、元々の身分が平民であることも手伝って他の貴族達から笑い者にされていた。この状況を打開するために、デュ・バリーは公然の場でアントワネットに自ら声を掛けさせる事で、自分の権力を周りに再確認させようと考える。この独白はこの時のもので、デュ・バリーの執念が伺える名セリフだ。

ジャンヌ・バロアの名言・名セリフ

あたりまえだわ⋯。なんのために夜も寝ないで貴婦人になりすますために血の滲むような努力をしてきたと思うの⋯⋯。これからがほんとうの私の力の見せ所よ。ふふ⋯まあ見ているがいいわ。

集英社文庫『ベルサイユのばら』1巻 185ページより

パーティを前に控えたジャンヌの独白である。ジャンヌはロザリーの姉で、ともにパリの下町に住んでいた庶民であった。貧しくて苦しい生活に嫌気がさしたジャンヌは、ある日たまたまパリを通りかかった貴族の女性に「おやさしいおくさま。バロア家の血を引くこのあわれな孤児にどうかおめぐみを⋯」と、物乞いをする。すると、貴族の女性は「バロア家!?たしか孤児って言ったわね。私の屋敷にいらっしゃい!こんな正しい血筋の子を放ってはおけないわ!もちろん教育もうけさせてあげます。」と、返される。ジャンヌは、自分の母親から自分たちが最後のバロア家の貴族だと聞かされていた。現在フランスの王制を仕切っているのはルイ15世率いるブルボン家だが、ブルボン王朝になる前はバロア王朝としてバロア家がフランスを仕切っていた。ジャンヌとロザリーの母は、落ちぶれたバロア家の女中をしていたが、その時にバロア家の主人に愛されてジャンヌを産んだ。その話を聞いた時からジャンヌは、ずっと貴族の暮らしに夢を見ていた。そして、今回貴族の女性が自分を引き取ってくれるという話をチャンスだと感じたジャンヌは、家や家族を捨ててその貴族の元へと着いて行った。
そして二、三年後。ジャンヌは貴族の淑女としての教養を全て身につけ、見違えるような美しさとなっていた。ジャンヌを引き取った貴族の女性や教育係は、口を揃えて「たった二、三年で何もかもを覚え、身につけてしまうなんて素晴らしいわ」「ほんとうにのみこみが早くて⋯もう教えることなど何もないわ。」と褒め称えた。そんな褒め言葉をもらった時のジャンヌの独白である。ジャンヌは「ベルサイユで貴族生活を謳歌する」という夢のために辛い特訓を積み重ねた。野心のためには努力を惜しまない、ジャンヌの名台詞である。

マルティーヌ・ガブリエル・ド・ポリニャック(ポリニャック伯夫人)の名言・名セリフ

な⋯なに!?その目は。もんくがあるならいつでもベルサイユへいらっしゃい!

集英社文庫『ベルサイユのばら』1巻 339ページより

ポリニャック伯夫人がロザリーに対して言ったセリフである。ポリニャックの乗った馬車は、ロザリーの母親を轢き殺してしまう。人間が一人倒れているにも関わらず、ポリニャックは馬車の運転手に「はやく馬車をお出しなさい」といってなんの責任も取らず、走り去ってしまう。ロザリーは自分の母親を轢いた馬車に対して「あ⋯悪魔ーっ!!あたしの⋯あたしのかあさんを⋯!!」と叫ぶが、ポリニャックは見下したようにこの台詞を言い返した。ベルサイユとはいくつもの城や宮殿が集まった一つの街のようなもので、平民に忍び込むのは不可能だ。それをわかっていて敢えて言うポリニャックの狡猾さが表れている名言だ。悪役の台詞としてもインパクトが高く、今でも愛されている台詞の一つでもある。

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