RCサクセション(RC Succession)の徹底解説まとめ

RCサクセション(RC Succession)とは、1970年にデビューした日本のロック・バンド。ヴォーカリストの忌野清志郎とギタリストの仲井戸麗市を中心に、数々の名曲・名盤を残してきた。現在でも多くのミュージシャンが影響を受けたバンドとして名前を挙げている。1991年に活動休止状態に入り事実上の解散。2009年5月2日、忌野清志郎の死去により、RCサクセション復活の夢は永遠に絶たれた。

Side A
1. 不思議

Side B
1. 甘いシル

東芝EMI移籍第一弾シングル。

「不思議」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
サイケデリック・ロック・サウンドと呼ばれているが、一聴して「あれ、サンタナ?」と思えるようなラテン・ロック・サウンドでもある。仲井戸のギターもサンタナっぽい。
清志郎がニュー・ヨークに行った際に、偶然に好きなミュージシャンと出会えたことを歌にしている。
清志郎は「売れる」と思ったそうだが、残念ながらヒットはしなかった。
歌詞の一部に「俺は資本主義の豚で」というフレーズがあるが、一部の放送局の放送コードに引っかかっり、放送禁止になったという。
アルバム「FEEL SO BAD」には別ヴァージョンが収録されている。このシングル・ヴァージョンは1990年11月14日リリースの編集盤「BEST OF THE RC SUCCESSION1981~1990」や2005年6月1日リリースの編集盤「GREATFUL DAYS 1981-90」に収録されている。

「甘いシル」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
末期的状態だった事務所との関係と、エッチな内容をダブル・ミーニングにしたロカビリー風の楽曲。
オリジナル・アルバム未収録で、1990年11月14日リリースの編集盤「BEST OF THE RC SUCCESSION1981~1990」に収録されている。

7月21日:アルバム「EPLP-2」

Side A
1. Summer Tour
2. つ・き・あ・い・た・い
3. Oh! Baby
4. ベイビー!逃げるんだ。
5. 雨あがりの夜空に(ライヴ)

Side B
1. ノイローゼ・ダンシング (CHABOは不眠症)
2. 窓の外は雪
3. ダンスパーティー
4. おはようダーリン
5. ベイビー!逃げるんだ。(ダブ・バージョン)

*****

CD EPLP-2
*アナログ盤と同一・現在は入手困難

メンバーの承諾なし、というよりも全く知らない間に勝手に出されてしまった作品。事務所がアーティストの承認なしに原盤を発売元のNewレコードに提供したらしい。Newsレコードは1980年3月3日に、松山千春、清須邦義、加川良の3名により設立されたレコード会社である。
このようにアーティスト非公認の作品を勝手に出されてしまうという原盤管理のずさんな状況も、事務所独立の一因となる。
RCはNewsレコードそのものに嫌悪感を持っていたようで、このことに対して激怒。当時、Newsレコードの幹部であった、松山千春や山本コータローなどをステージの上で痛烈に批判、ファンに対しては「アーティスト非公認盤を絶対に買わないように」と訴えかけた。
1982年と1983年に発表された全シングル両面に、「THE KING OF LIVE」から1曲、プロモーション用のシングルのB面から1曲を加えた内容となっており、皮肉にもこの1枚があれば入手困難になっているシングルの楽曲が揃うことになる。ただし現在はこのアルバム自体が入手困難になっている。
発売当時のLPには、RCのスタンプが押された紙のパンティーが封入されており、帯には「パンティーをはいたレコード」と表記されている。

「SUMMER TOUR」は作詞・作曲:忌野清志郎・仲井戸麗市、編曲:RCサクセションによる楽曲。
シングル・ヴァージョンが収録されている。
このシングル・ヴァージョンは、1990年11月14日リリースの「BEST OF THE RC SUCCESSION1981~1990」他、編集盤で入手可能。

「つ・き・あ・い・た・い」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
アルバム「BEAT POPS」収録ヴァージョンと同じ。

「Oh! Baby」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
シングル・ヴァージョンが収録されている。
このシングル・ヴァージョンは現在は入手困難。

「ベイビー!逃げるんだ。」は作詞・作曲:忌野清志郎・仲井戸麗市、編曲:RCサクセションによる楽曲。
2005年6月1日リリースの編集盤「GREATFUL DAYS 1981-90」で入手可能。

「雨あがりの夜空に」は作詞・作曲:忌野清志郎・仲井戸麗市、編曲:RCサクセション・椎名和夫による楽曲。
「THE KING OF LIVE」から収録されている。

「ノイローゼ・ダンシング (CHABOは不眠症)」は作詞・作曲・編曲:RCサクセションによる楽曲。
2005年6月1日リリースの編集盤「GREATFUL DAYS 1981-90」で入手可能。

「窓の外は雪」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
現在は入手困難。

「ダンスパーティー」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
現在は入手困難。

「おはようダーリン」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
現在は入手困難。

「ベイビー!逃げるんだ。(ダブ・バージョン)」は作詞・作曲:忌野清志郎・仲井戸麗市、編曲:RCサクセションによる楽曲。
三菱で配ったプロモーション用シングルのB面に収録されていたヴァージョン。
お遊び程度の編集なので、この1曲のために本アルバムを捜す必要もないかと思われる。

9月21日:アルバム「The LiVE!」

Side A
1. ロックン・ロール・ショー
2. あきれて物も言えない
3. トランジスタ・ラジオ
4. チャンスは今夜
5. スローバラード
6. 雨あがりの夜空に

Side B
1. ドカドカうるさいR&Rバンド
2. Drive My Car
3. ねむれないTonight
4. New Song
5. Oh!Baby
6. Sweet Soul Music-I've Been Loving You Too Long

*****

CD The LiVE!
*2018年2月現在:未CD化

「EPLP-2」と同じように、メンバーの承諾なし、というよりも全く知らない間に勝手に出されてしまった作品。しかもカセットのみのリリース。発売元はNewレコード。
A面は1982年4月5日にこれまたカセットのみでリリースされた「Yeahhhhhh...at武道館」からの抜粋。
B面は前年リリースの「The KING of LIVE」からの抜粋。
何をしたいのかさっぱり判らないリリースだった。

11月23日:アルバム「FEEL SO BAD」

Side A(BAD SIDE)
1 .自由
2. 腰をふれ
3. うるせえ!
4. 失礼スルゼ(訣別の詩)
5. 胸ヤケ
6. セルフポートレート

Side B(GOOD SIDE)
1. NEW YORK SHOW・きみを抱きたい
2. 私立探偵
3. 不思議
4. 夢を見た
5. 可愛いリズム
6. 動かせHEY-HEY-HEY

*****

CD FEEL SO BAD
*アナログ盤と同一

重度の肝臓疾患を患っていた清志郎だが、自ら東洋医学を勉強、実践することで奇跡的に全快させることに成功する。ただし体調は戻ったが、事務所との関係は末期症状に陥っていた。

前作「OK」レコーディング時におけるアーティストの意向を無視した傲慢なやりかたや、営利第一主義的な経営方針、実績に見合わない不明瞭会計、事務所スタッフによる暴言(「奴らもいつか人気が落ちる日が来るんだから、その時は店の一つでも持たせてやるか」)が積み重なり、事務所への不信、不満は爆発寸前だった。

1984年4月13日、清志郎と事務所の奥田社長との間で事務所独立に関する会談が行われた。バンド側は完全な独立を希望するが、事務所側は原盤制作だけでも残せ、と譲歩を求める。よって会談は決裂する。奥田社長は「今度は俺がお前らを干してやる!」と清志郎に暴言を吐き、清志郎も「冗談じゃねー!」とタンカを切って飛び出した。清志郎には過去にホリプロから干された経験があり、その時のことを思い出して悔しさと怒りで涙が込み上げてきたという。

そんな険悪な状況の中、今度は清志郎が忌み嫌っていたNewsレコードから、アーティストの知らない間に「EPLP-2」と「The LiVE!」のリリースが行われてしまう。事務所がアーティストの承認なしに原盤をNewレコードに提供したことによって、実現してしまったリリースであった。あるいは事務所独立を言い出してきたアーティストへの事務所側からの嫌がらせだったのかも知れないが、いずれにしてもこれまでの経緯に、ずさんな原盤管理、といった事例が加わり、不信感はマックスにまで高まってしまった。

そんな中でリリースされたのが、この「FEEL SO BAD」である。いろんな訳ができるだろうが、「胸糞悪い」とか「サイテーだぜ」といったところだろうか。怒りと悪意に満ちたアルバムになっている。
アナログ時代のA面は「BADサイド」、B面は「GOODサイド」と分けられており、「BADサイド」は竹芝で借りた倉庫で一発録りをしている。よって臨場感溢れる独特の響きを持ったサウンドに仕上がっている。「怒りと悪意」は主にこの「BADサイド」に集中している。清志郎のヴォーカルはこれまで以上に力強く、ざらついていて、毒々しい。ホーン・セクションを含む他のメンバーの演奏もダイナミックで、特にドラムスの音は、倉庫の中で一発録りをした恩恵をこれでもか、と受けている。これら「BADサイド」に満ち溢れているロックのパワーは、この「怒りと悪意」が起爆剤となっている。ジョン・ライドンが「ANGER IS AN ENERGY」と歌ったのは正しかったということになる。女の子や車やパーティを歌うだけがロックではないのだ。

この「怒りと悪意」に満ちた内容は、所属事務所とその社長を公然と批判しているということで、事務所側から名誉棄損の抗議を受け、一時訴訟沙汰となる。そのために発売が若干延期されたとも言われているが、関係者の話によると「発売が遅れた(実際には予定より2日遅れた)のは、クレジットにポリドール・スタジオというのが入っていたからです。RECORDED AT .~で。それは契約上まずいと。そのクレジットのまま東芝で出すのはまずい、ということになってすったもんだして、それで遅れたんです」というのが真相らしい。

スタジオ録音による「GOODサイド」は古い楽曲も含む、ラヴ・ソングが中心になっており、「BADサイド」との温度差は激しいが、どちらもRCであり、どちらも清志郎なのだ。

東芝EMI移籍後初のアルバムであり、「RHAPSODY」以降、清志郎と仲井戸の共作が収められていない初めてのアルバムでもある。

この時、「石井さん」という曲をレコーディングしているが、他のメンバーの反対にあいお蔵入りになってしまった。「石井さん」とは後の清志郎夫人のことである。なお、この曲はのちに清志郎のソロ・アルバム「Memphis」に収録されることになる。

アナログ盤のジャケットは、股間の部分に穴が開いており、そこから歌詞カードのバットが飛び出てくるような仕様になっている。野暮な説明になってしまうが、バッドは男性性器を意味している。

「自由」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
まさに怒りの塊といった歌と演奏。正当な主張だけではなく「俺は法律を破るぜ!」「責任逃れをするぜ!」といった自己中心的な主張も含めているところが面白い。「おとなしくていい子ちゃん」ではいられないのだ。
この曲のライヴを聴くとよく判るのだが、楽曲のベースとなっているのはザ・ローリング・ストーンズの「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」だと思われる。

「腰をふれ」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
タイトルからも想像できる通り、性的ニュアンスを含んだダンス・ナンバー。ただし、賑やかでワクワクするようなダンス・パーティの会場は用意されてはいない。
「BABY 禁じられても 見つからなけりゃ悪い事じゃねえ」というフレーズなんかは前の曲の「責任逃れをするぜ!」の延長線上にあるし、そのあとに続く「それが世の中の仕組みさ」からはニヒリズムすら感じられる。
「HEY HEY 腰をあげろよ 座りこむくらいなら」「立ち上がれ 立ち上がれ 事を起こせ 事を起こせ」といったフレーズからは、ボブ・マーリーの「ゲット・アップ・スタンド・アップ」と同じ、つまり権利を守るための戦いの歌、といった匂いがしてくる。
ライヴでは猛烈なスピードで演奏され、激しく前後に腰を振る清志郎は最後に「独立しろー!」と雄叫びを上げる。

「うるせえ!」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
色々な「うるせえ!」が連呼される、ある意味ユニークな、そして強烈な自己主張の曲である。

「失礼スルゼ(訣別の詩)」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
まさに事務所への当てつけ以外の何物でもないブルース・ナンバー。人にケンカを売っているようなニュアンスで歌われる「お疲れ」のコーラスが痛快。このコーラスだけ聴いていると、事務所が激怒する気持ちも判るような気がする。最後は人を小馬鹿にしたようなホーン・セクションによる「蛍の光」で終わる。

「胸ヤケ」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
ちょっとサイケデリックな味わいのある楽曲。冒頭の歌詞に出てくる「主催者」とは事務所のことだろうか。

「セルフポートレート」は作詞・作曲:仲井戸麗市、編曲:RCサクセションによる楽曲。
ダークで冷たい印象のレゲエ・ナンバー。仲井戸の作品で、リード・ヴォーカルも彼。彼のソロ・ライヴでも披露されている。まさに事務所に対する決別の歌。「どこにも所属しねえ 誰にも属さねえ」の歌詞の通り、RCは独立後に自分たちの事務所「うむ」を設立することになる。
清志郎は、アルバムの中で最も研ぎ澄まさた楽曲だと評している。

「NEW YORK SNOW・きみを抱きたい」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
この楽曲からがアナログでいうところの「GOODサイド」になる。
いきなりオーティスの「Fa-Fa-Fa-Fa-Fa」みたいなソウルフルな「チャーラチャチャラ」といったコーラスで始まる楽曲。甘いラヴ・ソングのようで、結構きわどい言葉が出てくる曲でもある。
「SNOW」はスラングで「粉末状のコカイン」を意味し、これに「NEW YORK」が形容詞としてつくと、非常に純度の高いコカインの意味になる。また歌詞カードには、フェイドアウトして聴くことが出来ないエンディングの歌詞も掲載されているが、そこには「チョコレートのカタマリ…コークと呼ぼう コカコカコカコカ・コーク・コーク…」とある。チョコレートは大麻の隠語。コークはコカインの隠語になる。そうすると「胸ヤケ」の歌詞に「コーラを飲みたい」と出てくるのも、「コーラ=コーク=コカイン」と理解することもできる。

「私立探偵」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
マリアッチのトランペットのようなフレーズで始まる曲。浮気がばれてしまったので、色々と言い訳をしている、というまぁ「しょうがねえなぁ」といった可愛らしい曲。「ガット・ギター」で春日博文がクレジットされているので、この曲の間奏は彼のプレイだろう。

「不思議」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
シングルとは別ミックスになっており、独特の浮遊感が増してよりあるサイケデリック色が強まっている。パーカッションが強調されているので、余計にサンタナっぽくなっている。

「夢を見た」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
古い歌で1970年頃にはレパートリーになっていた。「シングル・マン」のセッションでも取り上げられており、2013年5月3日リリースの「悲しいことばっかり(オフィシャル・ブートレグ)」には、フォーク時代のヴァージョンが収録されている。清志郎の作品の中でも傑作のひとつだろう。

「可愛いリズム」は作詞・曲:Gee 2wo・忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
軽快なポップ・ナンバー。
「鼻から魔法を吹き込む」とか「愛を吸い込もう」と歌われるとドラッグ・ソングのようにも受け取れるし、いつものようにエッチな歌のようにも受け取れる。
これまたマリアッチ風の間奏のギターとホーン・セクションのアレンジが素敵な味を出している。
エンディングが次の「動かせHEY-HEY-HEY」に途切れることなく続いているが、プロモーション用に配布された「自由」のシングル盤のカップリングとして収録された際には、きちんとこの曲のみで終了しているらしい(残念ながら私(筆者)はこのシングルを入手できなかったので確認できず)。

「動かせHEY-HEY-HEY」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
独立した一つの曲、というよりは「可愛いリズム」の余韻的なナンバー。50秒程で終了する。

12月21日:アルバム「MIX & MIX-ER」

Side A
1. い・け・な・いルージュマジック(忌野清志郎+坂本龍一)
2. NEW SONG(Gee2wo & GL+KI)
3. お墓
4. 忘れられたDJ(Gee2wo & GL+KI)
5. ハイウェイのお月様
6. 大いなる訣別(ナンデ・ナンデ・ナンデ)(Danger)

Side B
1. ドカドカうるさいR&Rバンド
2. あの夏のGO GO
3. 恐るべきジェネレーションの違い(Oh, Ya!)
4. チモール(Danger)
5. ブルドッグ
6. 明・る・い・よ(忌野清志郎+坂本龍一)

*****

CD MIX & MIX-ER
*アナログ盤と同一・現在は入手困難

「EPLP-2」、「The LiVE!」に続いてまたまたメンバーの全く知らない間に勝手に出されてしまった作品。発売元はNewレコード。しかも今回はRCだけでなく、「忌野清志郎+坂本龍一」、「Gee2wo & GL+KI」そして「Danger」の作品が含まれている。

1985年

4月21日:シングル「すべてはALRIGHT(YA BABY)」

Side A
1. すべてはALRIGHT(YA BABY)

Side B
1. 春うらら

所属事務所「りぼん」から独立、自らの事務所「うむ」設立後、初のシングル。

「すべてはALRIGHT(YA BABY)」は作詞・作曲:忌野清志郎・春日"HACHI"博文、編曲:RCサクセションによる楽曲。
ホーン・セクション全開のソウルフルなナンバー。
「PARCO」のCMソングに起用され、メンバー全員がミイラ男のような扮装をして出演している。
歌詞の内容からは、前の事務所から解放された喜びよりも、自らの事務所を設立したことに対する不安、及び「それでも何とか大丈夫さ すべてはALRIGHT」と自分に言い聞かせているような印象を受ける。
春日博文との共作が公式にリリースされたのは初めて。歌詞の中に「なぜ? 母のない子のような」というフレーズが出てくるが、春日博文が以前在籍していた「カルメン・マキ & OZ」のヴォーカリスト「カルメン・マキ」のデビュー曲が「時には母のない子のように」である。この曲の詞は寺山修司が書いているが、元々アメリカの古いゴスペル・ソングに「Sometimes I Feel Like a Motherless Child」という曲がある。
現在はアルバム「HEART ACE(ハートのエース)」に収録されているが、「HEART ACE(ハートのエース)」初出時のアナログ盤には収録されておらず、CD化された際に収録されるようになった。

「春うらら」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
軽快なレゲエ・ナンバー。
現在は入手困難な状態になっている。

11月21日:アルバム「HEART ACE(ハートのエース)」

Side A
1. SKY PILOT スカイ・パイロット
2. ぼくとあの娘
3. DRIVE
4. GONE GONE
5. 横浜ベイ

Side B
1. 海辺のワインディング・ロード
2. GLORY DAY
3. プン・プン・プン(オコリンボ リンボ)
4. 山のふもとで犬と暮らしている
5. LONELY NIGHT(NEVER NEVER)

*****

CD HEART ACE(ハートのエース)
01. SKY PILOT スカイ・パイロット
02. ぼくとあの娘
03. DRIVE
04. GONE GONE
05. 横浜ベイ
06. 海辺のワインディング・ロード
07. GLORY DAY
08. プン・プン・プン(オコリンボ リンボ)
09. 山のふもとで犬と暮らしている
10. LONELY NIGHT(NEVER NEVER)
11. すべてはALRIGHT(YA BABY)

所属事務所「りぼん」から独立、自らの事務所「うむ」設立後、初のアルバム。

1980年の「RHAPSODY」以降は年に1枚以上のサイクルでアルバムをリリースしてきている。よって今回の「HEART ACE(ハートのエース)」もリリースのスケジュールがすでに決まっていたものと思われる。前作「FEEL SO BAD」は事務所に対する「怒り」がエネルギーとなって作成されたアルバムであったが、事務所問題が解決し、自らの事務所「うむ」を設立したことにより、皮肉にも曲作りの起爆剤が枯渇してしまったのか、この当時清志郎は「歌いたいことがなくなってきた」と語っている。そのためか、曲作りを目的とした北陸地方へのドライヴを敢行したりしている(「海辺のワインディングロード」はその時にできた曲だろう)。

悪いことにシングル「すべてはALRIGHT(YA BABY)」が「PARCO」のCMソングに起用され、メンバー全員がミイラ男のような扮装をしてCMに登場したのだが、もともとがプロモーションやマスコミへの出演が嫌いだったうえに、ミイラにされその包帯を燃やされるといった過酷な撮影だったので、仲井戸がこのことで激怒してしまったという。また、仲井戸の初のソロ・アルバム「THE仲井戸麗市BOOK」のレコーディングや、ソロ・ツアーの準備が重なってしまい、彼の本アルバムへのモチベーションや参加時間が減ってしまう、という事象が発生している。「歌いたいことのない」清志郎と、心身ともに本アルバムに集中できない仲井戸が揃ってしまったことになる。
そのため、前作「FEEL SO BAD」から引き続いいて、清志郎と仲井戸の共作はなく、清志郎と小林の共作が増えている。アレンジに関してはヘルパーとして春日博文が参加しているが、中心になったのはGee 2woで、当時のファンクラブ会報で「一人残っての残業が増えている」という報告が載せられていた。
この当時の事を清志郎は「バンドとしての一体感が希薄になってきていた」と語っている。

更に悪いことに、本アルバムは音の悪さでも有名になってしまった。確かに音はあまり良くない。悪い意味でダンゴのように固まってしまってクリーンではない(ライヴの臨場感を出そうとした結果だろうか)。どことなく不自然な印象が強く、いかにも80年代的なドタトタしたドラムス、リヴァーブの無駄遣い、音に埋もれてしまう清志郎のヴォーカル、もっと前面に出てくるべきギター、等々。
所属していた東芝EMIからのクレームにより、本アルバムから「海辺のワインディング・ロード」と「山のふもとで犬と暮らしている」を「ロンドン」でリミックスし、12インチ・シングル「NAUGHTY BOY」で再リリースすることになる。ただしこの12インチ・シングルも清志郎以外のメンバーが「海外嫌い」だったため、プロデュースは清志郎のみになっている。また、この経験から清志郎は「ミキサーは大切。やはり外人に限るな」と発言している。これら「ロンドン」「海外嫌い」「ミキサーは外人」といったキーワードが、清志郎のソロ・アルバム「RAZOR SHARPS」に繋がることになる。
エンジニアは「BLUE」から参加している小林和生の実の弟の小林キンスケ(一樹)。彼は次作のライヴ・アルバム「the TEARS OF a CLOWN」ではP.A.エンジニアとしてクレジットされているが、結局その次のアルバム「MARVY」では名前を発見することが出来なくなってしまった。

色々とネガティヴな話題の多いアルバムだが、収められている楽曲は決して悪い訳ではない。活きのよい「SKY PILOT スカイ・パイロット」や、矢野顕子が「名曲だ」と褒めたソウルフルな「ぼくのあの娘」、後に矢野顕子にカヴァーされる名曲「海辺のワインディング・ロード」、サイケデリックなテイストのある「山のふもとで犬と暮らしている」、ストレートなロック・ナンバー「LONELY NIGHT(NEVER NEVER)」など。
RCの最高傑作ではないけれど、決して侮れる存在などではない。

「SKY PILOT スカイ・パイロット」は作詞・作曲:忌野清志郎・小林和生による楽曲。
勢いよく飛び出してくるロック・ナンバー。
元々は中森明菜に提供された「STAR PILOT」が原曲。「HEART ACE(ハートのエース)」の3ヶ月前の8月10日にリリースされていた中森明菜のアルバム「D404ME」に収録されており、作詞をちあき哲也が担当している。
この「STAR PILOT」の曲に清志郎が新たに歌詞を書いた楽曲であるが、かなりきわどい性的表現を含んでいる。間奏の飛行機のジェット音を模した音は、ジ・アニマルズの同名異曲「スカイ・パイロット」の間奏を意識したものと思われる。
清志郎はこの曲についてこう語っている。
「(最近はやりのポップなロックン・ロールに通じる曲ですね、という質問に対して)あれは、アニマルズの「スカイ・パイロット」が好きで、そのタイトルを使いたいと思ってて。コード進行と曲の構成はベースのリンコさん(小林)の考えで。でもね、リンコさん、MTV見ながら曲を書いてたからね。あのう、真似したかもしんないよ(笑)。ウチの家で作ったんだよね。彼のウチにはTVはなかったですから。MTVとかあんまり見たことないんじゃないかな。ウチの大画面のTVを見て驚いたんじゃないですか。知らずに影響を受けちゃったりして。」
それに対して小林はこう語っている。
「久し振りに遊びに行った時にためてた曲を披露したというか。結構昔に、もとになるのを作ってたんですけれど。サビのところのメイジャー・セヴンスを入れたくて、そのことを考えてたんだけど、そういうところが今までにないといえば、そうかもしれない。でも、ああいう風になるとは思わなかったなぁ。詩のことですけど。それにもうちょっとゆったりしたものにするつもりだったけど。」

「ぼくとあの娘」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
フォーク時代の古いレパートリー。「ロック画報2002年第10号」の付録に付けられていたCDにも「未発表ライヴ音源」として収録されており、2013年5月3日リリースの「悲しいことばっかり(オフィシャル・ブートレグ)」にも、フォーク時代のヴァージョンが収録されている。
前作「FEEL SO BAD」に収録されている「夢を見た」にしても、この「ぼくとあの娘」にしても同じ時期の古い歌なのだが、こうして聴いていると清志郎の曲作りの才能は遥か昔からあったことを再認識させられる。
本アルバムにはソウル風のアレンジで収録されており、矢野顕子に「名曲だ」と褒められている。

「DRIVE」は作詞・作曲:忌野清志郎・春日博文による楽曲。
ロカビリー風の楽曲で、これまたきわどい性的表現を含んでいる。
間奏のギター・ソロはロカビリーとハワイアンのミックスみたいな印象。「OK」のレコーディングでハワイに行った時の名残かもしれない。

「GONE GONE」は作詞・作曲:忌野清志郎・小林和生による楽曲。
ヘヴィーなスロー・ブルース。
ヴォーカルや演奏はヘヴィーで聴きごたえがあるのだが、「歌いたいことがなくなって」きたことが納得できてしまうような歌詞になっている。

「横浜ベイ」は作詞・作曲:忌野清志郎・小林和生による楽曲。
印象的なキーボードの分散和音に導かれるスローなバラード。途中のジャジーなピアノがいいアクセントになっている。Gee 2woがメインとなってアレンジされたアルバムであることがよく判る楽曲でもある。
最後に出てくる口笛はオーティス・レディングの「ザ・ドック…オブ・ザ・ベイ」のフレーズ。

「海辺のワインディング・ロード」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
3連によるスローなバラード。
清志郎が、ポルシェで北陸・自動車道をドライヴした時に作られた楽曲。
「歌いたいことがなくなって」きたといいながら、こういう名曲を作るあたり、やはりすごい才能だと言わざるを得ない。
矢野顕子が2000年11月1日リリースのアルバム「Home Girl Journey」でカヴァーしている。

「GLORY DAY」は作詞・作曲:仲井戸麗市による楽曲。
仲井戸の作品で、リード・ヴォーカルも彼によるヘヴィーな内容のレゲエ・ナンバー。
清志郎はこのアルバムを「ザ・ビートルズのホワイト・アルバムの時期みたいに、メンバーが一丸となっている感じが薄れてきている」作品だと評している。
「PARCO」のCMを機に清志郎と仲井戸の間にズレが生じてしまい、二人の関係はこの時点でギクシャクしていたと思われる。そんな心情を吐露しているような歌詞になっている。
清志郎はこの曲がアルバムの中で一番印象的だったと語っている。

「プン・プン・プン(オコリンボ リンボ)」は作詞・作曲:G忌麗による楽曲。
軽快なロック・ナンバー。
前の事務所「りぼん」の社長である奥田氏を揶揄しているような曲にも受け取れる。

「山のふもとで犬と暮らしている」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
サイケデリックなテイストのある曲。今だとアシッド・フォークと呼ばれるかも知れない。曲自体、かなり古くからあった曲で、「シングル・マン」に収められていても違和感がないような印象を受ける。
清志郎はこの曲についてこう語っている。
「あれは名曲だよね。古い曲でね。福生に住んでたことがありまして、その頃あこがれてた生活を書いた。いや、あんな生活をしてたかもしれないけど。当時、ピアノとかを習ってたし、楽典とかを勉強しててね。だから、転調転調でいってる曲なんですよ。今考えるとよく作ったなぁって自分でも思います。」
1991年10月25日リリースの矢野顕子のアルバム「LOVE LIFE」に収められている「湖のふもとでねこと暮らしている(DOWN BY THE LAKE,LIVING WITH MY CAT)」は、この「山のふもとで犬と暮らしている」へのアンサー・ソングとなっている。

「LONELY NIGHT(NEVER NEVER)」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
ストレートなロック・ナンバー。
アルバムでは「LONELY NIGHT(NEVER NEVER)」と表記されているが、1ヶ月後に「SKY PILOT スカイ・パイロット」がシングル・カットされ、そのカップリングに選曲された際には「LONELY NIGHT(ネバ ネバ)」と「(NEVER NEVER)」がカタカナ表記になっていた。

12月21日:シングル「SKY PILOTスカイパイロット」

Side A
1. SKY PILOT スカイパイロット

Side B
1. LONELY NIGHT(ネバ ネバ)

11月21日リリースのアルバム「HEART ACE(ハートのエース)」からのシングル・カット。
A・B面ともにアルバム収録ヴァージョンと同一。
ただし、B面の「LONELY NIGHT(ネバ ネバ)」はアルバムでは「LONELY NIGHT(NEVER NEVER)」と「(ネバ ネバ)」が英語表記であった。

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