しあわせのパン(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『しあわせのパン』とは、北海道を舞台にした2012年公開の日本のヒューマンドラマ映画である。監督・脚本は三島有紀子、主演は原田知世、大泉洋が務めた。東京から北海道に移り住みカフェを営む水縞夫妻と、そこに訪れる客たちとの交流を描く。それぞれに悩みや問題を抱えている客たちを、水縞夫妻の美味しい料理と優しさで癒していく。心に問題を抱えている妻のりえもまた、北海道の自然や夫、仲間たちによって癒されていくのだった。北海道の美しい自然や、個性豊かな仲間たち、店のインテリアや料理も楽しめる映画である。

『しあわせのパン』の概要

カフェ・マーニを営む水縞尚(左)と妻のりえ(右)

『しあわせのパン』とは、北海道を舞台にした2012年公開の日本のヒューマンドラマ映画である。
監督・脚本は三島有紀子、主演の水縞夫婦を、原田知世、大泉洋が務めた。
12スクリーンでの北海道の先行公開にて、映画観客動員ランキング20位を記録した。続く全国公開では、47スクリーンという小規模公開でありながら、初日の二日間で興行収入3550万620円、動員2万6,130人であった。映画観客動員ランキングで第10位を記録した。
興行収入は、3.8億円である。
また、主題歌は矢野顕子with忌野清志郎の『ひとつだけ』である。脚本も手掛けた監督の三島有紀子は、この曲からインスパイアされ本作の脚本を書いた。
キャッチコピーは「わけあうたびに、わかりあえる気がする」である。

水縞りえ(みずしまりえ/原田知世)と夫の水縞尚(みずしまなお/大泉洋)は、東京から北海道に移り住み、カフェ・マーニを経営していた。
ある夏の日に店に、齋藤香織(さいとうかおり/森カンナ)から電話がかかる。カフェは泊まり客も受け入れており、香織は女一人でマーニに泊まりたいと言うのであった。彼氏との沖縄旅行がダメになり、一人で東京から北海道を訪れた香織は終始不機嫌だった。香織はマーニで、常連客の山下時生(やましたときお/平岡祐太)と出会うが、意見が合わず険悪な雰囲気になる。しかし徐々に打ち解け合う二人だった。香織が東京に帰る日に、時生はバイクで東京まで送って行くと言い二人はバイクに乗るのであった。
ある秋の日、マーニの直ぐ傍にあるバス停に佇む少女未久(みく/八木優希)をみつけたりえはマーニに未久を招き入れる。未久は母親(霧島れいか)が家を出て行ってから、父親(光石研)と暮らしており食事を作ってもらえず、お金がテーブルの上に置いてあるだけである。
母親の作ったかぼちゃのポタージュを恋しく思う未久に、りえはかぼちゃのポタージュを作ってあげるが、母親を思い出し悲しくなった未久はマーニを飛び出すのだった。
りえは未久と未久の父親をマーニでのディナーに誘う。そこで本音を言い合った未久と父親は、抱きしめ合いパンを分け合う。そして店を出た未久と父親は、手を繋いで仲良く帰って行った。
冬の寒い夜に、マーニに老夫婦がやって来る。夫の阪本史生(さかもとふみお/中村嘉葎雄)は、認知症の妻アヤ(渡辺美佐子)と心中しようとしていた。
史生の様子がおかしい事に気が付いた尚は、坂本夫婦を暫く泊めることにした。水縞夫妻や、マーニの客や友人たちと楽しく過ごした史生は、また生きる気力を取り戻し帰っていく。
のどかな春の日、史生から妻のアヤが亡くなったという便りが届き、りえは深い悲しみに襲われる。しかし、史生からの手紙には、マーニには本当の幸せがあるとも綴られていた。
その後、マーニの二周年記念がやって来る。水縞夫妻は、お世話になった人たちにパンを送る事にした。パンには「しあわせのパン」と名付けるのであった。

見どころは、様々な問題や悩みを抱える客との交流である。訪れる人たちを優しく包み込む水縞夫妻と、美味しい料理に癒されるのである。そして水縞夫妻自身も問題を抱えつつ、互いを労わり合う姿が素晴らしい。
舞台となっている北海道の、四季を通しての美しさと温もりを感じるシンプルな店内のインテリアも見どころの一つである。

『しあわせのパン』のあらすじ・ストーリー

カフェ・マーニの夏

香織(右)を東京まで送っていく時生(左)

水縞りえ(みずしまりえ/原田知世)と夫の尚(なお/大泉洋)は、北海道の月浦でカフェ・マーニを営んでいる。マーニという名前は、りえが小学生の頃からずっと好きだった『月とマーニ』という絵本から名付けられた。マーニは自転車に月を乗せて、東の空から西の空へと走っている。月にいつも寄り添っている、心優しい少年である。りえはそんな『月とマーニ』に出てくる主人公の少年マーニをとても気に入っていた。
大人になったりえは東京で仕事をするうちに、毎日忙しく心身共に疲れ果てていた。その上、たった一人の家族だった父親を亡くし、心を閉ざしてしまった。そんな時に尚が北海道の月浦で暮らそうとりえを誘った。二人は夫婦になって北海道でカフェ・マーニを開いたのだった。
しかし、夫婦になってもりえは尚を「水縞くん」と呼び、尚はりえを「りえさん」と呼んでいた。仲の良い夫婦ではあるが、りえの心は尚に対して完全に開かれてる訳では無かった。尚もなんとなくその事が気がかりであったが、りえを優しく見守っていた。
ある夏の日、カフェ・マーニには常連客の安部(あべ/あがた森魚)やりえの事が大好きな郵便屋(ゆうびんや/本多力)がいた。
カフェ・マーニでは、りえの淹れる珈琲と尚の焼いたパン、季節の野菜の料理などが食べられる。その他にも、遠方からのお客様が泊まれるよう二階には、部屋が用意されている。
珈琲やパンを味わった安部と郵便屋がカフェを後にした後、りえと尚はガラス作家である陽子(ようこ/余貴美子)の元へ向かっていた。カフェに置く鏡をお願いする為である。
りえと尚が陽子の工房に行くと、「できてるよ、あそこに飾る鏡でしょ?作っておいたから」と陽子は二人に言うのだった。既にカフェに置く鏡が作られていたのである。何も言っていなかったのに、何故知っているのかと驚くりえと尚に、陽子は「耳だけはよーく聞こえるから」と言うのであった。
カフェに戻り、陽子の作った鏡を飾るとカフェにぴったりであった。カフェにはこの他にも、地獄耳の陽子の作品が沢山並んでいる。

ある日、一人でマーニに二泊したいと齋藤香織(さいとうかおり/森カンナ)から電話がかかってくる。暫くして、まるでリゾートホテルに宿泊しに来たかのような格好の香織が現れる。香織は彼氏と沖縄旅行に行くはずだったが、ふられてドタキャンされてしまったのだ。会社の同僚にも本当のことが言えず、沖縄に行く振りをして北海道にやって来たのだった。
香織は、沖縄のビーチに代わりに訪れた北海道の湖でボートに乗っていたが、ボートから落ちてしまう。
一方カフェ・マーニでは、常連客の一人である山下時生(やましたときお/平岡祐太)が、久々にパンを食べにマーニに訪れていた。そこにボートから落ちてずぶ濡れになった香織が戻って来た。手が離せない尚とりえは、時生に二階に上がって行った香織にタオルを持っていくようにお願いした。時生からタオルを受け取る香織は、不愛想な態度をとるのであった。香織は沖縄旅行がダメになった事で、ずっと不機嫌だったのである。
その夜時生もマーニに泊ることになった。りえや尚、香織や時生は一緒に夕食を食べる事になったが、ワインを飲み過ぎた香織は酔って時生に絡んでしまう。明日が誕生日なのに、彼氏との旅行がドタキャンになった愚痴をこぼす香織だった。「帰らないでここで暮らそうかな」と香織は言い出すが、「ここにだっていろいろありますよ」と時生は言う。香織は「毎日静かで平和なここと違って、東京で働くのは大変なの。毎日気を張り詰めて無理して笑わなければいけない」という。その言葉にムッとした時生は、席をたってしまう。
真夜中、眠っていた時生は外から聞こえる大声で目を覚ます。時生が窓の外を見ると、「バカヤロー」と叫びながら大泣きし、地べたを転げまわる香織がいた。小さな子供の様なその姿に、時生は思わず笑ってしまう。

翌朝、二日酔いの香織にりえは珈琲を淹れて「私もね、無理して笑う事あるんです」と言う。りえの言葉を耳にした尚は、寂しい気持ちになるのであった。りえはパンを香織に差し出しながら「素朴なパンもいいですよ」と言うのだった。
その後香織や時生、りえと尚は広川の奥さん(ひろかわのおくさん/池谷のぶえ)と広川のだんなさん(ひろかわのだんなさん/中村靖日)の野菜を買いに行く。気さくな広川夫妻とのお喋りや、見た事がない野菜を目にした香織は自然と笑顔になって行く。そんな香織の笑顔に時生は惹かれていくのだった。時生は今日が誕生日の香織に、ヒマワリをプレゼントした。香織は「暇ならつきあってよ」といい、時生を誘って二人で出かける。沖縄に行った事になっているからと日焼けする為に日光浴をしたり、時生のバイクで沖縄土産を探し回ったりした。しかし目ぼしいものが見つからず、バイクもガス欠してしまい仕方なく歩いていると、陽子が「どうしました?」と声をかけた。その後陽子が工房で、香織の為に沖縄土産を探してくれたが、結局見つかったのはコロポックルという北海道土産だった。コロポックルとは木彫りの人形で、収穫したものをこっそり皆に配る妖精だと言われている。取り敢えずコロポックルを持って帰る香織たちであった。
その夜、カフェ・マーニの庭では香織の誕生日パーティーが行われた。りえや尚の作った美味しそうな料理が並んでいた。時生やりえや尚に誕生日を祝ってもらい、香織は幸せな時間を過ごす。
その後時生と香織は、二人で散歩をする。「かっこ悪い奴って思ったでしょ?」と言う香織に、時生は「かっこ悪い自分を知っている人が大人だと思います」と言う。もがいて一生懸命幸せになろうとしている香織を励ます言葉をかける時生であった。しかし時生自身は毎日電車のポイントを切り替える仕事をしながら、「電車は方向転換が直ぐにできるのに、人生はそう簡単にいかない」と悩んでいた。北海道から出られない自分に悩む時生に、りえは東京に来ればいいと言うのであった。それでも時生は、東京に行っても仕事がないと理由をつけて北海道から出ようとはしないのだった。時生は、香織と月を眺めながら「今日は月が綺麗にみえる」と言うのであった。

翌朝、香織はコロポックルを旅行鞄に詰めていた。そして「素朴なパンもいいですね」と言いながら、マーニのパンを大量に購入するのだった。買ったパンは、会社のみんなへの月浦土産だと言う香織の表情は清々しいものであった。しかし時生は朝早くにマーニを出てしまい、香織は残念な気持ちだった。「今までで一番好きな誕生日でした」と香織はりえや尚に言い、マーニを後にした。
バスを待つ香織の元に、バイクに乗った時生がやってくる。時生は香織を東京まで送ると言い、香織は時生のバイクの後ろに乗った。香織と時生は東京まで、1000キロの道のりを二人で出発するのであった。
その夜、外で月を眺めるりえはどことなく寂しい雰囲気である。尚はりえに「ここで無理して笑う事ないよ、僕の欲しいものは一つだけですから」と言うのであった。

カフェ・マーニの秋

一緒に食事をする未久(左)と未久のパパ(右)

ある秋の日、りえと尚は拾った栗で、栗のパンを作っていた。その後、二人はシーツを仲良く干していると、目の前のバス停に一人佇んでいる少女未久(みく/八木優希)がいた。未久を見つけたりえと尚は、未久をマーニに招き入れホットミルクを出した。マーニには安部や郵便屋、陽子や広川夫妻とその子供たちなどが何処からともなく集まって、賑やかであった。
尚はパンの配達ついでに、未久を学校まで送って行くことにした。送って行く車内で未久は、窓の外を悲しそうに見つめていた。学校に着いたものの、未久の様子が気になった尚は未久の居る教室を覗いた。未久は友だちに囲まれて、とても楽しそうであった。
学校の帰り、未久はバスの中で憂鬱な顔をしていた。大きな家に着くと、未久は自分で鍵を開けて中にはいる。食器がキッチンの洗い場に、溜まったままで掃除が行き届いていない様子であった。そしてキッチンのテーブルの上には、夕食を買うためのお金だけがメモと一緒に置かれていた。暫くして、未久のパパ(みくのぱぱ/光石研)が仕事から帰って来る。未久が学校に遅れて行った事を未久のパパが聞くが、未久は「ママの作ったかぼちゃのポタージュが食べたい」と言うだけであった。

翌朝、未久のパパは未久をバス停まで送った。未久のパパは、バス停の目の前のカフェ・マーニに寄って行くことにした。尚となにげない会話をしながら、珈琲を飲む未久のパパだった。仕事を辞め、りえを連れ店を開いた尚に「思い切りましたね」という未久のパパに「好きな暮らしがしたいと思って。好きな場所で。好きな人と」と尚は言う。未久のパパは、寂しそうに「一人じゃなかったらできますよ」と言うのだった。未久のママ(みくのまま/霧島れいか)は、少し前に未久を置いて家を出て行たのだ。
暫くして、学校が終わった未久が、カフェ・マーニの前を通る。りえは未久に声をかけてマーニに入れる。りえはかぼちゃのポタージュを、未久に出す。未久はパパとママと三人で、ママの作ったかぼちゃのポタージュを飲んだ幸せな記憶が甦えるのだった。やがて毎日の様に激しい夫婦喧嘩を繰り返し、ついに未久を置いてママは出ていってしまった。かぼちゃのポタージュは未久にとって、幸せな思い出であり、悲しい思い出でもあった。未久は「絶対いらない」と言って、マーニを飛び出して行くのだった。
その夜、りえと尚は未久と未久のパパに、マーニでのディナーの招待状を書いた。

翌朝りえと尚は、未久と未久のパパ宛ての招待状を郵便屋に託した。
その夜、店にやって来た未久と未久のパパは向かい合ってマーニで食事をしている。そこへかぼちゃのポタージュを持ってくるりえだった。未久はまたママの記憶が戻ってきそうで、思わず外に飛び出した。しかし外に出た未久は、また席に戻って来る。未久と未久のパパはかぼちゃのスープを飲む。未久は「ママはもう戻らないんだよね?」とパパに聞いた。未久のパパは「ママは戻らない。ごめんな」と未久に謝罪の言葉を口にするのだった。暫くの沈黙の中、店内で食事をしていた安部がトランクからアコーディオンを取り出し、演奏を始めた。未久はパパの手を握り「パパと一緒に泣きたかった」と言うのだった。未久と未久のパパは、泣きながら抱きしめ合った。尚は一個のパンを、未久たちに差し出し「お二人でどうぞ」と言うのだった。パンを分け合い、幸せな時間を過ごした未久と未久のパパは、手を繋いで家へ帰っていった。一人じゃないんだと気が付いた未久と、未久のパパであった。

カフェ・マーニの冬

マーニで食事をする坂本史生(左)と妻のアヤ(右)

ある冬の夜、吹雪の中列車から、老夫婦が有珠駅で降りた。夫の坂本史生(さかもとふみお/中村嘉葎雄)は妻のアヤ(あや/渡辺美佐子)とカフェ・マーニに電話をかけて少し寄らせて欲しいと言う。程なくして坂本夫婦を尚が車で迎えに来る。車内で史生は月を見に来たことや、この月浦の有珠でアヤにプロポーズした事を尚に話すのだった。そして産まれた娘に有珠の有と、月浦の月で「有月(ゆづき)」と名をつけた話をした。しかし、尚は嫌な予感がしていた。アヤは体調が悪そうな上、プロポーズした場所にこんな吹雪の夜にわざわざ来たのも変である。しかも史生は子供の話をしているが、幸せそうではなく悲しそうだったからである。
カフェ・マーニに着いた坂本夫婦に夕食を作ろうとしたが、「アヤはパンが嫌いで食べられない」と史生は言う。りえはお米を炊こうとするが、米がなかった為尚が広川夫婦の所まで米をとりに行くことにした。尚は坂本夫婦の事が心配で、りえにちょっと変だから二人をちゃんと見ておくように言い出掛けた。
史生とアヤは手を握り、窓の外を見ている。吹雪はやがておさまり、月が見える。史生はアヤに、有月が待ってるから月を見に行こうと言う。りえが外に出ようとする坂本夫妻を止めるが、坂本夫妻は出て行こうとする。そんな時、ちょうど尚が戻って来て、月が見たいと言う史生に「月ならうちからでも見えますから」と史生とアヤを引き留めるのだった。
マーニに戻った史生はりえに、50年近く銭湯をアヤとやっていたが、阪神大震災で全てを無くした事を話す。おまけにその震災で娘も亡くしていたのだ。それでも、皆に温かい風呂に入ってほしくて、二人で頑張ったのだった。しかし年齢のせいで出来ない事が増え、アヤも余命が短い上に認知症も患っていたのだ。史生は、アヤに何もしてあげられないことを思い悩んでいた。もうじゅうぶんやったからと、史生はアヤと心中を考えていたのである。
食事の時、アヤはお米ではなく嫌いなはずのパンを口にして、史生を驚かせた。美味しそうにパンを食べるアヤは史生に「明日もこのパン食べたいなぁ」と言い、思わず史生は泣いてしまう。
食事も終わり、暫くして尚は一人でパンの生地をこねていると、史生が二階の部屋から降りて来た。尚は自分が、カンパニオという言葉が大好きな事を史生に話した。そして尚は「暫くここで過ごしませんか?もう少しいてくれたら、ここから満月が見える」と、史生に言うのだった。

翌朝、いつもの常連客がおみやげをもってマーニに集まった。みんなで食卓を囲み、美味しい料理やワインを飲み、ダンスを楽しんだ。
ある夜、史生とアヤは外で満月を見ていた。アヤは「お父さん、ありがとう」と、もうすぐ訪れるであろう別れを悟った様に言うのであった。
翌朝、史生とアヤは帰る事にした。史生は「尚の好きな言葉である、カンパニオとは家族って意味ではないか?」と言う。尚は「仲間って意味なんです。でもそれが、家族の原点だって僕は思っているんです」と言うのであった。
2人を見送ったりえは、尚に月浦に連れて来てくれた事にお礼を言うのだった。

カフェ・マーニの春

尚(右)の髪を切るりえ(左)

ある春の日、一通の手紙がカフェ・マーニに届く。手紙の送り主は坂本史生であった。手紙はアヤの訃報を伝えるものであった。マーニに行った時、アヤは既に短い命であったが一緒に死のうとしていた事は傲慢だったと綴られていた。そして、史生は今は銭湯の番台に座って、尚のパンやりえのスープを思い出しているのだった。仲間とともに、自分が信じる事を心を込めてやっている事にこそ幸せがある気がすると手紙は締めくくられていた。アヤの訃報に、悲しみに打ちひしがれるりえと尚であった。

ある日、いつもの様にりえと尚は食事を共にし、尚はパンを半分にしてりえに渡した。りえは尚に「見つけたよ、私のマーニ」と、心からの笑顔を尚に見せるのだった。尚はずっと欲しかったりえの心からの笑顔に、思わず泣いてしまうのだった。
そして迎えたカフェ・マーニの二周年記念日に、お世話になったお客さんたちにパンのプレゼントを用意していたりえと尚であった。みんなに贈るパンの名前は「しあわせのパン」であった。

その後、りえは「来年のお客さんが決まったよ」嬉しそうに尚の元へ掛けてくる。尚は「随分先のお客さんだね、どこからくるの?」とりえに尋ねると、りえはお腹を指して「ここ!!」と言うのであった。尚はりえが妊娠したことがわかり、大喜びで駆け回るのであった。

『しあわせのパン』の登場人物・キャラクター

カフェ・マーニを営む水縞夫妻(みずしまふさい)

水縞りえ(みずしまりえ/演:原田知世)

大好きな絵本を読むりえ

夫の水縞尚と、北海道でカフェ・マーニを営んでいる。マーニの名前は、りえが小学校の頃から好きだった絵本『月とマーニ』から名付けられている。
東京で仕事していたが、忙しさから心身共に疲れて心を閉ざしてしまっている。繊細で優しく、穏やかな性格である。
尚と北海道に来てからも心から笑えずにいたが、様々な人との出会いと尚との生活によって心から笑えるようになる。

水縞尚(みずしまなお/演:大泉洋)

パンを焼いた尚

妻のりえと北海道でカフェ・マーニを営んでいる。店のパンは尚が焼いている。
りえを心から愛しているが、りえが心から笑っていない事やどこか心を閉ざしている所が気になっている。
いつも温かい眼差しでりえを支えている。優しく穏やかで、頼りになる男である。

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