RCサクセション(RC Succession)の徹底解説まとめ

RCサクセション(RC Succession)とは、1970年にデビューした日本のロック・バンド。ヴォーカリストの忌野清志郎とギタリストの仲井戸麗市を中心に、数々の名曲・名盤を残してきた。現在でも多くのミュージシャンが影響を受けたバンドとして名前を挙げている。1991年に活動休止状態に入り事実上の解散。2009年5月2日、忌野清志郎の死去により、RCサクセション復活の夢は永遠に絶たれた。

10月25日:アルバム「BEAT POPS」

Side A
1. つ・き・あ・い・た・い
2. トラブル
3. こんなんなっちゃった
4. 恐るべきジェネレーションの違い(Oh,Ya!)
5. エリーゼのために

Side B
1. SUMMER TOUR
2. あの夏のGo Go
3. ナイ-ナイ
4. 君を呼んだのに
5. ハイウェイのお月様

*****

CD BEAT POPS
*アナログ盤と同一

通算6枚目のスタジオ録音アルバムであり、ライヴ(「RHAPSODY)」と編集盤(「EPLP」)を含めると8枚目のアルバム。
キティ・レコードからロンドン・レコードに移籍後初のアルバムであり、また自身のレーベル「BARCA(ばーか)」からの初のアルバムでもある。

「BEAT POPS」というタイトルから連想されるようなポップな曲もあるが、全体的にはダウナーな印象。実験的な試みも随所にある。RC、というか清志郎自体は元々初期から実験的な試みをやってきているから、驚くことはないのだが。
キーボードのGee 2woがどこまでアレンジに加わっているか判らないが、彼とRCの関係は、アメリカのロック・バンドでやはりR&Bをベースにしていながら、キーボードのセス・ジャストマンのアレンジにより実験的な試みを多くやってきた「J. Geils Band」の存在を思い起こさせる。

この時期、RCの人気も絶頂にあったため、プロモーション活動、大騒ぎするファン、マスコミ、文化人たちを巻き込んだ大騒ぎに清志郎は嫌気がさしてきて、対人恐怖症になってしまったという。サングラスをマジックで塗りつぶす、といった奇行もあったという。事務所への不満、不安、不信感も募ってきており、肉体的にも精神的にもかなり疲弊していた。そんな状況が作品に反映されているのかも知れない。

「つ・き・あ・い・た・い」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
オープニングはいつものRCらしい勢いのあるロック・ナンバー。2つのコードしか使用されていないシンプルな楽曲でもある。
歌詞カードでは「誰かが影であやつろうとする」になっているパートは、実際には「誰かが後ろであやつろうとする」と歌われている。また2回目の「俺は手をぬかない」では「俺は」の箇所で咳払いをしているように不明瞭にして歌っている。
思想家の吉本隆明が、「ロック読本」という本の「ロック・グループの世界」というエッセイの中で、この曲とスターリン「Money」をとりあげ、「紋切型を装いながらじつは、緻密な高度な世界を実現している」と評している。

「トラブル」は作詞・作曲:忌野清志郎・G2による楽曲。
前の曲の開放的な勢いを削ぐような不穏なギターで始まる。清志郎を取り巻く、当時の状況を歌っているのだろう。サビでは対位法的なコーラスを聴くことができる。

「こんなんなっちゃった」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
再び勢いのあるロック・ナンバーが飛び出してくる。宮崎美子が出演していた「ミノルタX7」のCMソングに起用されている。

「恐るべきジェネレーションの違い(Oh,Ya!)」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
古い歌で1976年4月にテレビ神奈川で放送された「ヤング・インパルス」でも披露されており、井上陽水の前座時代にも披露されていた。また1981年12月24日の武道館でのクリスマス・ライヴでも披露されている。
レゲエ風のアレンジが施されており、「Oh,Ya!」と「大家」を掛けている。1970年、清志郎は最初の家出をし、友人と部屋を借りることになった。そして引っ越し初日に「ほんの小っちゃい音で」アンプを通して弾いたエレキ・ギターの音に驚いた大家に追い出されている。

「エリーゼのために」は作詞・作曲:忌野清志郎・G2による楽曲。
ミドル・テンポのいかしたギター・リフにホーン・セクションが重なりながら進行していく楽曲。この曲だけに限らず、本アルバムに収録されている他の多くの作品にも言えることだが、いわゆる「エッチな」楽曲である。仲井戸のギター・ソロやGee 2woのバックのキーボードに、ちらっとベートーベンの「エリーゼのために」のフレーズが出てくる。
楽曲の後半に「あの娘の好きな~」のフレーズで様々なアーティストの名前が連呼される。簡単に紹介しておくと。
・ヤード・バーズ:「ベック・ペイジ・クラプトン」という三大ギタリストを排出したイギリスのロック・バンド。
・グレース・ジョーンズ:ジャマイカ出身の特徴的なヘア・スタイルが有名なモデル・歌手。
・デボラ・ハリー:アメリカのロック・バンド「ブロンディ」のヴォーカリスト。
・プリテンダーズ:クリッシー・ハインドが率いるイギリスのロック・バンド。
・チャーリー・ワッツ:ザ・ローリング・ストーンズのドラマー。
・キース・ムーン:ザ・フーのドラマー。
・ゲイリー・グリター:イギリスのグラム・ロック・アーティスト。
・ジャニス・ジョップリン:アメリカのロック・シンガー。
・ナカイド・レイチ:RCサクセションのギタリスト。「あの娘の嫌いな~」と紹介されている。歌詞カードでは「レイイチ」と表記されている。
・マーク・ボラン:イギリスのグラム・ロック・バンド「T・レックス」のリーダー。
・ローランド・カーク:アメリカのジャズ・ミュージシャン。
・エディ・コクラン:アメリカのロック・シンガー。RCがのちにカヴァーする「サマータイム・ブルース」のオリジナルはこの人。
・エルモア・ジェイムス:アメリカのブルース・ギタリスト。
・ビッグ"O":オーティス・レディング。

「SUMMER TOUR」は作詞・作曲:忌野清志郎・仲井戸麗市による楽曲。
シングル・ヴァージョンではなく、1982年8月7日、横浜球場で行われた「THE DAY OF R&B」でのライヴ・ヴァージョンで収録されている。シングル・ヴァージョンとは歌詞が若干異なっている。

「あの夏の Go Go」は作詞・作曲:忌野清志郎、仲井戸麗市、G2、小林和生、新井田耕造による楽曲。なぜか「作詞・作曲:RCサクセション」とはクレジットされていない。
明るい雰囲気のレゲエ・ナンバー。「~り」で韻を踏む歌詞には、三宅伸治のアイディアも含まれている。
この曲に、前アルバムの「あの娘のレター」の歌詞をのせた未発表曲が、「サントリー・ウォッカ SALTY DOG」のCMに使用された。

「ナイ-ナイ」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
ドラッグを服用しているような描写の後ろで、ラジオからこの曲が流れ始める、という凝ったイントロになっている。スライド・ギターが鳴り響くシャッフルするブルース・ナンバー。まさに清志郎を取り巻く、当時の状況を諦念とともに吐き出しているような歌詞になっており、タイトルそのものに「ナイ」で韻を踏んでいる。
バックでGee 2woが弾くおどけたようなフレーズが、このカオス的な状況に拍車をかけている。耳馴染みのあるフレーズが唐突に飛び込んでくるやり方などは、パーラメントのバーニー・ウォーレルを思い出す。悲痛な叫び声が長々と続くと、テープの回転数が遅くなってきて、プツンと切れて終了する。

「君を呼んだのに」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
前の曲以上にカオス。イントロのギターの刻む音はザ・ビートルズの「ゲッティング・ベター」を思い起こさせる。またハイ・ポジションでスライドするベースもザ・ビートルズ的。
ストレートで勢いのよいロック・ナンバーを演奏するRCしかしらないファンは、戸惑うような楽曲ではあるが、「シングル・マン」というある意味アヴァンギャルドなアルバムを知っているファンからすれば、「これもRCだよ」と納得できるだろう。

「ハイウェイのお月様」は作詞・作曲:忌野清志郎・仲井戸麗市による楽曲。
もしこのアルバムが「君を呼んだのに」で終わっていたら、全然違った印象を与えるアルバムになっていただろう。事実、「君を呼んだのに」で終わらせることもできたはずである。それをせずに、この「ハイウェイのお月様」というとびっきりのナンバーを最後にもってきたところに、きっと何かの意図があったのだろう。
ユニバーサル・ミュージックのサイトではRC版「スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ」と紹介されているが、まさに言いえて妙。とろけるようなソウルフルなナンバーに仕上がっている。

12月10日:アルバム「The Day of R&B」

Side A
1. HOLD ON.I’M COMIN’(SAM MOORE & HIS SAM & DAVE REVER)
2.THANK YOU(SAM MOORE & HIS SAM & DAVE REVER)
3.SOUL MAN(SAM MOORE & HIS SAM & DAVE REVER)

Side B
1. 君が僕を知っている(RCサクセション)
2. スローバラード(RCサクセション)
3. Sweet Soul Music(RCサクセション)
4. BIO(CHUCK BERRY)
5. JOHNNY B.GOODE(CHUCK BERRY)

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CD The Day of R&B
*アナログ盤と同一

1982年8月7日、横浜球場で行われたライヴ・イヴェント「THE DAY OF R6B」の実況録音盤。
偉大なR&Bアーティストを紹介する、という主旨で開催されたイヴェント.当初はザ・ブルース・ブラザーズの参加が予定されていたが実現せず、代わりとしてチャック・ベリーが呼ばれることになった。また、サム&デイヴも予定されていたが、前年の1981年に解散してしまい、サム・ムーアのみの参加となった。
まずはサム・ムーアが登場、続いてRC、トリにチャック・ベリーだった。
A面はすべてサム・ムーア、B面の後半はチャック・ベリーという変則的なアルバムになっている。
当日の模様はDJ:青木誠によるFM東京「ゴールデン・ライヴ・ステージ」でも放送されたが、ラジオではサム・ムーアではなく「サム&デイヴ」として紹介されている。
この日のRCのセット・リストは以下の通り。

01. 雨あがりの夜空に
02. 上を向いて歩こう
03. 君が僕を知ってる
04. モーニングコールをよろしく
05. いい事ばかりはありゃしない
06. つきあいたい
07. Oh,Ya!
08. スローバラード
09. SUMMER TOUR
10. Sweet Soul Music-The Dock Of The Bay
11. トランジスタ・ラジオ

このうち、「SUMMER TOUR」はアルバム「BEAT POPS」に収録され、「君が僕を知ってる」、「スローバラード」、「Sweet Soul Music-The Dock Of The Bay」が本アルバムに収録されている。

12月15日:シングル「つ・き・あ・い・た・い」

Side A
1. つ・き・あ・い・た・い

Side B
1. 窓の外は雪

通算14枚目のシングル。

「つ・き・あ・い・た・い」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
アルバム「BEAT POPS」からのシングル・カット。

「窓の外は雪」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
しっとりとしたバラードで、「シングル・マン」のレコーディング時にはすでに存在していた楽曲。
1993年10月10日から1994年3月20日までTBSテレビ系で放送された「デザートはあなた」というドラマに清志郎が出演していたが、第17話の中でこの曲をギターの弾き語りで披露している。
「COVERS」に収録されている「イマジン」の後半に出てくる「僕らは薄着で笑っちゃう」のコーラスは、この曲の後半に出てくるコーラスからの流用である。
オリジナル・アルバム未収録であり、メンバーに無断でリリースされた「EPLP-2」に収録されたが、現在は入手困難な状態になっている。

1983年

6月1日:シングル「Oh! Baby」

Side A
1. Oh! Baby

Side B
1. ダンスパーティー

通算15枚目、アルバム「OK」からの先行シングル。

「Oh! Baby」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
ハワイで作られた、清志郎夫人となる石井さんのことを歌った切ないラヴ・ソング。
前のアルバム「BEAT POPS」収録の「君を呼んだのに」のイントロでのザ・ビートルズの「ゲッティング・ベター」みたいなギターの刻む音がこの曲でも使われているが、ベースになる楽曲が違うだけで、響き方が全く異なるのが面白い。ベースのフレーズやミュート気味のリード・ギターの音色、ヴォーカルの音の振り分け方(左チャンネルに寄せている)などは、やはりザ・ビートルズのアルバム「ラバーソウル」に収録されている「ミッシェル」を意識したような印象を受ける(「ミッシェル」のヴォーカルは右チャンネル寄り)。そういえばアルバム「OK」も、ザ・ビートルズの「ラバーソウル」もオープニングの曲は「DRIVE MY CAR」である。
石井さんが5月生まれなので「5月にはきっと君に贈るだろう」というフレーズだという。
このシングル発売当時、とある女性タレントがラジオから流れてきたこの曲を聴いて、思わず号泣したというエピソードがある。

「ダンスパーティー」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
ご機嫌なR&Bナンバー。そしてとてもエッチな歌である。
メンバーに無断でリリースされた「EPLP-2」に収録されたが、現在は入手困難な状態になっている。

7月5日:アルバム「OK」

Side A
1. Drive My Car
2. Oh! Baby
3. お墓
4. 誰かがBedで眠ってる
5. ねむれないTonight

Side B
1. うんざり
2. ブルドッグ
3. 指輪をはめたい
4. ドカドカうるさいR & Rバンド

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CD OK
*アナログ盤と同一

初の海外レコーディング(ハワイ)アルバム。
この年の3月7日から4月28日にかけて、RCは初めての海外(ハワイ)に出向いて、レコーディングしている。
飛行機嫌いで、海外嫌いだった仲井戸も初めての海外へ行き、「けっこういいとこだったよ。外には出なかったけど」と語っている。

バンド活動は順調ではあったが、この時期の清志郎は最悪の状態にあった。

1)清志郎の体調は最悪の状態になっていた。思考が働かず、虚脱感が取れない状態が続いており、病院で検査を受けたところ重度の肝臓疾患であることが判明。医師からは「一生治らない」と告げられてしまう。これは長年の不摂生な生活や、ライヴ、レコーディング、テレビ出演といった超過密スケジュールが祟ったもの。
2)数年前から清志郎の育ての母「久子さん」が入院していた。意識のない状態が続いていたにも関わらず、ライヴ活動を辞める訳にはいかず、精神的にかなりきつい状態であった。
3)のちに清志郎夫人となる「石井さん」の父親が、ハワイでのレコーディング中に死去している。
4)こういう最悪な状況にも関わらず、事務所「りぼん」からレコーディングを強行するように急かされている。そもそも曲が全く用意できていない状態で「ハワイ・レコーディング」は「強行」されている。これは事務所側の「とにかく曲を作れ。どんどん作れ。そしてツアーをしろ。稼げるうちにどんどんと稼いでおけ」という姿勢の表れであり、これが清志郎のプレッシャーになると同時に、事務所への不信感へとなり、最終的に事務所からの独立へとつながることになる。曲作りもかなり苦心している。それにも関わらず事務所のスタッフは清志郎が一人で曲作りで悩んでいる間も、リゾート気分ではしゃいでいたという。

このような最悪の状況で作成されたアルバムなので、批判的で辛辣な楽曲と、「石井さん」や家族に対するラヴ・ソングが混在するような内容になっている。
レコーディング・スタジオの環境が良かったのか、清志郎のヴォーカルの抜けや各楽器の音が今までよりもクリアーになっている。
ハワイという環境の影響でトロピカルな楽曲も収録されていたり、各楽曲も粒ぞろいで録音状態も良好なので、普通に聴いている分には清志郎が陥っていた最悪な状況といったことには気が付かない。

「Drive My Car」は 作詞・作曲:G2・忌野清志郎による楽曲。
ミドル・テンポのロック・ナンバー。状況が最悪だったなんてことは微塵も感じさせない、余裕綽々の歌と演奏になっている。
タイトルからも判るように、ザ・ビートルズへのオマージュ的作品。タイトルの「DRIVE MY CAR」はもちろんのこと、コーラスの「Beep, Beep, Beep, Beep, Yeah」や、間奏及びエンディングのギター・ソロの音色やフレーズにザ・ビートルズの「DRIVE MY CAR」からの引用が見られる。
清志郎は本アルバムに対して「ビートルズで言うと、『ラバー・ソウル』や『フォー・セール』あたり、『リボルバー』まで行かないようにした」と語っている。

「Oh!Baby」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
先行シングルとは若干ミックスが異なっており、エンディングがシングル・ヴァージョンよりも長くなっている。

「お墓」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
デビュー当時にはすでにレパートリーになっていた楽曲で、ライヴ喫茶「青い森」でも歌われていた。
高校時代にお付き合いしていた豆腐屋の娘との別れを歌ったもの(「春が来たから」も「三番目に大事なもの」も同じ娘のことを歌っている)。「シングル・マン」でもレコーディングされたが、その時は採用されなかった。また、「RHAPSODY」がレコーディングされた1980年4月5日の久保講堂でもライヴでも披露されている。
仲井戸の好きな曲でもあり、1985年に行われた彼のソロ・ライヴでも彼のヴォーカルで披露されている。
ここではトロピカルなレゲエにアレンジされており、スティール・ドラム風の間奏までついている。
どことなくジミー・クリフの「ザ・ハーダー・ゼイ・カム」っぽくもある。
なお、カセットでリリースされた「OK」には、後半がダブ・ミックスになる別ヴァージョンが収録されていた。

「誰かかBedで眠ってる」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
これものちの清志郎夫人「石井さん」のことを歌った、3コードによるブルース・タイプの曲。「あきれて物も言えない」をライトにしたような楽曲でもあり、前作「BEAT POPS」に収録されていてもおかしくないようなタイプの曲でもある。
「誰かの親父が怒鳴り込む 娘と別れろ」というフレーズが出てくるが、これは実話を元にしている。1978年頃、「石井さん」の父親が清志郎のところに怒鳴り込んできて「お前などにうちの娘はやれん。とっとと別れろ」と怒られている。その際に「いくら給料をもらっているんだ」と問われた清志郎は、本当は7万円だったところを「10万円だ!」と見栄を張ったという。

「ねむれないTonight」は作詞・作曲:RCサクセションによる楽曲。
曲の構成はブルースなんだけれど、どことなくトロピカルな雰囲気を感じさせるのは、やはりハワイだからだろうか。

「うんざり」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
無理やりハワイに連れてこられて、やけになって完成したような印象の楽曲。トロピカルでライトなサウンドとは裏腹に、最悪な状況での恨みつらみを「これでもか!」とばかりに吐露している歌詞になっている。一人部屋に籠って曲作りに悩んでいる時に、トロピカル気分で遊びまわる事務所の人間を見ていたら、こういう「うんざり」な気分にもなるってもんだろう。

「ブルドッグ」は作詞・作曲:仲井戸麗市・忌野清志郎による楽曲。
仲井戸のリード・ヴォーカルによる楽曲。クラヴィネットを使用したり、乾いた音色のギターなど、ファンキーなロック・ナンバーに仕上がっている。「怒り」がストレートに表現された曲であり、キーボードのGee 2woからは「チャボはいつも怒っている(笑)」と言われていた。「権利は無視され 義務は押し付けられ」といったフレーズなどを聴くと、仲井戸の中にも事務所への不満、不信感が溜まっていたのだろうな、と想像できる。

「指輪をはめたい」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
「お墓」と同じように古くからのレパートリーだった楽曲。1973年の8月頃には、この曲を元にして井上陽水との共作「帰れない二人」が出来ている。
ファルセットをメインに歌われるスローな名バラード。ライヴで披露される際には、後半テンポ・アップされ大いに盛り上がるアレンジが施されており、パフォーマンスのラストを飾る役割を担うことが多い。のちにリリースされるライヴ・アルバム「the KING of LIVE」や「RHAPSODY NAKED」でその模様を聴くことが出来る。
「指輪を『はめたい』」の「はめたい」はもちろんダブル・ミーニングによるエッチな意味である。この歌詞のために発売禁止になるかもしれない、といったスタッフによる過剰反応があったため、今までレコーディングされてこなかった、という説がある。

「ドカドカうるさいR&Rバンド」は作詞・作曲:G忌麗による楽曲。
ライヴの定番曲となるホンキー・トンクなテイストをもつR&Bナンバー。
「子供だましのモンキービジネス よってたかって分け前をあさる まともな奴はひとりもいねえぜ」といった、事務所を始めとする業界に対する痛烈な批判が含まれた歌詞になっており、最後のヴァースでは「まともな奴はおれしかいねえぜ」と高々に宣言している。
アルバム「BLUE」に収録された「ロックン・ロール・ショー」はヘヴィーな曲調だったがもっとハッピーな内容だった。翻ってこの「ドカドカうるさいR&Rバンド」は軽快な曲調だが、「ロックン・ロール・ショー」にあった楽観的な姿勢は見えない。まさにどん詰まりでギリギリの状態。結局は事務所独立へと向かうことになった証の1曲のようにも受け取れる。

11月7日:シングル「ベイビー!逃げるんだ。」

Side A
1. ベイビー!逃げるんだ。

Side B
1. おはようダーリン

ロンドン・レコードからの最後のシングル。

「ベイビー!逃げるんだ。」は作詞・作曲:忌野清志郎・仲井戸麗市、編曲:RCサクセションによる楽曲。
三菱自動車「MIRAGE」のCMに起用された。というより、先にCMの話があり、それに合わせて作られた楽曲と言われている。このCMには清志郎自身も出演しているが、ノー・ギャラだったとも言われており、まだまだ事務所とのいざこざが続いていることが想像できる。
「レス・ポールが重たすぎたんだろう」というフレーズにドキっとした元ロック親父がいっぱいいたはずである。
オリジナル・アルバム未収録であり、メンバーに無断でリリースされた「EPLP-2」に収録されたが、廃盤となったため、しばらくは入手困難な状態だった。2005年6月1日リリースの編集盤「GREATFUL DAYS 1981-90」に無事収録された。

「おはようダーリン」は作詞・作曲:忌野清志郎、編曲:RCサクセションによる楽曲。
オーソドックスなR&Bナンバー。清志郎は声色を変えて歌っている。
古い楽曲で1976年~1978年頃のライヴではレパートリーにもなっていた。
「セントラルに映画観に行く」の「セントラル」は立川にあった「立川セントラル」のこと。現在は立川セントラル、立川中央、立川松竹の3館が一つとなった、計6館を有するシネコンになっている。
メンバーに無断でリリースされた「EPLP-2」に収録されたが、現在は入手困難な状態になっている。

12月5日:アルバム「The KING of LIVE」

Side A
1. ドカドカうるさいR & Rバンド
2. 雨あがりの夜空に
3. Drive My Car
4. お墓

Side B
1. ねむれないTonight
2. ダンスパーティー
3. NEW SONG

Side C
1. たとえばこんなラヴ・ソング
2. Oh! Baby
3. 誰かがBedで眠っている
4. ブルドッグ

Side D
1. Sweet Soul Music〜I’ve Been Loving You Too Long
2. 指輪をはめたい

*****

CD The KING of LIVE
*アナログ盤と同一

1983年6月25日、26日、渋谷公会堂で行われたライヴを収録した実況録音盤。
清志郎の肝臓疾患のために、冬のツアーをキャンセルした代わりとしてリリースされている。元々は清志郎が個人的に所有していたテープを事務所が買い取る形でリリースされている。
プライベートに近い音源なので、清志郎のヴォーカルも時々かすれたり、音もクリアーではないが、かえって生々しいライヴ盤になっている。
2016年3月28日には、「SUMMER TOUR’83 渋谷公会堂 ~KING OF LIVE COMPLETE~」がリリースされている。

「ドカドカうるさいR&Rバンド」は作詞・作曲:G忌麗による楽曲。
「これでもか!」ってくらいに繰り返されるギター・リフのイントロに、いやでも高揚感を煽られる。

「雨あがりの夜空に」は作詞・作曲:忌野清志郎・仲井戸麗市による楽曲。
シングル盤とは異なる歌詞で歌われている。

「Drive My Car」は作詞・作曲:G2・忌野清志郎による楽曲。

「お墓」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
この「お墓」と次の「ねむれないTonight」は実際のライヴではメドレー形式で披露されたが、アナログではこの「お墓」がA面の最後、「ねむれないTonight」がB面の最初、とサイドが別れていたため、「お墓」はフェイド・アウトする形で終わっていた。CD化にあたり、「お墓」と「ねむれないTonight」が実際のライヴのように繋がって演奏されているように編集されているが、正直違和感は残る。

「ねむれないTonight」は作詞・作曲:RCサクセションによる楽曲。
前の曲の「お墓」から途切れないように編集されているが、違和感は残る。

「ダンスパーティー」」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
バンドのメンバー紹介を兼ねたナンバー。

「NEW SONG」は作詞・作曲:Gee2wo&GL,KIYOSHIROによる楽曲。
Gee 2woのミニ・ソロ・アルバム「BAmp」からのナンバー。ちょっとおどけた感じのGee 2woのヴォーカルが面白い。少し長めの英語のフレーズを歌った後に「すごいだろー 英語だぜ!」という台詞が出てきて、最初に聴いた時は思わず笑ってしまった。

「たとえばこんなラヴ・ソング」は作詞・作曲:忌野清志郎・小林和生による楽曲。
ライヴ用にカントリー風にアレンジされた秀逸なナンバー。スタジオ・ヴァージョンはR&B風であったのだが、録音が軽いといわれている「PLEASE」に収録されているため、こちらのライヴ・ヴァージョンの方が何倍も優れているように聴こえる。ライヴによって新しい命が吹き込まれた好例。

「Oh! Baby」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。

「誰かがBedでねむってる」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。

「ブルドッグ」は作詞・作曲:仲井戸麗市・忌野清志郎による楽曲。
ライブ映えするロック・ナンバーであり、間奏のギターソロ、サックスソロは圧巻。

「Sweet Soul Music ~ I've Been Loving You Too Long」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。「I've Been Loving You Too Long」は作詞・作曲:Otis Redding、Jerry Butler。
後半の「I've Been Loving You Too Long」はオーティス・レディングのナンバー。清志郎の「愛しあってるかい?」のフレーズの元になったのは、1967年モンタレー・ポップ・フェスティヴァルでのオーティスの「We all love each other, don't we? Am I right?... Let me hear you say YEAH!」の掛け声だが、この掛け声のすぐ後にオーティスが歌ったのがこの曲であった。

「指輪をはめたい」は作詞・作曲:忌野清志郎による楽曲。
後半はアップ・テンポになり、ライヴならではの大盛り上がりになる。

1984年

7月21日:シングル「不思議」

yamada3desu
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