猫の恩返し(The Cat Returns)のネタバレ解説まとめ

『猫の恩返し』とは、2002年に上映されたスタジオジブリのアニメーション映画作品。監督は森田宏幸。本作は、同じくジブリ作品である「耳をすませば」の主人公「月島雫」が書いた物語という、ジブリでは珍しいスピンオフ作品。主人公「住吉ハル」は車に轢かれそうになった猫を助けた事が原因で、猫の国へ連れて行かれる事になってしまう。ハルが助けを求めたのは猫の事務所の主「バロン」であった。

『猫の恩返し』概要

『猫の恩返し』とは、スタジオジブリのアニメーション映画作品。
2002年に「ギブリーズ episode2」と同時上映された。
監督は、アニメ「ぼくらの」などを手がけた森田宏幸。
キャッチコピーは「猫になっても、いいんじゃないッ?」。

本作は、スタジオジブリ製作で宮崎駿が監督を務めるアニメーション映画「耳をすませば」のスピンオフ作品。
「耳をすませば」の主人公「月島雫」が書いた小説作品とされている。
「耳をすませば」は「柊あおい」の漫画が原作で、「猫の恩返し」は同作者の「バロン 猫の男爵」を原作とし、宮崎駿のリクエストで書き下ろされた。

興行収入は64.6億円で、2002年の邦画1位を獲得。
第20回ゴールデングロス賞最優秀金賞、第6回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞。
2017年の時点で宮崎駿が監督を勤める作品以外でのジブリ作品では興行成績第2位、総合でも第8位と、ジブリの中でも人気が高い作品の一つである。

『猫の恩返し』あらすじ・ストーリー

プレゼントの箱を大事そうに持っていた不思議な猫を助けるハル。

本作の主人公「住吉ハル」はごく普通の女子高校生である。
ある日ハルは、ラクロス部に所属する友人「ひろみ」と帰宅している最中、車に惹かれそうになっている猫を目撃する。
ハルは反射的に飛び出し、ひろみの持っていたラクロスのラケットを使って猫を助けた。
ラケットは衝撃で折れてしまい、ハルも転んでしまうが、猫は無事であった。
するとその猫は後ろ足二本で人間のように立ち上がり、ハルにお礼を言った。
その猫の名前は「ルーン」といい、猫の国の王子様であった。
ルーンは梱包された箱を大事に持っており、このプレゼントと思われる物を買いに人間の住む街に来ていて、お店から出てきたところを轢かれそうになってしまったのであった。
ひろみは猫が喋った所は見ておらず、見たのはハルだけであった。

二足歩行でハルの家を訪れる猫達。

その日の夜、参勤交代のように大量の猫を従えて、ハルの家に猫の国の王様「猫王」が尋ねてきた。
猫王は息子ルーンをハルが助けてくれた事に感謝し、ハルに何かをくれるようで、ハルは巻物に猫語で描かれた目録を貰った。

次の日、ハルの家の庭には大量のねこじゃらしが生え、ハルからは何故かマタタビの匂いがして猫に追いかけられ、下駄箱には大量の生きたネズミが入っていた。
さらにハルがルーンを助けた時に折ってしまったラクロスのラケットの持ち主であるひろみの家の前には、大量のラケットが置かれていた。
そして昼休み、ハルはハルが片想いしているクラスメイトの男子「町田」が、彼女と思われる女子生徒と仲良さ気に話しているところを目撃してしまう。
ショックを受け自暴自棄になっているところに、猫の国の使い「ナトル」が現れる。
朝のねこじゃらしやネズミなどの不思議な出来事こそが猫王のプレゼントで、昨夜貰った目録にもそれらしき記号が書かれていたのであった。
しかしどれもハルにはいらないものばかりであった。

ハルの元に現れる猫の国の使いナトル。

ナトルはハルに猫の国に来たらどうかと提案し、ルーン王子の妃になる気はないかと尋ねる。
自暴自棄になっていたハルはそれも良いかもと答えてしまう。
ハルの生返事を聞くや否や、ナトルはハルを改めて迎えに来ると一方的に約束し、居なくなってしまった。
勿論、ハルは本気で猫の国に住みたいと思ったわけではないのであった。
本気で迎えに来るつもりなのか、このまま猫のお嫁さんになってしまうのと混乱するハル。
すると、どこからかともなく女の子の声で「猫の事務所を探して。十字街に居る白い大きな猫が教えてくれるから。」という声が聞こえてくる。
ハルは声の言う通りの場所へ行くと、白い巨体なデブ猫「ムタ」に出会う。
猫の事務所の話をムタに語りかけてみると、ムタは「付いてきな」と答えた。

猫の事務所に辿り着いたハル。バロンのスペシャルブレンドの紅茶を淹れて貰った。

ハルがムタに付いて行くと、不思議な街に辿り着き、そこには「猫の事務所」があった。
猫の事務所にはカラスの「トト」、そして猫の事務所の主である「バロン」が居た。
ハルはバロンに事情を話す。
ムタ曰く、猫の国とは自分の時間を生きられない奴が行き着く場所だと言う。
バロンはハルに自分を見失わない事が大事なのだとハルに説いた。
そこにナトルが約束通りハルを迎えに現れ、大量の猫によってハルは連れ去られてしまう。
バロンとトトはハルを攫う猫達に追いつけなかったが、ムタだけはハルと一緒にいたため猫の国へ一緒に連れて行かれた。

猫の国に来てしまったハルとムタ。ハルは猫サイズに縮んでしまう。

猫の国の城へ連れて行かれるはずであったが、ムタの重さのせいで途中でハルとムタは落とされてしまう。
猫の国の民達が不思議そうにハルたちを見ている中、白い猫の女の子「ユキ」がハルの前に現れた。
ユキはハルを猫の事務所に行く様に呼びかけた声の主であった。
そしてユキは何故かハルの事を知っているようで、ハルを心配し、このまま猫の国に居てはいけないとハルに注意した。
そこにナトルたちが引き返してきて、ハルとムタは猫王のお城へと案内された。
ムタはハルのお供ということになっていた。

ハルが少しでも猫でもいいと思ってしまうと、どんどん猫化が進んでしまう。

お城ではお妃になるハルを迎える宴が催され、ハルは綺麗なドレスを着せられる。
ドレスを着たことなど無いハルは正直満更でもなかったが、鏡を見ると体の一部が猫化していてショックを受ける。
ハルがドレスを着ている間、ムタは用意された大容量のマタタビゼリーを食べようとゼリーの器に飛び込み、ゼリーに溺れた状態で発見された。
宴の席にはルーン王子はおらず、猫王と貴族のような猫達、配給係や猫王の部下の猫達、そして余興担当の猫が居た。
ハルはムタがゼリーで溺れ死んだと思い込んで泣きじゃくり、宴の余興には全然興味を示さなかった。
またその余興は腹踊りやお色気など品のないシュールなもので、一部の猫にはバカ受けしたが、それらを披露した猫とそれを笑った猫は猫王の命令で窓から投げ落とされた。
笑顔にならないハルの前に、仮面を付けた紳士な猫が現れ、ハルに自分と一曲踊るように話しかけた。
最初は乗り気では無いハルであったが、紳士でカッコイイ猫と踊っているうちに猫でも良いかもしれないと思ってしまう。
するとハルの頬から猫のヒゲが生えた。
二人の親密な雰囲気に猫王は機嫌を損ね、仮面の猫に身分を問う。
仮面の猫の正体はバロンで、ハルを助けに潜入して来たのであった。
王の手先がバロンを捕らえようと暴れだし、宴はその混乱でグチャグチャになってしまう。
ゼリーの中で溺れていたように見えたムタは、ゼリーを全て食べきってゼリーの器から出てきた。
バロンとムタが王の手下達を相手に暴れていると、配給係をしていたユキがドサクサに紛れてハルたちに隠し通路を教えてくれてた。
ハルとバロンはそこから城を脱出する事に成功した。
ちなみに城の下には窓から落とされた猫たちがいて、全員無事であった。

ハルたちは夜明けまでに塔の屋上へ行けばハルは人間に戻り、元の世界に帰ることが出来ると知り、塔を目指す。
しかし塔までの道は迷路になっているのであった。
猫王は遠くから迷路で迷うハルたちを見てどうせ出られないと笑い、ハルたちを邪魔しに手下達を向かわせた。
手下達はハル達を迷わせるために、ハリボテの壁を使って間違えた道を歩ませようとする。
しかし、それが仇になり逆にハルたちを塔へ導いてしまった。

塔に到着し、屋上まで登ろうと階段を上がって行く。
どうしてもハルを帰したくない猫王は、奥の手を使って塔を爆破し、塔の高さは当初よりも短くなってしまった。
そこへ国を離れていたルーン王子が帰還し、騒ぎを聞きつけて塔まで駆けつけてきた。
猫王はハルとルーンの結婚を勝手に決めてしまっていて、ルーンにはその話を一切していなかったのである。
ルーン王子は猫王から結婚の話を聞くと、既に結婚相手を自分で見つけていると答える。
その相手はユキなのであった。
ユキは野良猫の子猫だった頃、お腹が空いて弱っていたところを幼いハルにお魚のクッキーを分けて貰って助かり、そのクッキーが今でも大好きなのだという。
その話を聞いたルーンは、ユキへプレゼントするためにその思い出のクッキーを買いに行き、そこでルーンもハルに救われたのである。
ルーンは皆の前でユキにプロポーズをし、ユキはそれを受けた。
ハルは二人の結婚を祝福した。
しかし猫王はハルを諦められず、ルーンの嫁がダメなら自分の嫁にすると言い出すが、ハルに却下される。
怒った猫王は暴れ出し、バロンと一騎打ちの勝負になるがあっさり負けてしまい、王を引退する決意をした。
バロンが猫王と戦っている間にハルは塔の屋上へ辿り付く。
だが、塔が爆破され高さが変わってしまった影響で時空が歪み、猫の世界の出口は人間界のはるか上空に繋がっていた。

ハルは元の人間に戻り、バロンたちとの別れが近づく。

出口からハルが身を乗り出すと、元の人間に戻った。
猫の世界と人間の世界の出入り口は猫が出入りできるくらいのサイズであったため、人間に戻ったハルには足場が悪く、ムタ・バロンと共に地上へ落下してしまう。
そこへトトがカラスを率いて現れ、カラス達はハルの足場となって、ハルはハルの通う学校の屋上へ下ろされる。

ここでハルとバロンたちはお別れとなり、ハルはバロンに好きになってしまったと告白する。
もう会えないのかと寂しがるハルに、バロンはまた困ったことがあったら猫の事務所への扉は開かれると言い残し去っていった。

ハルはこの不思議な体験から、自分を見つめなおし少しだけ成長し、またいつもの日常へ戻るのであった。

『猫の恩返し』の登場人物・キャラクター

吉岡 ハル(よしおか ハル)

CV:池脇千鶴

本作の主人公。高校生。
本人は気づいていないが、猫語を理解する能力を持っている。
少々ドジッ子で、寝坊したりトラブルに巻き込まれたりと慌しい日常を送っている。

ラクロス部に所属する親友のひろみと帰宅中に、車に轢かれそうになっている猫ルーン王子を助けた。
それによって猫王から色々なプレゼントをされるが、どれもいらないものばかりであった。
クラスメイトの町田に片想いをしていたが、既に彼女が居るようで落ち込んでいたところ、猫の国へ連れて行かれることになってしまう。
何処からとも無く聞こえてきた猫の事務所へ行くように呼びかける声に従って、猫の事務所へ行きバロンやムタと出会う。
猫の国へ行った経験やバロンたちとの関わりの中で、ハルは精神的に成長して行く。

当初は町田に片想いしていたが、バロンと行動する事によってバロンに恋をし、別れ際に告白した。
物語のラストは以前よりも行動が少し大人びていて、町田への気持ちも吹っ切り、髪の毛も短髪にしており、ハルの変化が伺える。

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